生成AIの情報収集は、調べるAIとまとめるAIを分ける

生成AIでの情報収集とは、検索機能のあるAIに当たりをつけさせ、官公庁や当事者の一次情報で確かめてから、社内で使える形にまとめる作業のことです。速く正確に進めるには、出典付きで調べるAIと、集めた材料を整理するAIを分けて使うのが近道になります。調べる役にはPerplexityやChatGPTの検索、まとめる役にはChatGPTやClaudeが向いており、確かめる先は調べものの種類によって変わってきます。競合・市場・法改正・取引先の4つについて、AIに頼むことと確かめる先を順に見ていきましょう。

生成AIで情報収集する基本の流れ|調べるAIとまとめるAIを分ける

生成AIでの調べものは、問いを1つに絞る、検索付きのAIで当たりをつける、一次情報で確かめる、短いメモで残す、の4段で進めるのが基本になります。調べる段とまとめる段で使うAIを分けておくと、どの情報がどの出典から来たのかを見失いにくくなるでしょう。

  1. 問いを1つに絞る:何のために、いつまでに、誰に報告するのかを1行で書く
  2. 検索付きのAIで当たりをつける:出典リンク付きで答えを返すAIに聞き、関係しそうな資料の在りかをつかむ
  3. 一次情報で確かめる:官公庁のデータベースや相手企業の公式ページを開き、数字・日付・名称を照らし合わせる
  4. 短いメモで残す:結論・根拠のURL・確認日・未確認のことを社内に回せる形にする

総務省の令和7年版情報通信白書(2025年公表)では、日本で生成AIサービスを利用したことがある、または現在利用している方の割合は2024年度の調査で26.7%と、2023年度の9.1%から伸びています。帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月実施・有効回答1万312社)では、生成AIを業務で活用している企業の主な活用業務として「情報収集」が21.8%となり、「文章の作成・要約・校正」(45.1%)に次ぐ2番目でした。使う方が増えた分だけ、確かめないまま社内に広まる誤りも増えやすくなってしまいます。

従来の検索と生成AIの検索の違い

従来の検索エンジンはリンクの一覧を返し、どのページを読むかは利用者が決めてきました。生成AIの検索は、AIが複数のページを読んだうえで答えの文章を組み立て、根拠にしたページを出典として添えてくれます。Perplexityの公式ブログも、従来の検索エンジンがリンクのリストを返すのに対し、Perplexityは回答を直接提示すると説明しています。

読む手間が減る代わりに、どのページのどの部分を根拠にしたのかを利用者が確かめないと、誤りに気付けません。答えの文章だけを読んで判断するのではなく、出典のリンクを開くところまでを1回の調べものと考えてください。

検索付きチャット・Deep Research・定期タスクの使い分け

調べものの道具は、かけられる時間で3つに分けると選びやすくなります。

  • 数十秒で済む事実確認:検索付きのチャット(ChatGPTの検索、Perplexityの通常の検索など)。料金ページの金額、法律の施行日、会社の所在地を確かめる用途
  • 数分から数十分かけて広く読む調査:Deep Research。市場の全体像や、複数の資料を突き合わせたレポートが欲しい用途
  • 毎週・毎朝の定点観測:スケジュール実行のタスク。所管省庁の新着や競合のお知らせを決まった時刻にまとめる用途

OpenAIのヘルプも、簡単な事実確認には検索を、深さと網羅性が必要な場合にはdeep researchを使うよう案内しています。Deep Researchの仕組みや各社の違い、会社で使う前の確認点は、Deep Research(ディープリサーチ)とは?使い方・各社の違いと会社で使う前の確認点にまとめてあります。日々の調べものの多くは検索付きのチャットで足り、Deep Researchは報告書の下書きが要る場面に取っておくくらいがちょうどよいでしょう。

情報の鮮度|学習データの時点とリアルタイム検索

検索を使わずに答えるときの生成AIは、学習したデータの時点までの知識で文章を作るため、最近の改正や料金の変更を反映していないことがあります。検索を使うと、質問の時点でウェブを読みに行くため、新しい情報にも届くようになります。

ただし、検索で拾ったページそのものが古いこともあり、OpenAIのヘルプは、検索結果や引用が不完全・古い・誤っている場合があるとして、引用元を開いて公開日や更新日も確認するよう求めています。日付の入った調べものでは、答えの中の日付と、出典ページの掲載日の両方を見る習慣をつけましょう。

情報収集におすすめのAIは?種類と役割で選ぶ

情報収集に使うAIは、1つの順位で選ぶより、調べる・まとめる・手元の資料を読む、という役割ごとに分けて選ぶほうが失敗しにくくなります。どのAIも検索や資料の読み込みに対応してきているため、違いは得意不得意よりも、作りの出発点と画面の使い勝手に表れます。

対話型・検索特化型・資料読み込み型の3種類

  • 検索特化型:質問のたびにウェブを検索し、出典を付けて答える作り。Perplexityが代表例
  • 対話型:会話全般をこなすAIで、必要に応じて検索もする作り。ChatGPT・Claude・Geminiなど
  • 資料読み込み型:手元のPDFや社内資料をまとめて読ませ、その範囲で答えさせる作り。NotebookLM(2026年7月からGemini Notebookに名称変更)など

検索特化型は調べる段に、対話型はまとめる段に、資料読み込み型は社内の規程や過去の報告書を当たる場面に向いた作りです。PerplexityのヘルプはPerplexityをAIを使った検索エンジンと位置付け、各回答に元の情報源への引用とリンクが付くと説明しています。

ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの役割

  • Perplexity:出典付きで材料を集める役。どのサイトから来た情報かを並べて見やすい
  • ChatGPT:集めた材料を比較表や社内向けの要約に整える役。検索を使えば調べる役もこなせる
  • Claude:長い資料を読み込んで要点を抜き出す役。ウェブ検索をオンにすると引用付きで答える
  • Gemini:Googleの検索やGoogle Workspaceの資料とつなげて調べる役

4つのAIの特徴を業務の場面ごとに比べた一覧は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの違いと使い分け|業務別の選び方で確かめることが出来ます。Perplexity自体の料金や法人向けプランはPerplexityとはで扱っています。

手元の資料はNotebookLM(Gemini Notebook)に読ませる

社内の規程、取引先から届いた資料、業界団体の報告書など、手元にある資料の範囲で答えてほしいときは、資料読み込み型のAIが役に立ちます。NotebookLMは2026年7月からGemini Notebookという名前になり、公式サイトによると既存のノートブックはそのまま使えるとされています。

無料で使う場合、1つのノートブックに入れられるソースは最大50件で、PDFやWord、ウェブのURLなどを読み込ませることが出来ます。ウェブ検索の答えと手元資料の答えは混ぜずに、どちらから来た情報かを分けてメモに残すと、あとで確かめる手間が減るはずです。使い方の詳細はNotebookLMの使い方をご覧ください。

ChatGPTとPerplexityの検索の使い方

調べる段で使うことが多いChatGPTとPerplexityは、どちらも出典を開いて確かめるための表示を持っています。機能の名前と、出典の見方を先に押さえておくと、確かめる作業が速くなります。

ChatGPTの検索と出典の確かめ方

ChatGPTの検索は、無料版・Go・Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduで使えると公式ヘルプに書かれています。最新情報が役立つ質問では自動で検索することがあり、確実に検索させたいときは、日本語版ヘルプの案内どおり「すべてのツールを表示」から「検索」を選びます。英語版ヘルプには、入力欄で / を入力して検索を選ぶ方法も載っています。

答えの中の引用を選ぶと出典のページが開き、英語版ヘルプでSourcesと表示される一覧で、引用元と関連リンクをまとめて見ることが出来ます。引用元を開いて、その文が本当に答えを裏付けているかを確かめるところまでが検索の作業です。ヘルプ自身も、正確さが大切な場面では権威のある情報源を使うよう書いています。

Perplexityの検索と出典ラベル

Perplexityは出典リンク付きの答えを基本にしたAIで、答えに添えられた出典から、根拠にしたページへすぐに移れます。英語版ヘルプによると、引用元の一部には盾のアイコンが付き、Government(政府)・Academic(学術)・Trusted(信頼)のいずれかのラベルが表示されます。

政府系のサイトかどうかの目安になるため、Governmentのラベルが付いた出典から開くのも一つの方法です(日本の官公庁サイトにラベルが付くかは、出典ごとに確かめてください)。ただし、ラベルは個々のページではなくサイト全体への評価で、ラベルがないことが低品質を意味するわけでもないと公式は注記しています。ラベルが付いていても、そのサイトの内容が保証されるわけではない点に気を付けてください。

Perplexityのヘルプは、よい答えを得るコツとして、明確な質問から始める、背景を添える、答えの形を指定する、などを挙げています。広すぎる語を1つだけ入れるのではなく、具体的な問いの形で聞くほど、出典の質もそろってくるでしょう。

Claude・Geminiで出典を確かめる

Claudeは、英語版ヘルプによると、チャット画面左下の+ボタンからWeb searchを選ぶとウェブ検索がオンになり、すべての回答に引用が付きます。TeamやEnterpriseのプランでは、オーナー(Owner/Primary Owner)が組織の設定(英語版ではOrganization settings>Capabilities)で先に有効にしておく必要があります。検索の利用も利用上限に数えられるため、長い調査を続けると上限に早く届いてしまいます。

Geminiは、回答の下や回答の中に[ソース]ボタンが表示されることがあり、そこから情報源を開けます。Googleのヘルプは、Geminiがハルシネーションを起こし、不正確な情報を事実のように示すことがあると明記しています。どのAIでも、出典の表示は確かめるための入り口にすぎないと考えましょう。

検索語に入れてはいけない情報と学習の設定

検索付きのAIを使うときは、学習に使われるかどうかに加えて、質問が検索語として外部に送られることがある点も考えておく必要があります。入力してはいけない情報の話は学習の設定だけで語られがちですが、検索の仕組みにも目を向けておきたいところです。

ChatGPTの検索は、質問を検索クエリにして外部に送ることがある

ChatGPTの英語版ヘルプ(Searching the web with ChatGPT)には、検索の際に提携する検索事業者を使う場合があり、そのとき質問を1つ以上の検索クエリに書き換えて送ると書かれています。同じヘルプは、IPアドレスそのものやChatGPTのアカウント情報は送らないとしつつ、IPアドレスから得たおおよその位置情報は共有することがあるという説明もあります。メモリが有効な場合は、保存されたメモリを検索クエリの書き換えに使うことがあるとも記載されています。

顧客名と案件名の組み合わせ、公表前の取引や人事、社内の数字をそのまま質問に入れると、その一部が検索語として外に出る可能性があるということになります。学習をオフにした設定でも、検索語に外に出せない語を入れない、という線は別に引いてください。

学習の既定値はプランで違う

OpenAIのヘルプによると、PlusとProではデータコントロールで学習をオフにしない限り、会話がモデルの改善に使われる場合があります。Business・Enterprise・Eduのコンテンツは、既定では学習に使われません。Perplexityも、Free・Pro・Maxでは学習用のデータ保持が既定でオンになっており、Enterpriseのデータは学習に使わないと公式ヘルプで説明しています。

個人のアカウントで調べものをすると、学習の設定が社員ごとにばらばらになり、何を調べたのかも会社からは見えなくなってしまいます。入力してよい情報と入れない情報の判断表はAIに入力してはいけない情報に、Perplexityの設定手順はPerplexityの学習させない設定にまとめてあります。検索語を選ぶときは、社名を業種や規模に言い換えるだけでも外に出る情報を減らせます。

調べものに使うAIと履歴を、会社でそろえる

調べもののAIを社員の個人アカウントに任せず、会社で1つの環境にそろえると、設定と履歴を管理できるようになります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

調べものはPerplexity、整理はChatGPTに渡す手順

調べる段と整理する段を分けるときは、出典のURLを最後まで手放さないことが大切な決まりになります。Perplexityで集めた材料をChatGPTに渡す流れは、次の4段で回すと混乱しません。

  1. Perplexityで出典付きの材料を集める:問いを1つに絞り、答えの形(箇条書き・項目ごと)と、各項目に出典URLを付けることを指定する
  2. 出典URLを残したまま貼る:答えの本文だけでなく、番号とURLの対応も一緒にChatGPTへ貼り付ける
  3. ChatGPTで比較表や社内向けの要約にする:表の各行の末尾に出典URLの列を作らせ、URLのない行は未確認と書かせる
  4. 表の各行の出典を開いて照合する:数字・日付・固有名詞を原文と見比べ、合わない行は消すか未確認に回す

ChatGPTに渡した時点で出典が消えてしまうと、きれいな表ができても、どの数字が確かなのかを誰も説明できなくなってしまいます。まとめる役のAIには、新しい事実を足さず、貼った材料の範囲だけで整理するよう一言添えておきましょう。

依頼文に目的・背景・出力形式を書く

調べる段でも整理する段でも、依頼文には、何のための調べものか、読み手は誰か、どんな形で欲しいかの3つを書くと答えが安定します。Perplexityのヘルプが挙げるコツとも重なり、OpenAIもdeep researchの依頼文には質問・対象読者・制約・希望する出力を書くよう案内しています。

  • 目的:来月の価格改定の判断材料にする
  • 背景:社員50名の卸売業、関東の中小企業が取引先の中心
  • 出力形式:5項目以内の箇条書き、各項目に出典URLと掲載日

依頼文のひな形と記入例は、親記事のDeep Research(ディープリサーチ)の使い方と、市場調査のAI活用に詳しく載せました。ここでは、出典URLと掲載日を必ず付けさせる一文だけは、どの依頼文にも入れると覚えておいてください。

SWOT・PEST・3Cの枠に当てはめて整理させる

集めた材料を並べるだけでは、判断に使える形になりにくいものです。整理する段では、SWOT(強み・弱み・機会・脅威)、PEST(政治・経済・社会・技術)、3C(顧客・競合・自社)といった枠に当てはめさせると、抜けている観点が見えてきます。

たとえば競合の動きを3Cに当てはめさせ、自社の欄だけは空欄のまま返させると、自社の情報をAIに入れずに済みます。枠の中の各項目にも出典URLを残させれば、あとで確かめる作業がそのまま出来るようになります。

反対の立場と複数のAIで偏りを減らす

AIの答えは、最初に見つけた資料の論調に引っ張られることがあります。結論が出たら、反対の立場ならどう反論するか、どんな資料があれば結論が覆るかを聞き直してみてください。

もう1つの方法は、同じ問いをPerplexityとChatGPTの検索など2つのAIに投げ、答えと出典を見比べることです。両方に同じ出典が出てくれば確かめる順番を上げ、片方にしか出てこない数字は一次情報で裏を取るまで保留にしましょう。複数のAIを1つの環境で使う考え方はマルチAIとはで紹介しています。

調べもの別の進め方と確かめる先

AIに頼む範囲と、確かめる一次情報の置き場所は、調べものの種類ごとに決まっています。会社でよくある4種類について、先に全体の対応を示します。

競合調査:AIには料金・新サービス・採用の動きの一覧を頼み、相手の公式サイト・プレスリリース・料金ページで確かめます。掲載日を必ず控えてください。

市場調査:AIには市場の区分けと関係する統計の在りかを頼み、数字はe-Statなどの公的統計で確かめます。

法改正:AIには公布日・施行日・対象・自社で変わる手続きの表を頼み、e-Govパブリック・コメント、官報発行サイト、e-Gov法令検索、所管省庁のQ&Aの順にたどります。

取引先の下調べ:AIには公開情報の要約を頼み、国税庁法人番号公表サイトで同じ会社かを確定してから、gBizINFO、有価証券報告書を出している会社ならEDINETを開く流れになります。

どの種類でも、AIの答えは下書きで、確かめた一次情報が本体という考え方は変わりません。以下、種類ごとに具体的な進め方を見ていきます。

競合調査|公式サイトと掲載日で確かめる

競合調査でAIに頼みやすいのは、料金の改定、新しいサービスの発表、採用の動きといった公開情報の一覧づくりになります。依頼文には、対象の会社名、調べる期間、項目を指定し、各項目に出典URLと掲載日を付けるよう書き添えます。

  • 依頼文の例:A社の直近6か月の料金改定・新サービス・提携の発表を、発表日の新しい順に箇条書きで。各項目に出典URLと掲載日を付け、掲載日が分からないものは時点不明と書いてください

掲載日のない情報は、いつの話か分からないまま比較表に入ると、古い料金と新しい料金を並べてしまう原因になります。料金は必ず相手の公式の料金ページを開き、確認した日付と一緒に控えてください。営業の現場での使い方は営業のAI活用でも扱っています。

市場調査|当たりはAI、数字は公的統計

市場調査では、AIに市場の区分けや関係する統計の名前を挙げさせ、数字そのものはe-Statなどの公的統計で確かめる分担がおすすめです。AIが示した市場規模の数字は、調査主体・調査時期・母数が分からないまま引用されていることがあります。

統計の探し方、調査依頼メモと上長への1枚報告のひな形は、市場調査のAI活用|調べる・確かめる・まとめる手順と依頼文の例に詳しくまとめています。

法改正|パブリック・コメントから官報、e-Gov法令検索へ

法改正の調べものは、案の段階、公布、条文、運用の4つの段階ごとに見る場所が違います。AIには全体の流れを整理させ、日付と条文は政府のサイトで確かめる、という分担にするのが安全です。

  1. 案の段階:e-Govパブリック・コメントの意見募集案件で、案の公示日・受付締切日時・所管省庁を見る。結果公示案件の一覧も同じサイトにある
  2. 公布:官報発行サイトで公布された法令を見る。2025年4月1日に開設された内閣府のサイトで、直近90日間の官報は無料で閲覧できる
  3. 条文:e-Gov法令検索で条文を見る。官報で法令が公布される都度、未施行の改正も含めて施行予定日ごとにデータが更新される
  4. 運用:所管省庁のQ&A・通達・告示を見る。e-Gov法令検索は告示や通達を収録しておらず、各府省のホームページで提供されている

e-Gov法令検索では、条文の画面に改正履歴が施行日の新しい順に並び、施行日を選ぶとその時点の条文が表示されます。条文比較に切り替えると直前の施行日時点との違いが示され、時点指定の検索を使えば、未来の施行日の条文を先に読むことも出来ます。過去3か月に更新された法令は更新法令一覧で確かめられるため、月1回の見回りに使いやすいでしょう。

AIには、公布日・施行日・対象となる会社・自社で変わる手続きの4列の表を作らせ、各行に官報またはe-Gov法令検索のURLを付けるよう頼みます。施行日が書けない行は未確認と書かせ、推測で埋めさせないことが大切です。

  • 依頼文の例:〇〇法の改正について、公布日・施行日・対象・会社で変わる手続きを表にしてください。各行に官報発行サイトかe-Gov法令検索のURLを付け、確認できない項目は未確認と書いてください

e-Gov法令検索のヘルプは、掲載している法令の内容や解釈、改正内容には答えられないとしており、官報とデータが異なる場合は官報が優先すると明記しています。自社に当てはまるかどうかの判断は、AIの答えで決めず、社労士や税理士などの専門家に確かめてください。AIの表は、専門家に聞くときの論点の一覧として使うのがちょうどよい役どころになります。

取引先の下調べ|法人番号で同じ会社かを確定する

取引先の下調べでは、最初に法人番号で相手の会社を確定させる順番を守りましょう。社名だけでAIに聞くと、同じ名前や似た名前の別会社の情報が混ざることがあるためです。

  1. 国税庁法人番号公表サイトで、商号・所在地・法人番号の基本3情報を確かめる。変更履歴や、登記の閉鎖等が生じた法人も検索対象に含めて探せる
  2. gBizINFO(経済産業省)を法人番号で検索し、補助金・表彰・届出認定・調達・特許・財務などの政府が持つ法人データを見る
  3. 有価証券報告書を出している会社(上場会社など)なら、金融庁のEDINETで有価証券報告書を読む
  4. ここまで確かめた法人番号と所在地を依頼文に添えて、AIに公開情報の要約を頼む

gBizINFOは500万社以上の政府保有の法人データを検索できるサイトで、職場情報などの項目もあります。依頼文に法人番号と所在地を添えるだけで、同名の別会社が混ざる事故を減らせます。EDINETは、金融商品取引法に基づく有価証券報告書などの開示書類を電子化したシステムで、事業の内容や業績を会社自身の開示で確かめられます。

AIの要約には、どの項目がgBizINFO由来で、どの項目がウェブの記事由来かを分けて書かせましょう。商談前の下調べを営業の流れに組み込む方法は、市場調査のAI活用の商談前の下調べの節も参考になります。

AIの答えの誤りを一次情報で確かめる

生成AIは、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を出すことがあり、出典が付いていてもその出典が答えを裏付けていない場合があります。帝国データバンクの同じ調査でも、懸念・課題を3つまで挙げてもらう設問では「情報の正確性」が50.4%で最も多くなりました。

ハルシネーションと、出典・一次情報での確認

確かめる作業は、答えの中から数字・日付・固有名詞だけを抜き出し、それぞれを一次情報と見比べる形にすると速く進みます。一次情報とは、官公庁の統計や法令、当事者の会社が自ら出した発表のように、その情報を最初に出した側の資料のことです。

  • 出典のリンクを開いたか答えの文だけで判断せず、根拠にされたページを実際に読む
  • 出典の文が答えを裏付けているか同じ数字・同じ日付・同じ対象が書かれているかを見比べる
  • 掲載日と更新日を控えたか料金や制度の話は、いつ時点の情報かで意味が変わる
  • 一次情報までたどったかニュース記事や解説記事が引用している元の発表・統計を開く
  • 確かめられない項目を未確認として残したか推測で埋めず、報告のときに未確認と明記する

出典の照合手順をさらに細かく分けたものは、親記事の出典照合の節と、市場調査のAI活用の照合チェックリストにあります。ここでの5項目は、毎日の調べもので最低限見る点に絞っています。

著作権|回答や記事をそのまま社外資料・ウェブに転載しない

AIの答えや、出典にした記事の文章を、そのまま社外向けの資料やウェブに載せるのは避けましょう。文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月15日にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」の概要では、AIを使って生成したものを公表する場合も、通常の著作権侵害と同様の基準で侵害かどうかが判断されるとしています。

既存の作品との類似性と依拠性が認められ、権利制限規定の対象外であれば、著作権侵害になり得るというのが文化庁の整理です。調べた結果は自分の言葉で要約し、引用する場合は出典を明記して、必要な範囲に留める扱いが無難といえます。

毎週の定点チェックを自動にする

毎週同じ場所を見に行く調べものは、AIのスケジュール実行に任せると手間が減ります。所管省庁の新着、競合のお知らせ、業界団体の発表などは、決まった曜日にまとめて届く形にしておくと見落としにくくなるでしょう。

ChatGPTのスケジュール済みタスク

ChatGPTのスケジュール済みタスクは、単発・繰り返し・変化の監視を設定でき、「スケジュール済み」の画面から作成・管理します。有効にしておけるタスクの数には上限があり、プランごとに次のとおりです。

  • Free・Go:3件
  • Plus:5件
  • Business・Edu:10件
  • Pro・Enterprise:15件

Freeでは単発か1日1回までの繰り返しで、時刻も朝・午後・夜のような幅のある指定になります。毎時の実行や正確な時刻の指定には、対象の有料プランが必要とされています。プロジェクトの中で作ったタスクは、そのプロジェクトのファイルにはアクセスできない点も覚えておきたいところです。設定の手順はChatGPTのタスク機能で紹介しています。

PerplexityのScheduled Tasks

Perplexityでは、英語版ヘルプでScheduled Tasks in Computerと呼ばれる機能が、以前のPerplexity Tasksを置き換える位置付けです。監視・レポート・アラート・定期のまとめを、指定した間隔でクラウド上で実行する仕組みになります。

実行の間隔は1時間に1回までで、それより短い間隔や単発の実行は出来ません。実行のたびにComputerのクレジットを使い、MaxとEnterprise Maxには毎月のクレジットが付くと公式ヘルプに書かれています。1つの会話で有効にできるタスクは15件までです。

法改正ウォッチの依頼文と、自動の結果の扱い

定点チェックの依頼文は、見る場所・期間・出力の形を固定しておくと、毎週の結果を比べやすくなります。

  • 依頼文の例:毎週月曜の朝に、厚生労働省と国税庁の新着のうち、社員50名の会社の人事・経理に関係するものを5件以内でまとめてください。各項目に原文のURLと掲載日を付け、前週と同じものは除いてください

自動で届いた結果も、検索付きのチャットの答えと同じく下書きの扱いです。気になる項目は原文を開き、法改正ならe-Gov法令検索で施行日を確かめてから社内に回しましょう。e-Govパブリック・コメントにはRSSの一覧もあるため、案の段階の動きはAIを使わずに受け取ることも出来ます。

調べた結果を社内に回す5行メモ

調べた結果は、長い報告書にせず、5行のメモで回すと読まれやすくなります。上長への1枚報告よりも軽い、日々の調べもの向けの形です。

1行目 問い:何を調べたか(例:〇〇法の改正で、自社の手続きは変わるか)
2行目 結論:1行で言い切る(例:2027年4月から届出書の様式が変わる見込み)
3行目 根拠:出典のURLと確認日(例:e-Gov法令検索のURL、2026年9月27日確認)
4行目 未確認:まだ確かめられていないこと(例:経過措置の有無)
5行目 次の一手:誰が何をいつまでに(例:顧問社労士に10月10日までに確認)

未確認の行を必ず残すことで、読み手はどこまでが確かな話かを一目で判断できます。AIに下書きさせる場合も、この5行の形を指定して、根拠の行にURLがないものは書かせないようにしましょう。

部署で調べものを積み上げる

同じ部署で似た調べものを繰り返すなら、結果を1か所に積み上げると重複が減ります。Perplexityには、検索の会話・タスク・ファイル・指示を1か所にまとめる共有の作業場所としてProjects(以前の名称はSpaces)があり、既定では非公開の設定になっています。

英語版ヘルプによると、招待できる人数はPerplexity ProとMaxが5人まで、Enterprise ProとEnterprise Maxが9,999人までとなります。社内のフォルダに5行メモを日付順に保存するだけでも、同じ問いを何度も調べ直す手間はなくなるはずです。

無料で使える範囲と、会社で使う環境

情報収集は無料の範囲でも始められますが、回数や設定の面で、会社の業務として続けるには制約があります。

  • ChatGPT:ウェブ検索は無料版でも使える。スケジュール済みタスクは3件までで、1日1回まで
  • Perplexity:通常の検索は実質的に制限なく使え、Pro Searchは1日3回、Researchは月1回まで(2026年9月5日更新の公式ヘルプの比較表)
  • Claude:ウェブ検索は無料を含む複数のプランで使え、検索の利用は利用上限に数えられる
  • Gemini Notebook(旧NotebookLM):無料では1つのノートブックに最大50件のソース

無料や個人向けのプランでは、先に見たとおり学習の既定値がオンのものが多く、何をどのAIで調べたのかも会社からは見えません。社員それぞれが別のAIを個人の判断で使っている状態は、会社が把握していない野良AI(シャドーAI)の一種になってしまいます。調べる役とまとめる役を分けて使うなら、どのAIを会社として使うのか、学習の設定をどうするのかを先に決めておきましょう。野良AIの見つけ方と対策は野良AI(シャドーAI)とはで紹介しています。

※各AIの機能名・上限・プランごとの条件は、2026年9月16日〜27日に各社の公式ヘルプで確認した内容です。英語版ヘルプで確認した画面表記は、日本語の画面では表記が異なる場合があります。e-Gov法令検索・e-Govパブリック・コメント・官報発行サイト・EDINET・法人番号公表サイト・gBizINFOの内容も同日に各サイトで確認しています。

よくある質問

情報収集におすすめのAIは?
1つに決めるより、役割で分けるのがおすすめです。出典付きで材料を集める役はPerplexityやChatGPTの検索、集めた材料を比較表や要約に整える役はChatGPTやClaude、手元の資料の範囲で答えさせる役はGemini Notebook(旧NotebookLM)が向いています。Googleの検索や社内のGoogle Workspaceの資料とつなげたい場合はGeminiも候補になります。
AIに入力してはいけない情報は?
個人情報、顧客名と案件の組み合わせ、公表前の取引や人事、社内の数字などは入力しないのが基本です。学習の設定に加えて、ChatGPTの検索では質問が検索クエリに書き換えられて提携する検索事業者に送られることがあると英語版ヘルプに書かれているため、学習をオフにしていても検索語には入れないようにしてください。
無料のAIでも情報収集に使えますか?
使えます。ChatGPTのウェブ検索は無料版でも利用でき、Perplexityも通常の検索は無料で使えます。ただし、無料や個人向けのプランでは学習に使われる設定が既定になっているものが多く、回数の上限もあるため、業務で続けて使うなら会社として使う環境と設定を決めておくと安心です。
AIの答えはそのまま信じてよいですか?
そのままは使わず、下書きとして扱ってください。出典のリンクを開き、答えの数字・日付・固有名詞が出典に書かれているかを見比べ、ニュース記事ではなく官公庁や当事者の一次情報までたどることが大切です。確かめられない項目は、推測で埋めずに未確認として残します。
SNSの情報収集にもAIは使えますか?
SNSの投稿の傾向をつかむ当たりづけには使えますが、投稿は発信者も時点もまちまちです。企業の発表であれば、その会社の公式サイトのお知らせやプレスリリースで同じ内容が出ているかを確かめてから、社内の判断材料に使うようにしてください。
情報収集を自動化できますか?
ChatGPTのスケジュール済みタスクや、PerplexityのScheduled Tasks in Computerを使うと、決まった間隔で調べものを実行してまとめを受け取れます。ChatGPTは有効なタスク数にプランごとの上限があり、Perplexityは1時間に1回までの間隔で、実行のたびにクレジットを使います。自動で届いた結果も原文を開いて確かめてから使ってください。

まとめ

生成AIでの情報収集は、出典付きで調べるAIと、集めた材料を整理するAIを分け、そのあいだで出典URLを手放さずに受け渡すのが基本の形になります。確かめる先は、競合なら相手の公式ページ、市場なら公的統計、法改正ならe-Govパブリック・コメントと官報発行サイトとe-Gov法令検索、取引先なら法人番号公表サイトとgBizINFOとEDINETです。

検索語が外に出ることがある点と、学習の既定値がプランで違う点を踏まえて、会社として使うAIと設定を決めておきましょう。まずは今週の調べものを1つ選び、5行メモの形で残すところから始めてみてください。ほかの業務でのAIの使い方はAI活用コラム一覧から探せます。

調べるAIとまとめるAIを、1つの画面で切り替える

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で使える法人向けサービスです。Perplexityで始めた調べものを、会話の途中でChatGPTやClaudeに切り替えて整理まで続けられます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

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