
営業AIとは、商談前の企業リサーチ、営業メールや提案書の作成、商談の議事録、見込み客の絞り込みといった営業の仕事を、AIで支援する仕組みやツールの総称です。社員10〜200名の会社が取り組みやすいのは、汎用の生成AIを法人プランで営業部に配り、調べもの・メール・提案書の下書きから始める形で、その前に顧客情報をどこまで入れてよいかを決めておくことが、社内に広げるときの分かれ目になります。この記事では、営業AIの3つの種類と場面別の使い方、プロンプト例に加えて、人数別の費用の計算、入れてよい情報の線引き、社員へのアカウント配布と停止の手順までを順に解説します。
営業AIとは|SFA・CRM搭載型、営業特化ツール、汎用生成AIの3種類
営業AIは、どこに組み込まれているかで3種類に分けると選びやすくなります。顧客管理の仕組みの中で動くもの、営業の特定の作業に絞った専用ツール、そして業務を選ばずに使える汎用の生成AIです。3つは競合するものではなく、得意な範囲が違います。自社で最初に手を付けるべきはどれかを判断するために、まず違いを整理します。
SFA・CRMに組み込まれたAI
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)は、商談の進み具合や顧客とのやり取りを記録する仕組みです。そこに組み込まれたAIは、すでに蓄積された商談データを使って、次に連絡すべき相手の提示や、商談の要約、売上の見通しの作成などを行います。例として、Salesforceは2025年4月3日に、営業向けAIエージェント機能の日本語での提供開始を発表し、「Agentforce セールスディベロップメント(Agentforce SDR)」と「Agentforce セールスコーチング」という機能名を挙げています。Microsoftは、Microsoft 365 Copilotの中で使える対話型の営業向けエージェント(Sales agent)を公開しています。
この型の強みは、社内に顧客データがすでにそろっていることを前提に、データと直結した提案が出てくる点です。裏を返すと、SFAやCRMへの入力が日頃から整っていない会社では、AIが参照する材料が足りず、期待した結果が出にくくなります。
営業特化のAIツール
営業の中の特定の作業に絞って作られたツールです。商談の録画や録音から議事録を作り、SFAへの入力を自動化するもの、企業情報のデータベースから提案先を探すもの、名刺情報と組み合わせて使うものなどがあります。例として、ベルフェイスは商談後のSalesforce入力を自動化する「bellSalesAI」を、Sansanは営業DXサービス「Sansan」に生成AIを使った機能(AI企業検索-BtoB商材-、議事録メーカー、5分で読める決算説明)を追加したことを、それぞれ発表しています。作業が決まっている分、導入したその日から使い方に迷いにくいのが特徴です。
汎用の生成AI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)
文章の作成、要約、調べもの、アイデア出しなど、業務を選ばずに使える生成AIです。営業の場面では、メールの下書き、提案書の構成づくり、商談前の下調べ、議事録の整理に使われることが多く、SFAやCRMが整っていない会社でもすぐに始められます。一方で、顧客データとは自動ではつながらないため、何を入力するかを人が選ぶことになります。ここが、後半で扱う顧客情報の線引きが必要になる理由です。
営業支援AIエージェントという言葉について
最近は営業支援AIエージェントという言葉もよく使われます。AIエージェントは、人が1回ずつ指示を出すのではなく、目的を渡すと複数の手順をAIが自分で進める仕組みを指すことが多い言葉です。ただし、どこからをエージェントと呼ぶかは各社の製品説明によって幅があり、厳密な定義はありません。導入を検討するときは、名前よりも、何の作業を、どのデータを使って、どこまで自動で行うのかを具体的に確認するほうが、判断を誤りにくくなります。
この記事の軸:SFA・CRM搭載型と営業特化ツールは、個別の製品比較が必要な領域です。この記事では、社員10〜200名の会社が最初の一歩にしやすい汎用の生成AIを中心に、営業部に配るときの使い方・費用・ルールを掘り下げます。
調査データで見る営業のAI活用の現状
国内の営業職を対象にした調査では、生成AIを使う人が1年で増えている一方、まだ半数には届いていません。数字は調査ごとに対象や方法が違うため、主体と母数を添えて並べます。
企業全体の利用状況としては、総務省「令和7年版 情報通信白書」の企業におけるAI利用の現状のページで、何らかの業務で生成AIを利用している日本企業が55.2%と示されています。同じページでは、メール・議事録・資料作成等の事務作業への活用が47.3%とされています。ただし、これは営業部門に限った数字ではありません。
営業職に絞った調査としては、HubSpot Japanが「日本の営業に関する意識・実態調査2026」(第7回・調査委託先マクロミル・2025年10月30〜31日実施)を公表しています。売り手側1,545名(経営者・役員515名、営業責任者515名、営業担当者515名。従業員51〜5,000名の企業)と買い手側515名が対象(2026年2月27日発表)で、営業担当者と営業責任者の生成AI活用率は1年で28.9%から43.4%へ、14.5ポイント増えたと同社は発表しています。同じ調査では、買い手側がB2Bの購買を検討するときに生成AIを情報源として使う割合が、4.3%から11.7%に増えたとされています。
海外を含む調査では、Salesforceが「State of Sales」第7版(日本を含む22か国の営業専門家4,050名・2025年8〜9月実施・2026年2月3日発表)で、営業担当者の54%がAIエージェントを使ったことがあると回答したと発表しています。
※HubSpot Japan、Salesforceの数値は、いずれも各社が自ら実施・発表した調査の結果で、第三者による検証を経たものではありません。調査対象・時期・設問が異なるため、数字どうしを直接比べることはできません。
これらを合わせると、営業でAIを使うこと自体は珍しくなくなりつつありますが、使い方が個人に任されている会社も多いと考えられます。会社として使い方とルールを決めるのは、まだ遅くない時期だといえます。
導入メリット|事務時間を減らして顧客対応に集中する
営業にAIを入れる主な効果は、顧客と向き合う時間の外にある事務作業を減らし、その分を商談や提案の準備に回せることです。営業の仕事には、相手と話す時間のほかに、調べる、書く、記録する、報告するといった作業が多く含まれています。
- 下書きの時間が縮む:メールや提案書をゼロから書くのではなく、AIが出した下書きを直す形になるため、書き始めるまでの時間が短くなります。
- 記録の抜けが減る:商談メモからの議事録の整理や、SFAに入れる要点の抽出をAIに任せると、忙しい日でも記録が残りやすくなります。
- 準備の質がそろう:商談前の下調べの観点を指示文として共有すれば、経験の浅い担当者でも一定の水準で準備ができます。
- 顧客対応に使える時間が増える:浮いた時間を、訪問や電話、提案内容の検討など、人にしかできない部分に回せます。
ただし、効果は自動では生まれません。どの作業にAIを使うかを決めずに配ると、一部の人だけが使い、他の人は使わないまま終わることがあります。後半の導入ステップと効果測定の節で、効果を確かめながら広げる進め方を説明します。
営業の場面別に見るAIの使い方8つ
営業のAI活用は、商談の前・最中・後、そして組織全体の4つの時間帯に分けると、どこに使えるかが見えやすくなります。ここでは8つの場面を、汎用の生成AIでできること、専用ツールやSFA搭載型が向くことに分けて紹介します。
商談前の企業リサーチ・情報収集
訪問先の事業内容、公表されている決算や中期計画、最近のニュースを整理し、商談で聞くべき質問の候補まで出させる使い方です。汎用の生成AIのうち、Web検索を使って出典を示す機能を持つものは、下調べに向いています。重要なのは、AIがまとめた内容をそのまま信じず、示された出典を開いて、数字や日付を自分で確かめることです。公開情報だけを材料にするため、顧客情報の扱いに関する悩みが少なく、最初に試す場面として適しています。
営業メール・フォローメールの文面作成
初回のアポイント依頼、商談後のお礼、見積の送付、しばらく連絡が途絶えた相手への再アプローチなど、型のあるメールの下書きに向いています。相手の業種、商談で話した論点、次に提案したいことを箇条書きで渡すと、それに沿った文面が出てきます。社名や担当者名などの固有名詞は、下書きの段階では伏せたまま作り、送る直前に人が書き入れる運用にすると、入力する情報を減らせます。
提案書・トークスクリプトの作成
提案書では、相手の課題、解決策、導入の進め方、費用、次の一手という構成の骨組みをAIに作らせ、中身は自社の資料と担当者の判断で埋める使い方が現実的です。トークスクリプトは、想定される質問や断り文句を洗い出させ、それぞれへの返し方の候補を作らせると、新人の準備に役立ちます。自社の製品資料や過去の提案書の構成を渡す場合は、社外秘の資料を入れてよいかを、後述の線引きに沿って確認してください。
商談・通話の議事録作成と要約
商談の録音や手書きのメモから、決まったこと、宿題、次回までの期限を抜き出して整理する使い方です。営業特化のツールには、商談の録画や通話から議事録を作り、SFAに自動で入力するものがあります。汎用の生成AIで行う場合は、担当者が取ったメモを貼り付けて要約させる形が中心になります。録音データや議事録には相手の発言がそのまま含まれるため、入力してよい範囲を事前に決めておく必要があります。
リードの絞り込み・スコアリングとアプローチの自動化
リード(見込み客)のうち、どこから連絡するかの優先順位をつけるのがスコアリングです。Webサイトの閲覧履歴、資料請求の内容、過去の商談記録などのデータを使うため、この場面はSFA・CRM搭載型や営業特化ツールが得意とする領域です。汎用の生成AIでできるのは、ターゲットの条件を言葉で整理する、リストを見ながら優先順位の付け方の基準を一緒に考える、といった補助的な使い方です。アプローチの自動化まで進める場合は、誰に、どの文面を、どの頻度で送るのかを人が決めて承認する工程を残しておくと、意図しない連絡を防げます。
売上予測・失注分析などデータ分析
売上予測は、SFAに蓄積された商談の段階や金額、過去の受注率を使う作業で、SFA搭載型のAIが向いています。汎用の生成AIで取り組みやすいのは、失注理由の整理です。失注した商談の理由をメモから書き出し、個人名や社名を除いたうえでAIに分類させると、価格、機能、タイミング、競合といった傾向が見えやすくなります。数値の集計そのものは、表計算ソフトで行い、AIには解釈や次の打ち手の候補出しを任せる分担にすると、計算の誤りを避けやすくなります。
ナレッジ共有と属人化の解消・営業の標準化
売れている担当者の進め方が本人の頭の中にしかない状態が、属人化です。AIを使う利点の一つは、よく使う指示文(プロンプト)を部署で共有することで、準備の手順そのものを標準化できる点にあります。たとえば、商談前の下調べの指示文、提案書の構成の指示文、失注理由の整理の指示文を部署の共有フォルダに置き、全員が同じ観点で準備する形です。汎用の生成AIの法人プランには、指示文や資料をまとめてチームで共有する機能を持つものもあります。
営業研修・ロープレ・セールスイネーブルメント
