
Copilot研修とは、社員がMicrosoftのAIアシスタントであるCopilotを業務で安全に使えるように、社内ルール・指示の書き方・アプリでの使い方を教える研修のことです。社員向けに教える中身は、入力してよい情報のルール、指示(プロンプト)の書き方、自分の業務での演習の3つに絞り、まずは半日(3時間)前後で組むと無理がありません。外部の公開講座を使う場合の受講料は、各社の公式サイト掲載で1人11,000円〜38,500円(税込・会員価格を含む・2026年10月3日時点)で、有料ライセンスの費用は別にかかります。研修の前に、社員の環境が追加料金なしのCopilot Chatか有料版かを確かめておくことが、時間割を決める出発点になります。
研修会社の選び方や助成金の全体像は生成AI研修の選び方と費用の総額で、Copilotの機能の一覧はMicrosoft 365 Copilotでできることでまとめています。ここではCopilotに絞って、社員に何を何時間教えるかと、外部に頼んだときの総額を具体的に見ていきます。
研修の前に決めること|Copilot Chatと有料版のどちらで教えるか
教える中身は、社員が使うのが追加料金なしのCopilot Chatか、有料のアドオンを割り当てたMicrosoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)かで変わります。Microsoftの料金ページでは、対象のMicrosoft 365サブスクリプションを持つMicrosoft Entra ID(会社のアカウント)のユーザーは、追加料金なしでCopilot Chatを利用できると案内されています。一方で、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなどのアプリの中で使う機能は、有料のアドオン「Microsoft 365 Copilot Business」の中身として挙げられているものです。同じ「Copilot研修」でも、片方の前提で作った時間割をもう片方の社員に当てはめると、画面にない機能の説明で時間を使ってしまいます。
有料のアドオンは、年払いで1ユーザーあたり月3,148円相当(税抜)、月払いでは月3,778円(税抜)が公式の表示価格になります。2026年12月31日までは年払いで月2,698円相当(税抜)の割引表示もありますが、対象のビジネスプランを使っている既存のMicrosoft 365の顧客に限られ、割引は初年度だけに適用されます。一般法人向けのアドオンは最大300ユーザーまでとされ、別に対象のMicrosoft 365のプランを契約していることが前提です。
※料金は2026年10月3日時点でMicrosoftの公式料金ページに表示されている価格で、消費税は含まれていません。
ライセンスのラベルで社員の環境を確かめる手順
社員が自分の環境を確かめる手順は、Microsoftのサポートページに載っています。研修の1週間ほど前に、全員に次の手順で確かめてもらいましょう。
- 会社のアカウント(職場または学校アカウント)でMicrosoft 365にサインインする
- ホームページを一番下までスクロールし、アカウントの表示を見る
- 名前の下に出るラベルを、研修の申込フォームなどで回答してもらう
サポートページによると、ラベルは次の3つで、それぞれ使える範囲が違います。画面では「Copilot Chat (基本)」「M365 Copilot (プレミアム)」のように表示される場合もあります。
- Copilot Chat(Basic):Copilotのアドオンのライセンスがなく、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteのCopilotにはアクセスできない状態
- M365 Copilot(基本):アドオンのライセンスはないものの、アプリでのCopilotへの標準のアクセスがある状態
- M365 Copilot(Premium):アドオンのライセンスがあり、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteでCopilotのすべての機能に優先的にアクセスできる状態
Copilot Chat(Basic)とM365 Copilot(基本)のどちらになるかの条件は公式ページに書かれていないため、実際の表示を社員から集めて確かめるのが確実です。なお、すべてのサブスクライバーがOutlookのCopilotにアクセスできると、同じサポートページに書かれています。ラベルが分かれた会社では、有料版の社員と追加料金なしの社員で演習の手順を分けるか、全員が使えるCopilot Chatに演習をそろえることになります。
同じ半日研修でも、前提のライセンスが分かれる
外部の公開講座も、どちらの前提かで講座が分かれます。インソースの「(半日研修)Microsoft 365 Copilotの使い方研修~Excel・PowerPoint操作を効率化する」は、各ファイルを直接編集できるMicrosoft 365 Copilot Business(有料ライセンス)を使うと講座ページで案内しており、アカウントがない方は講師の操作を見る形で参加できるとも書かれています。同じ会社の「(半日研修)業務効率化のためのCopilot研修~文書・Excel業務のコツをつかむ」は、無料版のCopilotを使って説明すると書かれており、事前に法人用のMicrosoftアカウントの準備を求める内容です。申し込む前に、講座ページの使用環境の欄と、社員のラベルが合っているかを見比べてみてください。
社員向けのCopilot研修で教える4つの中身
一般の社員に教える中身は、入力のルール、指示の書き方、アプリ別の使い方、出力の確かめ方の4つで足ります。AIの仕組みや最新動向の講義は、明日の業務で使える量に比べて時間を取りすぎてしまうことがあるため、10分程度に抑えるのが無難でしょう。
1. 入力してよい情報のルール
最初に教えるのは操作ではなく、何を入れてよいかです。ルールを後回しにして演習で社員が実際の顧客名や数字をそのまま貼ってしまうと、研修の場で取り返しのつかない入力が起きかねません。研修の第1コマで配る1枚の中身は、後の節にひな形を載せています。
2. 指示(プロンプト)の書き方
指示は、目的・材料・形式・確認の4つを入れる型で教えると、社員どうしで出来が揃いやすくなります。
- 目的:何のための文章か(例:取引先へのお詫びと日程の再提案)
- 材料:貼り付ける元の文や表(入力してよい範囲のもの)
- 形式:字数、箇条書きの数、敬語の度合い
- 確認:「分からない点は推測せず、質問として最後に挙げてください」と書き添える
汎用的な指示の作り方だけを長く教えるより、4つの型を自分の業務の文書に当てはめる時間を長く取るほうが、研修のあとの業務につながりやすいでしょう。
3. アプリ別の使い方(Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams)
アプリ別の使い方は、社員がふだん一番長く開いているアプリから順に教えると身につきやすくなります。
- Outlook:長いメールのやり取りの要約、返信の下書き
- Word:箇条書きのメモからの文書の下書き、長い文書の要約
- Excel:表の傾向の読み解き、集計の考え方の相談
- PowerPoint:文書をもとにしたスライドの構成案
- Teams:会議の要点と決定事項の整理
Microsoftの料金ページには、TeamsのCopilotにはTeamsのライセンスが必要と書かれています。Copilot Chat(Basic)の社員にはWord・Excel・PowerPoint・OneNoteのCopilotが使えないため、同じ課題を、文章を貼り付けてCopilot Chatで行う形に置き換えましょう。
4. 出力の確かめ方
Copilotの回答には、元の資料にない数字や日付が混ざることがあります。出力を人が確かめる手順として、数字は元の表と照らす、固有名詞と日付は原本で確かめる、社外に出す文は上長が読む、の3点を教えておきましょう。演習の中にわざと誤りを含む回答を用意して探してもらうと、確認の大切さが実感として伝わります。
社員向けの時間割|90分×3回・半日・丸1日の3パターン
時間割は、業務を止めにくい会社なら90分×3回、一度に全員を集められるなら半日、社内の推進役を育てるなら丸1日を選ぶと決めやすくなります。どのパターンも、最初のコマに社内ルール、最後のコマに自分の業務での演習を置く点は共通です。時間の配分はあくまで一例ですので、社員の人数や演習の数に合わせて調整してください。
パターンA:90分×3回(1〜2週間おき)
10〜30名ほどの会社で、部署ごとに日程を分けて行う場合に向く組み方です。回の間に宿題を挟むので、学んだ指示を実際の業務で試す時間を取ることができます。
- 第1回「安全に始める」(90分):社内ルールの1枚の読み合わせ15分/ラベルの確認とサインイン10分/Copilot Chatでの要約と言い換え25分/指示の4つの型25分/振り返りと宿題の説明15分
- 第2回「アプリで使う」(90分):宿題の共有15分/Outlookでの要約と返信の下書き20分/Wordでの下書きと要約20分/ExcelかPowerPointのどちらか20分/出力の確かめ方15分
- 第3回「自分の業務に当てはめる」(90分):部署別の演習課題40分/発表と指示の直し25分/自分用の指示を保存して共有15分/2週間後の再演習の案内10分
パターンB:半日(3時間)
全員を一度に集められる会社や、外部の公開講座の半日研修と内容をそろえたい場合の組み方になります。
- 0:00〜0:20:社内ルールの1枚と、やってはいけない入力の例
- 0:20〜0:30:ラベルの確認とサインイン
- 0:30〜1:00:指示の4つの型と、Copilot Chatでの要約・言い換え
- 1:00〜1:10:休憩
- 1:10〜1:50:アプリ別の使い方(Outlook・Word・Excel・PowerPointから社員が多く使う2つ)
- 1:50〜2:40:部署別の演習課題
- 2:40〜3:00:出力の誤り探しと、自分用の指示の保存
半日で全部を詰め込むと、演習の時間が削られがちです。アプリ別の使い方は社員が多く使う2つに絞り、残りは研修後の自習に回すとよいでしょう。
パターンC:丸1日(6時間)
部署ごとの推進役(Microsoftの学習サイトでいうチャンピオン)を育て、その方が部署内で教え直す形を取る場合に向いています。
- 午前(3時間):社内ルールと入力してはいけない情報30分/ラベルの確認と環境の違い15分/指示の4つの型と練習45分/アプリ別の使い方(5つすべて)90分
- 午後(3時間):部署別の演習課題90分/出力の誤り探しと確かめ方45分/部署内で教え直すための進め方づくり30分/発表15分
3つのパターンの合計時間は、それぞれ4時間30分・3時間・6時間になります。後の節で触れる人材開発支援助成金の要件(原則として実訓練10時間以上)には、どのパターンも届かない点を覚えておきましょう。
部署別の演習課題|そのまま使える課題文
演習課題は、部署の実際の仕事に近く、正解を人が確かめられるものを選ぶと効果が出やすくなります。課題で使う材料は、個人名や取引先名を伏せたもの、または架空のものにそろえてください。次の課題文は、そのまま研修で配れる形にしています。
総務の課題
- 課題文「次の社内通知の下書きを、正社員とパートの全員に向けて400字以内にまとめてください。手続きの期限と提出先は必ず残し、箇条書きは3点までとしてください」。合格の目安は、期限と提出先が元の文と一致し、元の文にない条件が足されていないこと
- 課題文「次の会議メモから、決定事項・担当・期限を一覧にしてください。決まっていない事項は未定と書き、推測で埋めないでください」。合格の目安は、未定の事項に担当や期限が勝手に入っていないこと
経理の課題
- 課題文「次の勘定科目別の月次集計(取引先名を含まない数字だけの表)を読み、前月からの増減が大きい科目を3つ挙げてください。理由は断定せず、社内で確かめるべき点として書いてください」。合格の目安は、挙げた金額と増減が表と一致し、理由が確認事項の形になっていること
- 課題文「取引先(A社と表記)に、来月から支払日が月末に変わることを伝える丁寧なメールを書いてください。変更の理由は社内の締め日の統一とします」。合格の目安は、日付や条件に指示にない内容が入っていないこと
営業の課題
- 課題文「次の問い合わせメール(会社名は伏せてあります)への返信の下書きを書いてください。価格と納期は社内で確認中のため具体的な数字は書かず、確認後に連絡する旨を伝えてください」。合格の目安は、未確定の価格や納期が書かれていないこと
- 課題文「自社の商品の公開資料をもとに、製造業の担当者向けの提案書の構成案を見出し5つで作ってください」。合格の目安は、見出しごとに元の資料のどこを使ったかを説明できること
全員共通の課題(誤り探し)
- 課題文「次の回答には、元の資料と違う数字が2か所あります。元の資料と照らして見つけ、正しい数字に直してください」。合格の目安は、2か所とも見つけ、どこを照らしたかを説明できること
営業の提案書の構成案のように、特定の業務への当てはめを伴う課題は、後で触れる助成金の考え方とも重なる部分があります。課題ごとに合格の目安を先に決めておけば、講師が社内の人でも採点がぶれにくくなります。
演習で身につけた使い方は、会社が用意する1つの環境で続けると定着しやすくなります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
研修の最初に配る「入力してよい情報」の1枚
社内ルールは長い規程を読ませるより、研修の第1コマで1枚にまとめたものを配り、その場で読み合わせるほうが伝わります。次の6項目を、自社の言葉に置き換えて使ってみてください。
- 使ってよい場所は、会社のアカウントでサインインしたCopilotだけ個人のMicrosoftアカウントや、会社が認めていない個人向けのAIサービスに業務の情報を入れない。
- 入力してよい情報公開済みの自社の情報、自分で書いた下書き、個人名や取引先名を伏せた文や表。
- 入力しない情報顧客や社員の個人情報(氏名・住所・電話番号・マイナンバーなど)、取引先から預かった秘密情報、公表前の決算や人事の情報、パスワードやID。
- 迷ったときの相談先総務・情シスの担当者名と連絡方法を書いておく。入力してから相談するのではなく、入力する前に聞く。
- 出力の扱い数字・日付・固有名詞は原本で確かめる。社外に出す文は、送る前に人が読む。
- 見直しの時期半年に1回など時期を決めて見直し、改めた箇所を全員に知らせる。
個人情報の扱いについては、個人情報保護委員会は2023年6月に、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。個人情報取扱事業者に向けて、個人データを含む指示を入力する場合は、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確かめるよう求める内容です。1枚を作るときの考え方や規程全体の作り方は、生成AIの社内ガイドラインの作り方を参考にしてください。
人数別の費用総額|10名・30名・50名の計算例
Copilot研修の総額は、研修の受講料と有料ライセンスの年間費用を足して見ると、ライセンスのほうが大きくなりやすい点に注意が必要になります。次の表は、各社の公式サイトに掲載された公開講座の受講料と、有料のアドオンの年払いの価格をもとに計算したものです。
| 人数 | AVILEN「Copilot for Microsoft 365 活用研修」11,000円/人(税込) | インソース 半日研修 会員価格36,600円/人(税込) | 有料アドオン 年払い月3,148円相当×12か月(税抜) |
|---|---|---|---|
| 10名 | 110,000円 | 366,000円 | 377,760円 |
| 30名 | 330,000円 | 1,098,000円 | 1,133,280円 |
| 50名 | 550,000円 | 1,830,000円 | 1,888,800円 |
※受講料・価格は2026年10月3日時点で各社の公式サイトに掲載されている金額です(いずれも同社公式サイト掲載)。AVILENとインソースは税込、Microsoftは税抜の表示のため、合計するときは税の扱いをそろえてください。インソースの36,600円は同社の研修一覧ページに表示された会員価格(税込)です。有料アドオンは年払い(年間契約)の1ユーザーあたり月額相当の価格で計算し、2026年12月31日までの割引価格2,698円相当は、初年度のみ・既存のMicrosoft 365の顧客のみが対象のため表には入れていません。
実際に、30名の会社が全員に半日の公開講座を受けさせ、全員に有料のアドオンを配ると、研修費1,098,000円(税込)とライセンス費1,133,280円(税抜)で、税の扱いをそろえても初年度は200万円を超える出費となってしまいます。割引価格の2,698円相当が使える場合でも、30名分のライセンス費は年971,280円(税抜)となります。これに対して、全員はCopilot Chatの範囲で社内講師の研修を受け、有料のアドオンは先行の5名だけに配る形なら、ライセンス費は年188,880円(税抜)に収まります。月払いを選ぶと1ユーザーあたり月3,778円(税抜)となり、10名なら年453,360円(税抜)と、年払いより75,600円多くかかる計算です。
2日間の公開講座では、GETT Proskillの「Microsoft 365 Copilotセミナー」が会場受講・ライブウェビナーで38,500円(税込)と掲載しており、30名なら1,155,000円(税込)になります。こちらは2日目に自社独自の生成AIチャットの作成やAIエージェントの活用も含む講座のため、一般の社員全員より推進役に絞って受けてもらうほうが費用に見合いやすいでしょう。配る順番は、研修で成果の出た部署の推進役から先に渡し、使い方の例が社内にたまってから広げていく段階的な形が組みやすくなります。
研修のあとに起きやすいこと|ライセンスのない社員の行き先
研修で便利さを知った社員のうち、有料版を配られなかった方は、使える範囲が狭いまま業務に戻ることになります。そこで手軽な個人のアカウントに流れてしまうと、会社から見えない利用が始まってしまいます。個人向けのMicrosoft 365は個人のMicrosoftアカウントで契約するもので、会社の職場アカウントにアドオンを付けた環境とは別の扱いです。ほかの個人向けAIサービスも同じで、入力した業務情報の扱いや退職時の停止を、会社が管理することはできません。
研修を受けさせる会社の側では、研修のあと社員が何を使い続けるかまでを、研修の計画と一緒に決めておく必要があります。会社が把握していないAIの利用、いわゆるシャドーAI(野良AI)は、研修で関心が高まった時期に生まれやすいものと考えておきましょう。Copilotに加えて文章の下書きや調べものでほかのAIも使わせたいのであれば、それも会社の管理下で用意するほうが、研修で教えたルールを守りやすくなります。
外部の講座・公式の学習素材・社内講師の使い分け
研修の形は、Microsoft公式の学習素材、外部の公開講座やeラーニング、法人向けに組んでもらう研修、社内講師による研修の4つに分かれます。10〜200名の会社では、公式の学習素材を自習に、公開講座を推進役の学びに、社内講師を全員向けの演習に、と役割で組み合わせると費用を抑えやすいでしょう。
公開講座・eラーニングの例
公式サイトに価格を載せている講座には、次のようなものがあります。
- AVILEN「Copilot for Microsoft 365 活用研修」:11,000円/人(税込)、eラーニングとワーク形式のオンライン学習
- インソース「(半日研修)Microsoft 365 Copilotの使い方研修~Excel・PowerPoint操作を効率化する」:会員価格36,600円(税込)、オンラインのみ、有料ライセンスを使用
- GETT Proskill「Microsoft 365 Copilotセミナー」:38,500円(税込)、2日間(10:00〜15:30)、会場受講・ライブウェビナー
※価格は2026年10月3日時点で各社の公式サイトに掲載されている金額です(いずれも同社公式サイト掲載)。
法人向けに内容を組んでもらう研修は、講座ページに価格がない場合、見積もりで確かめることになります。
Microsoft公式の学習素材を研修の前後に組み込む
Microsoftは、Copilotの学び方を役割別にまとめた公式の学習サイト「Copilot スキル育成センター」を公開しています。リーダー、チャンピオン(導入を進める推進役)、IT管理者、開発者、ビジネスユーザーといった役割ごとに入口が分かれており、推進役が丸1日の研修の前に目を通す素材として使えます。Microsoft Learnの「Microsoft Copilot で下書き、分析、プレゼンテーションを行う」(MS-4018)は初級の学習パスで、Copilotで作業する準備、Copilot Chat、PowerPoint、Word、Teams会議、Excel、Outlookの7つのモジュールで構成されています。パターンAなら第1回の前にCopilot Chatのモジュールを、第2回の前にアプリのモジュールを予習に当てる組み方がしやすいでしょう。
また、CopilotやCopilot Chatの中にはMicrosoftが作ったプロンプトを集めたプロンプト ギャラリーがあり、自分の指示を保存したり、チームで共有したりする区分も用意されています。研修のあとに部署で使える指示を保存して共有する場所として案内すれば、研修の中身が残りやすくなります。
社内講師で組む場合
社内講師で組む場合は、総務か情シスの担当者が先に丸1日のパターンCに相当する学びを外部の講座か公式の学習素材で済ませ、部署別の演習課題を自社用に書き換えるのが近道です。準備で手間がかかるのは、演習に使う材料から個人名や取引先名を伏せる作業と、合格の目安を決める作業の2つになります。外部に頼むか社内で組むかに迷ったら、まず推進役の1〜2名だけ外部の公開講座に出し、その方に社内向けの90分×3回を任せてみる形を試してみてください。
人材開発支援助成金はCopilot研修に使えるか
Copilotの操作だけを教える半日の研修は、人材開発支援助成金の対象になりにくいと考えておくのが安全です。厚生労働省の事業展開等リスキリング支援コースのパンフレット(令和8年8月3日版)は、対象にならない例として「単に既存のアプリやシステムを購入してその操作方法を習得する場合」を挙げています。また、対象となる訓練には原則として実訓練時間10時間以上が求められ、ここで紹介した3つの時間割はどれもそこに届きません。令和8年8月3日からの変更点の資料でも、生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は、対象外の例とされています。
一方で、同じ資料の対象の例には、営業担当者が生成AIを使って商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ訓練が載っているのも確かです。特定の業務への当てはめを中心に10時間以上の訓練を組めば対象に入る余地はありますが、最終的な判断は労働局が行います。助成率は、中小企業の場合で経費助成が75%、賃金助成が1人1時間あたり1,000円とされています。なお、パンフレットはAIツールの導入費用は対象経費ではないと明記しており、Copilotのライセンス費も助成には含まれないと考えておきましょう。
業務として受講させる場合は、訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届を出すなど、研修の前に済ませる手続きがあります。パンフレットの表には令和8年度末までの時限措置という注記もあり、年度の途中で制度が変わることもあるため、計画の段階で最新の支給要領を確かめ、管轄の労働局に相談してください。助成金の全体像と計算例は、生成AI研修の選び方と費用の総額にまとめています。
Copilot Studioやエージェントを作る研修は、一般社員向けと分ける
Copilot Studioなどでエージェント(決まった手順をこなすAIの仕組み)を作る研修は、一般社員向けの研修とは対象者を分けて考えましょう。ベネッセの「Copilotエージェント実践研修」は、3週間で計3回・1回120分、最少6名からで、6〜10名なら1名150,000円(税別)と公式サイトに掲載しています。6名で受けると900,000円(税別)となり、1人あたりでは、半日の公開講座(インソースの会員価格36,600円・税込)の4倍以上の費用となります。Microsoftの料金ページには、Copilot Chatでエージェントを使うにはAzureのサブスクリプションが必要で、使用量に応じて課金されるとの注記もあります。まずは全員にパターンA〜Cのいずれかで使い方を教え、繰り返しの手順が見えてきた部署の推進役にだけエージェントの研修を受けてもらう順番が、無理のない進め方です。
研修後の定着の確かめ方
定着は、研修の満足度ではなく、研修のあとに業務で使った跡が残っているかで確かめます。10〜200名の会社で無理なく取れる指標は、次の4つです。
- 演習課題の提出率(研修の最後に出した課題を、1週間以内に自分の業務の材料でやり直して提出した人の割合)
- 2週間後の再演習(研修で使った誤り探しの課題を別の材料でもう一度解いてもらい、誤りを見つけられた人の割合)
- 共有された指示の数(部署ごとに保存・共有された指示の数)
- 利用の状況(有料のアドオンを配った社員の使い方の変化)
有料のアドオンについては、Microsoftの料金ページが導入状況・利用状況・ビジネスへの影響の測定と分析を機能の1つに挙げています。Copilot Chatだけの社員については、課題の提出や共有された指示の数のように、社内で数えられるものを中心に見るのが現実的でしょう。目標の数字は最初から高く置かず、1回目の結果を基準に次の研修で伸ばす形にしてみてください。数字が伸びない部署には、推進役が15分の個別の相談会を開く、うまく使えた例を社内のチャットで紹介するなど、次の一手を用意しておきましょう。
会社で安全に使い続けるには|研修のあとの環境づくり
研修で教えた使い方を続けてもらうには、全員が同じ条件で使える会社の環境を用意し、その条件を会社側で管理できる状態にしておくことが前提になります。確かめたい点は、次の4つです。
- 入力した内容がAIの学習に使われない設定が、全員に一律でかかっているか
- 誰がいつ使ったかの利用ログを、会社側で確かめられるか
- 研修を受けた社員全員に配れる費用の形か、退職や異動のときに会社が利用を止められるか
- Copilotとは別のAIを使い分けたいとき、そのAIも会社の管理下に置けるか
Copilotは、WordやOutlookなどふだんのアプリの中で使える点が強みになります。一方で、調べものや長い文書の読み込みなど、用途によってはほかのAIを併用したい場面も出てきます。複数のAIの得意分野と使い分けは主要4AIの違いと使い分け、複数のAIを1つの環境でまとめて使う方法はマルチAIとはで整理しています。点検の項目を一覧で確かめたい方は、生成AIのセキュリティ対策チェックリストも使ってみてください。
研修で教えた使い方を、全社員が同じ安全な環境で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。入力データを学習に使わない設定がすべてのモデルに標準で適用され、会話履歴や利用ログ、アカウントの管理は国内サーバー(AWSの日本リージョン)で行われます。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを確かめられ、研修で作った指示と手順はカスタムプラスでBOTにして社内限定で共有できます。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Copilot研修は何時間あれば足りますか?
有料のライセンスを持っていない社員にもCopilot研修は必要ですか?
Copilot研修に人材開発支援助成金は使えますか?
Microsoftの公式の学習素材だけで社内研修はできますか?
Copilot研修でエージェントの作り方も教えるべきですか?
研修の効果はどう確かめればよいですか?
まとめ
Copilot研修で社員に教える中身は、入力のルール、指示の書き方、アプリ別の使い方、出力の確かめ方の4つになります。研修の前に社員のライセンスのラベルを確かめ、追加料金なしのCopilot Chatと有料版のどちらで教えるかを決めると、時間割と演習がぶれません。時間割は90分×3回・半日・丸1日から会社の事情に合わせて選び、演習は部署の実際の仕事に近い課題でそろえましょう。費用は研修の受講料よりライセンスの年間費用が大きくなりやすいため、配る順番まで含めて計画することが大切です。操作だけの短い研修は人材開発支援助成金の対象になりにくいので、使う場合は最新の支給要領と労働局で確かめてください。ほかのAI活用の記事はAI活用コラム一覧にまとめています。
