
Geminiでのメール返信とは、Gmailの返信画面でGeminiに要件を伝えて下書きを作らせ、人が読み直してから送る使い方です。日本の会社で使うなら、Google Workspace(Business Starter以上)の会社のアカウントで[文書作成サポート]を使う形が基本となります。日本語で使えるのは文書作成サポート・サイドパネル・スレッドの要約で、Geminiの[返信の候補]は英語のみの対応です。任せるのは文面づくりまでにして、値引きや謝罪の方針と送る前の確認は人が受け持ちましょう。
Geminiの始め方や機能の全体像はGeminiの使い方(法人向けの全体ガイド)で確かめられます。取引先や顧客への返信をGeminiで下書きする方と、それを社内で認めるかを決める総務・情シスの方に向けた内容になります。
Geminiでメールの返信を作る3つの方法と日本語で使える機能
Gmailで返信にGeminiを使う入口は、返信画面の[文書作成サポート]、右上の「Gemini に相談」から開くサイドパネル、スレッド上部の要約の3つになります。どれも同じGeminiの機能ですが、日本語で使えるか、無料の個人アカウントで使えるかは機能ごとに分かれています。よく紹介される[返信の候補](スマートリプライ)は、対応言語が英語だけです。
文書作成サポートで返信を下書きする
[文書作成サポート]は、返信画面の下部にあるプロンプトバーに要件を書くと、本文の下書きを作ってくれる機能になります。作った下書きは、[よりフォーマルに][短くする]などのボタンで整えることが出来ます。日本語に対応しており、会社のGoogle Workspaceか、個人のGoogle AI Plus・Pro・Ultraで使えます。一方で、無料の個人アカウントでは米国のみの提供という扱いです。
サイドパネル(Gemini に相談)で下書きを頼む
サイドパネルは、Gmailの右上にある「Gemini に相談」アイコンから開く対話の画面となります。スレッドの要約や返信の下書き、ドライブのファイルを参照した文面づくりを、画面下部のプロンプトボックスで頼めます。使うには、会社のWorkspaceか個人のGoogle AIプランへの登録が必要になります。
長いスレッドは要約してから返信する
何往復も続いたスレッドは、返信を書かせる前に要約で論点を確かめると、答え漏れを防げます。パソコンではスレッド上部の[このメールを要約]を押すと、「AI による概要」として要点がまとまって表示されます。この要約は、ヘルプ上は無料の個人アカウントでも日本語で使える機能です。ただし、Gmailの設定でスマート機能がオンになっていることが前提となります。相手から聞かれている事項が複数あるときは、サイドパネルで「このメールに基づいてアクション アイテムのリストを作成して」と頼み、答える項目を先に並べてみてください。
返信の候補(スマートリプライ)は英語のみ
スレッドの下部に長めの返信案を出す[返信の候補]は、製品紹介ページではコンテキストに応じたスマート リプライと呼ばれている機能です。ヘルプの提供状況を見ると、どのプランでも英語のみの対応となっています。Gemini以前からある短い定型文のスマート リプライや、入力中に続きを出すスマート作成も、対応言語に日本語が入っていません。日本語で取引先に返信するなら、文書作成サポートかサイドパネルを使う形になります。
日本語で使える機能・使えない機能
アカウントの種類ごとの違いを、公式ヘルプの提供状況から表にまとめました。
| 機能 | 日本語 | 会社のWorkspace(Business Starter以上) | 個人のGoogle AI Plus・Pro・Ultra | 個人の無料アカウント |
|---|---|---|---|---|
| 文書作成サポート(下書きの作成・推敲) | 対応 | 使える | 使える | 米国のみ |
| サイドパネル(Gemini に相談) | 対応 | 使える | 使える | 対象プランへの登録が必要 |
| AIによる概要(スレッドの要約) | 対応 | 使える | 使える | 使える |
| 返信の候補(コンテキストに応じたスマート リプライ) | 非対応(英語のみ) | 英語のみ | 英語のみ | 英語・米国のみ |
