
Claude Teamのセキュリティとは、会社で契約したClaudeに入れた社内の情報を、学習や社内外への不用意な共有から守るための仕組みと設定の全体を指す言葉です。Teamは既定で会話をモデルの学習に使いませんが、評価ボタン・公開プロジェクト・社外に出ていく機能・会社の外の個人アカウントという4つの穴は、管理者が初日に設定を確かめ、社員に一言伝えない限り残ってしまいます。誤って顧客情報を入れたときの初動も、Teamでは保存期間を会社で縮められないことを前提に決めておく必要があります。
Claudeそのものの特徴や料金、ChatGPTとの違いといった全体像は、Claudeとは?料金・ChatGPTとの違い・会社で使う前に決めることで扱っています。こちらのページは、Teamを契約した(これから契約する)会社の総務・情シスの方に向けて、契約後の初日に触る管理画面の設定と、社員に配る文面に絞りました。
Claude Teamは既定で学習に使わない|それでも残る4つの穴
Claude Teamに入れた会話は、既定ではモデルの学習に使われません。ただ、学習されないことと、情報が社外や社内の別の方に届かないことは、別の話になります。
個人向け(Free・Pro・Max)とTeamで違う、学習の扱い
学習の扱いは、個人向けのプランと会社向けのプランで出発点が違います。公式の料金ページ・プライバシーセンターと2025年8月の発表の記載を、管理者の目線で並べると次のとおりです。
| 項目 | 個人向け(Free・Pro・Max) | Team |
|---|---|---|
| 料金ページの比較表の「モデルのトレーニング」 | オプトアウト | デフォルトではなし |
| 学習に使われる場面 | 本人が改善への利用を許可した場合、安全性の確認の対象になった場合、明示的に参加した場合 | 評価ボタンなどでフィードバックを送った場合、またはデータの利用を自ら許可した場合 |
| 会話の保存期間 | 改善への利用を許可すると最長5年(匿名化して保持)、許可しなければ30日(2025年8月28日の発表) | 削除するまで製品の中に保持。削除するとバックエンドから30日以内に削除 |
| シークレットチャット | 改善への利用を許可していても学習に使わない | 30日以内に自動で削除(利用ポリシー違反と判定された場合を除く) |
| 評価ボタン(高評価・低評価) | 関連する会話全体を最長5年保存し、学習に使うことがある | 同じ扱い。ただし管理者が組織として止められる |
2025年8月28日、AnthropicはFree・Pro・Maxの利用者に、会話を改善に使うかどうかの選択を求める規約の変更を発表しました。この変更はClaude for Work(いまのTeamとEnterprise)やAPIには適用されないと、同じ発表の中で明記されています。会社で契約したTeamは、既定で入力と出力を学習に使わない側に入ることになります。
Teamでも学習や漏洩につながる4つの穴
Teamに切り替えたあとも、次の4つは管理者が手を打たない限り残ってしまいます。
- 評価ボタン(高評価・低評価)を押すと、その会話全体が最長5年保存され、学習に使われることがある
- 公開プロジェクトが既定で有効で、人事や顧客の資料が社内の別の部署の方から見える場所に置かれやすい
- ウェブ検索やClaude in Chromeのように、Claudeが社外のサイトに出ていく機能がある(Claude in ChromeはTeamでは既定でオン)
- 社員が私用のメールアドレスで作った個人アカウントは、会社の管理画面に映らない
4つのうち3つは、管理画面の設定で塞ぐことが出来ます。Teamを契約するだけでは、評価ボタンと個人アカウントの2つは残ってしまいます。評価ボタンは設定で止められますが、個人アカウントは設定では届かないため、社員への通知と移行の期限で回収していくことになるでしょう。
管理者が初日に確認する管理画面の設定
契約した日に管理者が見ておきたい設定は、主にOrganization settingsの中にまとまっています。設定名は英語の案内に合わせて書いているため、日本語表示の画面では訳語が異なる場合があります。
| 設定 | 場所 | 既定・条件 | 初日のおすすめ |
|---|---|---|---|
| Rate chats(チャットの評価) | Organization settings > Data and Privacy | 既定値の記載なし。画面で確認 | オフ。評価ボタンから会話が送られる経路を止める |
| Public projects(公開プロジェクト) | Organization settings > Data and privacy | TeamとEnterpriseでは既定で有効 | 使う予定がなければオフ。既存の公開プロジェクトは非公開に切り替わる |
| ウェブ検索 | Organization settings > Capabilities | OwnerかPrimary Ownerが組織全体で有効にしてから使える | 用途を決めてから有効にする。有効にした後は社員がチャットごとに切り替える |
| Enable for your team(Claude in Chrome) | Organization settings > Claude in Chrome | Teamでは既定でオン | 使わないならオフ。使うならアクセスできるサイトを絞る |
| メンバーの招待・削除 | Organization settings > Members | 招待は許可したメールドメインだけ。招待の有効期限は21日 | 保留中の招待を整理する。保留中の招待もシートを占有する |
| SSO | OwnerかPrimary Ownerが設定 | ドメインの検証(DNS)とIdPが必要 | 社内のIdPがあれば早めに設定し、SSO必須の設定もオンにする |
| Export Data(データのエクスポート) | Organization settings > Data and privacy | Primary Ownerだけが実行できる | Primary Ownerを誰にするか決め、書き出しがあり得ることを社員に知らせる |
※設定名・既定値は2026年9月20日時点で Anthropic のヘルプセンター・プライバシーセンター・料金ページに記載されている内容です。画面の表記は変わることがあるため、実際の管理画面でもご確認ください。
評価ボタン(Rate chats)は最初にオフにする
Teamでも、評価ボタンで送ったフィードバックは例外として扱われます。Anthropicのプライバシーセンターは、商用プランでも高評価・低評価のボタンでフィードバックを送ると、関連する会話全体を最長5年保存し、ユーザーIDなどから切り離したうえで学習に使うことがあると案内しています。社員に悪気はなくても、良い回答に高評価を押すだけで会話が送られてしまうため、管理画面で止めてしまうのが確実でしょう。初日にRate chatsをオフにし、評価ボタンから会話が出ていく経路を閉じてください。この設定を変えられるのは、Primary OwnerとOwnerの方になります。
公開プロジェクトは既定で有効
公開プロジェクトは、プロジェクトを組織の中に公開する機能で、TeamとEnterpriseでは既定で有効になっています。人事や給与、顧客の資料を入れたプロジェクトを誤って公開にすると、社外ではなく社内の別の部署の方に見えてしまいます。Organization settings > Data and privacyのPublic projectsをオフにすると、既存の公開プロジェクトはすべて非公開に切り替わります。オフにしても、プロジェクトを個別に共有する使い方は残ると案内されているので、共同作業が止まる心配は小さいでしょう。
ウェブ検索・Claude in Chrome・コネクタの許可範囲
社外に出ていく機能は、止めるか、使う範囲を決めてから開けるかのどちらかになります。ウェブ検索は、OwnerかPrimary OwnerがOrganization settings > Capabilitiesで組織全体に有効にしてから、各メンバーがチャットごとに切り替えて使う仕組みです。Claude in Chromeは、Claudeが社員に代わってWebサイトを読み、クリックし、ページを移動するブラウザの拡張機能で、Teamでは既定でオンになっています。使う予定がなければ、Organization settings > Claude in ChromeのEnable for your teamをオフにしましょう。使う場合も、オーナーはアクセスできるサイトを管理できるため、社内の基幹システムや顧客管理の画面を対象から外す運用が考えられます。コネクタ(GmailやGoogle Driveなどとの接続)も、料金ページの比較表ではTeamに管理者の制御があるとされています。操作ごとの許可の決め方は、Claudeのコネクタの解説をご覧ください。
Claude in Chromeとプロンプトインジェクション
Claudeに社外のページを読ませる機能では、プロンプトインジェクションにも気を配りたいところです。プロンプトインジェクションとは、Webページやファイルの中にAIへの指示に見える文章を仕込み、AIを本来の依頼とは違う動きに誘導する手口を指します。ブラウザを操作できる拡張機能では、読んだページの文章に引っ張られて、社員が意図しない操作が行われるおそれがあります。社内システムにログインした画面では使わない、送信や購入のような取り消せない操作は必ず人が確かめる、という2点を社員に伝えておくと安心でしょう。
SSOとメンバー管理|退職者・異動者のアカウントを止める
SSOはTeamでも使えるため、社員の出入りが多い会社ほど先に設定する価値があります。SSO(シングルサインオン)とは、社内で使っている認証の仕組み(IdP)でClaudeへのログインをまとめる方法を指します。Anthropicのヘルプでは、SSOはTeam・Enterprise・Consoleの組織で使えるとされ、設定はOwnerかPrimary Ownerが行い、ドメインの検証(DNSでの確認)とIdPが必要とされます。料金ページの比較表でも、TeamのSSOは「はい」と表示されています。
SSOを入れる効き目は、退職や異動のときの止め忘れを減らせる点にあります。SSOを設定しただけでは、社員はメールでのログインも選べる状態のままです。SSO必須の設定(Require SSO for Claude)もオンにしておけば、ログインの入口をIdPにそろえることが出来ます。ただしTeamには、IdPのユーザー情報を自動で同期するSCIMがありません。退職者をClaudeのメンバーから外す作業は、管理者の手作業として手順書に書いておきましょう。
Membersの画面はOrganization Adminも操作できますが、請求の画面を開けるのはOwnerとPrimary Ownerだけです。招待は許可したメールドメインのアドレスにしか送れず、招待の有効期限は21日で、保留中の招待もシートを1つ占有します。退職者の削除と一緒に、使われていない保留中の招待も月に1回ほど見直してみてください。
社員の個人アカウントは、会社の管理画面に映らない
Teamを契約しても、社員が以前から使っている個人のClaudeは、会社の管理の外に残ったままになります。会社が把握していない個人アカウントでの業務利用は、いわゆる野良AI(シャドーAI)の典型的な入口です。個人アカウントに入れた顧客名や数字は、本人の設定次第で改善に使われることがあり、退職後も本人の手元に残ってしまいます。
個人アカウントで学習をオフにする場所
移行までのあいだ個人アカウントを使う方には、少なくとも改善への利用を許可しない設定にしてもらいましょう。Anthropicの案内では、個人アカウントのPrivacy Settings(プライバシー設定)に、Claudeの改善に会話を使うかどうかの項目(英語の案内ではModel Improvement)があります。この項目をオフにしても、評価ボタンを押した会話が最長5年保存され、学習に使われることがある点は変わりません。シークレットチャットは、改善への利用を許可していても学習に使われないとされています。それでも業務の相談は個人アカウントでは行わない、というのが本来の線引きになるでしょう。
Teamではドメインキャプチャが使えない|私用アドレスのアカウントは回収する
会社のドメインのアカウントを組織の管理下へまとめるドメインキャプチャは、英語のヘルプでEnterpriseプランのみと案内されている機能です。Teamでは、社員の個人アカウントを会社の側から組織へ強制的に移すことは出来ません。私用のメールアドレスで作られたアカウントは会社のドメインとも結び付かないため、Teamの管理画面からは把握できず、本人の申告に頼る部分が大きくなります。回収は、次の3つの段取りで進めてみてください。
- 全社員に、業務で使っている個人のAIアカウントの有無を申告してもらう(責めない前提で聞く)
- 移行の期限を決め、期限までに業務の会話を会社のTeamへ移すか、個人アカウントから削除してもらう
- 期限の後は、業務で個人アカウントを使わないことを利用規程に書き、年に1回申告を取り直す
申告を責める形にすると、正直に答える方が減ってしまいます。私用アドレスの個人アカウントは設定では止められないため、申告と移行の期限で回収しましょう。会社のTeamのほうが便利に使える状態を先に作り、移る理由を用意しておくことが近道でしょう。個人アカウントの利用が社内でどう見つかるかは、野良AIの利用はバレるのかでも扱っています。
社員が使うAIすべてに、学習させない設定を会社側から一律でかける方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
Teamでできないこと|Enterpriseとの管理機能の差
Teamは学習の既定とSSOまでは押さえていますが、操作の記録を残す仕組みと保存期間の調整はEnterpriseの機能です。料金ページの比較表で、TeamとEnterpriseの違いを管理者の目線で並べると次のようになります。
| 機能 | Team | Enterprise |
|---|---|---|
| SSO | はい | はい |
| ドメインの確認 | はい | はい |
| 組織の作成を制限 | はい | はい |
| コネクターの管理者コントロール | はい | はい |
| 使用状況の分析 | はい | はい |
| ロールベースのアクセス制御 | いいえ | はい |
| SCIM(IdPとのユーザー同期) | いいえ | はい |
| 監査ログ | いいえ | はい |
| コンプライアンスAPI | いいえ | はい |
| カスタムデータ保持 | いいえ | はい |
| ドメインキャプチャ | いいえ | はい |
| IP許可リスト | 比較表に行なし | Enterpriseのカードに記載 |
| モデルのトレーニング | デフォルトではなし | デフォルトではなし |
※料金ページの比較表の表記です。ヘルプの「Teamプランとは何ですか?」はTeamにロールベースの権限設定を含めており、公式の中で表記が分かれています。ドメインキャプチャは、個別のヘルプでもEnterpriseプランのみと案内されています。
監査ログとCompliance APIに記録されるもの
監査ログとは、誰がいつ何をしたかを後から追うための記録のことで、ClaudeではEnterpriseの組織だけが使えます。Enterpriseのヘルプでは、監査ログは利用者の操作やシステムのイベント、データへのアクセスといった主な情報を記録するものと説明されています。Compliance APIは、アクティビティのログやチャットの履歴、ファイルの内容を、利用者や期間で絞り込みながらプログラムで取り出す仕組みです。なお、監査ログの書き出しにはチャットやプロジェクトのタイトルと本文は含まれず、識別子だけが出力されると案内されています。Teamで会話の中身まで確かめる手段は、Primary OwnerによるExport Dataになります。
プラン別のデータ保持期間
会話が残る期間は、プランと操作によって次のように分かれます。
| 場面 | 保存期間 | 対象 |
|---|---|---|
| 改善への利用を許可している | 最長5年(匿名化して保持) | Free・Pro・Max |
| 改善への利用を許可していない | 30日(2025年8月28日の発表) | Free・Pro・Max |
| 評価ボタンでフィードバックを送った会話 | 最長5年 | 個人向け・商用とも |
| 削除した会話 | チャット履歴からすぐに消え、バックエンドから30日以内に削除 | Team・Enterprise |
| シークレットチャット | 30日以内に自動で削除 | Team・Enterprise |
| 利用ポリシー違反と判定された会話 | 入力と出力は最長2年、分類のスコアは最長7年 | Team・Enterprise |
| 保存期間を会社で決める | 最短30日から設定 | Enterpriseのみ |
Teamの会話は、削除しない限り製品の中に残り続けます。Teamでは保存期間を会社で縮められないため、残したくない会話は削除するしかありません。削除してもバックエンドから消えるまで最大30日かかる点も、覚えておきたいところです。
API・Zero Data Retention・Amazon Bedrockは別の入口
開発部門がClaudeを自社のシステムに組み込む場合は、Teamとは別の入口を使うことになります。Anthropicのプライバシーセンターは、Claude for WorkやAnthropic APIなどの商用製品の入力と出力を、既定では学習に使わないとしています。Claudeのモデルは、Amazon Bedrockのようなクラウド事業者のサービス経由でも使うことが出来ます。データの処理地域や保持の取り決め、Zero Data Retention(ZDR、データを保持しない取り決め)の可否は、入口ごとの契約条件で決まるため、Teamの管理画面の話とは切り分けて確認しましょう。社員が画面で使うチャットの守りを固める目的なら、まずはTeamの設定を整えるのが先でしょう。
Teamの料金・シートの種類・人数の範囲
Teamは2〜150名のチーム向けのプランで、スタンダードシートは年払いで1人月20ドル、月払いで25ドル(いずれも税抜)です。日本から料金ページを開くと、消費税10%込みの22ドルと27.50ドルで表示されます(2026年9月16日に日本から表示して確認)。10名全員をスタンダードの年払いにすると、税抜で毎月200ドル、年間では2,400ドルの支払いとなります。利用枠がスタンダードの5倍のプレミアムシートもあり、長く使う方だけに割り当てることが出来ます。人数ごとの年額やインボイスの扱いはClaude Teamの料金、プレミアムシートの考え方はClaude Teamのプレミアムシートの解説で扱っています。SCIMや監査ログが必要になった場合の移行先は、Claude Enterpriseの解説をご覧ください。
社員に配る通知文と、入力のルール
設定を整えたら、利用開始の日に社員へ短い通知を出しましょう。管理画面で止められない部分は、社員一人ひとりの判断に委ねるしかないためです。
利用開始の通知文ひな形
社内のチャットやメールにそのまま流せるよう、伝えたい要素を1通にまとめたひな形を置いておきます。会社名や期限、相談先は、自社のものに差し替えてお使いください。
件名:会社のClaude(Teamプラン)の利用開始について
本日から、会社で契約したClaudeを業務に使えるようになりました。招待メールから会社のアカウントでログインし、業務の相談はこのアカウントだけで行ってください。
- 顧客・取引先の個人情報、マイナンバー、パスワードなどの認証情報、公表前の決算や人事の情報は入力しないでください。名前は「A社」「Bさん」のように置き換えて相談してください。
- 回答の下に出る評価ボタン(高評価・低評価)は、会社の設定で使えないようにしています。表示されている場合も押さないでください。
- 会社の管理者(Primary Owner)は、必要な場合に、会話やアップロードしたファイルを含むデータを書き出して確認することがあります。
- 個人で登録しているClaudeやほかのAIを業務に使っている方は、◯月◯日までに情報システム担当へ申告し、業務の会話を会社のアカウントへ移すか削除してください。
- ブラウザの拡張機能(Claude in Chrome)は、会社が許可した範囲でだけ使えます。社内システムにログインした画面では使わないでください。
- 入力してはいけない情報を誤って入れてしまったときは、その会話をすぐ削除し、同じ日のうちに情報システム担当(連絡先◯◯)へ知らせてください。責任を問うためではなく、影響を確かめるための連絡です。
迷ったときは、入力する前に情報システム担当へ相談していただけると助かります。
会社の管理者が会話を書き出せることは、Anthropicのヘルプでも、Primary Ownerがデータのエクスポートを通じて会話やアップロードしたファイル、利用の傾向を含むデータにアクセスできる、と案内されています。後から知って驚く方が出ないよう、最初の通知に一文入れることをおすすめします。
入力してはいけない情報と、名前を伏せる書き方
Teamが学習に使わないとはいえ、入力してはいけない情報の線引きは別に決めておく必要があります。個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、個人情報を扱う事業者がプロンプトに個人情報を入れる場合は、利用目的の達成に必要な範囲かを十分に確認するよう求めています。本人の同意なく個人データを入力し、それが回答の生成以外の目的で扱われる場合には、法令違反となり得るとも注意を呼びかけました。顧客の名前は「A社」「Bさん」、金額は「約◯百万円」のように置き換えてから相談する書き方を、社内の標準にしてみてください。会計事務所や社労士事務所のように顧客から預かった情報を扱う業種では、顧問先の資料をどのプランに入れてよいかを事務所の規程に書いておくと、判断がぶれにくくなります。入力を避けたい情報の一覧は、生成AIに入力してはいけない情報にまとめています。
社内ルール・研修・見直しの回し方
通知文は一度出して終わりにせず、社内ルールと研修、定期的な見直しに組み込んでいくことが大切です。ルールの文書は生成AIの社内ガイドラインの作り方を土台にすると、Claude以外のAIにも同じ考え方を当てはめることが出来ます。研修は、評価ボタンを押さない、名前を置き換える、誤入力のときは削除して連絡する、の3点を実際の画面で見せるだけでも伝わりやすくなるでしょう。AIのサービスは機能の追加や設定の名前の変更が起こり得るので、四半期に1回は管理画面の設定を見直し、この記事の表と見比べてみてください。見直しの項目は、生成AIのセキュリティ対策チェックリストも参考になります。
1つの部署から始めて広げる
全社に一斉に配るより、1つの部署で2〜4週間ほど試してから広げるほうが、設定の見直しがしやすいでしょう。最初の部署では、公開プロジェクトやウェブ検索を使いたい場面が本当にあるかを確かめ、必要なものだけを開けていきます。使いたい方が使えない状態が長く続くと、個人アカウントに流れやすくなる点にも気を配りたいところです。
誤って顧客情報を入力したときの初動
誤って顧客の個人情報や機密を入れてしまったときは、会話の削除、管理者への報告、影響の見きわめの順に、その日のうちに動くことが基本です。Teamでは保存期間を会社で縮められないため、本人による削除が最初の一手になります。
- 本人がその会話をすぐに削除する。削除した会話はチャット履歴からすぐに消え、バックエンドからは30日以内に削除されると案内されている
- その会話で評価ボタンを押していないかを確かめる。押していた場合は会話全体が最長5年保存され得るため、報告に必ず書く
- 公開プロジェクトに入れていた場合は、非公開に戻す
- 管理者へ報告する(いつ・どの会話で・誰の・何の情報を・どこまで共有したか)
- 管理者は個人データが含まれるかを確かめ、利用目的の範囲に収まるか、顧客や委託元への説明が要るかを、社内の個人情報の担当者と判断する
- 同じ誤りが起きないよう、通知文と研修の中身を見直す
報告を受けた管理者の方は、責める前に事実を集めることを優先してみてください。叱られると分かっている職場では、次に同じことが起きたときに報告が上がらなくなってしまいます。誤入力は隠されるほど確認が遅れるため、報告した方を責めない決まりを先に作りましょう。
報告を受けた管理者が確かめること
管理者が確かめたいのは、情報の種類と量、誰の情報か、社内のほかの方の目に触れたかの3点です。評価ボタンを組織として止めていれば、2つ目の手順は確認だけで済むことが多くなります。個人データが含まれていた場合の扱いは、会社の個人情報の担当者や顧問の専門家に相談して判断するのが確実でしょう。記録は日時・内容・対応・再発防止策を1枚にまとめておくと、次回の研修の事例として使うことが出来ます。
Anthropicが案内している認証と、暗号化の確かめ方
稟議や取引先への説明で第三者の認証を求められたときは、Anthropicが案内している内容を、出所を付けて示すのが確実です。Anthropicはプライバシーセンターで、SOC 2 Type I・Type II、ISO 27001:2022、ISO/IEC 42001:2023を取得していると案内しています。HIPAAに対応した構成(BAAの締結が可能)も挙げられており、報告書はTrust Portalから請求する形です。いずれも同社の発表のため、認証の範囲や対象の期間は、取り寄せた報告書で確かめる必要があります。暗号化の方式や、自社で管理する暗号鍵(CMEK、Enterpriseの対象組織向け)の扱いといった細部も、稟議に添える前に資料や契約書面で確かめてみてください。
APIキーとClaude Codeは開発部門の別ルールに
Claude CodeはTeamを含む有料プランに含まれているため、開発者がいる会社では、チャットとは別のルールが要ります。Claude Codeは手元のファイルを読み、コマンドを実行できる道具なので、設定ファイルに入ったパスワードやAPIキーが会話に含まれないよう、扱うフォルダを決めておくことが大切です。APIキーは会話やソースコードに直接書かず、社内の保管場所で管理し、担当者の異動や退職のたびに作り直すことをおすすめします。権限の細かな設定は開発部門の担当者と決め、総務・情シス側では、キーの保管場所と作り直しの時期だけを押さえておきましょう。
Claudeの設定を社員任せにしないために
Claudeの守りは、管理画面の設定と社員への通知の2つで成り立っています。ただ、社員が使うAIがClaudeだけとは限らず、調べものは別のAI、資料の下書きはまた別のAIというように、用途ごとに使い分けている会社も少なくありません。AIごとに個別に契約すると、学習の設定や利用の記録を、契約の数だけ確かめることになってしまいます。どのAIにも学習させない設定を会社の側から一律にかけられる環境を用意できれば、社員の個人アカウントに流れる理由も減らすことが出来ます。複数のAIを1つの環境で使う考え方はマルチAIとはで、ChatGPTの側の設定はChatGPTに学習させない設定で扱っています。
Claudeを含む4つのAIに、学習非利用を会社側で一律に
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、全社一律で適用するため社員ごとの設定操作は不要です。管理画面ではUPGEAR AI上の利用状況を利用者・日時・利用モデル単位まで把握でき、CSVでの書き出しや、特定のAIモデルの利用禁止にも対応します。データの保管とログ管理は国内(AWSの日本リージョン)で行い、ClaudeはAmazon Bedrockの日本リージョン経由で接続する設計です。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Claude Teamに入力した情報は学習に使われますか?
Claude TeamでSSOは使えますか?
Claude Teamの管理者は社員の会話を見られますか?
個人のClaude ProとTeamでは、セキュリティの何が違いますか?
誤って顧客の個人情報を入力したらどうすればよいですか?
Claude in Chromeは止めたほうがよいですか?
まとめ
Claude Teamは既定で会話を学習に使わないため、個人アカウントで使うより守りの出発点が一段上がります。それでも、評価ボタン、公開プロジェクト、ウェブ検索やClaude in Chromeのような社外に出ていく機能、会社の外の個人アカウントという4つの穴は、設定と通知で塞ぐ必要があります。初日にRate chatsをオフにし、公開プロジェクトとClaude in Chromeの扱いを決め、SSOとメンバーの管理を整えたら、通知文を社員に送ってみてください。誤入力の初動と、TeamではできないEnterpriseの機能も、あわせて社内で共有しておくと安心でしょう。
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