
Copilotの画像生成とは、MicrosoftのCopilotに文章で指示して、写真風やイラスト風の画像を作ってもらう機能です。会社の資料や広告に使えるかは、無料か有料かではなく、どのアカウントでサインインして作ったかで決まります。個人のMicrosoftアカウントで作った画像には個人向けの利用規約が適用され、そこでは私的な利用が前提とされています。職場のアカウント(Microsoft Entraアカウント)で作った画像は、会社とMicrosoftの法人向けの契約のもとで扱われます。この記事では、社員から「Copilotで作った画像をチラシや提案書に使ってよいか」と聞かれた総務・情シスの方に向けて、規約の分かれ目、著作権の補償が外れる場合、透かし、画像生成できないときの原因、管理者の設定、社外に出す画像の社内ルールのひな形までを、公式情報をもとに整理します。
Copilotという名前の製品の全体像、プランと料金、入力データの扱いの全体については、Copilotとは?同じ名前の製品の違いと会社で安全に使う方法で解説しています。この記事は、そのうち画像の作成に絞って、会社として判断が必要になる点を掘り下げます。
※2026年9月19日時点で各社の公式ページに記載されている内容です。規約・料金・管理画面の表記は変更されることがあります。英語の規約は原文を併記し、日本語は参考訳です。
結論:会社の資料・広告に使えるかは、サインインしているアカウントで決まる
社外に出す画像は、職場のアカウントでサインインしたCopilotで作ったものに限り、公開前に人が確認する、というのが実務上の答えです。理由は、Microsoftが個人向けと組織向けで適用する規約をはっきり分けているためです。
2026年8月18日に発効した個人向けの「Microsoft Copilot 追加利用規約」(英語版)は、改定の説明の中で、この規約がWeb・デスクトップ・モバイルのMicrosoft Copilotアプリと、Microsoft 365アプリの中のCopilot Chatに適用されること、そして職場・学校・組織(Entra)のアカウントでサインインする利用者には適用されないことを明記しています。そのうえで本文には「You can only use Copilot for your own personal use.」(Copilotは本人の私的な利用のためにのみ使えます)と書かれています。
つまり、同じCopilotの画面で同じように画像を作っても、個人のメールアドレスでサインインしていれば個人向けの規約、会社のアカウントでサインインしていれば法人向けの契約が適用されます。無料か有料かは、この線引きの基準ではありません。
個人アカウントと職場アカウントで何が違うか
個人のMicrosoftアカウント(個人用のメールアドレスなど)で作った画像
- 適用されるもの:Microsoftサービス規約と、Microsoft Copilotの追加利用規約
- 使い道:追加利用規約の文言上、本人の私的な利用が前提
- 公開したときの責任:「You are solely responsible if you choose to publish or share Copilot's Responses」(公開・共有した場合の責任は利用者が単独で負う)
- 著作権の補償:なし。サービス規約は、第三者からの申し立てへの対応を利用者自身の責任としている
- 会社から見えるか:会社の管理画面には出てこない
職場のアカウント(Microsoft Entraアカウント)で作った画像
- 適用されるもの:会社とMicrosoftの契約(製品条項、データ保護に関する補遺)
- 出力の扱い:製品条項に「Output Content is Customer Data.」(出力は顧客データ)とあり、Microsoftは所有しない
- 学習:顧客データを生成AIの基盤モデルの学習に使わないと製品条項に書かれている
- 著作権の補償:有料で提供される法人向けのCopilotであれば、Customer Copyright Commitmentの対象になり得る(条件と除外あり)
- 会社から見えるか:職場向けのCopilot Chatでは、プロンプトと応答がログに記録され、IT管理者が監査ツールで確認できる
この違いは、画像そのものの品質とは関係がありません。問われるのは、その画像が社外に出たあとで問題が起きたときに、誰がどの約束のもとで説明するかです。個人アカウントで作った画像を会社の名前で公開すると、規約の上では私的な利用の範囲を出ている可能性があり、しかも会社はその画像がどう作られたかを後から追えません。
自分がどちらのアカウントで使っているかを確かめる
社員に最初に確認してもらうのは、Copilotにサインインしているメールアドレスが会社のドメインかどうかです。Microsoftの管理者向け文書は、製品内のラベルがWord・Excel・PowerPoint・OneNoteなどのMicrosoft 365アプリとMicrosoft Copilotアプリに表示され、どのCopilotを使っているかを見分ける助けになると説明しています。組織向けには、Microsoft Entraアカウントでサインインしてから、Microsoft Copilotアプリ、copilot.cloud.microsoft、EdgeのCopilot Chat、またはOfficeアプリからCopilotを使うよう社員に案内する、という手順が示されています。
Windowsのパソコンに個人のアカウントと会社のアカウントの両方が入っていると、社員本人も気づかないまま個人アカウントのCopilotで画像を作っていることがあります。社外に出す画像を作る前に、サインイン中のアカウントを一度確かめる手順を入れておくと、後の判断がずっと楽になります。
Copilotで画像を作る方法(個人のアプリと職場のCopilot)
画像を作る操作そのものは簡単で、作りたい画像を文章で説明するだけです。ただし、個人向けのCopilotアプリと、職場向けのMicrosoft Copilotアプリ、PowerPointの中のCopilotでは、入口と画面が少しずつ違います。ここでは会社で使う前提で、入口ごとの手順と注意点を並べます。
画像を作るにはサインインが必要
画像の作成は、サインインした状態で使う機能です。Microsoftのサポート記事は、無料版のCopilotについて、サインインは必須ではないものの、個人用アカウントでサインインするとチャット履歴、画像の作成、長い会話、音声操作などの機能にアクセスできると説明しています。個人向けの追加利用規約も、改定点としてCopilotを使うにはMicrosoftアカウントでのログインが必要であることを明確にした、と書いています。
会社で使う場合は、ここで個人のMicrosoftアカウントではなく、会社から配られたアカウントでサインインしてもらうことが出発点になります。サインインせずに画像を作ろうとして失敗した社員が、手元の個人アカウントでサインインし直す、という流れで、個人アカウントでの利用が始まることがあります。
Copilotアプリ・Windows・Edge・ブラウザ・スマホで作る手順
個人向けのCopilotは、Windows、macOS、iOSとAndroidのモバイル端末、Microsoft EdgeのCopilotから使えるとMicrosoftのサポート記事に書かれています。どの入口でも、画像を作る流れは同じです。
- Copilotアプリ(Windowsのアプリ、スマホのアプリ、EdgeのCopilot、ブラウザのいずれか)を開き、サインインしているアカウントを確かめる
- 入力欄に、作りたい画像の内容を具体的に書いて送る(例:夕暮れ時の未来的な都市のスカイラインを、写真のような画風で)
- 生成を待つ。サポート記事には、プロンプトを送信してから画像が生成されるまでに数分かかると書かれている
- できた画像を確認し、足りない点を同じ会話の中で追加で指示する
- 使う画像を保存する。社外に出す予定がある場合は、この時点で次の確認に回す
職場のアカウントで使う場合の入口は、Microsoft Copilotアプリ、copilot.cloud.microsoft、EdgeのCopilot Chat、そしてWordやPowerPointなどのアプリです。スマホで使う場合も、アプリにサインインしているのが会社のアカウントかどうかを先に確かめます。
画像をアップロードして編集する・対話で修正する
新しく作るだけでなく、手元の画像をアップロードして変えてもらうこともできます。サポート記事の手順は、入力欄の[開く]アイコン(+)から[画像またはファイルの追加]を選び、画像を選んでから、背景の人物を削除する、設定を森に変えるといった指示を送る、というものです。同じ会話の中で、その画像について続けて依頼できます。
会社として気をつけたいのは、アップロードしてよい画像の条件です。同じサポート記事は、編集のためにアップロードする画像は、利用者が所有しているか使う権利を持つオリジナルの画像である必要があるとし、第三者の著作権・商標権・パブリシティ権を侵害する画像、他人のプライバシーを侵害する画像、同意なく個人を写した画像をアップロードしないよう求めています。アップロードした画像については利用者が単独で責任を負い、違法なコンテンツのアップロードが検出された場合はアカウントやCopilotの利用が制限・停止されることがある、とも書かれています。
社員や顧客が写った写真、取引先から受け取った素材、Webで拾った画像をそのままアップロードして加工するのは、この条件に照らして避けるべき使い方です。社内ルールの項目にも入れておきます。
職場のMicrosoft Copilotアプリで作る(スタイル・ブランドキット・Copilot Library)
職場向けのMicrosoft Copilotアプリには、画像を作るための専用の画面があります。英語版の公式ヘルプに書かれている手順は次のとおりです(画面の表記は英語版ヘルプのもの)。
- 左のナビゲーションで Create を選び、Create an image を選ぶ
- Describe your image に作りたい画像の説明を書く。Add an image で参考にする画像を添えることもできる
- Style で画風を選ぶ(ヘルプには Photorealistic、Surrealism、Anime などの例がある)
- 組織がブランドキットを設定している場合は、ブランドと色を選べる
- 形を Square(正方形)、Portrait(縦長)、Wide(横長)から選び、Create を押す
作った画像は Copilot Library で見つけられる、とヘルプに書かれています。社外に出した画像を後から探す、誰がどの画像を作ったかを確かめる、といった場面で、この保存先を知っておくと役に立ちます。
利用条件として、ヘルプは対象となるMicrosoft 365のサブスクリプションが必要だとしています。また、Microsoft Copilotのライセンスを持たない利用者は、サービスの空き状況によって品質や性能が変わることがあり、1日の中でも変わることがある、と書かれています。追加ライセンスのない社員が、時間帯によって画像がうまく作れないと感じる場合の説明になります。
ブランドキットは、会社のロゴや配色などをあらかじめ登録しておく仕組みで、ヘルプの書き方では組織側が設定しておくものです。社員が自由にブランドらしい画像を作るのではなく、会社が用意した色や素材の範囲で作らせる形にできる点は、広告や提案書に使う画像の品質をそろえるうえで意味があります。
PowerPointなどMicrosoft 365アプリで画像を作る
PowerPointのCopilotにも画像を作る機能があります。Microsoftのサポート記事は、Copilotに画像の作成を頼むと、DALL-E 3の画像生成を使ってAIが画像を作り、プレゼンテーションに挿入できると説明しています。さらに、Microsoft Copilotを使っていて管理者がこのオプションを設定している場合は、Copilotにブランド画像を提案させることもできる、と書かれています。
WordやPowerPointにCopilotが表示されない場合について、同じ記事は、利用しているMicrosoft 365のサブスクリプションに含まれていないか、組織の設定によって使えない可能性がある、としています。つまり、PowerPointで画像を作れないという相談の中には、契約の範囲の問題と、管理者の設定の問題が混ざっています。この切り分けは後半の画像生成ができない原因と対処(社員が直せるもの・管理者が直すもの)で扱います。
個人向けのMicrosoft 365(Personal・Family・Premium)を契約している人も、WordやPowerPointなどのデスクトップアプリでCopilotを使えます。ただし、この場合はMicrosoftアカウントでサインインした個人向けの利用で、職場のアカウントとは扱いが異なります。この点は商用利用の条件の節で詳しく見ます。
思いどおりの画像にするプロンプトのコツ
画像の質は、プロンプト(AIへの指示文)の具体さで大きく変わります。Microsoftのサポート記事も、プロンプトが詳細であるほど、特定の画風の画像や、登場する人物・雰囲気・場面の詳しい説明に沿った画像を作りやすくなると説明しています。ここでは、会社の資料や広告に使う画像を前提に、書き方のコツをまとめます。文章を作るときのプロンプト全般のコツは、親記事で扱っています。
具体的に書く・画風を指定する・Copilotにプロンプトを考えさせる
画像向けのプロンプトは、次の4つを意識して書くと安定します。
- 被写体:何を描くか。人物なら人数、年代の雰囲気、服装、表情まで書く(実在の人物に似せない)
- 場面:どこで、何をしているところか。背景、時間帯、光の向き
- 画風:写真風か、イラスト風か、漫画風か、抽象的か
- 形と使い道:横長のスライドに入れるのか、正方形のSNS投稿か、縦長のチラシか
公式のサポート記事にあるプロンプト例も、この要素を含んでいます。たとえば、赤い巻き毛で青いシルクのガウンを着た女性がバラ園の前に立つ本物そっくりのポートレート、夜のシカゴのスカイラインを背景にヒーローが飛ぶダイナミックなコミックの場面、といった具合です。何を・どこで・どんな画風で、が1文に入っています。
何を書けばよいか思いつかない場合は、Copilot自身にプロンプトを考えてもらう方法もあります。たとえば「社内研修のスライドの表紙に使う、落ち着いた雰囲気の画像を作りたい。画像生成に使える詳しい指示文を3案書いて」と頼み、出てきた案から選んで画像を作らせます。文章で相談してから画像を作る流れにすると、社員ごとの書き方の差が小さくなります。
入れたくないものを指定する(ネガティブプロンプト)
ネガティブプロンプトとは、画像に入れてほしくない要素を指定する書き方です。上位の解説記事でもよく紹介されています。Copilotの公式ヘルプには、ネガティブプロンプトという専用の入力欄や書式は書かれていません。実際には、文章の中で「文字を入れない」「人物を入れない」「背景は無地にする」と書き添えるか、できた画像に対して同じ会話の中で「右下の文字を消して」「人物を消して」と追加で頼む形になります。
会社で使う画像では、次のような除外をあらかじめ書き添えておくと、そのまま使える画像が出やすくなります。
- 文字・ロゴ・透かし風の模様を入れない
- 実在の人物、有名人、キャラクターに似せない
- 他社の商品やパッケージに似たものを入れない
- 背景に余計な建物や看板を入れない
特に2つ目と3つ目は、著作権や商標の問題を避けるための指定です。理由は著作権・第三者の権利と、補償(Customer Copyright Commitment)の範囲の節で説明します。
英語で書くと精度が上がるのか
英語でプロンプトを書くと精度が上がる、という説明は上位の解説記事にいくつか見られます。ただし、Microsoftの公式ページで、日本語より英語のほうが精度が高いと書かれた記載は確認できませんでした。日本語版のサポート記事は、日本語のプロンプト例をそのまま示しています。
実務では、まず日本語で具体的に書き、思った結果にならない部分だけを言い換える、という順番で十分です。英語に訳すかどうかより、被写体・場面・画風・形の4つが書かれているかどうかのほうが、結果への影響が大きいと考えてください。
生成できる画風の例(写実・アニメ・油絵・水彩・ロゴ)
個人向けCopilotのサポート記事は、画風の例としてリアリズム、抽象、漫画、未来的なスタイルを挙げています。職場向けのMicrosoft Copilotアプリでは、画像の作成画面のStyleで、Photorealistic(写真のような写実)、Surrealism(シュルレアリスム)、Anime(アニメ)などを選べると英語版ヘルプに書かれています。
油絵風や水彩画風も、プロンプトで指示することはできます。ただし、どの画風がどの程度きれいに出るかは、公式ページに一覧があるわけではありません。社外に出す画像では、画風を1つに決めて資料全体で統一するほうが、仕上がりの印象が安定します。
ロゴについては、作ることはできても、会社のロゴとして使うことはおすすめしません。後で説明するように、法人向けの著作権の補償は商標に関する申し立てを対象から外しています。ロゴは商標として使われるものなので、AIに作らせたロゴは補償の外に置かれやすい画像です。
画像内の文字・ロゴは崩れやすい前提で使う
画像の中に文字を入れると、綴りがおかしくなったり、日本語が読めない形になったりすることがあります。上位の解説記事でも、職場向けの画像作成画面を試した記事が日本語の文字は崩れやすいと報告しています。Microsoftの公式ページには、画像内の文字の精度についての記載は見当たりませんでした。
資料や広告では、文字は画像に描かせず、PowerPointやデザインツールの文字として後から重ねるのが確実です。画像は背景や挿絵に限って使い、社名、商品名、キャッチコピー、電話番号などは必ず人が入力する、という分担にしておくと、誤字のまま公開してしまう事故を防げます。
使われているモデルと、Designer・Image Creatorとの関係
Copilotの画像生成にどのモデルが使われているかは、入口によって公式の書き方が違い、確認できる範囲は限られています。社内で説明するときは、確認できたことだけを伝えるのが安全です。
使われているモデル(DALL-E 3)について公式で確認できること
公式で確認できたのは、PowerPointのCopilotが画像の作成にDALL-E 3の画像生成を使う、というサポート記事の記載です。DALL-E 3はOpenAIが開発した画像生成モデルです。
一方で、個人向けのCopilotアプリや、職場向けのMicrosoft Copilotアプリの画像作成画面がどのモデルを使っているかは、今回確認した公式ページには書かれていませんでした。上位の解説記事にはモデル名を挙げるものもありますが、公式の出典は示されていません。モデルは予告なく更新されることがあるため、社内の説明資料にモデル名を固定で書かず、どの画面で作ったか、どのアカウントで作ったかを記録しておくほうが、後から役に立ちます。
Designer/Image Creatorとの関係
Microsoft Designerは、Microsoftのデザイン作成ツールです。Copilotの画像生成とDesignerの関係は、管理者向けの文書から読み取れます。Microsoft 365の画像生成を管理者が止めるための設定は、Designerと、Designerの機能を利用するWordやPowerPointなどのMicrosoft 365アプリの画像生成に影響する、と書かれています。また、管理センターのCopilot 画像生成の設定の説明には、許可すると社員はCopilotに画像の作成・デザイン・編集を頼め、その画像をMicrosoft 365アプリやDesignerの作業に追加できる、とあります。
つまり、WordやPowerPointで作る画像と、Designerで作る画像は、管理の上では同じ系統として扱われています。会社で画像生成を許可するか止めるかを決めるときは、Copilotだけでなく、Designerもまとめて対象になると考えておくと、設定の漏れを防げます。
Image Creator(Bing Image Creator)は、上位の解説記事で画像生成の入口の1つとして紹介されている別のサービスです。この記事で規約と管理設定を確認したのは、Copilotアプリ、Microsoft 365アプリの中のCopilot、Designerに関わる設定の範囲です。社員がImage Creatorなど別の入口を使っている場合は、その入口の利用条件を個別に確認してから業務に使うかを判断してください。
商用利用の条件:個人向け規約と法人の契約の違い
商用利用できるかどうかの答えは、個人アカウントなら規約の文言上は私的な利用が前提、職場アカウントなら法人の契約のもとで会社のデータとして扱う、です。上位の解説記事の結論は、基本的に禁止されていない、無料版は不可で有料版は可、規約に従う限り可能、とばらばらですが、原文を見ると区切りは無料か有料かではありません。
個人アカウント:私的利用が前提
個人のMicrosoftアカウントでCopilotを使う場合、Microsoftのサポート記事は、Microsoftサービス規約とCopilotの使用条件が適用されると説明しています。2026年8月18日発効のMicrosoft Copilot 追加利用規約(英語版)の中で、会社の判断に関わるのは次の4つの文です。
- 「You can only use Copilot for your own personal use.」(Copilotは本人の私的な利用のためにのみ使える)
- 「we can't promise that any Copilot's Responses won't infringe someone else's rights (like their copyrights, trademarks, or rights of privacy)」(Copilotの応答が他人の著作権・商標権・プライバシー権などを侵害しないとは約束できない)
- 「You are solely responsible if you choose to publish or share Copilot's Responses publicly or with any other person.」(応答を公開したり他人と共有したりする場合、その責任は利用者だけが負う)
- 「Don't hide, remove, or alter content credentials or other marks or signals that show Copilot created your Content」(Copilotが作ったことを示すコンテンツ資格情報や目印を隠したり、消したり、変えたりしてはならない)
日本語のMicrosoftサービス規約(2025年9月30日発効)のAIサービスの項にも、関連する定めがあります。Microsoftは、利用者がAIサービスに入力したり、AIサービスから受け取ったりしたコンテンツの所有権を主張しません。そのうえで、出力コンテンツに利用者が持つ知的財産権とその有用性については、使用シナリオや地域の法律などを考慮して利用者が独自に判断する必要がある、としています。さらに、AIサービスの使用に関する第三者の申し立て(著作権侵害の申し立てを含む)に対応する責任は、利用者自身が単独で負う、と定めています。
この文言に照らすと、個人アカウントで作った画像を会社のチラシや広告に使うことは、規約が想定する私的な利用の範囲を出ている可能性があります。業務に一切使えないと断定する条文があるわけではありませんが、少なくとも、Microsoftが何かを保証してくれる使い方ではなく、Microsoftは責任を負わず、利用者の側で対応する構造になっています。会社の名前で公開すれば、第三者への対応は会社の問題になり得ます。
職場アカウント:出力は会社のデータ
職場のアカウントでサインインして使うCopilotには、個人向けの追加利用規約は適用されません。代わりに、会社がMicrosoftと結んでいる契約の条項が適用されます。Microsoftの管理者向け文書は、組織が使うMicrosoft CopilotとMicrosoft Copilot Chatには、データ保護に関する補遺(DPA)と製品条項が適用され、Microsoftはデータ処理者として機能すると説明しています。
製品条項(英語)には、生成AIの出力について「Output Content is Customer Data. Microsoft does not own Customer's Output Content.」(出力コンテンツは顧客データであり、Microsoftは顧客の出力コンテンツを所有しない)と書かれています。また、Microsoftの生成AIサービスは、顧客の文書化された指示による場合を除き、顧客データを生成AIの基盤モデルの学習に使わない、とも定めています。
職場アカウントで作った画像は、会社のデータとして会社の管理下に置かれ、有料の法人向けCopilotで作った場合は、後で説明する著作権の補償の対象にもなり得ます。社外に出す画像を職場アカウントで作るよう決めておく理由は、ここにあります。ただし、会社のデータになるからといって、他人の権利を侵害しない画像になるわけではありません。公開前の確認は、職場アカウントでも必要です。
無料か有料かではなく、アカウントで区切る理由
社内の説明を無料版と有料版で区切ると、判断を誤りやすくなります。理由は3つあります。
- 職場向けのCopilot Chatは、対象となるMicrosoft 365のライセンスを持つ組織で、追加料金なしで使える。追加料金がかからなくても、職場アカウントでサインインしていれば法人の契約のもとで使っている
- 個人向けのMicrosoft 365(Personal・Family・Premium)は有料だが、Microsoftアカウントでサインインする個人向けの利用で、職場のアカウントとは扱いが異なる
- 個人向けの追加利用規約は、Microsoft 365アプリの中のCopilot Chatにも適用範囲を広げている。WordやPowerPointで作った画像でも、個人アカウントでサインインしていれば個人向けの規約の側に入る
個人向けのMicrosoft 365については、Microsoftサービス規約の第13条に、Microsoft 365 FamilyやPersonalなどは、別途の契約に基づく商用利用権を持たない限り、個人的な非商用目的で使うためのものと定めた条文があります。一方でMicrosoftのサポート記事は、Personal・Family・Premiumの契約者が職場でも安全かつ準拠した方法でCopilotを使えるようになったとも案内しています。両者の関係は条文だけでは一意に読めないため、社員が個人で契約したMicrosoft 365のCopilotで作った画像を業務に使う場合の扱いは、法務担当やMicrosoftの販売窓口で確認することをおすすめします。
社員が個人でCopilot Proなどを契約している場合の扱いは、Copilot Proの解説でも整理しています。
社員が個人アカウントで作った画像を社外に出す場面
総務・情シスが実際に直面するのは、社員が個人アカウントのCopilotで作った画像が、すでにチラシの原稿や提案書に入っている、という場面です。このとき会社として取れる対応を、判断の順に並べます。
- 公開前なら差し替える:職場アカウントで同じ内容の画像を作り直すか、権利関係のはっきりした素材に替える
- 公開済みなら、作った経緯を記録する:誰が、いつ、どのアカウントで、どんな指示で作ったかを本人から聞き取って残す。個人アカウントの画像は、個人向けのサポート記事によれば18か月以内に削除されるため、早めに記録する
- ロゴ・実在の人物・他社の商品に似た要素がないかを見る:似た要素がある場合は、公開を止めて差し替える
- 社内ルールに入れる:同じことが繰り返されないよう、社外に出す画像は職場アカウントで作ることを明文化する
社員が会社の把握していないアカウントやサービスでAIを使う状態は、野良AI(シャドーAI)と呼ばれます。画像生成は文章よりも成果物が社外に出やすく、問題が表に出やすい使い方です。全体の対策は野良AI(シャドーAI)の解説を参考にしてください。
著作権・第三者の権利と、補償(Customer Copyright Commitment)の範囲
職場アカウントで作った画像でも、他人の権利を侵害しないことまでは保証されません。法人向けの有料のCopilotには、著作権の申し立てからMicrosoftが顧客を守る約束がありますが、対象と除外がはっきり決まっています。
著作権・第三者の権利への注意
AIで作った画像が既存の作品に似ていた場合の考え方について、文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月に取りまとめた「AIと著作権に関する考え方について」について、文化庁が公表している概要は、生成された画像などに既存の著作物との類似性と依拠性が認められ、権利制限規定の対象外である場合は、著作権侵害になるとしています。また、AIの学習段階で既存の著作物が学習されていた場合は、利用者がその著作物を知らなくても、通常は依拠性があったと推認されるとも書いています。この考え方は、公表時点での小委員会としての考え方で、それ自体に法的な拘束力はないと断り書きがあります。
同じ概要は、AIでの生成が適法に行える場合でも、生成物をSNSに投稿するなどの利用までただちに適法になるわけではなく、場面ごとの判断が必要だとしています。つまり、Copilotで作れたことと、作った画像を広告に使ってよいことは、別の問題です。
Copilotの側も、個人向けの追加利用規約で、応答が他人の著作権・商標権・プライバシー権を侵害しないとは約束できないと明記しています。画像の権利の確認は、どのアカウントで作った場合でも、使う側の仕事です。
補償の対象になるもの・外れるもの
Customer Copyright Commitmentは、法人向けのCopilotの出力について第三者から知的財産権の申し立てを受けた場合に、Microsoftが顧客を防御する約束です。2023年9月に発表された当初はCopilot Copyright Commitmentという名前でした。現在の対象範囲は、製品条項(英語)の定義で決まります。
定義では、対象となる製品(Covered Product)は、Microsoft FoundryのAzure OpenAIモデル、または無料のプレビューを除くCopilotで、ボリュームライセンスを通じて有料で提供されるもの、または有料のオンラインサービスのサブスクリプションとともに使われるもの、とされています。原文は「any Copilot (excluding free Previews), in either case, that is available for a fee through Microsoft volume licensing or used with a paid subscription to an Online Service」です。
補償の対象になり得るもの
- 会社が有料で契約している法人向けのCopilotで作った出力
補償から外れるもの、外れる条件
- 個人アカウントで使うCopilot(個人向けの規約は逆に利用者の責任と定めている)
- 無料のプレビュー版の機能
- 申し立てが、商取引で使われた出力が第三者の商標や関連する権利を侵害していると主張するもの
- コンテンツフィルターなど、製品に組み込まれた安全の仕組みを無効にして作ったもの
- 侵害のおそれを知っていた、または知るべきだった使い方をしたもの、入力した素材に必要な権利を持っていなかったもの
なお、追加料金なしで使える職場向けのCopilot Chatが、この定義の有料で提供される製品に当たるかどうかは、原文からは一意に読み取れません。社内で補償があるから大丈夫と説明する場合は、会社の契約形態を販売窓口に確認してからにしてください。
ロゴ・社名入りの画像は補償の外になりやすい
上位の解説記事には、ロゴ作りをCopilotの活用例に挙げるものがあります。しかし、補償の除外に商標の申し立てが入っている以上、ロゴや社名入りの画像、他社のブランドに似た画像は、補償の外に置かれやすい画像です。ロゴは商品やサービスの出どころを示す目印として使われるため、他社の商標と似ていれば、著作権より先に商標の問題になります。
社内ルールとしては、次のように決めておくと判断に迷いません。
- 会社や商品のロゴは、AIで作らない。作る場合もデザインの参考案にとどめ、最終案は人が作り、商標の調査をしてから使う
- 他社の商品名、ブランド名、キャラクター名をプロンプトに入れない
- できた画像に既存のロゴやマークに似た図形が入っていたら使わない
透かしとメタデータ:AIで作ったことは画像に残る
職場のMicrosoft 365で作った画像には、目に見える透かしを付けるかどうかにかかわらず、AIで作ったことを示す情報がファイルに記録されます。この情報は消さない、というのが社外に出す画像の基本ルールになります。
Microsoftの管理者向け文書(日本語版)によると、画像の目に見える透かしは、組織のポリシーではなく社員が自分で有効にする設定です。社員は https://myaccount.microsoft.com の[マイ アカウント]>[データとプライバシー]>[データ オプション]>[ウォーターマーク]で、画像の透かしを有効にできます。有効にすると、Microsoft DesignerやWord・PowerPointの画像生成機能などで新しく作る画像や、AIで変更した既存の画像に、目に見える透かしが追加されます。透かしは画像の右下に入るほか、別の場所に入る場合や、AI生成という文字で表示される場合があると書かれています。
透かしをオンにしていない場合でも、Microsoft 365でAIを使って作ったり変更したりした画像のメタデータ(ファイルに埋め込まれる付帯情報)には、追加の情報が入ります。文書は、その内容として、使われたAIモデル、コンテンツを作ったアプリ、作った時刻などが含まれる場合があるとし、詳しくはC2PA(コンテンツの来歴と真正性のための連合)のWebサイトを参照するよう案内しています。C2PAは、画像などがどこでどう作られたかをファイルに記録するための業界の規格です。
個人向けの追加利用規約も、Copilotが作ったことを示すコンテンツ資格情報や目印を隠したり、消したり、変えたりすることを禁じています。広告やWebページに使う画像で、編集ソフトの書き出し設定によってメタデータが外れることはありますが、意図して消す運用は避けてください。社内ルールでは、透かしやメタデータを意図的に消さないこと、AIで作った画像であることを社内の記録に残すことを決めておきます。
入力や画像の学習利用・オプトアウト、履歴の保持
画像の保持と学習利用の説明は、個人アカウントと職場アカウントで違い、個人アカウントの中でもアプリの版によって説明が分かれています。社員に説明するときは、この違いを混ぜないことが大切です。
個人向けCopilotの画像生成のサポート記事は、Copilotで生成またはアップロードされた画像は短期間(18か月以内)利用でき、その後はシステムから削除されると説明しています。画像は製品の安全性と機能性の向上に使われることもあり、アップロードした画像を含め、会話の内容をモデルの学習に使うことはいつでもオプトアウト(利用を止める選択)できる、とも書かれています。
一方で、2026年8月18日から提供されている新しい版のMicrosoft Copilotアプリについて、Microsoftのプライバシーの説明は、アプリを使う場合のプロンプト、応答、ファイルの内容は基礎モデルの学習には使われないとしています。以前の版向けのよくある質問では、会話の内容は既定で18か月保存される、オプトアウトした利用者などを除いてAIの学習に使う、と説明されていました。どの説明が当てはまるかはアプリの版によるため、個人アカウントの画像が学習に使われるか使われないかを、一律に言い切ることはできません。
職場アカウントでは、製品条項が顧客データを基盤モデルの学習に使わないと定め、Microsoftの説明もMicrosoft Graph経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは基礎モデルの学習に使われないとしています。職場向けのCopilot Chatでは、プロンプトと応答がログに記録され、IT管理者がMicrosoftの検索ツールと監査ツールで確認できます。
会社として押さえたいのは、個人アカウントの設定は社員一人ひとりが自分で持つもので、会社からは見えず、そろえることもできないという点です。学習の設定を全員に同じ条件で適用し、記録を会社が持つには、職場アカウントで使わせる必要があります。入力データの扱いの全体は、親記事のCopilotとは?同じ名前の製品の違いと会社で安全に使う方法で解説しています。
個人アカウントで画像を作ると、学習や履歴の設定は社員ごとにばらばらのままです。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
無料で使える回数の上限と、有料版・料金表の見方
無料で何枚まで作れるかは、Microsoftの公式ページに数字が書かれていません。回数を前提にした運用を組むより、上限に達したときの対応を決めておくほうが現実的です。
無料で使えるが回数に上限がある(上限に達したら待つ)
上位の解説記事には、無料なら1日に何回、ブースト(高速生成の枠)が何回、といった数字を書くものがあります。しかし、記事によって数字が食い違っており、Microsoftの公式ページで確認できる数字はありませんでした。公式の職場向けヘルプは、個人向けのMicrosoft 365(Personal・Family・Premium)の契約者について、Copilotの機能には使用量の上限があり、時期によって変わることがあるとだけ書いています。ライセンスのない利用者については、前に触れたとおり、品質や性能が1日の中でも変わることがあるという書き方です。
そのため、社内の説明では、枚数を約束しないことをおすすめします。使えなくなったときは時間を置いて試す、急ぎの資料は画像生成に頼らずに素材集などの代わりの手段を用意しておく、という運用で十分です。Microsoftの利用者向けの掲示板(Microsoft Q&A)には、以前より作れる枚数が減ったという質問も寄せられており、上限は変わり得るものとして扱うのが無難です。
有料版で上限が広がるか・Copilot Proは今も買えるか
有料の個人向けプランでは、無料より多くの使用量が使えると案内されています。Microsoftの個人向けの料金ページは、AIの使用量をPersonalとFamilyで無料より多くの使用量、Premiumで充実と表示しています。ただし、具体的な枚数は示されていません。
上位の解説記事にはCopilot Proへのアップグレードを勧めるものが残っていますが、Microsoftのサポート記事は、Copilot Proは購入できなくなったこと、既存の契約についてもサポートの終了日は2026年8月1日と案内しています。同じ記事は、Copilot Proの終了後の選択肢の1つとしてMicrosoft 365 Premiumを挙げています。会社で画像生成を使うために、社員にCopilot Proを勧める理由はありません。
職場のアカウントについては、Microsoft Copilotのアドオン(追加)ライセンスを持つ利用者には優先アクセスが含まれるとMicrosoftは説明しています。職場向けの画像作成のヘルプが、ライセンスのない利用者は品質や性能が変わることがあると書いていることと合わせると、追加ライセンスの有無で使い勝手が変わり得る、というところまでが公式から読み取れる範囲です。
料金表(画像生成に関わるプラン)
画像生成に関わる主なプランの価格を、Microsoftの公式の料金ページの表示のまま並べます。詳しい比較と人数別の試算は、Microsoft 365 Copilotの料金で扱っています。
- 無料版のCopilot:0円。個人のMicrosoftアカウントでサインインすると画像の作成を使える(個人向けの規約)
- Microsoft 365 Personal:月2,130円(年21,300円)
- Microsoft 365 Family:月2,740円(年27,400円)。最大6人で共有できるが、AI機能は契約の所有者のみ
- Microsoft 365 Premium:月3,200円(年32,000円)。AI機能は契約の所有者のみ
- Microsoft Copilot Chat(職場向け):対象となるMicrosoft 365のライセンスを持つ組織で、追加料金なし
- Microsoft 365 Copilot Business(一般法人向けのアドオン):1ユーザーあたり年払いの月額相当3,148円、月払い3,778円(税抜)。2026年7月1日から12月31日までのキャンペーンでは年払いの月額相当2,698円(税抜)で、初年度のみの適用、既存のビジネスプランの顧客が対象。別途、対象となるMicrosoft 365のライセンスが必要で、最大300ユーザーまで
- Microsoft 365 Copilot(大企業向け):1ユーザーあたり年払いの月額相当4,497円(税抜)
※個人向けの価格は、公式の料金ページに税込・税抜の表示がないため、表示の金額のまま記載しています。法人向けの価格は、公式の料金ページに消費税を含まないと書かれています。いずれも2026年9月19日時点で公式ページに表示されている内容です。上位の解説記事にある月4,497円は大企業向けの価格で、最大300ユーザーまでの一般法人向けは上記のBusinessの価格です。
個人向けのプランは、Microsoftの料金ページのよくある質問でも個人利用向けに設計されていると説明され、職場での共同作業には一般法人向けのプランが勧められています。会社として画像生成を使わせるなら、個人向けのプランを社員に買わせるのではなく、職場アカウントのCopilot Chatか法人向けのライセンスで使わせるのが筋です。
画像生成ができない原因と対処(社員が直せるもの・管理者が直すもの)
Copilotで画像生成ができないときの原因は、社員が自分で直せるものと、管理者でなければ直せないものに分かれます。上位の解説記事は、無料の上限とブラウザの不具合を中心に扱っていますが、会社の環境では、契約の範囲と管理者の設定が原因になっていることが少なくありません。社員から相談を受けたら、次の順に確かめてください。
社員が自分で確かめて直せるもの
- サインインしていない:画像の作成はサインインした状態で使う機能。職場アカウントでサインインし直してもらう(個人アカウントに切り替えてしまわないよう注意)
- 使用量の上限に達した:個人向けのMicrosoft 365には使用量の上限があり、ライセンスのない職場アカウントでは時間帯によって品質・性能が変わることがあると公式ヘルプに書かれている。時間を置いて試す。枚数は公式に示されていない
- 指示の内容が規約やポリシーに触れた:規約は他人の権利を侵害する使い方を禁じており、そうした内容や規約に反する内容を頼むと、画像が作られない場合がある。実在の人物や他社のブランドに寄せた指示をやめ、表現を変えて依頼する
- アップロードした画像が条件に合わない:権利のない画像、同意のない人物写真などはアップロードしない。自分で撮影した写真や、会社が権利を持つ素材に替える
- 生成に時間がかかっているだけ:公式のサポート記事は、画像の生成に数分かかるとしている。すぐに出てこなくても待つ
管理者でなければ直せないもの
- 管理センターで画像生成が許可されていない:Microsoft 365 管理センターのCopilot 画像生成を許可していないと、Copilotは画像を生成しない(次の節を参照)
- クラウドポリシーでDesignerの画像生成が止められている:Designer イメージ生成へのアクセスを制御するポリシーが有効になっていると、DesignerとWord・PowerPointの画像生成が使えない
- アプリにCopilotが表示されない:WordやPowerPointにCopilotが出ないのは、契約に含まれていないか、組織の設定で使えない可能性がある
- 対象となるライセンスが割り当てられていない:職場向けの画像作成画面は、対象となるMicrosoft 365のサブスクリプションが前提
- Copilot Chatへのアクセスそのものが削除されている:管理者はCopilot Chatへのユーザーのアクセスを完全に削除することもできる
見分けるときのポイントは、同じ社員が個人アカウントでは作れて、職場アカウントでは作れない、という状態です。この場合は、社員の操作ではなく会社側の設定か契約が原因である可能性が高くなります。逆に、この状態を放置すると、社員は作れる個人アカウントのほうで画像を作るようになります。画像生成を意図して止めているのであれば、その理由と代わりの手段を社員に伝えておかないと、個人アカウントへの流出を招きます。
設定を止めたときのPowerPointの動きにも注意が必要です。管理者向けの文書によると、Copilot 画像生成を許可していない場合、PowerPointではCopilotが新しい画像を作る代わりにストック画像やブランド画像で応じ、Copilot Chatでは新しい画像もストック画像やブランド画像も返されません。社員から見ると、PowerPointでは画像は入るのにCopilot Chatでは何も出てこない、という違いになります。
端末やブラウザの状態が原因で画面が正しく動かないこともあります。別のブラウザや、Windowsのアプリで同じ操作を試すと、端末側の問題かどうかを切り分けられます。
管理者が決めること:画像生成の可否・透かし・記録
会社として画像生成を使わせるなら、管理者が決めることは、許可するかどうか、透かしをどう案内するか、作った画像と操作の記録をどう残すか、の3つです。どれも初期状態のままにせず、意図して決めておくことをおすすめします。
1. 画像生成を許可するかどうか
Microsoftの管理者向け文書「Microsoft Copilot シナリオを管理する」(日本語版)は、Microsoft 365 管理センターで[Copilot]>[設定]>[Copilot アクション]>[Copilot 画像生成]を選ぶ手順を示しています。このシナリオを許可すると、社員はCopilotに画像の作成、デザイン、編集を頼め、その画像をMicrosoft 365アプリやDesignerの作業に追加できます。許可しない場合、Copilotは画像を生成しません。概要の文書も、Copilot コントロールでできることの1つとして、社員がCopilot Chatで画像を生成できるかどうかの管理を挙げています。
もう1つ、クラウドポリシー(Microsoft 365のクラウド ポリシー サービス)には、Designer イメージ生成へのアクセスを制御する、というポリシーがあります。社員にMicrosoft 365でAIを使って画像を作らせたくない場合は、このポリシーを有効にします。このポリシーは、Microsoft Designerと、Designerの機能を利用するWordやPowerPointなどの画像生成機能に影響します。
2. 透かしの案内
画像の目に見える透かしは、前の節で説明したとおり、組織のポリシーではなく社員がマイ アカウントで有効にする設定です。会社として社外に出す画像にAI生成の表示を付けたい場合は、設定の場所を社員に案内し、社外向けの画像を作る人には有効にしてもらう、という運用になります。透かしを付けない場合でも、メタデータには情報が残ります。
3. 記録の残し方
職場向けのCopilot Chatでは、プロンプト、プロンプトによって実行されたBing検索のクエリ、応答がログに記録され、IT管理者がMicrosoftの検索ツールと監査ツールで確認できます。職場向けのMicrosoft Copilotアプリで作った画像は、Copilot Libraryで見つけられます。ログに生成した画像そのものが保存されるかどうかまでは、今回確認した公式ページには書かれていないため、社外に出した画像は、画像ファイルと、作った人・日付・使った画面・プロンプトを、社内の共有フォルダーなどに別途残しておくと確実です。
個人アカウントでの利用は、これらの記録の外にあります。社員が個人のアカウントでMicrosoft 365アプリにサインインできるかどうかは、テナント制限 v2 という仕組みで管理できるとMicrosoftは案内しています。個人向けのCopilotを業務で使わせにくくする設定はCopilotの情報漏洩対策で、点検項目の全体は生成AIのセキュリティ対策チェックリストで整理しています。
活用例と、社外に出す画像の社内ルール(ひな形)
Copilotの画像生成は、社内で使う挿絵やラフには使いやすく、社外に出す画像には確認の手順が必要な道具です。用途ごとに線を引いたうえで、社外に出す画像のルールを1枚にまとめておくと、社員からの問い合わせに毎回判断する手間がなくなります。
活用例(SNS・ブログのサムネイル・資料の図解・ラフ)
会社の業務でよく使われる場面と、それぞれで気をつけたい点を挙げます。
- 社内資料の挿絵:研修資料や社内報の表紙、説明のイメージ画像。社外に出ないため使いやすいが、職場アカウントで作るのが前提
- 企画のラフ・たたき台:チラシやWebページの構図案、撮影前のイメージの共有。デザイナーや外注先に渡すたたき台として使い、そのまま公開はしない
- 資料の図解の背景:提案書のスライドの背景や区切りのページ。文字は画像に描かせず、PowerPointの文字として重ねる
- SNS・ブログのサムネイル:社外に出る用途。職場アカウントで作り、確認者の確認を通してから公開する。実在の人物やキャラクター風の画像は避ける
- 広告・印刷物:広く配布され、差し替えが難しい用途。確認の手順を厚くし、ロゴや商品の写真にはAI生成の画像を使わない
画像生成は、手描きのラフや既存の画像をもとに清書や背景の差し替えを頼む使い方もできます。この場合も、もとの画像が会社で権利を持つものかどうかを先に確かめます。
社外に出す画像の社内ルールのひな形
次のチェックリストは、社員10〜200名程度の会社で、社外に出す画像のルールとしてそのまま使える形にまとめたものです。自社の状況に合わせて項目を足したり削ったりしてください。
- 職場のアカウントでサインインしたCopilotで作る個人のMicrosoftアカウントで作った画像は、社外向けには使わない。個人向けの規約は私的な利用を前提としており、Microsoftは何も保証せず、公開した場合の責任は利用者側にあるとされている。
- 社内だけで使う画像と、社外に出す画像を分ける社内資料の挿絵は職場アカウントで作れば使ってよい。Webページ、広告、印刷物、提案書など社外に出る画像は、公開前に確認者の確認を通す。
- 公開前の確認者を決めておく部署ごとに1人、画像の確認をする人を決める。確認する点は、既存の作品やロゴとの類似、実在の人物との類似、画像内の文字の誤り、用途に合っているか。
- ロゴ・実在の人物・他社の商品に似せた画像は作らない法人向けの補償は商標の申し立てを対象外としている。会社や商品のロゴをAIで作らない。他社の商品名やブランド名、有名人の名前をプロンプトに入れない。
- 社員・顧客の写真や、権利のない素材をアップロードしないアップロードする画像は、会社が所有しているか使う権利を持つものに限る。人物が写った写真は、本人の同意を確かめてから使う。
- 画像内の文字は人が入れる社名、商品名、キャッチコピー、連絡先は画像に描かせず、資料やデザインツールの文字として後から入れる。
- 透かしやメタデータを意図して消さないAIで作ったことを示す情報を消す加工はしない。社外向けにAI生成の表示を付ける場合は、マイ アカウントのウォーターマークの設定を有効にする。
- 作った記録を残す社外に出した画像は、画像ファイルと、作った人・日付・使った画面・プロンプトを共有フォルダーに残す。問い合わせを受けたときに経緯を説明できるようにする。
- 問題が見つかったら公開を止めて報告する公開後に他の作品との類似などを指摘された場合は、まず公開を止め、確認者と管理部門に報告する。自己判断で削除や修正を繰り返さない。
このチェックリストは、生成AIの社内ガイドラインの一部として組み込むと運用しやすくなります。ガイドライン全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。
ChatGPT・Geminiの画像生成と比べるときの見方
ChatGPTやGeminiの画像生成も、個人向けと組織向けで規約の扱いが分かれている点はCopilotと共通です。違いは、生成物の所有の書き方、補償の範囲、AIで作ったことを示す印の付け方にあります。
ChatGPTの個人向けの利用規約(日本語版)は、利用者がアウトプットを所有すると定める一方、ChatGPT Enterpriseや企業向けのサービスには事業者用の規約が適用されると書いています。画像にはC2PAのメタデータと電子透かしが入るとOpenAIは説明しています。詳しくはChatGPTの画像生成の解説をご覧ください。
Geminiは、Googleの利用規約でGoogleが生成されたコンテンツの所有権を主張しないとし、Geminiアプリのヘルプは、職場や学校のアカウントにはライセンスの種類に応じて別の規約が適用されることがあると書いています。Google Cloudの生成AIの補償の対象一覧には、Gemini in Workspaceなどの法人向けサービスが載っており、個人向けのGeminiアプリは載っていません。Googleの補償も、無償で提供される場合と、商取引での使用で商標が問題になる場合を除外しています。
AnthropicのClaudeは、作れる画像の範囲がCopilotやChatGPTとは異なります。何が作れて何が作れないかはClaudeの画像生成の解説で整理しています。複数のサービスの規約と補償を横に並べた比較は、画像生成AIの比較にまとめています。
比べてわかるのは、どのサービスでも、会社として使うなら組織向けのアカウントで使い、AI生成の印を消さない、という原則は変わらないことです。MicrosoftとGoogleの補償はいずれも商標の申し立てを外しているため、商標に関わる画像は補償の外にあると考えておくのが安全です。どれか1つのサービスを選ぶ問題というより、どのサービスを使うにしても規約を確認した会社の環境で使わせる、という管理の問題です。
会社で安全に使うには:学習・ログ・配布・使い分け
画像生成を会社で安全に使う条件は、画像に限った話ではなく、生成AI全般を会社で使わせる条件と同じです。整えておきたいのは次の4つです。
- 学習させない設定を全員に同じ条件で適用する:社員ごとの個人設定に任せると、そろっているかどうかを会社が確かめられない。組織のアカウントや契約の条件で、全員に同じ設定がかかる環境を使う
- 誰が・いつ・何に使ったかの記録を会社が持つ:社外に出した画像や文章について後から問い合わせを受けたとき、経緯を説明できるのは記録がある場合だけ
- 必要な社員に行き渡るように配る:一部の社員にしか使える環境がないと、配られなかった社員が個人アカウントで使い始める。画像生成が個人アカウントに流れる経路もこれと同じ
- 複数のAIを用途で使い分ける:画像はCopilot、文章の下書きや調べものは別のAI、というように得意分野で使い分けると、1つのサービスに無理をさせずに済む。使い分けの考え方は主要4AIの使い分けとマルチAIの解説で扱っている
Copilotは、会社がすでにMicrosoft 365を使っていれば、職場アカウントのCopilot Chatから始められる点が強みです。一方で、ChatGPTやGeminiなど他のAIも業務で使われている場合は、それぞれの規約と設定を個別に管理する必要があり、管理の手間はサービスの数だけ増えます。画像生成をきっかけに、社内で使われているAIを一度棚卸しし、どのAIをどの条件で使わせるかを決めておくと、野良AIを減らす効果も期待できます。
複数のAIを、規約を確認した会社の環境で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面ではUPGEAR AI上の利用について、誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧でき、使わせるAIも会社が選べます。会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問(FAQ)
無料版のCopilotで作った画像を、会社のチラシに使ってもよいですか?
Copilotの画像生成は、1日に何枚まで作れますか?
職場のアカウントで作った画像なら、著作権の問題は起きませんか?
Copilot Proは今も購入できますか?
AIで作った画像の透かしは消してもよいですか?
会社の設定で、Copilotの画像生成を止めることはできますか?
社員がCopilotで画像を作れないと言っています。まず何を確認すればよいですか?
まとめ
Copilotで作った画像を会社の資料や広告に使えるかは、無料か有料かではなく、どのアカウントでサインインして作ったかで決まります。個人のMicrosoftアカウントで作った画像には個人向けの追加利用規約が適用され、私的な利用が前提で、公開した場合の責任は利用者の側にあるとされています。職場のアカウントで作った画像は、出力が会社のデータとして扱われ、有料の法人向けCopilotであれば著作権の補償の対象にもなり得ます。
ただし、補償には除外があります。無料のプレビュー版と、商標に関する申し立ては対象外です。ロゴや社名入りの画像、他社のブランドに似た画像はAIに作らせず、画像内の文字は人が入れる、という運用が安全です。職場のMicrosoft 365で作った画像には、透かしを付けなくてもAIで作ったことを示す情報がメタデータに残り、この目印を意図して消さないことも社内ルールに入れておきます。
画像生成ができないという相談の中には、会社の設定や契約が原因のものが含まれます。管理者は、Microsoft 365 管理センターのCopilot 画像生成の設定と、Designerの画像生成を止めるポリシーを意図して決め、止める場合は社員に理由と代わりの手段を伝えてください。社外に出す画像については、この記事のチェックリストをもとに1枚のルールにまとめ、社内ガイドラインに組み込むことをおすすめします。
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