米控訴裁、Anthropic指定を支持
COPLUS AI NEWS | 2026年9月27日 夕版
AIを選ぶ基準は、性能だけではない
米国の連邦控訴裁判所が、国防総省によるAnthropicの「サプライチェーンリスク」指定を支持する判断を示しました。どのAIを使えるかが、性能や価格だけでなく政府の方針や裁判にも左右されることを示す動きです。米中首脳会談でのAIに関する合意や、日本スタートアップ大賞の受賞企業、AIの家庭教師の研究など、夕方のAI動向5本を整理します。
目次
① 米控訴裁、国防総省によるAnthropicの「サプライチェーンリスク」指定を支持 同社は「さらなる審理も含め検討」
AP通信 / 2026年9月25日(米国時間)
米ワシントンDCの連邦控訴裁判所は9月25日、国防総省がAI企業Anthropicを「サプライチェーンリスク」に指定した措置について、2対1で政府側を支持する判断を示したとAP通信が報じました。指定は3月、軍によるAIモデル「Claude」の使い方をめぐる交渉が決裂した後に行われたもので、Anthropicは自律型兵器や国内での大規模監視に使われないことの保証を求めていたと報じられています。この指定により、国防総省は軍のシステムからClaudeを外すことができ、防衛関連の請負業者も同省向けの業務でAnthropic製品を使えなくなります。他の連邦機関での利用は引き続き可能とされ、同社は判断に「敬意をもって同意しない」とし、さらなる審理を含むあらゆる選択肢を検討するとコメントしました。
💡 コプラスの視点
取引先や業界によっては、使うAIの提供元そのものが契約条件や規制の対象になり得ることを示す事例です。1つのAIサービスに業務を寄せすぎず、別のサービスへ切り替えられる状態を保っておくことが、国内企業にとっても実務的な備えになります。
② 米中首脳会談、AIのリスクと利点について対話を行うことで合意 AI関連の事案に対応するホットラインも設置へ
ロイター(Yahoo!ニュース掲載) / 2026年9月26日
ホワイトハウスで行われたトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談を受け、両国の合意内容が9月26日に明らかになったとロイターが報じました。AIについては、技術のリスクと利点に関して対話を行うことで一致し、AIに関連する事案に対応するためのホットラインを設けるとしています。報道によると、ホワイトハウスはAIを「超知能(SI)」と呼ぶことでも両首脳が一致したと発表しました。このほか、双方が300億ドル相当の品目で関税を優遇することなど、通商面での合意も含まれています。
💡 コプラスの視点
AIの扱いが通商や安全保障と同じ首脳間の議題に並んだことで、各国の規制や調達方針が今後さらに動く可能性があります。海外製のAIやクラウドを業務で使う企業は、提供元の国や契約条件を一覧にしておくと、方針が変わったときの影響をすぐに確認できます。
③ 日本スタートアップ大賞2026、ロボット制御のMujinが内閣総理大臣賞 情報通信スタートアップ賞はSakana AI
ロイター(DG Lab Haus掲載)・Mujin発表 / 2026年9月25日
政府が主催する「日本スタートアップ大賞2026」の表彰式が9月25日に首相官邸で開かれ、最高賞の内閣総理大臣賞に、産業用ロボットを知能化する制御技術を手がけるMujinが選ばれました。同社は、ロボットの動作をあらかじめ教え込む作業を不要にする技術などを、物流や製造の現場に提供しています。情報通信スタートアップ賞にはSakana AI、防衛スタートアップ賞には水上ドローンを手がけるオーシャニック・コンステレーションズが選ばれたとロイターが報じました。Sakana AIの伊藤錬社長は、金融機関の融資業務支援などでの実装状況を説明したと伝えられています。
💡 コプラスの視点
ロボットを動かすための細かな設定をAIが肩代わりする技術は、専門の技術者を確保しにくい中小の工場や倉庫にとって導入の壁を下げる方向に働きます。自社の現場でどの作業が「教え込み」に時間を取られているかを洗い出しておくと、こうした技術を検討する際の判断材料になります。
④ AIの家庭教師、試験対策で人間の専門家に近い学習効果 2,383人を対象にした研究で費用は約918分の1と試算
GIGAZINE / 2026年9月26日
Handshake AI Researchの研究チームが、大学院入試に使われる試験「GRE」の問題を使い、AIの家庭教師と人間の専門家による指導の効果を比べた研究結果を公表しました。成人2,383人が問題を解いた後、13種類のAIによる指導、ビデオ通話での人間の専門家による指導、教育動画の視聴のいずれかを1時間受け、再び問題に取り組みました。正答率の伸びは、AIによる指導で平均13.9ポイント、人間の専門家で15.6ポイント、教育動画で7.1ポイントで、数学と言語をあわせた結果ではAIと人間の差は統計的に同等の範囲に収まったとしています。一方、言語だけでは人間の指導が上回り、学習効果が長く続くかどうかは検証されていないと報じられています。
💡 コプラスの視点
社員研修や資格取得の支援でも、AIを相手に分からない点を繰り返し質問できる仕組みは費用を抑えやすい選択肢です。ただし分野によって効果に差があり、定着度も未検証のため、AIでの自習と人による振り返りを組み合わせるのが現実的です。
⑤ ローマ教皇レオ14世、パリのユネスコ本部で演説 AIが「支配や不正の道具」にならないよう求める
時事通信 / 2026年9月26日
フランスを訪問中のローマ教皇レオ14世は9月25日、パリの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で演説し、AIを念頭に、新しい技術が支配や不正の道具にならず人に奉仕するよう努める必要があると訴えたと時事通信が報じました。教皇は5月に公表した回勅でも、人類がAIに支配される事態を避けるよう求めていました。仏大統領府では、技術が進む中で人間の尊厳を守ることや、倫理的な判断力を育てる教育の大切さにも触れたと伝えられています。
💡 コプラスの視点
宗教界からの発信は直接の規制ではありませんが、AIに対する社会の受け止め方に影響します。業務でAIを使う企業も、どの判断をAIに任せ、どこで人が確認するのかを社内で言葉にしておくと、取引先や顧客への説明がしやすくなります。
明日への展望
今日の5本からは、AIが技術の話題にとどまらず、裁判や首脳外交、宗教界の発信まで幅広い場で扱われるようになったことが分かります。Anthropicはさらなる審理も検討するとしており、米国で別に進む訴訟とあわせて判断の行方が注目されます。米中が合意したAIの対話やホットラインが具体的にどう運用されるかも含め、AIをめぐる国際的なルールづくりの動きを引き続き追っていきます。
本日のまとめ
AIの提供元が政府の指定や国際交渉の影響を受ける場面が増えています。業務でAIを使う側としては、特定のサービスに頼りすぎない構成と、社内での使い方のルールを早めに整えておくことが大切です。生成AIの社内活用や安全な使い方のご相談は、コプラスまでお気軽にお問い合わせください。


