
Claude Mythos(クロード・ミュトス)とは、Anthropicがサイバーセキュリティと生物学の研究向けに開発した最上位クラスのAIモデルで、審査を通った一部の組織にだけ提供されているものです。結論から書くと、社員10〜200名の会社がこのモデルそのものを使う場面は当面ありません。それでも無関係ではなく、脆弱性が短期間に大量に見つかる前提でパッチ適用と資産の把握を整えておくこと、そして最新のAIが話題になるほど増える社員の個人利用に対して、公認の環境を先に用意しておくこと。この2つが実務の宿題になります。この記事では、公式ページと日本の公的資料の原文で確認できることだけを使い、何が起きているのかと、自社で何をすればよいのかを順に整理します。
※この記事に書いた提供条件・料金・データの扱いは、2026年9月16日時点でAnthropicの公式ページおよびClaude公式ドキュメント(日本語)に記載されている内容です。日本の動向は、14の府省庁・部局が連名で公表した政府の対策パッケージと、金融庁・日本銀行の要請の原文を参照しています。解説記事や報道が伝えている内容は、公式ページで確認できるものと区別して書いています。
Claude Mythos(クロード・ミュトス)とは何か|Mythos Previewが2026年4月7日に公表された
Claude Mythosは、Anthropicがサイバーセキュリティと生物学の研究向けに提供している最上位クラスのモデルで、一般には公開されていません。公式ページの見出しには、サイバーセキュリティと生物学の研究のための最も高性能なモデルである、という趣旨の説明が置かれています。ふだん使っているChatGPTやClaudeのように、申し込めば誰でも画面から呼び出せるものではない、という点がほかのモデルと決定的に違います。
公表日は2026年4月7日です。これは解説記事からの引用ではなく、日本の政府文書で確認できます。14の府省庁・部局が連名で2026年5月18日に公表した「AI性能の高度化を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について ~Project YATA-Shield~」には、本年4月7日に米国Anthropic社が公表したClaude Mythos Previewを始めとするフロンティアAIモデルによる、脆弱性の発見・修正等のサイバーセキュリティ性能の急速な向上に備えて、という一文が記載されています。日付の裏付けが公的資料にあるという点で、この話題は単なる海外の製品ニュースの域を越えています。
読み方は、日本語の解説記事ではクロード・ミュトスと表記されることが多くなっています。mythosは英語で神話や神話体系を指す語ですが、命名の由来についての説明は公式ページには置かれていません。名前から中身を推し量ろうとすると誤解しやすいので、以下では公式ページと公式ドキュメントに書かれている仕様だけを追いかけます。
フロンティアAIという言葉も、この話題では頻繁に出てきます。厳密な定義のある用語ではありませんが、日本の公的資料では、その時点で最先端にある大規模なAIモデルを指す意味で使われています。金融庁・日本銀行が2026年5月22日に出した要請の本文でも、いわゆるフロンティアAI、という書き方で登場します。
Claude Mythos Preview・Mythos 5・Mythos 5.1|3つの世代の違い
Claude Mythosには、2026年9月時点で3つの世代があります。解説記事を読むときに混乱しやすいのは、記事が書かれた時期によって、扱っている世代が違うためです。世代を意識せずに数字だけを拾うと、実態と合わない情報を社内に持ち込むことになります。
| 世代 | 時期 | 公式ページ・公式ドキュメントで確認できること |
|---|---|---|
| Claude Mythos Preview | 2026年4月7日 | Project Glasswingの発表とあわせて公表された、一般提供されていない汎用のフロンティアモデルである、と記載 |
| Claude Mythos 5 | 2026年6月9日 | Mythos Previewの最新の更新として案内。公式ドキュメント(日本語)はモデルIDのclaude-mythos-5を、Claude Mythos Previewの後継と説明 |
| Claude Mythos 5.1 | 2026年9月1日 | お知らせ欄に、提供は引き続き審査を通った少数の組織に限られる、という趣旨の記載 |
この間、提供が一度止まっている点も公式のお知らせ欄で確認できます。2026年6月12日にClaude Mythos 5が現在利用できない旨が掲示され、2026年7月1日には輸出管理の措置が解除されたこと、米国政府の承認を受けて米国の一部組織向けにアクセスを復旧したことが記載されています。モデルの性能だけでなく、提供の可否そのものが国の制度の影響を受ける対象になっている、という点は押さえておく価値があります。
Claudeシリーズの中での位置づけ|Mythos 5.1とFable 5.1は同じベースモデル
Claude Mythosは、ふだん目にするClaudeのモデル階層とは別の枠に置かれています。Claudeの料金ページに並ぶモデルは、軽量・標準・高性能という形で用途と価格が分かれており、Haiku・Sonnet・Opusという名前が使われてきました。Mythosはこの並びに入っておらず、提供の条件そのものが異なります。
ここで最も実務的に効いてくるのが、Mythos 5.1とFable 5.1の関係です。Anthropicの公式ページには、Claude Fable 5.1はClaude Mythos 5.1と同じベースモデルに、サイバーセキュリティと生物学に関する安全策を加えたものである、という趣旨が記載されています。つまり、能力の土台は共通で、違いは安全策の有無です。Claude公式ドキュメント(日本語)も、Claude Fable 5にはリクエストを拒否できる安全性分類器が含まれており、Claude Mythos 5にはこれらの分類器は含まれていない、と説明しています。
実務上の読み替え:最上位が使えないことは、業務上の不利を意味しません。公式ドキュメントには、Claude Mythos 5へのアクセス権を持たない顧客は、アクセス承認が不要で同じ機能を提供するClaude Fable 5を使用できる、と記載されています。会議資料の作成や議事録の整理といった一般の業務で、Mythosが使えないことによって困る場面は想定されていません。最上位という言葉に引きずられて、社内の検討を止める必要はありません。
| Claude Mythos 5.1 | Claude Fable 5.1 | |
|---|---|---|
| ベースモデル | 同じ(公式ページに、Fable 5.1はMythos 5.1と同じベースモデルに安全策を加えたものと記載) | |
| 安全策 | リクエストを拒否する分類器は含まれない、と公式ドキュメントに記載 | 分類器により、ペネトレーションテスト・エクスプロイトの生成・バイナリの脆弱性スキャンを防ぐと公式ページに記載 |
| 提供 | 審査を通った組織のみ。現時点では米国の一部組織に限られると記載 | Claude API、Amazon Bedrock、Claude Platform on AWS、Google Cloud、Microsoft Foundryで利用可能と記載 |
| 料金(100万トークンあたり) | 入力10ドル・出力50ドルから | 入力10ドル・出力50ドル |
| データ保持 | 30日間のデータ保持。Anthropicが明示的に許可しない限り、ゼロデータ保持では利用できないと記載 | |
なお、Fable 5.1は分類器がリクエストを拒否することがあり、生物・化学に関する二重用途の質問はOpusモデルへ振り替えられる、と公式ページに記載されています。拒否はエラーではなく、正常な応答として返る仕組みです。Fableを会社で使うときの席の種類ごとの扱いや支出上限の決め方は、Claude Fableの解説記事で整理しています。自社でAPIを使って何かを組んでいる場合は、拒否されたときに別のモデルで処理し直す経路を用意しておく必要があります。Claudeの一般向けプランの料金と、プランごとに使えるモデルの違いはClaudeの料金プラン比較で整理しています。
自分の会社で使えるのか|審査を通った組織だけに提供されている
公式ページの記載では、Claude Mythos 5.1の提供先は審査を通った組織で、現時点では米国の一部組織に限られるとされています。日本の会社が提供を申し込める窓口は、2026年9月16日時点の公式ページの記載からは確認できません。Anthropicの公式ページには、Claude Mythos 5.1は審査を通ったサイバー防御の担当者と生命科学の研究者に対し、信頼できるアクセスのプログラムを通じて提供される、と記載されています。続けて、現時点では米国の一部組織に対してのみ提供できているが、アクセスの拡大に取り組んでいる、とも書かれています。
Claude公式ドキュメント(日本語)の記述はさらに明確で、Claude Mythos 5はProject Glasswingの承認済みの顧客にのみ提供され、アクセスについてはAnthropic、AWS、またはGoogle Cloudのアカウントチームに問い合わせるように、と案内されています。claude.aiの画面や、通常のAPI契約からモデル名を指定して呼び出せるものではありません。
一般向けのチャットプランの料金表にも、Mythosの行はありません。同じ料金表では、Fableについては無料プランでは使えない、Proでは使用クレジットの扱い、Maxでは週次制限の一定割合、といった形で利用条件が示されています。つまり、Fableは個人の有料プランからでも触れる余地がある一方、Mythosはプラン表の選択肢として存在していない、という状態です。
※日本の会社がClaude Mythosの提供を申し込める窓口は、2026年9月16日時点の公式ページの記載からは確認できません。サイバー防御の担当者向けの検証プログラムについての案内はありますが、提供先として明記されているのは米国の一部組織です。日本からの申請が可能であるという書き方をしている情報を見かけた場合は、出典が公式ページかどうかを確認することをおすすめします。
Project Glasswing|限定提供の受け皿になっている業界横断の枠組み
Project Glasswingは、Claude Mythosの限定提供の受け皿になっている業界横断の取り組みです。公式ページには、2026年4月7日に発表したこと、そして参加する組織としてAmazon Web Services、Anthropic、Apple、Broadcom、Cisco、CrowdStrike、Google、JPMorganChase、the Linux Foundation、Microsoft、NVIDIA、Palo Alto Networksが並ぶことが記載されています。クラウド事業者、OSとハードウェアの提供元、セキュリティ製品のベンダー、金融機関、オープンソースの基盤団体が同じ枠組みに入っている点が特徴です。
同ページには、さらに40を超える組織へアクセスを広げたこと、Mythos Previewの利用クレジットを最大1億ドル分、あわせてオープンソースのセキュリティ団体へ400万ドルの寄付を行うことも記載されています。また、2026年6月2日のお知らせでは、Project Glasswingの拡大として、15か国を超える地域のおよそ150の新しい組織へ広げたことが案内されています。
この顔ぶれから読み取れるのは、モデルを先に渡す相手として、脆弱性の修正を実際に配る側が選ばれているということです。言い換えると、一般の会社が使う製品のパッチは、この枠組みの内側で先に作られている可能性があります。自社が申し込めないことを不利と考えるより、出てくるパッチを速く当てられる体制を持つことのほうが、現実的な備えになります。
料金|公式が示す100万トークンあたりの単価と、一般のプラン表との違い
公式ページで確認できる料金は、Claude Mythos 5.1について、100万入力トークンあたり10ドル、100万出力トークンあたり50ドルから、という表示です。Claude公式ドキュメント(日本語)にも、Claude Fable 5とClaude Mythos 5は同じ仕様と価格を共有しており、入力トークン100万あたり10ドル、出力トークン100万あたり50ドルである、と書かれています。あわせて、既定で100万トークンのコンテキストウィンドウ、リクエストあたり最大128kの出力トークン、という仕様も記載されています。
この単価を円で見当をつけるなら、1ドル=150円で計算した場合、100万入力トークンで1,500円、100万出力トークンで7,500円です。ただし、これは法人が席単位で契約する月額料金とは考え方がまったく違います。使った分だけ積み上がる単価であり、社内の何人が使うかではなく、どれだけの文字量をやり取りするかで金額が決まります。稟議の場で月額料金と並べて比べると、話がかみ合いません。
※料金は2026年9月16日時点でAnthropicの公式ページおよびClaude公式ドキュメント(日本語)に表示されている金額です。円換算は1ドル=150円で計算した場合の目安で、実際の請求額は為替と課税の条件で変わります。
世代をまたいだ数字が混在しています。Mythos Previewの時期の単価として流通している数字と、Mythos 5.1について公式ページに表示されている10ドル・50ドルは別のものです。同じClaude Mythosの料金という見出しでも、記事の公開時期によって書かれている数字が違います。社内資料に転記するときは、金額だけでなく、どの世代の、どのページに、いつ表示されていた数字なのかまで書き添えてください。生成AIの費用全体の管理の考え方は生成AIのコスト管理で整理しています。
なぜ一般には公開されないのか|脆弱性を見つける力は攻撃にも使える
一般に公開されない理由は、脆弱性を見つける能力が、そのまま攻撃にも使えるためです。自社の最上位クラスのモデルについて、提供先を審査した組織に絞るという形は、一般提供が前提の他のモデルとは扱いが異なります。
この構図は、日本の公的資料の記述からも読み取れます。金融庁・日本銀行が2026年5月22日に出した要請の別添には、フロンティアAIは脆弱性の発見や高度な攻撃コードの生成に優れており、従来は発見が困難であった脆弱性が短期間に大量に発見され得ることに加え、脆弱性の発見から攻撃に至るまでの期間が大幅に短縮され得ることが指摘されている、と記載されています。さらに、スキルの低い攻撃者がフロンティアAIを悪用することで、高度なサイバー攻撃が増加することが懸念されている、とも書かれています。
防御に役立つ能力と、攻撃に使える能力が同じものである状態は、二重用途と呼ばれます。Anthropicの公式ページには、Fable 5.1はソースコードの脆弱性の特定には使える一方で、ペネトレーションテスト、エクスプロイトの生成、バイナリを対象とした脆弱性のスキャンは防ぐ、と記載されています。生物・化学に関する二重用途の質問は、Opusモデルへ振り替えられる仕組みであるとも書かれています。この線引きの作業そのものが、提供先を絞る理由になっていると読めます。
安全性をめぐる課題|安全策の仕組みと、報じられている懸念の見分け方
安全策の中身については、公式ドキュメントに具体的な記述があります。Claude Fable 5がリクエストを拒否した場合、APIはエラーではなく成功の応答として拒否を返し、どの分類器が拒否したかも報告される、と説明されています。拒否されたリクエストは通常、別のClaudeモデルで処理できるため、サーバー側で再試行する方法、クライアント側で再試行する方法、自分で組む方法の3通りが案内されています。出力が生成される前に拒否されたリクエストには課金されない、という記述もあります。
一方、モデルがテスト中に見せたとされる挙動や、安全策の効き方のばらつきについては、解説記事がシステムカードや報道を引く形で懸念を伝えています。これらは公式ページの本文で確認できる記述とは性質が異なります。社内で共有するときは、公式ドキュメントに書かれている仕組みの話と、報じられている懸念の話を、同じ段落に混ぜないほうが安全です。
ベンチマークで示された性能を、どう読めばよいか|世代が混ざった数字に注意する
ベンチマークの数値は、覚えるよりも、その数値がどの世代のどのページ由来なのかを見分けられるほうが実務では役に立ちます。Claude Mythosをめぐる解説記事では、コーディングの課題、サイバーセキュリティの課題、ターミナル操作の課題などのスコアが紹介されていますが、記事の公開時期によって、Preview・5・5.1のどの世代を指しているのかが変わります。同じ見出しの下に、別の世代の数字が置かれている状態です。
そのうえ、多くの記事はスコアの出どころを、公式ページ、公開されたシステムカード、報道、漏洩したとされる文書のいずれかから引いています。どれも同じ書式の数字として並ぶため、読んだだけでは区別がつきません。社内の検討資料に転記した段階で、根拠のない数字として一人歩きしやすいのはこのためです。
| 情報の区分 | 具体例 | 社内資料での扱い |
|---|---|---|
| 一次情報(提供元の公式) | Anthropicの公式ページ、Claude公式ドキュメント(日本語)、Project Glasswingの公式ページ | URLと確認日を添えて、記載されているとおりに引用する |
| 公的資料 | 14の府省庁・部局が連名で公表した対策パッケージ、金融庁・日本銀行の要請、自治体が公開している解説 | 発出者・公表日・文書名を書く。宛先が誰かも確認する |
| 二次情報 | 解説メディアの記事、ニュース報道、システムカードを引用した記述 | 数値を断定に使わない。引用するなら、どの記事がどの世代について書いたかまで明記する |
| 出所が確認できないもの | 漏洩したとされる文書に基づく仕様や価格 | 社外に出す資料には載せない |
見分けるための問いは3つで足ります。第1に、その記事が参照しているのは公式ページか、報道か、出所の確認できない文書か。第2に、数値はPreview・5・5.1のどの世代のものか。第3に、測定条件(対象のタスク、試行の回数、比較対象のモデルの世代)が書かれているか。この3つに答えられない数字は、社内資料に載せない、という運用にしておくと事故が起きません。この考え方は、法人向けの生成AIを比較検討するときにも同じように使えます。サービスの比較は法人向け生成AIの比較で条件をそろえて整理しています。
実際に発見された脆弱性|公式の記述と、報道されている事例を分けて読む
公式ページで確認できるのは、Project Glasswingのページにある記述です。そこには、Anthropicの発表として、Mythos Previewがすでに重大度の高い脆弱性を数千件発見しており、その中には主要なオペレーティングシステムとWebブラウザのすべてに含まれるものがある、という趣旨が記載されています(出典:Project Glasswing公式ページ。第三者による検証結果ではありません)。製品の分野を限定せず、広く見つかっているという書き方です。
これに対して、特定の製品名を挙げ、何年前から残っていたバグであったかといった事例は、解説記事が報道を引く形で紹介しているものです。個別の事例は読み物としては印象に残りますが、自社の対応を決める材料としては、公式が述べている広さのほうが重要です。主要なOSとブラウザに含まれる、という記述は、自社が使っている端末とサーバーも対象に入るという意味になります。
実務への含意は単純です。自社が使っているOS、ブラウザ、ネットワーク機器、業務ソフトに対して、これまでより多くのパッチが出てくる前提で予定を組む。特別な製品を買うよりも先に、この前提を運用に入れることが効きます。
データの扱い|30日間のデータ保持と、利用時に確認する項目
Claude Mythos 5.1を利用するには、安全性の監視のために、既定で30日間のデータ保持ポリシーを受け入れることが必要である、と公式ページに記載されています。Claude公式ドキュメント(日本語)にも、Claude Fable 5とClaude Mythos 5には30日間のデータ保持が適用され、Anthropicが明示的に許可しない限り、ゼロデータ保持では利用できない、と書かれています。
自社がMythosを使うことはないとしても、この記述は有用です。生成AIを社内で選ぶときに何を確認すべきかが、そのまま形になっているからです。多くの会社は、学習に使われるかどうかだけを確認して選定を終えてしまいます。しかし実際に社内規程を書く段になると、どこに、どれだけの期間、誰が見られる形で残るのかを書けないと、規程の文面が作れません。
- 学習利用:入力した内容がモデルの改善に使われるか。既定はどちらか。設定を会社側で固定できるか
- 保管場所:会話履歴とログがどの国、どの事業者の基盤に保管されるか
- 保持期間:何日間残るか。延長や短縮ができるか。ゼロ保持の選択肢があるか
- 閲覧できる人:社内の管理者に加えて、提供元の安全監視の担当がどこまで見られるか
- 停止のしかた:退職・異動のときにアカウントと履歴をどう扱うか
社内規程に落とすときの文面の例。「本サービスに入力した内容は、提供元における安全性の監視を目的として、最大◯日間保存される場合がある。したがって、個人情報、未公表の決算数値、取引先から預かった資料は入力しない。判断に迷う場合は入力せず、管理部門に確認する。」このように、保持の事実と禁止事項を1文ずつ並べる形にしておくと、社員が読んで判断できます。規程全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめています。
もう1点、出力の確認工程も残してください。どのモデルであっても、事実と異なる内容をもっともらしく出力することがあります。公式ドキュメントが仕様として説明しているのは処理の仕組みであって、出力の正しさの保証ではありません。社外に出す文書、契約に関わる記述、数値を含む資料は、人が確認する工程を必ず挟む運用にしておきます。確認すべき項目を一覧にしたものは生成AIのセキュリティチェックリストで公開しています。
モデルや入口ごとにデータ保持の条件が違うため、社員が個人で試すと確認が人数分に広がります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
日本の動向|Project YATA-Shieldと、金融庁・日本銀行の要請
日本では2026年5月に、政府と金融当局の両方から文書が出ています。海外のモデルの話が、1か月余りで国内の行政文書に反映された形です。
1つ目は、14の府省庁・部局が連名で2026年5月18日に公表した「AI性能の高度化を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について ~Project YATA-Shield~」です。連名しているのは、内閣官房国家安全保障局、内閣官房国家サイバー統括室、内閣府政策統括官(経済安全保障担当)、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局、警察庁、金融庁、デジタル庁、総務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、防衛省です。この文書の中で、2026年4月7日にAnthropic社がClaude Mythos Previewを公表したことに触れ、フロンティアAIモデルによるサイバーセキュリティ性能の急速な向上に備える、という趣旨が述べられています。
2つ目は、金融庁・日本銀行が令和8年(2026年)5月22日に出した「フロンティアAIによる脅威変化を踏まえた金融機関等の短期的な対応」に係る要請です。金融庁と日本銀行の連名で、関係事業者代表者宛てに出された文書で、別添に短期的な対応として9つの項目が並んでいます。経緯として、2026年4月24日にAI脅威に対する金融分野のサイバーセキュリティ対策強化に関する官民連携会議が開かれ、5月14日に実務者レベルの作業部会の第1回が実施されたことも本文に書かれています。
この要請の脚注には、金融機関等においては、AIモデル開発企業の活動状況も踏まえ、概ね1ヶ月程度を目途に、対応を進めることが期待される、と記載されています。これは金融機関等に向けて示された期待であって、一般の会社の期限ではありません。ただ、当局が1か月という時間感覚を明示したという事実は、脅威の受け止め方を測る材料になります。
慌てないための一次情報。同じ要請の本文には、英国AISI(AI安全性評価機関)の報告書によれば、現時点ではフロンティアAIは、十分に防御されたITシステムに対しては、攻撃を達成できるとは言えないと報告されている、と書かれています。そのうえで、これを踏まえれば、金融庁のガイドラインに基づく基本的な対策をより迅速かつ着実に実行していくことが引き続き重要である、と続きます。つまり当局の見立ては、新しい脅威に新しい道具で立ち向かえ、ではなく、基本を速く確実に、です。記事や広告が煽る言葉を使っていても、この一文を基準に受け止め方を戻してください。
加えて、東京都のサイバーセキュリティポータルは、Claude Mythosの脅威に対して中小企業が取るべき対策と公的支援施策の活用について、2026年5月22日付で解説を掲載しています。そこでは緊急の対策として、インターネット境界の把握と資産インベントリの即時作成、全アカウントにおける多要素認証(MFA)の義務化とパスワード管理、バックアップ処理の自動化とリストア(復旧)検証の実施、の3つが挙げられています。自治体が中小企業向けにこの話題で解説を出している、という点自体が、対象が大企業に限られていないことを示しています。
防御側と一般の会社にとって何が変わるのか
変わるのは攻撃の種類ではなく、これまで後回しにしてきたことの締切です。金融庁・日本銀行の要請の背景の記述を、一般の会社の状況に当てはめると、影響は次の3つに整理できます。
- パッチの量が増える。脆弱性が短期間に大量に発見され、それに伴って修正プログラムが短期間に多数提供される可能性がある、と記載されています。今まで月に数件だった更新作業が、週に何件も来る状態を想定しておく必要があります
- 当てるまでの時間が短くなる。脆弱性の発見から攻撃に至るまでの期間が大幅に短縮され得る、と記載されています。来月の定例作業でまとめて当てる、という運用が間に合わなくなります
- 狙われる範囲が広がる。スキルの低い攻撃者がフロンティアAIを悪用することで、高度なサイバー攻撃が増加することが懸念されている、と記載されています。高度な攻撃が大企業だけに向かうという前提が崩れます
そして、要請の本文には重要な但し書きがあります。これらの脅威は、自組織で開発したシステムに限らず、オープンソースソフトウェアを含むサードパーティのソフトウェアやサービスにおいても、同様に及び得る、という記述です。社員10〜200名の会社が使っているものは、ほぼすべてがサードパーティ製です。自社で開発していないから関係ない、という読み方はできません。
ただし、繰り返しになりますが、同じ文書は英国AISIの報告として、現時点では十分に防御されたITシステムに対して攻撃を達成できるとは言えない、とも伝えています。十分に防御された、という条件が付いている点が肝心です。やることが変わるのではなく、やる速さが問われている、と受け止めるのが実態に近い読み方です。
金融機関向けに示された9項目を、10〜200名の会社の言葉に置き換える
金融庁・日本銀行の要請に並ぶ9項目は、金融機関等に向けて出されたものであり、金融機関でない会社に義務として当てはまるものではありません。ただし、何をどの順番で点検すればよいかの下敷きとしては、そのまま使えます。当局が短期の優先順位として整理した項目なので、自社で一から考えるより早く、抜けも少なくなります。
以下は、9項目の見出しを原文のまま置き、それを社員10〜200名の会社の現場の言葉に置き換えたものです。右端には、専任のセキュリティ担当がいなくても今週のうちに手を付けられる作業を1つずつ入れました。
| 要請の項目(金融機関等向け) | 10〜200名の会社に置き換えると | 今週できること |
|---|---|---|
| ①フロンティアAIへの対応を経営課題として扱う | 情シス担当や総務の一存にしない。時間と費用を使う判断は経営が引き取る。別添の前文も、経営トップがリソース(予算・人員)を確保することが不可欠である、としています | 次の経営会議の議題に1行入れ、更新作業に月何時間を充てるかを口頭で決める |
| ②優先的に対応すべきサービス/ITシステムを特定する | 全部を同時には守れない前提で、インターネットから直接触れるものを先に選ぶ。自社サイト、VPN機器、NAS、社外からのリモート接続、受発注に使う外部サービス | 外から見える資産を紙1枚に書き出し、担当と連絡先を横に書く |
| ③特定した資産の技術負債を解消しておく | サポートが終わった機器とソフトを止める。使っていない管理者権限のアカウントを消し、開けたままの通信ポートを閉じる。原文もサポート終了製品は速やかに更新するよう求めています | 資産一覧に、ファームウェアの版と保守の期限の列を足して埋める |
| ④パッチ適用に係る人的リソースを追加する | 専任はいない前提で、誰が、いつ、何分かけて当てるかを決める。人を増やせない分は、自動更新を既定にして手作業を減らす | 業務用パソコンとサーバーの自動更新の設定を確認し、切れているものを戻す |
| ⑤ベンダーとの維持保守契約の内容を確認する | 更新作業が保守契約に含まれているか、夜間や休日でも対応できる内容か、作業が重なったときの順番はどうなるかを確認する | 保守窓口にメールを1通出し、パッチ適用が契約範囲かどうかを文面で残す |
| ⑥パッチ適用プロセスをリスクベースにする | 全部は当てられない前提で順番を決める。外から触れるもの、次に社内サーバー、次に業務用パソコン、最後にその他。深刻度の指標が高くない脆弱性でも実際に攻撃に使われている、と別添は指摘しています | この順番を1枚に書いて共有し、迷ったときの判断を担当者に委ねない形にする |
| ⑦パッチ適用以外の対策も強化する | 更新できない機器は、ネットワークを分けて被害の範囲を狭める。管理者権限のアカウントに多要素認証を入れる。端末に不正を検知する仕組みを入れる | 管理者アカウントの多要素認証を有効にする。まず1人分でも設定を通す |
| ⑧優先サービス/ITシステムの停止に備える | 止まった日に何をするかを決めておく。誰が顧客に何を伝えるか、代わりの連絡手段は何か、復旧の手順書はどこにあるか | バックアップから実際に1ファイル復元してみる。手順を書き足す |
| ⑨外部との連携を維持・強化する | 使っている製品の提供元からお知らせが届く経路を作る。取引先や業界団体からの情報も拾える状態にしておく | 主要な製品のセキュリティ情報のメール配信に登録し、受信箱の担当を決める |
※上の表の左列は、金融庁・日本銀行が令和8年5月22日に出した要請の別添にある見出しです。宛先は関係事業者代表者であり、金融機関等に向けた内容です。中央と右の列は、社員10〜200名の会社の現場に置き換えた読み替えで、要請の文面そのものではありません。また、脚注にある概ね1ヶ月程度を目途に、という期待も金融機関等に向けられたもので、一般の会社の期限ではありません。
これは応急処置だと、当局自身が書いています。要請の本文には、これらはあくまでも応急的措置であり、中長期的には脆弱性対応の自動化等への移行に取り組むことが必要である、と記載されています。9項目をやり切ったら終わり、ではありません。逆に言えば、9項目は完璧を目指す性質のものではなく、まず手を動かすための順番です。1つ目から順に、できるところまでで構いません。
今週から着手できる点検リスト|情シス専任がいない会社向け
ここまでの内容を、専任のセキュリティ担当がいない会社が実際に動かせる形にまとめます。順番に意味があり、上から3つを終えるだけでも、止まったときの被害はかなり変わります。
- 外から見える資産を紙1枚に書き出す自社サイトのサーバーとドメインの契約先、VPNルーターやSOHOルーターのモデル名とファームウェアの版、NAS、社外からのリモート接続の経路。1枚に収まらないなら、まず収まる範囲だけ書きます
- 社員が業務で使っているクラウドサービスを一覧にする会社が契約したものだけでなく、部署や個人が契約したものも含めます。責めるためではなく、止まったときに影響が出る先を把握するためだと先に伝えると、申告が集まります
- 全アカウントで多要素認証を義務にするまず管理者権限のアカウント、次に全員。パスワードの使い回しをやめることとセットで進めます
- バックアップの自動化と、復元の検証を1回やる取っているつもりで戻せない事例は珍しくありません。1ファイルでよいので、実際に復元して時間を測ります
- サポートが終了した機器とソフトを洗い出す提供元から修正が出ない対象を先に把握します。すぐに更新できないものは、ネットワークを分けるなどの手当てを検討します
- 業務用パソコンとサーバーの自動更新を既定にする人手で当てる作業を減らすことが、増える更新への最も現実的な備えになります。業務ソフトとの相性で止めている設定があれば、理由を記録しておきます
- 保守契約の適用範囲を確認する更新作業が含まれているか、緊急時に夜間や休日も対応するか。口頭ではなく契約書と書面で確認します
- 止まったときの代替手段と連絡順を1枚に書く誰が顧客に伝えるか、代わりの連絡先はどこか、復旧の判断は誰がするか。社内ネットワークが止まっても読めるように、紙でも保管します
※このうち、資産の一覧化、全アカウントの多要素認証の義務化、バックアップの自動化と復元の検証の3点は、東京都サイバーセキュリティポータルが中小企業向けの緊急対策として挙げている項目です(東京都サイバーセキュリティポータル「【詳細解説】Claude Mythosの脅威に対して中小企業が取るべき対策と、公的支援施策の活用」2026年5月22日掲載。同ページには、生成AIで原案を作成し東京都が校正した旨の記載があります)。残りは、金融庁・日本銀行の要請の項目を小規模な会社向けに読み替えたものです。
社員が個人アカウントで最新モデルを試す前に確認すること
Claude Mythosそのものは招待制のため、社員が勝手に使い始めることはありません。ところが、こうしたニュースが流れるほど、社員が個人の課金で最新のAIを試す動きは増えます。この論点はClaude Mythosの解説ではあまり前に出てきませんが、10〜200名の会社にとっては、こちらのほうが先に起きる実務です。
理由は、モデルの関係にあります。すでに見たとおり、Fable 5.1はMythos 5.1と同じベースモデルに安全策を加えたものだと公式ページに記載されており、Fableやその他の上位モデルは個人の有料プランからでも触れる余地があります。最も高性能なAIが出たという話題は、手の届く範囲のモデルへの関心に変わり、そのまま個人課金での業務利用につながります。会社から見えないところでAIが業務に使われる状態は、野良AIと呼ばれます。
個人アカウントの何が問題なのか。性能の問題ではありません。第1に、入力した内容が学習に使われない設定になっているかを、会社側で確認も固定もできません。第2に、誰がどこに何を入力したかの記録が会社に残りません。第3に、退職や異動のときに利用を止められず、履歴も会社の管理外に残ります。この3つは、便利さや個人の善意では埋められない種類の穴です。
そして、最初にやってはいけないのが禁止から入ることです。禁止を先に出すと、使うのをやめるのではなく、申告をやめます。結果として、利用は続いたまま、会社からは見えなくなります。詳しい背景と、社内で把握するための進め方は野良AI(シャドーAI)の実態と対策にまとめています。
順序としては、次の4段階が現実的です。
- 現状を測る。誰がどのサービスを業務で使っているかを、匿名で回答できる形で聞きます。処分を目的としないことを最初に明言します
- 公認の環境を用意する。使ってよいものを会社として決め、全員に配ります。配られない人が出ると、その人は個人契約に戻ります
- 入力してよい情報といけない情報を1枚に書く。抽象的な注意喚起ではなく、具体名で列挙します
- そのうえで個人契約での業務利用をやめてもらう。代わりの手段を先に渡してから止める、という順番を守ります
複数のAIを併用している会社であれば、どの用途にどれを使うかも先に決めておくと定着が早くなります。用途ごとの向き不向きは4つのAIの使い分けで、複数の生成AIを1つの環境でまとめて使う方法はマルチAIとはで解説しています。
自社はアクセスを申し込むべきか|判断の順序と、代わりにやること
ほとんどの会社の答えは、申し込まない、になります。公式ページの記載では提供先は審査を通った組織で、現時点では米国の一部組織に限られる、とされているためです。それでも検討の余地があるかどうかは、次の3つの問いで整理できます。
| 問い | 答えがはいの場合 | 答えがいいえの場合 |
|---|---|---|
| 自社でソフトウェアを開発し、外部に公開しているか | 自社の製品に含まれる脆弱性を、自分たちで先に見つける価値がある | 使っている製品の提供元が見つける側になる。パッチを速く当てる体制のほうが効く |
| オープンソースに依存した製品やサービスを運用しているか | 依存関係の一覧(どの部品の、どの版を使っているか)を持つことが先決になる | 使っている業務ソフトとクラウドサービスの一覧を作ることが先決になる |
| セキュリティを専任で見る人がいるか | 提供元やクラウド事業者の担当に、動向と入手の可否を相談する余地がある | まず点検リストの上から3つ。道具を増やしても運用する人がいない |
3つともはいであれば、Anthropic、AWS、Google Cloudのアカウント担当に相談する経路が公式ドキュメントで案内されています。1つでもいいえがあるなら、申し込みを検討する前に、この記事の点検リストのほうが費用対効果は大きくなります。高性能なモデルを手に入れても、出てきた脆弱性を当てる人と時間がなければ、状況は変わりません。
代わりにやることは、すでに書いたとおりです。外から見える資産の把握、サポート切れの排除、自動更新、多要素認証、バックアップと復元の検証、そして社内の生成AI利用環境の整備。どれも新しい概念ではなく、これまで後回しになっていた基本です。当局が求めているのも、新しい道具の導入ではなく、この基本を速く確実に実行することでした。
取引先から体制を聞かれたときに出せる回答の型
この話題が広がると、取引先や顧客から、生成AIをどう管理しているかを聞かれる場面が増えます。聞かれてから考えると、部署ごとに違う答えが出てしまい、かえって不安を与えます。先に5項目を決めておけば、どの担当が答えても同じ内容になります。
- 学習に使わせない設定:どのサービスで、誰が、どう設定しているか。設定を社員が変更できない形にしているか
- データの保管場所:会話履歴とログがどの国、どの事業者の基盤に保管されるか
- ログの保持:誰が、何を、どれだけの期間見られるか。閲覧の記録が残るか
- 利用してよい業務の範囲:どの部署が、どの業務で使ってよいか。逆に使わない業務はどれか
- 禁止事項:入力してはいけない情報を、抽象語ではなく具体名で列挙しているか
回答文の型(社名を入れて使えます)。「◯◯株式会社では、生成AIの業務利用を会社が契約した環境に限定し、入力内容が提供元の学習に使われない設定を既定としています。会話履歴と利用ログは管理者が確認できる状態で保管し、保持期間は◯日です。お預かりした資料および個人情報は、生成AIへの入力を禁止しています。利用してよい業務の範囲と禁止事項は、生成AI利用ガイドラインに定め、全社員に配布しています。」この4文で、聞かれた側が知りたいことはほぼ埋まります。埋められない項目があれば、そこが自社の宿題です。
なお、この回答を作る過程は、そのまま社内のサービス選定の基準にもなります。学習利用の設定を会社側で固定できないサービスや、ログを管理者が確認できないサービスは、この文面が書けません。書けるかどうかを基準に候補を絞ると、選定が早く終わります。候補の並べ方は法人向け生成AIの比較を参考にしてください。
会社で生成AIを安全に使うために整える4つのこと
最後に、Claude Mythosの話題から離れて、社内の生成AI環境について整えるべきことを4つに絞ります。順番も重要で、上の2つは利用が広がってからでは移行が重くなります。
- 学習に使わせない設定を既定にする。社員ごとの設定に任せず、会社の契約の側で既定を固定します。個人アカウントが混ざっていると、この1つ目が成立しません
- 利用ログと権限を管理者が見られるようにする。誰が使っているか、いつ止めるか、どのモデルを使わせるか。仕組みで押さえられる部分はここまでです
- 使ってよいAIを決めて全員に配る。配られなかった社員が個人契約に流れます。一部の部署だけに配る形は、見えない利用を残す設計だと考えてください
- 用途ごとの使い分けを決める。調査はこれ、長い文書の読み込みはこれ、それ以外は既定の1つ。粗い割り当てで十分です。全員に判断させると定着しません
費用の見通しは、一部の部署だけに配った金額ではなく、配る範囲を広げたときにいくらになるかまで含めて見ておくと、あとから方針が揺れません。考え方は生成AIのコスト管理で説明しています。
4つのAIを、1つの契約と1つの管理画面で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けプラットフォームです。全モデルで学習非利用を標準適用(全社一律)し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理。管理者ダッシュボードから、利用ログの確認、権限の設定、使わせるモデルのON/OFFができます。料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。利用量の目安に近づいたときは、管理者宛に複数回メールでお知らせします。上限に達した時点で利用を停止する安全設計のため、知らないうちに超過して追加の請求が発生することはありません。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Claude Mythosは日本の会社でも使えますか?
Claude Mythosの料金はいくらですか?
Claude MythosとClaude Fableは何が違いますか?
うちは社員50名ほどの会社ですが、何か対応が必要ですか?
金融庁・日本銀行の要請の9項目は、金融機関でない会社にも適用されますか?
経営者から、生成AIの利用をいったん止めるべきかと聞かれました。どう答えればよいですか?
セキュリティの予算は何に使えばよいですか?
社員が個人のアカウントで最新モデルを使っています。禁止すべきですか?
まとめ
Claude Mythosは、Anthropicがサイバーセキュリティと生物学の研究向けに提供している最上位クラスのモデルで、公式ページの記載では、提供は審査を通った組織に限られ、現時点では米国の一部組織が対象とされています。公表日の2026年4月7日は、14の府省庁・部局が連名で2026年5月18日に公表した対策パッケージの本文で確認できます。料金は100万入力トークンあたり10ドル、100万出力トークンあたり50ドルからと表示され、利用には既定で30日間のデータ保持の受け入れが必要だと記載されています。
そのうえで、社員10〜200名の会社が取るべき行動は、モデルを追いかけることではありません。Fable 5.1はMythos 5.1と同じベースモデルに安全策を加えたものだと公式ページに記載されており、一般の業務で最上位が使えないことによる不利は想定されていません。やるべきことは、脆弱性が短期間に大量に見つかる前提で、更新作業の段取りと資産の把握を整えることです。
そして、慌てないための一次情報がもう1つあります。金融庁・日本銀行の要請は、英国AISIの報告として、現時点ではフロンティアAIは十分に防御されたITシステムに対して攻撃を達成できるとは言えないと伝え、そのうえで基本的な対策をより迅速かつ着実に実行することが引き続き重要である、としています。新しい脅威に新しい道具で立ち向かう話ではなく、基本を速く確実に、という話です。外から見える資産の一覧、全アカウントの多要素認証、バックアップと復元の検証。この3つから始めてください。
もう1つの宿題は、社内の生成AI環境です。最新モデルが話題になるほど、社員の個人利用は増えます。禁止から入らず、公認の環境を先に用意する順序を守ってください。法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧にまとめています。社内ルールの整備は生成AIの社内ガイドラインの作り方、確認項目の一覧は生成AIのセキュリティチェックリストもあわせてご覧ください。
