ChatGPT Enterpriseとは。料金の決まり方とBusinessとの違い

ChatGPT Enterpriseとは、OpenAIが会社や学校などの組織単位で販売している、管理機能付きのChatGPTの契約です。料金は公表されておらず、金額を知るにはOpenAIの営業か取扱代理店に見積もりを依頼することになります。一方で、請求がどう積み上がるかの仕組みや、契約後すぐに見直したい設定は、公式ヘルプからかなりの部分を読み取ることが出来ます。読み違えやすいのは、実質無制限という言葉と、超過料金の上限が最初は設定されていないという2点でしょう。

ChatGPT Enterpriseとは|組織単位で契約する管理機能付きのプラン

ChatGPT Enterpriseは、会社が契約し、管理者が社員に席を割り当てて使うプランになります。公式ヘルプ「ChatGPT Enterprise とは何ですか?」は、組織向けに管理されたChatGPTプランで、エンタープライズグレードのプライバシーとセキュリティに加えて、一元化された管理者向けコントロールや高度な機能へのアクセスを提供するもの、と説明しています。同じヘルプには、組織単位で購入され、個人ユーザーが直接サインアップすることはできない、という一文もあります。

ここが個人向けプランとの最初の分かれ目です。無料版・Go・Plus・Proは、本人がカードを登録すればその日から使えます。Enterpriseでは、会社が契約したうえで、管理者が社員を招待するか、社内のID管理の仕組みから自動で割り当てるところから始まります。社員は、会社が用意した環境に入る立場となります。

シートは標準ChatGPTシートとCodexシートの2種類

Enterpriseの席には、標準ChatGPTシートとCodexシートの2種類があります。標準ChatGPTシートには、ChatGPTのほか、GPTs、Projects、Apps、Company Knowledge、ChatGPT Agent、Deep Research、Codexが含まれます。Codexシートは名前のとおりCodexだけを使える席で、ChatGPTへのアクセスは含まれません。クレジット制の契約でCodexシートを提供する場合、利用ベースの席で、ユーザー1人あたりの月額固定費はないと公式ヘルプは説明しています。

席の種類は、本人が自分で切り替えることは出来ません。公式ヘルプのFAQは、シートタイプはワークスペースの所有者または管理者が割り当てる、と答えています。開発部門だけCodexシートにする、といった設計は、契約と管理者の設定で決めることになります。

※公式ヘルプには、組織で使えるシートタイプとその請求条件は契約内容によって異なる、と書かれています。上の2種類は、クレジット制のEnterprise契約についての説明です(2026年10月5日に公式ヘルプで確認)。

ChatGPTのワークスペースとAPIは別の契約

見落とされやすいのが、ChatGPT EnterpriseのワークスペースとOpenAIのAPIプラットフォームの関係です。公式ヘルプは、ワークスペースとAPI Platformの組織はそれぞれ独立したメンバーシップ体系だと説明しています。社内のシステムにAIを組み込みたい場合は、Enterpriseとは別にAPI側の契約と組織の管理が必要となってしまいます。請求も別に立つと考えておきましょう。

ChatGPT Enterpriseの料金|公表されず個別見積もりになる

ChatGPT Enterpriseには、公表された定価がありません。2026年9月16日時点の公式料金ページのEnterprise欄には、カスタム価格設定という見出しと、営業チームへの問い合わせを促す案内だけが表示されていました。プラン一覧のほかの欄が月額の数字を出しているのに対し、この欄だけ金額そのものがない形です。

同じ料金ページのFAQには、Go・Plus・Businessには月額プランを、BusinessとEnterpriseには年間プランを用意している、と書かれていました。Enterpriseについて書かれていたのは年間プランだけで、月額プランの記載はありませんでした。トークン制の請求は毎月の後払いですが、公式ヘルプは、毎月請求されることは月単位の契約を意味しない、とわざわざ断っています。

金額を調べるときは、表示通貨にも気をつけてみてください。ChatGPTの料金ページは、見ている環境によって円で表示されたり米ドルで表示されたりします。解説記事に書かれた円の金額を社内資料に写すと、どの通貨のどの時点の表示なのかが分からなくなってしまいます。金額の根拠は、自分で開いた料金ページか、受け取った見積書にしておきましょう。

何名から契約できるのか|2名からという公式の記載と150席の目安

最低人数については、公式の記載と解説記事の目安が分かれています。2026年9月16日時点の料金ページFAQには、BusinessとEnterpriseは企業向けプランで、「企業向けプランは、ユーザー2名からご利用いただけます」と書かれていました。一方、JAPAN AIの解説記事には年間契約で150席以上が基本条件といわれているという記述があり、AUTOROの解説記事には従業員数が150人を超える組織に適しているという記述があります。

150席という数字は、OpenAIの公式ページ上では確かめられませんでした。ただし実際の条件は個別の見積もりで決まるため、どちらかが誤りとまでは言い切れません。社内で説明するときは、公式に書かれている条件と、記事で目安として語られている条件を分けて伝えると誤解が起きにくくなります。なお、Businessは1つの契約で最低2席・最大200席(2026年8月24日以降に作成したワークスペース)と公式ヘルプにあり、それより多い席が必要ならEnterpriseを検討するよう案内されています。

国内の販売代理店を通して契約する道もある

見積もりの窓口は、OpenAIの営業だけとは限りません。NTTデータグループは2025年4月24日に、OpenAIの日本初の販売代理店としてChatGPT Enterpriseの提供を始めると発表しています。このほかにも、販売代理店としてライセンスを提供していると自社サイトに書いている事業者があります。契約する相手、支払いの通貨と方法、サポートの言語は経路によって変わることがあるため、複数の窓口に当たるときはこの4点を揃えて比べてみてください。

