
税理士事務所のAIチャットボットとは、事務所の資料と指示を覚えさせた生成AIに、職員や顧問先からの質問へ答えさせる仕組みのことです。始めるなら職員の調べものやマニュアルの質問に答える所内向けが先で、顧問先向けは書類案内や期限のような一般的な案内に範囲を絞り、個別の税額や判断は事務所の担当者へ回す形が無理のない進め方となります。どちらのBOTでも、答えの最後に国税庁などの資料名を出させ、資料にないことは分からないと返させる設定が土台として欠かせません。
事務所全体でのAIの使いどころは税理士のAI活用ガイドで、実際に導入した事務所の様子は会計事務所のAI活用事例で紹介しています。
税理士事務所のAIチャットボットとは|所内向けと顧問先向けの違い
税理士事務所のAIチャットボットは、質問するのが職員か顧問先かで、入れてよい資料も答えさせてよい範囲も大きく変わります。
所内向けは、職員が税務の調べものや会計ソフトの操作で迷ったときに、最初に聞く相手となります。質問するのは守秘義務を負う事務所の内側の方なので、所内の判断メモやマニュアルを材料にすることも出来ます。顧問先向けは、ホームページやLINEの窓口に置き、顧問先や見込み客からの質問に一次対応する役目です。事務所の外の方が読むため、答えは一般的な案内までに留め、個別の判断は担当者へつなぐ作りが前提になります。
- 所内向けの質問者は職員で、材料は所内マニュアル・判断メモ・国税庁の資料、答えは職員が確かめてから仕事に使います
- 顧問先向けの質問者は顧問先や見込み客で、材料は事務所の案内資料と国税庁の公開資料、答えはそのまま相手に届きます
- 所内向けの誤りは職員が気づけばそこで止まりますが、顧問先向けの誤りは事務所の案内として受け取られてしまいます
チャットボットというと顧問先向けの問い合わせ窓口を思い浮かべる方が多いものの、職員の調べものを支える所内向けも同じ仕組みで作ることが出来ます。1つのBOTに所内向けと顧問先向けの役目を兼ねさせないことが、最初の線引きとなります。所内向けに入れた判断メモが、顧問先向けの答えに混ざってしまう事態を防ぐためです。
どちらから始めるか|まず所内向け、顧問先向けは範囲を絞って
初めて作るなら、所内向けから始めるのが無理のない順番でしょう。
所内向けなら、BOTの答えを読むのは税務の知識がある職員なので、おかしな答えはその場で気づいて捨てることが出来ます。材料になる所内マニュアルや過去の回答メールも、すでに事務所の中にそろっています。顧問先向けは、答えの誤りがそのまま事務所の案内として届くうえ、注意書きや更新の担当、担当者への引き継ぎ方まで決めてから公開する必要があります。
所内向けで指示文の書き方や資料の入れ方、根拠を出させる設定に慣れてから、顧問先向けに範囲を広げる流れになります。
判断の分かれ目
- 答えを読むのが職員だけなら所内向けとして作り、所内の資料を材料にしてよい
- 事務所の外の方が読むなら顧問先向けとして作り、材料は事務所の案内資料と国税庁などの公開資料に限る
- 個別の税額・適用の可否・申告内容の判断は、どちらのBOTでも答えさせず、担当者から所長や担当税理士へ上げる
- 顧問先別の資料(試算表・申告書・面談記録)は、使える人を担当者に絞れる仕組みがない限り、共有のBOTに入れない
顧問先向けを急ぐ理由が繁忙期の電話の多さであれば、まずは提出物の案内と期限の案内だけに範囲を絞ったBOTから試してみてください。
実名の事例|山下会計事務所・SAO税理士法人・PwC×第一法規
税理士事務所や税務の現場でAIチャットボットを使っている例は、提供会社の導入事例や発表として公開されています。効果の言葉はいずれも掲載元の紹介や同社発表で、第三者が検証した数字ではありません。
税理士法人 山下会計事務所|所内の資料を読ませたリサーチ用のBOT
兵庫県たつの市の税理士法人 山下会計事務所(従業員数20〜49名)は、研修サービス「AI WORKS 365」を提供するデジライズの導入事例で紹介されています。
掲載元によると、事務所が過去数年分ためてきたブログ記事や内部資料をAIに学習させ、専用のチャットボットを作ったとのことです。導入前は、顧客相談のリサーチが担当者の大きな負担になっていたと書かれています。導入後は過去の類似ケースやベテランの知見をすぐ引き出せるようになった、というのが掲載元の紹介になります。
職員のリサーチを支える所内向けの使い方で、所内の資料を材料にする形の手本になるでしょう。
出典:デジライズ 導入事例「税理士法人 山下会計事務所様」(掲載日2026年1月15日、記載の内容は取材時点のもの)https://digirise.ai/case/yamashitakaikeijimusyosama/
SAO税理士法人|LINEの税務GPTと、根拠URLの課題
東京都港区のSAO税理士法人(従業員70名)は、LINEで税務の相談ができるAIチャット「税務GPT」の開発を監修した事務所です。紹介されているのは2024年6月の記事で、提供会社VOLTMINDが配信したPR TIMESの記事をASCII STARTUPが掲載したものとなります。
インタビューでは、顧問先からのメールやチャットの質問で業務がたびたび中断されることや、新人スタッフの教育に時間を割く必要があったことが課題として語られています。導入後については「リサーチ内容を先にまとめてもらえるので税理士への確認も具体的になり」と話し、根拠のURLが表示される点も有り難いと評価されました。
一方で、根拠として示されるURLに国税庁以外の税理士法人が書いたブログが含まれる場合があり、顧問先に対して十分な根拠にならないことがある、という課題も同じ記事で語られています。AIに根拠を出させるなら、出典を国税庁などの一次資料に絞る設定まで決めておく必要があります。
出典:ASCII STARTUP(株式会社VOLTMINDのPR TIMES記事の掲載、2024年6月5日)https://ascii.jp/elem/000/004/202/4202701/。内容は提供会社の発表と、同法人のインタビューによるものです。
PwC TS Japan×第一法規|出典と原文リンクを出し、税務判断は自動化しない
PwC TS Japan合同会社は、第一法規と共同開発した税務リサーチAI「Tax Guidance Assistant」の提供を2026年10月1日に始めたと発表しました。発表では、AIの生成結果に出典情報と原文へのリンク先を示すこと、PwC税理士法人内で試験運用をしたことが説明されています。対象は企業の経理財務・税務部門などで、税理士事務所向けの製品として案内されているわけではありません。さらに「税務判断そのものを自動化するものではなく」、税務の専門家による確認・判断を前提に、初期調査と論点の整理を支える位置づけと説明されています。
事務所でBOTを作るときも、出典を示させることと、判断は人がする前提にすることの2点は、そのまま設計の手本になります。
出典:PwC TS Japan合同会社の発表(2026年10月1日提供開始、配信 https://digitalpr.jp/r/144776)。第一法規との共同開発は2025年12月25日に発表(配信 https://digitalpr.jp/r/125209)。いずれも同社発表です。
所内向け①:税務の調べもの(過去の類似ケース・所内の判断メモの検索)
所内向けBOTの最初の題材に向いているのは、顧問先から受けた質問について、過去の類似ケースや所内の判断メモを探す調べものです。
誰がどの論点をどう判断したかは、ベテランの頭の中や個人のフォルダに散らばってしまいがちでしょう。これをBOTから引き出せるようにすれば、入ったばかりの職員でも過去の判断の筋道をたどることが出来ます。
属人化した知見を所内ナレッジとして共有する材料
入れる材料は、次のようなものから選びます。
- 所内の判断メモ(論点・結論・根拠・判断した日を書いたもの)
- 過去に顧問先へ送った回答メールのうち、事務所として残しておきたいもの
- 国税庁のタックスアンサーや質疑応答事例など、判断メモが根拠にしている公開資料
- 所内勉強会の資料や、税制改正のときに作った所内向けの説明資料
整った判断メモがない事務所は、過去1年に顧問先へ送った回答メールのうち、よく聞かれる論点のものを5件ほど選ぶところから始めてみてください。選ぶのは所長か古参の職員、顧問先名や金額を消して論点・結論・根拠の3行に書き直すのは担当職員、と分けると進めやすくなります。入れる前には、顧問先の名前や番号、マイナンバー、金額から顧問先が分かる部分が残っていないかを、もう一度見直しておきましょう。判断メモの題名を「法人・製造業・社宅家賃」のように業種と論点で呼べる形にすると、BOTも職員も探しやすくなります。
BOTへの指示文(所内リサーチ用)
BOTの指示欄には、次の文をそのまま貼ってみてください。
あなたは税理士事務所の職員向けリサーチ補助です。質問に答えるときは、次のルールを守ってください。 1. 答えは、登録された資料(所内の判断メモ、過去の回答メール、国税庁の公開資料)だけを根拠にしてください。インターネット上の一般のブログや解説記事は根拠にしないでください。 2. 答えは次の順に書いてください。 (1) 似ている過去の判断メモ(メモの題名と判断した日) (2) そのメモで出した結論と、その理由 (3) 国税庁の資料に書かれている一般的な取り扱い (4) 今回の質問と前提が違うかもしれない点 (5) 根拠(国税庁タックスアンサーの番号と題名、通達の番号など、資料名をそのまま) 3. 答えの最後に、使った資料の名前を必ず並べてください。 4. 登録された資料にないことは、推測で補わず「分かりません。担当の先輩職員か所長に確認してください」と答えてください。 5. 個別の税額の計算や、その顧問先に当てはまるかどうかの最終判断は答えないでください。判断に必要な確認事項を並べるところまでにしてください。 6. 顧問先の名前・番号・マイナンバーが質問に含まれていたら、その部分には触れず、伏せて質問し直すよう伝えてください。
6番目の決まりは、あくまで保険の役目になります。顧問先の名前や番号を質問に入れない決まりは、所内ルールとBOTの画面の注意書きで、入力する前に防いでおくのが先です。
出てくる答えの例
役員に社宅を貸している顧問先で家賃の徴収額を見直したい、過去に似た判断はあるか、という質問には、次のような答えが返ってきます。
(2) メモの結論と理由:小規模な住宅に当たるとして、賃貸料相当額を計算し、役員から受け取る家賃をそれ以上にした、という結論と理由
(3) 国税庁の資料の一般的な取り扱い:役員から1か月あたり一定額の家賃(賃貸料相当額)を受け取っていれば、給与として課税されません。法定耐用年数が30年以下の建物なら床面積132平方メートル以下、30年を超える建物なら99平方メートル以下の住宅が小規模な住宅に当たり、その賃貸料相当額は、建物の固定資産税の課税標準額×0.2パーセント、12円×(総床面積(平方メートル)÷3.3平方メートル)、敷地の固定資産税の課税標準額×0.22パーセントの合計です。賃貸料相当額より低い家賃なら、その差額が給与として課税されます。いわゆる豪華社宅に当たる場合は、この計算式は使いません。
(4) 前提が違うかもしれない点:今回の物件が小規模な住宅に当たるか(建物の耐用年数と床面積)、いわゆる豪華社宅に当たらないか、今年度の固定資産税の課税標準額が分かるか
(5) 根拠:国税庁タックスアンサー No.2600 役員に社宅などを貸したとき
使った資料:所内判断メモ(役員社宅の家賃)、国税庁タックスアンサー No.2600
この顧問先に当てはめた徴収額の計算は、担当の先輩職員か所長に確認してください。
人が必ず確かめる点
- 示された判断メモの日付が、その後の税制改正の前か後か
- 根拠として出た資料名が実在し、その資料に本当にそう書いてあるか(タックスアンサーの原文を開いて読む)
- 過去の事情と今回の事情(建物の耐用年数・床面積・契約の形)が同じか
- BOTの答えを、そのまま顧問先への回答文に貼っていないか
BOTが短くしてくれるのは探す時間であって、判断の責任は職員と担当税理士に残ったままとなります。根拠の原文を開いて読む手間だけは、省かないようにしましょう。
所内BOTに顧問先別の資料を入れると、使える全員が中身に触れられる
所内向けBOTでも、顧問先別の試算表や申告書、面談記録をそのまま入れるのは避けたほうが無難でしょう。
Microsoftの公式説明(Microsoft 365のエージェント ビルダー)には「エージェントのナレッジ ソースとしてファイルをアップロードすると、エージェントにアクセスできるすべてのユーザーが、ファイル内の情報にもアクセスできます」と書かれています。ChatGPT・Claude・Geminiで作るBOTも、入れた資料をもとに答える点は同じなので、担当外の職員が質問したときに他の顧問先の情報が答えに出てくるものと考えておくほうが安全です。
Claudeのプロジェクトは、TeamやEnterpriseのプランなら組織の中で共有でき、権限を「Can view」と「Can edit」から選ぶ形になっています。GeminiのGemは、組織のドライブの共有設定で共有の範囲が決まります。どの仕組みでも、BOTを共有した相手には入れた資料の中身も共有したのと同じと考えて、入れる資料を選んでみてください。
顧問先の情報を所内でどこまで共有してよいかは、税理士法の守秘義務と監督義務にもかかわる話です。条文の中身は後の節の税理士法38条・54条の説明で、詳しい読み方は税理士の守秘義務と生成AIで扱っています。
個人アカウントで作ったBOTは事務所から管理できない
職員が個人のアカウントでBOTを作ると、何の資料を入れたか、誰に共有したか、退職したあとBOTがどうなるかを、事務所の側から確かめることが出来ません。
ChatGPTのカスタムGPT(GPTs)は、OpenAIのヘルプで2026年12月11日に提供終了予定と案内されています。移行先はプラグインとされ、指示はスキルへ、ナレッジファイルは参照ファイルへ移る仕組みになります。共有の設定は引き継がれず非公開で作られることや、移行後は元のGPTと違う応答をする場合があることも書かれています。提供終了予定まで2か月を切っており、移行後は共有の設定をやり直し、答えが変わっていないかを確かめ直す必要があるため、これから所内BOTをGPTsで新しく作るのは勧めにくい状況です。
BOTを作る場所は、職員一人ひとりの個人アカウントではなく、事務所が契約して管理できる環境に置くことを先に決めましょう。
職員の個人アカウントに散らばる前に、事務所の側でBOTを見渡せる形にしておきたいところです。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
所内向け②:所内マニュアル・会計ソフトの操作手順の質問と新人職員の教育
所内マニュアルや会計ソフトの操作手順、申告作業のチェックリストを入れたBOTは、新人職員が先輩の手を止めずに聞ける相手になります。
SAO税理士法人のインタビューでも、新人スタッフの教育に時間を割く必要があったことが課題として挙げられていました。この入力はどの画面で直すのか、源泉所得税の納期の特例を受けている顧問先を事務所ではどう管理しているのか、のような質問は、答えが所内の決まりごとにあるためBOTに向いています。
入れる材料
- 所内マニュアル(受付から申告書の提出までの流れ、書類の保管場所の決まり)
- 事務所で使っている会計ソフト・申告ソフトの操作手順書(事務所で書いたものと、提供元のマニュアル)
- 月次・決算・申告の作業チェックリスト
- 新人向け研修の資料と、よく聞かれる質問とその答え
版が古いマニュアルが残っていると、BOTは古い手順をそのまま答えてしまいます。入れる資料には版と更新日を書き、古い版は外しておきましょう。
BOTへの指示文(所内マニュアル・新人教育用)
あなたは税理士事務所の所内マニュアル係です。職員からの質問に、次のルールで答えてください。 1. 答えは、登録された所内マニュアル、ソフトの操作手順書、作業チェックリストだけを根拠にしてください。 2. 操作の質問には、画面の名前とボタンの名前を使って、手順を番号付きで書いてください。 3. 答えの最後に、根拠にした資料の名前と版(更新日)を示してください。 4. 登録された資料にないこと、資料どうしで食い違うことは「分かりません。担当の先輩職員か所長に確認してください」と答え、食い違っている資料の名前を添えてください。 5. 税務の判断(この経費は損金になるか、この取引の消費税の区分は何か、など)や個別の税額は答えず、所内リサーチ用のBOTか、担当の先輩職員か所長に聞くよう案内してください。 6. 質問の最初に【練習】と書かれていたら、すぐに答えを出さず、マニュアルのどの章を見ればよいかと、確かめる順番だけを示してください。
最後の【練習】の決まりは、新人職員が自分で調べる力をつけるためのものとなります。入所してしばらくの間は、先輩が新人に【練習】を付けて質問させ、示された章を自分で読んでから答え合わせをする使い方が向いています。先輩がつきっきりで教えなくても、資料の読み方を少しずつ覚えていくことが出来ます。
出てくる答えの例と、人が確かめる点
答え:月次作業チェックリストでは、次の順に確かめることになっています。
1. 預金の残高が、通帳やネットバンキングの残高と一致しているか
2. 売掛金・買掛金に、前月から動いていない理由の分からない残高がないか
3. 仮払金・仮受金・立替金が残ったままになっていないか
4. 前月や前年同月と比べて大きく動いた科目に、理由のメモが付いているか
5. 担当税理士の確認欄に記入してから送る
根拠:所内マニュアル「月次業務の流れ」(2026年4月版)、月次作業チェックリスト(2026年4月版)
確かめるのは、答えに出た資料の版が今使っているものか、手順がソフトの更新で変わっていないかの2点です。ソフトの画面が変わったときに操作手順書を直す担当を決めていないと、BOTは古い手順を答え続けてしまいます。
顧問先向け①:年末調整・確定申告シーズンの書類案内と提出物の催促
顧問先からの連絡は、担当者へのLINEや電話で直接届くことも少なくありません。そこで顧問先向けBOTが受け持つのは、夜間や休日に来る、何を出せばいいか、いつまでか、という書類と期限の質問が中心になります。
国税庁のチャットボット(ふたば)は、年末調整(令和8年分)や所得税の確定申告(令和7年分)、インボイス制度などの質問に、メンテナンス時間を除いて24時間答える仕組みです。事務所のBOTに任せるのは、受付の締切や送り方、提出物の一覧のような、事務所ごとの決まりの案内になります。
ただし、事務所の提出物の一覧は全員に共通のものなので、生命保険や扶養の変更のように顧問先ごとに要る書類が変わる話には答えきれません。BOTは一般的な一覧までを示し、顧問先ごとの書類は担当者が案内する形にしておきましょう。
入れる材料
- 年末調整・確定申告の時期に顧問先へ送っている案内文
- 提出物の一覧(事務所の書式のもの)
- 事務所の受付締切と、書類の送り方(郵送・持参・アップロード)の案内
- 国税庁の公開資料のうち、案内文が根拠にしているもの
BOTへの指示文(顧問先向け・書類案内用)
あなたは税理士事務所の顧問先向け案内係です。顧問先からの質問に、次のルールで答えてください。 1. 答えは、登録された事務所の案内文、提出物の一覧、受付締切の案内、国税庁の公開資料だけを根拠にしてください。 2. 提出物の質問には、事務所の提出物の一覧に載っているものを、そのまま箇条書きで示してください。一覧にないものを足さないでください。 3. 保険の新規契約や扶養の変更など、顧問先ごとに必要な書類が変わる質問には、一覧だけを示したうえで、必要な書類は担当者が案内すると答えてください。 4. 答えの最後に、根拠にした資料の名前(事務所の案内文の題名、国税庁タックスアンサーの番号と題名など)を示してください。 5. 登録された資料にないことは「分かりません。担当者に確認してください」と答えてください。 6. 控除が受けられるか、税額がいくらになるか、還付があるかなど、個別の税額や判断には答えないでください。担当者に確認するよう案内してください。 7. 名前、住所、マイナンバー、口座番号などの個人情報は入力しないよう、答えの冒頭でお願いしてください。 8. 答えは、です・ます調で、短く、やさしい言葉で書いてください。
出てくる答えの例
答え:個人情報は入力しないでください。事務所の「年末調整のご案内」でお願いしている書類は、ご案内の一覧のとおりです(一覧の書類名を箇条書きで表示)。新しく契約された保険の控除証明書など、お客様ごとに変わる書類は、担当者からご案内します。事務所での受付は、ご案内に書かれた締切日までとなります。
根拠:事務所の案内文「年末調整のご案内」、提出物の一覧
提出物の催促は、BOTに送らせず職員が送る
提出物の催促は、顧問先ごとに何が届いていないかという個別の情報を扱うため、顧問先向けBOTには任せないほうが安心です。どの顧問先から何が未着かの管理は顧問先管理表で行い、BOTには入れません。催促の文面は、次の3段階のひな形を所内向けBOTで一度作らせ、職員が直して事務所の定型にしておく形になります。
【1回目:締切2週間前のご案内】 いつもお世話になっております。年末調整の書類のご提出についてご案内いたします。事務所での受付締切は〇月〇日です。お送りいただく書類は、先日お送りしたご案内の一覧のとおりです。お手元にない書類がございましたら、お早めにご準備をお願いいたします。 【2回目:締切3日前のお願い】 いつもお世話になっております。年末調整の書類のうち、次のものがまだ届いていないようです。 (未着の書類名) 受付締切は〇月〇日です。ご準備が難しいものがございましたら、担当までご連絡ください。 【3回目:締切後、受付日のご相談】 いつもお世話になっております。受付締切を過ぎましたが、次の書類がまだ届いておりません。 (未着の書類名) 手続きに間に合わせるため、お届けいただける日をご相談させてください。担当までご連絡をお願いいたします。
送るときは、顧問先管理表を見ながら未着の書類名と日付だけを職員が書き込んでみてください。
人が必ず確かめる点
- 提出物の一覧と締切が、その年の案内文に更新されているか
- BOTの答えに、一覧にない書類が足されていないか
- 控除を受けられるか、のような個別の質問に、BOTが答えてしまっていないか(会話の記録を週に1回は読む)
繁忙期の電話がどれだけ減ったかは、BOTを置く前の月から問い合わせの件数を数えておかないと比べられません。置く前の月から数え始めておきましょう。
顧問先向け②:インボイス・電子帳簿保存法のよくある質問への一般的な案内
インボイス制度や電子帳簿保存法のように、多くの顧問先が同じことを聞いてくる制度は、一般的な仕組みの案内をBOTに任せやすい分野です。
ただし、質問の多くは、うちの取引の場合はどうなるか、という個別の判断を含んでいます。BOTが答えるのは制度の一般的な説明と国税庁の資料の案内までで、取引ごとの扱いは担当者へ回す線を、指示文ではっきり書いておく必要があります。
入れる材料
材料は、国税庁がインボイス制度や電子帳簿保存法について公開しているQ&Aや解説資料と、事務所が顧問先向けに作った説明資料に絞ります。一般のブログや解説記事は入れず、ネット検索もさせない設定にすると、SAO税理士法人の記事で語られた根拠URLの課題を避けやすくなります。
BOTへの指示文(顧問先向け・制度の一般案内用)
あなたは税理士事務所の顧問先向け案内係です。インボイス制度と電子帳簿保存法についての質問に、次のルールで答えてください。 1. 答えは、登録された国税庁の資料と事務所の説明資料だけを根拠にしてください。インターネット検索の結果や、国税庁以外のブログ・解説記事は使わないでください。 2. 制度の一般的な仕組みだけを、2〜3行で説明してください。質問者の取引や会社に当てはめた判断(この取引で仕入税額控除が受けられるか、この保存方法で足りるか、など)はしないでください。 3. 一般的な説明のあとは「御社の取引に当てはめた扱いは、担当者が確認します」と添えてください。 4. 答えの最後に、根拠にした資料の名前(国税庁タックスアンサーの番号と題名、国税庁のQ&Aの問の番号など)を必ず示してください。 5. 登録された資料にないことは「分かりません。担当者に確認してください」と答えてください。 6. 個別の税額は計算しないでください。
出てくる答えの例と、人が確かめる点
答え:インボイス制度では、免税事業者など適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れに係る消費税額は、原則として控除できなくなります。ただし、一定の要件を満たす場合には、令和5年10月1日から令和13年9月30日までの期間、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。控除できる割合は仕入れの時期によって段階的に変わるため、時期ごとの割合は国税庁の資料で確かめてください。御社の取引に当てはめた扱いは、担当者が確認します。
根拠:国税庁タックスアンサー No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)、国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問113
答えられない部分の返し方まで決めておけば、顧問先から見ても対応がぶれません。確かめる点は、根拠に出た資料名が登録した国税庁の資料と一致しているかと、個別の判断に踏み込んだ答えが出ていないかの2つとなります。
顧問先向け③:面談予約・提出期限の案内と、相談予約・顧問契約への誘導
面談の予約方法や、事務所が案内している提出期限の一覧は、答えが事務所の中で決まっているので、顧問先向けBOTが答えやすい質問です。
ホームページに置くBOTであれば、まだ顧問契約のない見込み客から、相談できるか、どう申し込めばいいか、と聞かれることも出てきます。こうした質問には予約ページの案内だけを返し、相談の中身は面談で聞く流れにすると、無理なく相談予約へつなげることが出来ます。前の2つの指示文に、次の3行を足せば十分でしょう。
・面談や相談の予約を求められたら、事務所の予約ページの案内文をそのまま示してください。 ・提出期限を聞かれたら、事務所の期限一覧に載っている期限だけを答え、答えの最後に一覧の名前を示してください。 ・相談の内容を詳しく書こうとする方には、個人情報や取引の詳細は入力せず、面談でお話しいただくよう案内してください。
予約ページや期限一覧を変えたときは、BOTの資料も同じ日に差し替える決まりにしておきましょう。
顧問先向けBOTの回答範囲の線引きと担当者への引き継ぎ
顧問先向けBOTは、答えてよい範囲と答えない範囲を先に書き出し、答えない質問を担当者へつなぐ道筋まで用意してから公開しましょう。
答えてよい範囲の目安は、次の3つになります。
- 事務所の手続き(受付締切、書類の送り方、面談の予約方法)
- 事務所の提出物の一覧と、事務所が案内している期限
- 制度の一般的な仕組み(国税庁の公開資料に書いてある範囲)
答えさせないのは、個別の税額、控除や特例が使えるかどうか、申告の内容そのものの判断です。これらを聞かれたときは、断るだけで終わらせず、担当者への連絡方法(事務所の電話番号、面談予約のページ、担当者へのメッセージの送り方)を必ず添えるようにします。顧問先の窓口が担当の職員である事務所なら、BOTの引き継ぎ先は担当者とし、判断が要るものを担当者から所長や担当税理士へ上げる流れのほうが、所長に質問が集まりすぎずに済むでしょう。断られた顧問先が行き場をなくすと、BOTを置いたことでかえって不満が増えてしまいます。
国税庁のチャットボット(ふたば)の注意事項を手本にする
注意書きの手本になるのが、国税庁のチャットボットの注意事項です。
そこには「有人によるチャットではありません」「個人情報は入力しないでください」と書かれ、相談の多い事項に対応しているため、すべての質問には対応していないことも示されています。回答は一般的な事項の説明で、申告などの手続きは自己の判断と責任でするものとされ、精度の向上のために入力された質問と表示された回答を記録していることまで書かれているのが特徴になります。
人ではないこと、個人情報を入れないこと、答える範囲、個別の判断は別に確かめること、会話を記録していること、の5点は事務所のBOTにもそのまま当てはまります。国税庁が事務所のBOTを勧めているわけではないので、注意書きの組み立て方の参考として見てください。
出典:国税庁「チャットボット(ふたば)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/index.htm(2026年10月16日確認)
事務所版の注意書きのひな形
BOTの最初の画面に、次の文をそのまま置いて使うことが出来ます。
このチャットは、AI(人工知能)が自動で回答するもので、事務所の職員が答えているものではありません。 ・お名前、住所、マイナンバー、口座番号などの個人情報や、取引先の名前は入力しないでください。 ・お答えできるのは、事務所の手続きのご案内と、税金の制度についての一般的なご説明です。すべてのご質問にお答えできるわけではありません。 ・控除が受けられるか、税額がいくらになるかなど、お客様ごとの判断にはお答えしません。担当者にご相談ください。 ・回答は一般的な説明です。申告などの手続きは、担当者の確認を受けてから進めてください。 ・回答の改善のため、入力されたご質問と表示された回答を記録しています。 ・担当者へのご連絡は、事務所の電話番号または面談予約のページからお願いします。
事務所の連絡先と予約ページのリンクを最後の行に入れ、記録した会話を誰が読むかも所内で決めておきましょう。
税理士法38条・54条と日税連ガイドラインから見た注意点
所内向けでも顧問先向けでも、BOTに何を入れるかは、税理士法の守秘義務、日税連のガイドライン、個人情報保護委員会の注意喚起の3つに照らして決めることになります。
税理士法第38条・第54条・第41条の2
e-Govの税理士法では、第38条が、税理士が正当な理由なく税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたり、窃用(ひそかに利用すること)したりすることを禁じています。第54条は使用人その他の従業者にも同じ義務を課し、第41条の2は使用人などへの監督義務を定めた規定です。条文にAIやクラウドの言葉はなく、AIへの入力がそれだけで違反になる、あるいはならない、とどちらにも言い切れないのが実情となります。それでも、担当外の職員が顧問先の情報に触れる範囲を広げる作りは、監督の面から説明しにくくなってしまいます。事務所として説明できる使い方かどうかを、入れる資料ごとに確かめていきましょう。
日税連「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」Ver1.0
日本税理士会連合会のデジタル・システム委員会は、2026年9月に「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」Ver1.0を策定し、9月30日に会員向けに知らせています。本文は会員限定のため、ここでは本文を読んだ荒井悠輔税理士の解説動画(本人が私見を含むと述べているもの)の内容を紹介する形となります。会員の方は、BOTの決まりを作る前に本文を確認してみてください。
動画では、マイナンバーを含む情報はAIへの入力が禁止と解説されています。顧問先や事務所の機密・個人情報は区分Aとして、ビジネス向けの有料プランで、DPA(データ処理の契約)と学習利用のオフを確認して記録し、ルールと教育を整えた、という3つの条件を満たすツールだけで扱う整理だと説明されました。公開情報や一般的な情報、匿名化した情報は区分Bとして、事務所が承認したツールで扱うと解説されています。
ほかにも、AIの答えは税理士が確認してから使うこと、回答の評価ボタン(いいね・よくない)は押さないこと、顧問先への同意は強く推奨されること、ツールを承認制にしてシャドーIT(事務所が把握していないツールの利用)を防ぐことが挙げられていました。BOTの画面に評価ボタンがあるなら、職員が押さない決まりも所内ルールに入れておきましょう。ガイドラインの全体像は日税連のAI・クラウド活用ガイドラインの解説で整理しています。
個人情報保護委員会の注意喚起
個人情報保護委員会は、令和5年6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが応答の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法に違反する可能性があると示しました。提供事業者が入力を機械学習に使わないことなどを、十分に確かめるよう求めています。顧問先向けBOTの注意書きに個人情報を入れないよう書くのも、この流れに沿った対応となります。
出典:e-Gov法令検索「税理士法」https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237/日本税理士会連合会 会員向けお知らせ https://www.nichizeiren.or.jp/category/member/member_news//荒井悠輔税理士の解説動画 https://www.youtube.com/watch?v=IYjWf-y4RCI/個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」https://www.ppc.go.jp/news/press/2023/230602kouhou/
根拠を国税庁などの一次資料に絞らせる設定と、ツールの選び方
BOTの答えを職員や顧問先が信用できるかどうかは、答えの最後に何の資料が根拠として出るかで決まります。
SAO税理士法人の記事では、根拠として出るURLに税理士法人のブログが混ざる課題が語られていました。PwC TS Japanの発表では、出典情報と原文へのリンクを示す作りが説明されています。事務所のBOTでも、次の4つを設定すれば根拠のぶれを抑えることが出来ます。
- 知識に入れる資料を、国税庁の公開資料・法令・通達と、事務所が作った資料に限る
- Web検索を使う設定があるBOTでは、検索を切るか、使うなら国税庁などの公的なサイトに限るよう指示文に書く
- 答えの最後に資料の名前(タックスアンサーの番号と題名、通達の番号など)を必ず出させる
- 資料にないことは分からないと返させ、確認先(所内向けなら先輩職員か所長、顧問先向けなら担当者)を示させる
指示文に書いても、AIが資料の外の知識で答えてしまうことはあります。公開前に、資料に載っていない質問をわざと10問ほど投げて、分かりませんと返るかを確かめてみてください。
選び方の基準
道具の比べ方は、所長が題材と予算を決め、実際に質問を受けている担当職員が1つの題材で2〜3の道具を試す、という分担にしてみましょう。比べる点は次のとおりです。
- 回答の精度は、所内の判断メモや案内文から正しい箇所を拾って答えられるか
- 根拠の提示は、答えに資料名や参照先が出るか、原文までたどれるか
- 更新のしやすさは、資料の差し替えを決まった担当者が迷わず出来るか
- 共有の範囲は、BOTを使える人を事務所が決められるか、職員の個人アカウントに散らばらないか
- 学習の設定は、入力した内容がAIの学習に使われない設定か、それを事務所が確かめられるか
- サポートは、分からないときに提供元へ日本語で問い合わせられるか
条文や通達の調べものそのものは、税務データベースの会社などが出典つきで用意する税務特化のAI(PwC TS Japanと第一法規の例のようなもの)が向く場面もあります。事務所で作るBOTに任せるのは、所内の判断メモ・マニュアル・案内文のように、事務所にしかない資料を使う質問になります。担当職員が試した結果を表にまとめ、所長が1つに決める、という順で進めると迷いにくいでしょう。
小さく始める導入の手順と、うまくいかない形
BOTは、1つの業務、1つのテーマから始めて、答えの質を確かめてから広げるのが近道です。最初の1か月は、次の順で進めてみてください。
- 1週目:所長が題材を1つ決め、BOTの担当職員を1人指名する(所内なら判断メモの検索、顧問先向けなら年末調整の書類案内)
- 1〜2週目:担当職員が材料を集め、顧問先の名前や番号を消し、版と更新日を書く。前に挙げた指示文を事務所の言葉に直す
- 2週目:担当職員が、所長や先輩職員が実際に受けた質問から、正解の分かっている質問を20問ほど作る
- 3週目:所内の数名で使って答えを採点し、まちがいの出方と、資料の足りないところを直す
- 4週目:所長が採点結果を見て、範囲を広げるか、顧問先向けに出すか、作り直すかを決める
入れる資料の整え方と更新の担当
BOTの答えの質は、入れた資料の質でほぼ決まります。同じ論点のメモが2つあって結論が違えば、BOTはどちらかを選んで答えてしまいます。古いメモは外すか、新しいメモに置き換えたことを書き、資料の差し替えを誰がいつするかを決めておきましょう。
税制改正の時期や会計ソフトの更新の時期は、資料を見直す日として予定表に入れると忘れにくくなります。
うまくいかない3つの形
BOTが使われなくなる形として、次の3つに気をつけてみてください。
- 答える範囲を決めないまま顧問先向けに公開し、個別の質問に答えてしまう
- 資料の更新担当がおらず、古い手順や去年の締切を答え続ける
- 何が減れば成功かを決めず、問い合わせの件数や調べものの時間を測っていない
事務所全体のAI導入でつまずきやすい形は、会計事務所のAI活用事例でも導入した事務所の声とあわせて紹介しています。
事務所として安全に使うには(学習させない設定・利用ログ・職員への配布)
所内向けBOTを事務所の道具として続けるには、学習させない設定、利用ログ、職員への配り方、複数のAIの使い分けの4つを、事務所の側で決めておく必要があります。
学習させない設定
ChatGPT Businessは、OpenAIのヘルプで、デフォルトではビジネスデータを学習に使わないと説明されています。一方で、職員が個人で使う無料のアカウントでは、学習の設定を事務所が確かめることが出来ません。日税連のガイドラインの解説でも、学習利用のオフを確認して記録することが条件に挙げられていました。ChatGPTを事務所で使うときの設定は税理士のChatGPTの使い方にまとめています。
利用ログ
誰がどのBOTに何を聞き、どんな答えが出たかを後から見られれば、顧問先向けBOTの答えの点検や、所内BOTの資料の足りないところ探しに使えます。職員の個人アカウントに散らばったBOTでは、このログを事務所がまとめて見ることは出来ません。
職員への配布
一部の職員だけにBOTを作れる環境を渡すと、残りの職員が個人のアカウントで似たBOTを作り始めてしまいます。職員全員に同じ環境を配り、入れてよい資料と入れない資料の決まりもあわせて渡しましょう。個人アカウントでのAI利用が広がる問題については、シャドーAI(野良AI)の対策も参考になるでしょう。
複数のAIを使い分ける
BOTを作る仕組みは、ChatGPTのGPTs(移行先はプラグイン)、Claudeのプロジェクト、GeminiのGemと、AIごとに用意されています。長い通達や手順書を読ませる、Webで新しい情報を探す、文章を整える、のように向く場面は分かれるため、BOTごとに使うAIを選べると便利になります。社内向けBOTの作り方の全体は社内チャットボットの作り方で比べています。
AIごとに契約と管理を分けると、学習の設定やログの確認もAIの数だけ増えてしまうため、1つの環境にまとめられるかも選ぶときの目安にしてみてください。
所内向けBOTを、事務所が管理する1つの環境で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです。GPTs・Gem・Claudeプロジェクトの社内版にあたる「カスタムプラス」で、よく使う指示と手順を社内限定のBOTにして共有出来ます。自社資料を読み込ませて答える社内文書RAGと、利用ログ・権限・モデルのON/OFFを扱える管理者ダッシュボードも備えています。全モデルで学習非利用を標準適用し、基盤は国内サーバー(AWSの日本リージョン)で稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
税理士事務所のAIチャットボットは、所内向けと顧問先向けのどちらから作るべきですか?
顧問先の申告書や試算表を所内BOTに入れても大丈夫ですか?
顧問先向けBOTは、税務の質問にどこまで答えさせてよいですか?
日税連のガイドラインに沿ってBOTを作れば問題ありませんか?
今からChatGPTのGPTsで所内BOTを作っても大丈夫ですか?
まとめ
税理士事務所のAIチャットボットは、所内向けと顧問先向けで、入れてよい資料も答えてよい範囲も違います。始めるなら職員の調べものやマニュアルの質問に答える所内向けからで、顧問先向けは書類案内・期限・面談予約のような一般的な案内に絞り、個別の税額や判断は担当者へ回す形になります。どちらのBOTにも、根拠を国税庁などの一次資料に絞らせ、答えの最後に資料名を出させ、資料にないことは分からないと返させる設定を入れておきましょう。顧問先別の資料を共有のBOTに入れない、個人アカウントでBOTを作らない、という2つの決まりも、最初に所内で共有してみてください。
※各社・各機関の説明は、2026年10月16日時点で公式ページや掲載元で確認した内容です。事例の効果は掲載元の紹介・同社発表によるもので、第三者による検証ではありません。
