
Google AI Studioとは、GoogleのGeminiのモデルをブラウザで試したり、Gemini APIのキーを発行したりできるGoogleのサービスです。料金の答えから言うと、AI Studioの画面で使うこと自体は無料で、お金がかかるのは請求先アカウントを紐付けたGemini APIの有料枠になります。有料枠は最低5ドルの前払いから始まり、使った分を前払いの残高から差し引く仕組みです。一方で無料枠に入力した内容はGoogleの製品の改善に使われるため、会社の資料を入れる前に、どこで使わせるかを決めておく必要があります。
学習に使わせない設定を社内でどう止めるかは、Google AI Studioに学習させないには?会社で止める手順で、管理コンソールの操作まで順に紹介しています。料金の話でも、無料枠と有料枠のどちらで使うかがデータの扱いに直結するため、あわせて読んでみてください。
※料金と仕組みは、2026年10月4日時点で公式ページ(Gemini Developer API の料金・課金のドキュメント)に表示されている内容です。価格は米ドル建てで、料金ページに税の記載はないため、税を足さずに書いています。円の金額は、1ドル=150円で計算した場合の目安です。
Google AI Studioの料金は無料?画面での利用は無料、請求はAPIの有料枠から
Google AI Studioの画面で使う分には、料金はかかりません。料金ページには「Google AI Studio usage is free of charge in all available regions.」と書かれていて、提供されているすべての地域で無料という扱いになります。
お金がかかるのは、Gemini APIを有料枠で使ったときです。有料枠に切り替えるには、Googleの請求先アカウント(Cloud Billing のアカウント)をプロジェクトに紐付け、最低5ドルを前払いする必要があります。1ドル=150円で計算した場合、750円からのスタートとなります。
ただし、無料のまま使えば何も気にしなくてよい、という話でもありません。無料枠では、入力した内容と回答がGoogleの製品の改善に使われます。社内の資料や顧客の情報を入れるなら、無料枠のまま使わせないことが先決です。料金の安さだけで判断せず、データの扱いと一緒に考えておきましょう。
どこで請求が発生するのか
請求が発生する場所は、大きく分けて2つあります。1つはAPIキーを使ったプログラムからの呼び出しで、社内ツールや業務システムにGeminiを組み込んだときの利用がこれに当たります。もう1つは、有料のAPIキーをAI Studioの画面に紐付けて使った場合です。課金ドキュメントのよくある質問には、有料のAPIキーをAI Studioで紐付けると、そのキーでのAI Studioの利用も課金されると書かれています。画面で試しているだけのつもりでも、紐付けたキーが有料なら請求の対象になってしまいます。
反対に、請求先アカウントを紐付けていない無料のプロジェクトだけで使っている間は、請求は発生しません。社内で誰かが有料にしたかどうかは、請求先アカウントの有無で決まると覚えておくと見通しがよくなります。
情シスや総務の担当者が社内の状況をつかむなら、まず会社の請求先アカウントにGemini APIのプロジェクトがつながっているかを確かめてみてください。つながっていなければ、社内の利用はすべて無料枠か、社員個人の請求先アカウントのどちらかということになります。
Googleの生成AIで、お金がかかる場所の違い
Googleの生成AIには名前の似たサービスがいくつもあり、どこで請求が来るのかが分かりにくくなっています。AI Studioの料金を考えるときは、次の4つを分けて整理しておくと迷いにくいでしょう。
- Google AI Studioの画面:使うこと自体は無料。有料のAPIキーを紐付けて使った分だけ課金される
- Gemini APIの有料枠:Cloudの請求先アカウントを紐付け、前払いの残高から使った分を差し引く従量課金
- Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI):Enterpriseの区分で、営業窓口に問い合わせて契約する
- Google AI Plus・Pro・Ultra:個人のGoogleアカウント向けの月額プランで、APIの従量課金とは別の契約
このうち、毎月の請求額が使い方で動くのはGemini APIの有料枠です。AI Studioの画面そのものに月額料金はないため、AI Studioの料金と言うとき、実際に見積もる対象はこのAPIの有料枠になります。個人向けの月額プランとの違いは、後半の節で改めて取り上げます。
Free・Paid・Enterpriseの3つの区分|固定の月額プランではなく従量課金
Gemini APIの料金は、毎月決まった額を払うプランではなく、使ったトークンの量に応じた従量課金になります。トークンは、AIが文章を処理するときの単位で、入力した文章とAIが返した文章の両方が数えられます。料金ページでは、区分がFree(無料)・Paid(有料)・Enterpriseの3つに分かれています。
- Free:使えるモデルは一部に限られ、入力と出力のトークンは無料。AI Studioを使える。送った内容は製品の改善に使われる
- Paid:本番向けの高いレート上限、コンテキストキャッシュ、料金が50%安くなるBatch API、Googleの最先端のモデルを使える。送った内容は製品の改善に使われない
- Enterprise:Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)で提供され、専用のサポートや利用量に応じた割引などがあり、営業窓口への問い合わせで契約する
社員1人あたり月いくら、という固定の料金表はありません。料金は1か月にどれだけのトークンを使ったかで決まるため、同じ人数でも使い方しだいで毎月の金額が変わってしまいます。予算は、人数ではなく使い方とモデルの選び方で見積もる必要があります。単価はモデルごと、入力と出力ごとに分かれていて、出力のほうが高く設定されています。
Enterpriseの区分を選ぶのはどんな会社か
3つ目のEnterpriseは、Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)の上で提供される区分です。料金ページでは、専用のサポート、プロビジョニングされたスループット(あらかじめ確保した処理の枠)、利用量に応じた割引が挙げられ、申し込みは営業窓口への問い合わせになります。
社員10〜200名の会社がAI Studioの料金を調べている段階なら、まず検討の中心になるのはFreeとPaidの2つでしょう。大量の処理を安定して流したい、利用量が大きく割引の相談をしたい、といった事情が出てきたときに、Enterpriseを候補に入れる順番で考えておけば足ります。
前払いと後払いの2つの払い方
有料枠の払い方には、前払い(Prepay)と後払い(Postpay)があります。前払いは先にクレジットを買っておき、使った分をその残高から差し引く方式です。後払いは、Cloudの請求先アカウントに費用がたまり、月末にまとめて請求される方式になります。
この前払いと後払いの制度は2026年3月23日から始まり、新しく使い始める方は前払いが既定となりました。後払いは、条件を満たした場合に選べる払い方という位置づけです。これから会社で使い始めるなら、まずは前払いで始まると考えておいてください。
モデル別の単価|Gemini 3.8 Flash・3.5 Flash・2.5 Proの料金
単価は100万トークンあたりの米ドルで表示されていて、会社で使われそうなモデルを並べると次の表のようになります。
| モデル | 入力(100万トークンあたり) | 出力(100万トークンあたり) | 1ドル=150円で計算した場合(入力/出力) |
|---|---|---|---|
| Gemini 3.8 Flash(2026年12月31日まで) | 0.75ドル | 3.75ドル | 112.5円/562.5円 |
| Gemini 3.8 Flash(2027年1月1日から) | 1.50ドル | 7.50ドル | 225円/1,125円 |
| Gemini 3.5 Flash | 1.50ドル | 9.00ドル | 225円/1,350円 |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | 0.30ドル | 2.50ドル | 45円/375円 |
| Gemini 2.5 Pro(プロンプト20万トークン以下) | 1.25ドル | 10.00ドル | 187.5円/1,500円 |
| Gemini 2.5 Flash(テキスト・画像・動画の入力) | 0.30ドル | 2.50ドル | 45円/375円 |
※有料枠(Paid Tier)のStandardの単価です。出力の単価には思考トークンを含みます。Gemini 3.7 Flash・3.6 Flashは3.8 Flashと同じ金額です。Gemini 3.5 Flash-Liteの入力はテキスト・画像・動画・音声とも同額で、Gemini 2.5 Flashの音声の入力は1.00ドルです。2026年10月4日時点で公式の料金ページに表示されている金額です。
表の中で気をつけたいのは、Gemini 3.8 Flashの価格に期限があることです。いまの入力0.75ドル・出力3.75ドルは2026年12月31日までの価格で、2027年1月1日からは入力1.50ドル・出力7.50ドルと、ちょうど倍になります。年明けから同じ使い方を続けるだけで、3.8 Flashの請求額は2倍になってしまいます。来年度の予算を組むときは、2027年からの価格で計算しておきましょう。
出力の単価には、モデルが答えを考える途中の思考トークンも含まれると料金ページに書かれています。画面に出た回答の長さだけで見積もると、実際の請求より少なく見積もってしまう場合もあるでしょう。見積もりの段階では、出力を多めに置いておくと安心です。
入力と出力で、どちらが金額を左右するか
表のどのモデルでも、出力の単価は入力より高く設定されています。Gemini 3.8 Flashでは出力が入力の5倍、3.5 Flashでは6倍、2.5 Proでは8倍の開きです。同じ量のトークンを使うなら、AIに長く書かせる使い方ほど、金額は膨らみやすくなります。
実際の業務に当てはめると、長い資料を読ませて数行で要約させる作業は、入力が多くても出力が少ないため、思ったほどの金額にはなりません。反対に、短い指示から長い報告書や提案書の下書きを書かせる作業は、出力の分がそのまま金額に響いてきます。どの作業に使うかを決めるときは、読ませる量と書かせる量の両方を見ておきましょう。
ほかのAIのAPIと単価を比べたい方は生成AIのAPI料金の比較を、Gemini APIの料金をモデルごとに詳しく見たい方はGemini APIの料金をご覧ください。
無料枠でどこまで使えるか|1日の回数の上限はAI Studioの画面で確認
無料枠で使えるのは一部のモデルに限られ、入力と出力のトークンは無料になります。表に挙げたうち、Gemini 3.8 Flash・3.5 Flash・3.5 Flash-Lite・2.5 Proは、料金ページの無料枠の欄が無料と表示されています。
一方で、無料枠では使えないものもあります。画像を生成するGemini 3.1 Flash Image(Nano Banana 2)と、動画のGemini Omni Flashは、無料枠の欄がNot availableとなっています。Google検索で回答の根拠を探すグラウンディングも無料枠の欄はNot availableで、AI Studioの画面で試せるという注記が付いているだけです。料金が半額になるBatchとFlexも、無料枠では選べません。
回数の上限(レート制限)の決まり方
無料でも有料でも、使える量にはレート制限という上限があります。上限は1分あたりのリクエスト数(RPM)、1分あたりのトークン数(TPM)、1日あたりのリクエスト数(RPD)の3つで決まり、APIキーごとではなくプロジェクトごとに数えられます。1日の回数は太平洋時間の午前0時にリセットされ、日本時間では夏時間の期間は午後4時、それ以外の期間は午後5時にあたります。
無料枠のモデルごとの具体的な回数は、公式ドキュメントの表ではなく、AI Studioの画面で確認する形になっています。モデルや時期によって変わるため、使う前にAI Studioで今の上限を見ておいてください。同じプロジェクトのキーを何人かで使い回すと、全員の分がまとめて数えられる点にも気をつけたいところです。
無料枠の上限に毎日のように当たるようになったら、それは試す段階を過ぎて、業務で使い始めているという合図とも言えます。そのまま別のアカウントやプロジェクトを増やして無料枠を重ねるより、会社の請求先アカウントにつないだ有料枠へ移すか、別の環境を用意するかを決める時期と考えてみてください。
無料枠と有料枠の違いを項目ごとに比べる
無料枠と有料枠の違いは、料金だけではありません。項目ごとに並べると、次のようになります。
- 料金:無料枠は入力・出力とも無料。有料枠はモデルごとの単価で、前払いの残高から差し引かれる
- 使えるモデル:無料枠は一部のモデルに限られる。有料枠ではGoogleの最先端のモデルも使える
- 使える機能:Batch、Flex、画像の生成、Google検索のグラウンディングは有料枠だけ(コンテキストキャッシュは、料金ページで有料枠の特典として挙げられています)
- 使える量:有料枠のほうが高いレート上限が付く。有料枠には10分あたりの支出の上限と、階層ごとの月の上限もある
- データの扱い:無料枠は送った内容が製品の改善に使われる。有料枠は改善に使われない
こうして並べると、有料枠に切り替える理由は、量や機能よりもデータの扱いにあると分かります。会社の情報を入れるかどうかが、無料のままでよいかを分ける大きな境目になるでしょう。
支出の速さによる上限
有料枠には、もう1つ支出の速さによる上限があります。10分あたりの支出がTier 1では10ドル、Tier 2では50ドル、Tier 3では200ドルまでで、超えると429 RESOURCE_EXHAUSTEDというエラーが返ってきます。短い時間に大量の処理を流す使い方では、この上限にも当たりやすくなるでしょう。
無料枠と有料枠のデータの扱い|Gemini API追加利用規約の原文で確かめる
無料枠で送った内容はGoogleの製品の改善に使われ、有料枠で送った内容は改善に使われません。料金ページの各モデルの行にもUsed to improve our productsの欄があり、無料枠はYes、有料枠はNoと表示されています。
規約の文面も見ておきましょう。Gemini API追加利用規約(2026年3月23日より有効)では、無料サービスに送った内容と回答は、Googleの製品や機械学習の技術の提供・改良・開発に使われると定められています。人間のレビュアーが内容を確認し、注記をつけたり処理したりする場合もあります。そのうえで、規約には「本無料サービスには、プライベート情報、機密情報、または個人情報を送信しないでください」という一文が置かれています。
有料サービスでは、プロンプトと回答を製品の改善に使いません。対象にはシステム指示やキャッシュ、画像・動画・文書などのファイルも含まれます。ただし、使用禁止ポリシーに反する使い方の検出と防止、法令で求められる開示のために、一定期間は記録すると規約に書かれています。その期間の日数は規約に示されておらず、Google検索によるグラウンディングを使った場合はプロンプトなどを30日間保存すると英語版の規約に記載があります。
無料サービスで人間のレビュアーが確認する前には、送った内容をGoogleアカウントやAPIキー、Cloudのプロジェクトから切り離すと英語版の規約に書かれています。ただ、切り離されるのは誰が送ったかの情報です。貼り付けた文章の中に社名や氏名が入っていれば、その中身はレビューの対象に残ると考えておくのが安全でしょう。
欧州経済領域・スイス・英国を拠点とする場合は、無料で使っていても有料サービスのデータの条項が適用されると規約にあります。日本の会社にはこの扱いが当てはまらないため、国内では無料枠に入れた内容は改善に使われる、と考えておきましょう。
どこからが有料サービスの扱いになるのか
日本語版の規約では、Cloudの請求先アカウントを有効にすると、Gemini APIとGoogle AI Studioのすべての使用が有料サービスとして扱われると書かれています。課金ドキュメントのよくある質問でも、少なくとも1つのAPIプロジェクトで課金が有効になっていれば、AI Studioのプロンプトは有料サービスと同じ条件で扱われるとの案内です。自分のアカウントがどちらに当たるかは、Gemini APIのキーのページのPlan列にPaidと出ているかで確かめることが出来ます。
英語版の規約には、Workspaceのenterpriseアカウントについての記述もありますが、日本語版には同じ記述がなく、どのエディションが当たるかの定義も公式には見当たりません。会社のWorkspaceのアカウントなら安心、と決めつけずに、Plan列の表示で確かめてみてください。
確かめる手順そのものは難しくありません。AI StudioでGemini APIのキーのページを開き、並んでいるプロジェクトのPlan列を見るだけです。Paidのプロジェクトが1つもなければ、そのアカウントでのAI Studioの利用は無料サービスの扱いになります。社員に使わせる前に、担当者が自分の画面で一度見ておくと、社内への説明もしやすくなるでしょう。
無料枠に入れてよい情報の目安
無料枠に入れてよいのは、社外に出ても困らない情報だけと考えるのが基本です。すでに公開しているWebページや広報資料、一般的な調べもの、架空の名前や数字で作った練習用のデータであれば、改善に使われても差し支えは少ないでしょう。
反対に、顧客や取引先の名前、社員の個人情報、まだ公表していない売上や計画の数字、契約書や見積書の中身は、無料枠に入れてはいけない情報の代表です。社員にとって判断に迷う資料は、無料枠には入れないという決め方にしておくと、線引きで迷う場面が減ります。
有料枠にしても、何を入れてもよいわけではない
有料枠に切り替えれば、送った内容が製品の改善に使われることはなくなります。とはいえ、使用禁止ポリシーに反する使い方の検出や法令上の開示のために、一定期間は記録されるという点は変わりません。顧客の個人情報や取引先との契約で外に出せない情報まで入れてよいかは、規約とは別に、自社のルールと取引先との約束で決める話になります。
実際に社内で決めるときは、有料枠なら入れてよい情報、有料枠でも入れない情報、の2段で書き分けておくと迷いが減るでしょう。どの区分の情報をどのAIに入れてよいかの考え方は、生成AIの社内ガイドラインの作り方でも整理しています。
社員が個人のGoogleアカウントで使うと何が起きるか
いちばん気をつけたいのは、社員が自分の個人アカウントでAI Studioを開き、無料枠のまま仕事の資料を貼り付けてしまう使い方です。無料枠なので請求は1円も発生せず、会社の経費にも出てこないため、誰がどれだけ使っているかを会社が知る手がかりがありません。入力した内容は改善に使われ、人間のレビュアーの目に触れる場合もあります。お金がかからない使い方ほど、会社からは見えにくくなってしまいます。
個人のGoogle AI ProやUltraに入っていれば学習に使われない、という公式の記述は見当たりません。会社として決めておきたいのは、業務の情報をAI Studioの無料枠に入れないこと、使うなら会社が用意したプロジェクトか別の環境を使うこと、の2点になります。WorkspaceではAI Studioが全エディションで初期設定のままオンになっているため、使わせない部署は管理コンソールで止めることが出来ます。止め方の画面手順は冒頭で紹介した記事にまとめていて、会社の把握していない利用が広がる流れは野良AI(シャドーAI)でも取り上げています。
無料のままでよい場面、有料枠に切り替えたい場面
無料のままでよいのは、社外に出てもよい情報だけを使って、AIの動きを試す場面に限られます。公開済みのWebページの文章を要約させる、架空のデータでプロンプトの書き方を試す、といった使い方なら、無料枠でも困ることは少ないでしょう。
有料枠に切り替えたいのは、次のような場面です。
- 社内の資料、顧客の情報、売上などの数字を入れて使いたい
- 社内ツールや業務システムにGeminiを組み込み、毎日決まった処理を流したい
- 画像の生成、Google検索のグラウンディング、Batchなど、無料枠では使えない機能が要る
- 無料枠のレート制限に毎日のように当たり、作業が止まってしまう
AI Studioの有料枠は、プロジェクトと請求先アカウントの単位で請求と上限を管理する仕組みになっています。社員一人ひとりに配って日々のメールや資料作りに使わせたいという要望なら、後半で触れる会社全体の環境と比べてから決めましょう。
試作から本番へ移る流れも、最初に決めておくと混乱が少なくなります。無料枠で試すのは架空のデータや公開済みの情報までにとどめ、本物の社内データで試したくなった段階で、会社の請求先アカウントにつないだ試作用のプロジェクトへ移ります。社内ツールとして毎日使う段階になったら、本番用のプロジェクトを別に作り、支出上限を入れてから切り替える順番です。
迷ったときは、入れたい情報が社外に出てもよいものかどうかを、最初の線引きにしてみてください。出てはいけない情報を入れたいなら、無料枠という選択肢はその時点で外れます。そのうえで、組み込みのように決まった処理を流したいのか、社員が自由に使いたいのかで、有料枠にするか別の環境にするかが分かれてきます。
無料枠に入れた内容は改善に使われるため、社員が仕事で使うAIは会社で1か所に決めておきたいところです。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
社員10人・30人・100人で使うと月いくらか|使い方別の円の試算
Gemini 3.8 Flashで社内の利用を試算すると、要約やメールの下書きが中心なら30人でも月7,425円ほどに収まります。ここでは1ドル=150円で計算し、1か月の営業日を20日としています。1回あたりのトークン数は使い方ごとに仮に置いた数字で、実際の量は文章の長さで大きく変わる点にご注意ください。
使い方1:要約・メールの下書きが中心
1人が1日20回使い、1回あたり入力3,000トークン・出力500トークンと置くと、1人あたり月に入力120万トークン、出力20万トークンを使う計算です。2026年12月31日までの単価では1人月1.65ドルとなり、10人なら月16.50ドル(2,475円)になります。
30人なら月49.50ドル(7,425円)、100人なら月165ドル(24,750円)の見込みです。2027年1月1日からは単価が倍になるため、同じ使い方で10人4,950円、30人14,850円、100人49,500円と、毎月の請求も倍に膨らんでしまいます。
使い方2:会議の文字起こしから議事録を作る
1人が月10回、1回あたり入力4万トークン・出力4,000トークンを使うと、1人あたり月0.45ドルになります。10人で月4.50ドル(675円)、30人で月13.50ドル(2,025円)、100人でも月45ドル(6,750円)にとどまるでしょう。長い文字起こしを読ませても、回数が少なければ請求は小さく収まります。2027年からの単価では、30人で4,050円、100人で13,500円の見込みです。
使い方3:社内ツールに組み込み、毎回社内規程を読ませる
社内の問い合わせ窓口のようなツールにGeminiを組み込み、毎回1万トークンの規程を読ませて800トークンで答えさせる使い方では、金額が一気に上がります。1人1日30回使うと、1人あたり月に入力600万トークン・出力48万トークンとなり、1人月6.30ドルの計算です。10人で月63ドル(9,450円)、30人で月189ドル(28,350円)、100人では月630ドル(94,500円)に届いてしまいます。
ここで見落としやすいのが、請求先アカウントの階層ごとの月の上限です。請求先アカウントを紐付けたばかりのTier 1では、月の支出の上限が250ドルに設定されています。100人の使い方3は今の単価でもこの上限を超えるため、月の途中で紐付く全プロジェクトが翌月1日まで止まってしまうでしょう。2027年からの単価では、30人でも月378ドルとなり同じ上限に当たります。
自社の使い方で見積もる手順
試算の数字は、使い方の置き方ひとつで大きく動きます。自社の分を見積もるときは、次の順で数字を置いてみてください。
- 使う人数と、1人が1日に使う回数を決める
- 1回あたりの入力と出力のトークン数を、実際に使う文章で置く。出力は思考トークンの分も見込んで多めにする
- 1か月の入力と出力のトークン数を出す(人数×1日の回数×営業日×1回あたりのトークン数)
- 100万トークンあたりの単価をかけ、入力と出力の金額を足す
- 2027年1月1日からの単価でも計算し、Tier 1の月250ドルの上限に収まるかを確かめる
例えば15人が1日10回、1回あたり入力2,000トークン・出力1,000トークンで使うと、1か月の入力は600万トークン、出力は300万トークンになります。Gemini 3.8 Flashの今の単価では、入力が4.50ドル、出力が11.25ドルで、合わせて月15.75ドル(2,362.5円)の計算です。出力の単価は入力の5倍あるため、出力が入力の半分の量でも、金額の7割あまりは出力の分が占めることになります。見積もりでは、回答の長さを短めに置かないことが肝心です。2027年からの単価では、同じ使い方で月31.50ドル(4,725円)に増えてしまいます。
部署ごとの使い方で、金額の出方はどう変わるか
同じGemini 3.8 Flashでも、部署の仕事の中身によって、どこに金額が出るかが変わってきます。読ませる量が多い仕事、書かせる量が多い仕事、画像や検索を使う仕事の3つに分けて考えると見当がつけやすいでしょう。
総務や法務のように、規程や契約書を読ませて短く答えさせる仕事は、入力の量が金額を決めます。読ませる資料の量を絞る工夫が、そのまま請求に効いてきます。営業や企画のように、提案書やメールの下書きを書かせる仕事は、出力の単価が入力の5倍あるため、書かせる文章の長さが金額に響きやすくなります。
広報やマーケティングのように画像を作る仕事は、トークンではなく画像1枚ごとの料金で考えるのが早道です。調べものが多い部署でGoogle検索のグラウンディングを使うなら、月5,000リクエストの無料分を会社全体で超えるかどうかを見ておく必要があります。部署ごとに使い方の型が違う会社ほど、プロジェクトを部署ごとに分けて金額を追えるようにしておくとよいでしょう。
モデルを変えると、金額はどう変わるか
使い方1をGemini 2.5 Proに替えると、1人あたり月3.50ドルとなり、30人で月105ドル(15,750円)に増えます。使い方3を料金が半額になるBatchで流せるなら、100人でも月315ドル(47,250円)まで下げられる計算です。それでもTier 1の月250ドルの上限は超えるため、階層が上がっていることが前提になります。どの処理をBatchに回せるかは仕組みの側の制約もあるため、組み込む担当者に確かめておきましょう。
人数で金額が決まる月額プランとは違い、従量課金では使い方の設計しだいで、同じ人数でも10倍以上の差が開きます。社内でAIの費用をどう管理するかの考え方は生成AIのコスト管理にもまとめていますので、予算を組む前に読んでみてください。
※試算は、1ドル=150円、月20営業日、記載したトークン数で計算した目安です。為替、入力する文章の長さ、思考トークンの量によって実際の金額は変わります。
有料枠に切り替える手順|請求先アカウントを紐付けて5ドルを前払い
有料枠に切り替えるには、AI Studioで請求先アカウントをプロジェクトに紐付け、最低5ドル(他の通貨では同等額)を前払いします。手順は課金ドキュメントで次のように案内されています。
- AI StudioのAPIキー(API keys)のページを開き、有料にしたいプロジェクトの課金階層(Billing Tier)の列にある[課金を設定](Set up billing)を押す
- はじめて請求先アカウントを作る場合は、国を選んで規約に同意し、連絡先とお支払い方法を入力する。作ったことがある場合は、既存の請求先アカウントを選ぶか、新しく追加する
- 前払いを求められたら、最低5ドルのクレジットを購入する。後払いを選べる条件を満たしていれば、前払いと後払いのどちらかを選ぶ
- 課金階層の列の表示が変わったことを確かめる。表示はSet up billing(課金が未設定)、Set up Prepay(前払いの設定が必要)、No credits(残高なし)などで状態を表す
前払いのクレジットは最低5ドルから、最大5,000ドルまで購入できます。購入したクレジットは12か月で失効し、後払いへ切り替える場合を除いて返金されません。使い切れない額をまとめて買うと、1年後にその分を失ってしまいます。まずは数か月で使い切れる額から始めてみましょう。請求書で支払う(オフラインの)請求先アカウントでは前払いを使えず、後で触れる支出上限も使えない仕組みです。
前払いと自動チャージの額の決め方
前払いの額と自動チャージの設定は、試算した月の見込みから逆算して決めると無理がありません。試算の使い方1を30人で使う会社なら、見込みは月49.50ドルです。例えば、最初の前払いを50ドル、残高が10ドルを下回ったら20ドルを買い足す自動チャージ、自動チャージの月の上限を40ドル、プロジェクトの支出上限を60ドルとしておく形が考えられます。
この設定なら、見込みどおりに使えば月の途中で止まることはなく、使いすぎたときも60ドルあたりで止まります。見込みより少なかった月は残高が翌月に残るので、次の月の前払いを控えめにして調整しましょう。12か月で失効するため、残高が膨らみ続けないよう、数か月に一度は設定を見直してみてください。
勝手に課金されることはあるか
請求先アカウントを紐付けていないプロジェクトで、勝手に課金されることはありません。料金ページも課金ドキュメントも、AI Studioの利用は有料のAPIキーを紐付けない限り無料という書き方をしています。
逆に、一度でも紐付けたプロジェクトでは、使った分が前払いの残高から差し引かれます。有料のAPIキーをAI Studioの画面に紐付けると、そのキーで画面を使った分も課金の対象です。
無料枠に戻したいときは、プロジェクトごとに課金を無効にし、請求先アカウントとの紐付けを外すことが出来ます。使わなくなったプロジェクトは、紐付けを外して無料枠に戻しておきましょう。
請求先アカウントは誰の名義で作るか|会社カード・プロジェクト分け・退職時の引き継ぎ
請求先アカウントは、社員個人ではなく会社の管理用のアカウントで作り、会社のカードを登録しておくのが安全です。階層(Tier)、レート制限、月の支出の上限は、どれも請求先アカウントの単位で決まります。そのうえでレート制限は、APIキーごとではなくプロジェクトごとに数えられます。
社員の個人アカウントで請求先を作ると、請求は個人のカードに来て、経費の精算で初めて会社が気づく形になります。その社員が辞めれば、請求先アカウントもAPIキーの管理も個人の手元に残ってしまいます。会社の管理用のアカウントを持ち主にして、担当者は編集者などの役割で加えておく形にしましょう。
プロジェクトを用途ごとに分ける
1つの請求先アカウントの下に用途ごとのプロジェクトを分けて作ると、どの用途にいくらかかったかを追いやすくなります。後で触れるプロジェクトごとの支出上限も、プロジェクト単位で設定する仕組みです。社内の試作用、本番の社内ツール用、部署ごとの検証用、のように分けておけば、試作のつもりの処理が本番の予算を食いつぶす事態も避けられます。
一方で、前払いの残高と階層の月の上限は、請求先アカウントにつながるプロジェクト全体にかかってきます。どれか1つのプロジェクトが使いすぎると、残高が尽きた時点で、紐付くすべてのプロジェクトのAPIキーが同時に止まってしまいます。本番のツールを止めたくない場合は、試作用のプロジェクトを別の請求先アカウントに分けることも考えてみてください。
誰に何を任せるかを分けておく
請求先アカウントとプロジェクトにかかわる人は、少なくとも3つの役割に分かれます。カードと請求先アカウントを持つ会社側の管理者、プロジェクトの支出上限やキーを扱う担当者、APIを使って社内ツールを作る開発担当の3つです。プロジェクトの支出上限を設定できるのは、編集者・オーナー・管理者の役割を持つアカウントに限られます。
1人の社員がこの3つを全部兼ねていると、上限を上げる判断も、キーの発行も、その人だけで完結してしまいます。少なくとも、支払いのカードを持つ人と、日々キーを扱う人は分けておきましょう。上限を引き上げるときは、経理か総務に一声かけてから変える決まりにしておくと、予算から外れた使い方にも気づきやすくなります。
退職・異動のときに引き継ぐもの
担当者が代わるときは、請求とキーにかかわる設定をひとまとめにして引き継ぐ必要があります。最低限、次の5つは一覧にして残しておきましょう。
- 請求先アカウントの持ち主と、登録しているカード
- 各プロジェクトの編集者・オーナー・管理者の一覧
- 発行済みのAPIキーと、そのキーを使っている社内ツール
- 自動チャージの月の上限と、プロジェクトごとの支出上限の設定値
- 前払いの残高と、購入したクレジットが失効する時期
APIキーは、作った人が辞めた後も残り続けます。担当者が代わるときは、キーを作り直して古いキーを削除し、社内ツールの設定も新しいキーに差し替えておくとよいでしょう。
使いすぎを止める3つの設定|前払い残高・自動チャージの月上限・プロジェクトの支出上限
使いすぎを止める仕組みは、前払いの残高、自動チャージの月の上限、プロジェクトごとの支出上限の3つになります。どれもAI Studioの画面から設定でき、会社のお金を守る歯止めとして働きます。
1. 前払いの残高が0ドルになると、全APIキーが同時に止まる
前払いでは、使った分が残高から差し引かれていきます。残高が0ドルになると、その請求先アカウントに紐付くすべてのプロジェクトのすべてのAPIキーが同時に止まり、リクエストはHTTP 402というエラーで失敗する仕組みです。前払いした額そのものが、使いすぎたときの最後の歯止めになります。裏を返せば、残高が尽きた瞬間に、社内ツールもすべて止まってしまいます。
2. 自動チャージは月の上限とセットで使う
自動チャージ(auto-reload)は、残高が減ったときに自動でクレジットを買い足す任意の機能です。止まらないように自動チャージを入れる場合は、1か月の自動チャージの上限(Monthly auto-charge limit)も設定しておきましょう。上限を決めておけば、自動で買い足される額を月ごとに抑えられます。手動で買い足した分はこの上限に数えられないため、担当者が手で追加すれば使い続けることも出来ます。
- AI Studioの[お支払い]のページを開き、[利用可能なクレジット]のカードを見る
- [オートチャージを設定]または[オートチャージを管理]を押し、お支払い方法、チャージする額、チャージを始める残高を決める
- [Monthly Limit]の欄を開き、1か月の自動チャージの上限額を入れる
3. プロジェクトごとの支出上限を決める
プロジェクト単位の支出上限は、AI Studioの[費用](Spend)のページで設定します。[月間の費用上限](Monthly spend cap)から[費用上限を編集](Edit spend cap)を選び、月の上限額を入れる流れです。設定できるのは、そのプロジェクトの編集者・オーナー・管理者の役割を持つアカウントに限られます。
ただし、この機能は試験運用版と案内されていて、請求の処理に約10分の遅れがあるため、上限を少し超えて使われることがあります。請求書で支払う請求先アカウントでは使えない点にも注意してください。
階層ごとの月の上限
自分で決める上限とは別に、請求先アカウントには階層ごとの月の支出上限があります。Tier 1(請求先アカウントを紐付けた段階)は250ドル、Tier 2(100ドルの支払いと初回の支払いから3日)は2,000ドル、Tier 3(1,000ドルの支払いと30日)は20,000ドルから100,000ドル以上と決まっています。上限に達すると翌月1日まで紐付く全プロジェクトが止まるため、利用が増えそうなら早めに引き上げを申請しておくのがよいでしょう。
この上限は、使い始めたばかりの会社ほど低く設定されています。請求先アカウントを紐付けた直後はTier 1で、月に使えるのは250ドル(1ドル=150円で計算した場合は37,500円)までです。Tier 2に上がるには、合わせて100ドルを支払い、初回の支払いから3日が過ぎている必要があります。試算の使い方3を30人で2027年から続けると月378ドルとなり、Tier 1のままでは月の途中で止まってしまいます。本番で使い始める時期が決まっているなら、その前に支払いの実績を積んでおくか、上限の引き上げを申請しておくと安心です。
10分あたりの支出の上限も、Tier 1では10ドル、Tier 2では50ドル、Tier 3では200ドルと階層で変わります。夜間に大量の処理をまとめて流すような使い方では、月の上限より先に、この10分あたりの上限に当たる場合もあるでしょう。
使った金額と残高を確かめる場所
前払いの残高と取引の履歴は、AI Studioの[お支払い]のページで確認します。Gemini APIの費用は、Google CloudコンソールのCloud Billingの費用管理のページにも、他のGoogle Cloudのサービスと並んで表示されます。ただしCloud Billingへの反映には遅れがあり、通常は1日以内、24時間以上かかることもあると案内されています。毎月の締めでは、AI Studioの残高とCloud Billingの金額の両方を見比べてみてください。
止まったときの社内の連絡の流れ
3つの歯止めは、どれも使いすぎを防ぐ代わりに、利用を止める仕組みです。社内ツールが止まったときに慌てないよう、誰が残高と上限を確かめ、誰の判断で引き上げるかを先に決めておきましょう。止まった原因が残高なのか、プロジェクトの支出上限なのか、階層ごとの月の上限なのかで、取るべき手が変わってきます。
残高が尽きた場合はクレジットを買い足せば再開でき、プロジェクトの支出上限なら上限額を編集して引き上げることになります。階層ごとの月の上限に当たった場合は、翌月1日を待つか、上限の引き上げを申請する形です。どの場合も、上限を上げる前に、なぜ見込みより多く使ったのかを確かめる手順を挟んでおくと、同じことの繰り返しを防げます。
1か月の請求の流れを、10人の会社の例で追う
3つの歯止めがどう働くかは、1か月の流れで見ると分かりやすくなります。ここでは、社員10人が試算の使い方3(社内ツールへの組み込み)で使う会社を例にとり、1ドル=150円、月20営業日で追ってみます。
この会社の使い方では、Gemini 3.8 Flashの今の単価で1日あたり約3.15ドル、1か月で63ドル(9,450円)を使う計算です。設定は、月初の前払いを50ドル、残高が10ドルを下回ったら30ドルを自動で買い足す、自動チャージの月の上限を60ドル、プロジェクトの支出上限を80ドルとしておきます。
月初に50ドルで始めると、13営業日目の終わりに残高が9.05ドルとなり、10ドルを下回ったところで自動チャージが30ドルを買い足します。月末までに使うのは合わせて63ドルで、買ったクレジットは80ドル、残高は17ドルで翌月に持ち越す形になります。自動チャージは30ドル分しか動いておらず、月の上限の60ドルにも、プロジェクトの支出上限の80ドルにも届きません。
同じ使い方を2027年1月1日からの単価で続けると、1日あたり約6.30ドルに増えてしまいます。13営業日目のうちにプロジェクトの支出上限の80ドルに届き、その月の残りの日は社内ツールが止まる計算です。単価が倍になる前に、支出上限と自動チャージの上限を見直しておきましょう。止まるのを避けたいなら上限を引き上げ、金額を抑えたいなら使い方の側を見直す、という順で考えてみてください。
この例では、前払いの残高は翌月に持ち越せても、購入から12か月で失効する点も忘れずにおきたいところです。毎月の残高が少しずつ積み上がるような設定なら、前払いの額か自動チャージの額を下げて、使い切れる範囲に収めるとよいでしょう。
経理・総務の目線で見ておきたい請求まわり
経理や総務の側から見ると、AI Studioの有料枠には、月額のサービスとは違う扱いがいくつかあります。担当者が開発の部署にいる場合でも、次の点は経理と共有しておきましょう。
まず、料金ページの価格は米ドル建てで、税についての記載はありません。円での金額は為替によって毎月変わるため、予算は少し余裕を持たせて組むのが無難です。前払いで買ったクレジットは購入から12か月で失効し、後払いへ切り替える場合を除いて返金されないため、購入した日と金額は記録として残しておくと安心できます。
勘定科目や前払いの会計処理の扱いは会社ごとの判断になるため、顧問の税理士などに確かめておくと安心です。少なくとも、購入した日、金額、どのプロジェクトのための購入か、の3点を残しておけば、後から説明に困ることは少ないでしょう。
次に、請求書で支払う(オフラインの)請求先アカウントでは、前払いもプロジェクトの支出上限も使えません。請求書払いを前提にしている会社では、この記事で紹介した歯止めの一部が使えないことになります。どの請求先アカウントで払うかは、上限の設定と一緒に決めておきたいところです。
予算の組み方としては、試算した月の見込みに、為替の動きの分のゆとりを足し、さらに2027年1月1日からのGemini 3.8 Flashの値上がりを見込んでおくのがよいでしょう。今の単価で月50ドルの見込みなら、2027年からは月100ドル近くを見ておく計算になります。年度の途中で単価が変わる会社では、4月から12月と、1月から3月で単価を分けて見積もってみてください。
最後に、Cloud Billingの費用管理のページへの反映には遅れがあり、通常は1日以内、24時間以上かかることもあると案内されています。月末の締めの直前に使った分は、翌月の集計とずれる場合もあるでしょう。AI Studioの[お支払い]のページの残高と、Cloud Billingの金額を見比べる習慣をつけておくと、ずれにも気づきやすくなります。
見積もりと実際の請求がずれたときの点検
月の請求が見積もりより大きかったときは、思い込みで原因を決めず、次の順に確かめていくと早く原因に行き着きます。
- どのプロジェクトで使った分か。請求先アカウントにつながるプロジェクトを1つずつ見る
- 出力のトークンが見積もりより多くないか。思考トークンも出力に数えられる
- Google検索のグラウンディングが、月5,000リクエストの無料分を超えていないか
- 画像の生成を、想定より高い解像度で使っていないか
- 使うモデルが、見積もりと違うものになっていないか
原因が分かったら、使い方を直すのか、上限を上げるのかを決めます。原因が分からないまま上限だけを引き上げると、翌月も同じずれが繰り返されてしまいます。
意図しない請求が起きるパターン|キーの流出・処理の遅れ・画像生成・検索
意図しない請求は、単価の高さだけでなく、止まるまでの時間差や、見えないところで増える呼び出しからも生まれます。公式の課金ドキュメントと料金ページから読み取れる注意点を、パターンごとに並べました。
APIキーが外に漏れる
APIキーは、それを持っていればプロジェクトの課金で呼び出せてしまう認証の情報です。社内ツールのソースコードに書いたまま共有したり、チャットに貼ったりすると、知らない相手に使われても請求は会社に来てしまいます。キーは保管場所を決め、使わなくなったものは削除しましょう。前払いの残高と支出上限を決めておけば、漏れたときの被害もおおよそその額までに抑えられます。
Batchやエージェントの処理が、残高や上限を超えて動き続ける
課金の処理には約10分の遅れがあり、その間は残高を超えて使われることがあると課金ドキュメントに書かれています。バッチ処理やエージェントのように長く動き続ける処理は、システムが止めるまでの間に残高を超えてクレジットを使い続ける場合があるとのことです。支出上限も同じ遅れの影響を受けるため、上限ぎりぎりまで使う設計は避けておきましょう。
画像の生成は1枚ごとに料金がかかる
画像を生成するGemini 3.1 Flash Image(Nano Banana 2)は、出力する画像1枚ごとの料金で、0.5Kで0.045ドル、1Kで0.067ドル、2Kで0.101ドル、4Kで0.151ドル相当となっています。社員30人が1人月20枚ずつ作ると月600枚で、1Kなら月40.20ドル(6,030円)、4Kなら月90.60ドル(13,590円)にのぼります。同じ枚数でも解像度を上げるだけで2倍を超えるため、資料用の画像は1Kで足りるか、先に決めておくとよいでしょう。動画のGemini Omni Flashも、無料枠の欄はNot availableと表示されています。
Google検索のグラウンディングは、月5,000回を超えると別料金
回答の根拠をGoogle検索で探すグラウンディングは、Gemini 3.xのモデルでは有料枠で月5,000リクエストまで無料で、その後は1,000リクエストあたり14ドルかかります。無料の5,000回は、3.xの全モデルで共有されます。30人が1日20回ずつ検索付きで使うと月12,000回となり、超えた7,000回分で月98ドル(14,700円)が上乗せになる計算です。1回の質問で検索が複数回行われると、その回数分の料金がかかるため、これは最小の見積もりとなります。
なお、400エラーや500エラーで失敗したリクエストは課金されませんが、回数の上限には数えられます。エラーが続いても請求は増えないものの、上限に早く当たる原因にはなってしまいます。
社員が自分のカードで有料枠を始めてしまう
AI Studioでは、請求先アカウントの作成からカードの登録、前払いまでを画面の案内に沿って進められます。そのため、社員が業務のために自分の判断で有料枠を始め、個人のカードで払っているという形も起こりえます。請求が個人に来る間は会社の経費に出てこないので、気づくのは精算の申請が届いたときや、その社員が辞めるときになりがちです。社内で有料枠を使う場合の窓口を1つに決め、個人で始める前に相談してもらう流れを作っておきましょう。
思考トークンで、出力が見えない分まで膨らむ
料金ページでは、出力の単価に思考トークンが含まれると書かれています。思考トークンは、モデルが答えを出す前に考える途中で使うトークンで、画面に出る回答には表れません。短い答えしか返ってこない使い方でも、難しい質問ほど考える量が増え、出力の請求が見た目より大きくなる場合があります。見積もりと実際の請求を比べて出力の分だけが多いときは、この思考トークンを疑ってみてください。
長い資料をGemini 2.5 Proに丸ごと読ませる
Gemini 2.5 Proの入力1.25ドル・出力10.00ドルという単価は、プロンプトが20万トークン以下の場合の金額です。20万トークンを超える長いプロンプトでは、単価が上がる区分に変わります。契約書の束や長い議事録をまとめて読ませる使い方では、1回ごとの入力が大きくなるうえ、単価の区分まで変わってしまう場合があります。長い資料を扱う前に、料金ページのその行を確かめてみてください。
自動チャージを月の上限なしで入れる
自動チャージは、止まらないための便利な仕組みである一方、月の上限を入れずに使うと、残高が減るたびにクレジットが買い足されていきます。前払いの残高が歯止めとして働かなくなり、カードの明細を見て初めて使いすぎに気づく、ということにもなりかねません。自動チャージを入れるときは、月の上限とプロジェクトの支出上限をあわせて設定するのが基本となります。
費用を抑える方法|Batch・Flex、コンテキストキャッシュ、Flash系のモデル選び
費用を抑える手は、安いモデルを選ぶこと、半額になる区分を使うこと、同じ入力を何度も送らないことの3つになります。
モデル選びでは、Gemini 3.5 Flash-Liteが入力0.30ドル・出力2.50ドルと、表の中では安い部類に入ります。要約や分類のように答えが短い作業から試し、物足りない場面だけ上のモデルに替えてみてください。
試算の使い方1を3.5 Flash-Liteで計算し直すと、1人あたり月0.86ドルとなり、30人で月25.80ドル(3,870円)に収まります。同じ使い方を3.8 Flashで続けた場合は、今の単価で月7,425円、2027年1月1日からの単価で月14,850円の計算です。答えの質が足りる作業から順にFlash-Liteへ寄せていくだけでも、年明け以降の値上がりの影響を小さくすることが出来ます。
BatchとFlexは、Standardの半額で使える区分です。Gemini 3.8 Flashなら、入力0.375ドル・出力1.875ドルまで下がります。反対にPriorityは入力1.35ドル・出力6.75ドルと割高になります。どの処理をどの区分で流すかは、組み込む担当者と相談して決めましょう。BatchとFlexは、無料枠では選べない点にもご注意ください。
コンテキストキャッシュは、有料枠で使える機能として料金ページに挙げられています。毎回同じ社内規程を読ませるような使い方では、同じ入力を繰り返し送る量そのものを見直すことが、請求を下げる近道になるでしょう。試算の使い方3でも、1回ごとの入力1万トークンが金額の大半を占めていました。
社内ツールに組み込むときの費用の設計
社内ツールにGeminiを組み込む場合は、作る段階で費用の形がほぼ決まってしまいます。試算の使い方3のように、毎回同じ長い資料を読ませる作りにすると、使う回数に比例して入力の量が膨らむためです。開発を担当する方と、次の点を最初に話し合っておきましょう。
- 1回のリクエストで読ませる資料の量を、本当に必要な部分だけに絞れるか
- 作業ごとにモデルを分けられるか(短い答えで足りる作業はFlash-Lite、難しい判断だけ上位のモデル)
- すぐに答えが要らない処理を、BatchやFlexの区分に回せるか
- 試作用と本番用のプロジェクトを分け、それぞれに支出上限を入れているか
- APIキーをソースコードに直接書かず、決めた場所で保管しているか
どれも1つずつは小さな工夫ですが、組み合わせると月の金額は数分の1まで変わることがあります。使い方3の例でも、入力1万トークンを半分に絞るだけで、入力の分の金額はそのまま半分になります。組み込みの費用は、単価より先に1回あたりの入力の量で決まります。作り始める前に、1回あたりの入力と出力のトークン数を見積もりの数字として置いておきましょう。
AI Studioの料金でよくある5つの勘違い
AI Studioの料金は、名前の似たサービスや、他社のAIの料金の仕組みと混ざって誤解されやすくなっています。社内で話をそろえるために、よくある勘違いを5つ挙げておきます。
勘違い1:Google AI Proに入れば、APIも使い放題になる
Google AI Proは個人向けの月額プランで、Gemini APIの有料枠の従量課金とは別の契約です。Proに入るとAI Studioで使えるモデルや上限は広がると案内されていますが、APIを有料枠で使った分は、請求先アカウントの前払いの残高から別に差し引かれます。
Proの月額は個人のGoogleアカウントで払う定額で、Gemini APIの請求はCloudの請求先アカウントで払う従量課金です。支払う場所も管理する画面も別のため、社内で料金をまとめるときは、2つを混ぜずに別の行で扱ってください。
勘違い2:無料枠なら、会社の情報を入れても誰にも見られない
無料枠に送った内容は製品の改善に使われ、人間のレビュアーが確認する場合もあります。規約でも、無料サービスに機密情報や個人情報を送らないよう求めています。請求が来ないことと、情報が外に出ないことは別の話として考えてください。
勘違い3:支出上限を入れれば、1セントも超えない
プロジェクトの支出上限は試験運用版の機能で、請求の処理に約10分の遅れがあるため、上限を少し超えることがあります。前払いの残高も同じで、長く動く処理では残高を超えて使われる場合があると案内されています。上限は、ぴったり止まる線ではなく、少しはみ出る前提の目安として置いておくのが安全です。
勘違い4:Google Cloudの300ドルのクレジットで試せる
2026年3月2日以降に開いたアカウントでは、Google Cloudの300ドルの無料トライアルのクレジットは、Gemini APIとAI Studioの使用料金には使えません。有料枠を試すなら、最低5ドルの前払いから始めることになります。
勘違い5:会社のGoogleアカウントなら、自動で有料の扱いになる
日本語版の規約で有料サービスの扱いになる条件として書かれているのは、Cloudの請求先アカウントを有効にすることです。英語版にはWorkspaceのenterpriseアカウントについての記述もありますが、どのエディションが当たるかの定義は見当たりません。会社のアカウントだから大丈夫と決めつけず、Gemini APIのキーのページのPlan列で確かめておきましょう。
Google AI Pro・Ultraなど月額プランとの違い
Google AI PlusやPro、Ultraは個人のGoogleアカウント向けの月額のサブスクリプションで、Gemini APIの従量課金とは別の契約になります。2026年9月18日時点の公式の料金ページでは、月額がPlus 725円、Pro 2,900円、Ultra 14,500円から(Ultra 20xは32,000円)と表示されていました。料金ページに税込か税別かの記載はありません。
AI Studioについては、Plusは制限付き、Proは拡張、Ultraは上位・最上位という段階で、使えるモデルや上限が広がると案内されています。ただし、個人のAI ProやUltraに入るとAI Studioでのデータの扱いが有料サービスになる、という公式の記述は見当たりません。月額プランに入っていても、学習に使われないとは言い切れない点に注意が必要です。
月額プランの代金を会社が負担して社員に使わせる、という考え方も出てくるかもしれません。仮に10人がProに入ると月29,000円、30人なら月87,000円になります。ただ、これは個人のGoogleアカウントで契約するプランのため、学習の設定や退職時の扱いは社員一人ひとりの手元に残り、会社がまとめて管理する形にはなりません。
会社のWorkspaceのアカウントでは、この個人向けのプランに申し込むことは出来ない仕組みです。各プランの違いはGoogle AI Plus・Pro・Ultraの比較で詳しく比べています。
無料トライアルはあるか|Google Cloudの300ドルのクレジットは使えない
Gemini APIの有料枠を試すときに、Google Cloudの無料トライアルのクレジットは使えません。Google Cloudでは新しい請求先アカウントに300ドルのウェルカムクレジットが付く場合がありますが、課金ドキュメントには、2026年3月からGemini APIの使用料金はこの無料トライアルの対象外になったと書かれています。対象外になるのは2026年3月2日以降に開いたアカウントで、AI Studioの利用料金にも使えないとの案内です。
有料枠をまず小さく試したい場合は、最低額の5ドル(1ドル=150円で計算した場合は750円)を前払いし、試作用のプロジェクトに支出上限を入れて始める方法があります。試算の使い方1なら、1人の社員が3か月ほど使える額です。ただし購入から12か月で失効するため、試すだけのつもりで大きな額を入れないようにしましょう。
試すだけなら、AI Studioの画面と無料枠で足ります。ただし無料枠では送った内容が製品の改善に使われるため、試しに使う資料も、社外に出してよいものだけにしておきましょう。
商用利用はできるか|有料枠は本番の利用を前提にした区分
料金ページは、有料枠を本番環境への展開に向けた区分として紹介しています。有料枠の説明には「Higher rate limits for production deployments」とあり、本番向けに高いレート上限が付く形になります。
一方で無料枠は、規約で機密情報や個人情報を送らないよう求められている区分です。社外向けのサービスや社内の業務に組み込むなら、有料枠に切り替え、データが改善に使われない状態にしてから使うのが筋でしょう。個々の使い方が規約に沿うかは、Gemini API追加利用規約と使用禁止ポリシーで確認してください。
顧客向けのサービスに組み込む場合は、止まるときの影響も考えておく必要があります。前払いの残高が0ドルになると、請求先アカウントに紐付くすべてのAPIキーが同時に止まり、階層ごとの月の上限に達したときも翌月1日まで止まってしまいます。社内ツールなら翌日まで待てても、顧客が使う画面が止まれば問い合わせにつながりかねません。顧客向けのサービスは社内用とは別の請求先アカウントに分け、自動チャージと上限の額にゆとりを持たせておきましょう。
有料枠を使い始める前に社内で決めておく6つのこと
有料枠を会社で使うなら、設定の前に、誰が何を持つかを決めておくのが先になります。次の6つが決まっていれば、請求とデータの両方で迷う場面が少なくなるはずです。
- 請求先アカウントの持ち主社員個人ではなく、会社の管理用のアカウントを持ち主にします。担当者は編集者などの役割で加えます。
- 支払いに使うカード会社のカードを登録し、請求が個人の立て替えにならない形にします。請求書払いのアカウントでは前払いと支出上限が使えない点も確かめます。
- プロジェクトの分け方試作・本番・部署ごとなど、用途ごとに分けます。止まると困る本番のツールは、試作とは別の請求先アカウントに置くことも考えます。
- 前払いの額と、自動チャージ・支出上限の金額12か月で失効するため、前払いは使い切れる額にします。自動チャージには月の上限、プロジェクトには支出上限を入れます。
- APIキーの保管場所と棚卸しソースコードやチャットに直接書かず、保管場所を決めます。退職・異動のときは作り直して古いキーを消します。
- 無料枠に入れてはいけない情報規約が送らないよう求める機密情報・個人情報を、社内の言葉で具体的に書き出して共有します。
6つのうち、後から直しにくいのは請求先アカウントの持ち主とカードの2つになります。使い始めてから名義を移そうとすると、プロジェクトのつなぎ替えや前払い残高の扱いまで考える必要が出てきます。最初の1プロジェクトを作る前に、この2つだけは必ず会社の側で決めておきましょう。
社内ルールの文書にまとめる場合は、生成AIの社内ガイドラインの作り方の項目に、この6つを足す形で作ってみてください。
会社で全員に配るなら|従量課金のAPIと、月額固定の法人向けAIの分け方
社員全員にAIを配る目的なら、AI Studioの従量課金で一人ひとりに使わせるより、月額が読める法人向けの環境を用意するほうが管理しやすいでしょう。AI Studioは、Gemini APIのキーを発行して社内ツールに組み込む場面には合っていますが、社員が日々使う画面としては、請求もデータの扱いもプロジェクトとアカウントの設定しだいで変わってしまいます。
全員に配るときに確かめたいのは、次の4つです。
- 入力を学習に使わない設定が、社員の操作に頼らず全員に一律でかかるか
- 誰がいつどのAIを使ったかの記録を、会社の側で持てるか
- 入社・退職のときに、管理者がアカウントを出し入れできるか
- ChatGPT・Claude・Geminiなど複数のAIを、用途に合わせて使い分けられるか
1つ目の学習の設定は、社員一人ひとりの操作に任せると、どこかで設定漏れが起きてしまいます。2つ目の記録は、情報の持ち出しを疑われたときや、取引先から利用の状況を聞かれたときに、会社として答えるための材料になります。3つ目のアカウントの出し入れは、退職した社員が会社の情報に触れ続けないための最低限の備えです。4つ目の使い分けは、調べもの、長い資料の読み込み、文章の下書きといった作業ごとに、合うAIを選べるかどうかにかかってきます。
費用の面では、従量課金は使った分だけで済む反面、使い方しだいで月の金額が読みにくくなります。試算でも、同じ30人の会社で、議事録中心なら月2,025円、社内ツールへの組み込みなら月28,350円と、使い方だけで10倍以上の開きが出ました。経理から見れば、毎月の請求額が決まっている会社定額のほうが予算は組みやすいはずです。
AI Studioをそのまま社員に使わせる場合、会社が持つ作業も増えていきます。Workspaceの管理コンソールでは、AI Studioのオン・オフを組織部門やアクセスグループの単位で切り替えられます。そのうえで、使わせる社員には会社の請求先アカウントにつないだプロジェクトを用意し、Plan列がPaidになっているかを確かめ、使う量に合わせて支出上限を見直していくことになります。人数が増えるほど、プロジェクトとキーと上限の管理が積み上がっていきます。
役割で分けるなら、開発担当がGemini APIで社内ツールを作る場所としてAI Studioを使い、社員が日々の業務で使う画面は会社定額の法人向けサービスにまとめる形が現実的です。法人向けの生成AIサービスの料金と人数の考え方は、法人向け生成AIサービスの比較で38サービスを横に並べて比べています。
従量課金が合う会社、会社定額が合う会社
従量課金のGemini APIが合うのは、使う場面が社内ツールなどに限られていて、使う量をある程度読める会社です。夜間にまとめて流す処理や、決まった件数だけ回す作業なら、支出上限と前払いの額で費用を管理しやすいでしょう。
会社定額が合うのは、多くの社員がそれぞれの仕事で日々AIを使う会社です。使う人と使い方が増えるほど、従量課金では毎月の金額が読みにくくなり、上限に当たって止まる心配も増えてしまいます。両方を組み合わせ、開発の部署はGemini APIで社内ツールを作り、社員の日々の利用は会社定額の環境にまとめる、という分け方も十分に考えられます。
学習させない・記録を持つ・全員に配るを、1つの環境で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。管理者ダッシュボードで、利用ログ・権限・モデルのON/OFFを確認・管理できます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。上限に近づくと、管理者宛に複数回メールでお知らせします。上限に達した時点で利用を停止する安全設計のため、知らないうちに超過して追加の請求が発生することはありません。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Google AI Studioは無料で使えますか?
無料枠はありますか?
無料リクエストの回数制限はありますか?
商用利用できますか?
勝手に課金されることはありますか?
Google AI Studioの料金は日本円でいくらですか?
Google AI Proに入っていれば、AI Studioで入力が学習に使われませんか?
無料トライアルや無料期間はありますか?
前払いしたクレジットは返金されますか?
利用額の上限に達するとどうなりますか?
使った料金はどこで確認できますか?
Google AI StudioとGemini APIは何が違いますか?
Gemini 3.8 Flashの料金はいつ変わりますか?
無料枠から有料枠に切り替えると何が変わりますか?
社員1人あたり月いくらかかりますか?
請求書払いで使えますか?
まとめ
Google AI Studioは、画面で使う分には無料で、お金がかかるのは請求先アカウントを紐付けたGemini APIの有料枠になります。有料枠は最低5ドルの前払いから始まり、使ったトークンの量に応じて残高から差し引かれる従量課金です。
金額はモデルと使い方で大きく変わり、Gemini 3.8 Flashの価格は2027年1月1日から倍になります。会社で使うなら、請求先アカウントを会社の名義で作り、前払いの残高・自動チャージの月上限・プロジェクトの支出上限の3つで歯止めをかけておきましょう。
無料枠に入れた内容は製品の改善に使われるため、社員が個人のアカウントで仕事の資料を入れないよう、会社として使う場所を決めておくことが出発点となります。開発の部署が社内ツールを作る場所としてはGemini APIの有料枠、社員が日々使う画面としては会社全体で管理できる環境、と役割を分けて考えてみてください。法人のAI活用に関する他の記事は、AI活用コラム一覧にまとめています。