Business(旧Team)とEnterpriseの違い|プラン比較と分かれ目

BusinessとEnterpriseを分けているのは、社員の数よりも、会社としてどこまで管理したいかという深さになります。Businessは、2025年8月29日にChatGPT Teamから名称が変わったプランです。公式ヘルプによると、名称変更そのものでプランの機能・料金・利用上限が変わることはなく、その後の料金やシートの変更は名称変更とは別のものとされています。古い資料のChatGPT Teamは今のBusinessと読み替えられますが、料金と席数は現在の条件を確かめるようにしましょう。

無料版からEnterpriseまでのプラン比較

個人向けと法人向けを並べると、金額を比べられるのはBusinessまでとなります。

プラン契約する主体公表されている料金位置づけ
無料版・Go・Plus・Pro個人料金ページに掲載本人が申し込む。会社の管理下には入らない
Business(旧Team)会社(セルフサービスで開始できる)標準シート 月25ドル(月払い)・月20ドル(年払い)、プレミアムシート 月125ドル(月払い)・月100ドル(年払い)1契約2〜200席(2026年8月24日以降のワークスペース)。SSOはあり、SCIMによる自動連携は含まれない
Enterprise会社(営業か販売代理店を経由)カスタム価格設定(非公表)年間プラン。SCIM・RBAC・Compliance APIなどが加わる

※Businessの金額は2026年10月5日に公式ヘルプで確認した米ドル建ての記載で、国や通貨によって異なる場合があるとされています。税の扱いは記載がないため、税を足した金額は示していません。人数別の総額はChatGPT Businessの料金|法人プランの人数別総額と選び方で扱っています。BusinessのSCIMの扱いは2026年9月19日に公式ヘルプで確認したものです。

個人向けのPlus・Proとの違い|学習の扱い・会社の管理・退職時

社員が自分で契約したPlusやProと、会社が契約するEnterpriseでは、使えるモデルの性能より先に、データを誰が管理するかが違います。比べるところは、次の3つになります。

1つ目は学習の扱いです。個人向けプランでは、本人が設定の「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、新しい会話がOpenAIのモデルの学習に使われなくなります。オフにするかどうかは社員一人ひとりの操作に任されます。公式ヘルプ「ChatGPT のデータ管理」には、Business・Enterpriseなどのワークスペースのコンテンツはモデルのトレーニングに使用しないと書かれており、こちらは本人の設定に左右されません。

2つ目は会社の管理が届くかどうかです。同じヘルプには、管理対象のワークスペースには保持・メモリ・コンプライアンス・アクセスに関する組織レベルの設定を適用できるとあります。個人のPlusやProで交わした会話は本人のアカウントの中にあり、会社がOpenAIの管理画面からログを確かめたり、保存期間を決めたりすることはできません。

3つ目は、社員が辞めたときです。Enterpriseでは管理者がメンバーから外せば、そのワークスペースには入れなくなり、会話は会社が決めた保持ポリシーに従います。個人契約のアカウントは会社の管理の外にあるので、業務で入れた資料や会話も本人の手元に残ります。なお、個人向けの利用規約には、雇用主などが所有するメールアドレスで作ったアカウントは組織のビジネスアカウントに追加される場合がある、という一文があります。会社のメールアドレスで個人契約をしている社員がいる場合は、招待の前に把握しておくと、後で説明する個人ワークスペースの統合の判断がしやすくなります。

※データ管理の記載は2026年10月16日に公式ヘルプ「ChatGPT のデータ管理」で確認したものです。利用規約は2026年1月1日発効の個人向け利用規約の記載です。

Businessですでに揃っているもの、Enterpriseで加わるもの

学習に使わせないこと、SSOでのログイン、利用状況を見ることは、Businessの時点で揃っています。Businessのデータについても、公式ヘルプにはトレーニングに使用することはないという記載があります。Enterpriseで加わるのは、SCIM、RBAC、Compliance APIなどです。

SCIMは、人事やID管理の仕組みで社員を追加・停止したときに、その結果をChatGPTのアカウントへ自動で反映させる仕組みになります。退職者のアカウントを手作業で止めて回る運用をやめられるかどうか、という話でもあります。利用量の扱いも違い、Businessではシートごとの利用上限があり、上限を超えた人を解除したいときにワークスペースでクレジットを買い足します。クレジット制のEnterpriseでは契約単位で共有のクレジットプールを買い、全員がそこから使うのが基本の形です。既定ではシートごとの上限がないため、誰か1人が使いすぎても止まらない代わりに、会社全体の残りが減っていくことになります。

判断は人数より先に、自社の情報セキュリティ規程が何を必須にしているかから始めてみてください。ID基盤との自動連携や、会話ログを外のシステムへ取り出すことが規程上の必須要件であれば、Enterpriseが候補になります。必須でなければ、人数が多くてもBusinessで要件を満たせる場合があります。

すでにBusinessを使っている会社は、ワークスペースとデータを維持したままEnterpriseへアップグレードするには営業担当へ問い合わせるよう、公式ヘルプで案内されています。2つのプランの切り替え方はChatGPT BusinessとEnterpriseの違い|何人から切り替えるかの記事が参考になります。

課金はクレジット制とトークン制の2方式|Codexの費用も

Enterpriseの請求には、クレジット制とトークン制(米ドルの従量課金)の2つの方式があります。どちらになるかは契約で決まり、公式ヘルプには、対象となるEnterpriseの新規契約または切替契約でトークンベース請求を導入でき、一部のワークスペースでは引き続きクレジットベース請求が使われている、と書かれています。新しく契約する会社だけの話ではなく、すでに使っている会社が切り替える場合も対象になります。

クレジット制|重い機能だけがクレジットを使う

クレジット制では、契約単位で買った共有のクレジットプールを、ワークスペースの全員で使います。ただし、あらゆる操作で減るわけではありません。公式ヘルプによると、クレジットは高度なモデルと機能にだけ適用され、ChatGPTのコアモデルや検索機能、ファイルのアップロード、canvasなどではクレジットは必要ないとされています。クレジットを使う機能として挙がっているのは、Deep Research、Thinkingモデル、画像生成、高度な音声、Codexなどです。

