
AI導入支援とは、生成AIなどのAIを会社に入れるときに、課題の整理から道具の選定、社内ルール作り、研修、使い方の定着までを外部の会社が手伝うサービスのことです。頼むのは自社に無い専門の工程だけに絞り、社員が使うAIの環境・社内ルール・責任者は先に自社で決めてから見積もりを取る形にすると、費用も成果も読みやすくなります。支援会社は研修型・伴走相談型・コンサル型・PoC/開発型の4つの型に分けられ、会社の段階によって合う型は変わってきます。迷ったときは、まず自社がどの段階にいるのかを確かめるところから始めてみてください。
AI導入支援とは|企画から社内への定着までを手伝うサービス
AI導入支援は、AIを使う目的を決める段階から、社員が日々の仕事で使い続ける段階までを、外部の専門家が手伝うサービスになります。支援する会社によって、得意な範囲は大きく違います。相談に乗るだけの会社もあれば、研修を中心にする会社、業務に合わせた仕組みを作る会社もあります。
ここで主に取り上げるのは、ChatGPTやClaudeのような生成AIを、会社として使い始める段階の支援です。AIエージェントを作って業務を自動で回すような開発案件は、見積書の見方や依頼書のひな形まで含めてAIエージェントの導入支援の記事にまとめています。導入の手順や事例、補助金の全体像は中小企業のAI導入の進め方で先に押さえておくと、この先の話が読みやすくなるでしょう。
生成AIの導入は、昔ながらのAI開発とは進み方が少し異なります。画像認識や需要予測のAIは、自社のデータで学習させるところから作るため、開発費と期間がかかってしまいます。一方で文章を書く・要約する・調べるといった生成AIの使い方は、既製のサービスを契約すれば当日から始めることが出来ます。そのため支援の中心は、作ることよりも、安全に使える環境を整えて社員に定着させることに移ってきています。生成AIの導入では、開発を頼むより先に、使い方とルールを社内に根付かせる支援が要になります。
AI導入支援で頼める内容|課題整理から研修・内製化まで
支援会社に頼める仕事は、大きく分けると7つの工程になります。どの会社も全部を引き受けるわけではなく、得意な工程だけを売りにしている会社も多く見られます。
| 工程 | 支援会社がすること | 生成AIの導入で頼む場面 |
|---|---|---|
| 1. 課題の整理 | 業務を聞き取り、AIで時間を減らせる作業を洗い出す | 何から使えばよいか、社内で決まらないとき |
| 2. 計画(ロードマップ) | 試す業務、広げる順番、期間を決める | 部署ごとに進め方がばらばらなとき |
| 3. ツールの選定と環境の設定 | 使うAIサービスを比べ、契約・管理者・初期設定を整える | 社員が個人のアカウントで使い始めているとき |
| 4. セキュリティと社内ルール | 入れてよい情報の区分、利用ガイドライン、ログの確認方法を決める | 取引先から情報の扱いを聞かれたとき |
| 5. PoC(試行) | 小さな範囲で試し、効果と問題を測る | 全社に広げる前に効果を確かめたいとき |
| 6. 仕組みの開発・連携 | 社内資料を読ませる仕組みや、既存システムとのつなぎを作る | 定型の業務を自動で回したいとき |
| 7. 研修と運用・内製化 | 研修、相談窓口、プロンプト集の整備、効果の測定 | 使う人と使わない人の差が開いてきたとき |
PoCは、本番の前に小さく試して効果を確かめる取り組みのことです。表の1〜4と7は、生成AIを入れるどの会社でも通る工程になります。一方で6の開発は、既製のサービスで足りない業務があるときにだけ必要になってきます。まずは自社に要るのが表のどの行なのかに、印を付けてみてください。印の付かない工程に費用を払わないことが、支援を安く収める第一歩となります。
AI導入支援の型は4つ|研修型・伴走相談型・コンサル型・PoC/開発型
AI導入支援の売り方は、研修型・伴走相談型・コンサル型・PoC/開発型の4つの型に分けると見比べやすくなります。同じAI導入支援という看板でも、型が違えば頼める範囲も料金の決まり方もまったくの別物です。
| 型 | 主な中身 | 料金の決まり方 | 合う会社 |
|---|---|---|---|
| 研修型 | 社員向けの講座、指示文(プロンプト)の書き方、社内ルールの説明会 | 1回ごと・受講人数ごとの料金が多い | 使い方を全員に一度そろえたい会社 |
| 伴走相談型 | 月ごとの契約で、困ったことをチャットや定例会で相談する | 月額の定額が多い | 担当者はいるが、相談相手がいない会社 |
| コンサル型 | 課題の整理、計画づくり、社内ルールづくりを一緒に進める | 期間と工数で見積もる | 何から始めるかが決まっていない会社 |
| PoC/開発型 | 試行、社内資料を読ませる仕組み、システム連携の開発 | 案件ごとの見積もり | 自動化したい業務がはっきりしている会社 |
支援会社や比較サイトによっては、カスタム開発型・内製化支援型・既存ツール活用型のように分けている例もあります。呼び方は違っても、作る支援か、使えるようにする支援か、という軸で見れば大きな差はありません。生成AIを会社に入れる段階であれば、多くの場合は研修型・伴走相談型・コンサル型のどれかで足ります。いきなりPoC/開発型から入ると、使う環境もルールも無いまま開発費だけが先に出ていってしまいます。型を組み合わせて売る会社もあるため、見積もりを取るときは、どの型の料金がいくらかを分けて書いてもらいましょう。
会社の段階で選ぶ支援の型|判断表
合う支援の型は、社内でAIがどこまで使われているかという、会社の段階で決まってきます。ここでは、まだ誰も使っていない会社、一部の社員が個人で使っている会社、特定の業務を自動化したい会社の3つに分けて考えてみます。
| 会社の段階 | よくある状態 | 合う支援の型 | 先に自社で決めること | まだ頼まなくてよいこと |
|---|---|---|---|---|
| A. まだ誰も使っていない | 興味はあるが、試しているのは経営者など一部だけ | 研修型+短いコンサル型 | 使うAIサービスと、入れてよい情報の区分 | 開発・PoC |
| B. 一部の社員が個人で使っている | 無料版や個人契約で使う社員がいて、会社は中身を把握していない | コンサル型(ルールづくり)+研修型。必要なら伴走相談型 | 会社の契約へ移す時期と、個人利用の扱い | 開発 |
| C. 特定の業務を自動化したい | 全員が会社の環境で使っていて、繰り返しの作業を任せたい | PoC/開発型 | 対象の業務、合格ライン、費用の上限 | 全社研修のやり直し |
段階A:まだ誰も使っていない会社
誰も使っていない会社に向くのは、全員に一度使い方をそろえる研修型と、使うサービスやルールを決める短いコンサル型の組み合わせです。この段階で開発やPoCを勧められたときは、まだ早いと考えてよいでしょう。既製の生成AIサービスを会社で契約するだけで、議事録の要約やメールの下書きはその日から試すことが出来ます。
段階B:一部の社員が個人で使っている会社
段階Bは、使い始めた社員がいる一方で、会社としての契約やルールが追いついていない状態を指します。無料版や個人で契約したアカウントに業務の情報が入っていても、会社からは中身が見えません。会社の知らないところで使われるAIは、シャドーAI(野良AI)とも呼ばれています。この段階で頼むべきなのは、社内ルール作りと、会社の契約へ移すための研修になります。個人のアカウントのまま支援を受けても、終わった後の会社の手元には何も残らなくなってしまいます。会社の契約へ移す時期を決めずに支援だけを先に始めると、研修で教えた使い方と、社員が実際に使うアカウントがずれたままになりがちです。
段階C:特定の業務を自動化したい会社
社員が会社の環境でAIを使いこなし、次は見積書の作成や問い合わせの一次対応を任せたい、という段階で初めてPoC/開発型が候補に入ります。開発を頼む場合の見積書で確かめる項目や依頼書のひな形は、AIエージェントの導入支援の記事で詳しく取り上げています。段階AやBのまま開発に進むと、使う人がいない仕組みが出来上がってしまうおそれがあります。今の自社がどの段階なのか、一度社内で話し合ってみてください。
工程ごとに「支援会社に頼む/自社で持つ」を分ける
支援会社に頼んでよいのは作業と助言までで、契約・権限・判断は自社で持つ形にすると、支援が終わった後に困りません。工程ごとに、どちらが持つかを表にしました。
| 工程 | 支援会社に頼む | 自社で持つ |
|---|---|---|
| 使うAIサービスの選定 | 候補の比較、機能と料金の説明 | 最終の決定 |
| AI環境の契約と支払い | 手続きの手伝い | 契約名義と支払い(自社名義で持つ) |
| 管理者アカウント | 初期設定の作業 | 管理者権限(社内の担当者が持つ) |
| 入れてよい情報の区分 | ひな形の提供、ほかの会社の例の紹介 | 区分の決定と、社内への周知 |
| 社内ルール(ガイドライン) | たたき台の作成 | 承認と、その後の改定 |
| 研修 | 講師、教材の作成 | 受講の管理、教材の保管 |
| 効果の測定 | 測り方の提案、集計の手伝い | 合格ラインの決定と、結果の判断 |
| プロンプト集・社内向けBOT | 作成の手伝い | 自社の環境での保管と更新 |
表の中で見落とされやすいのが、AI環境の契約名義と管理者権限になります。支援会社の名義でAIサービスを契約し、管理者も支援会社の担当者が持っていると、契約を終える日に社員のアカウントや会話の履歴をどう引き取るかで揉めることがあります。AI環境の契約名義と管理者権限は、最初から自社で持つようにしましょう。作業をお願いする場合でも、自社の管理者が支援会社の担当者に一時的な権限を渡す形にしておけば、終わるときはその権限を外すだけで片付きます。反対に、支援会社の担当者だけが管理者になっていると、社員を1人追加するたびに支援会社へ依頼を出すことになってしまいます。
もう一つの落とし穴は、社員がそれぞれ別のAIサービスを個人で使っている状態のまま、支援を頼んでしまうことです。使うサービスが人によって違うと、研修の教材もルールの文面もサービスごとに作ることになり、その分だけ支援の工数と費用が増えていきます。学習に使わない設定や履歴の残り方もサービスごとに違うため、社内ルールを1つの文書にまとめにくくなってしまいます。支援会社に頼む前に、社員が使うAIの環境を会社で1つにそろえておけば、頼む範囲そのものを小さくすることが出来ます。
個人任せの利用を終わらせるには、社員が使うAIを会社の契約1つにまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
AI導入支援の費用|各社の掲載額を年の出費に直す
AI導入支援の費用は、型と期間で大きく変わるため、決まった相場として示せる数字はありません。ここでは、支援会社や媒体が自社のページに載せている金額を出所つきで並べ、会社の年の出費に直してみます。
| 出所 | 掲載されている内容 | 金額の性格 |
|---|---|---|
| EQUES(AI×DX寺子屋) | 月額20万円(税抜)のプランAに、チャットでの相談と月1回60分のオンラインコンサルティングが含まれると掲載 | 同社の自社サービスの料金 |
| EQUES(ココロミ) | PoCサービスのスタンダードプランが月々250万円からと掲載 | 同社の自社サービスの料金 |
| slide lib(スライドリブ) | AIチャットボットの場合、初期契約費用が5万円〜10万円、運用費用が月額10万円〜100万円程度。中小企業向けのサービスでは月額10万円からのプランもあると掲載 | 同媒体の一般論(出典の明示なし) |
| JAPAN AI ラボ | 自社向けの生成AI環境を構築する場合、PoCで100万〜300万円程度、本番導入は規模に応じて数百万〜数千万円以上になるケースもあり、導入後の運用・保守は月額数十万円〜と掲載 | 同社メディアの一般論 |
※金額は2026年10月6日時点で、各社・各媒体のページに掲載されている内容です。いずれも各社の自己申告または一般論で、第三者の調査による相場ではありません。
伴走型の月額を、年の出費と1人あたりに直す
月額で見ると小さく見える支援費も、1年続ければまとまった金額になります。EQUESが掲載している月額20万円(税抜)のプランを12か月続けると、年240万円(税抜)の出費となってしまいます。slide libが一般論として載せているAIチャットボットの運用費用(月額10万円〜100万円程度)を同じように年に直すと、年120万円〜1,200万円の幅になります。会社の人数で割ってみると、同じ月額でも重さがまったく違って見えてきます。
| 社員数 | 年の出費(月20万円×12か月・税抜) | 社員1人あたりの月額(税抜) |
|---|---|---|
| 10名 | 240万円 | 20,000円 |
| 50名 | 240万円 | 4,000円 |
| 100名 | 240万円 | 2,000円 |
| 200名 | 240万円 | 1,000円 |
※月額20万円(税抜)を社員全員の人数で割った単純計算です。AIサービスそのものの利用料は含みません。
社員が少ない会社ほど、1人あたりの支援費は重くなります。10名の会社で月20万円の伴走を1年続けるなら、その費用でほかに何ができるかを比べてから決めても遅くはありません。伴走の月額を払う前に、研修1回と社内ルールのたたき台だけを頼み、あとは自社で回せるかを試す進め方もあります。
支援費のほかにかかるお金も見ておく
支援会社に払う費用のほかに、AIサービスそのものの利用料と、社内の担当者が使う時間がかかります。AIサービスの利用料は、1人ごとに課金されるものもあれば、会社単位の契約で使えるものもあり、全社に配るときの総額が大きく変わってきます。支援会社の見積もりにこの利用料が入っていない場合は、別に見積もって足し合わせてみてください。社内の担当者が打ち合わせや研修の準備に使う時間も、月に何時間ほどになりそうかを先に見積もっておくと安心です。法人向けのAIサービスの料金は法人向け生成AIサービスの料金比較で、費用の抑え方は生成AIのコスト管理で取り上げています。
見積もりは型ごとに金額を分けてもらう
見積書には、研修・相談・コンサル・開発の金額を、型ごとに分けて書いてもらいましょう。一式でまとめられた見積もりでは、どの工程にいくらかかっているのかを比べることが出来ません。見積書で確かめる項目の一覧はAIエージェントの導入支援の記事に載せているため、開発を含む場合はそちらも参考になります。月額の支援は、終わる時期と、終わった後に何が残るかを決めてから契約することが大切です。
契約前に自社で決める6つのこと|チェックリスト
支援会社に連絡する前に、次の6つを社内で決めておくと、見積もりの比較がぐっと楽になります。
- 目的と、最初に使う業務を1〜2個議事録の要約、問い合わせメールの下書きのように、業務の名前で決めます。目的が広すぎると、支援の範囲も費用も広がってしまいます。
- AIに入れてよい情報の区分公開済みの情報、社内限定の情報、個人情報や取引先の機密のように分け、どこまでAIに入れてよいかを決めます。ひな形は支援会社に頼めても、線を引くのは自社です。
- 社内の責任者AIの利用ルールを決め、困ったときに判断する人を1人決めます。支援会社の担当者は、責任者の代わりにはなりません。
- 効果を測る合格ライン議事録1本にかかる時間を半分にする、のように測れる数字で決めます。合格ラインが無いと、支援を続けるか止めるかを判断できません。
- AI環境の契約名義と管理者権限AIサービスは自社名義で契約し、管理者権限は社内の担当者が持ちます。支援会社には、必要な期間だけ権限を貸す形にします。
- 解約・終了時のアカウントとデータの戻し方契約を終えるとき、社員のアカウント、会話の履歴、作ったプロンプト集やBOT、研修資料をどう引き取るかを先に決めます。
6つのうち情報の区分と責任者は、支援会社に任せたくなる項目ですが、自社でしか決められない項目でもあります。区分の決め方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめています。情報の区分を決めないまま研修を受けても、社員は何を入れてよいか迷ったまま使うことになってしまいます。6つが決まった状態で見積もりを頼むと、支援会社からの提案も的を絞ったものになりやすいでしょう。
合格ラインは、時間か件数で決める
合格ラインは、気持ちの満足度より、時間や件数のように後から数え直せるもので決めると判断しやすくなります。たとえば議事録なら1本を仕上げるまでの時間、問い合わせメールなら下書きをほぼ直さずに送れた件数のように、業務ごとに1つずつ決めてみてください。始める前の数字を測っていないと、良くなったかどうかを比べられなくなってしまいます。試す期間に入る前の1〜2週間で、今のやり方のままの数字を記録しておきましょう。その記録は、支援が終わった後も社内に残す効果測定の記録の土台となります。
AI導入支援会社の選び方|5つの見どころ
支援会社を選ぶときは、実績・セキュリティ・サポートの体制・費用の内訳・小さく試せるかの5つを見比べます。どれか1つだけで決めず、自社の段階に合っているかを軸に重みを付けてみてください。
実績は、自社と近い規模と業種で見る
実績を聞くときは、導入した会社の数より、自社と同じくらいの規模や業種の例があるかを確かめましょう。大企業向けの大きな開発の実績が多くても、社員30名の会社で研修とルール作りを回した経験があるとは限りません。担当者に、似た会社でどのくらいの期間をかけ、何を社内に残したのかを聞いてみると、支援の中身が見えてきます。
セキュリティで確かめること(データの扱い・学習利用・権限・認証)
セキュリティでは、入れた情報がどこに保管され、AIの学習に使われるかどうかを最初に確かめます。支援会社が自社のツールを勧めてくる場合は、データの保管場所、学習に使わない設定の有無、誰がどこまで見られるかという権限の分け方、ログインの方法を質問しておきましょう。支援会社の担当者が、自社のAI環境の会話の履歴まで見られる状態になっていないかも、確かめておきたい点となります。点検する項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストに並べています。
サポートの体制は、相談の窓口と回数で見る
サポートの体制は、誰に、どの手段で、月に何回相談できるかで比べると違いが分かりやすくなります。定例会が月1回だけなのか、チャットでいつでも聞けるのかで、現場の困りごとが片付く速さは変わってきます。担当者が途中で替わったときの引き継ぎ方も、契約の前に聞いておきたいところです。
費用の内訳と、小さく試せるか
費用は、研修・相談・コンサル・開発の金額が分かれているか、AIサービスの利用料が支援費に含まれているかを見ます。最初から1年の契約を求められるより、1か月や1回の研修から始められる会社のほうが、合わなかったときの損を小さく抑えることが出来ます。支援費の中にAIサービスの利用料が混ざっている見積もりは、契約名義が支援会社側になっていないかを確かめましょう。
AI導入支援会社の一覧の前に|支援会社の種類と探し方
AI導入支援を名乗る会社は、成り立ちで分けると6つほどの種類に分かれます。会社の名前を並べた一覧を見る前に、どの種類の会社に声をかけるかを決めると、比べる相手を絞り込めます。
| 種類 | 得意なこと | 気を付けたい点 | 聞いておきたい質問 |
|---|---|---|---|
| SIer(システム開発会社) | 既存システムとの連携、開発 | 研修やルール作りは別料金や外注になることがある | 生成AIの研修やルール作りも、御社で担当していますか |
| コンサルティング会社 | 課題の整理、計画、社内ルール | 実際の設定作業は別の会社に任せることがある | 設定や研修まで、同じ担当者が見てくれますか |
| 研修会社 | 社員向けの講座、教材 | 環境の契約や設定は範囲外のことが多い | 研修で使うAIサービスは、受講後も会社で使えるものですか |
| AIツールのベンダー | 自社ツールの導入と使い方の支援 | 支援の中心が自社ツールになりやすい | ほかのツールと比べた説明もしてもらえますか |
| 紹介・比較サイト | 複数の支援会社の紹介 | 収益の仕組みはサイトごとに違う | このサイトは、どこから収益を得ていますか |
| 業界団体・コンソーシアム | 加盟する会社の紹介、セミナー | 窓口から先は、加盟する各社との契約になる | 相談した後に契約する相手は、どこになりますか |
どの種類が良い悪いではなく、自社の段階に要る工程を、その種類の会社が自分で担当しているかを見極めることが大事になります。段階AやBの会社なら、研修とルール作りを同じ担当者が見てくれるコンサル会社か研修会社が、候補に入りやすいでしょう。段階Cで既存システムとつなぐ開発が要るなら、SIerやAIツールのベンダーが話の早い相手となります。紹介サイトや団体の窓口を使うときは、表の右端の質問をそのまま聞いてみてください。
会社の規模で変わる頼み方
同じ段階でも、社員の数と、情報システムの担当者がいるかどうかで、頼み方は変わってきます。社員10〜30名ほどの会社では情報システムの専任がいないことも多く、経営者か総務の方が責任者を兼ねる形になりやすいでしょう。この規模なら、研修1回と社内ルールのたたき台を頼み、残りは責任者が自分で回す形でも始めることが出来ます。社員30〜100名ほどになると部署ごとに使い方の差が出やすく、部署の代表者を集めた研修と、数か月の伴走相談を組み合わせる形が合ってきます。社員100〜200名ほどで情報システムの担当者がいる会社は、環境の設定やルールの運用を社内で持ち、支援会社には分からないときの相談窓口だけを頼む形も選べます。どの規模でも、契約名義と管理者権限を自社で持つ点は変わりません。
PoCとスモールスタート|生成AIは小さく始めやすい
生成AIの導入は、1つの部署の1つの業務から小さく始めるスモールスタートが向いています。既製のサービスなら作る工程がないため、契約したその週から試すことが出来ます。試す期間を数か月に区切り、始める前に決めた合格ラインと比べて、広げるか、やめるか、やり方を変えるかを決めましょう。支援会社に頼むなら、試す期間中の相談と、終わったときの振り返りの場だけを頼む形でも足ります。
最初に試す業務は、毎週くり返し発生し、出来上がりを人が確かめやすいものを選ぶと、効果を測りやすくなります。議事録の要約、社内向けの文書の下書き、問い合わせメールの返信案などが、その例として挙げられます。反対に、間違えたときの影響が大きい契約書の判断や、取引先にそのまま送る文書から始めるのは避けたほうがよいでしょう。
開発型のPoCが本番に進まずに止まってしまう問題と、その避け方はAIエージェントの導入支援の記事で取り上げています。小さく試すときも、使うAIの環境だけは最初から会社の契約にしておくのが無難です。個人のアカウントで試した結果は、広げる段階でもう一度会社の環境に移し替えることになってしまいます。
AI導入支援でよくある失敗|丸投げ・PoC止まり・データ未整備
AI導入支援でよく挙げられる失敗は、丸投げ・PoC止まり・データの未整備の3つになります。
丸投げで、社内に何も残らない
ルール作りも研修も支援会社に任せきりにすると、契約が終わった日から社内で誰も答えられなくなってしまいます。社内の責任者が打ち合わせに毎回出て、決めたことを自分の言葉で社内に説明できる状態を目指しましょう。
PoC止まりで、本番に進まない
試した結果を判断する合格ラインを決めていないと、良かったのか悪かったのかが分からず、次に進めないまま終わってしまうことがあります。生成AIの導入では、試す段階と全社に広げる段階で使う環境を変えないことが、止まらないための近道になります。
データやルールが整わないまま始める
社内資料を読ませて答えさせる仕組みは、元の資料が古かったり、置き場所がばらばらだったりすると、期待した答えが返ってきません。入れてよい情報の区分が無いまま始めると、社員は怖がって使わないか、何でも入れてしまうかのどちらかに偏りがちになります。データの整理と情報の区分は、支援会社と契約する前から自社で始められる準備です。
支援が終わる日に社内へ残す物|内製化と研修でノウハウを残す
支援会社との契約は、いつか必ず終わるものです。終わる日に社内へ何が残っているかで、支援に払った費用が生きるかどうかが決まってきます。契約の最初に、終了時に受け取る物の一覧を支援会社と共有しておきましょう。
- 社内ルール文書(ガイドライン)入れてよい情報の区分、使ってよいサービス、困ったときの連絡先が書かれた最新版を、編集できる形式で受け取ります。
- プロンプト集・社内向けBOT業務ごとに使ってきた指示文の一覧と、その使い方の説明です。支援会社の環境ではなく、自社の環境に保存された状態にします。
- 管理画面の権限管理者権限が自社の担当者にあり、支援会社の担当者に貸していた権限が外されていることを確かめます。
- 研修資料と、あれば研修の録画新しく入った社員にも同じ研修が出来るよう、教材を社内で編集できる形で残します。
- 効果測定の記録合格ラインと、試した期間の測定結果です。広げるかどうかを判断した理由も一緒に残します。
- 終了後の問い合わせ先AIサービスの不具合や契約の相談を、支援会社とAIサービスの提供元のどちらにするのかを書き残します。
受け取る物は、終わる日にまとめて渡されるより、終わる1か月ほど前に一度そろえてもらうほうが安心です。そろった物を社内の担当者が実際に使ってみれば、足りない物を残りの期間で直してもらえます。管理画面の権限は、最後の日に外し忘れると、支援会社の担当者が会社のAI環境に入れる状態が残ってしまいます。
研修は、支援会社に講師をお願いするだけでなく、社内で教えられる人を育てる場にすると、終わった後も回り続けます。内製化とは、外に頼んでいた作業を社内で回せるようにすることで、生成AIの導入では研修とプロンプト集の更新がその中心になります。支援の後半には、社内の担当者が研修の一部を受け持ち、支援会社はそれを見て直す側に回ってもらう形を頼んでみてください。支援会社の担当者だけが分かる状態を、契約の終わりまでに1つずつ減らしていくのが内製化の進め方です。
補助金で対象になる支援の線引き|デジタル化・AI導入補助金2026
AI導入支援の費用に補助金を使うなら、支援会社と契約する前に、制度の対象に入る形かどうかを確かめる必要があります。中小企業向けの代表的な制度は、旧IT導入補助金が名前を変えたデジタル化・AI導入補助金2026になります。この制度は、事務局の審査を受けて登録されたITツールを、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで導入する形を支える仕組みです。
| 項目 | 公式資料に書かれている内容(通常枠) |
|---|---|
| 対象になる経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、オプション(機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ)、役務(導入・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート) |
| ITツール | 事前に事務局の審査を受け、補助金のホームページに登録されたもの。汎用ツールだけでは申請できず、業務プロセスを持つツールと組み合わせる決まり |
| 申請のしかた | 事務局に登録されたIT導入支援事業者とパートナーシップを組んで申請する |
| 補助額 | 業務プロセス1〜3つ:5万円〜150万円未満。4つ以上:150万円〜450万円以下(4つ以上は賃上げの目標が必須) |
| 補助率 | 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内) |
| 契約の時期 | 交付決定の前にITツールを契約・発注した場合は、補助の対象にならない |
| 支払い | 支払先はIT導入支援事業者の口座。原則として銀行振込かクレジットカード1回払い |
| 直近の締切 | 6次:2026年10月30日(金)17:00(交付決定は2026年12月10日の予定)。7次:2026年12月1日(火)17:00 |
※制度の内容は2026年10月6日時点で、中小企業庁の資料とデジタル化・AI導入補助金の公式サイトに掲載されている内容です。補助額の書き方は資料によって異なり、公募要領では5万円〜150万円未満の区分を1プロセス以上と書いています。
対象になる支援と、確かめが要る支援
表の役務のとおり、導入・活用のコンサルティングや導入研修、マニュアル作成は、登録されたITツールの導入に付く形であれば対象の経費に入ります。ただ、通常枠の公式ページではソフトウェアが「必須」とされているため、ITツールを伴わないコンサルティングや研修だけの依頼は当てはまりにくい形になります。単独の依頼を考えている場合は、IT導入支援事業者と事務局の資料で確かめてみてください。支援会社がIT導入支援事業者として登録されていなければ、その会社と組んで申請することは出来ません。登録の有無と、導入するツールが登録されているかは、公式サイトのITツール検索で調べることが出来ます。検索では生成AIを使った機能を持つツールに絞り込むことも出来ますが、その表示はIT導入支援事業者の申告にもとづくものとされています。
契約の順番と、従業員数の条件
補助金を使うなら、交付決定が出る前に支援会社やツールの契約・発注をしないことが前提になります。先に契約してしまうと、その分は補助の対象から外れてしまいます。通常枠6次の締切は2026年10月30日(金)17:00で、交付決定は12月10日の予定と案内されています。申請できる会社の範囲は業種ごとに決まっていて、たとえばサービス業は従業員100人以下、製造業・建設業・運輸業は300人以下、卸売業は100人以下、小売業は50人以下が目安で(ソフトウェア業・旅館業などは別の基準)、資本金の基準もあります。資本金と従業員数のどちらか一方が基準以下であれば、対象になります。社員が50名を超える会社は、業種と資本金によって外れることがあるため、自社の業種の基準を先に見ておきましょう。
補助金を使うときの進め方
補助金を使って支援を受ける場合は、次の順番で進めると、契約の時期を取り違えにくくなります。
- 頼みたい支援会社がIT導入支援事業者として登録されているかを、ITツール検索で確かめます。
- 導入するAIサービスなどのITツールが登録されているか、業務プロセスを持つツールかを確かめます。
- 申請に要るgBizIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの宣言を済ませておきます。
- IT導入支援事業者と組んで交付申請を出し、交付決定を待ちます。
- 交付決定が出てから、ITツールと役務の契約・発注・支払いをします。
- 効果報告は1年度目の2028年4月から3年度目の2031年1月まで続くため、その間はツールを使い続けて報告します。
gBizIDプライムは、書類での申請の審査期間が従来の最大2週間から最大1か月に変わったと、公式サイトで案内されています。6次の締切に間に合わせたい場合は、IDの取得から先に始めておきましょう。
補助金で導入したITツールを効果報告の期間中に解約・利用停止すると、辞退の手続きが要り、補助金の全部または一部の返還が必要になる場合があります。支援会社を替えるときも、ツールの契約は自社名義で続けられる形にしておくと安心です。申請の流れや枠ごとの違いはデジタル化・AI導入補助金2026の解説に、個人事業主の場合は個人事業主がAI導入補助金を使う条件にまとめています。
よくある質問
AI導入支援は、中小企業でも頼んだほうがよいですか?
AI導入支援の費用の相場はいくらですか?
AIの利用環境は、支援会社の名義で契約してもよいですか?
支援会社への依頼に補助金は使えますか?
支援会社と契約する前に、社内で何を決めればよいですか?
まとめ
AI導入支援は、AIを使う目的づくりから社内への定着までを外部の会社が手伝うサービスで、研修型・伴走相談型・コンサル型・PoC/開発型の4つの型に分かれます。生成AIを会社に入れる段階なら、合うのは多くの場合研修型・伴走相談型・コンサル型で、開発型は業務を自動化したい段階で考えれば足ります。どの型を頼むにしても、AI環境の契約名義と管理者権限、入れてよい情報の区分、責任者、合格ライン、終了時の戻し方は、自社で持つものとなります。
支援の月額は1年続けると大きな金額になるため、年の出費と1人あたりの額に直してから比べてみてください。補助金を使うなら、IT導入支援事業者と登録ツールの組み合わせかを確かめ、交付決定より前に契約しないことが前提です。そのうえで、社員が使うAIの環境を先に会社で1つにそろえておけば、支援会社に頼む範囲は自然と小さくなっていきます。法人のAI活用に関するほかの記事は、AI活用コラム一覧からご覧いただけます。
支援を頼む前に、社員が使うAIを会社の環境1つに
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約・1画面で使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理でき、よく使う指示と手順をBOTにして社内限定で共有することも出来ます。基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
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