
ChatGPTでのメール作成・返信とは、送りたい要件や受け取ったメールをChatGPTに渡し、件名・本文の下書きや返信文を作らせる使い方です。会社で使うなら、個人のプロンプト集をそろえるより先に、顧客名や金額が入る文面を学習に使われない環境で扱い、よく使う依頼を社内の定型として共有する形を整えることが近道になります。GmailやOutlookを接続すれば、受信メールを読ませて返信を下書きし、ウェブ版の有料プラン(Plus・Pro・Business・Enterprise)ならそのまま送ることまでできます。どの使い方でも、送る前に人が確かめる工程だけは省けません。
ChatGPTでメールを作成・返信するとは|3つの使い方
ChatGPTでメールを作る方法は、画面に要件を書く、メールアプリを接続する、会社の型を共有するの3つに分かれます。下の順に、手軽さと引き換えに会社が管理すべきことが増えていきます。
- ChatGPTの入力欄に要件を書き、下書きを作らせてメールソフトに貼り付ける
- GmailやOutlookのアプリを接続し、受信メールの検索・要約・返信の下書きから送信までを頼む
- メールの書き方の指示や文例をプロジェクトにまとめ、チームで同じ型を使う
1つ目は、ChatGPTの入力欄に、相手・用件・伝えたい結論を書いて下書きを作らせる方法です。送信はメールソフトに貼り付けて自分で行うため、誤送信の心配は普段と変わりません。ただ、受け取ったメールを丸ごと貼り付けて返信を頼むと、相手の名前や取引の中身がそのままChatGPTに渡ることになります。
2つ目は、設定の「プラグイン」からGmailやOutlookのアプリを接続し、受信トレイの検索や要約、返信の下書きを頼む方法です。OpenAIのリリースノート(2026年6月8日の項)では、GmailかOutlookを連携している場合、同じ会話の中で下書きを作り、ChatGPTから離れずに送信するかどうかを選べるようになったと案内されています。送信の対象は、ウェブ版のPlus・Pro・Business・Enterpriseプランです。
3つ目は、プロジェクトにメールの書き方の指示や署名、よく使う文例をまとめ、チームで共有するやり方になります。担当者ごとに依頼文を工夫する状態から、会社として同じ型を使う状態に移れるのが利点でしょう。
Gmailの中で動くGoogleのGeminiを使う方法は、Geminiでメール返信を下書きする手順で取り上げています。ここからはChatGPTに絞って、3つの使い方を順に見ていきましょう。
ChatGPTにメールを任せるメリットとデメリット
メールをChatGPTに任せる利点は、書き出しに迷う時間が減り、敬語や構成のばらつきが小さくなることです。一方で、事実の誤りと情報の渡し方という2つの弱点は、使い方で補うしかありません。
メリット:書き出しの時間と文面のばらつきが減る
実際に時間がかかるのは、本文を打つことより、どう切り出すか、どこまで書くかを決める部分でしょう。要件を箇条書きで渡せば、挨拶から結びまでの形はChatGPTが整えてくれます。敬語に自信のない若手の方でも、上司に見せる前の下書きの水準がそろいやすくなります。英文や、久しぶりの相手への連絡など、普段書き慣れないメールほど効果を感じやすいはずです。
長いやり取りを要約させてから返信を考えられるのも、連携アプリを使う場合の利点になります。スレッドの経緯を読み直す時間が減るため、休み明けに未読がたまった場面でも助けになるでしょう。
デメリット:事実の誤りと、渡した情報の行き先
ChatGPTは、渡されていない日付や金額、約束の中身を、もっともらしく補ってしまうことがあります。丁寧な文面ほど読み流しやすく、誤った曜日や存在しない割引がそのまま送られてしまうおそれも出てきます。下書きは提案にすぎず、送る前に宛先、宛名、日付と曜日、金額、約束の内容、添付を人が確かめる工程は外せません。
もう1つの弱点は、個人のアカウントで使うと、顧客名や取引の中身を含む文面が会社の管理の外に出てしまうことです。個人向けプランでは、設定によっては会話がモデルの改善に使われる場合があり、この点は後半の節で詳しく扱います。
文体の癖も見落とせない点となります。「させていただきます」の重ね使いや、必要以上に丁寧な前置きが入りやすいため、社内で好ましい書き方を指示に含めておきましょう。
会社の定型として共有するプロンプトの型
メールの依頼文は、個人の工夫に任せるより、会社として1つの型を決めて配るほうが品質がそろいます。場面別の例文を集めても、書き手ごとに条件の渡し方が違えば、出てくる文面もばらばらになってしまいます。型に入れる項目は、次の7つで足りるでしょう。
- 立場:誰として書くか(業種と部署。会社名は伏せてかまいません)
- 相手:取引先・見込み客・社内などの区別と、付き合いの長さ
- 目的:このメールを読んだ相手にしてほしいこと
- 結論:人が先に決めた答え(値引きの可否、納期、対応の方針など)
- 材料:用件の箇条書き(顧客名や金額は伏せ字)
- 形式:件名の有無、文字数、結びの言葉、署名を付けるかどうか
- 禁止事項:補ってはいけないこと、使わない言い回し
【会社のメール作成ひな形】 【立場】あなたは[業種]の会社で[部署]を担当する社員です。 【相手】[取引先の担当者/初めて連絡する見込み客/社内の上長]。付き合いは[長い/初回]です。 【目的】このメールで相手にしてほしいことは[返信/日程の確定/資料の確認]です。 【結論】(人が書く)[例:納期は当初の予定どおり。値引きは今回はお受けしない] 【材料】[用件の箇条書き。顧客名は「A社」「B様」、金額は「X円」のように伏せ字にする] 【形式】件名を1つ付ける。本文は400字以内。結びは「よろしくお願いいたします」で終える。署名は付けない。 【禁止事項】書かれていない日付・金額・条件を補わない。分からない点は【要確認】と書いて残す。「させていただきます」を重ねない。
結論の欄は、人が先に書く欄です。値引きに応じるか、納期を延ばすかといった判断をChatGPTに委ねず、決まった結論を丁寧な文に直させる使い方に限れば、勝手な約束が入り込む余地は小さくなります。禁止事項の欄には、書かれていない日付・金額・条件を補わないことと、分からない点を【要確認】として残すことを必ず入れてください。
型は、社内の共有フォルダや後の節で扱う共有プロジェクトに置き、改訂した日付を添えて管理すると、古い版が出回りにくくなります。
場面別プロンプト例|会社の定型として配る形
場面ごとの例は、前の節の型に中身を入れた形で示します。角かっこの部分を差し替えればそのまま使え、顧客名や金額は伏せ字のまま依頼し、下書きを受け取ってから人が書き戻す前提にしています。
日程調整
日程調整は、候補の日時と曜日を人が指定し、ChatGPTに曜日を計算させないのがこつです。曜日の取り違えは、AIの下書きで起こりやすい誤りの1つでもあります。
会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】A社の担当B様(既存の取引先) 【目的】打ち合わせの日程を決めてもらう 【結論】次の3つの候補から選んでもらう。どれも難しければ別の候補を出してもらう 【材料】候補1:[月日(曜日)時刻]/候補2:[月日(曜日)時刻]/候補3:[月日(曜日)時刻]。形式はオンライン。URLは日程が決まってから送る 【形式】件名は「打ち合わせ日程のご相談」。候補は箇条書き。本文300字以内 【禁止事項】日付と曜日を書き換えない。候補を増やさない
問い合わせへの一次回答
問い合わせへの返信では、答えられることと、確認してから答えることを分けて渡します。分からない点まで答えさせると、存在しない仕様や対応期限が書かれてしまうことがあるからです。
会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】Webサイトの問い合わせフォームから連絡をくださった見込み客(初回) 【目的】問い合わせへのお礼と、回答の見通しを伝える 【結論】答えられること:[例:標準の納期は受注から約2週間] 確認してから答えること:[例:特注品に対応できるか]→[曜日]までに担当者から連絡する 【材料】問い合わせの要旨:[相手の質問を2〜3行で。氏名・会社名・電話番号は消す] 【形式】件名は「お問い合わせありがとうございます」。本文400字以内 【禁止事項】確認してから答えることに、推測で答えない。価格と値引きに触れない
請求書の送付と入金の催促
お金に関するメールは、金額と期日を伏せ字にして下書きを作り、最後に人が数字を入れるのが安全な進め方になります。催促は関係を壊さない言い回しが難しく、ChatGPTの得意な場面でもあります。