ChatGPTがメッセージをモデルのmini版に自動で振り分けた場合は、0クレジットになります。短い質問や簡単な要約では減らないこともあるため、使う量を見積もるときは、重い機能を誰がどれくらい使うかに絞って数えるのが実態に近いでしょう。プールを使い切ると、所有者が超過利用を有効にするか、アカウントチームを通じてクレジットを買い足さない限り、高度な機能は一時停止されます。しきい値に達した時点で、所有者にはメールと製品内のアラートが届きます。ただし別のヘルプでは、超過上限は既定で設定されず使い続けられるとあるため(次の節で扱います)、どちらの動きになるかは契約で確かめておきましょう。

トークン制|シート料金と利用料金は別々に請求される

トークン制では、Chat・Work・Codexの利用量をトークンなどの単位で測り、契約上の料金にもとづいて米ドルで請求する形となります。公式ヘルプ「ChatGPT Enterprise のトークンベース請求」には、請求の組み立てがかなり具体的に書かれています。

  • シート料金は、各請求月の開始時点で割り当てられているシート数で決まります。割り当てた人がメッセージを1通も送っていなくても発生します。
  • 月の途中で追加したシートは、その月の残りの期間に応じて日割りで請求されます。
  • シートを削除すると割り当て数にはすぐ反映されますが、請求の基準額が下がるのは翌請求月からとなります。
  • 契約によっては、ChatGPT EnterpriseとAPIを合わせた利用額コミットメント(契約期間中に所定の金額を使う約束)が含まれ、届かなかった分は契約条件に従って請求されます。
  • ChatGPTの利用料金とシート料金は、請求期間の終了後に毎月後払いで請求され、APIの利用料金は別に請求されます。

毎月後払いで請求されても、月単位の契約という意味にはなりません。公式ヘルプも、契約期間と支払義務は契約によって定められると書いています。ChatGPTの利用額レポートだけでは、APIと合算したコミットメントの達成状況は確かめられないという注意書きもあります。経理と情報システムの担当が同じ数字を見られるよう、どの画面の数字を月次報告に使うかを先に決めておきましょう。

トークン制の単価|公表されているのは利用料金の部分だけ

トークン制の単価は、公式ヘルプの料金表に100万トークンあたりの米ドルで載っています。2026年10月5日時点のChat向けの欄では、GPT-5.6 Solが入力4.00ドル・キャッシュ済み入力0.40ドル・出力20.00ドル、GPT-5.5が入力5.00ドル・キャッシュ済み入力0.50ドル・出力30.00ドルでした。費用は、入力・キャッシュ済み入力・出力のトークン数をそれぞれ100万で割り、単価を掛けて足し合わせる式で示されています。

標準の単価に上乗せされる倍率もあります。WorkとCodexで入力が272,000トークンを超える長いコンテキストでは入力とキャッシュ済み入力が2倍・出力が1.5倍になり、CodexとWorkだけで使えるFastモードは標準の2倍で課金されます。Fastモードは利用枠の消費が2.5倍になる点も料金表に書かれており、これは速度の向上率ではないと注記されています。ロールごとに設定を上書きできる場合もあるので、どのチームに使わせるかを先に決めておきましょう。

このほか、ウェブ検索は1,000回あたり10.00ドルに検索内容のトークン料金が加わり、音声は1分あたり0.05ドルにバックエンドのモデルのトークン料金が加わります。リージョン処理(データレジデンシー)は、標準料金の1.1倍となります。

※この単価表は、対象となるトークンベースのEnterprise契約に適用されるもので、クレジット方式から移るワークスペースでは課金方式の変更後に適用されると公式ヘルプに書かれています。シート料金は非公表のため、これらの単価からEnterpriseの総額を出すことは出来ません(2026年10月5日確認)。

Codexの費用は開発者1人あたり月100〜200ドルが公式の目安

開発部門でCodexを使う場合の費用について、クレジット制の料金表のヘルプには、平均すると開発者1人あたり月額およそ100〜200ドルという目安が書かれています。ただし実際の費用は、使うモデル、同時に動かすインスタンスの数、自動化、高速モードによって大きく変わる、という但し書き付きの数字です。たとえば開発者10人なら、目安どおりでも毎月1,000〜2,000ドル相当の利用が見込まれる計算になります。Codexを配る人数は、試験的に使うチームから始めて、実際の消費を見ながら広げてみてください。

請求の仕組みを読み解く前に、社員が使えるAIを会社で用意する

契約ごとに請求の仕組みが違うと、毎月の費用を読むだけでも担当者の手間が増えてしまいます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

超過上限は既定で未設定|契約後すぐに見直す使いすぎの歯止め

契約後すぐに手を入れたいのが、超過上限の設定になります。公式ヘルプ「ChatGPT Enterprise と Edu の使用制限と超過利用の管理」には、「OpenAI はデフォルトでワークスペース超過上限を設定しません」と書かれています。オーナーが上限を決めるまで、画面には上限なしと表示されたままになります。設定しない場合は特定の機能を止めずに使い続けられる反面、意図しない超過料金が発生する可能性があると説明されています。請求タブで超過上限を設定するよう案内されているので、契約した週のうちに設定を済ませておきましょう。

上限なしという表示には2つの意味がある

上限なしという言葉は、設定する画面によって意味が変わります。使用量上限の画面でグループの上書き設定を上限なしにすると、そのグループはワークスペースの既定値を引き継ぐだけで、使用量が無制限になるわけではありません。一方、ワークスペースの超過上限を上限なしにした場合は、対象となる超過使用に上限がない状態を指します。同じ言葉が、片方では引き継ぎ、もう片方では歯止めなしを意味しているわけです。

公式ヘルプは、上限なしにしてもクレジットが無料または無制限になるわけではないとも書いています。超過上限を0にすると、共有プールを使い切った後はクレジットを使う新しいリクエストが止まります。ただし処理中のリクエストは後から精算されるため、残高がわずかにマイナスになる場合があります。トークン制では米ドルの月間予算を設定し、0ドルにするとすべての支出が止まる仕組みです。月間予算を設定しなければワークスペースの予算上限はかからない、という点も同じ考え方となります。

アラートを設定しただけで安心しないようにしてください。公式ヘルプは、アラートは支出を知らせるもので、使用を停止したり予算を増やしたりするものではないと明記しています。止める役目を持つのは、超過上限と月間予算のほうになります。

複数のグループに入る人は、高いほうの上限になる

個人の使いすぎを抑える上限は、ユーザーの個別設定、所属グループの中で最も高い既定値、ワークスペースの既定値の順で確かめられます。公式ヘルプの例では、ワークスペースの上限が5,000クレジット、グループAが7,000、グループBが8,000のとき、両方に入っている人の上限は8,000クレジットとなります。個別設定がない場合、複数のグループの既定値のうち厳しいほうではなく高いほうが使われる点に気をつけてみてください。

上限ぴったりで止まるとも限りません。一部の利用はタスクが終わるまで消費量が確定しないため、上限の手前で始めたタスクが終わったときに、上限をわずかに超えることがあると書かれています。

上限を後から変えても、使った分はリセットされない

期間の途中で上限を変えたときの扱いも、運用の前に知っておきたい点です。公式ヘルプによると、月間使用量上限を追加・変更・削除・復元しても、その期間にすでに記録された使用量はリセットされません。例として、上限1,000クレジットで600を使い、上限がない状態でさらに200を使った人の上限を1,000に戻すと、残りは200クレジットになると説明されています。

追加の利用を認めたいときも、記録済みの使用量を含めた合計で上限を決めます。すでに800クレジットを使った人にあと500を許すなら、上限は1,300クレジットに設定する、というのが公式の例です。上限を外せば新しく使える量が増える、と考えていると計算が合わなくなってしまいます。

人を増やしたときの精算と、請求書が届く時期

人数を増やしたときの精算は、月ごとではありません。クレジット制の公式ヘルプには、ユーザーを追加しても共有クレジットプールはすぐには増えず、標準のシートバンドル型の契約では、追加シートは通常、四半期ごとのトゥルーアップで精算されると書かれています。このトゥルーアップは暦の四半期ではなく、サブスクリプションやサービス期間の開始日から3か月ごとに行われます。

請求期間も暦月とは限らず、サブスクリプションの開始日が基準になる場合があります。超過分の請求書は通常、請求期間の終了後に5営業日の確認期間を経て送られてきます。使用量のデータが表示されていなくても請求額がゼロとは限らない、という注意書きもあるので、経理の月次締めとずれることを前提に処理の手順を決めておきましょう。クレジットを使い切ったときの動きはChatGPT Enterpriseのクレジットを使い切ったら?、生成AIの費用を社内でどう把握するかは生成AIのコスト管理でも扱っています。

実質無制限の意味と、使えるモデルの決まり方

ChatGPT Enterpriseの紹介では、高性能なモデルを無制限に使えるという説明がよく見られます。公式ヘルプ「モデルと制限」には、「対象の基本モデルで実質的に無制限のメッセージを利用できます」とある一方で、モデルへのアクセスや実質無制限のメッセージがあっても利用料金が無料になるわけではない、と書かれています。トークン制の契約では、即時モードを含む利用分が契約に応じた料金で請求されます。

無制限は回数で止められないという意味で、費用がかからないという意味ではありません。ここを読み違えたまま全社に配ると、請求書を見てから利用のルールを作り直すことになってしまいます。同じヘルプには、自動処理やプログラムによるデータ抽出などの不正利用、アカウントの認証情報の共有、アクセス権の転売やChatGPTを使ったサードパーティサービスの提供が、禁止される行為として挙がっています。不正の疑いがあれば利用を一時的に制限する場合があり、制限するときは知らせるという説明です。

使えるモデルは、管理者の設定とロールで決まる

どのモデルを使えるかは、契約したら自動で決まるわけではありません。公式ヘルプは、EnterpriseとEduのモデルアクセスはワークスペース設定とRBACで管理され、メンバーに表示される選択肢はロールアウトの状況やワークスペースの構成によって異なる場合がある、と説明しています。提供が始まった時点では、新しいモデルはEnterpriseとEduのワークスペースで既定で無効とされ、オーナーが全体か特定のロールに対して有効にする流れとなります。

2026年10月5日時点のトークン制の料金表には、GPT-6.1 SolやGPT-5.6 Solといった名前が並び、WorkとCodex向けで通常のChatでは選べないと注記されたモデルもあります。ただ、料金表に名前があることと、自社のワークスペースで社員が選べることは別の話です。稟議書に特定のモデル名を要件として書くと、契約の途中で前提が崩れることがあるため、必要な処理の種類と量で要件を書いてみてください。

設定が狙いどおりに効いているかは、管理者がモデルのテストで確かめられます。管理コンソールでメンバーを検索すると、その人が使えるモデルとアクセス権に影響する設定が表示され、テストをしてもモデルの有効化や権限・上限の変更は起きない、と公式ヘルプに書かれています。複数のモデルを用途で使い分ける考え方は、4つのAIの使い分けの記事が参考になります。

カスタムGPT・社内ナレッジ・アプリ連携で何ができるか

Enterpriseの標準ChatGPTシートには、GPTs、Projects、Apps、Company Knowledgeといった機能が含まれます。2026年9月16日時点の料金ページの比較表では、社内ナレッジとワークスペースエージェントは個人向けのProでも提供されない項目でした。社内の情報とつないで使う機能は、法人向けプランの領域と考えてよいでしょう。

