政府、AI改革会議を月内に初会合
COPLUS AI NEWS夕方版
国はAIを前提にルールを見直し、現場のAIは読み取りと確認を担う
ニュース5本・約7分で読めます
政府がAIを前提にした規制・制度や運用ルールの整備を省庁横断で進める新しい会議の初会合を月内に開く見通しとなり、AIを使う側の線引きにも影響しそうです。2nm世代の半導体で動く医療AIの研究開発、図面から見積情報を読み取るAI、生成画像の類似チェック、ゴルフ場の自動運転カートとあわせ、夕方のAI動向5本を整理します。
📋 本日のニュース
① 政府、「AI・デジタル改革推進会議」の初会合を月内に開催へ AIを前提とした規制・制度や運用ルールを省庁横断で整備
時事通信/2026年10月20日
時事通信によると、デジタル相は10月20日の記者会見で、政府が新設する「AI・デジタル改革推進会議」の初会合を今月中に開くと明らかにしました。人口減少への対応も視野に、AIなどデジタル技術の活用を進めることが目的で、デジタル相は「AIを前提とした規制・制度や運用ルールの整備」を政府横断で進める考えを示しました。会議はデジタル行財政改革会議の後継組織と位置づけられ、デジタル相と官房長官が共同議長を務め、有識者も参加すると報じられています。
💡 コプラスの視点
国の規制や手続きがAIの利用を前提に見直されれば、申請書類や届け出、業界ごとのルールも順次変わっていく可能性があります。会議で何が取り上げられるかによって、AIを業務に使う際の線引きが変わる業種も出てきそうです。自社の業務に関係する手続きが議題に挙がるかどうか、初会合の資料を確かめておくと先回りした準備がしやすくなります。
② LSTC・北海道大学・富士フイルムなど5者、2nm世代の推論特化チップで動く医用画像AIを開発へ NEDO事業に採択
最先端半導体技術センター(LSTC)ほか 発表/2026年10月20日
技術研究組合 最先端半導体技術センター(LSTC)、北海道大学、富士フイルム、GEヘルスケア・ジャパン、ベルギーのimecの5者は10月20日、NEDOの事業で「推論に特化した2nm世代半導体を活用する高速・低消費電力な医用画像処理システムの研究開発」が採択されたと発表しました。医療機器の中でリアルタイムに動くAIとして、CT画像の高速再構成と臓器の自動切り分け、超音波画像とCT・MRI画像の重ね合わせ、手術顕微鏡の映像から器具や出血を認識する仕組みの3つを開発するとしています。まずIBMのAIアクセラレーター上で開発し、その後2nm世代の推論特化チップへ移す計画で、現行GPUと比べて処理速度5倍以上、エネルギー効率10倍以上を目標に掲げています。北海道大学病院で医療現場での有用性を検証するとしています。
💡 コプラスの視点
医療AIの普及を妨げてきたのは精度だけでなく、処理の待ち時間と電力という機器側の制約でもありました。目標値は今後の研究で目指す数字であり、実現は2030年前後の見通しですが、AIを外部のクラウドに送らず機器の中で動かす流れは医療以外の現場にも広がりそうです。患者データを外に出さない構成は、情報管理の面でも検討の材料になります。
③ 日東工業、建物図面から分電盤の見積に必要な情報をAIで抽出するアプリを開発 全国23営業拠点・約50人の営業担当者が利用
日本アイ・ビー・エム 発表/2026年10月20日
日東工業は10月20日、日本IBMの支援を受け、設備図面から分電盤の見積に必要な回路情報や機器情報、特記事項などを生成AIで抽出するWebアプリケーションを開発したと発表しました。図面の読み取りと情報の整理をAIが担い、営業担当者が業務知識をもとに結果を確認・補正する役割分担とし、AIの抽出結果と担当者の修正内容は見積ノウハウとして蓄積するとしています。全国23の営業拠点で約50人が使える環境を整え、10月から段階的に実業務での運用を始めました。両社は約1年半をかけて見積ノウハウの整理や業務知識の構造化に取り組んだと説明しています。
💡 コプラスの視点
図面の形式が案件ごとに違い、特定の担当者の経験に頼りがちな見積業務は、建設・設備に限らず多くの中小企業に共通する悩みです。AIに任せる範囲と人が確かめる範囲を先に決め、人が直した内容を次に生かす仕組みにしている点は、導入時の設計として参考になります。効果の数字はまだ公表されていないため、今後の運用結果に注目したいところです。
④ 博報堂、生成AIで作った画像が既存の著作物と似ていないかを調べる「画像類似度チェッカー」を企業向けに提供開始
博報堂 発表/2026年10月19日
博報堂は10月19日、博報堂DYグループ内で使ってきた「画像類似度チェッカー」をクライアント企業向けに提供すると発表しました。チェックしたい画像に似た画像をWeb上で探し、意味や構造などの観点から類似度をスコアで示すほか、生成AIで画像の特徴を解析して検索用のキーワードを自動で作ります。シングルサインオンなどの認証機能と、誰がいつどの画像をどう判定したかを残す監査ログも備えています。同社は、著作権侵害にあたるかどうかを判定するものではなく、最終的な判断は利用企業が行う前提だとしています。
💡 コプラスの視点
生成AIで作った広告やチラシの画像は、人の目で既存作品と似ていないかを確かめるのに手間がかかり、担当者によって判断がばらつきがちです。確認の結果を記録として残せる仕組みは、万一問い合わせを受けたときの説明にも役立ちます。ツールを使う場合も、どの段階で誰が最終判断をするかを社内ルールで決めておくことが前提になります。
⑤ 楽天グループ、ゴルフ場で自動運転カートの実証実験 フェアウェイまで自動で走りプレーを完結できるか確認
楽天グループ 発表/2026年10月19日
楽天グループは10月19日、ゴルフ場予約サイト「楽天GORA」の取り組みとして、千葉県東庄町の東庄ゴルフ倶楽部で自動運転ゴルフカートの実証実験を10月2日から行っていると発表しました。カート庫からクラブハウス前、カート道を通ってフェアウェイまで全18ホールで走らせ、ゴルファーを乗せて自動走行からプレーまでを安全に完結できるかを確かめます。三菱電機が制御などのソフトウェアを、アイサンテクノロジーが地図データ作成や安全性評価を、エナジーシステムサービスジャパンがセンサーシステムの評価・導入を担当しています。天候の急変や故障の際に自動で減速・停止できるかも検証するとしています。
💡 コプラスの視点
人手が足りない施設で、移動や運搬を自動化する取り組みは観光・レジャーの分野にも広がってきました。決まった敷地の中を決まった道筋で走る用途は、公道より条件を整えやすく、実用化が早い分野の1つです。工場や倉庫、農場など、敷地内の移動に人手を割いている事業者にとっても参考になる事例です。
明日への展望
月内に開かれる見通しの「AI・デジタル改革推進会議」の初会合で、どの規制や手続きが最初の見直し対象に挙がるかが注目されます。医療機器や見積業務のように、AIを現場の機器や業務に組み込む動きが進むほど、AIが出した結果を誰がどこで確かめるかを決めておくことがますます重要になりそうです。生成AIで作った画像の確認や自動運転の実証など、安全性を記録で示す取り組みにも引き続き注目です。
本日のまとめ
国がAIを前提にルールを見直す会議を立ち上げる一方、医療・見積・広告制作・ゴルフ場と、現場ではAIに読み取りや判定を任せ、人が確かめる役割分担を整える動きが目立った一日でした。


