
AIの学習とは、大量のデータからパターンを見つけ出し、モデルの中にある重み(パラメーター)と呼ばれる数値を少しずつ調整していく工程のことです。結論から申し上げると、一般的なチャットサービスの仕組みでは、社員が入力した内容によって、その場でAIのモデルが書き換わることはありません。チャットが答えを返すのは推論と呼ばれる段階で、Google CloudやOpenAIの説明に沿えば推論では重みは変わらず、入力が提供元に保存されて後日の学習に使われるかどうかは、各サービスの規約と設定・契約の内容で決まります。LLMそのものの成り立ちはLLM(大規模言語モデル)とはで扱っているため、ここでは学習と推論の違いから、入力した情報の行方をたどっていきましょう。
AIの学習とは|データから重みを調整する工程
AIの学習は、例となるデータを大量に読み込ませ、正しい答えに近づくようにモデルの中の数値を整えていく作業を指します。学習を終えたモデルは学習済みモデルと呼ばれ、そこから先は、データを入れると答えを返す道具として使われることになります。
AI・機械学習・ディープラーニングの関係
総務省の「情報通信白書 for Kids」は、AIには確立した定義がないとしたうえで、人間が知的と感じる情報処理や技術といった広い概念で理解されていると説明しています。その中で、データからパターンを学ぶ手法の集まりが機械学習で、機械学習の手法の1つがディープラーニング(深層学習)という入れ子の関係です。外側から順に並べると、AI、機械学習、ディープラーニングとなり、今のチャット型の生成AIは内側のディープラーニングを土台に作られました。
学習でパラメーター(重み)が調整される
ChatGPTの基盤モデルの開発方法を説明したOpenAIのヘルプ記事によると、機械学習モデルは「重み」または「パラメーター」と呼ばれる大量の数値と、それを解釈して使うコードで構成されています。学習が進むにつれ、見つけたパターンを反映するように、この数値がわずかずつ調整されていく仕組みです。同じ記事は、モデルが学習に使ったデータを保存したり保持したりせず、処理した文章や画像、音声のコピーも持たないと明記しています。
学習とは、データを倉庫にしまい込む作業ではなく、大量の数値のつまみを少しずつ回していく作業と考えると分かりやすいでしょう。重みが変わるのは学習のときだけで、その重みを使って答えを出すのが推論になります。
ディープラーニング(ニューラルネットワーク)が今のAIの学習を支える
総務省の同じページは、深層学習を、多数の層からなるニューラルネットワーク(人間の脳の仕組みをコンピューター上でまねた仕組み)を使って行う機械学習と説明しています。人が細かく指示しなくても、データのどこに注目すればよいかをモデル自身が見つけ出せる点が、大きな進歩とされました。画像の判定から文章の生成まで、今よく使われているAIの多くは、この深層学習によって作られたモデルです。一方で、なぜその判断に至ったのかを人が理解しにくくなるという問題も、同じページで指摘されています。
学習の3分類(教師あり・教師なし・強化学習)
機械学習の学習法は、大きく教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3つに分けられます。
- 教師あり学習は、ネコの画像に「これはネコ」という正解のラベルを付けて学ばせる方法で、工場の検品で良品と不良品を見分けるような用途に向いています。
- 教師なし学習は、ラベルを付けずに学ばせる方法で、ネコかどうかは言えなくても、ネコと他の生き物を区別できるようになります。
- 強化学習は、試行錯誤の結果に報酬を与えることを繰り返し、長い目で見てよい行動を学ばせる方法で、二足歩行ロボットの歩き方が例に挙げられています。
ネコとロボットの例は、いずれも総務省「情報通信白書 for Kids」の説明に沿ったものになります。
特徴量とは
特徴量とは、データのどこに注目して区別するかを表す手がかりのことです。総務省のページでは、ニンジンとジャガイモの写真を区別させる例で、あらかじめ人が「色に着目する」と指示すると、よりスムーズに区別できるようになると説明されています。従来の機械学習ではこの手がかりを人が設計することが多く、深層学習では手がかりそのものをモデルが自動で学ぶ点が進歩とされました。
アルゴリズムの具体例(決定木・回帰・ランダムフォレスト)
学習をどう進めるかを決める計算の手順はアルゴリズムと呼ばれ、目的に応じて使い分けられます。
- 決定木は、「売上が一定以上か」「取引年数は何年か」といった条件の分かれ道を木の形に並べ、答えにたどり着く方法です。
- 回帰は、過去のデータから数値を予測する方法で、気温から来店数を見積もるような使い方をします。
- ランダムフォレストは、少しずつ違う決定木をたくさん作り、その多数決や平均で答えを出す方法です。
多くの場合、学習の段階で中の数値や分かれ道が決まり、使う段階ではそれが固定されたまま動くという流れになります。