カスタムGPTは、社内で使い回す指示書になる

カスタムGPTは、よく使う指示や手順をまとめて、社内で共有できる形にしたものになります。2026年9月19日に確認した公式ヘルプでは、共有の範囲は、招待した人だけ、リンクを知っているワークスペース内の全員、ワークスペース内の全員などから選べ、管理者は一部の共有方法を制限したり無効にしたりできます。外部のサービスやAPIを使うGPTでは、入力の一部がその第三者のサービスに送られることがある点も覚えておきましょう。

導入した会社の発表を見ると、カスタムGPTの数が利用の広がりを示す数字として使われています。MIXIは、全社導入から3か月未満で1,800個以上のカスタムGPTが自発的に作成されたと発表しました。三井不動産も、利用開始から約3か月で500件のカスタムGPTが運用中と発表しています。どちらも同社発表の数字となります。

アプリ連携とコネクターは、管理者が有効にしたものから使う

社内のツールやファイルとつなぐ機能は、管理者が判断して有効にするのが基本の形です。2026年9月19日に確認した公式ヘルプには、新しいEnterpriseとEduのワークスペースでは作成時に選ばれた一連のアプリが有効になっていて、新しいプラグインとアプリは一般に既定で無効と書かれています。Businessではアプリが既定で有効とされているので、Enterpriseのほうが慎重な初期設定になっているわけです。管理者クイックスタートも、初日から使わせる機能、制限する機能、段階的に広げる機能を導入前に決めておくよう勧めている点も見逃せません。

ChatGPT ワークとCodexで、成果物まで作らせる

公式の製品ページは、ChatGPT ワークを、完了まで数時間かかるプロジェクトでも計画を立て、複数のアプリやファイルをまたいでスプレッドシートやスライド、ドキュメントなどの成果物を作れるものとして紹介しています。Codexは、コードやファイル、構造化された作業の流れを扱うエージェントで、従来のソフトウェア開発以外の業務にも役立つ、というのが管理者クイックスタートの説明です。どちらもつなぐ先と権限の設計が済んでいないと、高機能なチャット画面のまま終わってしまうので、使うチームを絞って始めてみてください。

セキュリティと管理機能|学習・権限・暗号化・監査・保管場所

セキュリティは、入力が学習に使われるか、誰が何を使えるか、後から確かめられるか、データがどこにあるかの4つに分けると整理しやすくなります。情報漏洩の心配がどこまで契約で守られるかは、ChatGPT Enterpriseなら情報漏洩しない?の記事で、守られる範囲と守られない範囲を分けて見ることが出来ます。

入力したデータは、既定でモデルの学習に使われない

公式の製品ページには、会話やファイル、ChatGPTの出力を含むビジネスデータは、既定ではOpenAIのモデルの学習に使用されないと書かれています。2026年9月20日に確認したOpenAIのエンタープライズプライバシーのページも、BusinessやEnterpriseなどを対象に、既定ではユーザーのデータを使ってモデルが学習することはない、という説明です。ただ、学習に使わせない扱い自体はBusinessにもあり、個人向けプランでも設定で無効にすることが出来ます。会社にとって意味があるのは、その設定が社員一人ひとりの操作ではなく、組織の契約で決まることのほうでしょう。

私物のアカウントでの利用が社内でどう起きているかは、野良AI(シャドーAI)の記事が参考になります。

暗号化とSOC 2などの認証

暗号化について、同じエンタープライズプライバシーのページには、保存時のデータをAES-256で、転送時のデータをTLS 1.2以上で暗号化すると書かれています。同ページにはSOC 2の監査に合格したという記載もあり、いずれも同社発表の内容です。監査報告書そのものを確かめたい会社は、契約前の確認の段階で営業に聞いてみてください。

管理者ができること|ドメイン認証・SSO・SCIM・RBAC

管理者の権限は、誰を入れるかと、何を使わせるかの2つに分かれます。誰を入れるかはドメイン認証、SSO、SCIMで、何を使わせるかはロールベースのアクセス制御(RBAC)とグループで決めます。公式の製品ページには、管理者がワークスペース全体で、エージェントや接続済みツール、アクションを使えるユーザーを管理できると書かれています。管理者クイックスタートによると、グループを作っただけではChatGPTの権限は自動で付与されないため、ロールの割り当てまで済ませる必要があります。

監査とコンプライアンス|Compliance APIとIP許可リスト

後から確かめられる状態を作るのが、この層になります。管理者クイックスタートは、一般的な制御として、監査やSIEM、eDiscovery、DLPの流れに向けたCompliance Logs PlatformとStateful Compliance API、ワークスペースとCompliance APIへのアクセスを絞るIP許可リスト、ロックダウンモード、顧客管理の暗号化に使うEnterprise Key Management(EKM)を挙げています。EKMは利用可能な場合、という条件付きの書き方です。

監査ログが画面で見られることと、自社の保管システムへ取り込めることは別の話になります。2026年9月19日に確認した公式ヘルプでは、Compliance Logs Platformのデータ保持は30日間で、それより長く残したい場合は利用者側でログを取り出して保管する仕組みを作る必要がある、と説明されていました。社内規程で証跡の保存年数が決まっている会社は、取り出せる範囲と形式を見積もりの段階で具体的に聞いておきましょう。

データの保管場所と、処理する場所は分けて考える

データレジデンシーは保管場所の話として語られがちですが、保管と処理は分けて見る必要があります。2026年9月16日時点の料金ページの比較表には、米国、EU、英国、日本などを並べたデータレジデンシーの行があり、個人向けの4プランはいずれも対象外でした。管理者クイックスタートも、必要な場合のデータレジデンシーまたは推論レジデンシーを制御の1つとして挙げています。

処理する場所については、トークン制の料金表に、リージョン処理(データレジデンシー)は標準料金の1.1倍とあります。地域の中で処理させること自体が、追加の費用を伴う選択肢として設計されているわけです。保管場所を国内にすることと、推論をその地域で処理させることは、同じ設定ではありません。社内規程に国内保管の条文がある会社は、どちらを求めているのかを先に確かめてから要件として伝えてみてください。

活用例と導入企業|公式の6部門と国内の発表

公式の製品ページは、ChatGPT ワークとCodexを使った部門別の使い方を6つ挙げています。いずれも質問に答えさせるだけでなく、複数の場所からデータを集めて成果物を作らせる使い方として書かれているのが特徴です。

  • エンジニアリングでは、チケットからテスト済みのプルリクエストまでを一連の流れで進め、Codexが調査・計画・変更・テストを経てレビュー用の変更を準備します。
  • マーケティングでは、キャンペーンの概要資料やドキュメント、成果のデータを、次のローンチへの提案を含む経営層向けの報告資料に変えます。
  • オペレーションでは、プロジェクト管理の仕組みや進捗管理表、計画書、最近のメッセージからデータを取り込み、レビューの準備をします。
  • 財務では、月次決算の予算対実績の分析や予測の見直しを、複数のシステムのデータを手作業でつながずに進めます。
  • データアナリティクスでは、データウェアハウスへの照会結果をCRMのデータや業務の背景と組み合わせてレポートにし、アクションプランにまとめます。
  • 営業では、新たなシグナルを集めて次のステップを更新し、担当者が商談を進める時間を増やします。

どれも社内のツールやファイルにつながっていることが前提となります。接続の設計が済んでいないうちに契約しても、実態は高機能なチャット画面にとどまってしまうので、どのシステムにつなぐかを先に決めておきましょう。

※公式の製品ページには顧客事例として複数の数値が載っていますが、調査主体・母数・時期が示されていないため、ここでは取り上げていません。

国内で導入を発表している企業

国内でも、ChatGPT Enterpriseの全社導入を自社のサイトで発表する会社が出てきています。どの数字も各社またはOpenAIの発表(自己申告)である点を押さえたうえで読んでみてください。

  • Zenkenは、2024年11月から全社員に導入したと2025年4月に発表しています。社内アンケート(有効回答380)などをもとに、月間約12,500時間分の工数が削減されたとしています。
  • MIXIは、2025年3月に導入し、2025年4月時点で約2,000人が対象と発表しました。同年8月の続報では、全社導入から3か月未満で週ごとのアクティブユーザー率が80%に達したとしています。
  • 三井不動産は、2025年10月1日から約2,000人の全社員に展開したと、同年12月に発表しています。
  • 三菱UFJ銀行については、OpenAIが2026年7月に公開した事例で、約35,000人の従業員にChatGPT Enterpriseを展開したと紹介されています。
  • ソフトバンクグループは、2025年2月3日の発表で、ChatGPT Enterpriseなどの既存ツールを全グループの従業員に展開する計画を示しています。

各社の人数・用途・出典の一覧は、ChatGPT Enterpriseの導入企業は?の記事にまとめています。ChatGPT導入と報じられる例の中には、Azure OpenAI Serviceなどで自社が作った社内AIを指しているものもあるため、社名だけで判断しないようにしましょう。

導入の進め方|問い合わせから全社展開まで

購入したいときは、OpenAIの営業チームに問い合わせ、興味のある製品としてChatGPT Enterpriseを選んで詳細を送る流れになります。その後、OpenAIの担当者が要望を聞いたうえで提案する、と公式ヘルプに書かれています。導入までの期間の目安は管理者クイックスタートにも書かれていないため、ID管理の設定や社内の決裁にかかる時間から逆算して見積もってみてください。

管理者クイックスタートが示す設定の順序

契約後の設定には、公式ヘルプ「ChatGPT Enterprise 管理者クイックスタート」が勧める順序があります。ユーザーを広く招待する前に準備するためのガイドで、9つの段階が並んでいます。

  1. ロール、シートの種類、導入範囲を確かめる
  2. ドメインを検証し、ID管理を設定する
  3. 全社に配る前に、SSOとSCIMを設定する
  4. グループを作り、RBACとカスタムロールを割り当てる
  5. ワークスペース設定、Work LocalとWork Cloudへのアクセス、高速モード、既定のモデル、メンバーへのコスト表示、ユーザー向けのガイダンスを設定する
  6. アプリ、GPT、コネクター、承認済みドメインを有効にする
  7. 適切なチームで、Work、ワークスペースエージェント、Codexを有効にする
  8. セキュリティとコンプライアンスの制御を設定する
  9. 導入状況、タスクの傾向と使用状況のエクスポート、メンバーへのコスト表示、サポート体制を確かめる

この順序で見落としやすいのが、2番目にあるアカウントの自動作成です。公式ヘルプは、確認済みドメインをワークスペースに適用する前にアカウントの自動作成の設定を確かめるよう案内しており、ワークスペースの作成時にすでにオンになっている場合があると書いています。自動作成では全機能を使える席が通常の請求条件で割り当てられるので、社員の利用が始まる前に使える席の数を確かめておきましょう。SCIMでアクセスを管理する予定なら、自動作成の設定はオフにするのが公式の案内です。

3番目のSSOとSCIMも、社員を招待する前に済ませるのが基本となります。テナントにSCIMで同期しただけでは製品へのアクセス権は付与されず、同期したグループをワークスペースに別途割り当てる必要がある点にも注意が要ります。5番目の高速モード(ファストモード)は既定で有効になっているため、料金の倍率を思い出しながら、使わせるロールを決めてみてください。ワークスペースポリシーを使って、会社のAIポリシーや利用上のルールを社員に示す仕組みも用意されています。クレジット制から移ったワークスペースでは、超過利用の上限とクレジット残高のアラートが引き継がれないため、予算とアラートを設定し直すことになります。

個人ワークスペースの統合は、元に戻せない

展開の場面でいちばん慎重に決めたいのがこの項目です。公式ヘルプによると、一部の組織では、招待を承諾するときに個人用ワークスペースをEnterpriseワークスペースへ統合するよう求められ、個人のチャットやファイル、カスタムGPTが組織の管理下に移ります。統合すると元に戻すことは出来ません。統合を求めない組織では、個人用とEnterpriseのワークスペースは完全に分かれたまま維持されます。

同じアカウントの個人向け有料サブスクリプションは自動的に解約され、期間の未使用分は一部返金されると書かれています。社員の私的なやり取りが会社の管理下に入るかどうかの判断になるため、招待を送る前に方針を決めて、社員に伝えておきましょう。

導入支援とサポート

公式の製品ページによると、導入支援として、ベストプラクティスにもとづくプレイブック、高度なワークスペース分析、役割別のトレーニング、専門家によるセッションが用意されています。サポートはSLA付きの24時間365日で、より速い対応や専任担当者を含むプレミアムサポートを追加することも出来ます。一方でAIアドバイザーは、全社展開する一部のEnterprise顧客向けとされています。対象のお客様、一部の顧客向けといった条件が付いた項目は、自社が対象になるかを見積もりの際に確かめてみてください。

見積もりを依頼する前に、社内で決めておく5項目

金額が非公表で条件が個別に決まる契約だからこそ、問い合わせの前に社内の答えを用意しておくと、やり取りの往復が減ります。次の5つを決めておきましょう。

  • 想定シート数と、その内訳全社か部門単位か。ChatGPTを使う人と、Codexだけ使う人を分けて数えます。席の種類は本人が変えられず、トークン制ではシート料金が使っていない人にもかかるため、最初の割り当て方針が要ります。
  • 既存のID基盤と、自動連携が必須かどうかMicrosoft EntraやGoogle Workspaceなど、社員のアカウントを管理している仕組みは何か。退職時の停止を自動にする必要があればSCIM連携が要件になり、アカウントの自動作成はオフにする方針になります。
  • データの保管要件と、処理場所の要件社内規程が求めているのは保管場所か、処理を行う場所か。監査ログを自社のシステムへ取り出して残す必要があるか、保存年数は何年かを決めます。
  • 支払い方法と通貨、決裁の期限年間プランが基本となるため、請求書払いが必要か、通貨は何か、稟議はいつまでに通すか。請求期間が暦月とずれることや、毎月の後払いでも月単位の契約ではないことを経理に共有します。
  • 使いすぎたときに、誰が止めるか超過上限と月間予算は既定では設定されていません。契約後に誰がその設定を行い、アラートを誰が受け取るか、ファストモードをどのロールに許すかを決めておきます。

この5つが決まっていれば、提示された条件を社内で比べられる状態になります。未定のまま話を進めると、見積書が届いてから社内の調整が始まり、契約の始まりがずれ込んでしまいます。

Enterpriseが向く会社、Businessや別の形で足りる会社

社員10名から200名ほどの会社にとっては、人数の条件より先に、年間プラン・個別見積もり・非公表の金額という条件そのものが検討の負担になりやすいでしょう。そのうえで、選び方は3つに分かれます。

Enterpriseが必要になるのは、SCIMによるID基盤との自動連携や、Compliance APIでの会話ログの取り出しが、情報セキュリティ規程の必須要件になっている場合です。これらはセルフサービスのBusinessでは満たしにくい要件なので、金額が非公表でも見積もりを取る価値は十分にあるでしょう。

学習に使わせない設定やSSO、請求と管理の一元化が目的であれば、Businessで足りる場合があります。Businessは金額が公開されているため、稟議に出す数字を自分で作れます。ただし1つの契約は200席までのため、それを超える規模ならEnterpriseの検討が必要となります。

1つのAIに社員全員を乗せることが目的ではなく、社員が業務でAIを使う状態を会社の管理下に置くことが目的なら、国内の法人向けサービスも候補に入ります。公表されている金額を比べたいときは、法人向け生成AI 38サービスの料金比較を見てみてください。

会社で安全に使うために、契約より先に決めておくこと

どのプランを選んでも、会社で安全に使えるかどうかは、契約よりも運用の決め方で差がつきます。押さえておきたいのは、学習させない設定、ログの管理、社員への配り方、複数のAIの使い分けの4つになります。

学習させない設定を、社員の操作に任せない

入力したデータを学習に使わせない設定は、社員一人ひとりの操作に任せると、どこかで漏れが生まれてしまいます。会社の契約や管理画面で、全員に一律で効く形になっているかを確かめてみてください。入力してよい情報と入れてはいけない情報の線引きは、生成AIの社内ガイドラインの作り方も参考になります。

誰がいつ何に使ったかを、会社で見られるようにする

ログは、問題が起きた後に経緯を説明するための材料です。画面で見られるだけでなく、書き出して社内の保管先に残せるか、保存期間は何日かまで確かめておきましょう。点検したい項目はAIセキュリティのチェックリストにまとめています。

一部の社員にだけ配ると、残りの社員が私物のAIに流れる

1人ごとに料金がかかる契約では、費用を抑えるために一部の社員にだけ席を配る判断になりがちです。配られなかった社員が私物のアカウントで業務に使うと、会社の管理画面にはその利用が映りません。配った後に測りたいのは、契約した席のうち実際に使われている割合と、使われていない部署がどこかになります。使われていない部署では、別の手段が使われている可能性があります。