| 校正 | 非対応(英語・スペイン語。日本語はベータ版などの早期アクセスのみ) | 英語 | 英語 | 記載なし |
| 従来のスマート リプライ・スマート作成 | 非対応 | 日本語は対応言語に入っていない | ||
※Gmailヘルプ「Gmail の Gemini 機能について」ほか各機能のヘルプ、Google Workspace「Business エディションの比較」の記載をもとにしています(2026年9月26日確認)。提供状況は変わることがあるため、導入前に公式ページをご確認ください。
取引先への返信をGmailで下書きする手順
パソコンでは、返信画面のプロンプトバーに要件を書いて下書きを出し、ボタンや追加の指示で整えてから自分で読み直す流れになります。スマホのGmailアプリでも、右上の[文書作成サポート]から同じ操作が出来ます。
パソコンでの手順
- Gmailで返信したいメールを開き、返信の画面を出します(新しいメールなら左上の[作成]をクリックします)。
- 作成ウィンドウは空白のままでも、こちらの結論をメモ書きした状態でもかまいません。
- 下部のプロンプトバーに要件を入力します。プロンプトバーが見当たらないときは、文書作成サポートのアイコンをクリックします。
- 作成アイコンをクリックすると、下書きが作成ウィンドウに入ります。
- プロンプトバーの[よりフォーマルに][フレンドリー][短くする]で整えるか、新しい指示を入力して直させます。
- 別の下書きに切り替えるときは、プロンプトバーの右側にある元に戻すアイコン・やり直しアイコンを使います。
- ソースアイコンをクリックし、下書きに使われたメールやドキュメントを確かめます。
- 日付・金額・宛先・添付を読み直してから、送信します。
※ボタン名・アイコン名はGmailヘルプ(日本語版)の表記です(公式ヘルプの表記・2026年9月26日確認)。日本語版ヘルプにはAI翻訳を含む場合がある旨の注記があり、実際の画面の表記とは異なる場合があります。
スマホ(Android・iPhone)での手順
Gmailアプリでは、返信の画面の右上にある[文書作成サポート]から下書きを作ります。
- Gmailアプリで返信したいメールを開き、返信を始めます(新しいメールは右下の[作成]をタップします)。
- ウィンドウの右上にある[文書作成サポート]をタップします。
- プロンプトを入力し、[作成]をタップします。
- 別の案がほしいときは再作成アイコンをタップします。新しい案を作ると、前の案には戻せません。
- 生成された文をタップして直し、問題がなければ[挿入]をタップします。
挿入した下書きを整えるときは、右上の文書作成サポートのボタンから[推敲][よりフォーマルに][より詳しく][より短く]を選び、[置き換え]で差し替えます。パソコンにある[フレンドリー]は、ヘルプのスマホ版の一覧には載っていません。再作成すると前の案に戻せないため、残したい案は先に[挿入]しておくのが安全です。
下書きを推敲してトーンを整える
ボタンで足りないときは、プロンプトバーに追加の指示を書いて直させます。ヘルプには「もっとプロフェッショナルな表現にして」「金曜日の期限に言及して」という例が載っています。取引先向けなら「社外向けの丁寧語にして、全体を3行短くして」「冒頭のお礼は1文にして」のように、直す場所を具体的に書くと狙いどおりになりやすいでしょう。くだけたメモ書きをビジネスメールの文面に直させる使い方も、推敲の得意な場面になります。
ドライブのファイルや過去のメールを参照させる
見積書や議事録の中身を返信に入れたいときは、サイドパネル下部の[ソースを追加]から[ドライブから追加]を選ぶか、「@」を入力してファイルを指定します。文書作成サポートには、指定しなくても他のメールやドライブのファイルから情報を自動で拾って下書きに入れる仕組みがあり、ヘルプではこれをパーソナライズとして説明しています。ヘルプの例はフライトの時間やホテルの予約コードですが、会社で使うと、別の取引先の金額や日程が下書きに紛れ込むおそれもあります。下書きが出来たら、ソースアイコンで何を参照したかを確かめてみてください。
返信を頼むプロンプトの書き方と場面別の例
