損保ジャパン、2万人にAI展開
COPLUS AI NEWS / 夕版
任せ方を決めた会社から、AIは根付いていく
今日の夕版は、AIを「入れる」から「任せ方を決める」段階に進んだ国内の動きを中心にお届けします。損保ジャパンは約2万人への全社展開で、研修合格を条件に社員へエージェント作成を開放しました。病院の職場改善、AIの接続設定に潜む鍵の露出、明日に迫る補助金の締切もあわせて確認しておきましょう。
📋 本日のニュース
① 損保ジャパン、Gemini Enterpriseを従業員約2万人に展開
ITmedia エンタープライズ / 2026年9月28日
損害保険ジャパンは2026年1月、全従業員約2万人にGoogle Cloudの企業向けAI基盤「Gemini Enterprise」を導入しました。Google Cloud Next Tokyo 26の講演で、DX推進部の城市由佳理氏が導入時の懸念として、機密情報の漏えいなど安全面、使い道が分からず触らない社員、標準機能だけでは個別業務に広げにくい点の3つを挙げています。社員が自らカスタムエージェントを作る市民開発では、研修に合格した社員だけに作成・共有を認めるルールを設けました。標準機能ではその通りに権限を細かく制御できないものの、機能を一律に禁止せず共有機能を公開しているといいます。
全社導入でつまずきやすいのは、ツールの機能よりも「誰に何を任せるか」の線引きです。研修の合格を条件に作成権限を渡す方法は、規模の小さな会社でも取り入れやすいルールです。禁止で止めるより、条件付きで開く設計が定着の近道になります。
② 筑波記念病院、組織分析AIの活用で看護職員の離職率が16.2%から6.7%に
World Life Mapping(PR TIMES)/ 2026年9月24日公表、ITmedia キーマンズネット 2026年9月28日報道
筑波記念病院は、World Life Mappingの組織分析AI「シビリンク_メディチューン」で部署ごとの職場課題を可視化し、改善策につなげています。同社の公表によると、看護職員の離職率は2021年度の16.2%から2025年度には6.7%に下がりました。2021年度は日本看護協会調査の全国平均11.6%を上回っていましたが、2025年度は全国平均を下回る水準になったとしています。全体向けのアンケートだけでは捉えにくい部署ごとの違いを、AIの分析で拾い上げた点が特徴です。
数値は提供企業の公表値で、AI以外の取り組みの効果も含まれている可能性があります。それでも、人手不足の業種ほど「辞めさせない」ことが採用より効くのは確かです。AIを業務の効率化だけでなく、職場の声を拾う道具として使う発想は、医療以外の中小企業にも応用できます。
③ GitHub上のMCP設定ファイル、約8件に1件で認証情報が書き込まれた状態
TechTargetジャパン / 2026年9月28日
AIコーディングエージェントと社内ツールをつなぐ標準仕様「MCP」(Model Context Protocol)の設定ファイルに、セキュリティ上の盲点があると報じられました。セキュリティ企業Hush Securityの調査では、GitHubで一般公開されているMCP設定ファイルの認証情報欄のおよそ8件に1件で、APIキーやパスワード、アクセストークンがそのまま書き込まれていました。設定ファイルはAIがどのツールにどう認証してつなぐかを指示するため、攻撃者にとって価値の高い侵入経路になっていると指摘しています。
AIエージェントの導入が進むほど、APIキーの置き場所が増えていきます。開発担当者に任せきりにせず、設定ファイルに鍵を直接書かないルールと、公開リポジトリの定期点検を社内の決まりにしておくことをおすすめします。
④ デジタル化・AI導入補助金2026、通常枠などの5次締切は9月29日17時
デジタル化・AI導入補助金2026事務局(中小企業基盤整備機構)/ 2026年9月28日確認
中小企業のITツールやAI搭載サービスの導入を支援する「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金)の通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠の5次締切が、9月29日(火)17時に迫っています。5次締切分の交付決定日は11月9日の予定です。事務局は、締切時刻を過ぎた申請はいかなる理由でも受け付けないとしています。なお、9月29日17時から翌30日10時まではシステムメンテナンスが予定されています。
締切直前は申請画面へのアクセスが集中し、SMS認証なども遅くなりがちです。今回に間に合わない場合も、公式サイトでは6次・7次締切の枠が示されているため、次回に向けて導入したいツールと支援事業者の目星を今のうちに付けておくと慌てずに済みます。
⑤ 10代のAIキャラチャット依存、週89時間の利用例も 米大学などが分析
ITmedia NEWS / 2026年9月28日
米ドレクセル大学などの研究者らが国際会議CHI 2026で発表した論文を、ITmedia NEWSが紹介しました。研究では、海外掲示板RedditのCharacter.AIコミュニティーで13〜17歳と自己申告した利用者の投稿318件を分析しています。孤独の解消やストレスからの逃避として使い始め、食事や睡眠を削るほど没頭する例があり、1週間のスクリーンタイムが89時間の人もいました。研究チームは、利用者が自分のペースで離れられる設計を求める指針「CAREフレームワーク」を開発者向けに提唱しています。
AIを顧客接点に使う企業にとって、利用時間の長さを成果と見なす設計には注意が必要です。とくに若年層が触れるサービスでは、心地よさと依存の境目を意識した設計や利用規約の整備が、ブランドを守ることにもつながります。
明日への展望
明日9月29日はデジタル化・AI導入補助金の5次締切日です。申請予定の企業は17時の締切とその直後のシステムメンテナンスに注意が必要です。また、社員が自分でAIエージェントを作る動きが広がるほど、作成権限のルールづくりやAPIキーの管理といった足元の整備が問われます。導入の規模よりも、任せ方と守り方をどう設計するかに引き続き注目です。
本日のまとめ
全社にAIを広げる会社は、機能を禁じるのではなく、条件を付けて任せる方向に進んでいます。一方で、つなぐ先が増えるほど鍵の管理や利用のされ方にも目配りが欠かせません。コプラスは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを国内サーバー経由で使える法人向けAI「UPGEAR AI」の提供と、社内ルールづくり・研修まで含めたAI活用の支援を行っています。導入や運用のご相談はお気軽にどうぞ。


