Claudeプロジェクトの使い方。社内規程を読ませて社内Q&Aにする手順

Claudeのプロジェクト(Projects)とは、目的ごとに指示(プロジェクト指示)と資料(プロジェクトナレッジ)をまとめ、同じ前提で何度もチャットできる専用の作業場所です。作り方は、左側の「プロジェクト」から「+ 新規プロジェクト」を作り、指示を書いてナレッジに資料を入れる3手順で終わります。会社の就業規則や経費規程を読ませて社内Q&Aにするなら、誰にどの権限で共有するかと、入れた内容が学習に使われない契約かどうかを先に決めておくことが大切になります。無料プランでも最大5つまで作れますが、組織内での共有はTeamとEnterpriseだけの機能となっています。

Claudeそのものの概要やモデル、料金の全体像はClaudeとは何か・料金とプランの全体像で扱っており、ここではプロジェクトの使い方と、会社の規程を入れるときの設定に絞って進めます。

Claudeのプロジェクト(Projects)とは

プロジェクトは、指示と資料を一度登録しておけば、その中で始めるすべてのチャットが同じ前提で答えてくれる作業場所になります。同社のヘルプでは「独自のチャット履歴とナレッジベースを備えた自己完結型のワークスペース」と説明されています。中身は、Claudeの答え方を決めるプロジェクト指示と、読ませたい資料を置くプロジェクトナレッジ、そしてプロジェクトの中で行うチャットの3つです。

総務の仕事に置き換えると、就業規則・賃金規程・旅費規程などをナレッジに入れ、規程に書かれていることだけを根拠に答えるという指示を付けた社内Q&A窓口を1つ作るイメージになります。社員は毎回規程を貼り付けなくても、プロジェクトを開いて質問するだけで答えを受け取れます。実際に、同じ質問への答えが総務の担当者ごとに変わらなくなることも、会社で使ううえでの利点になるでしょう。

通常のチャットとの違い

通常のチャットは1回ごとに独立しているため、前提や資料を毎回渡し直す必要があります。プロジェクトでは、指示とナレッジが中のすべてのチャットに自動で使われます。

比べる点通常のチャットプロジェクト
前提(指示)の渡し方質問のたびに書くプロジェクト指示に一度書けば、中のすべてのチャットで使われる
資料チャットごとに添付するナレッジに入れた資料が、中のすべてのチャットで使われる
チャット同士のつながりなしナレッジに入れた情報だけが共通になる(チャットの内容そのものは引き継がない)
組織内での共有チャットごとに共有するTeam・Enterpriseで、表示可能・編集可能の権限を付けて共有する
向いている使い方1回きりの質問や調べもの同じ前提で何度も聞く業務

反対に、1回きりの調べものや、決まった前提がいらない質問は、通常のチャットのほうが手軽でしょう。

ChatGPTのGPTsとの違い

ChatGPTのGPTsも、指示と資料を登録して同じ前提で使い回す仕組みという点では、Claudeのプロジェクトとよく似ています。なお、ChatGPTにもGPTsとは別に、プロジェクトという名前の機能があります。GPTsの作り方と共有の範囲はGPTsの作り方、GoogleのGemで同じことをする方法はGemini Gemsの使い方にまとめました。どれを選ぶかは機能の差より、会社が契約しているサービスで決めるのが現実的でしょう。

Claude Codeとの使い分け

Claude Codeは、名前のとおりプログラムのコードを扱う作業向けの機能で、料金ページでは有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)に含まれ、Freeでは使えないと表示されています。規程を読ませて社員の質問に答える使い方なら、チャットのプロジェクトで十分に足ります。同社ヘルプによると、プロジェクトの新しい版(ベータ)がClaude Codeから順次提供されており、新しい版では1つのプロジェクトが1つの会話となり、Claudeが作業を並列のスレッドに分けて進めるとされています。一方で、既存のプロジェクトは今までどおり使えるとも書かれているため、総務の規程Q&Aを作るのに新しい版を待つ必要はありません。

※プロジェクトの新しい版の提供状況は、2026年9月24日時点の同社ヘルプ「プロジェクトとは何ですか」の記載です。提供はClaude Codeを使う一部のPro・Maxの利用者から始まり、チャット・Cowork・Team・Enterpriseは後に続くと案内されています。

APIから同じプロジェクトを使えるか

プロジェクトは、claude.aiの画面から作って使う機能になります。API(プログラムからClaudeを呼び出す仕組み)で同じプロジェクトを呼び出せるかどうかは、プロジェクトに関する同社ヘルプには記載が見当たりません。社内システムに組み込みたい場合は、APIを別の仕組みとして検討することになります。規程Q&Aのように社員が画面で質問する使い方であれば、APIは要らないでしょう。

無料でも使える?対応プランと作れる数

プロジェクトは無料のアカウントでも使え、無料ユーザーが作れるのは最大5つまでです。同社ヘルプには「無料のClaudeアカウントを持つユーザーを含むすべてのユーザーが利用できます」と書かれています。

有料プランとの違いは、作れる数と、資料が多いときの扱いと、共有の3点になります。料金ページではProとMaxに無制限のプロジェクトと表示されており、資料が増えたときに容量を広げるRAG(必要な部分だけを探して読む仕組み)も有料プランだけの機能とされています。さらに、組織内の他のメンバーと共有できるのは、会社向けのTeamとEnterpriseに限られます。

  • Free:プロジェクトは最大5つ。RAGによる容量の拡張はなく、組織内での共有もできません
  • Pro・Max:プロジェクトは無制限。RAGによる容量の拡張あり。個人向けのため組織内での共有はできません
  • Team・Enterprise:RAGによる容量の拡張あり。組織内のメンバーと権限を付けて共有できます

社内の規程Q&Aとして全社員に使ってもらうなら、共有できるTeam以上が前提となります。Teamの料金は、日本から料金ページを開くと消費税10%込みの米ドルで表示され、スタンダードシートは年払いで1シートあたり月22ドル、月払いで27.50ドルとなっています。社員20人全員に年払いで配ると、表示どおりの税込額で毎月440ドル、年間5,280ドルの支出になります。Teamの人数別の年額やインボイスの扱いはClaude Teamの料金で計算していますので、あわせて確認してみてください。

※料金は2026年9月16日に日本から料金ページ(claude.com/ja/pricing)を表示して確認した、消費税10%込みの米ドル表示です。同じページには税抜の金額が表示される場合もあります。Teamは2〜150名のチーム向けと表示されています。価格は変わることがあるため、契約前に公式ページでご確認ください。

プロジェクトの作り方|画面の3手順

プロジェクトは、作成・ナレッジの追加・指示の設定の3手順で使い始めることが出来ます。ここでは総務が就業規則Q&Aを作る場面で、同社ヘルプ(日本語版)に書かれている画面の名前に沿って進めます。

※画面の名前と手順は、2026年9月24日時点の同社ヘルプ(日本語版)「プロジェクトを作成・管理するにはどうすればよいですか」の記載に基づきます。画面の表記は更新で変わることがあります。

手順1:新規プロジェクトを作る

  1. 画面の左側にマウスを置き、「プロジェクト」をクリックします(claude.ai/projects を直接開いても同じ画面です)
  2. 右上の「+ 新規プロジェクト」をクリックします
  3. 名前と説明を入れます。例として、名前は「社内規程Q&A」、説明は「総務が管理。規程の改定時に総務が更新」のようにします
  4. TeamかEnterpriseなら表示設定を選びます。「プライベートに保つ」は自分と招待したメンバーだけが使える設定で、「組織全体と共有」は組織内の全員が表示・利用できる設定です(管理者が有効にしている場合)

表示設定は後から変えられるため、規程を入れる前は「プライベートに保つ」で作り、中身を確かめてから公開するのが安全でしょう。

名前と説明はClaudeに渡らない

名前と説明の欄は、Claudeの回答には影響しません。同社ヘルプの作成手順に「Claudeはこれらの詳細にアクセスできない」と注記があるためです。説明欄に書いたルールは効かないため、答え方は指示に、規程の本文はナレッジに入れてください。説明欄は、社員がプロジェクトを選ぶときの案内として使うのが向いています。

手順2:プロジェクトナレッジに規程を入れる

ナレッジはプロジェクトのメインページの右側にあり、「+」ボタンから資料を追加します。ここに入れたものは、そのプロジェクト内のすべてのチャットで使われます。就業規則なら、本則・賃金規程・育児介護休業規程のように、規程ごとに1ファイルに分けて入れると、どの規程から答えたかを示しやすくなります。ファイル形式と容量の注意は、後のナレッジに入れる規程の選び方と整理で詳しく扱います。

手順3:プロジェクト指示を設定する

指示は「プロジェクト指示を設定」をクリックして書き、「指示を保存」で確定します。保存した指示はプロジェクト内のすべてのチャットで使われるため、毎回の質問に前置きを書く必要はなくなります。規程Q&A用の指示のひな形は、次の節にそのまま使える形で載せました。設定が済んだら、プロジェクトの中でチャットを始めてみましょう。

チャットは質問の話題ごとに分ける

プロジェクトの中のチャットは、話題ごとに新しく立てるのが基本です。同社ヘルプには「プロジェクト内のチャット間でコンテキストが共有されるのは、情報がプロジェクトナレッジベースに追加された場合のみ」と注記されています。あるチャットで総務が補足した回答は、別のチャットには引き継がれません。全員に伝えたい補足は、チャットで説明して終わらせず、ナレッジのファイルに書き足すことになります。

メモリ(過去の会話を覚えておく機能)は、Free・Pro・Maxでは既定で有効、TeamとEnterpriseではオーナーが有効にした場合に使えます。各プロジェクトには独自のメモリがあり、プロジェクトの外のチャットとは分けられていると同社ヘルプに書かれています。規程の質問と、それ以外の雑談や別の業務を同じプロジェクトに混ぜないほうが、答えのぶれは少なくなるでしょう。

社内規程Q&A用のプロジェクト指示の書き方

規程Q&Aの指示で決めるのは、根拠の示し方と、分からないときの振る舞いと、答えてはいけない範囲の3つです。同社の公式教材でも、良い指示の要素として、何の作業か・進め方・口調・必ず守る要件が挙げられています。ナレッジにない内容を推測で答えさせないことが、規程Q&Aの指示では特に大切になります。

次のひな形は、社員10〜200名の会社の総務がそのまま貼り付けて使える形にしています。【】の部分を自社の名前と窓口に置き換えてみてください。

あなたは【会社名】の社内規程について、社員からの質問に答える窓口です。

■根拠
・回答は、このプロジェクトのナレッジにある規程だけを根拠にしてください。
・回答の最後に、根拠にした規程名と条番号を「根拠:就業規則 第〇条」の形で示してください。
・同じ規程の版が複数ある場合は、ファイル名の施行日が新しいものを優先してください。

■分からないとき
・ナレッジに書かれていないことは推測で答えず、「規程に記載がありません」と伝えたうえで、総務の窓口(【担当部署・連絡先】)を案内してください。
・解釈が分かれそうな質問は、該当する条文を引用したうえで、最終的な判断は総務に確認するよう伝えてください。

■答えないこと
・特定の社員の給与額、評価、懲戒の可否など、個人に関する判断はしないでください。
・法令の解釈や、規程と法令のどちらが優先するかの判断はしないでください。
・規程にない金額や日数を、計算や一般論で補わないでください。

■答え方
・です・ます調で、結論を1〜2文で先に述べてから、手続きの順番を箇条書きにしてください。
・申請書や様式の名前がナレッジにある場合は、その名前をそのまま示してください。

指示の中に、値引きの上限や人事評価の基準のような社外秘の条件は書かないようにしましょう。後で触れるとおり、共有の権限が表示可能のメンバーにも、プロジェクトの指示はそのまま見えてしまうためです。

指示を保存したら、答えが規程にある質問、規程にない質問、個人の判断を求める質問の3種類を試しに投げると、指示が効いているかを確かめることが出来ます。たとえば「慶弔休暇は何日ですか」「私用車で出張したときのガソリン代は精算できますか」「私の昇給額はいくらですか」のように、答え方が分かれる質問を用意するのがおすすめになります。

ナレッジに入れる規程の選び方と整理

ナレッジに入れるのは、社員が実際に質問してくる規程の最新版だけに絞るのが基本となります。古い版を残したままにすると、改定前の日数や金額で答えてしまうおそれがあります。改定のたびに古いファイルを削除して新しい版と入れ替えることを、総務の手順書に1行入れておきましょう。

対応するファイル形式と容量

プロジェクトに入れられる資料は、PDF・Word(DOCX)・CSV・テキスト・HTMLなどで、1ファイルあたり30MBまでとなっています。ファイルの数に上限はないものの、中身の合計がClaudeのコンテキストウィンドウ(一度に読める量)に収まる必要があると同社ヘルプに記載があります。有料プランではナレッジが上限に近づくと自動でRAGに切り替わり、容量が最大10倍まで広がると同社は説明しています。

注意したいのは、PDF以外のファイルは文字だけが読まれる点です。WordやExcelの中に貼り付けた画像の表は読まれないため、手当の金額表や日当の早見表は、画像にせず文字の表として入れてください。PDFも、図まで読まれるのは100ページ以下のファイルで、101〜1,000ページは文字だけの処理になります。Excel(XLSX)を入れるには、コード実行とファイル作成の機能を有効にしておく必要があるとされています。

※ファイル形式と上限は、2026年9月24日時点の同社ヘルプ「Upload files to Claude」(2026年7月23日更新)と「プロジェクトとは何ですか」の記載です。RAGの容量は同社の説明で、第三者が検証した数値ではありません。

ファイル名に規程名と施行日を入れる

ファイル名は、「就業規則_2026-04-01施行.pdf」のように規程名と施行日を入れておくのがおすすめです。同社のRAGのヘルプでも、分かりやすいファイル名を付けることと、質問の中で文書名を指定することが、Claudeが正しい情報を探すコツとして挙げられています。指示のひな形にある施行日が新しいものを優先という決まりも、ファイル名に日付があってこそ効いてきます。社員向けの案内にも、「旅費規程では」のように規程名を添えて質問するよう書いておくとよいでしょう。

Googleドライブの規程は非公開プロジェクトでしか追加できない

規程の正本をGoogleドライブで管理している会社は、共有するプロジェクトではドライブから直接追加できない点に注意が必要です。同社ヘルプには、ドライブのコネクタでファイルを追加できるのは非公開(プライベート)のプロジェクトだけで、共有プロジェクトでは無効になると書かれています。また、TeamとEnterpriseでは、オーナーかプライマリオーナーが組織の設定でコネクタを有効にしてからでないと使えません。全社で共有する規程Q&Aでは、ドライブの最新版をPDFなどに書き出して、ファイルとしてアップロードする運用になるでしょう。ドライブから追加したGoogleドキュメントは最新版と同期されますが、共有プロジェクトではその便利さを使えないため、改定時の入れ替えを手順に組み込んでおきましょう。

規程を入れる前に消しておく情報

規程のファイルは、条文と様式だけを残し、個人や取引先が分かる情報を消してから入れるのが原則です。社内の規程集には、運用例として実名入りの事例や、記入済みの様式が紛れていることが少なくありません。共有したプロジェクトでは、表示可能の権限でもナレッジの中身を見られるため、消し忘れはそのまま社内への公開となってしまいます。

  • 個人名入りの懲戒・ハラスメントの事例規程の解説資料に運用例として載っていることがあります。事例は匿名にするか、ナレッジから外します。
  • 給与テーブルに載った個人の支給額等級と号俸の表は残し、特定の社員の額が分かる一覧は入れません。
  • 口座番号やマイナンバー関連の様式の記入例様式の記入見本に実在の人のデータが残っていないか、1枚ずつ確かめます。
  • 取引先名の入った契約書や覚書規程の付属資料として綴じられていることがあります。規程Q&Aには要りません。
  • 未公表の組織変更や人事異動改定前の案や稟議の資料が同じフォルダにあると、一緒に入れてしまいがちです。
  • 社員の住所・電話番号の一覧緊急連絡網を規程集に綴じている会社は、その部分を外します。

個人情報保護委員会は、2023年6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答の出力以外の目的で取り扱われる場合は、個人情報保護法に違反する可能性があるとしています。そのため、生成AIの提供事業者が個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求められます。消した後のファイルを、総務以外のもう1人に確認してもらう手順を入れてみてください。

社内資料を入れる前に確かめる学習の設定

規程を入れた内容がAIの学習に使われるかどうかは、プロジェクトの設定ではなく、使っているプランで決まります。料金ページの比較表では、Free・Pro・Maxのモデルのトレーニングは「オプトアウト」、TeamとEnterpriseは「デフォルトではなし」と表示されています。

個人向けのFree・Pro・Maxでは、各自が設定でオフにしない限り、チャットの内容が学習に使われうる仕組みです。設定は本人が変えるもので、会社から全員分をまとめて確かめることは出来ません。社員が個人のアカウントで規程を入れると、学習に使われるかはその社員の設定次第となってしまいます。なお、学習に使われないシークレットチャットは、今のところプロジェクトの外でしか使えないと同社ヘルプに書かれています。

TeamとEnterpriseは、会社向けの商用製品として既定では入力と出力を学習に使わないと同社は説明しており、ここが個人プランとの大きな違いになります。ただし、回答に付いている高評価・低評価のボタンでフィードバックを送ると、その会話全体が最長5年保存され、モデルの学習に使われることがあります。オーナーとプライマリオーナーは、組織設定の「データとプライバシー」にある評価ボタンの設定(英語版ヘルプの表記はRate chats)で、このボタンを組織全体で使えなくすることが出来ます。規程Q&Aを全社に公開する前に、この設定をどうするか決めておきましょう。

※学習の扱いは、2026年9月24日時点で確認した同社の料金ページ(比較表のモデルのトレーニング欄)とプライバシーセンターの記載に基づく、同社の説明です。

会社の契約では、プライマリオーナーが会話やアップロードしたファイルを含むデータを書き出せることも、個人のアカウントとの違いになります。学習の設定と保存期間の全体像は親記事のClaudeとは何かに、ChatGPTを含めた学習の止め方はChatGPTに学習させない設定にまとめています。

規程を読ませる使い方も、会社の契約で1つにそろえる

社員ごとのプランと設定に任せず、規程を読ませる環境を会社で1つに決めませんか。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

Team・Enterpriseでの共有と権限

共有の権限は「表示可能」と「編集可能」の2つで、規程Q&Aでは一般の社員に表示可能、規程を管理する総務の担当者だけに編集可能を付けるのが基本になります。共有はプロジェクト名の右側にある共有のボタンから、名前かメールアドレスでメンバーを追加して行います。メールアドレスの一覧を貼り付けて、まとめて追加することも出来ます。

表示可能と編集可能を誰に付けるか

表示可能のメンバーは、プロジェクトの内容・ナレッジ・指示を見てチャットできますが、編集は出来ません。編集可能のメンバーは、指示とナレッジを変えられるほか、メンバーの設定も更新できると同社ヘルプに書かれています。権限を付ける相手の目安は次のとおりです。

  • 一般の社員:表示可能。組織全体に公開するなら、1人ずつ追加する必要はありません
  • 規程を管理する総務の担当者(2名程度):編集可能。1人だけにすると、休みや退職のときに誰も更新できなくなります
  • 情シスの担当者:必要なら表示可能。設定の相談役として入ってもらいます
  • 外部の委託先の担当者:付けません。共有の相手は組織内のメンバーに限られます
  • 退職や異動が決まった人:新しく付けず、すでに付いている場合は外します

表示可能の権限でも、プロジェクトの指示とナレッジの中身はそのまま見えます。指示に社外秘の条件を書かないという前の節の決まりは、このためになります。閲覧だけの権限なら中身は見えないと考えてしまうと、思わぬところで社内に情報が広がってしまいます。

公開プロジェクトでも社員のチャットは見えない

組織全体に公開したプロジェクトでも、その中で社員が行ったチャットは、本人が手動で共有しない限り他のメンバーからは見えません。同社ヘルプにも「プロジェクトが公開されている場合でも、そのプロジェクト内のチャットはプライベート」と明記されています。育児休業や休職のような周りに知られたくない質問もしやすい作りのため、社員向けの案内でこの点を伝えると安心して使ってもらえるでしょう。チャットを共有した場合も、共有されるのは共有した時点までのやり取りで、その後のメッセージは既定では非公開のままとなります。ただし、会社の契約ではプライマリオーナーが会話を含むデータを書き出せるため、誰にも絶対に見えないという案内は避けたほうが正確です。

管理者の設定:プロジェクトを共有/公開プロジェクト

TeamとEnterpriseのオーナーとプライマリオーナーは、組織設定の「データとプライバシー」にある「共有」の欄で、プロジェクトの共有そのものを止めることが出来ます。設定は「プロジェクトを共有」と、そのサブ設定の「公開プロジェクト」の2つで、どちらも既定でオンになっています。

  • 「プロジェクトを共有」をオフにすると、新しい相手への共有ができなくなり、公開プロジェクトも非公開になります。すでに共有済みの相手のアクセスは残ります
  • 「公開プロジェクト」だけをオフにすると、組織全体への公開はできなくなりますが、特定の人やグループとの共有は続けられます
  • 一度非公開になったプロジェクトは、設定をオンに戻しても非公開のままです
  • Enterpriseでは、ロールごとに共有のオン・オフを分けられます(反映まで最大15分)

規程Q&Aを全社に公開したい会社は両方をオンのまま使い、個人の資料が組織全体に公開されるのを避けたい会社は「公開プロジェクト」だけをオフにして、規程Q&Aは全員を一括で招待する運用も選べます。設定を変えるときは、既存の公開プロジェクトが非公開になることを事前に社内へ知らせてください。

異動・退職のときの片付け

担当者の異動や退職のときは、プロジェクトをアーカイブするだけではアクセスは外れません。アーカイブしても共有の権限とメンバーはそのまま残ると同社ヘルプに書かれているためです。外すには、共有のメニューでその人のロールをクリックし、「アクセスを削除」を選びます。また、アーカイブ中のプロジェクトは削除できないため、削除したいときは先に「アーカイブ解除」をする必要があります。Enterpriseのグループ共有(ベータ)では、個別に追加されていなければ、グループを抜けた人は自動でアクセスを失うとされており、人の出入りが多い会社に向いています。退職の手続きのチェック表に、プロジェクトの共有メニューの確認を1行足してみてください。

社内規程Q&A以外の業務別の活用例

規程Q&Aと同じ形は、決まった資料と決まった答え方がある業務なら、どれにも当てはめることが出来ます。指示とナレッジの組み合わせの例を挙げます。

  • 経理の問い合わせ窓口:ナレッジに経費精算のマニュアルと勘定科目の一覧を入れ、指示に「マニュアルにない科目は経理に確認するよう案内する」と書きます
  • 契約書の一次チェック:ナレッジに自社のひな形と過去に合意した修正の方針を入れ、指示に「ひな形との違いを条番号つきで一覧にする」と書きます。最終判断は担当者か専門家が行います
  • 提案書の下書き:ナレッジに会社案内と過去の提案書を入れ、指示に「会社案内にない実績は書かない」と書きます
  • 顧客対応(CS)の返信案:ナレッジによくある質問と製品マニュアルを入れ、指示に「返金や補償は約束せず担当者に回す」と書きます
  • 新入社員向けの社内ガイド:ナレッジに入社手続きと社内システムの使い方を入れ、指示に「手続きの締め切りを必ず添える」と書きます
  • 社内報や採用ページの記事:ナレッジに表記ルールと過去の記事を入れ、指示に「表記ルールに沿って書く」と書きます

どの例でも、ナレッジにないことを推測で埋めさせない一文を指示に入れるのが共通のコツとなります。業務ごとにプロジェクトを分け、1つのプロジェクトに複数の業務の資料を混ぜないようにしましょう。資料を読み込ませて答えさせる仕組みそのものはRAGとはで詳しく扱っているので、ナレッジが増えてきたら読んでみてください。

作って終わりにしない指示とナレッジの見直し

規程Q&Aは、公開した後に社員の質問を見ながら指示とナレッジを直していくことで精度が上がります。見直しのきっかけは、規程の改定、答えられなかった質問、間違った答えの3つです。

  • 規程を改定したとき:古いファイルを削除して新しい版を入れ、ファイル名の施行日を変えます
  • 答えられなかった質問が続いたとき:規程に書かれていないなら、総務の回答を社内Q&A集として文書にし、ナレッジに追加します
  • 間違った答えが出たとき:どの規程を根拠にしたかを確かめ、紛らわしい古い資料が残っていないかを見ます。指示に足りない決まりがあれば1行ずつ足します
  • 半年に1回:ナレッジの一覧と共有メンバーを棚卸しします

社員が自分のチャットで見つけた間違いは総務には見えないため、間違いを報告してもらう窓口を案内文に書いておくことが大切になります。評価ボタンを組織の設定で止めた会社では、なおさら社内の報告窓口が要るでしょう。

指示を変えたら、以前に試した3種類の質問をもう一度投げ、答え方が崩れていないかを確かめてみてください。直した日と内容をプロジェクトの説明欄に書いておくと、編集可能の担当者どうしで経緯を共有しやすくなります。

どの契約で社内規程を入れるか

会社の規程を入れるなら、社員が個人で契約したアカウントではなく、会社が管理できる契約の中で作るのが前提です。3つの選び方を比べると、違いは共有できる範囲と、学習と権限を会社が管理できるかどうかに出ます。

  • 社員個人のFree・Pro・Max:共有はできず、学習に使われるかは本人の設定次第です。会社からは中身も設定も確かめられません
  • ClaudeのTeam・Enterprise:共有と権限、管理者の設定があり、既定で学習に使われません。料金は1シートごとで、Claude以外のAIは別の契約になります
  • 複数のAIを1つの会社契約で使えるサービス:ClaudeのプロジェクトやChatGPTのGPTsにあたる機能を社内限定で用意しているものがあります。権限や学習の扱いはサービスごとに確かめます

社員がすでに個人のアカウントでプロジェクトを作っている場合、Teamに移ると、チャットやプロジェクト、指示とファイルも一緒に移すことが出来ます(App Storeで購入した個人プランは移せないなど、例外があります)。ただし、この移行は一方通行で、会社の側に移した内容を個人のアカウントへ戻すことは出来ないと同社ヘルプに書かれています。移す前に、個人のプロジェクトに業務と関係のない資料が混ざっていないかを本人に確かめてもらいましょう。

社員が個人のアカウントで規程を入れて使っている状態は、会社から見えない利用、いわゆる野良AI(シャドーAI)の入り口にもなります。規程Q&Aを会社の環境で用意し、個人のアカウントには規程を入れないというルールを生成AIの社内ガイドラインに1行書き加えておけば、社員も迷わずに使えるでしょう。

規程を読ませるBOTも、会社の契約の中で

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです。GPTs・Gem・Claudeプロジェクトの社内版にあたるカスタムプラスで、よく使う指示と手順をBOTにして社内限定で共有でき、社内文書RAGで自社資料を読み込ませて回答させることも出来ます。管理者ダッシュボードでは、利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

Claudeのプロジェクトは無料でも使えますか?
使えます。無料のアカウントでは最大5つまで作成できます。資料が増えたときに容量を広げるRAGは有料プランだけの機能で、組織内での共有はTeamとEnterpriseに限られます。個人向けのプランでは、各自が設定でオフにしない限りチャットの内容が学習に使われうるため、会社の規程を入れる用途には向きません。
プロジェクトには何ファイルまで入れられますか?
同社ヘルプでは、ファイルの数に上限はないものの、中身の合計がClaudeのコンテキストウィンドウに収まる必要があるとされています。1ファイルあたりの上限は30MBです。有料プランでは、ナレッジが上限に近づくと自動でRAGに切り替わり、容量が最大10倍まで広がると説明されています。
プロジェクトを共有した相手に、自分のチャットは見えますか?
見えません。組織全体に公開したプロジェクトでも、その中のチャットは本人が手動で共有しない限り、他のメンバーからは見えないと同社ヘルプに明記されています。共有した場合も、対象は共有した時点までのやり取りです。ただし、TeamとEnterpriseではプライマリオーナーが会話を含む組織のデータを書き出せます。
ChatGPTのGPTsとは何が違いますか?
指示と資料を登録して同じ前提で使い回す点はよく似ています。Claudeのプロジェクトは、チャットの履歴もプロジェクトの中にまとまる作業場所で、TeamとEnterpriseでは表示可能・編集可能の権限を付けて組織内で共有します。どちらを使うかは、機能の細かな差より、会社がどのサービスを契約しているかで決めるのが現実的です。
プロジェクトの名前や説明に書いたルールは効きますか?
効きません。同社ヘルプの作成手順に、Claudeは名前と説明にアクセスできないと注記されています。答え方のルールはプロジェクト指示に、規程の本文はプロジェクトナレッジに入れてください。説明欄は、社員がプロジェクトを選ぶときの案内や、更新の履歴を書く場所として使うと便利です。
退職した社員のアクセスはアーカイブで外れますか?
外れません。プロジェクトをアーカイブしても、共有の権限とメンバーはそのまま残ります。共有のメニューでその人のロールをクリックし、「アクセスを削除」を選んでください。アーカイブ中のプロジェクトは削除できないため、削除したい場合は先にアーカイブを解除します。

まとめ

Claudeのプロジェクトは、指示とナレッジを登録して同じ前提でチャットできる作業場所で、「+ 新規プロジェクト」からの作成・ナレッジ・指示の3手順で使い始められます。名前と説明はClaudeに渡らないため、規程Q&Aのルールは指示に、規程の本文は個人の情報を消してからナレッジに入れます。

会社の規程を読ませるなら、先に決めるのは共有の権限と学習の設定です。表示可能の権限でも指示とナレッジは見え、個人プランでは学習に使われるかが本人の設定次第となります。TeamとEnterpriseでは既定で学習に使われず、管理者は共有や公開、評価ボタンを組織の設定で制御することが出来ます。公開した後も、改定と質問をきっかけに指示とナレッジを見直していきましょう。法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧からご覧ください。