プロジェクト管理AIの使い方。進捗報告の集約から議事録・課題表まで

プロジェクト管理AIとは、複数の人が関わる案件で、進捗の集約や議事録と課題表の作成、関係者への状況報告といった管理の作業を、生成AIやツールに組み込まれたAIに手伝わせる使い方のことです。専任のプロジェクトマネージャー(PM)がいない会社ほど、兼任のまとめ役の手間が減る効果を感じやすくなります。ただし、判断と責任は人に残り、案件の情報をどのAIに入れるかは会社として決めておく必要があります。

プロジェクト管理AIとは|専任のPMがいない会社で役に立つ理由

プロジェクト管理AIは、AIが案件を管理してくれる仕組みではなく、まとめ役が抱える「集める・整える・書く」作業を肩代わりする道具になります。

そもそもプロジェクト管理とは、決められた期限と予算の中で、求められた品質の成果を出すために、作業と人と情報を段取りする仕事です。日本では、品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の頭文字をとったQCDを守ることが中心だと説明されることが多くなります。

社員10〜200名の会社では、専任のPMを置かず、部長や総務の担当者、現場のリーダーが本業と兼任でまとめ役を務めることが少なくありません。兼任のまとめ役が多くの時間を取られるのは、判断そのものより、メンバーの報告を集めて読み、表に直し、上に説明する作業となってしまいます。

生成AIが力を発揮するのは、まさにこの部分です。ばらばらの文章を決まった形に整える、長い会話から決まったことと宿題を抜き出す、同じ内容を相手に合わせて書き直す、といった作業は、指示の出し方さえ決めれば短い時間で下書きを作ることが出来ます。

一方で、どの作業を優先するか、遅れをどう取り戻すか、顧客に何を約束するかは、人が決めることになります。AIの出力は下書きであり、配る前に必ずまとめ役が読んで直す、という線を最初に引いておきましょう。

なお、個人が自分のタスク一覧を整理する使い方はAIタスク管理、日報や週報のひな形はAIで報告書を作る方法で扱っています。ここでは、関係者が複数いる案件をまとめる場面に絞って話を進めます。

プロジェクト管理にAIを使うメリット

大きなメリットは、まとめ役の作業時間が減り、その分を判断と関係者との対話に回せることです。

集約と清書の時間が短くなる

5人のメンバーから届く週次の報告を読み、1枚の状況報告に書き直す作業は、手作業だと毎週まとまった時間がかかります。AIに決まった形式で整理させれば、まとめ役は出来上がった下書きを確かめて直すだけで済むようになります。

報告の形がそろい、抜け漏れに気づきやすくなる

同じ指示文で毎週作らせると、報告の項目と順番が固定されます。先週あった課題が今週の報告から消えている、といった変化も見比べやすくなり、放置された課題を見つける手がかりにもなってくれます。

相手に合わせた書き分けが速くなる

経営者には結論と判断してほしいこと、顧客には約束した日程と次に必要な協力というように、同じ進捗でも伝える相手によって書き方は変わります。AIは元の情報を変えずに言い回しと粒度だけを変える作業が得意で、書き分けの手間を減らすことが出来ます。

海外の調査に見る効果と課題

英国の専門職団体APM(Association for Project Management)は、2025年9月9日に公表した調査で、プロジェクトの専門職の70%が、所属する組織でAIを使っていると回答したと発表しています。調査は調査会社Censuswideが実施し、さまざまな業種のプロジェクト専門職1,000名が回答しました。同団体が2023年に行った調査では36%だったため、2年でおよそ2倍になった計算です。

AIの導入で効果が出たと答えた機能割合
タスクとスケジュールの自動化50%
人員などの資源の割り当て50%
リスクの分析と予測50%
報告書とダッシュボード49%
関係者とのコミュニケーション43%

※出典:APM「AI use in Project Management nearly doubles in just two years, APM survey finds」(2025年9月9日公表)。表の割合は、所属する組織ですでにAIを使っている回答者に聞いたものです。APMは英国の団体で、回答者はプロジェクトの専門職のため、日本の中小企業とは母集団が異なります。調査の実施時期は公表資料に記載がありません。2026年9月27日に原文を確認しました。

同じ調査では、AIを使っている回答者の49%が技術的な知識と研修を、44%がセキュリティとデータプライバシーを、41%がAIの不正確さや信頼性を課題に挙げています。効果を感じる組織が多い一方で、情報の扱いと出力の確かさは課題として残っていると読み取れます。この2つへの備えは、後半の判断表と注意点の節で具体的に取り上げます。

立上げから終結まで|段階ごとにAIに任せる作業と人が決めること

どの段階でもAIに任せてよいのは材料を集めて形を整える作業で、目標・優先順位・約束の中身を決めるのは人になります。

段階AIに任せる作業人が決めること
立上げ依頼内容や打合せのメモから、目的・前提・制約の整理案を作る。関係者の一覧と、それぞれの関心ごとを洗い出す目的と成功の基準、予算の枠、誰が最終的に決めるか
計画成果物と作業の分解(WBS)のたたき台、スケジュール案、起こりうるリスクの一覧案を作る作業の抜けと順番の最終判断、担当と期限、リスクの優先度
実行・監視進捗報告の集約、議事録と課題表の作成、遅れの兆しの洗い出し、関係者向けの報告文の下書き遅れへの手の打ち方、人や費用を追加するか、顧客への説明の中身
終結計画と実績の差、課題表の履歴から振り返りの材料を整理する。完了報告の下書きを作る案件の評価、次の案件に持ち越すルール

業界団体の資料にも、段階ごとにAIの使い方を整理しようとする動きがあります。PMI日本支部のAI@Workは「プロジェクトマネジメントにおけるAI活用ガイド」を公開しており、立上げの段階について、目的や前提・制約を整理する手順と、成果物の構成(PBS)を洗い出す手順を、利用するプロンプトとあわせて示しています。整理のコツとして挙げられているのは、PESTELやSQCDといった広く知られた枠組みに沿うことです。

一方で、同じページでは、立上げの中の実行方案の計画と、実行・監視コントロール・終結の各段階が、いずれもガイドラインを整備中と記載されています。立上げより後の段階は、今のところ実務の側で工夫して埋めていくことになるでしょう。実行と監視の段階こそ、兼任のまとめ役の手間が積み上がりやすい場面です。次の節からは、この段階を中心に具体的な使い方を見ていきましょう。

※PMI日本支部のガイドの内容は、2026年9月27日時点で同ページ(https://www.pmi-japan.org/aiatworkcommunity/aiinpmguide/)に掲載されている範囲です。

プロジェクト管理でのAIの具体的な活用方法6つ

複数人で動く案件で効果が出やすいのは、次の6つの場面です。

場面AIに渡すもの出てくるもの
1. 進捗報告の集約各メンバーの報告文1枚の状況報告
2. 議事録と課題表会議の録音か文字起こし決まったことと宿題の一覧(担当・期限つき)
3. 相手別の状況報告集約した状況報告経営者向け・顧客向けの文
4. WBSとスケジュール案目的・成果物・期限・人員作業の分解と日程のたたき台
5. リスクと遅れの洗い出し課題表と進捗の推移遅れの兆しと確認すべき点
6. 終了時の振り返り計画と実績、課題表の履歴振り返りの論点と次回のルール案

1〜3は毎週くり返す作業なので、指示文を決めて使い回すと効果が大きくなります。それぞれ後の節で指示文と例を載せ、ここでは4〜6の要点を先に取り上げます。

WBSとスケジュール案のたたき台

WBS(作業分解構成図)とは、成果物を作るのに必要な作業を、担当と期限を割り当てられる大きさまで分けた一覧のことです。AIに目的・主な成果物・最終の期限・使える人員を渡すと、作業の分解と大まかな日程の案を出してくれます。

次の案件のWBS(作業分解)とスケジュールのたたき台を作ってください。
・目的:〔案件の目的〕
・主な成果物:〔成果物〕
・最終期限:〔日付〕
・使える人員:〔役割と人数〕

条件:
・作業は、担当と期限を1つずつ割り当てられる大きさまで分ける
・社内の承認や社外の確認待ちが入りそうな作業には印を付ける
・前後関係(この作業が終わらないと始められない作業)を列で示す
・分からない前提は推測で埋めず、確認したい点として最後にまとめる

出てきた案は、そのまま使うのではなく、抜けている作業と、社内の事情で順番を入れ替えるべき作業を探す材料にしてみてください。特に、社内の承認待ちや社外とのやり取りにかかる日数はAIには分からない部分が多く、人が書き足す必要が出てきます。

リスクと遅れの兆しの洗い出し

毎週の課題表と状況報告をAIに渡し、期限を過ぎた課題、何週も続いている課題、担当が決まっていない課題を指摘させると、遅れの兆しを早めに拾いやすくなります。計画の段階では、似た種類の案件で起きやすい問題を挙げさせ、自社の案件に当てはまるものを人が選ぶ使い方も出来ます。AIが挙げるリスクには一般論も混ざるため、優先度を付ける作業はまとめ役の仕事として残しておきましょう。

プロジェクト終了時の振り返り

案件が終わったら、最初の計画、実際の日程、課題表の履歴、主な議事録をまとめてAIに渡し、計画とずれた点と、その原因になった出来事を時系列で整理させます。人が集まる振り返りの会議は、この整理を読んだうえで、次の案件で変えることを決める場にすると短時間で終わります。決まったルールを次の案件の指示文やひな形に書き足していけば、会社の中に進め方の知恵が残っていきます。

指示文と議事録の置き場所を、会社で1つにそろえる

進め方の知恵を社員ごとのアカウントに散らさず、使う環境を会社で1つに決めるのが近道です。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

進捗報告の集約|指示文のひな形と入力例・出力例

ばらばらの進捗報告を1枚にまとめるには、報告を貼る前に、出力の形式と、推測で埋めないという条件を指示文で固定しておくのが要点です。

以下は、そのまま貼って使える指示文のひな形になります。〔〕の部分を案件に合わせて書き換えてみてください。

あなたはプロジェクトの進捗をまとめる担当です。
以下のメンバーの報告をもとに、今週の状況報告を作ってください。

【出力の形式】
1. 全体の状況(順調/注意/遅れ のいずれかと、その理由を2行以内)
2. 今週終わったこと
3. 来週やること
4. 課題と遅れ(表:課題/担当/期限/状態)
5. 判断が必要なこと(誰に何を決めてほしいか)

【条件】
・報告に書かれていないことは推測で補わない
・日付や数字は報告の表記のまま写す
・報告どうしで食い違う点は、どちらが正しいか決めずに「確認が必要」として挙げる
・担当や期限が書かれていない課題は「未定」と書く

【今週の報告】
〔メンバーの報告を貼る〕

入力例(架空の案件)

例として、社員60名の架空の会社「サンプル製作所」が進めている、受発注システムの入れ替え案件を使います。メンバーは総務のまとめ役、経理担当、営業担当、情報システム担当、外部の導入支援会社の5者です。会社名・案件名・内容は、どれも説明のために作った架空のものになります。

経理担当:月次の請求データを新システムに移す試験は、9月分まで終了。10月分はデータの形式が違うため止まっている。導入支援会社に確認中。
営業担当:営業部内の説明会は2回のうち1回が終了。2回目は10月8日予定。受注入力の画面が旧システムと違い、戸惑う声が多い。
情報システム担当:社内ネットワークの設定は完了。ログイン用のアカウントは45名分を発行済み、残り15名分は部署からの名簿待ち。
導入支援会社:10月分のデータ形式の件、回答は10月3日まで。本番の切り替えは予定どおり10月20日の想定。
総務(まとめ役):切り替え日の社内告知は未着手。

出力例

上の指示文と報告を渡すと、たとえば次のような形の下書きが出来上がります。説明のために作った例で、実際の出力は使うAIや日によって変わります。

1. 全体の状況:注意
10月分のデータ移行が形式の違いで止まっており、10月3日の回答の内容によっては10月20日の切り替えに影響する可能性があります。アカウント15名分も名簿待ちです。

2. 今週終わったこと
・9月分までの請求データの移行試験(経理)
・営業部内の説明会1回目(営業)
・社内ネットワークの設定、アカウント45名分の発行(情報システム)

3. 来週やること
・10月分のデータ形式について回答を受け取る(導入支援会社、10月3日まで)
・営業部内の説明会2回目(10月8日予定)

4. 課題と遅れ
課題|担当|期限|状態
10月分データの形式違い|導入支援会社・経理|10月3日(回答)|確認中
アカウント15名分の名簿|各部署|未定|名簿待ち
受注入力画面への戸惑い|未定|未定|対応未定
切り替え日の社内告知|総務|未定|未着手

5. 判断が必要なこと
・名簿の提出期限を決め、各部署に伝える人を決めること
・10月3日の回答で移行が間に合わない場合に、切り替え日を動かすかどうか

出力を見ると、報告では別々に書かれていた10月3日の回答と10月20日の切り替えが結び付けられ、判断が必要なことが独立した項目として出ています。期限が未定の課題が3つ並んでいるのは、報告に期限が書かれていなかったためです。担当と期限が空いた欄は、AIではなくまとめ役が埋めるところになります。この下書きを会議の前に配り、未定の欄を会議で埋めていくと、会議そのものも短くなっていきます。

会議の録音から議事録と課題表を作る手順

会議の録音から課題表まで作るときは、議事録を作る段階と、議事録から課題を抜き出す段階を分けて指示するのが確実です。

1回の指示で全部をやらせると、要約に気を取られて担当や期限の抜けが増えやすくなります。手順は次の4段階で進めます。

  1. 録音の前に、参加者へ、録音してAIで文字起こしや要約をすることを伝え、了承を得る
  2. 録音か文字起こしをAIに渡し、発言の要約ではなく、議題ごとの結論・決まらなかったこと・次回までの宿題に分けて議事録を書かせる
  3. できた議事録を、同じ会話の中で課題表の形に直させる
  4. まとめ役が録音と照らして担当と期限を確かめ、参加者に配る

音声ファイルをそのまま読み込めるかどうかは、使うAIやプランによって違います。読み込めない場合は、会議ツールの文字起こし機能で文字にしてから貼る形でも、同じ手順を使うことが出来ます。

議事録から課題表を作る指示文

次の議事録から、課題表を作ってください。
列は「番号/課題/担当/期限/状態/出典(議事録のどの議題か)」とします。

条件:
・担当と期限は、会議の中で名前と日付がはっきり出たものだけを書く
・はっきりしないものは空欄にせず「要確認」と書く
・状態は、未着手/対応中/完了 のいずれかにする
・前回の課題表がある場合は、今回の議事録で完了した課題を「完了」に変え、新しい課題を下に足す

【議事録】
〔議事録を貼る〕

【前回の課題表(あれば)】
〔前回の表を貼る〕

課題表の例(架空の会議)

先ほどのサンプル製作所の定例会議から作った場合、課題表は次のような形になります。

番号課題担当期限状態出典
110月分データの形式違いへの対応案導入支援会社10月3日対応中議題1 データ移行
2切り替え日の社内告知文の作成総務10月10日未着手議題3 社内への周知
3受注入力画面の操作手順書要確認要確認未着手議題2 営業部の説明会
4未提出の名簿15名分の督促情報システム10月6日対応中議題4 アカウント発行

※会社名・会議の内容・日付はすべて架空の例です。

表の中の要確認は、会議で決め切れなかった印として読みます。配る前にまとめ役が担当を決めて埋めるか、次の会議の最初の議題に回しましょう。前回の表を毎回いっしょに貼れば、課題は完了するまで表に残り続けるので、言いっぱなしの宿題が消えにくくなっていきます。

録音を扱うときは、社外の方が参加する会議ほど慎重さが求められます。取引先との会議を録音してAIに渡す場合は、録音してよいかに加えて、AIで文字起こしや要約をすることも含めて了承を得ておきましょう。録音データと文字起こしをどこに保存し、いつ消すかも、案件の始めに決めておくと説明しやすくなります。

経営者向け・顧客向けに同じ進捗を書き分ける

同じ状況報告から相手別の文を作るときは、事実は変えず、相手が知りたいことの順番と言葉だけを変えるよう指示します。

経営者が知りたいのは、予定どおりに進んでいるか、お金や人を追加で出す判断が要るか、の2点であることが多くなります。顧客の関心は、約束した日程が守られるかと、自社側で何をいつまでに用意すればよいかに向きがちです。この違いを指示文に書き込んでおくと、1つの報告から2通りの文を一度に作れます。

次の状況報告をもとに、2種類の文を作ってください。
事実・日付・数字は変えないでください。報告にない約束や見込みを書き足さないでください。

A:社長あての報告(5行以内)
・1行目に、予定どおりか、遅れの恐れがあるかを書く
・判断してほしいことを、選択肢の形で示す
・社内の担当者名は役割名にする

B:取引先の担当者あてのメール本文
・丁寧な敬語で書き、社内の事情(担当者の不在や部署間の調整など)は書かない
・先方にお願いしたいことと、その期限を箇条書きにする
・未確定のことは未確定と書き、日付を約束しない

【状況報告】
〔集約した状況報告を貼る〕

先ほどの出力例を渡した場合、社長あての報告は、切り替え日に影響が出る恐れがあることを1行目に置き、10月3日の回答しだいで切り替え日を動かすかどうかを選択肢で尋ねる形になります。取引先あての文では、10月分のデータ形式について10月3日までの回答をお願いする内容が中心になり、社内の名簿の遅れには触れない形に整います。

顧客向けの文で気をつけたいのは、AIが丁寧に整えるあまり、まだ決まっていない日程を決まったように書いてしまう場面です。指示文に未確定のことは未確定と書く条件を入れても、送る前に日付と約束の言葉は必ず人が読み直してください。社外に出す文は、AIの下書きをそのまま送らないことを決まりにしておきましょう。報告書そのものの型を整えたい場合は、AIで報告書を作る方法も参考になります。

プロジェクト管理AIツールの種類|ツール内蔵のAIと汎用の生成AIの選び方

プロジェクト管理に使うAIは、タスクや課題を管理するツールに組み込まれたAIと、ChatGPT・Claude・Geminiのような汎用の生成AIの2種類に分けられ、どちらを主に使うかは案件の情報がどこにあるかで決まります。

比べる点プロジェクト管理ツール内蔵のAI汎用の生成AI
得意なことツールに登録済みのタスクや課題の要約、課題の下書き、担当や期限の整理形式の決まっていない文章の整理、議事録、相手別の書き分け、WBSのたたき台
前提になること案件の情報がそのツールに入っていること必要な情報をその都度渡すこと
向いている会社すでにタスク管理ツールをメンバー全員が使っている報告がメール・チャット・口頭に散らばっている
確かめる点使えるAI機能と追加料金は、ツールとプランによって異なる誰がどのアカウントで使うかを、会社で決める必要がある

専任のPMがいない会社では、タスク管理ツールを一部の人しか使っていない、あるいはまだ導入していない場合も多く見られます。その場合は、まず汎用の生成AIで報告と議事録の整理から始めるほうが現実的でしょう。すでにツールが定着している会社であれば、ツール内蔵のAIで課題の要約を行い、関係者向けの文章だけを汎用の生成AIで作る組み合わせも考えられます。

汎用の生成AIにも、案件ごとに指示とファイルをまとめておく機能があります。ChatGPTの公式ヘルプは、プロジェクト機能を、関連するチャット、ファイル、指示をまとめて管理できるものと説明しており、仕事での例として、プロジェクトの詳細をまとめて概要書や計画書などの資料を作る使い方を挙げています。Claudeの公式ヘルプにも、プロジェクトに設定した指示はプロジェクト内のすべてのチャットで使われるという案内があります。前の節で紹介した指示文をこうした場所に保存すれば、毎週同じ形の報告を作りやすくなります。

※ChatGPTとClaudeのプロジェクト機能の説明は、2026年9月27日時点の各社公式ヘルプの記載です。使える機能や上限はプランによって異なります。

複数のAIを場面によって使い分ける考え方は複数の生成AIを1つの環境で使う方法と主要4AIの違いと使い分けにまとめています。法人向けサービスの料金を横に並べて比べたい方は、法人向け生成AIサービスの料金比較をご覧ください。

AIに入れてよい情報・伏せて入れる情報・入れない情報の判断表

案件の情報をAIに入れるときは、まず会社が契約して設定を管理しているAIかどうかを確かめ、そのうえで情報の種類ごとに、そのまま入れる・伏せて入れる・入れないの3つに分けて考えます。

総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日公表)は、AIを業務で使う側の事業者に対して、個人情報や機密情報等をAIシステム・サービスに不適切に入力しないよう注意を払うことを求めています。ただし、何が不適切かの線引きは、各社が自社の契約と情報の性質に合わせて決めることになります。次の表を、その線引きのたたき台としてお使いください。

情報の種類会社が契約・管理しているAI社員個人のアカウントのAI伏せるときの置き換え例
作業名・日程・課題の内容(社名や個人名を含まないもの)入れてよい業務では使わないそのままでよい
顧客名・取引先名・案件名伏せて入れる(社内ルールで認めていれば入れてよい)入れないA社、取引先B、案件X
金額・見積・単価・予算伏せて入れる入れない予算の約8割を使用済み、見積は前回より1割高い
社員や顧客の個人情報(氏名・連絡先・評価)必要な範囲だけ伏せて入れる入れない経理担当、営業担当C、先方の窓口の方
未公開の人事や組織の変更入れない入れない入れない
契約条件、秘密保持契約で預かった情報契約で認められる範囲か確かめてから入れない条件の中身ではなく、納期に条件があるとだけ書く
パスワードなどのログイン情報、システムの設定値入れない入れない入れない

※出典:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日)本編のAI利用者に関する記載。表の線引きは一般的な目安で、実際の扱いは各社の規程と契約内容に従ってください。

置き換えのこつは、AIが仕事をするのに必要なのは関係と数字の比率であって、固有名詞ではないと考えることです。A社の納期が2週間遅れる見込みで、予算の残りは約2割、と書けば、状況の整理にも報告文の下書きにも十分に使えます。置き換えた名前は、AIの出力を受け取ったあとに人が元に戻して完成させましょう。

見落としやすいのは、会社が使う環境を用意していないために、社員が善意で個人のアカウントに議事録や進捗を貼ってしまう経路です。兼任のまとめ役ほど、手元のスマートフォンの無料アプリで録音を要約するなど、会社から見えない使い方に流れやすくなります。会社が把握していないAIの利用は野良AI(シャドーAI)と呼ばれ、入力された案件の情報がどこに残ったかを後から追えなくなってしまいます。判断表を配るだけでなく、入れてよい先のAIを会社で用意することが対策の前提です。

プロジェクト管理にAIを導入するときの注意点

導入でつまずきやすいのは、AIの出力を確かめる人と手順を決めないまま使い始めることです。

出力は下書きとして扱い、確かめる人を決める

生成AIは、渡した報告にない日付や担当を、もっともらしく補ってしまうことがあります。指示文で推測を禁じても完全には防げないため、配る前に元の報告や録音と照らし合わせる役を、まとめ役か各メンバーに割り当てましょう。前述のAI事業者ガイドラインも、AIを使う側に対して、AIの出力の精度とリスクの程度を理解し、確認したうえで使うことを求めています。

入れてよい情報の範囲を先に決める

判断表を社内の決まりとして文書にし、案件の開始時にメンバーへ配ります。社外の協力会社がメンバーにいる案件では、先方の会社のルールも確かめる必要が出てきます。ルール全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で紹介しています。

最初から全部をAIに寄せない

報告の集約、議事録、課題表のすべてを一度に変えると、メンバーの書き方も会議の進め方も同時に変わり、混乱の原因がどこにあるのか分かりにくくなります。まずは週1回の状況報告だけをAIで作り、形が定着してから議事録に広げる、という順番がおすすめです。

道具を渡すだけで終わらせない

前述のAPMの調査でも、AIを使っている回答者の49%が技術的な知識と研修を、41%がAIの不正確さや信頼性を課題に挙げていました。指示文の使い方と、出力を確かめる手順を、メンバーに短く説明する時間を取るようにしてみてください。指示文を1か所に置いて全員が同じものを使えば、人によって報告の質がばらつく心配も減らせます。

プロジェクト管理AIを会社で安全に使うには

会社で安全に使うには、学習に使わせない設定、利用の記録、全員への配布、複数AIの使い分けの4点を、個人任せにせず会社側で決めておくことが要になります。

学習に使わせない設定を会社側でそろえる

同じサービスでも、個人向けと法人向けのプランでは、入力した内容の扱いが違う場合があります。たとえばOpenAIの公式ヘルプは、ChatGPT BusinessやEnterpriseなどのワークスペースのデータは既定でモデルのトレーニングに使わない一方、無料版・Plus・Proでは、モデル改善の設定がオンの場合に、プロジェクトからアクセスした情報をトレーニングに使うことがあると説明しています。社員一人ひとりの設定に任せると漏れが出やすいため、会社として契約したプランで一律に管理できるかを確かめましょう。

※OpenAIの記載は、2026年9月27日時点の公式ヘルプ「ChatGPT のプロジェクト」によります。

誰がいつ使ったかの記録を残す

案件の情報を扱う以上、誰がどのAIをいつ使ったかを会社側で確認できる状態が望ましいでしょう。取引先から情報の扱いを問われたときにも、記録があれば説明がしやすくなります。確認したい項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。

まとめ役だけでなくメンバー全員に配る

指示文を使える環境がまとめ役にしかないと、メンバーは報告を書くときに個人のアカウントで下書きを作り、結局は会社から見えない利用が残ってしまいます。人数分の費用が気になって一部の人にしか配れない場合は、1人ごとに課金されるプランと、会社単位で契約するサービスの違いを比べてみてください。ChatGPTの法人プランの料金の仕組みは、ChatGPT法人プランの料金で詳しく扱っています。

複数のAIを場面で使い分ける

長い議事録の読み込み、ウェブでの下調べが要るリスクの洗い出し、表の整形など、場面によって得意なAIは変わります。1つの案件の中で、議事録は長文の読み込みに強いもの、報告文は書き分けの得意なもの、と使い分けられる環境であれば、2つの出力を比べて食い違いに気づくことも出来ます。同じ指示文を2つのAIに渡し、答えが食い違った所を人が確かめるだけでも、見落としは減らせます。そのためにも、使えるAIの種類と入れてよい情報のルールを、会社の環境の側で決めておきたいところです。

専任のPMがいない会社が最初の4週間でやること

専任のPMがいない会社は、1つの案件を選び、4週間で報告・会議・課題表の流れをAIで回せる形にするのが始めやすい進め方です。

週やること決めること
1週目対象の案件を1つ選び、メンバーの週次報告を今までどおり集める。判断表を配るどのAIを使うか、入れない情報は何か
2週目進捗集約の指示文で状況報告を作り、会議の前に配る報告の締切の曜日と形式
3週目会議を録音し、議事録と課題表を作る課題表の置き場所と、更新する人
4週目経営者向けの報告を書き分け、4週間の振り返りを行う続けるか、ほかの案件に広げるか

4週間続けると、指示文とひな形が社内の実物として残ります。2つ目の案件からは、その指示文を共有するだけで、別のまとめ役も同じ形の報告を作れるようになります。案件の規模が大きくなってきたら、その段階でタスク管理ツールの導入や、ツール内蔵のAIとの組み合わせを検討しても遅くはありません。

指示文の形がそろうと、まとめ役が交代したときの引き継ぎも楽になっていきます。個人のタスクの整理から始めたい方は、AIタスク管理もあわせてご覧ください。

進捗の整理も議事録も、会社契約のAIでまとめて

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。よく使う指示と手順をBOTにして社内限定で共有できるカスタムプラス、会議録音や動画も読み込める音声・動画入力、利用ログ・権限・モデルON/OFFを扱う管理者ダッシュボードを備え、全モデルで学習非利用を標準適用しています。会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

プロジェクト管理の三大要素は何ですか?
一般に、品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の3つを指し、頭文字をとってQCDと呼ばれます。決められた予算と期限の中で、求められた品質の成果を出すことがプロジェクト管理の中心になります。AIはこの3つの状況を報告から集めて整理する作業を手伝えますが、どれを優先するかを決めるのは人の役割です。
AIに入力してはいけない情報は何ですか?
会社が契約・管理していない個人アカウントのAIには、顧客名・金額・個人情報などの業務情報を入れないのが基本です。会社で契約したAIであっても、未公開の人事情報、パスワードなどのログイン情報、秘密保持契約で開示が制限されている情報は入れないようにしましょう。顧客名はA社、金額は比率に置き換えるなど、伏せて入れれば使える情報も多くあります。
プロジェクト管理AIを使えば、PMは要らなくなりますか?
要らなくはなりません。AIが肩代わりできるのは、報告の集約や議事録、報告文の下書きといった作業です。優先順位、遅れへの手の打ち方、顧客への約束は人が決める必要があります。専任のPMがいない会社では、兼任のまとめ役の作業時間を減らす道具として考えるのが現実的です。
まずは無料のAIで試してもよいですか?
架空の案件や公開済みの情報で使い方を試すのであれば、問題は少ないでしょう。実際の案件の報告や議事録を入れる段階では、入力した内容の扱いを会社が管理できる法人向けのプランやサービスに切り替えることをおすすめします。個人向けのプランでは、設定によって入力内容がモデルの改善に使われる場合があるためです。
プロジェクト管理ツールにAIが付いていれば、生成AIは別に要りませんか?
案件の情報がすべてそのツールに入っていて、メンバー全員が使っているなら、ツール内蔵のAIで足りる場面も多くあります。一方で、報告がメールやチャット、口頭に散らばっている会社では、形式の決まっていない文章をまとめたり、相手別に書き分けたりする作業に汎用の生成AIが向いています。両方を使う場合も、入れてよい情報のルールは共通にしておきましょう。
AIが作った議事録や課題表は、そのまま配ってよいですか?
そのまま配るのは避けてください。生成AIは、話されていない担当や期限をもっともらしく補ってしまうことがあります。配る前に、まとめ役が録音や元の報告と照らして、担当・期限・決まったことの3点を確かめてから共有しましょう。
会議を録音してAIに読み込ませるときは、何に気をつければよいですか?
参加者に、録音することと、AIで文字起こしや要約をすることを事前に伝え、了承を得ておきましょう。取引先が参加する会議では特に大切です。録音データや文字起こしの保存先と、いつ消すかも決めておくと、情報の扱いを説明しやすくなります。

まとめ

プロジェクト管理AIは、まとめ役の代わりに判断する道具ではなく、報告を集めて整え、議事録を課題表に落とし、相手に合わせて書き分ける作業を短くする道具になります。専任のPMがいない会社ほど、兼任のまとめ役の時間を取り戻す効果が出やすいでしょう。

始めるときは、指示文を固定して出力を下書きとして扱うこと、入れてよい情報を判断表で決めること、使うAIを会社として1つの環境にそろえることの3つを押さえておきましょう。まずは1つの案件で4週間、状況報告の集約から試してみてください。法人のAI活用に関する他の記事は、AI活用コラム一覧にまとめています。