
ChatGPTに学習させない設定をスマホで行う方法とは、iPhone・Androidのアプリで「設定」→「データコントロール」→「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする操作のことです。サインインした状態でオフにすれば、設定はデバイスに関係なくアカウント全体に適用され、パソコンのブラウザで使うときも同じ扱いとなります。ただし、社員が個人で作ったアカウントの設定は本人の画面で切り替えるもので、会社がまとめて切り替えるものではありません。社員のスマホについては、手順の周知と本人による確認、入力ルールづくりの3つで備えたうえで、業務で使う環境を会社で用意していくことになります。
学習の仕組みや、オフにしても残る例外、会社としての対策の全体像はChatGPTに学習させない設定の全体像と会社での対策にまとめています。ここでは手元のiPhoneやAndroidで試しながら読めるよう、スマホならではの画面と、社員のスマホに残る穴に絞って進めます。
※手順・画面名・保持期間は、2026年10月3日にOpenAIの公式ヘルプ(日本語版)「ChatGPT のデータ管理」「ChatGPT 音声モード」「ChatGPT の一時チャット」の本文で確認した内容です。アプリの表記はアップデートで変わることがあります。
iPhone・Androidで学習させない設定の手順|設定→データコントロール
iPhoneとAndroidの手順は同じで、サイドバーからプロフィールアイコンを選んで設定を開き、「データコントロール」の中にある切り替えをオフにするだけです。OpenAIの公式ヘルプ「ChatGPT のデータ管理」でも、iOSとAndroidの手順は1つにまとめて案内されています。画面の名前まで書くと、次の順番になります。
- ChatGPTアプリを開き、サイドバーを開きます
- サイドバーの中のプロフィールアイコンを選び、設定を開きます
- 設定の一覧から「データコントロール」を選びます
- 「すべての人のためにモデルを改善する」の切り替えをオフにします
パソコンのブラウザでは、アカウントメニューから「設定」→「データコントロール」と進み、同じ項目を選んでオフにしてから「完了」を押す流れが案内されています。入口の場所が少し違うだけで、最後に触る項目はスマホと共通です。
iPhone(iOSアプリ)で試すときの流れ
手元のiPhoneで試すときは、まずChatGPTアプリが最新の状態かをApp Storeで確かめてから始めてみてください。サインインしているアカウントで操作すると、その後に始める新しい会話は、OpenAIのモデルの学習に使われなくなります。切り替えた後もチャット履歴はそのまま残り、過去の会話を開き直すことも出来ます。
操作は4つの画面をたどるだけなので、会議の合間にでも済ませられる内容です。社員に案内するときも、まず自分のiPhoneで一度たどっておくと、聞かれたときに画面の場所を答えやすくなるでしょう。
Androidアプリで試すときの流れ
Androidでも操作の順番は同じで、Google Playでアプリを更新してから同じ画面をたどります。公式ヘルプはiOSとAndroidの手順を分けずに書いているため、名前の一致する項目を順に探していけば迷うことは少ないでしょう。社員に案内するときも、機種ごとに別の手順書を作る必要はありません。
オフにできたかを確かめる
確認は、もう一度同じ画面を開き、「すべての人のためにモデルを改善する」の切り替えがオフの表示になっているかを見るだけで済みます。パソコンのブラウザでも同じアカウントにサインインしている方は、ブラウザ側の「設定」→「データコントロール」でも同じ状態に変わっているかを見てみましょう。サインインした状態の設定はアカウント全体に適用されるため、片方でオフにすれば、もう片方も同じ状態に変わります。
項目が見つからない・表示が違うときの確認ポイント
項目が見当たらないときは、使っているアカウントの種類と状態を順に確かめることになります。公式ヘルプは、利用できるコントロールはサインインしているかどうか、プラン、ワークスペースの設定によって異なると説明しています。確かめる順番は次のとおりです。
- アプリが古いままになっていないか(App Store・Google Playで更新する)
- 会社のワークスペース(BusinessやEnterpriseなど)のアカウントでログインしていないか。会社のワークスペースでは組織の設定が適用されるため、個人のアカウントと同じ画面になるとは限りません
- 保護者による設定がある端末やアカウントではないか。公式ヘルプのよくある質問には、保護者の設定やワークスペースのコントロールによって変更できない場合があると書かれています
- サインアウトしたまま使っていないか
業務の連絡用に会社のワークスペースへ入っている場合は、表示が個人のアカウントと違っても慌てる必要はありません。管理対象のワークスペースでは、Business・Enterprise・Edu・ヘルスケア向けのコンテンツが既定で学習に使われない扱いになっています。
社員の画面を一緒に見るときの注意
社員のスマホを預かって設定を代行するのは避け、本人に操作してもらいながら、横で画面の名前を伝える形にしましょう。スマホには個人のチャット履歴や通知が並んでいるため、担当者が手に取ると、見るつもりのない内容まで目に入ってしまいます。本人の画面で本人が切り替える形を守れば、後から誰が設定を変えたのかで行き違いが起きることもありません。
設定はアカウント単位|スマホでオフにすればパソコンにも効く
スマホとパソコンのどちらでオフにしても結果は同じで、サインインしていれば設定はアカウントに記録されます。公式ヘルプには、サインインしている場合、この設定はデバイスに関係なくアカウント全体に適用されると書かれています。先にスマホで切り替えた方は、後からパソコンで同じ操作を繰り返す必要はありません。
サインアウトで使うと、設定はそのブラウザにしか残らない
注意が要るのは、サインインせずに使っている場合です。公式ヘルプでは、サインアウトした状態のブラウザで設定を開いてオフにした場合、その選択はそのブラウザに保存されると案内されています。アカウントに紐づかないため、別のブラウザや別の端末で開けば、改めて設定し直すことになってしまいます。業務でスマホから使うのであれば、サインインした状態で設定を済ませ、選んだ内容がアカウントに残る形にしておきましょう。
個人用と会社用、2つのアカウントを持つ社員の落とし穴
1台のスマホで個人用と会社用のアカウントを切り替えて使う方は、アカウントごとに設定が分かれる点に気をつけてください。個人用のアカウントでオフにした内容は個人用のアカウントにだけ適用され、会社のワークスペースでは組織の設定が使われます。どちらのアカウントでサインインしているかを確かめずに操作すると、オフにしたつもりの設定が、普段使っていない側にかかっているという食い違いが起きてしまいます。
機種変更やアプリの入れ直しをした後も、サインインするアカウントが同じであれば、設定はアカウントに残ったままになります。気をつけたいのは、新しい端末で別のメールアドレスのアカウントを作ってしまった場合で、そのアカウントでは改めてオフにする操作が必要です。社員から機種変更の連絡があったときは、同じアカウントでサインインし直したかを一言確かめるとよいでしょう。
オフの効果は新しい会話から|履歴・過去の会話・プライバシーポータル
オフにして学習に使われなくなるのは、切り替えた後に始める新しい会話です。公式ヘルプの説明も、オフにすると新しい会話が学習に使われなくなるという書き方で、オフにする前の会話をさかのぼって外すとは書かれていません。オフは、これから始める会話に向けた設定だと考えておきましょう。以前に別の方法でオプトアウトしていた方については、その選択が引き続き尊重されるとよくある質問で説明されています。
履歴の削除・アーカイブと学習オフは別の設定
学習の設定と、チャットの履歴やアーカイブは別々の仕組みです。公式ヘルプでは、モデル改善をオフにしても保存済みのチャットは削除も非表示にもならず、アーカイブしても学習に使われるかどうかは変わらないと説明されています。履歴を消せば学習も止まる、あるいは学習を止めれば履歴も消える、と思い込んでいる方もいるかもしれません。メモリについても同じで、モデル学習とは別個の設定として扱われます。会話を消したいのか、学習に使われたくないのかを分けて考え、それぞれの画面で操作してみてください。
すでに業務の情報を入れてしまった会話があるとき
個人の無料版・Go・Plus・Proでサインインしている方は、設定からデータのエクスポートをリクエストし、これまで何を入れたかを確かめることが出来ます。アカウントそのものが不要であれば、設定からアカウントを削除することも可能ですが、この操作は元に戻せません。一方、BusinessやEnterpriseなどのワークスペースでは、本人がセルフサービスでエクスポートすることは出来ず、ワークスペースの所有者に問い合わせる形となります。アカウントを本人が削除することも出来ません。
Codexとプライバシーポータルにも同じ設定が効く
個人プランでCodexのタスクを使っている場合も、ChatGPTのこの設定が適用されます。公式ヘルプによると、ChatGPTでオフにするか、プライバシーポータルで「Do not train on my content」を選ぶか、どちらか一方で足ります。プライバシーポータルでは、データのエクスポートを依頼することも出来ます。スマホのアプリで切り替えを済ませた方であれば、改めてポータルで同じ手続きをし直す必要はないでしょう。ただし、Codexの環境の情報を学習に使うかどうかは、Codexの設定にある「環境を含める」で別に切り替えます。ChatGPTの設定やポータルでは変わらないため、Codexを使う方はこちらも確かめてください。
1回だけ学習させたくないときは一時チャット
設定を変えずに特定の会話だけ学習から外したいときは、一時チャットを使います。一時チャットである間は、その会話がチャット履歴に表示されず、モデルの改善にも使われません。自分のアカウントではモデル改善をオンのままにしておきたい方が、特定の会話だけを外したい場面に向いた機能となります。
スマホで一時チャットを始める手順
公式ヘルプ「ChatGPT の一時チャット」が案内している始め方は、次のとおりです。
- 新しいチャットを開きます
- 「一時チャット」を選びます
- 最初のメッセージを送る前に、パーソナライズあり・なしを選びます
パーソナライズの有無は最初のメッセージの前に決める仕組みなので、送る前に一度画面を見直してみてください。
一時チャットでも残るもの・消えるもの
一時チャットでも、安全上の目的でコピーが最長30日保持される場合があります。メモリを作ったり更新したりすることはありません。気をつけたいのは会話を保存した場合で、保存すると通常のチャットに変わり、モデル改善の設定がそのまま適用されます。保存しなければ、画面を離れた後にその会話を開き直すことは出来ません。
GPTのアクションを使って外部のサービスにデータを送った場合は、その送り先のポリシーが適用される点にも注意が必要です。一時チャットだから何も外に出ない、とは言い切れないことを覚えておきましょう。
音声モード・カメラ・画面共有で残る録音と録画
スマホならではの入り口が音声モードで、話した内容の文字起こしは、モデル改善の設定がオンなら学習に使われることがあります。音声・動画のクリップそのものは、本人が共有を選ばない限り学習には使われません。文字起こしとクリップで扱いが分かれる点が、キーボードで打つ場合との違いになります。
音声モードの使い方と、使える機能
iPhoneでもAndroidでも、メッセージバーにある音声アイコンを押し、マイクへのアクセスを許可すれば話し始めることが出来ます。対象のサブスクリプションを使っている方は、アプリの高度な音声モードでカメラのライブ映像や画面共有も使えます。会議室のホワイトボードや取引先の資料をカメラに映すと、その映像も会話の記録として残ってしまいます。手で打つより手軽な分、映してはいけないものが画面に入っていないかを、話し始める前に確かめてみてください。会議の内容をそのまま要約させたいときも、個人のアカウントの音声モードに会議の音声を聞かせるのは避け、会社で決めた環境を使うよう案内しておきましょう。
音声・動画のクリップは30日間保持される
公式ヘルプ「ChatGPT 音声モード」によると、Live・高度な音声モードの音声クリップと、高度な音声モードの動画クリップは、文字起こしとともに保存され、30日間保持されます。チャットを削除すれば、関連するクリップも30日以内に削除されると説明されています(例外があるとも書かれています)。学習をオフにしていても、録音や録画が一定の期間残ること自体は変わらない点を押さえておきましょう。
「音声録音を含める」「動画録画を含める」をオンにしたときだけ共有される
クリップが学習のために共有されるのは、本人が選んでオンにした場合だけです。個人ワークスペースの無料版・Plus・Proでは、設定の「データコントロール」で「モデル改善」をオンにしたうえで、「音声録音を含める」「動画録画を含める」をオンにするとクリップが共有されます。共有を選んだクリップは、OpenAIのチームが確認することもあります。
この選択はアカウントに紐づき、ログインしているすべてのデバイスに適用されます。Business・Enterprise・Eduのワークスペースでは、そもそもクリップを共有できない仕組みになっています。社員に案内するときは、この2つの項目をオンにしないこと、そしてモデル改善をオフにしておくことを、セットで伝えるのが分かりやすいでしょう。
一人ひとりのスマホの設定を確かめ続ける代わりに、使う環境を会社で1つにそろえる方法があります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
オフでも学習に使われうる場面と、共有リンクで外に出る経路
モデル改善をオフにしていても、回答に「いいね」「よくないね」のフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われることがあります。これは公式ヘルプ「ChatGPT のデータ管理」のよくある質問に書かれている注意点です。業務の情報を入れた会話では、回答の評価ボタンを押さないと決めておきましょう。スマホでは画面を指でなぞりながら読むため、評価ボタンに指が触れて押してしまうこともあります。ボタンの位置を一度確かめておきましょう。
共有リンクとスクリーンショットは学習とは別の経路
学習とは別に、会話そのものが人の目に触れる経路もあります。会話の共有リンクを作って送ったり、画面のスクリーンショットを撮って私用のメッセージアプリで送ったりすれば、学習の設定に関係なく、受け取った相手に中身が伝わってしまいます。スマホは撮影や転送の操作がすぐ手元にあるため、パソコン以上に気軽に外へ出せてしまう道具です。
業務の会話は共有リンクにしない、画面のスクリーンショットを私用のアプリで送らない、という2点を決まりにしておくと安心でしょう。社内で会話の中身を共有したいときは、必要な部分だけを社内のチャットや文書に書き写す形にそろえてみてください。
iPhoneのApple Intelligenceから使うChatGPTの扱い
iPhoneではChatGPTアプリのほかに、Apple Intelligenceに組み込まれたChatGPTの拡張機能から使う方法もあり、サインインするかどうかで扱いが変わります。Appleのプライバシーに関するページでは、サインインせずに使う場合、OpenAIは要求を処理する目的にだけ使い、法令で必要な場合を除いて要求や回答を保存せず、学習にも使わないと説明されています。Apple Accountに紐づく情報がOpenAIに渡らないことも、同じページに書かれた内容です。
一方で、ChatGPTのアカウントでサインインした場合は、そのアカウントの設定とOpenAIのデータプライバシーポリシーが適用されます。サインインした個人アカウントでモデル改善がオンのままなら、拡張機能から送った内容もそのアカウントの設定に従うことになってしまいます。業務で使うiPhoneでは、拡張機能をサインインなしで使うか、サインインするならそのアカウントでモデル改善がオフになっているかを確かめてみてください。周知文やチェックリストでも、ChatGPTアプリとは別の入り口として、拡張機能の項目を1行加えておくと漏れが減ります。
※Apple Intelligenceの記載は、Appleのプライバシーページ(Third-party AI)とMac向けユーザガイドで2026年10月3日に確認した内容です。iPhoneの画面表記は、お使いの端末でお確かめください。
会社のプラン(Business・Enterprise)は既定で学習に使わない
会社で契約するBusiness・Enterpriseなどの管理対象ワークスペースは、既定でコンテンツが学習に使われないため、社員が自分で切り替える前提に立たずに済みます。公式ヘルプでは、Business・Enterprise・Edu・ヘルスケア向けのコンテンツは既定で学習に使わないこと、保持やメモリ、コンプライアンス、アクセスについて組織レベルの設定を適用できることが説明されています。会社のアカウントでスマホにログインしていれば、個人の設定に頼らずに学習の扱いが決まります。
個人プランと違う点
管理対象ワークスペースでは、個人プランとデータの手続きの窓口が変わります。
- データのエクスポートはセルフサービスで出来ず、ワークスペースの所有者に問い合わせる(Eduは管理者の設定しだいで出来る場合あり)
- アカウントを本人が削除することは出来ない
- 音声・動画のクリップを学習のために共有することは出来ない
本人の判断で消したり持ち出したりできない分、データの扱いを会社側でまとめて決められる点が、個人のアカウントとの大きな違いとなります。料金やプランの選び方はChatGPTの法人プランの料金でまとめています。社員が個人のアカウントと会社のアカウントの両方をスマホに入れている場合は、業務の相談は会社のアカウントに切り替えてから始める、という一行を決まりに加えておきましょう。
学習をオフにするデメリットは小さい
学習をオフにしても、チャット履歴の表示やメモリの設定はそのままで、手放すのはOpenAIのモデル改善への協力という点が中心になります。公式ヘルプは、オフにしても保存済みのチャットは削除も非表示にもならないこと、メモリとモデル学習は別個の設定であることを説明しています。社員に設定をお願いするときに、過去の会話が消えるのではと心配される場面があっても、そうした変化は起きないと伝えて構いません。
気になるとすれば、一時チャットを多用した場合に、後から会話を開き直せない点でしょう。一時チャットは保存しなければ離れた後に開き直せないため、残したい会話は通常のチャットで、モデル改善をオフにしたうえで使うほうが向いています。履歴を残したいか、残したくないかで使い分けると、どちらの不便も小さく抑えられます。
私物スマホと会社支給スマホで変わる会社の打ち手
会社ができることは、社員のスマホが私物か会社支給かで大きく変わり、私物の場合は本人に任せる部分がどうしても残ります。どちらの場合も、個人のアカウントの設定は本人が切り替えるもの、という前提から考えるのが近道です。
会社ができること・できないこと
社員が個人で作ったChatGPTのアカウントの設定は、本人のアカウントの「設定」→「データコントロール」で切り替えるもので、会社の管理画面から代わりにオフにする方法は、公式ヘルプには案内されていません。組織レベルの設定を適用できるのは、会社が契約した管理対象のワークスペースに限られます。個人のアカウントについて会社にできるのは、周知・本人の確認・入力ルールの3つになります。この3つを組み合わせて回していきましょう。
私物スマホ(BYOD)の場合
私物スマホは、多くの会社で端末の中身を確かめる手段を持たないため、設定を確かめるには本人の申告に頼る形になります。スクリーンショットの提出を求める方法もあり、口頭の確認より漏れが減ります。ただ、画面に個人のチャット履歴や通知が写り込むおそれがあるため、求める場合は設定の画面だけを撮ってもらいましょう。手軽に続けやすいのは、月に1回、チェックリストを使って本人に確かめてもらい、確認したとだけ答えてもらう運用でしょう。私物スマホのChatGPTに業務の情報を入れること自体を認めるかどうかも、ここで決めておく必要があります。
会社支給スマホの場合
会社支給のスマホなら、配る前に設定を済ませてから渡すことが出来ます。個人のアカウントを入れさせるのではなく、会社のワークスペースのアカウントでログインする形にそろえれば、学習の扱いを組織の設定でまとめて決められます。個人のアカウントで使わせる場合でも、受け渡しのときに管理者と本人が一緒に画面を開き、モデル改善がオフになっていることを確かめてから渡すようにしましょう。機種変更や修理の後は、新しい端末で同じアカウントにサインインしたかを確かめてもらうと安心です。
ただ、どちらの場合も、設定が守られているかを会社が常に見続けることは難しく、社員の数が増えるほど確認の手間も積み上がってしまいます。アプリの入れ直しや新しいアカウントの作成は本人の手元で起きるため、会社が気づかないまま元の状態に戻っていることも考えられます。
社員に送る周知文のひな形
周知文は、設定の手順、業務で入れてはいけない情報、確かめ方の3点を1通にまとめると、読んだその場で操作してもらえます。そのまま社内チャットやメールに貼れる形にしたので、会社の事情に合わせて言葉を直してお使いください。
件名:スマホのChatGPTの設定確認のお願い(数分で終わります)
皆さま
業務でスマホのChatGPTアプリを使っている方、今後使う可能性がある方は、今週中に次の設定をご確認ください。
1. ChatGPTアプリでサイドバーを開き、プロフィールアイコンから設定を開く
2. 「データコントロール」を開き、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
3. 同じ画面に「音声録音を含める」「動画録画を含める」が表示されている場合は、オンになっていないかを見る
4. パソコンでも同じアカウントを使っている場合は、パソコン側でもオフになっていることを確かめる
あわせて、次の3点を守ってください。
・顧客の氏名や連絡先、契約や決算の数字など社外秘の情報は、個人のアカウントに入力しない
・業務の内容を入れた会話では、回答の評価ボタン(いいね・よくないね)を押さない
・業務の会話を共有リンクにしたり、画面のスクリーンショットを私用のアプリで送ったりしない
確認が終わったら、このメッセージに「確認しました」とだけ返信してください。画面のスクリーンショットの提出は不要です。
不明な点は(担当部署・担当者名)までお問い合わせください。
スクリーンショットの提出も求める場合は、周知文の最後の一文を「設定の画面だけを撮って、返信に添付してください」に差し替えて使えます。
入力禁止の例は業種によって変わるため、税理士事務所なら顧問先の決算の数字、製造業なら図面や見積の金額といったように、自社の言葉に置き換えると伝わりやすくなります。音声の2つの項目は、手順3で見るだけにして、触らなくてよいと書き添えておくと迷う方が減るはずです。何を入れてはいけないかの決め方は、後の節で詳しく扱います。
送るときに添えたい一言
周知文だけを送ると、自分は業務で使っていないからと読み飛ばされることがあります。送るときは、私物のスマホにアプリを入れているだけの方も対象であること、オフにしても過去の会話や履歴が消えるわけではないことを、一言添えてみてください。経営者や部門長が先に設定を済ませ、済ませたことを自分の言葉で伝えると、社員も後に続きやすくなります。
社員向け1分確認チェックリスト
社員が自分のスマホで1分あれば確かめられる項目を、スクリーンショットなしで答えられる形にまとめました。月に1回、周知文と一緒に送り直すと、機種変更の後に新しいアカウントを作ってしまった方にも気づいてもらえます。
- アプリでサインインしているアカウントは、普段使っているものと同じか設定はアカウントごとに分かれます。個人用と会社用を持っている方は、いま操作しているのがどちらかを確かめます。
- 「すべての人のためにモデルを改善する」がオフになっているかサイドバー→プロフィールアイコン→設定→「データコントロール」で確かめます。
- 「音声録音を含める」「動画録画を含める」をオンにしていないか(表示されている場合)オンにすると、音声モードの録音・録画のクリップが学習のために共有されます。
- 業務の会話で、回答の評価ボタンを押していないか学習をオフにしていても、評価を送った会話は全体が学習に使われることがあります。
- 業務の会話を共有リンクにしていないか共有リンクは学習の設定とは関係なく、受け取った相手に中身が伝わります。
- 社外秘の情報を個人のアカウントに入れていないか迷ったときは入れずに、担当部署に相談します。
- (iPhoneの方)Apple IntelligenceのChatGPT拡張機能にサインインしている場合、そのアカウントでもオフになっているかサインインすると、そのアカウントの設定が適用されます。
すべてに問題がなければ、「確認しました」と返信してもらうだけで足ります。1つでも当てはまらない項目があった方には、その場で直してもらい、直した後に返信してもらう流れにしてみてください。
返信の集め方と、返事がない方への対応
返信の記録は、担当者が社員の一覧に確認した日付を書き込むだけの簡単なもので十分です。返事がない方には1週間後に一度だけ声をかけ、それでも進まない場合は、担当者が隣で一緒に画面を開く時間を取ってみてください。1分で終わる作業でも、案内のメッセージがほかの連絡に埋もれて見落とされることは珍しくありません。記録を続けていくと、機種変更が重なる時期や、新しく入った社員への案内漏れにも気づきやすくなります。新しく入った社員には、入社時の案内書類に周知文とチェックリストを入れておき、初日に済ませてもらうのが確実でしょう。
入力してよい情報の線引きと社内ガイドライン
学習をオフにしても入力した内容が消えるわけではなく、一時チャットでさえ安全上の目的で最長30日保持される場合があるため、何を入れてよいかの線引きは別に決める必要があります。線引きは、情報の種類ごとに3段階に分けると、社員が迷いにくくなります。
- 入れない:顧客や取引先の個人情報、契約書の原本、未公表の決算や人事の情報、パスワードやアクセスキー
- 伏せれば入れてよい:社名や氏名を伏せた文面の下書き、数字を丸めた資料の構成案
- 入れてよい:公開済みの情報、一般的な文章の言い換え、自分のアイデアの整理
伏せ方に迷う方には、置き換えの例を見せてあげると伝わります。たとえば、取引先の社名はA社、担当者の名前はBさん、金額は約○○万円のように丸めて書き、返ってきた文章に後から本当の名前や数字を入れ直す使い方です。この形なら、学習の設定がどうなっていても、社外に出してはいけない固有の情報はスマホから送られずに済みます。
スマホは移動中や外出先で使う場面が多く、パソコンより手軽に入力できてしまう分、線引きを短い言葉で覚えてもらうことが大切です。音声モードで話しかける場合も、入力の決まりは文字で打つときと同じだと伝えておきましょう。
ガイドライン全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で、会社が把握していない利用の見つけ方はシャドーAI(野良AI)の解説で紹介しています。ルールを作ったら、周知文と1分確認チェックリストと一緒に配り、年に数回は見直すことをおすすめします。
会社で安全に使うには|スマホの設定を社員任せにしない環境
社員のスマホの設定を一人ずつ確かめる運用には限りがあるため、会社で使う環境そのものを、学習に使われない契約にそろえることが根本の対策となります。設定の確認とルールの周知は続けながら、業務で使う場所を会社の環境に寄せていく順番で考えてみましょう。
学習させない契約の環境を会社で用意する
Business・Enterpriseのような管理対象ワークスペースや、学習に使わない条件で契約した法人向けサービスであれば、社員一人ひとりの設定に頼らずに、学習に使わない状態を会社がまとめて決められます。個人のアカウントのまま使い続けるより、毎月の確認にかかる手間も減っていくでしょう。契約の条件は、学習に使わないことが既定になっているか、会話の保持やアクセスを会社側で決められるかの2点から確かめてみてください。会社の環境をそろえた後も、私物スマホの個人アカウントを一律に禁止するより、業務の情報は会社の環境だけで扱う、という線を引くほうが守られやすいでしょう。
ログを会社側で持つ
会社の環境にそろえるもう1つの利点は、管理画面で利用状況を確かめられるサービスを選べば、誰がいつどのAIを使ったかを会社が把握できるようになることです。個人のアカウントの利用は会社からは見えないため、何か起きたときに確かめる手段がありません。点検すべき項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストで整理しています。
全員に配れる形にする
一部の社員にだけ会社のアカウントを配ると、配られなかった方が私物スマホの個人アカウントで使い続けてしまいます。人数が増えるたびに費用が増える契約では、全員に配る判断がしにくくなるため、料金の形も確かめておきたいところです。生成AIのサービスごとの料金の比べ方は法人向け生成AIサービスの比較で一覧にしています。
複数のAIを使い分けられるようにする
社員が個人でスマホにAIアプリを入れる理由の1つは、仕事によって使いたいAIが違うことにあります。ChatGPTだけを会社で用意しても、調べものは別のAI、長い文書はまた別のAIというように、私物スマホに別のアプリを入れて使う方が出てくるかもしれません。複数のAIを1つの環境で使う考え方はマルチAIの解説で、AIごとの得意分野は主要4AIの違いと使い分けで紹介しています。会社の環境に必要なAIがそろっていれば、私物スマホに別のアプリを入れる理由そのものが減っていきます。
社員のAI利用を、会社で決めた1つの環境に
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです。使うモデルは会話の途中でも切り替えることが出来、利用ログや権限、モデルごとのON/OFFは管理者ダッシュボードでまとめて扱えます。基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
iPhoneとAndroidで、学習させない設定の手順は違いますか?
スマホでオフにすれば、パソコンのChatGPTにも反映されますか?
学習をオフにすれば、入力した内容は一切学習に使われませんか?
会社が社員のスマホのChatGPTを、まとめて学習させない設定にできますか?
一時チャットを使えば、何も残りませんか?
iPhoneのApple IntelligenceでChatGPTを使うと、学習に使われますか?
まとめ
スマホのChatGPTで学習させない設定は、iPhoneでもAndroidでも、設定の「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにするだけです。サインインしていればアカウント全体に適用されるため、スマホで切り替えればパソコンでも同じ扱いになります。一方で、評価ボタンのフィードバック、音声・動画クリップの共有、一時チャットの保存、Apple Intelligence経由での利用といった、スマホで起きやすい例外も残ります。
社員の個人アカウントは会社が代わりに設定できないため、周知文と1分確認チェックリストで本人に確かめてもらい、業務で使う場面は会社で用意した環境に寄せていきましょう。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧からご覧いただけます。
