ChatGPTでパワポを作る方法。公式アドインの使い方と会社で許可する前の確認点

ChatGPTでパワポを作るとは、ChatGPTに構成案や本文、スライドそのものを作らせ、PowerPointの資料に仕上げることです。いまはPowerPointの中で動く公式アドイン「ChatGPT for PowerPoint」を使うと、編集できるスライドの形を保ったまま作成や修正を頼めるため、貼り込みの手戻りを減らせます。ただし会社で使う場合は、社員がどのアカウントでサインインするか、アドインの追加を誰に許すかを先に決めないと、社外秘の資料が個人の契約のもとで扱われてしまいます。作り方の手順とプロンプト例に加えて、管理者が確かめる設定と、資料を読ませる前の判断表までまとめました。

ChatGPTでパワポを作る方法は4つ|いまは公式アドインが基本

ChatGPTでパワポを作る方法は、大きく分けて次の4つがあります。

  • PowerPointの中で使う:ChatGPT for PowerPointのサイドバーで、スライドの作成・追加・修正を頼む
  • 貼り込む:ChatGPTで構成案と本文を作り、PowerPointのアウトライン表示やGoogleスライドに貼る
  • VBAで一括生成する:ChatGPTにマクロを書かせ、PowerPointで実行してスライドを並べる
  • ファイルごと作らせる:ChatGPT Workでプレゼンテーションを作らせる、コードを実行する機能でファイルを作らせる(使えるかはプランや設定で異なる)

どれを選ぶかは、仕上がりの形と、そのあとの手直しの量で決まってきます。実際に、構成案を貼り込む方法やVBAは以前から紹介されてきたやり方ですが、2026年時点ではPowerPointの中にChatGPTのサイドバーを開けるアドインが公開されています。社内の定型資料を手早く作り直したいなら、まず公式アドインを試し、足りない部分だけ他の方法で補うのが現実的でしょう。

一方で、OpenAIのヘルプでは、ChatGPTエージェントは利用できなくなったとされ、完成した成果物の作成にはChatGPT Workを使うよう案内されています。古い解説記事の手順がそのまま使えない場合もあるため、画面の名前は公式ヘルプで確かめてください。会社で使う場合は、作り方と同じくらい、誰のアカウントで使わせるかという管理側の判断が大切になります。

作る前の準備|目的・読み手・枚数を決める

AIに頼む前に、資料の目的・読み手・枚数の3つを決めると、出てくる構成案のぶれが小さくなります。目的が稟議を通すことなのか、社内に周知することなのかで、同じ題材でもスライドの順番は変わってしまいます。読み手は役職と、その方が資料を読んだあとに何を決めるのかまで書き出してみてください。

枚数は、発表時間から逆算するのが手早い方法です。たとえば10分の報告なら、本文5〜7枚に表紙とまとめを足す程度を目安にし、AIには「本文は6枚まで」と上限で伝えましょう。発表せずに配るだけの資料なら、1枚の情報量を増やして枚数を減らす考え方もあるでしょう。上限を伝えないと論点が細かく分かれて枚数が増え、あとで削る手間がかかることがあります。

もう1つ、会社で使う場合に先に決めたいのが、AIに渡してよい資料の範囲です。下書きのメモだけを渡すのか、元になる社内資料や数字も読ませるのかで、使ってよい環境が変わってきます。判断の目安は、社外秘資料を読ませる前の判断表にまとめました。準備の段階では、次のようなメモを1枚作っておくと、どの方法で作る場合もそのままプロンプトに流用することが出来ます。

【資料の目的】例:営業支援ツールの試験導入の稟議を通す
【読み手】例:社長と管理部長(費用と効果で判断する)
【発表時間と枚数】例:10分/本文6枚まで+表紙・まとめ
【結論(1文)】例:入力作業を減らすため、来月から3名で試したい
【使ってよい材料】例:公開済みの製品資料、社内の集計値(顧客名は伏せる)
【体裁】例:社内標準テンプレート、1スライド1メッセージ、数字は出典つき

材料を渡すときは、長い資料を丸ごと貼るより、スライドに使う数字と要点を箇条書きに抜き出してから渡す方が、AIが違う箇所の数字を拾う誤りを減らせます。抜き出す作業そのものが、社外秘の部分をAIに渡していないかを確かめる機会にもなります。

ChatGPT for PowerPointの入れ方|ホーム→アドイン→ChatGPTを検索

ChatGPT for PowerPointは、OpenAIが提供する、PowerPointの中のサイドバーで動くアドインです。公式ヘルプでは、編集できるスライドの構造を保ったまま、プレゼンテーションの作成・編集・理解・仕上げを手伝うものと説明されています。ソース資料からの初稿づくり、既存のデッキへのスライドの追加や修正、ストーリーについての質問、特定の聞き手に合わせた手直しに使うことが出来ます。PowerPointを開いたまま相談と修正を続けられるため、ChatGPTの画面と行き来する手間を省けます。

インストールの手順

入れ方は、Microsoft Marketplaceからアドインを追加する形になります。

  1. PowerPointを開き、[ホーム]タブに移動する
  2. [アドイン]を開き、ChatGPTを検索する
  3. 追加したら、リボンからChatGPTを開く
  4. アクセス権のあるChatGPTアカウントでサインインする

追加したアドインは、[ホーム]→[アドイン]→[+ その他のアドイン]→[アプリの管理]から確かめられます。会社のPCで[アドイン]の画面に「Office ストアは使用できません」と出た場合は、管理者がストアへのアクセスを止めているため、後半の管理者によるアクセス制御の節を見てください。なお、2026年9月17日のリリースノートでは、Wordでも同じMicrosoftのアドインを通じてChatGPTが使えるようになったと案内されています。

大きな編集は計画から先に出させる

大きな編集をする場合は、まず計画から頼むのが公式ヘルプの勧める使い方です。たとえば「編集する前に、どのスライドを変更するかと、その理由を示して」と頼めば、いきなり書き換えられる事態を避けることが出来ます。計画を読んで問題がなければそのまま進めてもらい、違う場合はその場で直しましょう。

重要な資料では、作業の前にファイルを複製しておくことも公式ヘルプが勧めている手順です。ChatGPTはスライドの編集や削除でも誤ることがあると明記されているため、元に戻せる状態で始めるのが前提になります。

サイドバーでの依頼は、1回に1つの目的に絞ると、どこが変わったかを追いやすいでしょう。スライドの追加、文章の言い換え、順番の入れ替えを一度に頼むと、確認の手間がかえって増えてしまいます。

Skillsで社内のハウススタイルをそろえる

Skillsは、ChatGPT for PowerPointで使える、繰り返し使える手順書のような機能です。ヘルプでは、ワークフロー、スタイルのルール、書式の期待値、出力の構造を組み込めるため、毎回同じプロンプトを作り直す必要がなくなると説明されています。呼び出すときは、サイドバーの[+]からSkillsを選ぶか、プロンプトの中で@を使います。

会社で使うなら、Skillsは社員が個々に作るより、ハウススタイルの担当者を決めて1つ用意し、全員が同じものを呼び出す運用が向いています。フォントと色、1枚あたりの文字数、数字に出典を付けるルール、社名や製品名の表記を書き込めば、誰が作っても体裁のそろった下書きが出てきやすくなるでしょう。表記や色のルールを変えたら、Skillsも同じ日に直す担当者を決めておきましょう。なお、Skillsを使えるかどうかは、プラン、ワークスペース、ロールアウトの状況によって異なるとされています。ChatGPT Workでも、pptxファイルなどを参照してテンプレートを作れますが、作ったテンプレートは個人用です。ワークスペースで共有するには、テンプレートをプラグインとしてまとめ、管理者に適切なロール向けに公開してもらう必要があります。

無料版でどこまでできるか|プラン別に使える範囲とクレジット

ChatGPT for PowerPointは無料版でも使えますが、使える量はプランで変わります。公式ヘルプによると、対象はFree、Go、Plus、Pro、Business、Enterprise、ChatGPT Edu、K-12のユーザーです。FreeとGoは利用量に制限があり、Plus、Pro、Businessはそのプランのエージェント機能の利用上限の範囲内で使う形になります。

料金は、ChatGPT for Excel/Sheetsと同じトークンベースの仕組みが適用されます。GPT-5.5を使う一般的なタスクでは、1メッセージあたり10〜50クレジットを消費する場合があると案内されています。Business、Enterprise、Eduでは、フレキシブル料金の適用が始まったあと、ワークスペースのクレジットプールから使った分が差し引かれる仕組みです。

この目安を、会社の使い方に当てはめてみましょう。1本の資料を作るのに、計画・作成・修正でサイドバーに20回ほど頼むとすると、公式の1メッセージあたりの目安(10〜50クレジット)で計算して200〜1,000クレジット程度になります。社員10名がそれぞれ月に4本作れば、月40本で8,000〜40,000クレジットの幅となってしまいます。スライドの枚数が多い資料や、何段階にも分けた編集、参照資料に基づく複雑な依頼は利用枠を多く消費するとされているため、幅の上側で見ておくと安心でしょう。

無料版で試す場合は、架空のメモや公開済みの資料だけを使い、会社の資料は読ませないようにしてください。有料の個人プランで試す場合も、会社の資料を読ませない点は同じです。法人プランの料金と契約の違いは、ChatGPT法人プランの料金で扱っています。

※対象プランと料金の仕組みは、2026年9月27日時点のOpenAI公式ヘルプ「ChatGPT for PowerPoint」の記載です。クレジットの消費量はタスクの内容で変わり、円での金額は公式に示されていないため換算していません。モデル名(GPT-5.5)は公式ヘルプの記載時点のものです。

構成案をChatGPTで作り、PowerPoint・Googleスライドに貼り込む手順

アドインを使えない環境でも、ChatGPTで構成案と本文を作り、PowerPointに貼り込む方法なら同じような下書きが作れます。手間は増えますが、どのプランのChatGPTでも使え、会社が認めた環境の中だけで完結させやすい方法です。

  1. 準備で決めた目的・読み手・枚数と、使ってよい材料をChatGPTに渡す
  2. スライドごとに「タイトル1行+箇条書き3つまで」の形で構成案を出させる
  3. 構成案を読み、順番と結論を人が直してから本文を書かせる
  4. 出てきた文を、PowerPointの[表示]→[アウトライン表示]に貼り付ける
  5. Tabキーで行を下げて箇条書きに、Shift+Tabで上げてタイトルにし、スライドを分ける
  6. デザインを社内テンプレートに合わせ、数字と固有名詞を元資料と照合する

アウトライン表示では、行の階層がそのままスライドのタイトルと箇条書きに分かれるため、1枚ずつ貼るより早く並べることが出来ます。見出しの行頭に記号や番号が付いたまま貼ると文字として残ってしまうため、ChatGPTには記号を付けずに出すよう指示すると手直しが減ります。

Googleスライドで仕上げる場合は、PowerPointで下書きを作ってからpptxファイルを読み込むか、スライドごとにテキストを貼る形が手早いでしょう。Google Workspaceを使っている会社なら、Googleスライドの中のGeminiで新しいスライドを作る方法もあります。どちらの場合も、貼り込んだ直後の資料は下書きとして扱い、次の節のプロンプトで磨いていきましょう。

スライド作成のプロンプト例|構成案・経営層向けの要約・改善依頼

プロンプトは、目的・読み手・枚数・使ってよい材料・出力の形の5つを毎回そろえて書くのが基本です。公式ヘルプにも、メモとKPIから10枚の取締役会向けアップデートを作る、市場概要の後にリスクのスライドを足す、デッキを経営層向けに引き締める、といった例が並んでいます。以下はそれを社内の資料づくりに合わせて書き直したひな形で、角かっこの部分を差し替えて使ってみてください。

構成案を作るプロンプト

あなたは社内向けの資料づくりを手伝う担当者です。
次の条件で、PowerPointの構成案を作ってください。

・目的:[例:営業支援ツールの試験導入の稟議を通す]
・読み手:[例:社長と管理部長。費用と効果で判断する]
・枚数:表紙とまとめを除いて[6]枚まで
・材料:以下のメモだけを使い、書かれていない数字は作らない
・出力:スライドごとに「タイトル(1行)」と「箇条書き(3つまで)」
・タイトルは、そのスライドの結論を1文で書く
・行頭に記号や番号を付けない

[メモを貼る]

経営層向けに要約するプロンプト

このデッキを、社長が3分で判断できる形に引き締めてください。

・冒頭に、結論とお願いしたい判断を1枚で置く
・費用、効果、リスク、次の一手の順に並べ替える
・数字は元の資料にあるものだけを使い、出典のスライド番号を残す
・削ったスライドは、付録として最後にまとめる

改善を頼むプロンプト

編集する前に、どのスライドをどう変えるかと、その理由を一覧で示してください。
私が承認してから編集を始めてください。

・1枚に言いたいことが2つ以上あるスライドを分ける
・文字の多いスライドは、箇条書きを3つまでに減らす
・「〜の推進」「〜の最適化」のような抽象的な見出しを、具体的な結論に直す
・同じ語尾が続く箇所を直す

改善の依頼では、1回に頼む項目を3〜4つに絞ると、どこが変わったのかを確かめやすくなります。社内の標準の言い回しや表記を毎回書くのが手間なら、前の節で触れたSkillsにまとめておくのも1つの手です。プロンプトの基本の型は、ChatGPTのプロンプトの書き方でも扱っています。

機密情報を入れない判断と、入力データの学習利用

社外秘の資料をChatGPTに読ませてよいかは、サインインしているアカウントのプランと設定で決まります。ChatGPT for PowerPointのヘルプには、ChatGPTがプロンプトや、利用できるようにしたプレゼンテーションの内容、添付ファイルを処理し、データの扱いにはChatGPTのプランとワークスペース設定、PowerPointアドインに関するMicrosoftの規約が適用されると書かれています。Microsoftのアドインの利用規約の一環として、MicrosoftがPowerPointファイルの内容を読み取れる場合がある点も、同じヘルプに載っている注意点です。アドインを使わず、ChatGPT本体に資料を貼り付ける場合も、学習の扱いはサインインしたアカウントのプランと設定で決まります。

プラン別の学習利用

OpenAIのヘルプによると、個人向けのサービスでは、入力した内容がモデルのトレーニングに使われることがあります。プランごとの違いを表にまとめました。

使うアカウント入力が学習に使われるか(既定)変える方法・注意
個人向け(Free・Go・Plus・Pro)使われることがある設定>データ管理の[すべての人のためにモデルを改善する]をオフにするか、プライバシーポータルで[私のコンテンツでトレーニングしない]を選ぶ。フィードバックを送ると、関連する会話全体が使われることがある
個人向けの一時チャット一時チャットである間は使われない会話ごとに切り替えるため、使うかどうかが社員任せになる
法人向け(Business・Enterprise・Edu)既定では使われない会社がワークスペースを管理し、ChatGPT for PowerPointを有効にするかも管理者が決める

個人向けのアカウントでは、学習をオフにしていても、フィードバックを送ると会話全体が学習に使われることがあります。社員が気軽に押す高評価・低評価のボタンも、会社の資料を渡す操作になり得ると伝えておいてください。学習をオフにする手順は、ChatGPTに学習させない設定で詳しく扱っています。

社外秘資料を読ませる前の判断表

資料の区分と使う環境の組み合わせで、読ませてよいかを先に決めると、現場の迷いが減ります。

資料の区分個人アカウント会社契約の環境読ませる前に確かめること
公開済み(会社案内、プレスリリース、公開中の製品資料)○○古い版の数字が混ざっていないか
社内限り(会議資料、社内手順、未公表の計画)×○社内ルールで入力してよい区分になっているか
取引先・顧客から預かった資料(提案依頼書、秘密保持契約の対象)×△契約で目的外の利用や第三者への提供が制限されていないか
個人情報(顧客や社員の氏名、連絡先、評価)×△利用目的の範囲内か、氏名を伏せても資料が作れないか
未公表の決算・M&A・人事などの重要情報××(原則入れない)数字や名前は人がスライドに直接入れる

表の会社契約の環境とは、学習に使わない扱いを公式の記載と設定で確かめたうえで、会社がアカウントを管理している場合を指しています。顧客から預かった資料は、学習の有無とは別に、秘密保持契約で第三者への提供がどう決められているかも見る必要があるでしょう。個人情報については、個人情報保護委員会が令和5年6月2日の注意喚起で、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。区分に迷う資料は、1つ厳しい側の区分として扱うと判断がぶれません。

※学習利用の扱いは、2026年9月27日時点のOpenAI公式ヘルプ(お客様のデータがモデルの性能向上にどう使われるか)の記載です。表の○×は記事としての判断の目安で、最終的には自社の規程と契約で決めてください。

会社のPCに個人アカウントでサインインする問題

会社のPowerPointに社員が個人のChatGPTでサインインすると、会社の資料が個人の契約のもとで処理されてしまいます。学習の設定も会話の履歴も、サインインしたアカウントの側で決まるため、会社からは中身が見えません。退職した社員の個人アカウントに、在職中に読ませた資料とのやり取りが残り続けることも起こり得ます。

公式ヘルプのインストール手順の最後は、アクセス権のあるChatGPTアカウントでのサインインとなっており、どのアカウントを使うかは社員に任されています。ChatGPT for PowerPointは無料版でも使えるため、会社が何も決めていなければ、個人のFreeやPlusのまま使い始める社員が出てくるのは自然な流れでしょう。このように会社が把握していないAIの利用は野良AI(シャドーAI)と呼ばれ、会社の資料が管理の外に出る入口になります。

実際に困るのは、問題が起きたあとの確認です。個人アカウントで読ませた資料は、会社の管理画面から利用の記録をたどれません。どの資料をいつ誰が読ませたのかが分からないと、取引先から問い合わせを受けたときに、影響の範囲を説明できなくなってしまいます。なお、会社で契約したChatGPT Businessでも、管理者がメンバーの通常のプライベートな会話に自動的にアクセスできるようになるわけではないとされています。Compliance Platformは、構成と管理者が割り当てた権限に応じて、対象となるEnterpriseとEduのワークスペースでのみ利用できます。しかもMicrosoft 365の既定では社員が自分でアドインを追加できるため、情シスが知らないうちにアドインが入っている可能性もあります。

会社として取れる手は、大きく分けて次の3つです。

  • 会社で契約した法人プランのアカウントだけでサインインするよう決め、個人アカウントでのサインインを禁止する
  • Microsoft 365の設定で、社員が自分でアドインを追加できないようにし、使わせる人にだけ管理者が配る
  • アドイン自体は許可せず、会社が管理する別の環境で下書きを作ってからPowerPointに貼る

どれを選ぶかは、会社の規模と、資料にどこまで社外秘が含まれるかで変わってきます。少なくとも、会社の資料を個人アカウントのAIに読ませないという一文だけは、今日のうちに社内へ伝えましょう。口頭で伝えるだけでなく、社内のチャットや掲示板に文字で残しておくと、あとから確かめる時の根拠にもなります。

個人アカウントのAIを、会社で管理する環境へ

社員それぞれの個人アカウントで資料を作る状態から、会社で管理する1つの環境へまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

VBAマクロをChatGPTに書かせてスライドを一括生成する方法

VBAは、PowerPointなどのOffice製品に組み込まれた、作業を自動化するためのプログラム言語です。ChatGPTに、見出しの一覧から1枚ずつスライドを作るマクロを書いてほしいと頼めば、同じ形のスライドを大量に並べるコードを書かせることが出来ます。毎月の報告会で、拠点ごとに同じ形のスライドを10枚以上作るような場面では、手作業より早く終わることがあります。

手順

  1. ChatGPTに、作りたいスライドの形(レイアウト、タイトル、本文)とデータの並びを伝えてマクロを書かせる
  2. PowerPointで[開発]タブを表示し、Visual Basic Editorを開く([開発]タブが出ていない場合は、[ファイル]→[オプション]→[リボンのユーザー設定]で[開発]にチェックを入れる)
  3. 標準モジュールを追加して、コードを貼り付ける
  4. 複製したファイルで実行し、できたスライドを確かめる
  5. マクロを残して保存する場合は、マクロを含む形式(.pptm)を選ぶ

参考として、短い例を載せておきます。

Sub AddSlidesFromFirstSlide()
    Dim src As TextRange, sld As Slide, i As Long, t As String
    Set src = ActivePresentation.Slides(1).Shapes(2).TextFrame.TextRange
    For i = 1 To src.Paragraphs.Count
        t = Trim(Replace(src.Paragraphs(i).Text, vbCr, vbNullString))
        If Len(t) > 0 Then
            Set sld = ActivePresentation.Slides.Add( _
                ActivePresentation.Slides.Count + 1, ppLayoutText)
            sld.Shapes(1).TextFrame.TextRange.Text = t
        End If
    Next i
End Sub

この例は、1枚目のスライドの本文の枠に見出しを1行ずつ書いておくと、その行の数だけタイトルと本文のレイアウトのスライドを末尾に足すものです。空の行は飛ばしますが、2回実行すると同じスライドが重複して足されるため、実行は1回にとどめましょう。ChatGPTが出した見出しの一覧を1枚目に貼ってから動かす、という使い方を想定しています。実際の動きはPowerPointの版や設定、テンプレートの作りで変わることがあるため、そのまま動く保証はなく、必ず複製したファイルで試してください。

注意したいのは、会社によってはマクロの実行をセキュリティ上の理由で制限している点です。社員が自分の判断でマクロを有効にする運用は、情シスの方針と合わない場合があります。ChatGPTが書いたコードを会社のPCで動かす前に、マクロを使ってよいかを情シスに確かめましょう。表や数字を多く扱う定型資料なら、PowerPointのVBAより、Excelで集計してからスライドに貼る流れの方が点検しやすいこともあります。

pptxファイルを直接出力する方法と、出力できない理由

PowerPointのファイルとして仕上げたいなら、PowerPointの中でChatGPT for PowerPointに作らせ、そのまま保存するのが手戻りの少ない方法です。完成した成果物づくりを担うChatGPT Workもプレゼンテーションを作成・編集でき、出力形式とファイルを作る場所を指定して頼む形になります。ただし公式ヘルプでは、利用可否はプラン、ワークスペース設定、ファイルの種類、利用環境によって異なるとされ、リリース時点ではWorkのデスクトップの流れにPowerPointは含まれないと書かれています。関連するGoogle Workspaceのアプリが有効なら、ネイティブのGoogleスライドにも対応します。

以前よく紹介されていた、エージェントモードやデータ分析の機能でpptxを出力させる手順は、そのままでは再現できないことがあります。OpenAIのヘルプでは、ChatGPTエージェントは利用できなくなり、複数ステップのタスクや完成した成果物の作成にはChatGPT Workを使うよう案内されています。チャットの回答の中のコードブロックではPythonのコードを実行できる場合があり、python-pptxのような一般的なライブラリでファイルを作らせる方法が紹介されることもありますが、使えるかどうかはプランやワークスペースの設定で変わってしまいます。

出力できないときに確かめること

pptxで出力してほしいと頼んでもファイルが出てこない場合は、次の点を確かめてみてください。

  • 使っているプランや画面、利用環境で、WorkやPythonの実行が使えるか
  • 会社のワークスペースで、管理者がコードの実行を使えないようにしていないか
  • 終了したエージェントモードや、使えるモデルが限られたcanvasを前提にした手順をまねていないか
  • 1回で作る枚数が多すぎて、途中で止まっていないか

canvasについては、2026年5月28日のリリースノートで、GPT-5.5 InstantとGPT-5.5 Thinkingでは使えなくなり、文章とコードはチャットの回答の中のライティングブロックとコードブロックで扱う形に変わったと告知されました。ファイルの形にこだわらないなら、アドインでPowerPointの中に直接作る方が、書式の崩れを直す手間は少ないでしょう。ほかのAIでは、ClaudeもPowerPointのファイルを作れると公式ヘルプで案内しており、用途に応じて複数のAIを使い分ける会社もあります。

画像生成・SVG・HTMLで見た目を作る方法

見た目の凝った1枚を作りたいときは、画像やSVG、HTMLを経由させる方法も紹介されています。画像生成で作ったスライド風の画像は、文字や配置をあとから直せないため、表紙や挿絵に使う程度にとどめるのが無難です。SVGは線や図形を数値で表す画像の形式で、PowerPointに挿入すると図形に変換して編集できる場合があり、図解づくりに向いています。ChatGPTのコードブロックでは、HTMLのページやSVG、Mermaidの図をプレビューできると公式ヘルプに書かれているため、図の下書きを画面で確かめてから取り込むことが出来ます。Markdownで書いた文章からスライドを作るMarpのようなツールと組み合わせる方法もあり、エンジニアのいる会社では選択肢になります。

どの方法でも、画像に焼き込まれた文字は検索や修正ができず、社名や数字の誤りを見落としやすくなってしまいます。社外に出す資料では、文字は画像にせず、PowerPointのテキストとして入れ直しておきましょう。

GPTs・Copilot・Gemini・Canva・Gammaとの組み合わせと比較

ChatGPT以外の資料作成ツールは、会社がすでに使っているアプリに合わせて選ぶのが現実的です。ここでは要点だけを並べ、ツールごとの詳しい比較はAIで資料作成するやり方に譲ります。

  • PowerPointの中のMicrosoft Copilot(旧Microsoft 365 Copilot):プロンプトやファイルの参照からスライドを作成できる。PowerPointの中のCopilotを使うには、有償のMicrosoft Copilotライセンスが前提になる
  • Googleスライドの中のGemini:新しいスライドの生成、画像の生成、要約、ドライブ内のファイルを参照したスライド作成ができる。対象のGoogle WorkspaceプランかGoogle AIプランが必要
  • Canva:テーマや文章から、スライドの構成・文章・デザインを自動生成し、PowerPointで開けるPPTX形式でダウンロードできる
  • Gamma:無料の新規ユーザーには登録時に400クレジットが付く。個人のワークスペースは既定でデータがAI機能の改善に使われる設定で、TeamとBusinessのワークスペースは学習から自動で除外される
  • GPTs:スライド作成向けのカスタムGPTも公開されているが、OpenAIはカスタムGPTを終了してプラグインへ移す計画を2026年9月11日に告知している

Copilotとの違いで押さえたいのは、ChatGPT for PowerPointを使うと、PowerPointを提供するMicrosoftと、ChatGPTを提供するOpenAIの2社の規約が関わる点です。Microsoft Copilotを契約済みの会社がChatGPTのアドインも許可すると、似た役割のAIに二重で費用を払う形にもなりかねません。どちらを会社の標準にするかを決め、もう一方は必要な部署に限って許可すると整理しやすいでしょう。Copilotの中身はMicrosoft Copilotの解説で扱っています。

品質を上げる仕上げ|1スライド1メッセージ・文字量・表記の統一

AIが出した下書きは、1スライド1メッセージ・文字量・表記の3点を人が直すと、ぐっと読みやすくなります。まず各スライドのタイトルを読み、そのスライドで言いたい結論が1文で書かれているかを確かめてください。タイトルだけを順に読んで話がつながれば、構成はできていると考えてよいでしょう。

文字量は、本文の箇条書きを3つまで、1行を画面の横幅に収まる長さまでに抑えるのが目安です。AIは説明を足しがちで、1枚に長い文が何行も並ぶことも珍しくありません。削った説明は発表者のノートに移すと、話す内容を残したまま画面をすっきりさせることが出来ます。

表記は、社名・製品名・数字の書き方・語尾の4つをそろえます。全角と半角の混在や、です・ます調とだ・である調の混在は、AIが作ったものだと気づかれやすい部分でもあります。デザインは社内の標準テンプレートに流し込み、色とフォントは手で合わせるのが確実でしょう。仕上げの点検には、次のリストを使ってみてください。

  • タイトルだけで話がつながるか各スライドのタイトルを順に読み、結論の流れが伝わるかを確かめます。
  • 1枚に言いたいことは1つか2つ以上あるスライドは分けるか、片方を付録に回します。
  • 箇条書きは3つまでか説明の文は発表者のノートに移し、画面には要点だけを残します。
  • 社名・製品名・数字の書き方がそろっているか全角と半角、単位、桁区切りのカンマを社内の決まりに合わせます。
  • 色とフォントがテンプレートどおりかAIが足した装飾は、社内の標準に戻します。

できないこと・制限|テンプレート準拠・複雑な書式・グラフ

ChatGPT for PowerPointにも、公式ヘルプが認めている制限があります。1つはテンプレートへの準拠で、作成や編集をしたスライドが希望するスタイルに常に完全に一致するとは限らないとされています。もう1つは高度な編集で、一部のグラフ、図形、書式設定、スライド管理の機能は、制限されているかまだ開発中の場合があるという説明です。

実際の使い方としては、文章の組み立てと並べ替えをAIに任せ、グラフの数値、図形の細かな位置、フォントの調整は人が仕上げる分担が向いています。グラフは元のExcelで作ってから貼り、AIにはそのグラフから言えることをタイトルにしてもらう形にすると、数値の取り違えを防ぎやすくなります。社内テンプレートに厳密に合わせる資料ほど、最後の仕上げは人の手で整えると考えておきましょう。社内で使う端末とPowerPointの版で、動きに差がないかも先に試してください。

出力の正確性を確かめる|数値と固有名詞は元資料と照合する

AIが作った資料は、もっともらしい誤り(ハルシネーション)が混ざる前提で、数値と固有名詞を元資料と1つずつ照合します。公式ヘルプも、ChatGPTは内容の編集や削除を含めて誤ることがあり、共有したり信頼したりする前に出力を確認するよう求めています。とくに気をつけたいのは、メモにない数字をAIが補ってしまうケースです。

照合は、作った本人とは別の1名が行うと見落としが減ります。数字・日付・社名と人名・出典の4つに絞って、元の資料のページと突き合わせてみてください。プロンプトで、数字には出典のスライド番号やファイル名を添えるよう頼んでおけば、照合の時間を短く出来ます。

AIの誤編集に備える|作業前の複製と、バージョン履歴での戻し方

サイドバーから既存の資料を直させるときは、誤った削除や上書きに備えて、戻れる状態を2つ用意しておきます。1つは、公式ヘルプが勧める作業前のファイルの複製です。もう1つとして、OneDriveやSharePointに保存したファイルなら、バージョン履歴から以前の版に戻せる仕組みがあります。画面の名前や操作は契約や版で違うことがあるため、手順は情シスが自社の画面で一度確かめ、社内の手順書に載せておきましょう。

重要な資料は、AIに直させる前に複製を保存し、直したあとは前の版と見比べてから回すことが大切です。社内のルールとしては、この2つを決めておけば十分でしょう。ローカルのPCだけに保存している資料は履歴で戻せない場合があるため、AIで直す資料はクラウドに置く運用も合わせて考えてください。

生成物と入力資料の著作権|文化庁の考え方と顧客資料の扱い

AIで作った資料が既存の作品に似ていた場合の考え方は、文化庁(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)が参考になります。文化庁の概要資料では、生成物に既存の著作物との類似性と依拠性が認められ、権利制限規定の対象外である場合は、著作権侵害になると整理されています。なお、この考え方自体は法的な拘束力を持つものではないと明記されている点にも注意してください。

パワポづくりで気をつけたいのは、生成物よりも入力する側の資料です。他社が作った提案書や、顧客から預かった資料をそのまま読ませてスライドに作り直すと、元の資料の表現を写し取った資料になりかねません。文化庁の考え方では、既存の著作物そのものを入力する場合が、依拠性が認められる例として挙げられています。他社や顧客の資料は、権利と契約を確かめるまで、作り直しの材料としてAIに読ませないでください。

秘密保持契約を結んだ相手の資料は、著作権とは別に、契約上の目的外の利用や第三者への提供に当たらないかも確かめる必要があります。詳しい考え方は、生成AIと著作権で扱っています。

ChatGPTでパワポを作るメリット・デメリット

メリットは、白紙から作る時間を減らせることと、構成を何度でも組み替えられることです。パーソル総合研究所の「生成AIとはたらき方に関する実態調査」(2026年2月3日発表、調査時期は2025年10月、本調査は正規雇用者3,000人)では、生成AIを使ったときの所要時間が平均16.7%(週26.4分)短くなったという、回答者の自己申告による結果が出ています。用途別に見ると、文書・資料の作成と編集は週35.1分とされ、これも自己申告の値でした。ほかにも、読み手を変えた版を短時間で作れることや、英語版の下書きを作れることも利点になります。

  • 白紙から構成案を作る時間が短くなる
  • 経営層向け・現場向けなど、読み手別の版を作りやすい
  • アドインなら、編集できるスライドのまま直しを頼める

デメリットは、見た目の仕上げと事実の確認が人の手に残ることです。デザインがテンプレートに合いきらない、数字が元資料とずれる、どの資料も同じような言い回しになる、といった点は、どの方法でも起こり得ます。会社として見ると、社員が個人アカウントで使えば情報の管理が効かなくなるという、使う人の目線では見えにくい弱点も加わってしまいます。

  • テンプレートへの準拠や細かな書式は、人が仕上げる必要がある
  • 数字や固有名詞の誤りが混ざることがある
  • アカウントの扱いを決めないと、社外秘が個人の契約に流れる

管理者によるアクセス制御|Microsoft 365とChatGPTの2か所で決める

会社で許可するかどうかは、Microsoft 365の管理センターと、ChatGPTのワークスペースの2か所で決めます。Microsoft 365の既定では、社員が自分でアドインを追加できる設定になっているため、何もしなければ誰でもChatGPTのアドインを入れられる状態です。

Microsoft 365で社員によるアドインの追加を許可制にする

設定は、Microsoft 365管理センターの[設定]→[組織の設定]→[サービス]→[ユーザー所有のアプリとサービス]にあります。ここにある[ユーザーが Office ストアにアクセスできるようにする]が既定の設定で、オフにすると社員はMicrosoft Marketplaceからアドインを取得できなくなります。オフにした状態で社員がストアを開くと、「Office ストアは使用できません」という案内と、管理者に問い合わせるよう促す文が表示されます。

ストアを止めたうえで使わせたい人がいる場合は、管理者がアドインを展開して、対象のユーザーやグループに割り当てます。ChatGPT for PowerPointのヘルプでは、管理センターの[統合アプリ]→[アドインの展開]→[カスタム アプリをアップロード]からマニフェストファイルを上げ、適切なユーザーまたはグループに割り当てる手順が案内されています。展開したあとに使う人を増やしたり外したりするときは、[統合アプリ]で展開済みのアドインを選び、[ユーザー]の[割り当てられたユーザー]を変えて[更新]を押す流れです。

注意点として、Microsoft Marketplaceへのアクセスの設定は、Outlookのアドインには適用されません。個人のMicrosoftアカウントでストアにサインインさせたくない場合は、サインインを組織アカウントに限る設定も合わせて必要になります。既定のままでは誰でもアドインを追加できるため、まず許可制にするかどうかを決めましょう。

ChatGPTのワークスペースで有効にする範囲を決める

法人プランを契約している場合は、ChatGPT側でも管理者が使える範囲を決めます。公式ヘルプには、管理者はワークスペース設定でChatGPT for PowerPointを有効にでき、管理者ポータルでアプリを有効にし、対応している場合は個別のアプリへのアクセスを制御できると書かれています。Microsoft側で配る人を絞り、ChatGPT側で会社のアカウントだけに限れば、個人アカウントでの利用と区別しやすくなるでしょう。

「ChatGPTボタンが出ない」「Office ストアは使用できません」と表示されたときの切り分け

社員から、ChatGPTのボタンが出ないと相談されたときは、表示されている文言から原因を絞り込むと早く片付きます。

  • [アドイン]に「Office ストアは使用できません」と出る:管理者がストアへのアクセスを止めている。使わせる場合は、管理者がアドインを展開して割り当てる
  • 管理者が展開したのにリボンに出ない:割り当てたユーザーやグループに本人が含まれているかを[統合アプリ]で確かめる。ロールベースのアクセス制御(RBAC)を使う組織では、管理者がアドインを有効にする必要がある場合がある
  • サイドバーは開くが会社のアカウントで使えない:ワークスペースの管理者がChatGPT for PowerPointを有効にしているかを確かめる
  • 途中で使えなくなる:FreeとGoの利用量の制限や、有料プランのエージェント機能の利用上限に達している可能性がある
  • シングルサインオン(SSO)の途中でエラーが出る:ChatGPT for PowerPointのヘルプのFAQにも、ExcelのOfficeアドインでSSO中に「add-in could not be started」と出る場合の項目がある。ChatGPT for Excelのヘルプでは、古いSSOコールバックURLが原因になる場合があり、テナントのグローバル管理者がOpenAI 管理者ポータルの[ID]→[SSO]→[SSO の管理]からACS URLを取得し、IDプロバイダー側のOpenAIのアプリを更新する対処が案内されている

本人の画面で追加済みのアドインを確かめるときは、[ホーム]→[アドイン]→[+ その他のアドイン]→[アプリの管理]を開いてもらいましょう。問い合わせが続くようなら、この切り分けを社内のよくある質問に載せておくと、情シスの手間を減らすことが出来ます。

社内ルールの文例と、AIで作ったと「バレる」への会社の答え

会社として許可するなら、利用ルールにパワポづくりの条項を数行足すと、社員が迷わずに使えます。次の文例は、社員10〜200名の会社を想定したひな形です。

第◯条(資料作成でのAIの利用)
1. 資料作成にAIを使うときは、会社が契約したアカウントでサインインする。個人アカウントで会社の資料を読ませてはならない。
2. 取引先・顧客から預かった資料、個人情報、未公表の重要情報は、所属長の許可なくAIに入力しない。
3. AIで既存の資料を編集するときは、事前に複製を保存する。
4. 社外に出す資料は、作成者以外の1名が数字・固有名詞・出典を元資料と照合してから提出する。
5. 社外に出す資料にAIを使ったことを記載するかは、提出先の求めに従う。求めがない場合も、作成者・使ったAI・確認者を社内の記録に残す。

ChatGPTで作ったパワポはバレるのか、と気にする方もいらっしゃいます。会社としての答えは、隠すことではなく、AIを使ったうえで人が中身に責任を持つ体制をつくることになるでしょう。提出先がAIの利用の開示を求めている場合は、その求めに従うことが前提です。そのうえで、AIらしさが出やすい箇所を点検すると、読み手の違和感を減らすことが出来ます。

  • 見出しが抽象的になっていないか「〜の推進」「〜の最適化」のような見出しが並んでいたら、具体的な結論に直します。
  • 同じ語尾が続いていないか箇条書きの末尾がすべて同じ形になっていないかを見ます。
  • 根拠のない数字が入っていないか出典のない割合や、メモになかった数字は削るか、元資料で確かめます。
  • 社名・製品名が正式な表記か略称や英字の大文字・小文字が、社内の決まりと一致しているかを確かめます。
  • 画像に崩れた文字がないか画像生成で作った図に、読めない文字や実在しない社名が入っていないかを見ます。

見た目でAIっぽいと思われやすい5つの点

文章を直しても、スライドの見た目でAIを使ったと気づかれることがあります。AIに任せたままの資料には、次のような傾向が出やすくなります。

  • 全ページが同じレイアウト:タイトルと箇条書き3つの形が最後まで続くと、話の山場がどこか伝わりにくくなります。
  • アイコンの置きすぎ:箇条書きの1行ごとに小さなアイコンが付いていると、意味より飾りが目立ってしまいます。
  • どこかで見た配色:青から紫へのグラデーションや、彩度の高い色が全体に使われていると、AIツールで作った資料のように見えがちです。
  • 内容と関係のない画像:握手する人物や光るネットワーク図のような画像は、何を伝えたいのかがぼやけます。
  • タイトルの形がそろいすぎ:すべてのタイトルが「〜とは」「〜のポイント」のような同じ型だと、機械的な印象を与えやすいところがあります。

直し方は、足すより減らすほうが効きます。一番伝えたいスライドだけ図や大きな数字で見せ、残りは社内テンプレートに流し込んで、色とフォントを標準に戻してみてください。画像は自社の写真や実際の画面に差し替えると、資料に具体性が出てきます。

AIの判定ツールで、パワポのAI利用は見抜けるのか

文章がAIで書かれたかを判定するツールはいくつも出ていますが、判定の結果をそのまま信じるのは避けたほうがよいでしょう。ChatGPTを提供するOpenAI自身も、2023年1月に公開したAI文章の判定ツールを、精度の低さを理由に同年7月20日で提供終了にしています。

スライドは1枚あたりの文字が少ないため、文章よりもさらに判定の手がかりが限られます。会社として気にしたいのは、ツールで見抜かれるかどうかより、数字や固有名詞に誤りがないか、読み手が中身に納得できるかという点です。社外に出す前の照合は、出力の正確性を確かめるの手順が役に立ちます。

小さく試してから全社に広げる

全社で許可する前に、3〜5名で2週間ほど試してみてください。記録するのは、1本あたりの作成時間、手直しにかかった時間、AIに読ませた資料の区分の3つで十分です。結果を見てからアドインを配る範囲とSkillsに入れるハウススタイルを決めると、全社に広げたあとの混乱を抑えられます。ルール全体のひな形は生成AIの社内ガイドライン、導入前の点検はAIセキュリティチェックリストを参考にしましょう。

まとめ

ChatGPTでパワポを作るなら、いまは公式アドインのChatGPT for PowerPointで下書きを作り、仕上げと事実の確認を人が担う形が基本になります。一方で会社として使うには、どのアカウントでサインインさせるか、Microsoft 365でアドインの追加を誰に許すか、どの資料なら読ませてよいかの3つを先に決める必要があります。まずは今日、Microsoft 365管理センターの[ユーザーが Office ストアにアクセスできるようにする]がどうなっているかを確かめてみましょう。

社員それぞれのAIから、会社で管理する1つの環境へ

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです。パワポ・Word・Excelを画面で確認できるOfficeプレビューと画像・PDF生成に対応し、よく使う指示と手順をBOTにして社内限定で共有できるカスタムプラスも使えます。管理者ダッシュボードでは、利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。

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よくある質問

ChatGPTでパワポを作ってもらうには?
PowerPointに公式アドインのChatGPT for PowerPointを追加し、サイドバーで、このメモを5枚のスライドにしてほしい、のように頼むのが手早い方法です。[ホーム]→[アドイン]でChatGPTを検索して追加し、ChatGPTのアカウントでサインインします。アドインを使えない場合は、ChatGPTで構成案と本文を作り、PowerPointのアウトライン表示に貼り込む方法でも下書きを作れます。会社の資料を扱うときは、会社が契約したアカウントを使ってください。
ChatGPTでパワポ出力できないのはなぜですか?
使っているプランや画面でファイルを作る機能が使えない、会社のワークスペースでコードの実行が止められている、以前のエージェントモードやcanvasを前提にした手順をまねている、といった原因が考えられます。OpenAIのヘルプでは、ChatGPTエージェントは利用できなくなり、完成した成果物の作成にはChatGPT Workを使うよう案内されています。pptxファイルにこだわらない場合は、PowerPointの中で動くChatGPT for PowerPointを使うと、編集できるスライドのまま作れます。
ChatGPT for PowerPointの料金はいくらですか?
公式ヘルプでは、FreeとGoは利用量に制限があり、Plus、Pro、Businessはプランのエージェント機能の利用上限の範囲内で使えると案内されています。ChatGPT for Excel/Sheetsと同じトークンベースの料金が適用され、GPT-5.5を使う一般的なタスクでは、1メッセージあたり10〜50クレジットを消費する場合があります。Business、Enterprise、Eduでは、フレキシブル料金の適用開始後、ワークスペースのクレジットプールから消費されます(2026年9月27日時点の公式ヘルプの記載)。
ChatGPTのパワポ作成はしょぼいですか?
見た目の完成度だけで比べると、デザインが社内テンプレートに合いきらない、グラフや図形の細かな編集が難しいといった弱点があり、公式ヘルプもテンプレートへの準拠や高度な編集に制限があると認めています。一方で、構成案づくりや読み手に合わせた書き直しは短時間で進められます。文章と構成をAIに任せ、デザインと数字の確認を人が仕上げる分担にすると、実用的な資料になります。
会社のPCで社員がChatGPTのアドインを入れるのを止められますか?
止められます。Microsoft 365管理センターの[設定]→[組織の設定]→[サービス]→[ユーザー所有のアプリとサービス]にある[ユーザーが Office ストアにアクセスできるようにする]は既定の設定で、オフにすると社員はMicrosoft Marketplaceからアドインを取得できなくなります。使わせたい人には、管理者が[統合アプリ]からアドインを展開し、ユーザーやグループに割り当てます。
ChatGPTで作ったパワポはバレますか?
抽象的な見出し、同じ語尾の繰り返し、根拠のない数字などから、AIを使ったと気づかれることはあります。会社としては隠すより、作成者以外の1名が数字・固有名詞・出典を元資料と照合し、提出先がAI利用の開示を求めている場合はそれに従う運用を決めておくことをおすすめします。
AIの判定ツールで、ChatGPTで作ったパワポは見抜かれますか?
判定ツールの結果だけで、AIを使ったかどうかを確かに見分けることは難しいと考えられます。OpenAIは2023年1月に公開したAI文章の判定ツールを、精度の低さを理由に同年7月20日で提供終了にしました。スライドは文字が少なく、判定の手がかりはさらに限られます。会社としては、見抜かれるかどうかより、数字・固有名詞・出典を元資料と照合する運用を決めておくことが大切です。