Deep Researchとは。AIが調べて読んで出典付きレポートにまとめる機能の使い方と会社で使う前の確認点

Deep Research(ディープリサーチ)とは、AIが調査の計画を立て、多数のWebページや指定した資料を読み比べて、出典リンク付きのレポートにまとめる機能です。数分から数十分待つ代わりに下調べの大部分を任せられますが、レポートの正確さは保証されていないため、会社で使うなら出典を1件ずつ照合する手順と、依頼内容が学習に使われない環境をあわせて用意する必要があります。この記事では、仕組みと通常のチャットとの違い、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityそれぞれの仕様、使い方とプロンプトの書き方を整理したうえで、プラン別のデータの扱いと、社内で使い始める前に決めておきたいことまでを解説します。

Deep Researchとは|調べて、読んで、まとめるAIの機能

Deep Researchは、1つの依頼に対してAIが自分で検索を何度も繰り返し、集めた情報を分析して、構成の整ったレポートとして返す機能です。人が検索語を変えながら何十ものページを開き、メモを取り、比較表にまとめていた下調べの工程を、依頼1つで肩代わりさせる使い方になります。

名称はサービスごとに少しずつ異なります。ChatGPTとGeminiでは「Deep Research(ChatGPTのヘルプでは小文字のdeep research)」、Claudeでは「リサーチ」、Perplexityでは検索モードの1つとして「Research」という名前が付いています。この記事では、これらをまとめてDeep Researchと呼びます。

OpenAIのヘルプは、deep researchを使うと複雑な質問を調査し、根拠を比較して、引用や情報源へのリンク付きの結果を作成できると説明しています。Googleの製品ページは、ユーザーの代わりに数百のウェブサイトを自動で参照し、GmailやGoogleドライブも参照したうえで、複数ページの分析レポートを数分で作成する機能として紹介しています。

登場時期を公式の説明で確認すると、Googleは2024年12月にGeminiでDeep Researchというプロダクトカテゴリを立ち上げたと説明しており、OpenAIは2025年2月2日にChatGPTでの公開を発表しました。OpenAIは発表の中で、金融・科学・政策・工学などの分野で集中的な知的作業を行い、徹底した調べものを必要とする人々に向けて作った機能だと位置づけています。現在は、この記事で取り上げる4つのサービスのいずれにも同種の機能があります。

この節の要点
Deep Researchは、答えを1回返すチャットではなく、調べる工程そのものをAIに任せる機能です。任せられるのは下調べまでで、結果を事実として使うかどうかの判断は人に残ります。

Deep Researchの仕組み|計画・検索・推論・報告の4段階

どのサービスのDeep Researchも、調査計画を立てる、検索して読む、読んだ内容から次に調べることを決める、レポートにまとめる、という流れで動きます。Googleの製品ページはこの工程を「事前準備」「検索」「推論」「報告」の4つの言葉で説明しており、ChatGPTやPerplexityの説明もおおむね同じ構造です。

1. 事前準備:依頼から調査計画を作る

最初に、AIは依頼文を読んで調査計画を作ります。Googleは、入力されたプロンプトに合わせて多角的な調査プランを作成し、複雑な問題を管理しやすい小さなサブタスクに分けると説明しています。ChatGPTでも、Chatで依頼するとモデルが調査計画案を作成し、利用者はその内容を確認して修正できます。調査を始める前に、目的を確かめるための質問がChatGPTから返ってくる場合もあります。

2. 検索:Webと指定した情報源を読む

計画ができると、AIは検索を繰り返しながら情報を集めます。ChatGPTのChatでは、既定の情報源は公開ウェブとアップロードしたファイルです。Geminiは既定でGoogle検索を使い、必要に応じてGmailやGoogleドライブなどのソースを追加できます。Perplexityのヘルプは、Researchが数十回の検索を行い、数百の情報源を読むと説明しています。OpenAIは発表時に、テキスト・画像・PDFをインターネット上で検索して解釈・分析すると述べていました。

3. 推論:読んだ結果から次の一手を決める

Deep Researchが通常の検索と大きく違うのはこの段階です。OpenAIは、検出した情報に反応し、必要に応じて方向転換すると説明しています。Googleも、各ステップで利用できる情報に基づいて推論し、次の動作を決めると説明し、その途中の考えを利用者が追えるよう思考パネルを表示しています。Perplexityのヘルプには、対象分野について知るにつれて調査計画を練り直していくという趣旨の説明があります。

4. 報告:出典付きのレポートにまとめる

十分な情報が集まったと判断すると、AIは結果を統合してレポートを書きます。Googleは、情報を評価して主要テーマや矛盾点を特定し、わかりやすくするために自己批判を複数回行うと説明しています。ChatGPTでは、完了した調査が全画面のレポートビューで開き、長いレポートを移動するための目次、参照内容を確認するための使用情報源のセクション、調査の進行過程を示すアクティビティ履歴が表示されます。

調査中は画面の前で待つ必要はありません。Geminiのヘルプは、レポートの作成を待っている間にチャットを開いておく必要はなく、完了すると通知が届くと案内しています。OpenAIも、実行中は離れて他の作業ができ、完了すると通知が届くと説明しています。

通常のチャット・Web検索との違い

通常のチャットやWeb検索付きの回答との違いは、かける時間、読む情報源の量、結果の形の3点です。簡単な事実確認なら通常のチャットや検索のほうが速く、複数の情報源を突き合わせて整理したい調べものにDeep Researchが向きます。

  • 通常のチャット(検索を使わない場合):モデルが学習した知識の範囲ですぐに答えます。学習データの時点より後の出来事は知らないため、最新の情報や出典が必要な質問には向きません。
  • Web検索付きの回答:ChatGPTのヘルプは、検索は最新のウェブ情報をすばやく取得し、リンク付きの短い要約を返すと説明しています。Perplexityのヘルプでは、標準の検索は表面的な調査で参照する情報源が1〜2件、Pro Searchは数十件と区別されています。
  • Deep Research:ChatGPTのヘルプは、より多くの時間をかけて多数のソースを読み取り分析し、出典付きの詳細なレポートを作成すると説明しています。数秒で返る回答ではなく、数分から数十分かけて仕上がる成果物です。

使い分けの目安

ChatGPTのヘルプは、簡単な事実確認には検索を、深さと網羅性が必要な場合にはdeep researchを使うよう案内しています。また、時間が重要な場合はより速く応答が得られる検索や標準のチャットを使い、deep researchは詳細な分析に取っておくよう勧めています。使用する情報源を明示的に指定したい場合に特に適している、という説明もあります。

業務に当てはめると、次のような分け方が目安になります。

  • Deep Researchが向く:ある業界の動向を複数の調査や報道から整理する、複数の製品やサービスを同じ観点で比べる、制度の変更点を官公庁の資料から拾い出す、取引先について公開情報をまとめる
  • 通常のチャットや検索で足りる:用語の意味を確認する、1つの数字や日付を確かめる、手元の文章を要約・添削する、メールの下書きを作る

Deep Researchの主な特徴

業務で使うときに効いてくる特徴は、複数の情報源の統合と出典の明記、参照先の指定、社内データとの連携、レポートの出力形式の4つです。どれもサービスごとに対応範囲が違うため、使う前に確認しておくと手戻りを防げます。

複数の情報源の統合と出典の明記

Deep Researchのレポートには、記述の根拠になった情報源へのリンクが付きます。ChatGPTのヘルプは、deep researchのすべての出力に、情報を検証できるよう引用または情報源へのリンクが含まれると説明しています。Claudeのヘルプも、リサーチの結果には確認しやすい引用が含まれると案内しています。Perplexityは、もともと回答ごとに引用と元の情報源へのリンクを示す作りを基本にしているサービスです。

ただし、リンクが付いていることと、その記述が正しいことは別の問題です。OpenAIはWeb検索のヘルプで、検索結果や引用は不完全、古い、または誤っている場合があるとし、引用元を開いて回答を裏付けているか、公開日や更新日も確認するよう求めています。出典は確認の手がかりであって、確認済みの証明ではありません。照合の具体的な手順は後の節で紹介します。

参照サイトの指定・信頼できるサイトへの限定

調べる先を指定できる点も、業務で使いやすくなった特徴です。OpenAIは2026年2月10日の更新で、ウェブ検索を信頼できるサイトに限定できるようにしたと発表しました。ChatGPTでは、プロンプト画面の「Sites」から「サイトを管理」に進み、入力したサイトやドメインだけに調査を絞るか、それらのサイトを優先しつつウェブ全体の検索も許可するかを選べます。サイトはカンマ区切りで入力することもできます。

Geminiでは、Google検索が既定のソースに含まれており、その選択を外すと、調査対象を自分で選んだソース(GmailやGoogleドライブなど)に限定できます。

業務では、官公庁や業界団体の公式サイトに絞る、個人ブログやまとめサイトを混ぜたくない調べものでは限定を使う、といった使い方が考えられます。限定するほど情報源の質はそろいますが、公式サイトにない最新の報道などは拾えなくなるため、目的に応じて限定と優先を使い分けます。

社内データ・外部アプリとの連携

公開Webだけでなく、社内の文書やメールを調査に加えられるサービスもあります。ChatGPTでは、2026年2月10日の更新でdeep researchを任意のMCPやアプリに接続できるようになったと発表されています。MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリケーションを外部のシステムにつなぐためのオープンな標準で、ファイルやデータベース、検索などのツールとAIを接続する共通の方式です。ヘルプによると、プランや地域、ワークスペースの設定に応じて、Google DriveやSharePointなどの文書の保管先や、認証済みの業界データサービスを情報源として使えます。

Geminiでは、GmailやGoogleドライブをソースに加えられるほか、ファイルのアップロードやNotebookLMのノートブックの追加もできます。ただしGmailやドライブを使えるのは、Google WorkspaceのアプリがGeminiアプリに接続されている場合だけです。Claudeのリサーチは、接続されたGmail、Googleカレンダー、Googleドキュメントなどとウェブ全体を調べます。Perplexityの法人向けプランには、共有プロジェクトと、組織で一元管理するファイルコネクターによる社内ナレッジ検索が含まれています。

社内の資料を検索して回答の根拠に使う仕組み全般については、RAGとはで解説しています。社内データとつなぐ場合は、誰がどの資料を読めるかという権限の設計が重要になります。この点は「会社でDeep Researchを安全に使うには」の節で詳しく扱います。

レポートの出力・ダウンロード

完成したレポートの持ち出し方もサービスによって違います。ChatGPTのChatでは、Markdown、Word、PDFなど複数の形式でダウンロードできます。編集可能なレポートやプレゼンテーション、スプレッドシートが必要な場合は形式と保存先を指定するよう案内されていますが、利用できる出力はタスクと対応機能によって異なるとされています。

Geminiでは、右側のCanvasパネルから、Canvasの共有、Googleドキュメントへのエクスポート、テキストのコピーができます。同じパネルからレポートを音声解説にしたり、図表などに可視化したりすることもできます。Google AI Ultraでは、レポートにグラフや図、インタラクティブなシミュレータなどのビジュアルが使われますが、GmailやGoogleドライブなどのWorkspaceサービスをソースにした場合はこの機能を使えないと案内されています。Perplexityでは、完成したレポートをPDFや文書として書き出すか、共有用のPerplexity Pageに変換できます。

使えるサービスと各社の違い

ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityの4つは、調べてまとめる基本の動きは共通で、違いが出るのは対象プラン、参照できる社内データ、上限の数え方、出力の形です。この記事では正確さの優劣は扱わず、各社の公式ヘルプに書かれている仕様だけを並べます。

ChatGPTのdeep research

ChatGPTでは、チャット画面に@Deepresearchと直接入力するか、ツールメニュー(+)からdeep researchを選んで始めます。通常のChatのほか、アカウントで利用できる場合はWorkとCodexでも使えます。利用できるかどうかは、プランと国・地域によって異なるとヘルプに記載されています。参照先の限定、接続済みアプリ、Markdown・Word・PDFでのダウンロードに対応している点は前の節のとおりで、ほかに次の特徴があります。

  • 実行中の操作:開始前に調査計画を編集でき、進捗をリアルタイムで確認し、中断して重点や情報源を変えられる
  • 管理:EnterpriseとEduでは、管理者がロールベースのアクセス制御(RBAC)でdeep researchの利用を管理する

GeminiのDeep Research

Geminiでは、gemini.google.comのテキストボックスで「ファイルを追加」から「Deep Research」を選びます。Geminiアプリのプラン別の比較表では、Deep ResearchはAIプランに加入していない場合を含む全プランで利用できる機能に入っています。

  • 条件:18歳以上で、Geminiアプリにログインしていること
  • モード:高速モードでのレポート作成は誰でも利用でき、Google AI ProとGoogle AI Ultraでは思考モードでより質の高いレポートを作れると案内されている
  • 提供範囲:製品ページには150か国で利用可能、45以上の言語に対応、Google Workspaceユーザーが利用可能と記載

Claudeのリサーチ

Claudeでは、機能名は「リサーチ」です。チャット入力欄の左下にある「+」から「リサーチ」を選ぶとオンになり、青いインジケーターが表示されます。

  • 対象:有料のClaudeプラン(Pro、Max、Team、Enterprise)で、Web版・デスクトップ版・モバイル版のClaudeを使っているユーザー
  • 前提:ウェブ検索をオンにしておく必要がある
  • 上限:通常の会話と同じ制限の対象。ただし複数の情報源を取得するため、リサーチは制限を速く消費する可能性がある

リサーチをオンにしても調べている様子がない場合は、「Claude、リサーチツールを使用して」と書き添えて促すよう、ヘルプで案内されています。

PerplexityのResearch

Perplexityでは、検索窓のモード選択から「Research」を選びます。モバイルアプリ、Webブラウザ、Macアプリで使えます。

  • 動き:検索と、コードを実行する機能を使って、検索・文書の読み込み・次の手順の検討を繰り返し、評価した情報源をもとにレポートを書く
  • 対象:無料ユーザーは限られた回数だけ使え、Perplexity Proの加入者はより多く使える
  • モデル:Researchでは調査に合わせてモデルの組み合わせが自動で選ばれ、利用者が特定のモデルを手動で選ぶことはできない

Perplexityそのものの特徴や法人向けプランについては、Perplexityとはで詳しく解説しています。

最新アップデートと搭載モデル

Deep Researchは公開後も更新が続いており、使われているモデルも入れ替わっています。公式の発表で確認できる主な経緯は次のとおりです。

  • ChatGPT:2025年2月の公開時は、ウェブ参照とデータ分析向けに最適化したOpenAI o3のバージョンを採用していました。2025年4月24日には、o4-miniを採用した軽量版の追加が発表されています。2025年7月17日には、ChatGPTエージェントの一部としてビジュアルブラウザーを使えるエージェントモードが加わり、元のdeep researchもツールメニューから引き続き使えると案内されました。2026年2月10日の更新では、MCPやアプリへの接続、信頼できるサイトへの限定、進行中の中断と調整、画面の刷新が発表されています。
  • Gemini:2024年12月のリリース時はGemini 1.5 Proが使われ、その後Gemini 2.0 Flash Thinking(試験運用版)が導入されたと説明されています。現在の製品ページでは、Gemini 3モデルによって計画からレポートまでの工程が改善されたと紹介されています。
  • Perplexity:前述のとおり、Researchでは調査に合わせたモデルの組み合わせが自動で選ばれます。

ChatGPTのヘルプは、Chatのdeep researchでは既定で最新モデルが使われ、必要に応じて従来のモデルも引き続き使えるとしています。ここに挙げたモデル名はいずれも発表当時のものです。今使われているモデルは製品画面で確認してください。

料金・利用回数と所要時間|公式ヘルプの記載

Deep Researchの利用回数は、ChatGPT・Gemini・Claudeの公式ヘルプには現在の具体的な回数が書かれておらず、製品内の表示や通知で残りを確認する仕組みになっています。Perplexityは、プラン比較のヘルプにResearchの回数が載っています。ネット上の記事で見かける回数には、過去の発表時点の値が混ざっています。そのまま現在の値として社内に展開しないよう注意してください。

プラン別の料金と利用回数の確認方法

ChatGPT:料金ページのPlusの欄には、deep researchの拡張が含まれると書かれています。日本から表示した料金ページの円表示では、個人向けのGoが月1,400円、Plusが月3,000円、Proが月16,800円から、法人向けのBusinessの標準シートが1人あたり月3,050円(年額課金の場合)・月3,850円(月額課金の場合)です。米ドル表示ではPlusが月20ドルで、表示通貨は閲覧環境によって変わります。料金ページに税込か税抜かの記載はありません。回数についてヘルプは、Chatでのdeep researchの利用量はプランによって異なり、製品内の利用量カウンターに残りのタスク数が表示される、月ごとの利用枠が固定されているプランでは初回利用日から30日ごとにリセットされる、と説明しています。Workでdeep researchを使う場合は、Chat用の枠ではなく、Work/Codexの利用枠やクレジットが使われます。2025年4月の更新時にはプラン別の回数が発表されましたが、それは当時の値で、現在のヘルプには回数の記載がありません。

Gemini:Deep ResearchはAIプランなしでも使え、個人向けの有料プランは料金ページの表示でGoogle AI Proが月2,900円、Google AI Ultraが月14,500円からです(税込か税別かの記載なし)。ヘルプによると、1日に実行できるリサーチのリクエスト数と、同時に実行できるリクエスト数に上限があり、上限に近づくとその日の残りのリクエスト数が通知されます。Google AI ProとUltraでは上限がより高く設定されていますが、具体的な数字は書かれていません。

Claude:リサーチは有料プランで使えます。個人向けのProは、料金ページに税抜で月20ドル(月払い)と載っており、日本から表示すると消費税10%を含む月22ドルと表示されます。リサーチは通常の会話と同じ使用量の制限に含まれ、料金ページのFAQでは、すべてのプランに5時間ごとにリセットされる使用量制限があり、有料プランにはさらに週ごとの制限があり、固定のメッセージ数はないと説明されています。

Perplexity:プラン比較のヘルプ(Which Perplexity Subscription Plan is right for you?)のResearch Queriesの行には、Freeが月1回、Enterprise Proが月50回、Enterprise Maxが月500回と書かれています。ProとMaxは月ごとの上限があるとだけ書かれ、数字はありません。個人向けのPro・Maxの金額は公式ヘルプの本文に記載がないため、製品の料金画面で確認してください。法人向けは、Enterprise Proが1席あたり月40ドルまたは年400ドル、Enterprise Maxが1席あたり月325ドルまたは年3,250ドルと公式ヘルプに記載されています(税の記載なし)。

公式ヘルプの確認先一覧

社内で回数や対象プランを案内するときは、記事の数字を転記するのではなく、次の公式ヘルプを直接開いて確認することをおすすめします。

サービス機能名と対象所要時間の公式の記載回数の確認場所公式ヘルプ
ChatGPTdeep research/プランと国・地域によって異なる5〜30分(2025年2月の発表)製品内の利用量カウンターChatGPTのdeep research
GeminiDeep Research/AIプランなしを含む全プラン(18歳以上)通常5〜10分、複雑な場合はさらにかかる上限が近づくとアプリ内で通知GeminiアプリでDeep Researchを利用する
Claudeリサーチ/Pro・Max・Team・Enterprise数分(時間の幅の記載なし)通常の会話と同じ使用量の制限Claudeでリサーチを使用する
PerplexityResearch/無料は限定、Proは拡大分数は挙げない(数十回の検索・数百の情報源と説明)プラン比較のヘルプ:Free月1回、Enterprise Pro月50回、Enterprise Max月500回(Pro・Maxは数字なし)What is Research mode?/プラン比較

※機能・対象プラン・Perplexityの回数の記載は2026年9月17日、料金は2026年9月16日に、各社の公式ヘルプと料金ページで確認した内容です。料金は表示どおりに記載し、税の記載がないものに税は足していません。回数と対象は各社が随時変更しています。

無料で使える範囲

無料で試せる範囲はサービスによって分かれます。

  • Gemini:AIプランに加入していなくてもDeep Researchを使え、高速モードは誰でも利用できます。ただし、プランなしのユーザーは需要が高い期間にDeep Researchなど一部の機能を使えない場合があると案内されています。
  • Perplexity:無料ユーザーも、限られた回数だけResearchを使えます。プラン比較のヘルプではFreeは月1回です。
  • ChatGPT:料金ページではPlusにdeep researchの拡張が含まれると書かれています。無料版で使えるかどうかと残りの回数は、ヘルプの案内どおり製品内の利用量カウンターで確認してください。
  • Claude:リサーチは有料プランの機能で、無料プランでは使えません。

無料で試すときも、依頼文に入れる内容には注意が必要です。個人向けのプランで入力した内容がどう扱われるかは、後の「プラン別|依頼内容が学習に使われるかの既定値」の節で整理しています。

所要時間の目安

所要時間は、調べる範囲とサービスによって大きく変わります。OpenAIは公開時の発表で、作業の完了までにかかる時間には5分から30分の幅があると説明しました。Geminiのヘルプは、通常5〜10分ほどかかり、複雑なレポートではさらに時間がかかる可能性があるとしています。Claudeのヘルプは、リサーチによって数分で徹底した回答を返すと紹介しています。

Deep Researchの使い方の手順

基本の流れは、機能を選ぶ、依頼を書く、調査計画を確認する、レポートを確かめる、の4手順で、どのサービスでも大きくは変わりません。ここではChatGPTとGeminiの手順を公式ヘルプに沿って紹介します。

ChatGPTでの手順

  1. チャット画面で、ツールメニュー(+)からdeep researchを選ぶか、@Deepresearchと入力する
  2. 質問、対象読者、制約、希望する出力を書く。関連するファイルがあれば添付し、使う接続済みの情報源を指定する。特定のサイトに絞る場合は「Sites」から「サイトを管理」で設定する
  3. 確認の質問が返ってきたら答え、提示された調査計画を確認して、必要なら修正する
  4. 実行中は進捗を確認でき、必要なら中断して重点や情報源を変える
  5. 完成したレポートを全画面で開き、使用情報源のセクションで出典を確認する。必要な形式(Markdown、Word、PDFなど)でダウンロードする

Geminiでの手順

  1. パソコンでgemini.google.comを開き、テキストボックスの「ファイルを追加」から「Deep Research」をクリックする
  2. 必要に応じてファイルをアップロードする。「ソース」からGmailやGoogleドライブなど使いたいソースを選ぶ(Workspaceアプリが接続されている場合のみ)。選んだソースだけに限定したい場合はGoogle検索の選択を外す
  3. 調べたい内容を入力して送信すると、Geminiがリサーチプランを作成する
  4. プランを変えたい場合は「プランを編集」をクリックし、よければ「リサーチを開始」をクリックする
  5. レポートが完成したら「開く」をクリックする。右側のCanvasパネルから共有やGoogleドキュメントへのエクスポートができる

Geminiで過去の調査レポートを後から表示できるのは、「アクティビティの保存」の設定がオンになっている場合だけです。この設定はデータの扱いにも関わるため、後の節で改めて触れます。

調査計画の編集と途中での軌道修正

レポートの質を左右するのは、実行前の計画の確認と、実行中の軌道修正です。ChatGPTのChatでは、開始前に調査計画を編集し、進捗をリアルタイムで確認して、調査を中断し、重点を調整したり、アクセスできる情報源を変えたりできます。WorkとCodexでは、指示を追加してタスクの方向や範囲を調整します。Geminiでも、リサーチを開始する前に「プランを編集」から計画を修正でき、Googleは提示したプランを利用者が管理・修正できると説明しています。

計画を確認するときは、次の4点を見ると、ずれを早く見つけられます。

  • 対象の期間:いつ以降の情報を調べる計画になっているか
  • 対象の地域や範囲:国内の話を聞いたのに海外中心になっていないか、業種や規模の条件が反映されているか
  • 情報源の種類:公的機関の資料や企業の公式発表を当たる計画か、二次情報だけで終わりそうか
  • 比較の軸:最終的にまとめてほしい観点が計画に入っているか

1回で完璧な依頼文を書こうとするより、計画と途中経過を見て直すほうが、目的のレポートに早く近づきます。

調べものの手順を、全員が同じ画面でそろえて覚える

社員が別々のサービスで使うと、手順の教え方も入力の線引きも人ごとに変わります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

効果的なプロンプトの書き方

依頼文(プロンプト)には、質問、目的と読み手、制約、出力の形の4つを書くと、調査計画のずれが減ります。OpenAIのヘルプも、効果的なdeep researchのプロンプトには、質問、希望する成果、関連する制約を明確に記載するよう案内しています。

依頼文に入れる4つの要素

  • 質問:何を明らかにしたいかを1つに絞って書きます。Perplexityのヘルプも、意図を明確に述べて詳細を添えることを基本とし、明確な質問から始め、一度に1つのことを聞くよう勧めています。
  • 目的と読み手:誰が何に使う調査かを書きます。経営会議の判断材料なのか、社員向けの説明資料なのかで、必要な深さと書き方が変わります。
  • 制約:対象の期間、地域、業種、優先する情報源、除外したい情報源などです。
  • 出力の形:一覧表にするのか、文章でまとめるのか、見出しの構成、出典URLの付け方などを指定します。

たとえば、次のような書き方になります。

依頼文の例:社員50名規模の会社の総務担当が、社内向けの説明資料に使う前提で、生成AIの業務利用について国内の公的機関が公表しているガイドラインや手引きを調べてください。対象は2024年以降に公表されたもので、官公庁の公式サイトを優先してください。発行元・名称・公表時期・中小企業に関係する要点を一覧にし、各項目に出典のURLを付けてください。公表時期が確認できないものは、その旨を明記してください。

最後の一文のように、確認できなかったことを確認できなかったと書かせる指示を入れておくと、レポートを照合するときの手間が減ります。反対に、「詳しく調べて」「わかりやすくまとめて」だけの依頼は、調査範囲が広がりすぎて計画が散らばりやすくなります。

Claudeで社内の情報源を読んでほしいのに参照されない場合は、どの情報源から文脈を取ってくるかを依頼文で指定するよう、ヘルプで案内されています。

依頼文に入れてよい情報・入れない情報

依頼文と添付ファイルは、調査計画と検索の出発点になり、会話としてサービス側に保存されます。ChatGPTのヘルプは、deep researchの結果には会話の保持ポリシーが適用されると説明しています。どこまで書いてよいかは、使っているプランのデータの扱いと社内ルールで決まりますが、会社として線を引くときの目安は次のとおりです。

  • 入れてよい情報の例:公開情報だけで調べられるテーマ、業種・地域・従業員規模などに一般化した条件、すでに公表されている制度名や製品名、自社が公開している情報
  • 法人向けの契約と社内の許可がそろうまで入れない情報の例:顧客や取引先の名前と取引内容の組み合わせ、未公表の案件名や出資・提携の計画、個人情報、社外秘の売上や原価の数値、社内規程や契約書などの資料の添付

取引先の名前を出さなくても、多くの調べものは条件を一般化すれば成り立ちます。たとえば「A社との契約更新の交渉材料」ではなく「国内の中堅物流会社の運賃改定の動向」と書けば、目的に必要な公開情報は集められます。総務省の「生成AIはじめの一歩」も、情報流出を防ぐ行動として、利用規約の確認、個人情報や機密情報の入力を必要最小限にすること、オプトアウト設定を挙げています。社内ルールの文書化は生成AIの社内ガイドラインの作り方が参考になります。

業務での活用例

効果が出やすいのは、公開情報を広く集めて同じ観点で比べる下調べです。ここでは、社員10〜200名規模の会社で使いやすい場面を4つ紹介します。

市場調査・競合分析

市場調査と競合分析は、各社が代表的な使い道として挙げている場面です。Googleは製品ページで、公開ウェブのデータと社内の戦略メモ、機能比較のスプレッドシート、競合製品に関するチームのチャットを相互に参照して競合レポートを作る例を示しています。また、機能や性能、価格、購入者のレビューをもとに製品のさまざまなモデルを比べる使い方も紹介しています。

中小企業の実務では、参入を考えている分野の主要なプレーヤーと価格帯を一覧にする、競合の公式発表から新サービスの動きを時系列で整理する、といった使い方が考えられます。比べる観点(価格、対象顧客、提供地域など)を依頼文で先に指定すると、比較表の形にまとまりやすくなります。

資料・レポート作成の効率化

社内の説明資料や提案書の下書きづくりにも使えます。Deep Researchのレポートは見出しと出典が付いた形で返ってくるため、資料の構成案と、参照すべき資料の一覧を一度に得られます。ChatGPTならWordやPDFで、GeminiならGoogleドキュメントに書き出して、そのまま編集を始められます。

ただし、レポートの文章をそのまま社外向けの資料に貼るのは避けてください。後の節で紹介する出典照合を済ませたうえで、自社の言葉で書き直すのが基本です。時間が短縮できるのは、情報を探して読む工程であり、内容に責任を持つ工程ではありません。

取引先の事前調査

商談や新規取引の前に、相手企業の公開情報をまとめる用途です。Googleは活用例の1つとしてデューデリジェンスを挙げ、見込み顧客の調査、企業の製品、出資や資金調達の履歴、競合状況の分析を行い、クライアントとの関係に関するWorkspaceのメモと統合する使い方を紹介しています。

同名の別会社の情報が混ざることもあり得るため、所在地や代表者名などで同じ会社かを確かめてください。取引の可否の判断そのものは委ねず、材料集めにとどめるのが安全です。

制度・公募要領などの論点整理

補助金の公募要領や法令・制度の改正など、官公庁の資料を読み込む必要がある調べものにも向いています。参照先を官公庁のドメインに限定して、改正の要点、対象となる事業者、申請の期限などを一覧にさせると、原文を読む前の見取り図として役立ちます。

ただし、税務や法務の判断、顧客への回答にレポートをそのまま使うことは避けてください。Perplexityの個人向け利用規約も、医療、法律、投資、金融などの専門的なアドバイスとして、サービスや出力に依存すべきではないと定めています。期限や金額などの重要な数字は、必ず原文の公募要領や法令で確認し、判断は専門家や担当者が行います。

使う前に知っておきたい注意点

Deep Researchのレポートは、読みやすく出典も付いているため正しく見えますが、誤りを含む可能性があることは提供各社も認めています。使う前に押さえておきたい注意点は、ハルシネーション、情報の偏り、著作権、機密情報の4つです。

ハルシネーションと出典の確認

ハルシネーションとは、AIがもっともらしく見えるものの、事実と異なる内容や根拠のない内容を出力してしまう現象です。IBMは、AIシステムがもっともらしく聞こえるが、事実として誤っている、無関係である、または完全に作られた出力を生み出す事例と説明しています。

OpenAIは2025年2月の公開時に、deep researchが回答で事実を誤認したり、誤った推論を行ったりする可能性があり、信頼性の高い情報と噂話の区別に苦労する場合がある、不確実性を正確に伝えないことがしばしばある、と制限事項を明記しました。Geminiの製品ページにも回答を確認するよう注記があり、Perplexityのヘルプも、正確さを目指しているが念のため情報源を確認するよう勧めています。

出典リンクがあることで確認はしやすくなりますが、リンク先に書かれていない内容がレポートに書かれていることや、古い情報が最新のように書かれていることはあり得ます。社内外に出す前の照合は省かないでください。

情報の偏り

Deep Researchは、検索で見つかった情報をもとにレポートを書くため、見つかりやすい情報に結論が引っ張られるおそれがあります。OpenAIが制限事項として挙げた、信頼性の高い情報と噂話の区別が難しいという点も、偏りにつながる要因です。Perplexityの個人向け利用規約も、サービスが不正確、偏向、または不完全な情報を含む出力を生成する可能性があることを利用者が認めるよう求めています。

偏りを抑えるには、依頼文で賛否の両方の立場や異なる調査結果を並べるよう指示する、公的機関や一次情報を優先する情報源に指定する、結論だけでなく根拠が1つの情報源に偏っていないかを使用情報源の一覧で見る、といった工夫が有効です。特定の企業が自社製品について発表した数字は、その企業の発表であることがわかる形で扱います。

著作権

レポートやその中の引用を社外に公開する場合は、著作権にも注意が必要です。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日、文化審議会著作権分科会法制度小委員会)の概要は、AIを使って生成したものを公表したり複製物を販売したりする場合、通常の著作権侵害と同様の基準で判断されるとし、既存の著作物との類似性と依拠性が認められ、権利制限規定の対象外であれば著作権侵害になると整理しています。

社外向けの記事や資料にレポートを使う場合は、情報源の文章をそのまま転載していないかを確かめ、引用する場合は出所を明示するなど、通常の資料作成と同じルールで扱ってください。

機密情報とセキュリティ

社内のメールやドライブとつなげるほど、Deep Researchが読む範囲は広がります。依頼文に何を書くか、どの社内データを接続するか、結果のレポートをどこに保存するかは、情報漏えい対策の範囲に入ります。使っているプランで依頼内容が学習に使われるかどうかと、接続アプリの権限の扱いは、それぞれ次の2つの節で詳しく整理します。

レポートを社内資料に使う前の出典照合手順

出典リンクが付いていることと、その出典に本当にその記述があることは別なので、資料に使う記述ごとに1件ずつリンク先を開いて照合します。OpenAIも、使用や共有の前に引用を確認し、情報源が主張を裏付けていること、出力が質問に答えていることを確かめるよう案内しています。次の手順をチェックリストとして使ってください。

  • 1. 資料に使う記述に印を付けるレポート全体を照合するのは手間がかかるため、社内資料に載せる数字・日付・固有名詞・断定的な記述だけを先に抜き出します。
  • 2. リンク先を開き、その記述が実在するかを確かめるリンク先のページ内で該当する文を探します。見つからない、趣旨が違う、リンクが切れている場合は、その記述を資料に使いません。
  • 3. 公開日と更新日を確かめる料金・制度・製品の仕様などは変わります。いつ時点の情報かをメモし、古い場合は最新の公式情報を探し直します。
  • 4. 一次情報かどうかを確かめる報道やまとめ記事が出典の場合は、元になった企業の発表、官公庁の資料、調査の報告書までたどり、一次情報に差し替えます。
  • 5. 数字の条件をそろえる数字は、単位、対象(誰を・何件調べたか)、時点、税込か税抜かを確かめます。条件が違う数字を1つの表に並べていないかも見ます。
  • 6. 自己申告か第三者の検証かを区別する企業が自社製品について発表した性能や実績は、その企業の発表と明記します。第三者が検証したものと同じ扱いにしません。
  • 7. 照合できなかった記述は削るか、未確認と書く重要なのに裏付けが取れない記述は、資料から外すか、確認中であることがわかる書き方にします。
  • 8. 照合した日と担当者を残す資料の末尾や管理表に、照合した日付と担当者を記録します。後で内容を更新するときの起点になります。

照合はレポートを依頼した本人ではなく、別の人が行うと見落としが減ります。すべての記述を同じ深さで確認する必要はありませんが、社外に出す資料や経営判断に使う数字は、この8項目を省かないことをおすすめします。

プラン別|依頼内容が学習に使われるかの既定値

各社の公式ヘルプを見ると、法人向けプランは既定で学習に使わないという点で共通しています。個人向けプランは、ChatGPTのPlus・ProとPerplexityのFree・Pro・Maxでは設定を変えない限り学習に使われる場合があり、ClaudeとGeminiでは学習に使うかどうかが利用者ごとの設定で決まります。ChatGPTのヘルプは、Chatでdeep researchを使う会話にも通常の会話と同じデータ処理とプライバシー設定が適用されると説明しており、Deep Researchだから特別に扱われるわけではありません。

ChatGPTの既定値

  • Plus・Pro:deep researchのヘルプに、データコントロールで学習をオフにしない限り、モデルの改善に会話が使われる場合があると明記されています。料金ページの比較表では、無料版・Go・Plus・Proのいずれも、コンテンツをモデルの学習に使う設定は「無効化可能」とされています。
  • Business・Enterprise・Edu:コンテンツは既定では学習に使われません。
  • オフにする方法:Webでは、プロフィールアイコンから設定、データコントロールに進み、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。設定はアカウント全体に適用されます。
  • 例外:学習をオフにしていても、回答に「良い回答」「良くない回答」などのフィードバックを送ると、そのフィードバックに関連する会話全体が学習に使われることがあるとヘルプに記載されています。

Geminiの学習の扱い

  • 個人のGoogleアカウント:Geminiアプリのプライバシーハブによると、「アクティビティの保存」をオフにすると、今後のチャットはAIモデルのトレーニングに使われません(フィードバックを送ることを選んだ場合を除く)。ただし、この設定は、Googleのサービス改良のための匿名化データの作成を目的とする処理には適用されず、ユーザーへの応答やGoogle・ユーザー・一般の人々の保護のための利用(人間のレビュアーによるレビューを含む)はオフでも行われるとされています。オフにしたチャットも、応答やフィードバックの処理などのため72時間はアカウントに保持されます。人間のレビュアーが確認することがあるため、見られたくない機密情報は入力しないよう案内されています。
  • 設定のトレードオフ:前述のとおり、過去のDeep Researchのレポートを後から表示できるのは「アクティビティの保存」がオンの場合だけです。学習に使わせない設定と、レポートを後から見返せることが両立しにくい点は、個人アカウントで業務の調べものをする場合の注意点です。
  • 仕事用のアカウント:仕事用または学校用のGoogleアカウントでGeminiアプリを使う場合は、データの取り扱いに別の規約が適用される場合があるとされています。Google Workspaceの生成AIのプライバシーハブには、顧客のコンテンツが人間にレビューされることも、許可なくドメイン外で生成AIモデルのトレーニングに使われることもないと書かれています。

Claudeの学習の扱い

  • Free・Pro・Max:学習に使うかどうかは利用者ごとの設定で決まり、料金ページの比較表では、モデルのトレーニングは「オプトアウト」とされています。Anthropicのプライバシーセンターは、利用者がチャットをClaudeの改善に使うことを許可した場合、会話が安全性の確認の対象になった場合、明示的にオプトインした場合に学習に使うと説明しています。シークレットチャットは、モデル改善の設定を有効にしていても学習に使われません。高評価・低評価のフィードバックを送ると、関連する会話全体が最長5年間保存され、ユーザーIDから切り離したうえで学習に使われることがあります。
  • Team・Enterprise:料金ページの比較表では、モデルのトレーニングは「デフォルトではなし」です。Anthropicは、商用製品の入力と出力を既定ではモデルの学習に使わないと説明しています。ただし、高評価・低評価のボタンなどでフィードバックを明示的に送った場合は、その会話を学習に使うことがあるとしています。

Perplexityの既定値

  • Free・Pro・Max:公式ヘルプに、AI Data Retention(学習用のデータ保持)が既定でオンになっていると明記されています。オフにするには、アカウント設定のPreferencesにあるAI data retentionのトグルを切ります。オプトアウトはオフにした日より後に集めたデータにだけ適用され、それ以前に集められた学習データは削除できません。また、この設定は個々のユーザーにだけ適用されます。
  • Enterprise(Enterprise Pro・Enterprise Max):法人向けのデータはAIの学習に使われないと明記されています。アップロードしたファイルの保持は7日間です。
  • 外部のモデル提供元:Perplexityは、OpenAIやAnthropicなどとの契約で、Perplexityのデータを各社のモデルの学習に使うことを禁じていると説明しています。

※各社の記載は、2026年9月16日から17日にかけて、OpenAI、Google、Anthropic、Perplexityの公式ヘルプ・料金ページ・プライバシーに関するページで確認した内容です。

会社として押さえておきたいこと
個人向けプランの学習の設定は、社員1人ひとりが自分のアカウントで切り替えるもので、個人向けプランには会社が設定を一括で管理する仕組みが用意されていません(Perplexityは設定が個々のユーザーにだけ適用されると明記しています)。業務の調べものに使うなら、既定で学習に使われない法人向けの契約を前提にすることをおすすめします。

会社でDeep Researchを安全に使うには

会社で使うなら、誰のアカウントで、どのプランで、どの情報まで入れてよいかを先に決め、学習の設定と利用の記録を会社側で管理できる状態にしてから利用を広げるのが順序です。便利さが先に広まると、個人の判断で使われる状態が残りやすくなります。

個人契約アカウントでの業務調査(野良AI)の問題

社員が自分で契約した個人アカウントで業務の調べものをする状態は、会社が把握していないAI利用、いわゆる野良AI(シャドーAI)にあたります。Deep Researchでは、1回の依頼で多くの情報を扱い、社内のメールやドライブまでつなげられるため、次の問題が大きくなります。

  • 学習の設定が各自に任される:前の節のとおり、個人向けプランの設定は個人単位です。Perplexityのヘルプも、設定は個々のユーザーにだけ適用されると明記しています。
  • 調査の記録が個人のアカウントに残る:依頼文とレポートは個人の会話履歴に保存されます。個人契約の場合、会社が内容を確認したり退職時に回収したりする手段がありません。
  • 規約上の立場があいまいになる:Perplexityの個人向け利用規約は、個人の非営利目的での利用に限り本サービスの利用を許可すると定め、法人向けには別の規約を用意しています。会社の業務で使うなら、法人向けの契約と規約を確認する必要があります。
  • 個人の外部アカウントがつながる:個人のGmailやドライブを接続して業務資料を読ませると、会社の管理外にある保管場所と業務情報が混ざります。

禁止するだけでは、便利さを知った社員の利用はなくなりにくく、見えないところに移るだけになりがちです。野良AIの実態と対策は野良AIとはで詳しく解説しています。

接続アプリの権限と管理者の設定

社内データとつなぐ場合に知っておきたいのは、Deep Researchは接続元の権限を広げるものではなく、元の権限の範囲で読むだけだという点です。ChatGPTのヘルプには、次のように書かれています。

  • Chatのdeep researchは、接続済みアプリで利用できる読み取りアクションを使い、調査の一環としてアプリの書き込みアクションを使うことはない
  • アプリを接続しても、提供元の権限やワークスペースの制限は上書きされない
  • deep researchを開始しても、追加のファイルやアプリへのアクセス権は付与されない
  • ワークスペースでアプリを有効にしても、そのアプリがdeep researchに対応していることや、全メンバーが同じ提供元のコンテンツにアクセスできることは保証されない
  • EnterpriseとEduでは、管理者がRBACでdeep researchへのアクセスを管理し、設定はワークスペース設定の「権限とロール」で行う。deep researchを使うにはウェブ検索を有効にしておく必要がある
  • EnterpriseとEduでは、Chatのdeep researchはOpenAIのコンプライアンスプラットフォームの会話ログの対象になる

裏を返すと、ドライブやSharePointの共有設定が広すぎれば、その範囲のファイルはそのまま調査の対象になり得ます。社内データをつなぐ前に、接続元の共有範囲が適切かを見直しておくことが大切です。Geminiでも、GmailやGoogleドライブをソースにできるのはWorkspaceのアプリがGeminiアプリに接続されている場合に限られます。Perplexityの法人向けでは、データ保持期間の設定はEnterprise Proが50席以上、またはEnterprise Maxのユーザーが1人以上いる組織で使え、監査ログはEnterprise Maxのユーザーが1人以上いる組織で使えると公式ヘルプに記載されています。

会社として決めておくこと

Deep Researchを社内で使い始める前に、少なくとも次の7点を決めて社員に共有しておくことをおすすめします。

  • 使ってよいサービスとプラン業務で使うサービスと、会社が契約した法人向けプランを明示し、個人アカウントでの業務利用の扱いを決めます。
  • 学習に使わせない設定既定で学習に使われない契約か、設定を会社側で一律に管理できるかを確認します。
  • 依頼文に入れてよい情報顧客名、個人情報、未公表の案件など、入れない情報を具体例つきで示します。
  • 接続してよい社内データメールやドライブをつなぐ範囲と、接続元の共有設定の見直し担当を決めます。
  • 出典照合のルール社外に出す資料や判断に使う数字は、前の節の手順で照合してから使うと決めます。
  • レポートの保存場所完成したレポートを個人のアカウントに置いたままにせず、社内の共有フォルダーなど決まった場所に保存します。
  • 利用状況の把握誰がどのサービスをどれくらい使っているかを、管理画面やログで確認できるようにします。

ルールの全体像は生成AIのセキュリティチェックリストも参考にしてください。

複数のAIを使い分ける

ここまで見てきたとおり、Deep Researchは4社とも使えますが、得意な調べ方と、つなげられる社内データが違います。出典つきの調べものを検索から始めるならWeb検索を前提に作られたPerplexity、Gmailやドライブの内容と合わせてまとめるならGemini、SharePointなどの文書とあわせて調べるならChatGPT、GmailやGoogleドキュメントを読みながら整理するならClaude、というように、目的とつなぐデータによって向き先が変わります。

一方で、4つのサービスをそれぞれ法人契約すると、契約・請求・学習の設定・利用ログの確認場所がサービスの数だけ分かれ、1人あたりの費用も人数とサービス数に応じて積み上がります。サービスごとの法人プランの料金はChatGPTの法人プランの料金や法人向け生成AIの料金比較で、用途ごとの向き不向きは生成AIの使い分けで、複数のAIをまとめて管理する考え方はマルチAIとはで解説しています。

Deep Researchの今後の展望

各社の説明からは、参照できる情報源を広げる方向と、調べた後の作業までAIに任せる方向の2つが読み取れます。どちらも、会社にとっては権限とデータの管理がいっそう重要になる流れです。

OpenAIは2025年2月の公開時に、今後はアクセス範囲を購読制の情報源や内部のリソースに広げ、より専門的なデータソースに接続できるようにする予定だと述べていました。この方向は、2026年2月10日の更新で発表されたMCPやアプリへの接続として具体化しています。同じ発表では、非同期で調査するdeep researchと、現実のアクションを実行するOperatorを組み合わせる構想も示されており、2025年7月にはビジュアルブラウザーを使うエージェントモードが加わりました。

Googleも製品ページで、将来はブラウジングの範囲を利用者がより細かく指定したり、オープンウェブ以外のソースを使ったりして機能を広げる見通しを示し、あらゆる場面で役立つエージェントAIアシスタントの実現を最終目標に掲げています。

読める社内データが増えるほど、どのデータを誰の権限で読ませるか、結果を誰が確認するかという設計の重みが増します。機能の進化を追う前に、社内の権限とルールを整えておくことが準備になります。

調べものに使うAIを、会社で管理できる形に

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。会話の途中でもモデルを切り替えられます。学習非利用は全モデルに標準で適用され、Perplexityとは法人向けAPIのZDR(データ非保持)でつながっています。管理画面ではUPGEAR AI上の誰が・いつ・どのAIを・どう使ったかを一覧でき、使わせるAIも会社が選べます。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。別途、初期費用100,000円(税抜)がかかります。

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よくある質問

Deep Researchは無料で使えますか?
サービスによって異なります。GeminiはAIプランに加入していなくてもDeep Researchを使え、高速モードでのレポート作成は誰でも利用できます。Perplexityは無料ユーザーもResearchを使え、プラン比較のヘルプではFreeは月1回です。Claudeのリサーチは有料プランの機能です。ChatGPTは料金ページのPlusの欄にdeep researchの拡張が含まれると書かれており、利用できる回数は製品内の利用量カウンターで確認します。無料で試す場合も、ChatGPTやPerplexityの個人向けプランは設定を変えない限り入力内容が学習に使われる場合があるため、業務の情報は入れないでください。
Deep ResearchとChatGPTの通常の検索は何が違いますか?
OpenAIのヘルプによると、検索は最新のウェブ情報をすばやく取得してリンク付きの短い要約を返し、deep researchはより多くの時間をかけて多数の情報源を読み取り分析し、出典付きの詳細なレポートを作成します。簡単な事実確認には検索を、深さと網羅性が必要な調べものにはdeep researchを使う、というのが公式の案内です。
Deep Researchのレポートはそのまま信頼できますか?
そのまま信頼することはおすすめしません。OpenAIは公開時の発表で、deep researchが事実を誤認したり誤った推論を行ったりする可能性があると制限事項に明記しています。出典リンクが付いていても、リンク先にその記述があるとは限らないため、社内資料や判断に使う記述は、リンク先を開いて1件ずつ照合してから使ってください。
1回の調査にどれくらい時間がかかりますか?
OpenAIは公開時の発表で5分から30分の幅があると説明し、Geminiのヘルプは通常5〜10分ほどで、複雑なレポートではさらにかかる可能性があるとしています。ChatGPTもGeminiも完了すると通知が届くため、画面を開いたまま待つ必要はありません。
Deep Researchに社内の資料やメールを読ませることはできますか?
プランや設定によってはできます。ChatGPTでは対応する接続済みアプリ(Google DriveやSharePointなど)、Geminiでは接続したGmailやGoogleドライブ、Claudeでは接続したGmailやGoogleドキュメントなどを情報源にできます。ChatGPTのヘルプによると、接続済みアプリは読み取りだけに使われ、提供元の権限やワークスペースの制限は上書きされません。つなぐ前に、接続元のファイルの共有範囲が適切かを見直してください。
会社でDeep Researchを使うとき、最初に確認すべきことは何ですか?
依頼内容が学習に使われるかどうかです。ChatGPTのPlusとProは学習をオフにしない限り会話がモデルの改善に使われる場合があり、PerplexityのFree・Pro・Maxは学習用のデータ保持が既定でオンです。一方、ChatGPTのBusiness・Enterprise・Eduや、PerplexityのEnterpriseは既定で学習に使われません。個人向けプランの設定は社員ごとに任されるため、法人向けの環境を前提に、依頼文に入れてよい情報を決めてから使い始めてください。
Deep Researchの利用回数の上限は何回ですか?
ChatGPT・Gemini・Claudeの公式ヘルプには、現在の具体的な回数は書かれていません。ChatGPTは製品内の利用量カウンターに残りのタスク数が表示され、月ごとの枠が固定されているプランでは初回利用日から30日ごとにリセットされます。Geminiは上限に近づくとその日の残りのリクエスト数が通知され、Claudeは通常の会話と同じ使用量の制限に含まれます。Perplexityはプラン比較のヘルプに、Freeが月1回、Enterprise Proが月50回、Enterprise Maxが月500回と書かれています(ProとMaxは数字なし、2026年9月17日確認)。過去の発表に載っている回数を、現在の値として扱わないよう注意してください。

まとめ

Deep Researchは、AIが調査計画を立て、検索と推論を繰り返し、出典付きのレポートにまとめる機能です。ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityのいずれにも同種の機能があり、違いは対象プラン、つなげられる社内データ、上限の数え方、出力の形に表れます。利用回数は、ChatGPT・Gemini・Claudeの公式ヘルプには現在の数字がなく製品内の表示で確認する仕組みで、Perplexityはプラン比較のヘルプにFree月1回、Enterprise Pro月50回、Enterprise Max月500回と載っています(Pro・Maxは数字なし)。

使うときは、質問・目的と読み手・制約・出力の形の4つを依頼文に書き、実行前に調査計画を確認します。レポートは出典が付いていても誤りを含む可能性があるため、社内資料や判断に使う記述は、リンク先を開いて1件ずつ照合してください。

会社で使う場合に先に確かめたいのは、依頼内容が学習に使われるかどうかです。ChatGPTのPlus・ProやPerplexityの個人向けプランは設定を変えない限り学習に使われる場合があり、ClaudeやGeminiの個人向けも含め、その設定は社員ごとに任されます。既定で学習に使われない法人向けの環境を用意し、依頼文に入れてよい情報、接続してよい社内データ、レポートの保存場所を決めてから利用を広げるのが安全です。

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