セールスイネーブルメントは、営業組織が成果を出せるように、教育や資料、仕組みを整える取り組みを指します。生成AIは、ロールプレイの相手役に使えます。業種、役職、予算の制約、よくある懸念などの条件を渡して顧客役を演じさせ、担当者が提案の練習をしたあと、良かった点と改善点を振り返らせる使い方です。先輩社員の時間を使わずに何度でも練習できるのが利点ですが、AIの顧客役は実際の顧客の反応を再現するものではないため、最終的な確認は上司や先輩との練習で行うのが安全です。
営業で使えるプロンプト例5つ
プロンプトは、目的、相手、条件、出力の形の4つを入れると、手直しの少ない結果が返りやすくなります。以下は、顧客の実名や個人の連絡先を入れずに使える形にしてあります。【】の部分を自社の状況に置き換えて使ってください。
例1:商談前の下調べ
あなたは法人営業の担当者です。【業種・会社規模】の企業に、【自社製品の分野】を提案する商談の準備をしています。公開されている情報をもとに、この業種で一般的に課題になりやすいことを5つ挙げ、それぞれについて商談で相手に確認したい質問を2つずつ作ってください。事実として書く内容には、確認できる出典を添えてください。出典が見つからないものは、推測であると明記してください。
例2:商談後のフォローメール
次の商談メモをもとに、お礼と次回の提案日程を確認するメールの下書きを作ってください。相手は【役職】で、丁寧だが簡潔な文面を希望します。本文は300字以内、宿題事項は箇条書きにしてください。社名と氏名は【会社名】【氏名】のまま残してください。
商談メモ:【決まったこと】【先方の懸念】【こちらの宿題と期限】
例3:提案書の構成づくり
【相手の課題】を抱える【業種】の企業向けに、【自社サービスの概要】を提案する資料の構成を作ってください。スライドは10枚以内とし、各スライドのタイトルと、そこに書くべき要点を3行で示してください。費用のスライドには金額を書かず、【見積金額】と置いてください。
例4:断り文句への返し方の準備
【自社サービス】の提案で、相手から出やすい断り文句を8つ挙げてください。それぞれについて、相手の事情を尊重しながら次の話につなげる返し方を2案ずつ作ってください。値引きを前提にした返し方は含めないでください。
例5:失注理由の整理
以下は、過去半年の失注案件の理由をメモしたものです(社名と個人名は除いてあります)。理由を価格・機能・時期・競合・その他の5つに分類し、分類ごとの件数と、次の半年で試せる対策を3つ提案してください。件数は自分で数え直せるよう、各メモがどの分類に入ったかも一覧で示してください。
メモ:【失注理由の一覧】
プロンプトは一度作って終わりではありません。使ってみて手直しが多かった点を指示文に足していくと、部署で共有する価値のある型に育っていきます。
提案書・メール・調べものを複数のAIに同じ依頼で出して比べる手順
1つのAIの答えだけで判断せず、同じ依頼を2〜3のAIに出して見比べると、抜けや誤りに気づきやすくなります。AIによって、文章の組み立て方や、調べものでの情報の拾い方には違いがあります。営業の資料は社外に出るものなので、比べるひと手間が品質の差になります。
- 依頼文を1つに決める:前の節のプロンプト例のように、目的・相手・条件・出力の形を入れた依頼文を作ります。顧客の実名は伏せておきます。
- 同じ依頼文を2〜3のAIに出す:文言を変えずに出すことが大切です。依頼文が違うと、答えの違いがAIの違いなのか依頼の違いなのか分からなくなります。複数のAIを1つの画面で切り替えて使える環境であれば、貼り直しの手間はほとんどかかりません。
- 観点を決めて見比べる:調べものなら、事実や数字が食い違っていないか、出典を開いて確認できるか。メールなら、相手の立場に合った語調か、長すぎないか。提案書なら、構成に抜けている論点がないかを見ます。
- 食い違った箇所は一次情報で確かめる:2つのAIで数字や日付が違った箇所は、少なくともどちらかが誤っている可能性があります。そこが人が確認すべき場所です。
- 採用する案は1つに決め、他の案の良い部分だけを取り込む:複数の案をつなぎ合わせると、文体や論理がちぐはぐになりやすいためです。
- 2週間分の結果を記録する:用途ごとに、どのAIの案を採用したかを簡単に記録しておくと、部署としての使い分けの既定を決める材料になります。
判断の目安:調べものは出典を確認しやすい答えを、メールは手直しの少ない答えを、提案書は論点の抜けが少ない答えを採る、というように、用途ごとに採用の基準を先に決めておくと、担当者ごとの好みで判断がばらつくのを防げます。
各AIの特徴と業務ごとの割り当て方は主要4AIの違いと使い分けで、複数のAIを1つの環境でまとめて使う方法はマルチAIの解説で詳しく扱っています。
代表的なツールの紹介と料金
営業に使えるAIの料金は、汎用の生成AIは1ユーザーあたりの月額で公開されていることが多く、SFA・CRM搭載型や営業特化ツールは利用条件によって変わるか、問い合わせで決まることが多い、という違いがあります。ここでは種類ごとに代表的なものと、料金の公開状況を示します。特定のツールを推奨するものではありません。
汎用の生成AIの法人プラン
- ChatGPT Business(OpenAI):料金ページでは、日本から表示した場合、標準シートが月3,050円(年額課金の場合)、月3,850円(月額課金の場合)と表示されています。料金ページには「従業員数2~200名のチーム向け」とあり、ヘルプではワークスペースごとに2シート以上が必要とされています。料金ページには税込か税抜かの記載がありません。
- Claude Team(Anthropic):料金ページでは「2〜150名のチーム向け」とされ、スタンダードシートは年払い時にシートあたり月額20米ドル、月払いの場合は25米ドル(税抜)です。日本から表示すると消費税10%を含む金額として、年払い時22米ドル、月払い時27.50米ドルと表示されます。
ChatGPTの法人向けプランの違いはChatGPTの法人プランの料金で、国内外の法人向け生成AIサービスの料金は法人向け生成AIの料金比較で横並びにしています。
SFA・CRM搭載型と営業特化ツール
- Agentforce for Sales(Salesforce):2025年4月3日の発表では、Enterprise、Unlimited、Performance、Einstein 1 Editionの各エディションへのアドオンとされ、2025年4月の発表時点のプレスリリースには1つの会話につき240円からと記載されています。機能ページでは、AIセールスエージェントの利用料金はビジネスニーズ、会話の件数、ビジネスデータとの連携レベルによって異なると説明されています。
- Microsoft 365 CopilotのSales agent(Microsoft):公式ドキュメントのFAQでは、Sales agentの利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要とされています。Sales agent単体の料金は公開されていません。
- bellSalesAI(ベルフェイス)、Sansanの生成AI機能(Sansan):いずれも各社の発表で機能が紹介されています。Sansanの生成AI機能は、Sansanの利用者向けに実験的な機能を無料で公開する「Sansan Labs」で提供すると2024年2月15日に発表されています。料金の詳細は各社の公式情報で確認してください。
※料金と記載内容は、ChatGPT BusinessとClaude Teamは2026年9月16日、その他は2026年9月17日時点で各社の公式ページ・発表で確認したものです。ChatGPTの料金ページは閲覧する環境によって円表示と米ドル表示が切り替わります。価格とプランは変更されることがあるため、契約前に各社の公式ページで最新の内容を確認してください。
営業部に配る人数別の月額を円で計算する
1ユーザーあたりの月額で課金されるプランは、配る人数に比例して費用が増えます。ChatGPT Businessの標準シートを営業部に配った場合を、料金ページの円表示で計算すると次のとおりです。
年額課金(月3,050円×人数、年払い)の場合
- 10名:月30,500円、年366,000円
- 30名:月91,500円、年1,098,000円
- 50名:月152,500円、年1,830,000円
- 100名:月305,000円、年3,660,000円
- 200名:月610,000円、年7,320,000円
月額課金(月3,850円×人数)の場合
- 10名:月38,500円
- 30名:月115,500円
- 50名:月192,500円
- 100名:月385,000円
- 200名:月770,000円
Claude Teamのスタンダードシートは米ドル建てのため、円に換算せずに示します。年払い時の税抜月額で、10名は200米ドル、30名は600米ドル、50名は1,000米ドル、100名は2,000米ドルです。料金ページでTeamは2〜150名向けとされているため、150名を超える場合はEnterpriseプランなど別の契約形態を検討することになります。
※計算の前提:ChatGPT Businessは2026年9月16日に日本から表示した料金ページの円表示(税の記載なし)を使い、税は足していません。ヘルプでは、年額プランは月額20米ドル×12か月の年払いと説明されています。ChatGPT Businessは、2026年8月24日以降、サブスクリプション1件あたりの有料シートの上限が200シートとされています(それより前に作成されたワークスペースには以前の上限が適用)。Claude Teamは同日確認の料金ページの税抜の米ドル額で、為替による円の金額は請求時に変わります。いずれもプレミアムシートや追加クレジットは含みません。
費用を比べるときは、月額だけでなく、配らなかった社員がどうするかも合わせて考える必要があります。会社が営業部の一部にしかアカウントを配らないと、配られなかった人が個人のアカウントで業務に使い始めることがあり、会社から見えない利用、いわゆる野良AI(シャドーAI)の入口になります。費用の考え方全般は生成AIのコスト管理でも解説しています。
導入事例|企業が公表している2つの発表
営業でのAI活用の事例は、多くがツールを提供する企業の発表です。数値が載っている場合も、発表企業による集計である点を踏まえて読む必要があります。ここでは、発表元と日付を確認できた2つを紹介します。
タイミー:商談後のSalesforce入力の自動化(ベルフェイス発表)
ベルフェイスは2025年9月24日、タイミーが商談後のSalesforce入力を自動化する「bellSalesAI」を導入したと発表しました。発表では、95.2%のユーザーが商談後のSalesforce入力時間の削減に成功し、入力時間の削減に成功したユーザーの約60%で顧客接点時間が増え、27.4%のユーザーが残業時間を削減したとされています。
※数値はベルフェイスの発表によるもので、第三者による検証を経たものではありません。
この事例から読み取れるのは、AIで削った時間が、そのまま顧客との接点に回ったと発表されている点です。導入の目的を、作業の削減そのものではなく、顧客対応の時間を増やすことに置く考え方の参考になります。
Sansan:営業DXサービスの実験的な機能への生成AIの追加(Sansan発表)
Sansanは2024年2月15日、営業DXサービス「Sansan」の中で実験的な機能を利用者に無料で提供する「Sansan Labs」に、生成AIを使った3つの機能(AI企業検索-BtoB商材-、議事録メーカー、5分で読める決算説明)を追加したと発表しました。発表に数値による効果の記載はありませんが、商談前のリサーチ、議事録、相手企業の決算の理解という、この記事で扱った場面と重なる機能が営業向けサービスに組み込まれている例です。
事例を自社に当てはめるときは、相手企業の規模、SFAの整備状況、対象業務がどれだけ近いかを確認してください。条件が違えば、同じ結果になるとは限りません。
顧客情報を入れる前に決めること|機密情報とセキュリティ
営業でAIを使うときに最初に決めるべきなのは、どのプランを使い、どの情報を入れてよいかです。営業の仕事は、名刺、商談メモ、見積、取引先から預かった資料など、顧客の情報を常に扱います。使い方の工夫より先にここを決めておくと、現場が迷わずに使えるようになります。
無料版は入力が学習に使われる可能性があり、法人プランを選ぶ
個人向けのプランと法人向けのプランでは、入力した内容をAIの学習に使うかどうかの初期設定が違います。ChatGPTの料金ページの比較表では、個人向けの無料版・Go・Plus・Proは、コンテンツをモデルの学習に使用する設定が「無効化可能」とされており、利用者が自分で設定を変える形です。Claudeの料金ページでも、個人向けのFree・Pro・Maxはモデルのトレーニングが「オプトアウト」とされています。
さらに、学習への利用を止めていても例外があります。OpenAIのヘルプでは、回答に「良い回答」「良くない回答」の評価を付けてフィードバックした場合、その会話全体がモデルのトレーニングに使われることがあると説明されています。Anthropicのプライバシーの説明でも、個人向けプランで高評価・低評価のフィードバックをした場合、関連する会話を最大5年間保存し、ユーザーIDから切り離したうえで学習に使うことがあるとされています。社員が個人アカウントで設定を正しく管理し続けることを会社が確かめるのは難しいため、業務で使うなら、会社が契約する法人プランにそろえるのが基本になります。
各AIの法人プランのデータの扱い(公式の記載と確認日)
- ChatGPT Business:料金ページに「デフォルトではビジネスデータを学習に使用しません」と記載されています(2026年9月15日確認)。
- ChatGPT Enterprise:公式の製品ページで、会話、ファイル、ChatGPTの出力を含むビジネスデータは、デフォルトではOpenAIのモデルの学習に使用されないと説明されています(2026年9月16日確認)。
- Claude Team・Enterprise:Anthropicのプライバシーの説明(英語)では、Development Partner Programへの参加を選ばない限り、チャットやコーディングのセッションをモデルの学習に使わないとされています(2026年9月17日確認)。料金ページの比較表でも、モデルのトレーニングはTeam・Enterpriseとも「デフォルトではなし」です(2026年9月16日確認)。
- Google Workspace with Gemini:Googleのプライバシーの説明ページに「お客様のデータは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成AIモデルのトレーニングに使用されることもありません。」と記載されています(2026年9月17日確認)。
- Microsoft 365 CopilotのSales agent:公式ドキュメントのFAQ(英語)で、Microsoftは顧客のデータをLLM(大規模言語モデル)の学習に使わないとされています(2026年9月17日確認)。
※上記は各社公式ページの記載を、記載の日付に確認したものです。「デフォルトでは」とある場合、管理者の設定や別途の参加手続きによって扱いが変わることがあります。契約前に、自社の契約形態での扱いを各社の最新の記載で確認してください。
個人情報保護委員会の注意喚起を営業の場面に当てはめる
個人情報保護委員会は、2023年6月2日(令和5年6月2日)に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」を公表しています。その中で、個人情報取扱事業者が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。また、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合には、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性があるとし、そのような入力をする場合は、提供事業者がその個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。
営業の場面に置き換えると、次の4つの手順になります。
- 利用目的の範囲を確かめる:名刺や問い合わせフォームで得た情報を、取得したときに示した利用目的(たとえば商談や提案のための連絡)の範囲で使っているかを確認します。範囲外の使い方になるなら、入力しません。
- 使うサービスの扱いを確かめる:入力した内容が機械学習に使われない設定になっているかを、前の節のような公式の記載で確認します。個人向けプランや、設定を会社が確認できないアカウントには入力しません。
- 入力を必要最小限にする:メールの下書きなら氏名は【氏名】と置き、役職と業種だけを渡すなど、目的に必要のない個人情報は入れない形を標準にします。
- 確認した内容を社内ルールに残す:どのプランの、どの公式ページを、いつ確認したかを社内ルールに書いておくと、取引先から問われたときに説明でき、規約が変わったときに見直すきっかけにもなります。
なお、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」(第1.2版・2026年3月31日。2026年9月時点の最新版)も、AIの利用者に対し、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意を払うことを求めています。
営業で入れてよい情報・入れない情報の線引き
現場が迷うのは、具体的な資料を前にしたときです。営業でよく扱う情報を、3つの区分に分けた例を示します。自社の就業規則や取引先との契約に合わせて調整してください。
| 区分 | 営業で扱う情報の例 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 入れてよい | 相手企業の公開情報(Webサイト、決算資料、ニュース)、自社の公開済みの製品情報、社名や個人名を除いた一般的な業種の課題 | 法人プランであれば、そのまま使ってよい。出典の確認は人が行う |
| 条件付きで入れてよい | 名刺や商談メモに含まれる氏名・役職・連絡先、社外秘の自社提案書や価格表、社名を含む商談の経緯 | 学習に使われない法人プランで、利用目的の範囲内に限る。氏名や社名は置き換えられるなら置き換える |
| 入れない | 取引先から秘密保持契約つきで預かった資料、見積の原価や他社への提示価格、相手の個人的な事情に関わる情報、社内の人事評価 | 原則として入力しない。必要な場合は責任者の判断と記録を残す |
秘密保持契約つきの資料は、契約で開示先や利用目的が限られていることが多く、AIサービスへの入力がその範囲に含まれるかは契約ごとに確認が必要です。判断に迷う資料は入れない、という原則を先に共有しておくと、事故を防ぎやすくなります。社内ルール全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で、点検項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストで整理しています。
顧客情報を入力する前に、営業担当ごとに使うAIが違っていないでしょうか。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
ハルシネーションと出力の人による確認
AIの答えは、もっともらしく見えても事実と違うことがあるため、社外に出す前に人が確認する工程を必ず残します。デジタル庁の「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」は、根拠のない事実と異なる回答をする現象を、テキスト生成AIの幻覚(ハルシネーション)と説明しています。
営業で起きやすいのは、次のような誤りです。
- 相手企業の設立年、従業員数、拠点数などの数字の誤り
- 相手企業が発表していない取り組みや提携を、あったかのように書く
- 自社製品にない機能や、実際と違う価格を提案書に書く
- 法令や制度の名称、施行時期の誤り
確認のしかたは、数字・固有名詞・日付に印をつけて、出典を開いて照らし合わせるのが基本です。特に自社製品の機能や価格は、AIに書かせずに、社内の正式な資料から人が書き写す運用にすると、誤った約束をするリスクを下げられます。前掲のAI事業者ガイドラインも、AIの利用者に、出力の精度とリスクの程度を理解したうえで利用することを求めています。
確認の分担:下書きを作った担当者が数字と固有名詞を確認し、金額や契約条件が入る提案書は上長がもう一度見る、という2段階にしておくと、確認が抜けにくくなります。
SFA/CRMのデータ品質と入力ルール
SFAやCRMに組み込まれたAIの結果は、入っているデータの質を超えません。商談の段階の付け方が人によって違う、金額の入力が遅れる、失注理由が空欄のまま、という状態では、AIが示す見通しや優先順位も当てにしにくくなります。
AIを活かすために、次の入力ルールを先にそろえておくことをおすすめします。
- 商談の段階の定義を文章で決める:たとえば、課題を確認した、提案書を出した、見積を出した、というように、どの状態になったら次の段階に進めるかを決めます。
- 必須項目を絞る:項目が多すぎると入力が続きません。AIの分析に使う項目(段階、金額、受注予定時期、失注理由)を優先します。
- 失注理由は選択肢から選ぶ:自由記述だけにすると集計しにくくなります。選択肢と補足のメモを組み合わせます。
- 入力の期限を決める:商談当日中、翌営業日中など、期限を決めて守れる運用にします。
議事録の要約や入力の自動化は、この入力負担そのものを減らす使い方です。入力が続かないことが課題の会社では、分析よりも先に、入力の手間を減らす場面からAIを使うと、データの質も上がりやすくなります。
社員へのアカウント配布と、退職・異動時の停止手順
法人プランを契約しても、アカウントの配り方と止め方を決めていないと、使っていないシートに費用がかかり続けたり、退職者がアクセスできる状態が残ったりします。営業部に配ることを前提に、配布から停止までの手順をまとめます。
配布の前に決めること
- 管理者を2名置く:営業責任者と総務担当など、1人に依存しない体制にします。
- 配る人の名簿を作る:氏名、部署、会社のメールアドレス、配布日を記録します。この名簿が、後の棚卸しの基準になります。
- 個人アカウントでの業務利用を止めるルールを明文化する:会社のアカウントを配る日から、業務の情報は会社のアカウントにだけ入力する、と決めて伝えます。
配布するとき
- 会社のメールアドレスで招待し、個人のメールアドレスで参加させない。
- 初日に、入れてよい情報の線引きと、プロンプト例、困ったときの相談先を一緒に渡す。
- ChatGPT Enterpriseでは、招待を承諾するときに個人用ワークスペースをEnterpriseワークスペースに統合するよう求める組織があり、ヘルプでは、統合すると個人のチャットやファイルは組織の管理下に移り、元に戻せないと説明されています。統合を求める設定にする場合は、事前に社員へ伝えておきます。
異動するとき
ChatGPT Businessのヘルプでは、各請求サイクルの開始時に、メンバーに割り当てられているかどうかにかかわらず、ワークスペース内のすべてのシートに料金が請求されると説明されています。シートの追加は即時で日割り請求、削減は次回の請求サイクルの開始時に反映され、年間プランでは追加したシートは契約期間の終了まで契約対象として残ります。営業部から他部署へ異動する社員のアカウントは、外すか、次に営業部に来る人へ割り当て直すかをその場で決めておくと、使われないシートに費用がかかり続けるのを防げます。
退職するとき
- 最終出社日にアカウントを停止する手順を、退職時の手続き(PCの返却、メールの停止など)の一覧に加える。
- 本人が作って共有していた指示文や資料は、停止前に引き継ぎ先を決めておく。
- 名簿の配布状況を停止済みに更新する。
月1回の棚卸しと利用ログの確認
月に1回、名簿と管理画面のメンバー一覧を突き合わせ、名簿にない人、退職済みの人、長く使っていない人がいないかを確認します。利用状況をどこまで管理画面で見られるかはプランによって違うため、契約前に、誰がいつどの程度使ったかを会社側で把握できるかを確認しておきます。誰がログを見るのか(たとえば総務が月1回)も決めておくと、確認が形だけにならずに済みます。社員が会社に届けずに使っているツールの見つけ方は野良AI(シャドーAI)の見つけ方で解説しています。
導入ステップ|目的の明確化からスモールスタート、全社展開まで
営業へのAI導入は、目的を1つに絞って小さく始め、効果とルールを確かめてから広げる順番が確かめながら広げられる進め方です。次の5つのステップで進めます。
- 目的を明確にする:メール作成の時間を減らす、商談後の入力を早くする、新人の準備を標準化する、など、測れる形で1〜2個に絞ります。あれもこれもと広げると、効果が見えにくくなります。
- ルールを先に決める:使うプラン、入れてよい情報の線引き、出力の確認のしかた、アカウントの配布と停止の手順を、A4で1〜2枚程度にまとめます。
- ツールを選ぶ:SFAやCRMがすでに定着しているなら搭載型のAIを、議事録や入力の負担が大きいなら営業特化ツールを、まず幅広く試したいなら汎用の生成AIの法人プランを、という目安で選びます。
- スモールスタートで試す:営業部の中から、使う意欲のある3〜5名程度で1〜2か月試します。導入前に、目的に合わせた作業時間などの基準値を測っておきます。
- 全社展開する:試した結果をもとに、プロンプト例とルールを手直しし、営業部全体、さらに他部署へと広げます。展開の単位ごとに、説明会と相談窓口を用意します。
※試す人数や期間は目安です。営業部の人数や商談の周期(1件の商談に何か月かかるか)に合わせて調整してください。
定着させる工夫と、現場の抵抗・リテラシーへの対応
AIが定着しない原因は、ツールの性能よりも、使う場面が決まっていないことや、使ってよいかどうかの不安にあることが多いと考えられます。現場の抵抗は、無理に押し切るより、不安の中身を1つずつ解消するほうが早く進みます。
よくある抵抗と対応
- 何に使えばいいか分からない:場面を1つ決めて、その場面のプロンプト例を配ります。自由に使ってくださいでは、多くの人は使い始めません。
- 顧客情報を入れて怒られないか不安:入れてよい情報の線引きを表で示し、迷ったら入れない、と明確にします。禁止事項だけでなく、入れてよいものを示すことが安心につながります。
- AIの文章は自分の言葉ではない:AIは下書きを作るもので、最終的な文面は担当者が決める、という位置付けを伝えます。
- 自分の仕事がなくなるのではないか:この記事の最後の節で扱うように、AIに任せるのは作業で、相手と向き合う部分は人に残る、という分担を示します。
リテラシーの差を埋める工夫
- 週1回15分程度、うまくいった使い方を部署内で共有する時間を設ける。
- 使い慣れた人を相談役に決め、質問しやすい窓口にする。
- 効果が出たプロンプトを共有フォルダに集め、名前と用途を付けて管理する。
- 研修は、ツールの操作よりも、線引きと確認のしかたを中心にする。
効果測定・KPI・費用対効果の見方
効果測定は、導入前に基準値を測り、同じ測り方で導入後と比べることが前提です。導入後に測り始めると、比べる相手がなく、効果があったのかどうかが分からなくなります。KPI(重要業績評価指標)は、目的に合わせて2〜3個に絞ります。
作業時間の指標
- メール1通あたりの作成時間:対象の種類(初回アポイント、お礼、見積送付など)を決め、書き始めから送信可能な状態までの時間を記録します。
- 提案書の初稿ができるまでの時間:依頼を受けてから、上長に見せられる初稿ができるまでの時間です。
- 商談後の入力が終わるまでの時間:商談終了からSFAへの入力完了までの時間、または期限内に入力された商談の割合を見ます。
利用と成果の指標
- 利用率:アカウントを配った人のうち、週に1回以上使った人の割合です。分母はアカウントを配った人数にします。
- 顧客接点の時間や件数:訪問、オンライン商談、電話の件数や時間が、削減した作業時間の分だけ増えているかを見ます。
- 商談化率・受注率:市況や商材の影響を受けやすく、AIの効果だけを切り出すのは難しい指標です。参考として見るにとどめます。
費用対効果の計算式
月あたりの効果の目安 = 1人あたりの月間削減時間 × 対象人数 × 1時間あたりの人件費
これを、月額の利用料金(前の節の人数別の計算を使う)と、ルール作りや研修にかかった社内の時間と比べます。削減時間は、担当者の自己申告だけでなく、導入前後の同じ作業の記録で確かめると、数字の信頼性が上がります。
削減した時間が本当に顧客対応に回ったかどうかは、上の顧客接点の指標と合わせて見ます。時間が減っても、他の事務作業に吸収されていれば、営業の成果にはつながりにくいためです。
社員10〜200名の会社向け 始め方チェックリスト
この規模の会社では、情報システムの専任者がいないまま、営業責任者と総務担当が兼務で導入を進めることが多いと考えられます。IPA(情報処理推進機構)の「2024年度中小企業等実態調査」速報版(2025年2月14日公開・全国の中小企業の経営層を対象としたウェブアンケート・回収4,191件・2024年10月25日〜11月6日実施)では、情報セキュリティ対策の「専門部署がある」企業は9.3%で、約7割の企業で組織的なセキュリティ体制が整備されていない状況がうかがえるとされています。これは営業部門ではなく情報セキュリティの体制についての数字ですが、専任の担当者を置けない前提で進め方を考える会社も多いと考えられます。
営業責任者と総務担当が、それぞれ何を決めるかを分けたチェックリストです。
- 【営業責任者】AIを使う場面を1〜2個に絞ったメール作成、商談前の下調べ、議事録の整理など、測れる場面から選びます。
- 【営業責任者】導入前の基準値を測った対象の作業にかかる時間を、2週間ほど記録しておきます。
- 【営業責任者】試す3〜5名を決めた使う意欲のある人と、慎重な人の両方を入れると、定着の課題が早く見えます。
- 【営業責任者】部署で共有するプロンプト例を用意した場面ごとに1つずつ、【】で置き換える形にしておきます。
- 【総務】会社で契約する法人プランを決めた学習に使わない設定が公式に記載されているかを確認し、確認日を残します。
- 【総務】入れてよい情報・入れない情報の線引きを文書にした名刺、商談メモ、見積、預かり資料など、営業の具体物で書きます。
- 【総務】個人アカウントでの業務利用を止めるルールを決めた会社のアカウントを配る日と合わせて周知します。
- 【総務】アカウントの名簿と、異動・退職時の停止手順を作った退職手続きの一覧に、AIのアカウント停止を加えます。
- 【総務】月1回の棚卸しと、利用状況を誰が見るかを決めた名簿と管理画面の突き合わせを、担当者と日付まで決めます。
- 【両者】出力の確認のしかたと、社外に出す前の承認者を決めた数字・固有名詞・日付の確認と、金額が入る資料の上長確認を標準にします。
導入の全体の流れや、使える補助金については中小企業の生成AI導入ステップも参考になります。
AIで営業の仕事はなくなるか|AIと人の役割分担
公表されている調査や製品の説明から見える方向は、AIが営業の仕事を丸ごと置き換えるというより、調べる・書く・記録するといった作業をAIが担い、相手の状況を聞いて判断し、約束に責任を持つ部分を人が担うという分担です。
たとえば、前掲のベルフェイスの発表では、入力時間の削減に成功したユーザーの約60%で顧客接点時間が増えたとされています。OpenAIもChatGPT Enterpriseの公式ページで、営業部門での使い方について、営業担当者が商談を前に進める時間を増やせるよう支援すると説明しています。いずれも提供側の発表ですが、AIを営業担当者の代わりではなく、顧客と向き合う時間を増やす道具として位置付けている点は共通しています。
一方で、買い手の行動は変わり始めています。前掲のHubSpot Japanの調査では、B2Bの購買検討で生成AIを情報源として使う買い手の割合が4.3%から11.7%に増えたと発表されています。買い手がAIで下調べを済ませてから商談に来るようになれば、営業に求められるのは、一般的な製品説明よりも、相手の事情に合わせた判断や提案になっていく可能性があります。
AIに任せやすいこと、人が担うこと
- AIに任せやすいこと:公開情報の下調べ、メールや提案書の下書き、議事録の要約、入力項目の抽出、断り文句への返し方の候補出し、ロールプレイの相手役
- 人が担うこと:相手の本当の課題を聞き出すこと、提案の内容と価格の判断、社外に出す文面の最終確認、約束した内容への責任、信頼関係づくり
AIを使う営業担当者と使わない営業担当者の差は、準備にかけられる時間と質の差として表れていくと考えられます。仕事がなくなるかを心配するより、AIに任せる作業を決めて、空いた時間を顧客に使う方向に組み立てるほうが、現場にとっても会社にとっても前向きな進め方になります。
提案書・メール・調べものを、1つの画面で安全に
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面ではUPGEAR AI上で誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧でき、使わせるAIも会社が選べます。会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
AIで営業の仕事はなくなりますか?
無料版のChatGPTで営業メールを作ってもよいですか?
名刺や商談メモの内容をAIに入れてもよいですか?
営業特化ツールと汎用の生成AIは、どちらから始めるべきですか?
営業部の全員にアカウントを配る必要はありますか?
AIが作った提案書をそのままお客様に出してもよいですか?
まとめ
営業AIは、SFA・CRMに組み込まれたAI、営業特化のツール、汎用の生成AIの3種類に分けて考えると、自社に合う入口が選びやすくなります。社員10〜200名の会社では、汎用の生成AIの法人プランを使い、商談前の下調べ、メール、提案書の下書きから始める形が取り組みやすい選択肢です。
使い方の工夫より先に決めておきたいのは、顧客情報の扱いです。個人向けプランと法人プランでは学習への利用の初期設定が違い、個人情報保護委員会も、個人情報を含む入力には利用目的の範囲と、提供事業者が機械学習に利用しないこと等の確認を求めています。入れてよい情報・条件付きの情報・入れない情報を営業の具体物で線引きし、出力は人が確認する工程を残してください。
費用は、1ユーザーあたりの月額のプランでは人数に比例して増えます。配った後は、名簿による棚卸し、異動・退職時の停止、利用状況の確認までを手順にしておくと、使われないシートや見えない利用を防げます。小さく試し、基準値と比べて効果を確かめながら広げていくことが、営業のAI活用を定着させる近道です。
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