Claudeとは

Claudeとは、米国のAnthropicが開発した生成AI(AIアシスタント)です。会社で使うなら、まず決めるべきは性能の比較ではなく、社員の個人プランで使わせるのか、学習に使われない法人プラン(TeamまたはEnterprise)を契約するのか、ChatGPTなど他のAIとどう併用するのか、という3点です。この記事では、開発元とモデルの種類、できること、料金と日本の消費税の扱い、ChatGPTとの違いを公式情報で整理したうえで、入力したデータの扱い、社員の個人アカウントを会社の管理下に移す方法、社内ルールで決めておくことまでを順に解説します。

※この記事のモデル名・料金・機能・設定手順は、2026年9月17日時点でAnthropicの公式サイト(claude.com、support.claude.com、privacy.claude.com、platform.claude.com)に掲載されている内容をもとにしています。Claudeは機能と料金の更新が頻繁なため、契約や社内規程に反映する前に、必ず公式ページで最新の表示をご確認ください。

Claudeとは|開発元Anthropicと安全性重視の設計

Claudeは、文章の作成や要約、資料の読み込み、表計算やスライドの作成、プログラムの作成までを、日本語の会話で依頼できる生成AIです。Web版(claude.ai)のほか、デスクトップアプリ(Claude Desktop)、iOS・Android向けのアプリがあり、開発者向けにはAPI(自社のシステムからClaudeを呼び出す仕組み)も提供されています。Anthropicの公式サイトに掲載されている提供地域の一覧には日本が含まれています。

ChatGPTと同じ種類のサービスですが、開発しているのは別の会社です。社内で名前を出すときは、ChatGPTの開発元がOpenAI、Claudeの開発元がAnthropic、と押さえておくと混乱しません。

開発元Anthropicはどんな会社か

Anthropicは、自らをAIの安全性と研究の会社(AI safety and research company)と説明している米国の企業です。2022年4月29日の同社発表では、2021年の初めに設立され、米国カリフォルニア州サンフランシスコを拠点にしていると書かれています。

日本との関係では、2025年8月6日に日本の責任者として東條英俊氏の任命を発表し、2025年10月29日にはアジア太平洋地域で初めての拠点として東京オフィスを開設したと発表しています。同じ発表の中で、日本のAIセーフティ・インスティテュート(AISI)と、AIの評価手法での協力に関する覚書を交わしたことにも触れています。

資本面では、Amazonとの関係が深い会社です。Amazonは2026年4月20日付の発表で、Anthropicに50億ドルを出資し、一定の商業上の条件に応じて将来さらに最大200億ドルを出資すること、これは過去に出資した80億ドルに加えたものであることを公表しています。同じ発表には、AnthropicがAWSを重要なワークロードの主要な学習・クラウドの提供元として選び続けているとの記載もあります。

※設立時期・拠点・出資額は、いずれもAnthropicまたはAmazonの発表内容です。出資額は発表時点の金額で、第三者が検証した数字ではありません。

ClaudeはAnthropicの自社サービスとして提供されるほか、AWSのAmazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundryでも利用できます。すでにこれらのクラウドを契約している会社では、Claudeの画面(claude.ai)とは別に、クラウド経由で自社システムに組み込むという選択肢もあります。AWS経由の単価と社員数別の月額の目安はAmazon Bedrockの料金で整理しています。

Constitutional AI(憲法AI)とは何か

Claudeの説明でよく出てくるのが、Constitutional AI(憲法AI)という学習の手法です。Anthropicが2022年12月15日に公表した研究では、有害な出力かどうかを人が一件ずつ判定するのではなく、あらかじめ書き出した規則や原則の一覧(これを憲法になぞらえています)を基準にAI自身が回答を点検・修正し、その結果を使って学習させる方法だと説明されています。教師あり学習の段階と、AIによる評価を使った強化学習(RLAIF)の段階の2つで構成される、とされています。

2023年5月9日の解説記事では、人の大量の評価から暗黙に価値観を決めるのではなく、明文化した原則でモデルの価値観を与える方法だとしたうえで、完璧な方法ではないが、AIがどんな原則に従っているかを理解しやすく、調整もしやすくなる、と同社自身が書いています。2026年1月21日には、この原則集(Claudeの憲法)の新しい版を公開したとしています。

安全性を前面に出す設計は、最新モデルの提供方法にも表れています。上位モデルのClaude Fable 5.1では、サイバー攻撃の手法など特定の分野の依頼を安全性の分類器が検知すると、別のモデルに自動で切り替えたり、回答を止めたりする仕組みが組み込まれていると公式ヘルプで説明されています。

会社として読むときの注意:安全性を重視した設計だというのは、あくまで開発元の方針と手法の説明です。社員が入力した情報が漏れないことや、回答が正確であることを保証するものではありません。情報の扱いは、後半で解説するプランの選び方と社内ルールで管理する必要があります。

Claudeのモデルの種類と使い分け(Haiku・Sonnet・Opus・Fable・Mythos)

Claudeには複数のモデル(AIの頭脳にあたる部分)があり、迷ったらOpus 5から始めるよう公式が案内しています。Anthropicの開発者向けドキュメントでは、2026年9月17日時点で次の4つが現行のモデルとして掲載されています。

  • Claude Opus 5:複雑なエージェント型のコーディングと企業の業務向けのモデル。公式ドキュメントは、どのモデルを使うか迷ったら多くの用途でOpus 5から始めるよう案内しています。
  • Claude Sonnet 5:速度と賢さのバランスをとったモデル。日常的な文章作成や要約など、量の多い作業に向きます。料金やOpus 5との違いはClaude Sonnet 5の解説にまとめています。
  • Claude Haiku 4.5:4つの中で最も応答が速いと公式ドキュメントで説明されているモデル。短い応答を大量にこなす用途に向きます。
  • Claude Fable 5.1:2026年9月1日に公開された上位モデル。公式ドキュメントでは、高度な推論や長時間の作業が必要な場合、またはOpus 5で試しても足りない場合に使うモデルとして位置づけられています。

このほかに、Claude Mythos 5.1というモデルもあります。Anthropicの公式ページでは、Fable 5.1と同じ基盤のモデルで、サイバーセキュリティと生物学の分野の安全策の設定が異なるものと説明されており、提供は審査を受けた一部の組織に限られ、公式ページでは現時点で米国の一部組織のみとされています。料金ページの一般向けプランの比較表にMythosの行はありません。詳しくはClaude Mythosの解説とClaude Fableの解説をご覧ください。

プランによって使えるモデルが違う

料金ページの比較表では、SonnetとHaikuは無料のFreeプランを含む全プランで使えますが、OpusはFreeでは使えず、Pro以上が対象です。Fableはさらに扱いが分かれており、Proは使用クレジット(プランの上限とは別に、標準のAPI料金で支払う追加の利用枠)で利用、Maxは週ごとの利用上限の50%までをFableに使える、という表示です。Teamではプレミアムシートが週ごとの上限の50%までで、スタンダードシートは使用クレジットを有効にした場合に使えると公式ヘルプに書かれています。

※Maxなどで週の上限の50%までFableに使えるというのは、上限そのものが増えるという意味ではなく、同じ週の上限の中からFableに使える割合を示したものです(公式ヘルプの説明)。

使い分けの目安

業務での使い分けは、細かく決めすぎないほうが定着します。社員向けには、日常の文章作成・要約・メールの下書きはSonnet、長い契約書や複数資料をまたいだ分析はOpus、それでも足りない難しい分析はFable(プランで使える場合)、という3段階程度の目安で十分です。どのモデルを使ったかで回答の質も消費する利用枠も変わるため、Teamで導入する場合は、上位モデルを使ってよい業務を社内で決めておくと、利用上限に早く達する社員が出にくくなります。4つのモデルの違いと、総務・経理などの業務への割り当て例、プランごとの費用の変わり方はClaude OpusとSonnetの違いは?4モデルを会社の仕事にどう割り当てるかで詳しく解説しています。

長文処理に強いと言われる理由(コンテキストの長さ)

Claudeが長い文書の読み込みに向くと言われる根拠は、一度に扱える情報量(コンテキストウィンドウ)の大きさです。開発者向けドキュメントでは、Opus 5・Sonnet 5・Fable 5.1のコンテキストウィンドウは100万トークン、Haiku 4.5は20万トークンと掲載されています。トークンは文章をAIが処理する単位で、同ドキュメントは100万トークンをおよそ55万5千語、または約250万文字(Unicode文字)と説明していますが、言語ごとの内訳は示されていません。

ただし、これはAPIの値です。社員が使うチャット画面(claude.ai)では、有料プランのヘルプ記事に、Fable 5.1・Opus 5・Sonnet 5は有料プランのチャットで100万トークン、Opus 4.8などの一部の旧モデルは50万トークン、それ以外(Haiku 4.5など)は20万トークンと書かれています。料金ページの比較表は全プランを「最大100万 モデルによって異なります」と表示している一方、Teamプランの説明記事には200kと書かれた箇所もあります。長い資料を扱う前提で導入するなら、契約前に実際の画面で、使う予定のモデルと資料で試しておくのが確実です。

日本語については、Web版とデスクトップアプリの表示言語に日本語があり、会話は利用者が使った言語で返すと公式ヘルプに書かれています。日本語の自然さはモデルや用途で感じ方が変わるため、社内で比べる場合は、実際の社内文書の要約やメール文面など、自社の業務に近い題材で確かめてください。モデルの知識には期限(ナレッジカットオフ)があり、公式ドキュメントではOpus 5が2026年5月、Sonnet 5が2026年1月、Haiku 4.5が2025年2月、Fable 5.1が2026年6月までを、信頼できる知識の期限として示しています。表示言語の切り替え手順や、文書別に日本語で指示するときの文例は「Claudeを日本語で使う設定と、会社の文書で使う前の確認点」にまとめています。

Claudeでできること|業務での活用例

Claudeで業務に使いやすいのは、文章を読む・まとめる・書く作業と、ファイルを作る作業です。総務・経理・営業など、IT部門以外の社員が日常的に使える場面を中心に、公式ヘルプで確認できる機能と合わせて整理します。

文章作成・長文の要約・翻訳

社外向けメールの下書き、議事録の整理、社内通知の文案、規程の改定案の叩き台など、文章の作成は使い始めやすい用途です。長い文書の要約にも向いており、チャットには1ファイル500MBまで、1つのチャットに20ファイルまでアップロードでき、PDFは1,000ページまで読み込めると公式ヘルプに書かれています。100ページまでのPDFは文字に加えて図や表などの画像部分も解析し、101〜1,000ページのPDFは文字だけを処理する、という違いがあります。英文の契約書や海外の取引先からのメールを日本語で要約させる、日本語の案内文を英語にする、といった翻訳の用途でも使えます。

Excel・PowerPoint・Word・PDFの作成

Claudeは会話の中でプログラムを実行し、Excel、PowerPoint、Word、PDFのファイルを作ってダウンロードできる形で渡せます。公式ヘルプでは、この機能(コード実行とファイル作成)はFree・Pro・Max・Team・Enterpriseの全プランで、Web版・デスクトップアプリ・モバイルアプリから使えると説明されています。数式の入った表計算、アップロードしたデータの分析、グラフ入りの報告書、手元の資料からのプレゼン資料といった使い方が例として挙がっています。

会社として押さえておきたいのは、この機能の管理です。Teamプランでは組織のオーナーが設定でこの機能を止められ、Claudeが外部のネットワークにアクセスできる範囲も管理者側で設定できます。Enterpriseプランの新しい組織では、外部ネットワークへのアクセスは既定でオフです。

データ分析・資料の読み取り

アップロードに対応する文書の形式は、PDF・DOCX・CSV・TXT・HTML・ODT・RTF・EPUB・JSON・XLSX(XLSXはコード実行とファイル作成を有効にしている場合)で、画像はJPEG・PNG・GIF・WebPです。売上データのCSVから傾向をまとめる、見積書のPDFから項目を抜き出して表にする、紙の書類を撮影した画像から内容を読み取る、といった使い方ができます。ただし、読み取った数字や集計結果は必ず元の資料と突き合わせてください。

プログラム作成と業務の自動化

プログラムの作成や修正、エラーの原因調べにも使えます。社内にエンジニアがいない会社でも、Excelのマクロや、定型のデータ整形の手順を相談する使い方は現実的です。開発部門がある会社向けには、後述のClaude Codeがあります。

画像生成はできる?読み取りと図の作成までが範囲

Claudeは、画像生成ツールのように写真やイラストを生成するサービスではありません。公式ヘルプの「Can Claude produce images?」では、Claudeは画像生成ツールのような方法で写真やイラストを生成しないと明記されています。一方で、HTMLやSVGを使った図・グラフ・操作できる図解を会話の中で作ることはでき(Web版とデスクトップ版でベータ提供)、アップロードした画像を見て分析することもできる、と説明されています。

そのため、チラシ用の写真素材や広告バナーのイラストを作らせたい場合は、画像生成に対応した別のサービスを使うことになります。社内で複数のAIを併用する理由の一つがここにあります。Claudeで作れる図とプラン別の違い、画像生成AIとの使い分けはClaudeで画像生成はできる?で詳しく説明しています。

Claudeの主要機能(Artifacts・Projects・Research・メモリ)と関連製品

Claudeには、チャットで質問するだけでなく、成果物を作る・資料をまとめて置く・調べ物を任せるための機能があり、プランによって使える範囲が違います。主なものを、会社で使うときの注意と合わせて紹介します。

Artifacts(アーティファクト)

アーティファクトは、Claudeが作った文書・資料・ダッシュボード・小さなツールなどを、会話の横に開いて編集できる機能です。公式ヘルプでは、人に見せるために作るもの全般を指すと説明されており、全プランで利用できます。2026年9月16日の発表では、文書を一緒に書くClaude Docsと、スライドを作るClaude Slidesが新たに加わり、Claude Designと合わせて有料プランでベータ提供されています。Pro・Max・Teamでは既定でオン、Enterpriseでは組織のオーナーがオンにするまで使えません。

Projects(プロジェクト)

プロジェクトは、チャットの履歴と参考資料、指示文をひとまとめにした作業場所です。たとえば就業規則や社内の書式をプロジェクトに入れておけば、その前提でやり取りできます。Freeプランは5つまで作成でき、有料プランでは資料が多くなると自動でRAG(必要な部分だけを検索して読み込む仕組み)に切り替わります。プロジェクトを組織内のメンバーと共有できるのはTeamとEnterpriseだけです。

Research(リサーチ)とWeb検索

Web検索は全プランで使えます。リサーチは、Claudeが複数回の検索を重ねて出典付きのレポートを作る機能で、Pro・Max・Team・Enterpriseの有料プランが対象です。接続したGmailやGoogleカレンダー、Googleドキュメントの内容とWeb全体をまとめて調べることもできると公式ヘルプに書かれています。出典が付いていても、重要な判断に使う前にリンク先の原文を確認する運用が前提です。

メモリとシークレットチャット

メモリは、過去の会話の内容を覚えて次の会話に活かす機能です。Free・Pro・Maxでは既定でオンで、TeamとEnterpriseではオーナーが有効にした場合に使えます。記録を残したくないときに使うのがシークレットチャット(Incognito)で、チャット履歴にもメモリにも残らず、学習にも使われません。ただし、保存されないのは本人の画面上の話で、30日間(Enterpriseで独自の保存期間を設定している場合はその期間)は保持されます。さらに、TeamとEnterpriseでは、シークレットチャットも組織のオーナーが取得するデータのエクスポートに含まれると公式ヘルプに明記されています。

コネクター・Claude for Microsoft 365・Claude in Chrome

コネクターは、Google Drive・Gmail・Googleカレンダーなど外部のサービスとClaudeをつなぐ機能で、料金ページでは全プランで利用できる表示です。Microsoft 365の中でClaudeを使うClaude for Microsoft 365と、ブラウザのChromeで作業を手伝うClaude in Chromeは、Pro以上のプランで使えます。社内のファイルに直接つながる機能なので、会社で使う場合はどのサービスとの接続を認めるかを決めておく必要があります。

Claude Code(開発向け)

Claude Codeは、エンジニアがターミナル(コマンドを入力する画面)や開発ツールの中で、コードの作成・修正・調査をClaudeに任せるための開発者向けの製品です。料金ページのFAQでは、すべての有料プランに含まれ、チャットと同じ利用上限を共有すると説明されています。Freeプランでは使えません。現行のEnterpriseプラン(利用量課金型)ではシート料金とは別に、Claude Codeを含むすべての利用量が標準のAPI料金で請求されます。開発部門が使う場合は、非エンジニアの社員とは消費する量が大きく違う点に注意が必要です。

Claude Cowork とチャットの統合

Claude Coworkは、報告書や資料づくりのような大きめの作業をClaudeに任せるための機能として提供されてきました。2026年9月16日のAnthropicの発表で、CoworkとチャットはひとつのClaudeに統合されることになり、ProとMaxから数週間かけて順次展開し、ほかのプランにも広げるとしています。発表では、会話の中で依頼すれば、Claudeが作業に必要なものを判断して文書やスライドまで作り、PowerPointやPDFでダウンロードできると説明されています。

会社で使う場合に知っておきたいのは、Claudeが実際の操作を行う前に既定で確認を求める設定になっている点です。確認を減らして作業を続けさせる設定に変えることもできますが、社内の共有フォルダや外部サービスにつないで使う場合は、既定の設定のまま始め、どこまで任せるかを段階的に決めるのが安全です。

Claudeの料金プラン一覧(Free・Pro・Max・Team・Enterprise)

Claudeの料金は、個人向けのFree・Pro・Maxと、法人向けのTeam・Enterpriseに分かれ、いずれも米ドル建てです。料金ページには税抜で載っている金額と、日本から表示したときに消費税10%を含めて表示される金額があるため、社内で金額を共有するときはどちらの金額かを明記してください。以下は料金ページに税抜で掲載されている金額です。

  • Free:0ドル。Web・デスクトップ・モバイルでのチャット、Web検索、ファイル作成とコード実行、メモリ、外部サービスとの連携、アーティファクトの作成が含まれます。
  • Pro:月払いで月20ドル、年払いで月17ドル相当(200ドルを一括請求)。Freeより多い利用量に加え、Claude Code、Claude Design・Slides・Docs、プロジェクト、Research、Opusなどより多くのモデル、ChromeとMicrosoft 365でのClaudeが含まれます。
  • Max:月100ドルから。Proの5倍または20倍の利用量を選べ、混雑時の優先アクセスが付きます。請求は月払いです。
  • Team:2〜150名のチーム向け。スタンダードシートが年払いで1シート月20ドル(月払いは25ドル)、プレミアムシートが年払いで月100ドル(月払いは125ドル)。一元的な請求と管理、シングルサインオン(SSO)が含まれ、既定で会話内容をモデルの学習に使いません。
  • Enterprise:1シート月20ドル(年払い)に、実際の利用量をAPI料金で加算する形。Teamの機能に加え、SCIM、監査ログ、カスタムのデータ保持期間などが含まれます。

日本から料金ページを表示すると、消費税10%を含む米ドルの金額(例:Proの月払いが22ドル、Teamのスタンダードシートが年払いで月22ドル・月払いで27.50ドル)が表示されます。

※税抜の金額は2026年9月17日に、日本から表示した税込の金額は2026年9月16日に、claude.comの料金ページで確認したものです。円での公式価格は料金ページに掲載されていないため、この記事では円に換算していません。Teamを人数別に契約した場合の年額や、シートの組み合わせ方はClaude Teamの料金で、個人プランの選び方はClaudeの料金で、Enterpriseの課金の仕組みはClaude Enterpriseの解説で詳しく扱っています。

日本の消費税10%と適格請求書(インボイス)

経理処理で押さえておきたいのが、消費税とインボイスの扱いです。Anthropicのヘルプ記事(2026年3月16日付)では、2026年4月1日から日本の顧客に対して消費税10%を別途課すこと、すべてのプラン料金に10%の消費税が加算されることが告知されています。

同じ記事で、Anthropicは適格請求書発行事業者の登録を済ませており、登録番号はT7700150134388で、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認できると案内しています。消費税の課税事業者である法人は、Anthropicが発行する適格請求書を使って仕入税額控除を受けられると説明されています。請求の通貨は変わらず、消費税額は適格請求書に日本円で表示されます。一方で、個人の利用者は仕入税額控除を受けられないとも書かれています。

経理担当者向けの確認点:社員が個人のProを会社のカードで契約して経費精算する運用では、請求書の宛名や登録番号の扱いを含め、仕入税額控除の要件を満たせるかを顧問税理士に確認してください。会社として契約するTeamやEnterpriseのほうが、請求書を組織の単位で管理しやすくなります。消費税の具体的な処理は、Anthropicも自社の税務担当者や会計士に相談するよう案内しています。

支払い方法と請求サイクル

中小企業で導入が止まりやすいのが支払い方法です。Teamプランの請求FAQでは、使えるのはクレジットカード・デビットカード・プリペイドカードで、ACH(米国の銀行振替)を含むほかの支払い方法は受け付けていないと書かれています。料金ページの比較表でも、請求書払いに対応するのはEnterpriseの営業担当経由の契約だけで、Teamとセルフサービス(オンラインで申し込む形)のEnterpriseは請求書払いに対応していません。ProとMaxも、Webで申し込む場合はクレジットカードかデビットカードだけです。

請求サイクルは、料金ページの比較表でProとTeamが月払いと年払い、Maxが月払い、Enterpriseが年払いと表示されています。Teamでは請求期間の途中でメンバーを減らしても返金やクレジットは発生せず、空いたシートを別の人に割り当てる形になると請求FAQに書かれています。年払いにする場合は、年の途中で人数が減っても費用が戻らない前提で、最初の席数を決めてください。

無料版でできること・できないこと

Freeプランでも、チャット、Web検索、ファイルのアップロードと作成、アーティファクト、メモリ、コネクター、シークレットチャットまでは使えます。プロジェクトは5つまで作成できます。できないのは、Opusを含む一部のモデルの利用、Research、Claude Code、Claude in Chrome、Claude for Microsoft 365、Claude Design・Slides・Docsなどです。利用量もPro以上より少なく、料金ページのFAQは、Proが5時間のセッションあたりFreeの少なくとも5倍の利用量だと説明しています。

会社として見たときに大きいのは、機能よりもデータの扱いです。Freeは個人向けプランなので、学習への利用は本人の設定次第になり、会社側で設定を強制したり利用履歴を確認したりする管理機能はありません。無料で試すこと自体は問題ありませんが、業務の情報を入れて使う段階になったら、会社としてどのプランで使うかを決める必要があります。

API料金(100万トークンあたり)

自社のシステムや業務アプリからClaudeを呼び出すAPIは、チャットのプランとは別の従量制の料金です。公式の料金ドキュメントでは、100万トークンあたりの入力・出力の単価が、Fable 5.1が10ドル・50ドル、Opus 5が5ドル・25ドル、Sonnet 5が2ドル・10ドル、Haiku 4.5が1ドル・5ドルと掲載されています。バッチ処理(急がない処理をまとめて依頼する方式)を使うと50%安くなるとも書かれています。

Sonnet 5の2ドル・10ドルは、公開時に2026年8月31日までの導入価格として発表されていたものが標準価格になり、9月1日に予定されていた値上げは行わないと公式ドキュメントに記載されています。

※API料金は2026年9月17日時点の公式ドキュメントの金額です。APIの料金表示と消費税の関係は料金ページの表示だけでは判断しにくいため、税の扱いは請求時にご確認ください。

利用上限(5時間ごとのリセットと週ごとの上限)

Claudeの有料プランは使い放題ではなく、利用量に上限があります。料金ページのFAQによると、すべてのプランに5時間のローリングセッションウィンドウでリセットされる上限があり、有料プランにはさらに週ごとの上限があります。Web・デスクトップ・モバイル・Claude Codeでの利用はすべて同じ枠から消費され、会話の長さや複雑さ、選んだモデル、使う機能によって使える量が変わるため、固定のメッセージ数はないと説明されています。

上限に達したときは、リセットを待つ、上位プランに移る、または有料プランで使用クレジットをオンにして標準のAPI料金で続ける、のいずれかになります。Teamプランの上限はメンバーごとに設定されており、1人が上限に達しても他のメンバーは使い続けられます。スタンダードシートはProの1.25倍、プレミアムシートはProの6.25倍の5時間あたりの利用量が含まれると公式ヘルプに書かれています。

管理者が決めておくこと:使用クレジットをオンにすると、上限を超えた分が標準のAPI料金で請求されます。オンにするかどうか、オンにするなら組織や個人ごとの上限額をいくらにするかを、導入前に経理と決めておくと、想定外の請求を防げます。

Claudeの始め方(アカウント登録・基本操作・アプリ)

Claudeは、Googleアカウントかメールアドレスがあれば数分で使い始められます。ただし会社の業務で使うなら、登録の途中で学習の設定を選ぶ場面があるため、その前に社内の方針を決めておくのが順序です。

アカウント登録の流れ

  1. ブラウザでclaude.aiを開くか、デスクトップアプリまたはモバイルアプリを起動します。
  2. 「Continue with Google」でGoogleアカウントを使うか、メールアドレスを入力して「Continue with email」を選びます。メールの場合は、届いたログイン用のリンクを開きます。
  3. 新しく登録する場合は、登録の流れの中で、会話をClaudeの改善(モデルの学習)に使うことを許可するかを選びます。業務で使う可能性があるなら、この段階で許可しない選択をするよう社員に案内してください。
  4. 画面左下のプロフィールアイコンから言語の設定を開くと、表示を日本語に切り替えられます。

社員に個人のアカウントを作らせる前に、会社のメールアドレスで作らせるのか、Teamプランに招待して最初から組織のアカウントで使わせるのかを決めておきましょう。会社のメールアドレスで作った個人アカウントは、後からTeamやEnterpriseに移せますが、移せないデータもあります(後半で解説します)。

基本操作

  • 質問する:画面下の入力欄に依頼内容を書いて送信します。目的・前提・出力の形(箇条書き、表、文字数など)を書くと、やり直しが減ります。
  • ファイルを渡す:入力欄の左下にある+ボタンから「Add files or photos」を選ぶか、ファイルを画面にドラッグします。画像はコピーして貼り付けることもできます。
  • モデルを選ぶ:送信ボタンの近くにあるモデル名を選ぶと、プランで使えるモデルに切り替えられます。
  • 記録を残さずに使う:新しいチャットを始めるとき、画面右上のおばけのアイコンでシークレットチャットにできます(プロジェクトの中では使えません)。

使えるアプリ

公式ヘルプでは、Claudeを使う手段として、Web版のチャット(claude.ai)、iOSアプリ、Androidアプリ、デスクトップアプリ(Claude Desktop)、開発者向けのClaude Console・APIが挙げられています。スマートフォンのアプリからProやMaxを契約すると、支払いはApple App StoreやGoogle Playの管理になり、解約や返金の手続き先も変わります。会社で費用を管理する場合は、アプリ内ではなくWebから契約するほうが扱いやすくなります。

ClaudeとChatGPT・Geminiとの違い(比較表)

ClaudeとChatGPTは、どちらが優れているかより、開発元、画像生成の有無、法人プランの人数や支払いの条件が違うサービスとして比べるのが実務的です。公式ページで確認できる範囲で、主な違いを並べます。

比べる点ClaudeChatGPT
開発元AnthropicOpenAI
個人向け有料プラン(米ドル表示)Pro 月20ドル(税抜、月払い)、Max 月100ドルからGo 月8ドル、Plus 月20ドル、Pro 月100ドルから
チーム向けプランの対象人数Team:2〜150名Business:2〜200名
チーム向けの標準的な席の料金スタンダードシート 年払い月20ドル・月払い月25ドル(税抜)標準シート 年額課金で月20ドル・月額課金で月25ドル
個人プランの学習の扱い料金ページの表示は「オプトアウト」料金ページの表示は「無効化可能」
チーム向けプランの学習の扱い既定で学習に使わないデフォルトではビジネスデータを学習に使用しない
写真やイラストの生成画像生成ツールのような生成はしない全プランで画像生成に対応
APIの主なモデルのコンテキストOpus 5:100万トークンGPT-6 Astra:105万トークン

※2026年9月15日〜17日に、claude.com・chatgpt.com・OpenAIの開発者向けドキュメントの公式表示で確認した内容です。ChatGPTの料金ページは閲覧環境によって円で表示されることがあり、税込か税抜かの記載はありません。Claudeの金額は料金ページに税抜で載っているものです。

画像生成とファイル作成の違い

実務で差が出やすいのは画像の扱いです。OpenAIは2026年9月8日に、ChatGPTの画像生成の新しい版(ChatGPT Images 2.5)を全プランで提供すると発表しています。Claudeは前述のとおり写真やイラストを生成しないため、チラシやSNS用の画像を社内で作るならChatGPTなど画像生成に対応したサービスが必要です。一方で、ExcelやPowerPointのファイル作成はClaudeも全プランで対応しています。

法人プランの条件の違い

チーム向けプランは、ClaudeのTeamが2〜150名、ChatGPTのBusinessが2〜200名が対象で、人数がこれを超える場合は、それぞれEnterpriseの検討になります。支払いは、どちらもチーム向けのプランはカード払いが基本で、請求書払いを希望する場合は営業担当を通じた大企業向けの契約になる点が共通しています。1シートの基本料金も、年払いで月20ドル・月払いで月25ドルと同じ水準で並んでいます。

Geminiとの違い

GoogleのGeminiは、個人向けのGoogle AIプランと、Google Workspaceに含まれる形の2つの入り口があります。個人向けのGoogle AI Proは日本の料金ページで月額2,900円と表示されていますが、申し込めるのは個人のGoogleアカウントだけで、Workspaceの利用者はWorkspace側の契約で使う形です。Google Workspaceは1ユーザーあたり月額800円・1,600円・2,500円(年間プラン・税別)の各プランにGeminiの機能が含まれます。すでにGoogle Workspaceで業務をしている会社では、ClaudeかGeminiかではなく、Workspaceに含まれるGeminiを土台にして、長文の分析などの用途でClaudeを加えるかを考える形になります。

※Geminiの金額は2026年9月16日にGoogleの公式料金ページで確認したものです。4つの主要AIの得意分野と業務別の割り当て方は主要4AIの違いと使い分けで、ChatGPTの法人プランの詳細はChatGPTの法人向けプランと料金で解説しています。

ChatGPTとClaude、どちらに課金すべきか

1つだけ選ぶ必要がある場合は、社内で多い用途で決めるのが現実的です。画像やSNS素材の作成が多いならChatGPT、長い契約書や社内資料を読み込ませる用途が中心ならClaudeを先に試す、という分け方が一つの目安になります。ただし、どちらのサービスもモデルの更新が続いており、得意分野の差は固定されたものではありません。両方を用途で使い分ける場合は、契約と管理の手間が2倍になる点が次の課題になります。複数のAIをまとめて使う方法はマルチAIの解説で整理しています。

入力したデータは学習に使われる?個人プランとTeam・Enterpriseの違い

個人向けのFree・Pro・Maxでは各自が設定でオフにしない限り会話が学習に使われうる一方、TeamとEnterpriseでは既定で学習に使われません。料金ページの比較表でも、モデルのトレーニングの項目は個人の4プランが「オプトアウト」、TeamとEnterpriseが「デフォルトではなし」と表示されています。会社で使うときに差が大きい部分なので、仕組みを正確に押さえておきましょう。

個人プラン(Free・Pro・Max)は本人の設定次第

Anthropicは2025年8月28日に消費者向けの規約とプライバシーポリシーを改定し、Free・Pro・Max(これらのアカウントで使うClaude Codeを含む)の利用者が、自分の会話をClaudeの改善に使うことを許可するかを選ぶ方式にしました。この改定は、Team・Enterprise・APIなど商用の規約が適用されるサービスには適用されないと明記されています。

プライバシーセンターの説明では、個人プランの会話が学習に使われるのは、本人が改善への利用を許可した場合、安全性の確認のために会話にフラグが立った場合、テスト参加などで明示的に学習への参加を選んだ場合です。設定はいつでも変更でき、パソコンでは「Settings」から「Privacy」を開き、「Help Improve our AI models」の切り替えで変更します。オフにすると、過去と新しい会話は今後の学習に使われません。ただし、すでに始まっている学習や学習済みのモデルからは取り除かれないとも書かれています。

見落としやすい例外:回答に付いている高評価・低評価のボタンでフィードバックを送ると、関連する会話全体が5年まで保存され、ユーザーIDから切り離したうえでAIモデルの学習に使われることがある、と公式に書かれています。学習をオフにしていても、評価ボタンを押せば対象になりうるということです。社員向けの説明では、評価ボタンを押さないこともあわせて伝えてください。

個人プランで会話が保存される期間

学習の設定によって、会話が保存される期間も変わります。プライバシーセンターの保存期間の記事(2026年7月1日付)によると、改善への利用を許可した場合、会話は個人を特定できない形で学習用の仕組みの中に5年まで保存されることがあります。許可しない場合について、Anthropicは2025年8月28日の規約改定の発表で、従来の30日のデータ保持期間が続くと説明しています。なお、会話は自分で削除するまでチャット履歴に残ります。削除すると、チャット履歴からはすぐに消え、バックエンドの保存領域からは30日以内に削除されます。

さらに、利用ポリシー違反と自動判定された会話は、入力と出力が2年まで、安全性の分類スコアが7年まで保存されると書かれています。社員に個人プランを使わせる場合、情報システム部門はこうした保存期間の違いを把握したうえで、業務情報を入れてよいかを判断する必要があります。

Team・Enterpriseは既定で学習に使わない

商用製品向けのプライバシーセンターの記事では、Team・Enterpriseを含む商用製品の入力と出力を、既定ではモデルの学習に使わないと説明されています。例外は、利用者が高評価・低評価のボタンなどでフィードバックやバグ報告を送った場合と、データの利用を明示的に許可した場合です。TeamとEnterpriseでは、組織のオーナーが組織設定の「Data and Privacy」から、メンバーがフィードバックを送れないようにする設定もできます。

データの保存先と、処理される国

学習に使われるかどうかと並んで確認したいのが、データがどこに保存され、どこで処理されるかです。商用製品(Claude EnterpriseやAPIなど)向けのプライバシーセンターの記事(2026年6月15日付)では、Anthropicは顧客データの処理に複数のクラウド事業者を使っており、別途の合意や指示がない限り、既定で米国・欧州・アジア・オーストラリアの一部の国に通信を振り分けることがある、と書かれています。そのうえで、データは米国に保存されると明記されています。安全性の確認やサポート、障害対応のために、同社や関連会社が事業を行う国でデータを処理することがあるとも書かれています。

個人情報を扱う業務でClaudeを使う場合、社内規程やお客様への説明では、保存先が米国であることを前提に検討してください。利用量課金型のEnterpriseプランには、推論を米国内に限定する組織設定があります。APIでも選べる処理地域は米国か全世界のどちらかで、日本国内に限定する選択肢は公式ドキュメントにありません(2026年9月17日時点)。

入力データの扱いを、個人プランの設定に任せきりにしない

個人のProで使っていると、学習設定を含めてデータの扱いが本人の設定しだいになります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

会社で使う前に押さえたいリスク

会社でClaudeを使うときの主なリスクは、誤った回答をそのまま使ってしまうことと、入れてはいけない情報を入力してしまうことの2つです。どちらもツールの設定だけでは防ぎきれないため、社内ルールと組み合わせて対策します。

ハルシネーション(誤情報)への注意

Claudeの公式ヘルプは、Claudeが誤った回答や誤解を招く回答をすることがあり、これはハルシネーションと呼ばれる現象だと説明しています。例として、最新の情報で学習していない分野で時事問題を聞かれると混乱することがあること、もっともらしく見える引用を事実に基づかずに示すことがあることが挙げられています。同じヘルプは、Claudeをただ一つの情報源として頼らず、重要な判断に関わる助言は慎重に確かめるよう利用者に求めています。

Web検索の結果を使った回答についても、Claudeが示した出典を確認するよう案内されています。元のWebサイトには、Claudeの要約に含まれていない重要な前提や詳細が書かれていることがあるためです。業務では、次のような使い方を社内ルールにしておくと安全です。

  • 数字・日付・法令・固有名詞は、必ず元の資料か公式の情報源で確認してから使う
  • 社外に出す文書は、AIが作った下書きであっても、担当者が内容に責任を持って確認する
  • 知識の期限(ナレッジカットオフ)より後の出来事は、Web検索の出典を開いて確かめる

情報漏洩リスクと社内ルールづくり

情報漏洩の対策は、どのプランで使わせるかと、何を入力してよいかの2つを会社として決めることが出発点です。個人情報保護委員会は2023年6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、個人情報取扱事業者が本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを生成AIサービスに入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反する可能性があるとしています。そのため、そうした入力をするなら、サービスの提供事業者が個人データを機械学習に使わないこと等を十分に確認するよう求めています。

この注意喚起を前提にすると、社員が個人プランで学習の設定をオンにしたまま顧客の情報を入力する状態は、会社として避けるべきだとわかります。個人プランでも各自がオフにすれば原則として学習には使われませんが(評価ボタンを押した場合などの例外があります)、全員が正しく設定しているかを会社が確かめる手段はありません。

顧問先の情報を扱う士業の事務所では、職業上の守秘義務も関係します。たとえば税理士法第38条は、税理士が正当な理由なく、税理士業務で知り得た秘密を他に漏らしたり盗用したりしてはならず、税理士でなくなった後も同様だと定めています。どのサービスに何を入力することがこれに触れるかは個別の判断になりますが、顧問先のデータをどのプランのAIに入れてよいかは、事務所の規程で明文化しておくべき事項です。

社内ルールの骨格には、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日)が参考になります。同ガイドラインは、事業活動でAIを使う事業者をAI利用者と位置づけ、AIシステム・サービスに個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意を払うこと、AI提供者が定めたサービス規約を守ることなどを挙げています。法的な拘束力のないソフトローですが、社内規程に何を書くかの根拠として使えます。ルール文書の具体的な作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で、点検項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストで解説しています。

最初に決める3つのこと:①業務で使ってよいプラン(個人プランを認めるか、TeamやEnterpriseに限るか)、②入力してはいけない情報の種類(個人情報、顧客の機密、未公表の財務情報など)、③AIの回答を社外に出す前に誰が確認するか。この3つが決まっていない状態で使い始めると、会社から見えない利用が広がりやすくなります。会社が把握していないAI利用の実態と対策は野良AI(シャドーAI)の解説をご覧ください。

会社でClaudeを使うときに決めること

会社でClaudeを使うなら、プランを選ぶだけでなく、すでに個人で使っている社員をどう移すか、管理者が何を見られるのかを社員に伝えるか、他のAIとどう併用するかまでを決めておく必要があります。ここでは、公式ヘルプに書かれている管理の仕組みを、決めることの順に整理します。

法人向け管理機能(SSO・SCIM・監査ログ)とは

Claudeの法人プランには、社員のアカウントを会社の仕組みで管理するための機能があります。料金ページの比較表では、Teamにはシングルサインオン(SSO:会社のIDでログインさせる仕組み)、一元的な請求と管理、使用状況の分析、組織全体への指示の設定などが含まれます。Enterpriseでは、これに加えてSCIM(社員の入社・退職に合わせてアカウントを自動で追加・削除する仕組み)、監査ログ、Compliance API、カスタムのデータ保持期間、ロールベースのアクセス制御などが使えます。

監査ログについて、公式ヘルプはEnterpriseの組織だけで使え、オーナーがエクスポートすると過去180日分がまとめて出力され、チャットやプロジェクトの題名と本文は含まれず識別子だけが出力されると説明しています。どこまで記録を追えるかはプランで大きく違うため、社内規程に利用記録の確認を書く場合は、契約するプランで実際に取れる情報に合わせて書いてください。

社員が勝手に別の組織を作るのを防ぐ

Teamプランでも、社員が会社のメールアドレスで勝手に別のTeam組織を作ることを防ぐ設定があります。料金ページの比較表では、「組織の作成を制限」と「ドメイン確認」がTeamとEnterpriseの両方で利用できる機能として表示されています。一方、会社のドメインで作られた個人アカウントを管理者がまとめて組織に取り込む「ドメインキャプチャ」「ドメインを使用するアカウントを移行」は、Enterpriseだけの機能です。Teamで導入する場合は、ドメインの確認と組織作成の制限を最初に設定し、個人アカウントからの移行は社員本人に操作してもらう、という手順になります。

社員の個人アカウントをTeamに移すときに移るもの・移らないもの

すでに会社のメールアドレスで個人のFree・Pro・Maxを使っている社員は、そのアカウントをTeamやEnterpriseの組織に移すことができます。公式ヘルプによると、移し方は、本人が自分で移行を始める方法(TeamとEnterprise)と、管理者がドメイン上の個人アカウントを請求する方法(Enterpriseのみ)の2つで、どちらも移る内容は同じです。

移るのは、チャット、チャット内のアーティファクト、プロジェクトとその指示文・ファイル、アップロードしたファイル、チャットとプロジェクトのメモリ(組織でメモリをオフにしている場合を除く)などです。移らないのは、自分で作ったカスタムスキル、連携していたアプリやサービスへのログイン(すべての許可が取り消されます)、自分で追加したカスタムコネクター、公開したアーティファクト(TeamとEnterpriseでは公開機能が使えないため)、チャットの公開共有リンク(永久に使えなくなります)、デスクトップアプリ上のCoworkのセッションなどです。

移行は一方向で、一度組織に移した内容は個人アカウントに戻せないと明記されています。Teamでは、組織への招待を受けたときに、個人アカウントを残すか、データを持って組織のアカウントだけにするか、データを削除して組織のアカウントだけにするかを選び、後から「Settings」の「Account」にある「Close your personal account」で移行を始めることもできます。個人でProやMaxを契約していた場合、Webで契約していれば自動で解約され日割りで返金されますが、Apple App Storeで契約していた場合は自動では解約されないため、先にAppleのアカウント設定で解約しておく必要があるとも書かれています。

移行前に社員に案内すること:残したいカスタムスキルの書き出し、公開していたアーティファクトの控え、共有リンクで人に渡していた内容の別の方法での共有、連携していたアプリの一覧のメモ。そして、App Storeで契約している人は自分で解約すること。この5点を事前に伝えておくと、移行後の問い合わせが減ります。

管理者が取得できるデータを社員に伝える

TeamやEnterpriseで使わせる場合、会社の管理者が何を取得できるのかを、社員にあらかじめ伝えておくことが大切です。プライバシーセンターの記事では、組織が指定したプライマリオーナーが、組織のアカウントと関連するすべてのデータを管理し、データのエクスポートを通じて、Claudeとの会話、アップロードされたファイル、利用状況を取得できると説明されています。プライマリオーナーは、必要に応じて社員のアクセスを取り消すこともできます。

前述のとおり、シークレットチャットもこの組織のエクスポートに含まれます。社員の側から見ると、画面上は履歴に残らない使い方をしていても、会社の管理者は取得できるということです。後から問題にならないよう、社内規程や利用ガイドに、業務用アカウントの会話は会社が確認することがあると明記し、退職時にはアクセスを取り消してデータを会社側に残す運用を決めておきましょう。

ChatGPTと併用するなら、契約と管理をどう持つか

ClaudeとChatGPTを併用する会社では、契約と管理の窓口が2つに増えます。それぞれのチーム向けプランで、請求、アカウントの発行と停止、学習の設定の確認、利用状況の確認、退職者の棚卸しを別々に行うことになり、どちらか一方で手続きが漏れても気づきにくくなります。ClaudeのTeamが2〜150名、ChatGPTのBusinessが2〜200名という対象人数の違いもあり、人数が増えたときの移行先もサービスごとに検討が必要です。

また、両方のサービスに1シートずつ費用がかかるため、全社員に両方を配るのは負担が大きく、一部の社員にだけ配る判断になりがちです。配られなかった社員が個人のアカウントで使い始めると、ここまで説明した学習の設定や保存期間の管理が効かない利用が生まれます。複数のAIを使う前提なら、1つの契約と1つの管理画面で複数のAIを使える形も選択肢になります。法人向けの主なサービスの料金は法人向け生成AIサービスの料金比較にまとめています。

導入前のチェックリスト

  • 業務で使ってよいプランを決めたか個人プランを認めるなら学習の設定をオフにする手順と確認方法を、認めないならTeamやEnterpriseへの移行の期限を決めます。
  • 入力してはいけない情報を明文化したか個人情報、顧客や顧問先の機密、未公表の財務情報など、具体的な種類で書きます。
  • 支払い方法と経理処理を確認したかTeamはカード払いのみです。消費税10%と適格請求書の扱いを経理と顧問税理士に確認します。
  • 使用クレジットと上限額を決めたか上限を超えた分をAPI料金で払うかどうか、払うなら組織と個人の上限額を決めます。
  • 組織の作成制限とドメイン確認を設定したか社員が別の組織を作らないよう、Teamでも最初に設定します。
  • 個人アカウントからの移行手順を案内したか移らないデータの控えと、App Storeで契約している人の解約を事前に伝えます。
  • 管理者が取得できるデータを社員に伝えたかシークレットチャットも組織のエクスポートに含まれることを利用ガイドに書きます。
  • ChatGPTなど他のAIとの使い分けを決めたか画像生成など、Claudeでできない用途をどのサービスで行うかを決めます。

ChatGPTと併用するなら、社内は1契約・1画面に

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約・1つの画面で使える法人向けのサービスです。会話の途中でもモデルを切り替えられ、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・使わせるモデルのオンとオフを管理できます。基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

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よくある質問

ClaudeとChatGPTの違いは何ですか?
開発元が違い、ClaudeはAnthropic、ChatGPTはOpenAIが開発しています。実務で差が出やすいのは画像の扱いで、ChatGPTは画像生成に対応していますが、Claudeは公式ヘルプで写真やイラストを生成しないと説明されています。チーム向けプランの対象人数は、ClaudeのTeamが2〜150名、ChatGPTのBusinessが2〜200名です。文章作成、長い資料の読み込み、ExcelやPowerPointの作成はどちらでもできるため、どちらが優れているかより、社内で多い用途に合わせて選ぶのが現実的です。
Claudeは無料で使えますか?
使えます。Freeプランは0ドルで、チャット、Web検索、ファイルのアップロードと作成、アーティファクト、メモリ、コネクターなどが使え、プロジェクトは5つまで作成できます。Opusなど一部のモデル、Research、Claude Code、Claude for Microsoft 365などは有料プランが必要です。なお、Freeは個人向けプランのため、会話を学習に使うかは本人の設定で決まり、会社側で管理する機能はありません。業務の情報を入れて使うなら、会社としてのプランを決めてからにしてください。
Claudeは何がすごいのですか?
よく挙げられるのは長い文書を一度に扱える点です。有料プランのヘルプ記事では、Fable 5.1・Opus 5・Sonnet 5はチャットで100万トークンのコンテキストウィンドウに対応すると説明されています。PDFは1,000ページまで読み込め、会話の中でExcel・PowerPoint・Word・PDFのファイルを作れる機能は無料のFreeプランを含む全プランで使えます。開発元のAnthropicは、明文化した原則でAIの振る舞いを学習させるConstitutional AIという手法を公表しています。ただし、いずれも開発元の説明であり、回答の正確さを保証するものではありません。
Claudeはどういう時に使うとよいですか?
長い契約書や議事録の要約、複数の資料をまとめた報告書の下書き、アップロードしたデータの集計、メールや社内文書の作成、ExcelやPowerPointの資料づくりなどに向いています。一方で、写真やイラストの生成には対応していないため、画像素材が必要な場面では画像生成に対応した別のサービスを使います。数字・日付・法令などは誤ることがあるため、元の資料で確認してから使ってください。
会社で課金するなら、ChatGPTとClaudeのどちらがよいですか?
社内で多い用途で決めるのが一つの目安です。画像やSNS素材の作成が多いならChatGPT、長い資料の読み込みが中心ならClaudeを先に試す、という分け方があります。どちらも1シートの基本料金は年払いで月20ドル、月払いで月25ドルの水準で、チーム向けプランは既定で学習に使わない設定です。両方を使う場合は、契約・請求・アカウント管理が2つに分かれる点も含めて検討してください。
Claudeで画像は作れますか?
写真やイラストは作れません。公式ヘルプでは、Claudeは画像生成ツールのような方法で写真やイラストを生成しないと説明されています。ただし、HTMLやSVGを使った図・グラフ・操作できる図解を会話の中で作ることはでき(Web版とデスクトップ版でベータ提供)、アップロードした画像を読み取って分析することもできます。
社員が個人のProプランを業務に使うのは問題ありませんか?
会社として管理できない点に注意が必要です。個人プランは、本人が設定でオフにしない限り会話が学習に使われうる仕組みで、学習を許可していると会話が5年まで保存されることがあります。会社側には、全員の設定を確認したり利用履歴を取得したりする手段がありません。個人情報保護委員会は、個人データを含むプロンプトを入力する場合、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。業務で使うなら、既定で学習に使わないTeamやEnterpriseに移すか、使ってよい範囲を社内規程で決めてください。
Claudeに入力した内容は学習に使われますか?
プランによって違います。Free・Pro・Maxの個人プランは、本人が設定のPrivacyにあるHelp Improve our AI modelsをオフにしない限り、会話が学習に使われることがあります。TeamとEnterpriseは、既定で入力と出力を学習に使いません。ただし、どのプランでも高評価・低評価のボタンでフィードバックを送ると、関連する会話が学習に使われることがあると公式に書かれています。TeamとEnterpriseでは、組織のオーナーがフィードバックの送信を止める設定もできます。

まとめ

Claudeは、米国のAnthropicが開発した生成AIで、文章の作成や長い資料の読み込み、ExcelやPowerPointの作成、プログラムの作成までを日本語で依頼できます。モデルはOpus 5・Sonnet 5・Haiku 4.5・Fable 5.1が現行で、迷ったらOpus 5から始めるよう公式が案内しています。写真やイラストの生成には対応していないため、画像が必要な業務では別のサービスと併用することになります。

料金は米ドル建てで、2026年4月1日から日本の顧客には消費税10%が加算され、Anthropicは適格請求書発行事業者として登録しています。Teamプランの支払いはカードのみで、請求書払いは営業担当を通じたEnterpriseの契約が対象です。

会社で使うときに特に差が出るのはデータの扱いです。個人向けのFree・Pro・Maxは各自がオフにしない限り会話が学習に使われうる仕組みで、会社側で設定を確かめる手段がありません。TeamとEnterpriseは既定で学習に使わず、管理者がアカウントやデータを管理できます。導入するときは、使ってよいプランと入力してはいけない情報を決め、すでに個人で使っている社員のアカウントを移す手順と、管理者が取得できるデータを社員に伝えておきましょう。ChatGPTなど他のAIと併用する場合は、契約と管理をいくつ持つかも含めて検討してください。

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