1つのAIに決め切らず、用途で使い分ける

新しいAIのモデルは短い間隔で公開されており、どれが優れているかの順位は固定されていません。調べものはWeb検索に強いもの、長い文書の読み込みは長文に強いもの、というように用途で分けると、外れを引く回数を減らせます。同じ質問を2つのAIに投げて答えが食い違うかを見れば、人が確かめるべき箇所も見つけやすくなります。複数のAIを1つの環境でまとめて使う方法は、マルチAIの記事で比べています。

よくある質問

ChatGPT Enterpriseの料金はいくらですか?
公表されていません。2026年9月16日時点の公式料金ページのEnterprise欄には、カスタム価格設定という見出しと、営業チームへの問い合わせの案内だけが表示されていました。同ページのFAQには、BusinessとEnterpriseには年間プランを用意していると書かれています。トークン制の契約向けには100万トークンあたりの単価表が公式ヘルプに公開されていますが、シート料金は含まれないため、そこから総額を出すことは出来ません。
ChatGPT Enterpriseは何名から契約できますか?
2026年9月16日時点の料金ページFAQには、BusinessとEnterpriseは企業向けプランで、企業向けプランはユーザー2名から利用できると書かれていました。一方、解説記事には年間契約で150席以上が基本条件といわれているという記述もありますが、OpenAIの公式ページ上でその最低席数は確かめられません。実際の条件は個別の見積もりで決まるため、問い合わせの際に確認してください。
ChatGPT BusinessとEnterpriseの違いは何ですか?
分かれ目は人数よりも、統制の深さです。学習にデータを使わない扱い、SSO、請求と管理の一元化は、Business(2025年8月29日にChatGPT Teamから名称変更)にもあります。Enterpriseで加わるのは、SCIM、ロールベースのアクセス制御、Compliance API、契約単位での利用量の設計などです。Businessは1つの契約で200席までのため、それを超える場合もEnterpriseが候補になります。
ChatGPT Enterpriseは本当に無制限に使えますか?
公式ヘルプは、対象の基本モデルで実質的に無制限のメッセージを利用できるとしたうえで、利用料金が無料になるわけではないと書いています。トークン制の契約では、即時モードを含む利用分が契約に応じた料金で請求されます。また、自動処理によるデータ抽出、アカウントの認証情報の共有、アクセス権の転売などは禁止されており、不正の疑いがあれば利用が一時的に制限されることがあります。
ChatGPT Enterpriseに入力したデータはAIの学習に使われますか?
公式の製品ページには、会話やファイル、ChatGPTの出力を含むビジネスデータは、既定ではOpenAIのモデルの学習に使用されないと書かれています。ただし、学習に使わない扱いはBusinessにもあり、Enterpriseだけの特徴ではありません。Enterpriseで加わるのは、会話ログの取り出しやID基盤との自動連携といった、会社として確かめるための仕組みのほうです。
契約したら、最初にどの設定を見直すべきですか?
超過上限です。公式ヘルプには、OpenAIはデフォルトでワークスペース超過上限を設定せず、オーナーが設定するまで上限なしと表示されると書かれています。アラートは支出を知らせるだけで使用を止めないため、止める設定は超過上限か月間予算で行います。あわせて、既定で有効になっているファストモードと、作成時にオンになっている場合があるアカウントの自動作成の設定も確かめておきましょう。
ChatGPT Enterpriseの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
公式ヘルプの管理者クイックスタートに期間の目安は書かれていません。同ヘルプは、ロールと導入範囲の確認、ドメインの検証、SSOとSCIMの設定、グループとロールの割り当てなどを、社員を広く招待する前に済ませる順序で示しています。ID管理の設定と社内の決裁にかかる時間から逆算して見積もってください。
ChatGPT Enterpriseと個人向けのPlus・Proは何が違いますか?
いちばん大きな違いは、データを会社が管理できるかどうかです。個人向けプランでは、本人が「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにしないと、会話が学習に使われることがあります。Enterpriseのワークスペースのコンテンツは、公式ヘルプでモデルのトレーニングに使用しないとされ、保持やアクセスに関する組織レベルの設定も適用できます。社員が辞めたときに、管理者がワークスペースから外せる点も違います。

まとめ

ChatGPT Enterpriseは、組織単位でしか契約できない、年間プランが基本の上位プランです。料金は公表されておらず、金額を知るには見積もりを依頼することになります。一方で、請求の組み立ては公式ヘルプに書かれており、クレジット制とトークン制のどちらでも、契約前に読んでおくことが出来ます。

導入の費用を抑えたい場合は、デジタル化・AI導入補助金の対象になるかも確かめておきましょう。

読み違えやすいのは、実質無制限が費用の話ではないことと、超過を止める上限が最初は設定されていないことの2点でしょう。トークン制ではシート料金が使っていない人にもかかり、上限を後から変えても使った分は戻らない点も、運用の前に押さえておきたいところです。

必要かどうかは、人数ではなく、SCIMでのID基盤連携やCompliance APIでのログの取り出しが社内規程の必須要件かどうかで決まります。必須でなければ、金額が公開されているBusinessや国内の法人向けサービスのほうが、稟議に出す数字を自分で作れる分だけ進めやすくなります。まずは社内の要件を固めたうえで、見積もりを依頼してみてください。

社員に配るAI環境を、金額の見える形で比べる

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面では誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧でき、使わせるAIも会社が選べます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。基盤はAWSの日本リージョンで稼働し、データの保管とログ管理は国内で行います。上限に近づくと、管理者宛に複数回メールでお知らせします。上限に達した時点で利用を停止する安全設計のため、知らないうちに超過して追加の請求が発生することはありません。

資料をダウンロード UPGEAR AIの詳細を見る

この記事の内容は、2026年10月5日に確認したOpenAIの公式ヘルプセンターと公式製品ページの記載、および本文に確認日を記した料金ページ等の記載にもとづいています。料金・条件・機能は変更される場合があります。ほかの記事は法人のAI活用コラムの一覧からご覧いただけます。