返信を頼むプロンプトには、相手・用件・こちらの結論・トーンと長さの4つを書くと、手直しの少ない下書きが出てきます。公式ヘルプも、宛先に触れること、主題と必要なアクションを明確にすること、フォーマルやカジュアルといった形容詞でトーンを伝えること、特定のメールやファイルに言及することを勧めています。とくに大事なのは3つ目の結論で、ここをAIに考えさせると、こちらが決めていない約束が文面に入ってしまいます。
相手:(社名・部署・お名前。社外か社内か) 用件:(このメールで相手が求めていること) 結論:(こちらの答え。日付・金額・可否は自分で書く) トーンと長さ:(丁寧語、5行以内 など) 参照:(使ってよいメールやファイル)
日付や金額は、Geminiに探させるより自分で書き込むほうが確実です。結論の欄が空のまま頼むと、それらしい答えが補われてしまうので注意しましょう。
場面別の返信プロンプト例
取引先や顧客から届きやすい6つの場面の例になります。( )の中を自分の言葉に置き換えて使ってみてください。
- 日程調整:(相手)への返信を書いて。候補のうち(日付・曜日・時刻)で確定したいと伝え、会議はオンラインで、URLは前日までに送ると添えて。丁寧語で5行以内。
- 資料送付のお礼:(相手)から見積書を受け取ったお礼の返信を書いて。社内で検討し(日付)までに回答すると伝えて。3行程度で簡潔に。
- 見積り・値引きの依頼への回答:値引きの依頼に対する返信を書いて。結論は(上長と決めた条件)でお受けできる、それ以上は難しい。お断りの部分も角が立たない丁寧な表現で。
- 納期遅延のお詫び:(相手)へのお詫びの返信を書いて。遅れの理由は(理由)、新しい納期は(日付・曜日)。言い訳が長くならないよう、お詫び・新しい納期・今後の対策の順で。
- 営業提案へのお断り:(相手)からのご提案を今回は見送る返信を書いて。理由は(社内事情)。今後の情報提供は歓迎する旨を添えて、フォーマルに。
- 顧問先からの書類提出の問い合わせ(会計事務所の場合):(顧問先)から届いた、年末調整の書類の出し方の質問に答える返信を書いて。提出期限は(日付)、必要書類は(書類名)。専門用語は言い換えて、やさしい丁寧語で。
どの例でも、可否や金額といった結論は先に人が書いています。
返信用の指示をGemに保存して使い回す
毎回同じ前提を書くのが手間なら、署名の形や社内の敬語の決まりをGemに保存しておく方法があります。ヘルプの言語一覧では、日本語でもGmailのサイドパネルからGemを使えることになっています。Gemの作り方はGeminiのGemの作り方と使い方を参考にしてください。返信用のカスタム指示の例は、たとえば次のような形です。
あなたは(会社名)の営業担当の返信を下書きするアシスタントです。 ・社外向けは丁寧語、社内向けは簡潔な敬体で書く ・日付、金額、納期、可否は、私が書いた内容だけを使い、推測で補わない ・分からない点は下書きに入れず、最後に「確認が必要な点」として箇条書きにする ・署名は入れない(Gmailの署名を使うため)
指示文は個人で抱えず、総務がひな形として配ると、部署ごとの書きぶりのばらつきも抑えられます。
Geminiに任せてよい返信・人が方針を決める返信
Geminiに任せてよいのは、答えがすでに決まっていて文面を整えるだけの返信になります。値引き・契約条件・謝罪・法務や税務の判断のように、中身そのものを決める必要がある返信は、人が結論を書いてからGeminiに文面だけ整えてもらいましょう。公式ヘルプも、Geminiの機能を医療・法律・金融などの専門的な助言として利用しないよう注記を置いています。
| 返信の種類 | Geminiへの任せ方 | 人が決めること・確かめること |
|---|---|---|
| 日程調整・会議の出欠 | 下書きから任せてよい | 日付と曜日をカレンダーと照らす |
| 資料送付の連絡・受領のお礼 | 下書きから任せてよい | 添付の有無、回答の期日 |
| 定型の問い合わせへの一次回答 | 社内で決めた回答があれば任せてよい | 元にした情報が最新か |
| 見積り・値引き・支払条件 | 人が結論を書き、文面だけ整えさせる | 金額と条件、上長の了承 |
| 謝罪・クレームへの返信 | 人が方針を書き、文面だけ整えさせる | 認める範囲、補償の有無 |
