デジタル相、AIとDXを一体推進へ

COPLUS AI NEWS / 2026.09.20 夕

AIを、現場に置きにいく

新デジタル相の方針、大手のナレッジ改革、信用金庫の規程検索、中小企業への常駐支援、SOCのエージェント化。9月20日夕のAI動向5本。

週末にかけて出てきたのは、AIを試す段階から、産業や現場の中に置きにいく段階へ進む話題でした。9月18日に就任した古川デジタル大臣は、AI戦略とデジタル推進を一体で進め、製造や医療といった実空間の業務に向けたAIへの官民投資を掲げています。民間では、アビームコンサルティングとNotionが社内の知識をAIが使える形に整える支援を10月から始め、豊川信用金庫は職員が規程を探す時間をAIで短くする取り組みを進めています。中小企業にAI人材が常駐する月額型の支援や、セキュリティ監視をAIエージェントに任せる製品とあわせて、9月20日夕のAI動向5本を整理します。

① 古川デジタル大臣、AI戦略とデジタル推進を一体で 医療DXを「医療AX」へ

出典: デジタル庁 大臣記者会見 / 2026年9月18日

デジタル大臣とAI・デジタル改革推進担当大臣を兼ねる古川大臣が9月18日、就任記者会見に臨みました。会見では、AIには利点とリスクの両方があるとしたうえで、国民が安全に付き合えるAIを広げたいという考えを示しています。投資の方向としては、特定の産業に向けたバーティカルAIと、ロボットなど実空間で動くフィジカルAIへの官民投資を「強く豊かな日本」の投資枠で進めるとしました。医療分野については、医療DXをさらに進めた「医療AX」という言い方で、AIの活用に重点を置く姿勢を示しています。

💡 コプラスの視点:会見で示されたのは方針であり、予算の規模や制度の中身はこれからになります。ただ、国の関心が事務作業の効率化から、業種ごとの業務や現場の設備に移りつつあることは読み取れます。補助金や支援策の募集も、業種を絞った形で出てくる可能性がありますので、自社の業務に近い分野の動きは追っておくと判断が早くなります。

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② アビームコンサルティングとNotion、社内の知識を起点にしたAI組織変革支援を10月開始

出典: キーマンズネット(ITmedia) / 2026年9月20日

アビームコンサルティングとNotionが、企業の知識を起点にAIで組織のあり方を変える支援サービスを2026年10月から提供します。社内に散らばっている資料やノウハウを、AIが扱える形に整理したうえで、人とAIが一緒に進める業務の流れを設計し直す内容です。基幹システムやSalesforce、ServiceNow、Microsoft 365などとつなぎ、議事録の作成や案件の管理、報告資料づくりを自動化するほか、営業・人事・経理・法務といった部門ごとに専用のエージェントを設計するとしています。初年度は製造、金融、商社などの国内大手企業を対象にします。

💡 コプラスの視点:AIが期待どおりに答えてくれないとき、原因がモデルではなく、社内の資料が散らかっていることにある場合は少なくありません。大手向けの大がかりなサービスではありますが、考え方そのものは規模を問わず使えます。よく聞かれる質問と、その答えの元になる文書を一か所にまとめておくだけでも、AIの回答の精度は変わってきます。

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③ 豊川信用金庫、規程を探す時間をAIで短縮 ココペリの金融機関向けAI FAQを活用

出典: キーマンズネット(ITmedia) / 2026年9月19日

豊川信用金庫が、ココペリが提供する金融機関向けのAI FAQサービス「SAF」を、職員の問い合わせ対応に活用しています。職員がふだんの言葉で業務規程や商品の内容をたずねると、AIが文脈を読み取って関連する情報を示す仕組みです。利用状況を分析する機能や、稟議書を作る機能も備えています。金融機関は規程や資料が多岐にわたり、特に経験の浅い職員にとっては必要な情報を探すこと自体が負担になりやすいという背景があります。同金庫は、問い合わせ対応の負担を軽くするとともに、若手職員の早期の習熟や、職員の間の知識の差を縮めることを期待するとしています。

💡 コプラスの視点:ベテランに口頭で聞いていたことをAIに聞けるようにする使い方は、効果が見えやすく、失敗しにくい入口です。会計事務所であれば、税務の取扱いや顧問先ごとの対応ルール、社内の承認手順などが同じ位置づけになります。まずは「よく聞かれるのに、どこに書いてあるか分かりにくい」ものから集めていくと、無理なく始められます。

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④ ExKey、AI人材が現場に入る中小企業向け支援「Forgent」を月額15万円から

出典: キーマンズネット(ITmedia) / 2026年9月20日

ExKeyが、中小企業向けのAI導入支援サービス「Forgent」を提供しています。AIに任せる業務の選定から、AIエージェントの実装、現場への定着、月次の改善までを、AI人材が現場に入って一緒に進める形です。導入前に無料の診断を行い、診断書と実装プランを示したうえで契約に進みます。費用は月額15万円(税別)からで、初月のみ診断・初期設計費として5万円(税別)がかかります。対応は一都三県を中心にオンラインも併用し、問い合わせ対応、議事録作成、経理・総務・人事の業務、レポート作成、Web広告やSEOなどを対象にするとしています。同社は自社のMEO運用で、実装前に月400時間かかっていた工数を3か月の実装期間を経て月125時間まで減らしたと説明しています(同社自身の実績であり、他社での効果を保証するものではありません)。

💡 コプラスの視点:AIを入れても使われないままになってしまう原因の多くは、道具ではなく、社内で旗を振る人がいないことにあります。外から人手を借りる選択肢が月額で選べるようになってきたのは、人を採れない中小企業にとって現実的な流れです。依頼する場合は、どの業務を何時間減らすのかを最初に決めて、月次で一緒に確かめられる形にしておくと成果が見えやすくなります。

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⑤ ゼットスケーラー、セキュリティ監視の調査と対応をAIエージェントに任せる新製品

出典: キーマンズネット(ITmedia) / 2026年9月20日

ゼットスケーラーが、セキュリティ監視の拠点であるSOCの業務をAIエージェントに担わせる「Zscaler Agentic SOC」を打ち出しています。警告の振り分けから原因の調査、判断、対応までの一連の流れを自動化し、侵害された利用者の隔離や通信の遮断、社内での被害の広がりを止める操作までを実行するとしています。同社の1日7500億件に及ぶゼロトラスト通信から得られるデータを活用し、複数のセキュリティ情報を突き合わせて分析します。AIによって攻撃側の速度が上がる一方、人が大量の警告を調べる従来のやり方では追いつかなくなっているという問題意識が背景にあります。同社は単一のモデルに依存しない構成をとり、AnthropicやOpenAIと連携していると説明しています。

💡 コプラスの視点:専任の監視チームを持たない企業にとっては、そのまま導入する話ではありません。それでも、AIが自動で遮断や隔離まで行う製品が出てきたことは、攻撃の速さがそこまで来ているという裏返しでもあります。まずは、不審なログインやファイルの持ち出しに気づける仕組みがあるか、気づいたときに誰が止めるのかを確かめておきたいところです。

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明日への展望

新体制のデジタル庁については、バーティカルAIやフィジカルAIへの投資が、今後の予算や支援策としてどのような形で示されるかが次の焦点になります。民間では、社内の知識を整えることを起点に据えるサービスが大手向けから広がるかどうか、また中小企業に向けた月額型の伴走支援が価格と成果の両面でどう評価されるかに注目したいところです。

本日のまとめ

国の方針も民間のサービスも、AIを試す段階から、業種ごとの業務や現場に置く段階へ向かっています。共通しているのは、道具を入れるだけでは足りず、社内の知識を整えることと、進める人を決めることがセットになっている点です。規程を探す時間のように、身近で効果の測りやすい業務から始めていくのが、遠回りに見えて近道になります。

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