学習データの質と量・前処理が精度を決める
学習の出来は、どれだけよいデータを用意できるかで大きく変わってしまいます。総務省のページは、ニンジンの画像を学習させたいのにミカンが写り込んでいると望む学習ができない可能性があるとして、不要なものを取り除く前処理の必要性を挙げました。単にデータを集めるだけでなく、使えるデータを用意することがハードルになるという指摘です。自社専用のAIを一から作る場合は、この準備に多くの手間がかかることを覚えておいてください。
AIの推論とは|学習済みモデルを使って答えを出す段階
AIの推論とは、学習を終えたモデルに新しいデータを入れて、答えを出させる段階のことです。総務省「情報通信白書 for Kids」は、推論を、学習済みモデルにデータを入力し、確立されたパターンに従って実際にそのデータの区別などを行うプロセスと説明しています。機械学習で使うデータには学習用データと推論用データの2種類があり、基本的にはそれぞれ別々のデータを使うという整理です。
Google Cloudの解説「AI 推論とは: 仕組みと例」も、推論をAIの実行段階と位置づけました。同じ解説は、推論の中でモデルがデータを分析する段階(フォワードパス)を、「モデルが新しいことを学習せずに知識を適用する読み取り専用のステップ」と説明しています。チャットに質問を入れて答えが返ってくるまでの処理はこの推論にあたり、一般的な仕組みとしては、その間にモデルの重みが書き換わることはありません。
入力→モデル→出力と学習済みモデル
推論の流れは、入力、学習済みモデル、出力の3つで表すことができます。たとえば画像を判定するAIなら、入力は製品の写真、出力は良品か不良品かの判定です。チャット型の生成AIでは、社員の書いた質問や貼り付けた資料が入力、返ってくる文章が出力にあたります。どちらの場合も、真ん中のモデルは学習が終わった状態のまま、入力を受け取って計算するだけになります。
推論の活用事例(画像認識・需要予測・チャットボット)
日常の業務で触れるAIの多くは、推論の段階で使われているものです。
- 画像認識では、製造ラインで撮った写真から傷や欠けを見つけます。
- 需要予測では、過去の販売データや天候から、翌週の仕入れ量を見積もります。
- チャットボットでは、問い合わせの文章を読み取り、回答を探したり文章を生成したりして返します。
いずれも学習は事前に提供元や開発者が済ませていて、使う側は推論だけを繰り返している形になります。
学習と推論の違い|モデルを作る段階と使う段階
学習と推論の違いは、モデルの重みを変える段階か、変えずに使う段階かという点にあります。Google Cloudの解説は、トレーニングがAIに新しいスキルを教えることだとしたら、推論はAIがそのスキルを使って実際に仕事をすることだと例えています。
- いつ行うかで見ると、学習はサービスの公開前や新しいモデルを作るときにまとめて行い、推論は利用者が質問するたびに行われます。
- 誰が行うかで見ると、学習は提供元の開発者が行い、推論は利用者の操作をきっかけに提供元のサーバーなどで行われます。
- 何が変わるかで見ると、学習ではモデルの重みが変わり、推論では重みは変わらず答えだけが出てきます。
- 計算の重さで見ると、Google Cloudの解説では、トレーニングは完了までに数時間から数週間かかることがあり、推論の1回ごとの計算負荷はトレーニングよりはるかに低いとされています。
学習と推論のあいだには、ファインチューニングという工程もあります。Google Cloudの同じ解説は、事前にトレーニングされたモデルを、小規模で専門的なデータを使って特定のタスクに適応させる工程としてこれを説明しました。ファインチューニングも重みを変える作業なので、仕組みの上では学習の側に入ると考えてよいでしょう。
社内で説明するときは、学習は工場で製品を作る工程、推論は出荷された製品をお客様が使う場面、と例えると伝わりやすくなります。製品を使うたびに工場の設計図が書き換わらないのと同じで、チャットを使うたびにモデルが作り直されるわけではありません。
生成AI・LLMの学習の仕組み|次の単語の予測
ChatGPTのような生成AIも、学習と推論の2段階で動いている点は変わりません。OpenAIの前掲のヘルプ記事は、学習中のモデルは文脈の中で単語がどう一緒に現れるかを分析し、その理解を使って、回答を生成する際に次に来る可能性が高い単語を一語ずつ予測すると説明しています。
同じ記事では、「彼女は左に曲がる代わりに___に曲がった」という穴埋めの例が挙げられ、大量の文章で繰り返すうちに次の単語をより適切に予測できるようになると説明されました。学習の初めは答えが当てずっぽうに近くても、繰り返すほど重みが整っていくと考えると分かりやすいでしょう。文章はトークンと呼ばれる小さな単位に分けて処理され、トークンは単語全体や単語の一部、句読点を表す場合があるとも書かれました。
総務省のページは、大規模言語モデル(LLM)が深層学習というAIの学習方法を使って作られていることや、2020年ごろから、たくさんのデータで学習させるほど性能がよくなるという法則(スケーリング則)があるのではないかと言われてきたことを紹介しています。多くのLLMは、Transformer(トランスフォーマー)と呼ばれるニューラルネットワークの設計をもとに作られてきました。
大事なのは、ここまでの学習がすべて、社員がチャットを使い始める前に提供元の側で終わっているという点になります。一般的なチャットサービスの仕組みでは、やり取りの最中にモデルの重みが書き換わることはありません。
チャットに入力した内容は、いつ学習に使われうるのか
入力が学習に使われうるのは、推論が終わった後の、提供元による次の学習の工程です。時間の流れに沿って並べると、次のようになります。
- 社員が質問や資料をチャットに入力し、提供元のサーバーへ送られる
- 学習済みモデルが推論を行い、答えを返す(この時点で重みは変わらない)
- やり取りの記録が、会話履歴などとして提供元に保存される
- 規約と設定・契約の内容によっては、保存された記録が次の学習用のデータに加えられる
- その学習を経た新しいモデルが公開され、以後の推論に使われる
3から4へ進むかどうかを分けるのが、サービスごとの規約と設定です。個人向けのプランでは本人の設定次第で4に進みうる一方、法人向けの契約やAPIでは、既定で4に進まない扱いにしているサービスが目立ちます。
学習データに入った情報がどう出力に現れうるかも、押さえておきましょう。個人情報保護委員会は2023年6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、入力された個人情報が生成AIの機械学習に利用されることがあり、他の情報と統計的に結びついた上で、正確または不正確な内容で出力されるリスクがあると注意を促しました。同じ文書は事業者に対して、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力する場合には、提供事業者がそれを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。
ここで問われるのは、4へ進むかどうかを社員一人ひとりの設定に委ねてよいのか、という点になります。設定が1人でも漏れていれば、その社員が入れた取引先の情報は、提供元の次の学習に回る可能性が残ってしまいます。
学習に使われない条件を、会社の契約で全員にそろえておく方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
会話履歴・メモリは学習とは別物
AIが前の話を覚えているように見えても、それはモデルが学習したからではありません。ChatGPTのメモリについて、OpenAIのヘルプ「ChatGPT のメモリ」は、チャットや利用可能な他のソースから、関連する設定や詳細を記憶できる機能だと説明しています。保存した情報を次の会話に添えて推論させているのであって、重みを変える学習とは仕組みが異なります。
ただし、別物だから安心というわけではないでしょう。同じヘルプは、保存したメモリはチャット履歴とは別に保存され、元のチャットを削除しても別途保存されたメモリは自動的には削除されないと書いています。チャットを消しても、そこから作られたメモリは残ることがあります。さらに個人用のChatGPTアカウントでは、「すべての人のためにモデルを改善する」がオンの場合、チャットや記憶した情報がモデルの改善に使われることがあるとも明記されました。
メモリの設定は、設定のパーソナライズからメモリを開いて確認することができます。一時チャットではメモリの作成や更新が行われないため、会話を残したくない場面の選択肢になります。
主要サービス別の既定値と設定名
入力が学習に使われるかどうかの既定値は、同じ提供元でも個人向けと法人向けで分かれています。以下は、2026年9月27日に各社の公式ページで確認した内容になります。
ChatGPT(個人向けのFree・Plus・Proなど)
OpenAIのヘルプ「履歴をオンにしたまま、モデルの学習を無効にするにはどうすればよいですか?」は、個人用ワークスペースのFree・Plus・Proでは、データ共有がデフォルトで有効になっているとしています。個人向けのChatGPTは、何も設定しなければ学習に使われうる状態から始まります。止めたい場合は、設定のデータ管理(データコントロールと表記されている箇所もあります)で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにするか、プライバシーポータルで「私のコンテンツでトレーニングしない」を選びましょう。オプトアウト後は新しい会話がモデルの改善に使われなくなると説明されており、一時チャットも、一時チャットである間はモデルの改善に使われません。画面ごとの手順はChatGPTに学習させない設定をご覧ください。
ChatGPT(法人向けのBusiness・Enterprise・EduとAPI)
OpenAIのヘルプ「モデルのパフォーマンスを向上させるためのデータの使用方法」は、ChatGPT Business・Enterprise・Edu、APIからの入力と出力は、デフォルトではモデルの改善に使われないとしています。APIでは組織の所有者がデータ共有を有効にできるとされました。
Claude(個人向けのFree・Pro・Max)
Anthropicのプライバシーセンターは、Free・Pro・Maxについて、本人がチャットを改善に使うことを許可した場合、会話が安全性の審査対象としてフラグ付けされた場合、テストプログラムへの参加などで明示的にオプトインした場合に、チャットを使うと説明しています。許可するかどうかは、プライバシー設定のModel Improvement(モデルの改善)で切り替える形になります。また、Incognitoチャットは、Model Improvementを有効にしていても改善に使われないと明記されました。
Claude for Work(Team・Enterprise)とAnthropic API
Claude for WorkやAnthropic APIといった商用製品について、Anthropicは既定では入力と出力をモデルの学習に使わないとしています。例外として挙げられているのは、評価ボタンなどでフィードバックやバグを報告した場合と、利用者が自ら使用を許可した場合です。
Gemini(個人アカウント・Google Workspace・API)
個人のGoogleアカウントで使うGeminiアプリでは、プライバシーハブの説明によると、「アクティビティの保存」がオンの間、Googleは生成AIモデルのトレーニングを含むサービスの改良などのために、人間によるレビューを行いながらアクティビティのデータを利用します。オフにすると、今後のチャットはフィードバックを送った場合を除いてトレーニングに使われず、72時間保存されると案内されています。Google Workspaceの生成AIプライバシーハブは、事前の許可や指示がない限り、顧客データをモデルのトレーニングに使わないという立場です。Gemini APIは料金ページで、無料枠はプロダクトの改善に使われ、有料枠は使われないと区別しており、詳しくはGoogle AI Studioの学習の扱いで解説しました。
Microsoft Copilot(職場・学校アカウント、旧Microsoft 365 Copilot)
Microsoft Learnの「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」は、Microsoft Graph経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは、基礎LLMのトレーニングには使われないとしています。同じページには、Microsoft 365 CopilotがMicrosoft Copilotという名前に変わったという注記もあります。個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotは扱いが異なり、会話を学習に使うかどうかを本人が設定で切り替える形です。Perplexityの扱いはPerplexityの学習の設定で個別に整理しました。
※各サービスの既定値と設定名は、2026年9月27日に各社の公式ヘルプ・プライバシーページで確認した内容です。規約や画面の表記は変わることがあるため、社内ルールに書き写す前に最新の公式ページをご確認ください。
学習をオフにしても残る例外
学習をオフにしても、すべての経路が閉じるわけではありません。社内の説明で誤解が出やすいのは、回答への評価ボタンです。
- OpenAIは、トレーニングをオプトアウトしていても、「良い回答」「良くない回答」などのフィードバックを送ると、その会話全体がモデルのトレーニングに使われることがあるとしています。
- Anthropicは、評価ボタンでフィードバックを送ると関連する会話全体を最長5年間保存し、ユーザーIDから切り離したうえで学習などに使うことがあるとしており、この説明は個人向けと商用製品の両方の案内に書かれています。
- Claudeの個人向けでは、安全性の審査でフラグが立った会話も、利用ポリシーの違反を見つける力を高める目的で使われることがあります。
- Geminiアプリでも、「アクティビティの保存」をオフにした後の例外として、本人がフィードバックの送信を選んだ場合が挙げられています。
- ChatGPTの一時チャットは、保存すると通常のチャットになり、アカウントのモデル改善の設定に従います。
法人向けの契約では、評価ボタンそのものを管理者が止められる場合があります。Anthropicは、TeamやEnterpriseのオーナーが、組織設定のData and PrivacyにあるRate chatsの設定で、メンバーによる評価ボタンからのフィードバック送信を無効にできると案内しています。社外秘を入れた会話では評価ボタンを押さない、と社内ルールに1行加えてみてください。
情報の種類と環境で決める判断の目安
入力してよいかどうかは、入れる情報の種類と、使う環境の組み合わせで決めるのが現実的です。総務・情シスの方がそのまま社内ルールに書き写せるよう、目安を3段階で示します。
- 公開済みの情報(自社サイトの文章、公表済みの資料など)漏れて困る中身ではないため、個人向けの環境でも大きな問題にはなりにくい区分です。とはいえ業務での利用は、会社が認めた環境に寄せておくほうが管理しやすくなります。
- 社外秘の情報(見積、企画書、社内の数字など)個人向けの環境は、学習をオフにしていても設定漏れや評価ボタンの例外が残るため避けます。既定で学習に使われない法人契約かAPIの環境に限ります。
- 個人情報・顧客情報(氏名、連絡先、相談内容など)法人契約の環境であっても、利用目的の範囲内かを確かめてから入力します。個人情報保護委員会は、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう事業者に求めています。
迷ったときは、情報を1段上の区分として扱うと判断がぶれにくくなります。
社内説明用の一文
社員への説明は、規約の細かい話よりも、短い一文のほうが伝わりやすいものです。次の文は、そのまま社内の案内に使っていただけるように書きました。
チャットに入れた内容で、その場でAIが賢くなることはありません。ただし、提供元がその内容を後日の学習に使うかどうかは契約と設定で決まるため、業務では会社が用意した、学習に使われない環境だけを使ってください。
社内ルール全体の組み立て方は、生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。
社員一人ひとりの設定任せでは漏れが出る
学習オフの設定を社員に任せる運用は、仕組みの上で漏れを防ぎにくい形です。設定は個人のアカウントごとに行うため、誰がオフにしたかを会社から確かめるのは難しくなります。
AI導入時の課題・注意点(データ・コスト・人材・セキュリティ)
AIの導入では、データの確保、コスト、人材、セキュリティの4つがよく課題に挙がります。自社でモデルを学習させるなら、使えるデータの用意とGPUなどの計算資源、それを扱える人材がそろって初めて取りかかれるでしょう。一方、学習済みのモデルを推論で使うだけなら、データや計算資源の負担は提供元が引き受けるため、会社に残る課題の中心はセキュリティになります。その中身が、ここまで見てきた入力の扱いです。
実際に漏れが出るのは、次のような場面が多くなります。
- 新しく入った社員が、学習オフの設定を知らないまま個人アカウントで使い始める
- 学習はオフにしていても、便利だと思って評価ボタンを押す
- 業務用と私用のアカウントが混ざり、どちらで入力したか本人も覚えていない
- 退職した社員の個人アカウントに、過去の会話が残り続ける
こうした漏れを1つずつ潰していくより、既定で学習に使われない契約の環境を会社で1つ用意し、業務はそこだけで行うと決めるほうが確実です。会社が認めていない個人アカウントでの利用、いわゆる野良AIの見つけ方と対策は野良AI(シャドーAI)とはで、点検の項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストでまとめました。
よくある質問
AIはどうやって学習しているのですか?
ChatGPTはどうやって学習しているのですか?
AIの学習と推論の違いは何ですか?
チャットに入力した内容は、AIに覚えられますか?
学習させない設定にすれば、何を入力しても安全ですか?
まとめ
AIの学習は、データからパターンを見つけてモデルの重みを調整する工程で、推論は学習済みのモデルを使って答えを出す段階です。チャットに質問して答えが返ってくる間は推論にあたり、その入力でモデルが書き換わることはありません。
入力が学習に使われうるのは、提供元が会話を保存し、規約と設定・契約に応じて次の学習に加える場合になります。個人向けのChatGPTは既定で改善に使われうる状態から始まり、法人向けのプランやAPIは既定で使わない扱いになっているサービスが多く見られました。評価ボタンなどの例外やメモリの扱いまで含めると、社員一人ひとりの設定で漏れなく管理するのは難しいでしょう。
会社としては、情報の種類ごとに入れてよい環境を決め、既定で学習に使われない環境を1つ用意して、業務はそこに集めていきましょう。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。
学習に使われない環境を、会社で1つに
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。
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