| 契約・法務・税務の判断を含む返信 | 人が結論を書き、文面だけ整えさせる | 専門家や担当部署の確認 |
| 人事・採用の合否の連絡 | 文面の調整だけにとどめる | 合否の判断と伝える範囲 |
表にない返信で迷ったときは、その返信で会社が新しく何かを約束するかどうかで分けてみてください。約束が生まれる返信は、上長が中身を確かめてから送る扱いにすると安心でしょう。
返信の下書きをAIに任せる利点
任せてよい返信をGeminiに回すと、書き出しに迷う時間が減り、担当者ごとの文面のばらつきも抑えやすくなります。浮いた時間は、人が決めるべき返信の中身を考えることに回せます。効果を確かめたいなら、1通あたりの作成時間を導入の前後で数人に記録してもらうと、社内で説明しやすい数字になるでしょう。
任せてよい返信の線引きとあわせて、社員が文面を作るAIの置き場所も会社で1つにまとめることが出来ます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
返信に入れてはいけない情報と会社のアカウントで使う理由
業務メールの返信は会社が管理するGoogle Workspaceのアカウントの中で作り、個人のGmailや個人アカウントのGeminiアプリ・ChatGPTには貼り付けないのが原則です。同じGeminiでも、会社と個人のアカウントでは入力した内容の扱いが変わってしまいます。
会社のGoogle Workspaceアカウントでのデータの扱い
Google Workspaceの生成AIに関するプライバシーハブ(最終更新日2026年8月14日)では、お客様のコンテンツは「人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません」と説明されています。権限についても「AI は既存の Google Workspace の権限に従います」とあり、見る権限のないファイルはAIも使えない仕組みです。共有ドライブの権限を広く付けている会社ほど、下書きに拾われうる情報の範囲も広くなります。GmailのヘルプにはGmailの中のGeminiとの会話はGeminiアプリのアクティビティに保存されないとも書かれています。個人と会社のアカウントの違いをさらに詳しく知りたい方は、Geminiの情報漏洩リスクと対策も参考になります。
個人のGmailや別のAIに業務メールを貼り付けない
個人アカウントのGeminiアプリにメール本文を貼って返信を作らせると、会社のWorkspaceとは別の規約で扱われます。Geminiアプリのプライバシーハブには、人間のレビュアーが収集したデータの一部をレビューすることがあり、見られたくない機密情報は入力しないようにと書かれています。レビューされた会話はアクティビティを削除しても消えず、最長で3年間保存されるという説明です。会社が把握していない個人アカウントへの入力は、いわゆる野良AI(シャドーAI)の入口にもなってしまいます。
Gemini in Gmailを使えるプランと会社の出費
会社でGmailのGeminiを使うには、Google WorkspaceのBusiness Starter以上の契約が前提となります。Business エディションの比較表では、Starter・Standard・Plusのいずれにも、Gmailのサイドパネル・文書作成サポート・AIによる概要の印が付いています。料金は年間プランの1人あたり月額で、Starterが800円、Standardが1,600円、Plusが2,500円(いずれも税別)です。社員20人全員にBusiness Standardを配ると、月32,000円、年間で384,000円(税別)の支出になります。同じ20人でもStarterなら年間192,000円(税別)で済み、Gmailで返信を下書きする用途であればStarterから始められます(Starterでは、ドキュメントなどGmail以外のアプリのGeminiに制限があります)。個人のGoogle AIプランでも文書作成サポートは使えますが、会社の業務メールを個人アカウントで扱うこと自体が、会社の管理の外に出る形となってしまいます。
※料金はGoogle Workspace公式の料金ページに表示されている年間プランの通常価格です(2026年9月26日確認)。期間限定の割引や月単位の契約の料金は含めていません。
顧客の個人情報・顧問先の数字を扱う返信
顧客の個人データを含む返信をAIで作るときは、個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)も押さえておきましょう。同委員会は、個人データを含むプロンプトを入力する場合、その個人データが応答結果の出力以外の目的で扱われないよう、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。会計事務所であれば、税理士法第38条が、正当な理由なく税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らすことを禁じている点も関わってきます。顧問先の数字や個人番号は、会社で管理された環境であっても返信に必要な範囲だけにとどめる運用が無難です。
送る前に人が確かめる8項目
Geminiが作った返信の下書きは、送る前に人が読み直して初めて使える文面になります。公式ヘルプにも「Gemini 機能によって、不正確または不適切な情報が提案される場合があります」という注記が付いています。読み直す項目を決めておかないと見落としが出るので、次の8つを確認の型にしてみてください。
- 日付と曜日が合っているか候補日と曜日の組み合わせ、締め切りの日付をカレンダーと照らします。曜日だけずれている下書きは見落としやすい箇所です。
- 金額・数量・単位が正しいか税込か税別か、桁、数量の単位を、見積書や請求書の元データと突き合わせます。
- 宛名・社名・部署名・敬称に誤りがないか署名欄から拾った旧部署名や、似た社名の取り違えがないかを見ます。
- 別の取引先や別の案件の情報が混ざっていないか文書作成サポートは他のメールやドライブから情報を拾うことがあります。ソースアイコンで参照元を確かめます。
- こちらが決めていない約束をしていないか値引き、納期の前倒し、無償対応、今後の優遇など、社内で決めていない申し出が入っていないかを読みます。
- 相手の質問すべてに答えているか要約で並べた質問の項目と、下書きの答えを1つずつ突き合わせます。
- 宛先・CC・BCCが正しいか全員への返信で社外の方に社内向けの内容が届かないか、外すべき宛先がないかを確かめます。
- 添付ファイルと本文の記載が合っているか本文に書いた添付が付いているか、古い版のファイルを付けていないかを見ます。
8項目のうち4つ目は、パーソナライズの仕組みがある文書作成サポートならではの確認になります。ほかの顧客とのやり取りが多い営業やサポートの担当の方ほど、差し込まれた日付や金額の出どころを一度確かめる習慣を付けましょう。なお、ヘルプに載っている返信の手順は、下書きを作って本文に入れるところまでです。送信するかどうかは、この8項目を読み終えた人が決める形にしてください。
社内で使うなら下書きの承認ルールを決める
社員に返信の下書きをGeminiで作らせるなら、どの返信を上長の確認に回すか、どの環境で作るかを先に決めて配るのが近道です。禁止だけで済ませると、社員が個人アカウントで同じことを始めてしまうおそれがあります。承認の対象は、先ほどの表で人が方針を決めるとした返信に絞ると、現場の手間も増えすぎません。
管理者が押さえておく設定
日本に拠点があるドメインでは、Workspaceのスマート機能がデフォルトでオフになると管理者向けヘルプに書かれています。管理者は管理コンソールの[アカウント]→[アカウント設定]→[Google Workspace のスマート機能]でデフォルト設定を適用するか選べますが、ユーザーが各自の設定で上書きできる作りです。社員側の設定は、Gmailの設定アイコンから[すべての設定を表示]→[全般]の[Google Workspace のスマート機能]に進み、ウェブブラウザからのみオンにすることが出来ます。Gmailなどアプリごとに Gemini をオン・オフする設定は、Enterprise Standard・Enterprise Plusなどの対象エディション向けで、Business Starter・Standard・Plusは対象に入っていません。また、[生成 AI]→[Gemini アプリ]でGeminiアプリを止めても、Workspaceの他のサービスのAI機能には影響しないとヘルプに明記されています。Geminiアプリを止めればGmailのGeminiも止まる、と考えてしまわないよう注意が必要です。
※管理コンソールの項目名は管理者向けヘルプ(日本語版)の表記です(2026年9月26日確認)。
社内ルールに足すメール返信の条項(ひな形)
全社の生成AIのルールがすでにある会社は、メール返信の条項だけを次のように書き足してみてください。
第◯条(メール返信へのAIの利用) 1 社外へのメール返信の下書きにAIを使うときは、会社が契約したアカウントでのみ行う。個人のGmailや個人アカウントのAIサービスに業務メールを貼り付けてはならない。 2 AIが作成した下書きは、送信者本人が日付・金額・宛名・宛先・添付を確認してから送信する。 3 見積り・値引き・契約条件・謝罪・クレーム対応・法務や税務の判断を含む返信は、送信前に上長の確認を受ける。 4 顧客の個人番号・健康に関する情報など、会社が別に定める情報は、AIへの指示や参照に含めない。 5 返信用の指示文(プロンプト・Gem)は、総務部が管理するひな形を使う。
第5項のひな形は、先ほどのカスタム指示の例をもとに部署ごとに直して配ると、書きぶりがそろいやすくなります。ルール全体をこれから作る場合は、生成AIの社内ガイドラインの作り方が参考になるでしょう。
Gmail以外のメールや複数のAIで返信を作るとき
OutlookなどGmail以外のメールを使っている会社では、Gemini in GmailはGmailの中の機能なので使えません。その場合は、ChatGPTやClaudeなど別のAIに本文を渡して返信の下書きを作らせる方法があります。ChatGPTで書かせるときの依頼文の型と連携の設定は、ChatGPTでメール作成・返信の記事にまとめています。ここでも、会社として契約し、学習に使わない設定と利用の記録を管理者が確かめられる環境で使うことが前提です。
ChatGPTなど他のAIとの違いはGmailに組み込まれていること
Gemini in Gmailの強みは、スレッドを開いたまま、コピーや貼り付けをせずに下書きを作れる点にあります。別のAIを使うと本文を貼り付ける手間はかかりますが、長い文面や言い回しの好みに合わせて、得意なAIを選べるようになります。同じ依頼を2つのAIに出して文面の出来を比べてみるのも、一つの手でしょう。ただし、社員が思い思いのAIを個人で契約し始めると、どこに何を貼ったかが会社から見えなくなってしまいます。複数のAIを会社で使える法人向けサービスの横並びは、法人向け生成AIサービスの料金比較で確かめられます。
メール作成は得意なAIを選び、1画面で使い分ける
UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。ChatGPTで始めた会話をそのままClaudeへ引き継げるので、返信の下書きを書き比べることも出来ます。よく使う返信の指示は、カスタムプラスで社内限定のBOTにして共有できます。全モデルで入力データを学習に使わない設定を標準で適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Geminiでのメール返信は無料で使えますか?
日本語のメールでも返信の候補は表示されますか?
スマホでもGeminiで返信の下書きを作れますか?
Geminiに自動でメールを返信させることはできますか?
Gmailに文書作成サポートのボタンが出ないのはなぜですか?
返信のために入力したメールはGeminiの学習に使われますか?
まとめ
Geminiでメールに返信するときは、Gmailの返信画面の[文書作成サポート]で下書きを作り、人が読み直してから送る形が基本になります。日本語で使えるのは文書作成サポート・サイドパネル・スレッドの要約で、返信の候補は英語のみです。値引きや謝罪のように会社が何かを約束する返信は、人が結論を書いてから文面だけを任せましょう。業務メールは会社のアカウントの中で扱い、社内ルールに承認の範囲と使ってよい環境を書き足しておくと安心でしょう。
法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧にまとめています。
