Google AI Studioの使い方。Geminiアプリとの違いと、会社で試す手順

Google AI Studioとは、Googleが開発者向けに用意している、Geminiのモデルを試してアプリやプログラムにつなぐための画面です。画面での利用は有料のAPIキーをつながない限り無料で、普段のメールや要約ならGeminiアプリ、業務に組み込む仕組みを試すならAI Studio、という使い分けになります。ただし無料のまま使うと入力した内容が製品の改善に使われるため、業務で試すときはダミーデータに置き換えて進めましょう。社員が先に使い始めている会社でも、確かめる順番は同じです。

Google AI Studioとは|Geminiアプリとの違い

AI Studioは、完成した対話アプリではなく、Geminiのモデルを部品として試すための作業台になります。Google Cloudの公式ブログ(2025年8月21日)は、最新のモデルを試し、プロンプト(AIへの指示文)を実験し、軽いWebアプリを作る場所として紹介しています。画面での利用については、Gemini APIの料金ページに「Google AI Studio usage is free of charge in all available regions.」と書かれており、有料のAPIキーをつながない限り料金はかかりません。

画面は大きく2つに分かれていて、指示を書いて回答を確かめるPlaygroundと、文章で説明してアプリを組み立てるBuildを行き来しながら使います。会社の担当者が最初に触るのはPlaygroundで、Buildは試作の段階に進んでからで充分でしょう。

Geminiアプリ(チャットAI)との違いは、使う場所か作る場所か

Geminiアプリは、質問を入れれば答えが返ってくる、完成したチャットの道具です。AI Studioのほうは、どのモデルにどんな指示を与えるとどう答えるかを細かく調整し、その設定をプログラムに書き出すところまでを受け持っています。メールの下書きや調べものを社員が毎日使うなら、Geminiアプリのほうが手早く使えるでしょう。一方で、問い合わせの返答を自動で作る仕組みや、議事録を決まった形に整える社内ツールを作りたいときは、AI Studioで指示の出し方を固めてから開発に渡す流れになります。

学習の扱いについても、要点だけ先にお伝えします。Gemini APIの追加利用規約では、AI Studioの直接の利用や無料枠は無料サービスとして扱われ、送信した内容と回答が製品の改善に使われます。無料のままでは、個人情報や社外秘の資料を入れないことが前提になります。設定や止め方の全体像はGoogle AI Studioに学習させないには(無料版の扱いと会社での止め方)でまとめていますので、あわせてご覧ください。

Geminiの4つの入り口、会社ではどれを使うか

社員の普段使いはWorkspace版Gemini、仕組みの試作はAI Studio、本番のシステムはGemini Enterprise Agent Platform、と分けて考えると会社では整理しやすくなります。ここでの整理は公式の比較表ではなく、Googleの各ページの説明をもとに、会社の目線で並べ直したものです。誰が使うか、何のためか、どのアカウントか、データの扱い、料金の形、の5つで順に見ていきましょう。

個人のGeminiアプリ:社員が自分のアカウントで普段のチャットに使う

個人のGoogleアカウントでGeminiアプリを使う場合、使う人は社員本人で、目的はメールの下書きや調べものといった日々のチャットになります。会社が契約しているものではないため、どんな設定で使われているかを会社が確かめる手段はありません。料金も個人が選んだプランで決まり、業務の記録が会社の手元に残らない状態です。手軽で便利でも、業務の情報を入れる先としては選ばないほうが安心でしょう。

Workspace版Gemini:会社のアカウントで社員全員が使う

Google Workspaceを契約している会社なら、会社のアカウントでGeminiアプリを使うことが出来ます。データの扱いについて、Workspaceのプライバシーハブには「お客様のコンテンツは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません」と書かれています。料金はWorkspaceのエディション(契約の種類)に含まれる形で、Business StarterはGeminiアプリでのチャットとGmailのGemini、ドキュメントなどのGeminiはStandard以上という分かれ方です。管理者が管理コンソールでGeminiアプリのオン・オフを切り替えられるので、社員の普段使いの受け皿として最初に考えたい入り口になります。

Google AI Studio:担当者が業務の仕組みを試す

AI Studioを使うのは、主に業務の仕組みを試したい担当者や開発者です。入る場所は個人のGoogleアカウントでも会社のWorkspaceアカウントでもよく、Workspaceでは全エディションで最初からオンになっています。データの扱いは、無料のままなら製品の改善に使われ、請求先を設定したCloudプロジェクトにつないだ有料サービスの扱いなら改善には使われない、という2段構えになります。料金は画面での利用が無料で、有料のAPIキーをAI Studioにつないだときに、そのキーでの利用に請求が発生する形です。

Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)との違い

Gemini Enterprise Agent Platformは、以前はVertex AIと呼ばれていたGoogle Cloudの開発基盤で、社内のシステムに生成AIを組み込んで動かすときの受け皿になります。使うのは情シスや開発会社で、Google Cloudのプロジェクトと請求先アカウントの中で動かす形です。AI Studioで固めた指示文やコードを、会社の契約と管理のもとで動かす先、と考えると分かりやすいでしょう。学習との関係は冒頭で紹介した記事で詳しく扱っていますので、ここでは役割の違いだけ押さえておけば充分です。

迷ったときに確かめる3つの質問

どれにするか迷ったら、次の3つを上から順に確かめてみてください。

  1. 使う人は社員全員か、一部の担当者か(全員ならWorkspace版Geminiが先)
  2. 目的は普段の文章仕事か、業務の仕組みづくりか(仕組みならAI Studioで試作)
  3. 試作を本番の業務システムで動かすか(動かすならGemini Enterprise Agent Platformへ)

3つ目まで進む会社は多くないので、まずは1つ目と2つ目で入り口を決めて構いません。

無料で最新のモデルが使えるから、と普段使いされやすい

AI Studioは画面での利用が無料のため、Geminiアプリの代わりに普段のチャットとして使い始める社員の方も出てきます。個人のアカウントで、取引先とのメールや社内資料をそのまま貼り付けてしまうと、その内容は製品の改善に使われる側に入ってしまいます。作業台として作られた画面を毎日の道具にすると、会社からは使い方も入れたデータも見えない状態になります。普段使いの入り口は別に用意し、AI Studioは仕組みを試す担当者の場所、と社内で役割を伝えておきましょう。

会社でAI Studioを試す前に決める3点

試し始める前に、アカウント・入れてよいデータ・APIキーと請求の持ち主の3つを先に決めましょう。どれも、試したあとから直そうとすると手間が大きくなってしまう項目ばかりになります。

1. アカウント:個人のGmailか、会社のWorkspaceアカウントか

結論から言うと、会社のWorkspaceアカウントで入るのがおすすめです。個人のGmailで試すと、作ったプロンプトや設定が個人の持ち物になり、担当者の異動や退職と一緒に会社から見えなくなってしまいます。Workspaceアカウントであれば、管理者が組織部門ごとにAI Studioのオン・オフを切り替えられ、誰に使わせるかを会社で決めることが出来ます。なお、Gemini APIの追加利用規約では18歳以上が利用の条件とされているため、学生のインターンなどに触ってもらう場合は年齢も確かめておきましょう。

2. 入れてよいデータ:無料版は入力が製品の改善に使われる

無料で使う限り、AI Studioに入れた文章やファイルは、回答と一緒に製品の改善に使われます。利用規約にも「Do not submit sensitive, confidential, or personal information to the Unpaid Services.」とあり、機密や個人情報を入れないよう求めています。試用で入れてよいのは、ダミーデータと、すでに社外に公開している資料だけと決めてしまいましょう。ここでいうダミーデータは、実在の会社名・人名・金額・日付を、すべて架空のものに置き換えた資料を指します。顧客名や社員名が入った本物の議事録やメールは、試しであっても入れないでください。社員がすでに個人で試している場合は、責めるより先に、この線引きを全員に伝えるところから始めると話が進みやすくなります。

3. APIキーと請求の持ち主:誰の名前で、どの請求先につなぐか

APIキー(プログラムからGeminiを呼び出すための鍵)は、Google Cloudのプロジェクトにひもづいて発行されるものです。Gemini APIの料金のよくある質問には、有料のAPIキーをAI Studioにつなぐと、そのキーでの利用に料金がかかると書かれています。請求先アカウントの紐付けでは、新しく始める場合の多くで最低5ドル相当の前払いが必要とも案内されているため、担当者の個人カードで始めると経費の処理まで面倒になってしまいます。キーを発行する人と、請求先にする会社のアカウントを、試す前に1つに決めておいてください。

この3つを決めないまま、社員が別々の個人アカウントで試し始めることも珍しくありません。そうなると、アカウントもデータの線引きも請求も人ごとにばらばらになり、会社として誰が何を入れたのかを追えなくなってしまいます。

人ごとにばらばらのAIの使い方を、会社の1つの環境にまとめる

アカウントやデータの線引きが人ごとに分かれる前に、使う環境を会社で1つにそろえる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

始め方とPlaygroundの基本操作

AI Studioの基本は、Playgroundで指示を書いて[実行]を押し、よければ[Get code]でコードに書き出す、という流れになります。画面の名前は、公式のクイックスタート(日本語版・最終更新2026年7月30日)の表記に合わせました。日本語版の中で英語と日本語が混ざっている箇所は、両方を書いています。

始め方:Googleアカウントでaistudio.google.comを開く

ブラウザでaistudio.google.comを開いてGoogleアカウントでログインすると、Playgroundが新しいチャットプロンプトとともに開きます。利用できる地域の一覧には日本が入っており、Gemini APIの追加利用規約(有効日2026年3月23日)では18歳以上が条件とされています。会社で試すときは、前の節で決めた会社のアカウントで入ってください。Workspaceアカウントで開けない場合は、管理者がAI Studioをオフにしている可能性があるので、情シスの担当者に確かめてみましょう。

画面の見方:中央の入力欄と、右上の[実行設定]パネル

Playgroundの中央にはやり取りが並び、[Type something...]と書かれた入力欄に依頼を書き込みます。右上の[実行設定](tuneのアイコン)を押すと設定パネルが開き、モデルの調整やツールの切り替えはここでまとめて扱う形です。中央で書いて右で整える、という位置関係だけ覚えておけば、細かな表示が変わっても迷うことは少ないでしょう。

プロンプトを入れて[実行]する基本操作

入力欄に依頼を書いたら、[実行]ボタンを押すと回答が返ってきます。続けて質問すると、それまでのやり取りがすべて次のプロンプトに含まれて送られる仕組みになっています。会話が長くなると、モデルが受け付けられる文字量(トークンの上限)に届いてしまうことがあるため、試す業務ごとに新しいチャットに分けるのがおすすめです。

[システム指示]で役割と口調を決める

[システム指示]は、モデルに役割や守ってほしい決まりを最初に伝えておく欄になります。公式のクイックスタートでも、まずシステム指示でボットの役割を決め、次に回答の長さや口調の制約を書き足す順番で説明されています。会社で試すときは、次のような書き方から始めてみてください。

あなたは総務部の担当者です。社内向けの文章を、丁寧で短い日本語で書いてください。
回答は3段落以内にしてください。
分からないことは推測せず、分からないと書いてください。

毎回同じ指示を入れ直さなくてよくなるので、業務ごとの試用ではこの欄を必ず使うことになります。

実行設定のパラメータと安全設定

実行設定パネルでは、モデルパラメータ(回答の出し方を決める数値)と安全設定を調整することが出来ます。最初は既定の値のまま試し、回答が長すぎる、毎回の揺れが大きいと感じたときだけ、1か所ずつ変えてみましょう。いくつも同時に変えると、どの変更が効いたのか分からなくなってしまいます。

Web検索(グラウンディング)などのツールを切り替える

同じパネルでは、構造化された出力、関数呼び出し、コード実行、グラウンディングのツールを入れたり切ったりします。グラウンディングは、検索結果などを回答の根拠に使う機能で、新しい情報を含む質問を試すときに役立ちます。社内の文書だけで答えさせたい試用では、オフのままにしておくほうが結果を読みやすくなります。

ファイル(画像・PDF・音声・動画)を読み込ませる

Gemini APIの公式ドキュメントでも、AI Studioで画像や音声を含むプロンプトを試すよう案内があります。同じドキュメントでは、音声の文字起こしに話者の区別やタイムスタンプを付ける例が紹介されており、対応形式はWAV・MP3・AIFF・AAC・OGG・FLAC、1回のプロンプトで最大9.5時間とされています。YouTubeの動画を読ませる機能はプレビュー(試験提供)の扱いで、公開動画に限られ、無料枠では1日8時間までという制限があります。いずれもAPIの説明なので、AI Studioの画面でどこまで同じように扱えるかは、ダミーのファイルで確かめてから判断しましょう。

モデルの選び方:回答を並べて比べて決める

AI Studioには複数のモデルが用意されていて、どれを選ぶかで回答の速さや質が変わります。迷ったら、Compare(比較)の機能が画面にあれば、同じ依頼に対する回答をモデルやプロンプトを変えて並べてみてください。ない場合は、同じ依頼をモデルを切り替えて2回実行し、回答を並べて比べる形でも足ります。Googleのリリースノート(2024年9月)では、用途に合うものを探すために、複数のモデルやプロンプトの回答を比べる機能として紹介されています。モデルの名前や世代は新しいものに入れ替わっていくので、名前で覚えるより、自社の業務の依頼を毎回同じ条件で比べるほうが確かです。

Get code(コードを取得)でプロンプトをコードに書き出す

指示と設定が固まったら、[Get code](日本語版では[コードを取得]とも表記)を選ぶと、好みのプログラミング言語でGemini APIを使い始めるためのコードが表示されます。総務や情シスの方がコードを書かない場合でも、開発会社に渡す仕様のたたき台として使えるのが便利なところです。プロンプトは保存して後で続けたり、他のユーザーと共有したりすることも出来ます。共有する前には、中にダミーではないデータが残っていないかを必ず見直してください。

APIキーの取得と、漏れたときに困ること

APIキーは、Get codeで書き出したコードを実際に動かすときに必要になる鍵です。発行は、試作をプログラムにつなぐ段階になってからで遅くありません。キーが外に漏れると、他人の利用がそのキーの持ち主の請求や利用枠に乗ってしまいます。ソースコードや共有のドキュメントに直接書き込まず、使わなくなったキーは削除する、という扱いを社内の決まりにしておきましょう。

Buildでノーコードにアプリを作るときの共有の注意

Buildは、作りたいものを文章で説明すると、Geminiがアプリを組み立ててくれる機能になります。公式の説明では、Webアプリ(React+Node.js)とAndroidアプリ(Kotlin/Jetpack Compose)に対応し、ZIPでのダウンロードやGitHubとの連携も用意されています。作ったアプリは最初は非公開の状態で、他の人と共有することも出来ます。

気を付けたいのは、共有したアプリが使われたときも、そこから呼ばれるAPIの回数は作った人の利用枠に数えられる点です。有料のモデルを使えば費用がかかることがあり、その場合は設定のときと共有の前にAI Studioが知らせてくれます。APIキーはサーバー側に入れられ、画面側のコードには含まれない仕組みと説明されています。Cloud Runで公開すると使った分の料金がかかる場合もあるため、会社では社内での試用にとどめておくと安心でしょう。

画像・動画の生成や音声の機能は後回しでよい

Playgroundには、チャットのほかにもリアルタイムのストリーミングや動画生成などの選択肢が並んでいます。画像や動画の生成は話題になりやすい機能ですが、総務・情シスの方が最初に確かめたい文章の業務とは別の話になります。費用の考え方もモデルごとに違うので、試すなら料金の扱いを先に確かめてからにしてください。

業務別の試し方|ダミーデータで4つの仕事を試す

業務での試用は、本物のデータを作り物に置き換えるところから始めるのが基本になります。ここでは議事録・PDF要約・FAQ文面のチェック・メール下書きの4つを、用意するもの、使う画面、終わったら片付けるもの、の順に並べました。どれも短い時間で試せるので、気になるものから手を付けてみてください。

議事録の文字起こしを試す

ダミーの会議は、2〜3人で台本を読み上げて1〜2分録音すれば作れます。台本には実在しない会社名と人名を使い、金額や日付もでたらめなものにしておきましょう。Playgroundで新しいチャットを開き、入力欄からダミーの録音ファイルを添付できるか確かめ、添付できたら次のような指示で試してみてください。

添付の音声を文字に起こしてください。話者ごとに分けてください。
最後に、決まったこと・宿題・期限を箇条書きでまとめてください。

見るべきなのは、話者の取り違えと、言っていない数字が紛れ込んでいないかの2点になります。終わったら、保存したプロンプトとチャットを削除し、録音ファイルも手元から消しておけば後に何も残りません。

録音を用意する手間を省きたいなら、自社がすでに公開しているYouTubeの説明動画を材料にする方法もあります。Gemini APIの説明では、読ませられるのは公開動画だけで、限定公開や非公開の動画は対象外とされています。社内向けの限定公開動画で試そうとしてもうまくいかないので、最初から公開済みのものを選んでおきましょう。

PDF要約を試す

PDFは、自社のWebサイトにすでに載せている会社案内や、公開済みの資料を使うのが手軽です。社外秘の規程や契約書は、表紙だけ差し替えても中身が残るので使わないでください。

添付のPDFを、新入社員向けに300字で要約してください。
PDFに書かれていないことは書かないでください。
最後に、要約に使ったページ番号を書いてください。

要約と元のPDFを並べて、書かれていないことを足していないか、ページ番号が合っているかを確かめてみましょう。ここで作り話が混ざるようなら、指示文の書き方か、モデルの選び方を見直す合図になります。

FAQ文面のチェックを試す

社内のよくある質問の回答文を、言い回しの揃い方や分かりにくさの点で見てもらう使い方です。使う文面は、すでに社外向けに公開しているFAQか、架空の手続きで新しく書いたものにしてください。

次のFAQの回答を読み、①分かりにくい表現、②回答どうしで食い違っている箇所、③敬語の揺れを指摘してください。
書き直し案は、元の文と並べて示してください。

指摘の当たり外れを数えておくと、どのくらい任せられるかを社内に説明しやすくなります。

メール下書きを試す

取引先へのお礼や日程調整のメールは、相手の名前を架空のものにすれば、ダミーでも本番に近い試し方が出来ます。

架空の取引先「株式会社サンプル商事 山田様」に、打ち合わせのお礼と、次回の日程の候補を3つ伝えるメールを書いてください。
署名は「総務部 担当」としてください。

同じ依頼をGeminiアプリにも入れて、どちらの文面が自社に合うかを比べてみるのも分かりやすい試し方です。メールのように毎日の仕事で使うものは、AI Studioで作り込むより、会社のアカウントのGeminiアプリで使うほうが手間は少なくなります。

試し終わったら片付けるもの

4つを試し終わったら、保存したプロンプト、共有したリンク、Buildで作ったアプリ、発行したAPIキーが残っていないかを確かめましょう。試用の記録としては、どの業務をどのモデルで試し、何点だったかを社内の表に残しておけば充分です。

15分の試用チェックリスト

初めて触る日は、次の順に15分で一通り試し、最後の項目で合否を決めるのがおすすめです。時間を区切って触ると、機能の多さに迷い込まずに試せます。

  • 0〜2分:会社のアカウントでaistudio.google.comを開く開けない場合は、管理者がAI Studioをオフにしていないかを情シスに確かめます。
  • 2〜4分:[実行設定]を開き、[システム指示]に役割と口調を書く前の節のひな形をそのまま使って構いません。
  • 4〜6分:ダミーの依頼を[Type something...]に入れて[実行]を押す同じ依頼を3回実行し、回答が大きく揺れないかを見ます。
  • 6〜9分:ダミーのPDFか録音ファイルを添付して試す書かれていないことや、言っていない数字が混ざらないかを確かめます。
  • 9〜11分:回答を並べて比べるモデルかプロンプトを1つだけ変えて、違いを見比べます。
  • 11〜12分:[Get code]を押して、書き出されるコードを眺める開発会社に渡すときの形を、一度見ておくだけで充分です。
  • 12〜15分:回答の安定性・日本語の自然さ・入力データの扱いで合否をつける揺れが小さいか、社内の文書としてそのまま読めるか、ダミー以外を入れていないか、の3点です。
  • 終わりに:保存したプロンプト・共有リンク・APIキーを片付ける残ったものは、試した担当者が自分で削除します。

3点のうち1つでも引っかかったら、その業務はまだAI Studioで作り込む段階ではないと考えてよいでしょう。合格した業務だけを、次の段階に進める候補として残してください。

試した結果を社内で共有するときの書き方

試用の結果は、上司や情シスにそのまま渡せる短い報告にまとめておくと、次の判断が早くなります。書く項目は、試した業務、使ったデータ、合否とその理由、次にやること、の4つで足ります。

【AI Studio 試用報告】
試した業務:会議の議事録づくり(ダミーの録音2分)
使ったデータ:台本を読み上げた架空の会議のみ(実データなし)
結果:話者の分け方は良好、金額を1か所取り違え → 条件付きで合格
次にやること:金額の読み上げ方を変えて再試行、本番の議事録で使う環境を相談

入れたデータの欄を必ず設けておくと、ダミー以外を入れていないことを後から説明できるようになります。

管理者がAI Studioをオン・オフする手順

Workspaceを使っている会社では、AI Studioは全エディションで最初からオンになっているため、使わせるかどうかは管理者が決めることになります。公式の案内でも、全てのWorkspaceユーザーが既定でAI Studioを使える状態とされています。

管理コンソールでの切り替え手順

  1. 管理コンソールにログインする
  2. [アプリ]→[その他の Google サービス]→[AI Studio]を開く
  3. [サービスのステータス]で[オン]か[オフ]を選ぶ
  4. [保存]を押す

切り替えは組織部門やアクセスグループの単位で出来るので、試用する担当者のグループだけオンにして、ほかはオフにしておく運用も選べます。オフにされた社員が開くと、「We are sorry, but you do not have access to Google AI Studio. Please contact your Organization Administrator for access.」と表示されます。問い合わせが来たときに慌てないよう、この表示の意味を社内のヘルプにも書いておきましょう。学校向けのGoogle Workspace for Educationでは、18歳未満のユーザーはAI Studioの利用が制限される扱いです。

Geminiアプリのオン・オフも同じ画面で確かめる

会社のアカウントでのGeminiアプリも、既定で組織のユーザーが使える状態になっています。英語表示の管理コンソールでは、Menu > Generative AI > Gemini app > Service status から切り替えられます。AI Studioだけを止めてGeminiアプリを開いたままにすると、社員の普段使いはそちらに流れるので、2つの設定はそろえて考えてください。

社員がすでに使い始めていたら

オフにする前に、誰が何の目的で使っているかを聞いてみるのが先になります。止めるだけだと、個人のGmailで同じことを続ける方が出て、かえって会社から見えなくなってしまいます。会社として試す場を用意し、入れてよいデータの線引きと一緒に伝えれば、使い方を公認の環境へ寄せていくことが出来ます。見えないところで使われるAIの全体像は野良AI(シャドーAI)の対策で整理しています。

料金・回数制限・商用利用・スマホの扱い

料金の細かな数字は別の記事に分け、ここでは試す前に知っておきたい点だけをまとめます。

無料で使えるが、回数制限(レート制限)がある

画面でのAI Studioの利用は無料ですが、一定の時間に送れる回数には制限があります。公式のドキュメントでは、制限は利用の段階などいくつかの条件で決まり、AI Studioの中で確認できると説明されています。上限に当たったら、有料に切り替える前に、試す業務を絞り込めないかを考えてみましょう。有料枠の仕組みや請求先の設定は、Google AI Studioの料金(無料で使える範囲と有料に切り替わる条件)で詳しく扱っています。

商用利用は利用規約で確かめる

仕事の成果物に使ってよいかは、Gemini APIの追加利用規約(有効日2026年3月23日)を読んで確かめるのが確実です。無料と有料でデータの扱いが変わる点も同じ規約に書かれているので、法務や顧問の専門家と一緒に読んでおくと安心でしょう。

スマホで使えるか

Googleは2026年5月のI/Oに合わせて、AI Studioのスマホ向けアプリの事前登録の開始を発表しています。会社での試用は、パソコンのブラウザで進める前提で計画しておくのが無難です。

※料金・利用条件・画面の名前は、2026年10月4日時点でGoogleの公式ページ(Gemini APIのドキュメント・料金ページ・追加利用規約、Google Workspace管理者ヘルプ)に記載されている内容です。画面や条件は変わることがあるため、試す前に公式ページで最新の内容をご確認ください。

試したあと、会社で安全に使うには

試用で手応えがあったら、次に決めるのは、社員が毎日使う環境をどう整えるかになります。AI Studioは仕組みを試す場所なので、そのまま全社員の普段使いの道具にすると、学習の扱いもアカウントも人ごとにばらつきやすくなってしまいます。会社で安全に使うには、少なくとも次の4つが会社の手元にそろっている状態を目指してください。

  • 入力したデータが学習に使われない設定が、社員ごとの操作に頼らず全員に効いていること
  • 誰が・いつ・どのAIを使ったかを、会社側で記録として確かめられること
  • 入社や退職に合わせて、会社がアカウントを配ったり止めたりできること
  • 用途に合わせてGemini以外のAIも使い分けられ、使わせるAIを会社が選べること

4つをGoogleの製品だけでそろえるなら、Workspace版Geminiを普段使いに、AI StudioとGemini Enterprise Agent Platformを仕組みづくりに、と役割を分けて管理することになります。ChatGPTやClaudeも併せて使いたい場合は、サービスごとに契約と設定が増えていくため、複数のAIを1つの環境で扱う方法も選択肢に入ってきます。考え方は複数の生成AIを1つの環境で使うマルチAIで、社内ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で紹介しています。

AI Studioで作ったものを本番に移すとき

試作がうまくいったら、Get codeで書き出したコードや固めた指示文を、開発会社や社内の開発担当に渡す段階に進みます。このとき、試作に使った個人のAPIキーやプロジェクトをそのまま本番に流用しないことが大切です。本番で動かすなら、会社の請求先アカウントにつないだプロジェクトで、有料サービスの扱いになっていることを確かめてから切り替えてください。Buildで作ったアプリをCloud Runで公開する場合も、誰の請求に乗るのかを先に決めておけば、後から費用の行き先で揉めることはありません。

Geminiも、ChatGPTも、会社の管理のもとで

UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面では「誰が・いつ・どのAIを・どう使ったか」を一覧で確かめられ、使わせるAIも会社が選べます。会話履歴と利用ログは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。

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よくある質問

Google AI StudioとGeminiアプリは何が違いますか?
Geminiアプリは、質問を入れると答えが返ってくる完成したチャットの道具です。Google AI Studioは、Geminiのモデルに与える指示や設定を試し、その内容をコードに書き出してアプリやプログラムにつなぐための画面です。普段のメールや要約ならGeminiアプリ、業務に組み込む仕組みを試すならAI Studio、という使い分けになります。
Google AI Studioを使うのにプログラミングの知識は必要ですか?
画面で試すだけなら必要ありません。Playgroundでは入力欄に依頼を書いて[実行]を押すだけで回答を確かめられ、Buildでは作りたいものを文章で説明するとGeminiがアプリを組み立てます。プログラムの知識が要るのは、[Get code]で書き出したコードを自社のシステムで動かす段階からです。
Google AI Studioは無料で使えますか?
画面での利用は無料です。Gemini APIの料金ページには、利用できるすべての地域でAI Studioの利用は無料と書かれています。ただし一定の時間に送れる回数には制限があり、有料のAPIキーをつなぐと、そのキーでの利用には料金がかかります。
会社の機密情報を入れても大丈夫ですか?
無料のまま使う場合は入れないでください。Gemini APIの追加利用規約では、無料サービスに送った内容と回答は製品の改善に使われ、機密や個人情報を送らないよう求めています。会社で試すときは、ダミーデータか、すでに社外に公開している資料だけを使うのが安全です。
管理者が社員にAI Studioを使わせないようにできますか?
Google Workspaceの管理コンソールで切り替えられます。[アプリ]→[その他の Google サービス]→[AI Studio]→[サービスのステータス]でオンかオフを選び、[保存]を押します。組織部門やアクセスグループの単位で設定できるため、試す担当者だけにオンにする運用も出来ます。
Vertex AIとAI Studioはどう違いますか?
Vertex AIは現在Gemini Enterprise Agent Platformと呼ばれているGoogle Cloudの開発基盤で、会社の契約と管理のもとで生成AIを社内システムに組み込んで動かすときに使います。AI Studioはモデルや指示を手軽に試す場所で、Gemini Enterprise Agent Platformは、そこで固めた内容を本番で動かす先という関係になります。
Google AI Studioはスマホで使えますか?
Googleは2026年5月に、AI Studioのスマホ向けアプリの事前登録の開始を発表しています。会社で試す場合は、パソコンのブラウザで進める前提で考えるのが無難です。

まとめ

Google AI Studioは、Geminiのモデルを試してアプリやプログラムにつなぐための画面で、普段のチャットに使うGeminiアプリとは役割が違います。会社では、社員の普段使いをWorkspace版Gemini、仕組みの試作をAI Studio、本番のシステムをGemini Enterprise Agent Platformに、と分けて考えると整理しやすくなるでしょう。

試す前には、会社のアカウントで入ること、入れるのはダミーデータと公開済みの資料だけにすること、APIキーと請求の持ち主を1つに決めること、の3つを決めておいてください。手順はPlaygroundで[システム指示]を書き、[実行]で試し、モデルを替えた回答を比べ、[Get code]で書き出す流れになります。15分のチェックリストで回答の安定性・日本語・データの扱いを見て、合格した業務だけを次に進めましょう。

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