(請求書の送付) 会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】A社 経理ご担当のB様 【目的】今月分の請求書を送ったことを知らせ、受け取りを確認してもらう 【結論】請求書をPDFで添付した。支払期日は[期日] 【材料】対象:[月]分の[サービス名]/金額:X円(税込)※金額は伏せ字のまま。送信前に人が記入する 【禁止事項】金額と期日を計算・変更しない (入金の催促) 会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】A社 経理ご担当のB様(長い付き合いの取引先) 【目的】期日を過ぎた入金の状況を確認してもらう 【結論】行き違いの可能性に配慮しつつ、[期日]までの入金か、入金予定日の連絡をお願いする 【材料】請求書番号:[番号]/当初の支払期日:[期日]/金額:X円 【形式】責める言い方を避け、1回目の催促として穏やかに。本文300字以内 【禁止事項】遅延損害金や法的な手続きに触れない
お詫び・クレームへの返信
お詫びのメールでは、事実関係と会社としての対応を人が決めてから依頼してください。謝罪の範囲や補償の有無をChatGPTに考えさせると、会社が認めていない責任まで書かれてしまうおそれがあります。
会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】A社の担当B様(納品の遅れで迷惑をかけた取引先) 【目的】お詫びと、今後の対応を伝える 【結論】(人が決めた内容) 原因:[例:出荷手配の確認漏れ] 対応:[例:本日発送し、到着は[月日]の予定] 再発防止:[例:出荷前の二重確認を始めた] 【形式】冒頭でお詫び、次に事実と対応、最後に改めてお詫び。言い訳に聞こえる前置きは入れない。本文500字以内 【禁止事項】結論に書いていない補償・値引き・責任の範囲に触れない。原因を推測で書き足さない
商談後のフォローアップ
フォローメールは、打ち合わせのメモから要点を拾わせると早く仕上がります。ただし、議事メモに顧客の固有名詞や社内の検討内容が含まれる場合は、伏せ字に置き換えてから渡しましょう。
会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】本日打ち合わせをしたA社のB様 【目的】打ち合わせのお礼と、決まったことの確認 【結論】次の行動:こちらは[期日]までに見積書を送る/先方は[期日]までに社内で検討する 【材料】打ち合わせメモ:[要点を箇条書き。社内の検討事項や他社の名前は消す] 【形式】決まったことは箇条書き。本文400字以内 【禁止事項】メモにない約束を足さない
営業・案内メール
新商品やセミナーの案内は、相手の業種と、相手にとっての利点を1つだけ渡すと、要点のぼやけない文面になりやすいでしょう。複数の宛先に送る案内文は、一度に大量に作るより、型を1本決めて人が宛先ごとに直すほうが、誤った宛名の混入を防げます。
会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】[業種]の会社の総務ご担当の方(面識のない相手) 【目的】[セミナー名]の案内を読んで、申し込みページを開いてもらう 【結論】相手にとっての利点は1つ:[例:申請の手作業を減らした事例を30分で紹介する] 【材料】開催日時:[日時]/形式:オンライン/費用:無料/申込URL:[URL]※URLは送信前に人が貼る 【形式】件名は30字以内で、利点が伝わるもの。本文350字以内。売り込みの強い言い回しは避ける 【禁止事項】実績の数字や導入社数を作らない
英文メール・翻訳
英文メールは、日本語で要件を書いて英語で出力させ、同時に日本語訳も付けさせると、意図どおりか確かめやすくなります。受け取った英文の翻訳を頼むときも、相手の署名や連絡先は消してから貼り付けるようにしてください。
(英文メールを書く) 会社のメール作成ひな形で、次のメールの下書きを作ってください。 【相手】海外の取引先の担当者(英語でやり取りしている相手) 【目的】出荷予定日の変更を伝える 【結論】出荷は[元の日付]から[新しい日付]に変わる。理由は[部材の入荷遅れ] 【形式】ビジネス向けの丁寧な英語。英文の下に、同じ内容の日本語訳を付ける。本文150語以内 【禁止事項】日付と数量を変えない。理由を書き足さない (受け取った英文を読む) 次の英文メールを日本語に訳し、相手が求めていることを3行で要約してください。返信が必要な点があれば、最後に箇条書きで挙げてください。署名と連絡先は消してあります。 [英文メールを貼る]
中国語や韓国語など他の言語でも、同じ型で依頼できます。取引条件に関わる外国語のメールは、社内で読める方か専門家に最終確認を頼む運用にしておくと安心です。
顧客の情報を含むメールを個人のAIに貼らせず、使う環境を会社で1つにまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
校正・添削・トーン調整を頼むプロンプト
自分で書いたメールの校正は、ChatGPTに比較的安心して任せやすい使い方になります。元の文があるため、事実を勝手に足される余地は、ゼロから書かせる場合より小さく済みます。それでも、校正の途中で日付や数字が書き換わることはあるため、変更点を一覧で出させる指示を加えてください。
次のメールを校正してください。 ・誤字脱字、敬語の誤り、分かりにくい文を直す ・日付、金額、数量、固有名詞は変えない ・直した箇所を「元の文→直した文→理由」の一覧にして最後に出す ・全体の書き直しはしない [ここに自分で書いたメールを貼る。顧客名は伏せ字にする]
トーンの調整は、もう少し柔らかく、社外向けに改まった言い方に、3行に縮めて、といった短い追加の指示で何度でも繰り返せます。敬語の誤りの指摘だけを頼み、書き換えはさせない使い方も、自分の文体を残したい方に向いています。
・この下書きを、社外の目上の方に送る改まった言い方に直してください。 ・同じ内容を3行に縮めてください。要件と期日は残してください。 ・敬語の誤りだけを指摘してください。書き換えはしないでください。 ・送る前の確認として、宛名と本文の社名が一致しているか、添付に触れた文があるか、日付と曜日が合っているかを点検してください。
社外に出す前の最終確認として、誤字脱字や宛名の一致、添付への言及を点検させる使い方もあります。ChatGPTの指摘がすべて正しいとは限らないため、採用するかどうかは人が決めましょう。
Gmail・Outlookと連携して受信メールから返信を作る
GmailやOutlookをChatGPTに接続すると、受信メールを貼り付けずに、検索・要約・返信の下書きまでを会話の中で頼めます。便利になる分、どのアカウントを誰の権限で接続するかを、会社が先に決めておく必要があります。
連携でできること
OpenAIのヘルプ「ChatGPT の Outlook メール/カレンダーアプリ」には、Outlookメールでできることとして、メッセージの検索と取得、from:やsubject:、日付を使った絞り込み、連絡先の検索が挙げられています。例文には、特定の送信者から届いた最新情報の要約や、直近のメールにある3つの要点を盛り込んだ返信文の作成といった依頼が並びます。
Gmailについては、ヘルプの接続済みアプリの記事で、対象となるユーザーはWorkで、新着メッセージをきっかけに動くタスクを作れると案内されています。Googleアプリのデータコントロールに関するFAQによれば、このタスクは送信者や件名を条件にでき、触れられるのは接続したアカウントと許可した権限の範囲に限られます。
下書きをその場で送信できる点は、先に触れたリリースノートのとおりです。送信を選ぶ前に、宛先、宛名、日付と曜日、金額、約束の内容、添付を画面で確かめる手順を、ほかのメールと同じように守ってください。
接続の手順と権限の選び方
接続は、ChatGPTの「設定」から「プラグイン」を開き、GmailやOutlookのアプリを選んで進めます。
- ChatGPTの画面で「設定」を開き、「プラグイン」を選ぶ
- GmailまたはOutlookのアプリか、それを含むプラグインを選ぶ。「プラグインをインストール」が表示されたら選ぶ
- 「接続」を選び、使いたいメールのアカウントにサインインする
- 求められたサービスと権限の内容を確認し、提供元の認可の手続きを終える
- 会話の入力欄で「@」からアプリを指定するか、「+」のメニューから選んで依頼する
接続のあとで大切なのが、アプリ権限の選択です。ヘルプによれば、ChatGPTが読み取りや操作の前に確認を求めるタイミングを、次の選択肢から選べます。
- 常に確認する
- 読み取りアクションを許可
- 低リスクのアクションを許可
- すべてのアクションを許可(対象となるアプリまたはアカウント単位でだけ選べる)
すべてのアクションを許可する設定は、対応する操作が再確認なしで実行される場合があり、リスクが高まるとヘルプ自身が注意しています。顧客とのメールを扱うなら、少なくとも送信は毎回確認する設定にしておきましょう。アプリ権限は確認のタイミングを変えるだけで、アクセスできる範囲を狭める設定ではありません。範囲そのものを外すには、接続を解除するか、管理者に無効化を頼む必要があります。
管理者が決めること(Business・Enterprise)
ChatGPT Businessでは多くのアプリが既定で有効になっていると、ヘルプに記載されています。管理者はワークスペースの設定からアプリを無効にでき、使わせるかどうかを会社として選ぶことができます。
Outlookの場合は、管理する場所が2つあります。Outlookメールの一部の操作にはMicrosoft Graphのアクセス許可が要り、組織のMicrosoft Entra管理者による承認が必要とされています。そのうえで、許可を承認しても操作が自動で有効になるわけではなく、ChatGPTのワークスペース管理者が各アクションを別に有効にする仕組みです。要求される許可には、Mail.Read、Mail.ReadWrite、Mail.Send、共有メールボックス向けのMail.ReadWrite.Sharedなどが並んでいます。
新しく追加される操作の扱いも、新しいアクションをすべて有効にする、新しい読み取りアクションのみを有効にする、新しいアクションを無効にする、の3つから選べます。送信のような書き込みの操作は中身を確かめてから有効にしたいので、最初は読み取りのみを選ぶのが無難でしょう。
Gmailを含むGoogleのアプリでは、Google Workspace管理者がChatGPT/OpenAIのアプリを信頼するか、必要なOAuthスコープを承認する形になります。ヘルプに載っているGmailのスコープはgmail.modifyの1つです。承認しないスコープがある場合は、それを必要とするChatGPT側の操作を無効にするのが公式の案内となります。Enterpriseでは、アプリを使った会話もCompliance APIで確認でき、すべてのアプリ呼び出しがOpenAI Compliance Logsプラットフォームに記録されると説明されています。
連携したメールの学習と保存
連携したメールがモデルの学習に使われるかどうかは、プランによって既定が分かれます。接続済みアプリのヘルプでは、Business・Enterprise・Eduは既定でコネクターから取得した情報をトレーニングに使わず、無料版・Plus・Go・Proは「すべての人のためにモデルを改善する」がオンの場合に使うことがある、とされています。
Googleのアプリについては、別のFAQに3つの例外があります。連携したGoogleのアプリから直接取得したデータは汎用モデルの学習に使わないとしたうえで、会話をフィードバックとして送った場合、データを会話に手動で貼り付けたりアップロードしたりした場合、データがChatGPTの回答に含まれる場合を除く、という書き方です。返信の下書きに顧客名が入れば、それは回答に含まれるデータになるため、個人向けプランで改善の設定をオンのまま使うのは避けるべきでしょう。
保存の面では、Googleのアプリの連携を解除するとインデックス化されたコピーは30日以内に削除され、会話を削除するとその中の連携データも30日以内に削除されると案内されています。退職や異動のときは、アカウントの停止に加えてアプリの接続を外す手順を入れておくとよいでしょう。
Gmailの拡張機能を使う場合との違い
Gmail用の拡張機能やアドオンには、ChatGPTの名前を冠していても、OpenAIではない別の会社が提供しているものがあります。その場合、メールの中身は拡張機能の提供元を経由することになります。会社で使う前に、提供元のプライバシーポリシーと利用規約を確かめてください。
顧客名・金額入りの返信で入れてよい情報と伏せる情報
顧客とのメールをChatGPTで扱うときは、情報を3つに分けて考えると判断がぶれにくくなります。そのまま入れてよい情報、伏せ字にして入れる情報、入れずに人が扱う情報の3つです。
| 情報の種類 | 扱い | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 用件、依頼の背景、自社の商品やサービスの一般的な説明 | そのまま入れてよい | 公開済みの情報や、社内で共有している説明の範囲 |
| 相手の会社名・担当者名 | 伏せ字にして入れる(A社、B様) | 下書きを受け取ってから、メールソフトの上で戻す |
| 金額・見積の条件・納期 | 伏せ字にして入れる(X円、[期日]) | 計算違いや勝手な書き換えを防ぐ意味でも伏せる |
| 受け取ったメールの本文 | 署名・連絡先・固有名詞を消してから入れる | 連携アプリで読ませる場合は、会社が契約した環境に限る |
| 口座番号、マイナンバー、パスワード、クレジットカード番号 | 入れない | 文面に必要な場合も、送信前に人が直接書く |
| 健康や家族の事情など、配慮が要る個人の情報 | 入れない | 要配慮個人情報にあたる場合がある |
| 未公表の決算・人事・合併や買収の情報 | 入れない | 漏れたときの影響が大きい |
この表は、学習に使われない設定の会社の環境で使う場合の目安となります。個人向けプランで学習の設定がオンのままなら、伏せ字の欄もすべて入れない側に寄せてください。
個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)で、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反する可能性があると指摘しています。そのうえで、入力する場合には、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認することが求められます。顧客名が入るメールを扱うなら、学習に使われない契約の環境を会社で用意することが出発点です。
伏せ字は、A社、担当B様、金額X円のように置き換え、下書きを受け取ってからメールソフトの上で本物に戻すのが確実な手順になります。置き換えの対応表をChatGPTの会話に残さないことも、忘れずに決めておきましょう。
個人アカウントで顧客メールを扱うと起きること
社員が個人のChatGPTで顧客メールを扱うと、情報の行き先も履歴も会社から見えなくなってしまいます。会社が把握していないAIの利用は、野良AI(シャドーAI)と呼ばれるものの典型です。
個人向けのプランにも学習をオフにする設定はあり、料金ページの比較表では、無料版・Go・Plus・Proのいずれも「コンテンツをモデルの学習に使用」が「無効化可能」と表示されています。設定は、プロフィールアイコンから「設定」「データコントロール」と進み、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする手順です。ただし、オフにするかどうかは本人の操作に任され、会社からは確かめようがありません。
学習をオフにしても、回答に良い回答・良くない回答の評価を付けると、その会話全体がトレーニングに使われることがあるとヘルプに書かれています。一時チャットは30日後に削除され学習にも使われない一方、不正利用の監視の目的で確認される場合がある、という扱いになります。
実際に困るのは、学習よりも退職や異動のときでしょう。個人のアカウントに残った顧客とのやり取りは、会社が消すことも引き継ぐこともできません。接続したGmailやOutlookの権限も本人の手元に残るため、会社のメールを個人のChatGPTに接続することは、社内ルールで明確に禁じておく必要があります。
使われているAIを把握する方法と、禁止だけに頼らない対策は野良AI(シャドーAI)対策で詳しく扱っています。社員が個人のアカウントに流れるのは、会社が使える環境を用意していないことの裏返しでもあります。
定型の依頼は共有プロジェクトで配る
会社の型を配る仕組みとして、ChatGPTには共有できるプロジェクトがあります。プロジェクトに指示とファイルをまとめておけば、メンバーは同じ条件のもとで下書きを頼めるようになります。
プロジェクトの指示はそのプロジェクトの中だけで効き、個人のカスタム指示より優先されるとヘルプに記載されています。メールの型、社内で使う言い回しの一覧、署名のひな形などを入れておけば、書き手が変わっても文面の調子がそろいやすくなるでしょう。
共有するときの権限は、編集とチャットの2段階です。編集では指示の更新やファイルの追加・削除、他の人の招待ができ、チャットではプロジェクト内のチャット・ファイル・指示を見て使うことができます。Business・Enterprise・Eduでは、個人のほかワークスペースのグループ単位でも招待でき、ワークスペースのプロジェクトには招待方法を問わず最大100人の共同作業者が参加可能です。ファイルは1つのプロジェクトで最大40個までと案内されています。
プロジェクトに置く中身は、メールの型そのものに加えて、部署ごとの文例集、使わない言い回しの一覧、敬称や日付の書き方の決まりなどが考えられます。ファイルの数に上限があるため、文例は場面ごとに細かく分けず、1つの文書にまとめて見出しで区切るほうが無理なく管理できます。指示の欄には、ファイルの文例を優先して使うことと、文例にない場面では型の7項目に沿って確認の質問を返すことを書いておきましょう。
型を守る立場の方だけを編集に、ほかのメンバーはチャットにしておけば、指示が知らないうちに書き換わる心配は減らせます。共有プロジェクトは自動でプロジェクト専用のメモリになり、各メンバーのメモリやプロジェクト外の文脈にはアクセスしないとヘルプに書かれています。メンバーが抜けるときは、退出の前に自分のチャットをコピーできます。
学習の扱いは、Business・Enterprise・Eduなどのワークスペースのコンテンツを既定でトレーニングに使わないとされています。個人向けのアカウントで共有プロジェクトを使う場合は、所有者と投稿者の全員が改善の設定をオンにしているときに限り、データが改善に使われることがあるという扱いです。
カスタムGPTで型を配る方法もありますが、OpenAIはカスタムGPTの提供終了を予定しており、プラグインへの移行を案内しています。2026年9月時点の案内では、日程が示されたのは対象のEnterpriseワークスペースで、他のプランは同じスケジュールの予定という段階にとどまります。これから型を作るなら、GPTではなくプロジェクトに置くほうが、作り直しの手間を避けられます。ヘルプでも、GPTは部門をまたいで再利用する知識を組織全体に届ける用途、共有プロジェクトはチームで文脈を共有して共同作業を進める中心的な場所として、目的の違いが示されています。
社内ルールに足すメール作成の条項(ひな形)
ChatGPTでメールを作る運用を始めるなら、既存の生成AIの社内ルールに、メール特有の条項を書き足しておきましょう。条文は短くてかまわず、誰が読んでも判断できる書き方を優先してください。
メール作成に生成AIを使うときの条項(ひな形) 第1条(使う環境)業務のメールを生成AIで作るときは、会社が契約し、入力が学習に使われない設定を確認した環境だけを使う。個人で契約したアカウントは使わない。 第2条(接続先)会社のメールアカウントを生成AIに接続するのは、会社が許可したアプリと会社のアカウントに限る。個人の生成AIアカウントに会社のメールを接続しない。送信の操作は、毎回確認する設定にする。 第3条(入れない情報)マイナンバー、口座番号、パスワード、健康に関する情報、未公表の決算や人事の情報は入力しない。顧客名と金額は伏せ字にして入力し、送信前に人が書き戻す。 第4条(送る前の確認)送信者本人が、宛先、宛名、日付と曜日、金額、約束の内容、添付を確認してから送る。 第5条(上長の確認)お詫び、値引きや契約条件の変更、法務・税務に関わる回答は、上長の確認を経て送る。 第6条(定型の管理)部署で使う依頼文の型は[管理部署]が管理し、共有プロジェクトなど会社の環境に置いて、改訂日を記録する。 第7条(退職・異動)退職・異動のときは、アカウントの停止とあわせて、メールアプリの接続を解除する。
条項の中でも、第2条の接続先と第4条の送る前の確認は、事故が起きたときに会社として説明を求められやすい部分になります。ルール全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方に、点検項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。条項を配ったあとは、最初の1か月だけでも、上長が部下の下書きと送信済みのメールを見比べる機会を設けてみてください。
見比べてみると、伏せ字の戻し忘れや、ChatGPTが補った一文がそのまま残っている例が見つかるかもしれません。そうした例は条項の改訂や型の禁止事項に反映し、ルールと型を同じ担当者が見直す形にすると、運用が形だけになりにくくなります。
会社で使う環境をそろえる費用の考え方
顧客のメールを扱う環境を会社で用意すると、費用は1人ごとの月額料金として積み上がります。ChatGPT Businessの標準シートは、日本から表示した料金ページで、年額課金なら1人あたり月3,050円、月額課金なら月3,850円と表示されています。
社員10人全員に年額課金で配ると、月30,500円、年間366,000円の出費となります。30人に広げれば月91,500円、年間1,098,000円となり、人数に比例して増えていく形です。企業向けのプランは、ワークスペースごとに2シート以上が必要とされています。請求は各請求サイクルの開始時に、メンバーに割り当てているかどうかに関係なく、ワークスペースのシート数に対して行われる仕組みです。年額プランで追加したシートは、その年の契約期間の終わりまで契約に残るため、試しに多めに買うのは避けたほうがよいでしょう。
※料金はいずれも、2026年9月16日に日本から表示した公式の料金ページの円表示です(Businessの標準シートとPlus)。米ドル表示では、標準シートは年額課金で月20ドル、月額課金で月25ドル、Plusは月20ドルです。税込か税別かの記載がないため、いずれも税を足さずに計算しています。
一方で、社員が個人でPlusを契約して業務に使えば、料金ページの円表示で1人あたり月3,000円を本人が払い、会社には何も見えないまま利用が広がってしまいます。費用だけを比べて個人契約を黙認すると、先に見た学習の設定や退職時の問題が残ることになります。
メールの下書きは、ChatGPTに限らず、ClaudeやGeminiでもできます。文面の言い回しは提供元ごとに癖が違うため、同じ依頼を2つのAIに出して読みやすいほうを選ぶ使い方も有効でしょう。複数のAIを会社で1つの環境にまとめる考え方はマルチAIとはで、ChatGPTの法人プランの詳しい料金はChatGPT法人プランの料金で確認できます。どの環境を選ぶ場合も、顧客のメールを多く扱う部署から先に配り、使い方が定着してから対象を広げると、使われないシートへの支払いを抑えられます。
顧客のメールも、学習非利用の会社の環境で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、社員ごとの設定操作は不要です。よく使う指示と手順をBOTにして社内限定で共有できる「カスタムプラス」で、メールの定型の依頼を全員にそろえられます。会話履歴・利用ログ・アカウントは、国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理されます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
ChatGPTでメール送付はできますか?
ChatGPTに送ってはいけない情報は何ですか?
無料版のChatGPTで会社のメールを書いてもよいですか?
GmailとChatGPTを連携すると、メールは学習に使われますか?
ChatGPTが作ったメールをそのまま送っても大丈夫ですか?
OutlookのメールもChatGPTで扱えますか?
よく使う依頼文を社内で共有する方法はありますか?
まとめ
ChatGPTでのメール作成・返信は、要件を渡して下書きを作らせる使い方から、GmailやOutlookを接続して受信メールの要約や送信まで頼む使い方まで広がっています。会社で使うときに差が出るのは、プロンプトの上手さより、どの環境で誰の権限を使うかという部分になります。
依頼文は、立場・相手・目的・結論・材料・形式・禁止事項の型にそろえ、結論は人が先に書くようにしてください。顧客名や金額は伏せ字で渡し、送る前には宛先、宛名、日付と曜日、金額、約束の内容、添付を人が確かめます。型は共有プロジェクトなど会社の環境に置けば、担当者が替わっても残せます。
個人のアカウントで顧客メールを扱うと、学習の設定も履歴も退職時の後始末も、会社の手を離れてしまいます。使ってよい環境を会社で決め、社内ルールに接続先と送る前の確認を書き足すところから始めてみましょう。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧にまとめています。
