キユーピー、AIで開発工数8割減
COPLUS AI NEWS / 2026.09.23 夕
任せる前に、見える化する
工場シミュレーションの開発をAIで短縮した事例、AI利用を職場で言い出せない人の調査、AIのためのデータ基盤、脆弱性対応の優先順位づけ、空の混雑を先読みする管制AI。9月23日夕のAI動向5本。
キユーピーが、社内で書ける人が限られていた工場シミュレーションの開発にAIエージェントを取り入れ、開発時間を大きく減らした事例が紹介されました。一方で、仕事でAIを使っていても周囲に伝えない人が一定数いるという調査も出ています。AIに仕事を任せる前に、誰がどのAIをどう使い、どのデータを読ませているのかを見える化しておく。そんな準備の大切さが浮かび上がった1日でした。9月23日夕のAI動向5本を整理します。
本日の5本
① キユーピー、AIで工場シミュレーションモデルの開発時間を78.8%削減 専門言語の壁をDevinで越える
出典: @IT(ITmedia) / 2026年9月22日
キユーピーが、工場の生産ラインを再現するシミュレーションモデルの開発にAIを取り入れた事例が紹介されています。DeNA AI Linkが提供するAIエージェント「Devin」を使い、開発にかかる工数を8.5人月から1.8人月へ、78.8%減らしたとしています。シミュレーションソフト「Plant Simulation」の専用言語を習得する難しさ、画面操作の内容をAIが正しくコードに置き換えられない問題、工場シミュレーション自体の複雑さという3つの壁があり、それぞれにどう対処したかが解説されています。
💡 コプラスの視点:専門ソフトの独自言語のように、社内で書ける人が限られる作業ほど、AIに下書きを任せたときの効果が大きく出ます。一方で、AIが間違えやすい箇所を人が見極めて手順を整えたことが成果につながっている点は見逃せません。自社で「あの人しかできない」作業を洗い出すことが、AI活用の候補探しの近道になります。
② ナレッジホールディングス調査、仕事でのAI利用を周囲に伝えない人が28.4% 理由の最多は「手を抜いていると思われそう」
出典: AI Watch / 2026年9月22日
ナレッジホールディングスが男女301名に、仕事でのAIの使い方と職場への伝え方を尋ねた調査結果が報じられています。仕事でAIを使ったことがある人は70.1%で、積極的に周囲へ共有している人は28.4%、「聞かれれば答える程度」は43.1%でした。「あまり伝えない」「完全に隠す」を合わせた、周囲に知られないようにしている人も28.4%にのぼります。伝えない理由では「手を抜いていると思われそう」が35.1%で最も多かったとしています。
💡 コプラスの視点:AIの利用を言い出しにくい職場では、会社が把握しないまま個人のアカウントで業務に使われる、いわゆるシャドーAIが起きやすくなります。禁止するより、使ってよいAIと入力してよい情報を示し、使ったことを堂々と共有できる空気をつくるほうが、情報管理の面でも安全です。
③ パーソルビジネスプロセスデザイン、AIが業務データを安全に使うための基盤づくりを3つのサービスで支援
出典: キーマンズネット(ITmedia) / 2026年9月23日
パーソルビジネスプロセスデザインが9月から、AIやAIエージェントが業務データを安全に使える基盤の整備と運用を支援する3つのサービスを提供しています。データ品質や指標の定義、権限管理を整える「AI-Readyデータ基盤構築・運用サービス」、利用状況と費用を見える化する「データ基盤コスト最適化サービス」、既存基盤の再設計から運用体制まで支援する「モダナイゼーション/運用高度化サービス」です。データの整理不足や権限管理、費用の増加などで、AI活用が試行の段階にとどまる企業が多いことを背景に挙げています。
💡 コプラスの視点:AIの回答の質は、読ませるデータの質で決まります。誰がどのデータを見てよいのかという権限の整理が追いつかないままAIをつなぐと、見せてはいけない情報まで答えに出てしまうおそれもあります。大がかりな基盤がなくても、まずはAIに読ませる資料の置き場所と閲覧範囲を決めておくことから始められます。
④ New Relic、脆弱性の対応をAIで優先順位づけ 修正コード案も自動で生成する「Security RX」を国内提供
出典: キーマンズネット(ITmedia) / 2026年9月22日
New Relicが、脆弱性の検出から修正までの運用を自動化する「New Relic Security RX」の国内提供を9月に始めたと紹介されています。脆弱性の深刻度を示すCVSSスコアに加え、悪用される可能性の予測や、実際に悪用が確認された脆弱性の一覧といった情報を組み合わせて、本番環境で本当に危険なものを見極めるとしています。AIによる修正コード案の自動生成や、JiraやGitHub Issuesとの連携にも対応します。
💡 コプラスの視点:攻撃側もAIで弱点を探す時代になり、見つかる脆弱性の数は増える一方です。すべてに同じ力で対応するのではなく、実際に狙われやすいものから手を付ける考え方は、専任の担当者が少ない中小企業ほど参考になります。自社で使っているシステムの一覧と、それぞれの更新状況を把握しておくことが第一歩です。
⑤ 米連邦航空局(FAA)、AIで空の混雑を事前に予測するシステム「SMART」をワシントン周辺から導入
出典: The AI Insider / 2026年9月21日(米国時間)
米連邦航空局(FAA)が、AIを使って航空交通の流れを予測する新システム「SMART」の導入を始めたと報じられています。航空会社の運航スケジュールや気象、空港の処理能力、空域の制約などをAIが分析し、混雑や衝突のおそれを発生前に見つけ出すことを狙うとしています。開発はAir Space Intelligenceが担い、契約額は12年間で8億7,500万ドルと報じられています。まずワシントンDC周辺の空港から始め、全米の他地域に広げる計画で、管制官の人手不足への対応も目的に挙げられています。
💡 コプラスの視点:起きた問題に対応するのではなく、起きそうな問題を先に知らせるという使い方は、在庫や人員配置、設備保全など多くの業務に当てはまります。最終判断は人が担い、AIには判断材料をそろえる役割を任せるという分担は、企業が業務にAIを組み込むときの基本形としても参考になります。
明日への展望
新しいモデルの発表と値下げが続くなか、企業側の関心は、AIをどの業務にどう組み込み、社員の使い方をどう把握するかへ移りつつあります。職場でのAI利用の実態調査や、データ基盤・セキュリティ面の支援サービスは、今後も増えていきそうです。国内では、デジタル化・AI導入補助金の第5次締切(9月29日)も近づいています。導入を検討している会社は、使うAIと読ませるデータの範囲を先に決めておくと、申請後の運用がスムーズになります。
本日のまとめ
AIの効果が大きく出るのは、限られた人しかできなかった作業や、先回りの判断が求められる業務です。ただし、その前提として、社員がどのAIを使っているのか、AIにどのデータを読ませてよいのかが見えている必要があります。まずは自社で、AIを使っている業務と使っているサービスを一覧にするところから始めてみてください。
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