
AIチラシ作成とは、キャッチコピーや本文、写真・イラスト、レイアウトの案づくりを生成AIに手伝わせて、販促や告知のチラシを作ることです。文面・画像・レイアウトの下書きはAIに任せ、日時・価格・表示の正しさと権利の確認は人が持つ、という分担で作ると失敗しにくくなります。この記事では、ツールと無料の範囲、手順とプロンプト例、印刷入稿の設定、著作権と景品表示法、社員に使わせる前に会社が決めておくことまでを整理します。
- 文面は文章AI、写真やイラストは画像AI、文字入れと印刷用の書き出しはデザインツール、と工程で担当を分けます。
- 日時・価格・電話番号などの文字は画像に焼き込まず、デザインツールで後から入れます。
- 会社で使うなら、学習させない設定、入力してよい情報、確認と承認の流れ、プロンプトの記録を先に決めます。
AIチラシ作成とは|AIに任せる所と人が確かめる所
AIが得意なのは案を速くたくさん出すことで、チラシに載せる情報の正しさの責任はAIに移りません。AIに任せやすいのは、キャッチコピーの候補出し、本文の下書きと字数調整、イメージ画像や背景素材の生成、手持ち写真の明るさや背景の調整、テンプレートを使ったレイアウト案です。人が持つのは、誰に何を伝えるかの決定、日時・価格・条件と社内資料の照合、写真が実物と違う印象を与えないかの判断、他社作品や実在の人物に似ていないかの確認、そして誰が承認したかの記録です。この線引きがないまま使うと、AIが自然な文章で書いた架空の割引や、実物より豪華な料理写真がそのまま刷られることが起こりえます。
用途で確認の厚みを変える(社内掲示・求人・顧客向け販促)
ITmedia ビジネスオンラインの2026年9月15日の記事は、AIらしさを消そうとすると工数が増えるとし、社内の掲示物ならAIに任せたものでもよく、集客用のチラシは手間をかける価値があるとしています。これに求人を加えた次の3段階が、会社のルールとして運用しやすい形です。
- 社内掲示:AIの案をほぼそのまま使ってよい。作成者と上長が日時と場所を見れば足ります。
- 求人:給与・勤務時間・休日を人事の正式な資料と1項目ずつ照合します。AIは正本にない数字を補うことがあるためです。
- 顧客向け販促:後で紹介するチェックリストを全項目通します。
AIでチラシを作れる主なツール(Canva・Adobe Express・ChatGPT・Gemini・Copilotほか)
チラシに使えるAIは、テンプレートにAI機能が付いたデザインツール型と、会話で文面や画像を作るチャット型に分かれ、組み合わせて使う前提で選ぶと迷いません。
Canva(デザインツール型)
Canvaの「AIチラシ」のページでは、テンプレートに、画像を生成するマジック生成、文章を考えるマジック作文、画像の中のアイテムを置き換えるマジック加工、手書きのスケッチを画像にするSketch to Lifeを組み合わせる流れを紹介しています。文字をテンプレート上で打ち替えられるので、画像内の文字崩れを避けやすいのが利点です。
Adobe Express(デザインツール型)とAdobe Firefly
Adobe Expressのチラシ作成ページは、テンプレートや画像素材を使える無料プランがあると説明しています。画像生成AIのAdobe Fireflyについては、Fireflyのモデルで生成したものは商用利用に適しているとする一方、Firefly内で選べる他社のパートナーモデルで生成したものは、適しているかを利用者が判断する必要があると書いています(同社発表)。
ChatGPT(チャット型:文章と画像)
ChatGPTは文面づくりと画像生成の両方に使えます。OpenAIは2026年9月8日に「ChatGPT Images 2.5」を発表し、ポスターなどのテンプレートからチラシや商品写真のような画像を作る機能や、画像に直接コメントを置いて直す箇所を示す機能を紹介しました。同社は全プランで利用できるとしています。使い方はChatGPTの画像生成で解説しています。
Gemini(チャット型:文章と画像)
Geminiアプリのヘルプでは、Nano Banana 2 による画像生成はAIプランなしでも使え、Nano Banana Pro での再生成はGoogle AIプランの利用者向けとされています。ダウンロードはAIプランありで2K解像度、なしで1K解像度です。公式ページには、生成画像に目に見えない電子透かし(SynthID)と目に見える透かしを使うとあるため、チラシに使う前に透かしの有無を確かめます。商用利用はNano Bananaの商用利用にまとめています。
Word(Copilot)とその他のツール
マイクロソフトはWordのチラシテンプレートのページで、Copilot in Word でコピーの生成やリライトができると案内しています。一方、個人向けMicrosoft Copilotの追加利用規約には「You can only use Copilot for your own personal use.」(個人的な利用に限る)とあります(2026年8月18日発効版。組織アカウントでのサインインは対象外)。会社の販促物を社員の個人アカウントのCopilotで作るのは避けたほうが無難です。画像生成AIを横並びで見るなら画像生成AIの比較も参考になります。
※2026年9月16日〜19日に各社の公式ページで確認した内容です。機能の説明は各社の発表で、第三者による検証ではありません。
無料で使える範囲と有料プランの差
チラシを試しに作る程度なら無料の範囲で届くことが多い一方、回数や画像の大きさに上限があり、会社で継続して使うなら有料プランと管理の仕組みが要ります。
- Canva:無料版は「標準モデルの機能または高品質モデルの機能を最大20回利用可能」、Canvaプロは高品質モデルを200回まで、Canvaビジネスは400回まで(利用枠は毎月リセット)。表示価格はCanvaプロが1人あたり年11,800円(月払いは月1,180円)、Canvaビジネスが1人あたり年18,800円(月払いは月1,880円)で、税込・税抜の表記はありません。
- Adobe Express・Firefly:Expressには無料プランがあり、Fireflyも加入なしで毎日無料で生成できると案内していますが、1日の回数は公式ページに明記されていません。
- ChatGPT:無料版でも画像生成を使えますが、有料プランより厳しい上限がかかる場合があるとヘルプで説明しています。1日の枚数は公式に書かれていません。
- Gemini:Nano Banana 2 はAIプランなしでも使え、Nano Banana Pro と2Kでのダウンロードは有料のAIプラン向けです。
会社として大きいのは、回数よりも管理の差です。ChatGPTの法人向けBusinessプランは料金ページで「デフォルトではビジネスデータを学習に使用しません」と案内し、CanvaもTrust CenterでビジネスやチームのコンテンツをAI機能の改善に使わない旨を書いています。個人向けプランは設定を各自が切り替える前提で、社員が退職すれば作ったデータも会社に残りません。
※2026年9月19日時点の各社公式ページの表示です(Canvaの料金は9月18日、ChatGPT Businessの記載は9月15日に確認)。各社の自己申告で、変更されることがあります。
文章AI・画像AI・デザインツールの分担表
工程ごとに人・文章AI・画像AI・デザインツールのどれが担当するかを先に決めておくと、崩れた文字や根拠のない表現が紛れ込む余地が小さくなります。販促担当が1〜2名の会社を想定した例です。
| 工程 | 担当 | 人が見る点 |
|---|---|---|
| 目的と載せる情報を決める | 人 | 社内の正式な資料と一致しているか |
| キャッチコピーと本文 | 文章AI(ChatGPT・Gemini・Claudeなど) | 架空の数字・実績・割引がないか |
| 写真・イラスト | 画像AI(ChatGPT・Gemini・Fireflyなど) | 実物との差、他社作品や人物との類似 |
| レイアウトと文字入れ | デザインツール(Canva・Adobe Express・Wordなど) | 誤字、ロゴや色の決まり |
| 確認と承認 | 人 | チェックリストの全項目 |
| 入稿・掲載 | 人とデザインツール | 解像度・色の形式・塗り足し |
使うAIが増えるほど管理の手間も増えます。学習の設定場所、利用規約、商用利用の条件はAIごとに別々で、3つのサービスを使えば確認する規約も社員に案内する設定手順も3つになります。複数のAIを会社で使い分ける考え方はマルチAIとはで解説しています。
AIでチラシを作る手順(7ステップ)
決める・書く・描く・組む・揃える・確かめる・出すの7段階に分けると、どこで人が止まるべきかが見えます。
手順1:ターゲット・訴求点・キャッチコピーを先に決める
誰に(例:近隣の30〜40代の共働き家庭)、何を(例:予約不要の相談窓口)、なぜ今(例:10月から受付時間を延長)、何をしてほしいか(例:QRコードから予約)を1行ずつ書きます。ここが曖昧だとAIは無難な文面しか返しません。キャッチコピーはこの4行をもとにAIに候補を出させ、人が選びます。
手順2:載せる情報を正本として1枚にまとめる
日時・会場・価格・申込方法・連絡先・注意書きを社内の正式な資料から写し、1枚の正本メモにします。AIにはこれを渡して「この情報以外の数字や条件を足さない」と指示し、確認でもこの正本と照合します。
手順3:文章AIで見出しと本文の案を出す
手順1の4行と正本を渡し、見出し15字以内・本文120字以内のように字数を指定して案を出させます。チラシは数秒で判断されるため、本文は短く、条件や特典は箇条書きにするよう指示すると、レイアウトに収めやすい案になります。見出しは1案に絞らず10案ほど出させ、読み手の1行に照らして人が選ぶと、社内の好みで迷う時間が減ります。
手順4:画像AIで写真・イラストを作る
画像は文字を含めずに作らせます。OpenAI Academyは、画像の目的・主題・場所・スタイルを1〜3文の明確な文章で伝えれば足りることが多いと説明しています。チラシ用なら、紙のどこに置く素材か、文字を載せる余白をどこに空けるかも書き添えます。商品そのものは、架空の画像を生成するより実物を撮影してAIで明るさを整えるほうが、後で触れる景品表示法の観点でも安全です。
手順5:テンプレートから作る方法
CanvaやAdobe Express、Wordのチラシ用テンプレートから始め、用紙サイズを印刷する大きさに合わせる、画像枠に素材や写真を入れる、見出しと本文を打ち替える、日時・価格・連絡先を正本から文字で入力する、QRコードを置く、の順に置き換えます。見本の文言や見本の電話番号が残ったまま出る事故は珍しくないので、最後に消し残しを確かめます。
手順6:ブランドの色・ロゴ・フォントを揃える
色コード、ロゴの最小サイズと余白、使うフォント、使わない言い回しを1枚にまとめて共有すると、担当者が変わってもトーンが揃います。画像のプロンプトに色コードを入れると色味も揃いやすくなります。
手順7:確認・承認・入稿
正本との照合、表示と権利の確認、承認を経て入稿・掲載します。中身は後半の2つの節で扱います。
コピペで使えるプロンプト例と依頼文のひな形
目的・読み手・載せる事実・字数・禁止事項の5つを必ず入れる形にしておくと、誰が使っても同じ水準の案が出ます。【】を書き換えて使ってください。
社内から販促担当への依頼文のひな形
- 目的:【例:秋の料理教室の新規受講者を集める】
- 配る相手と方法:【例:店頭配布と近隣ポスティング、300枚】
- 載せる事実:【日時/場所/料金/定員/申込方法/問い合わせ先】
- 使ってよい写真:【例:9月の教室の写真、写っている人の掲載同意あり】
- 使わない表現:【例:「必ず上達」「地域No.1」】
- 確認者・承認者と納期:【例:教室長・部長、10月3日入稿】
文章AIへのプロンプト例(見出しと本文)
- あなたは地域の小さな事業者の販促物を書く担当者です。次の条件でチラシの文面を作ってください。目的:【秋の料理教室の新規受講者を集める】。読み手:【教室から2km圏内の30〜50代の料理初心者】。伝えたいこと:【少人数で包丁の持ち方から教える】。載せる事実:【正本を貼り付け】。出してほしいもの:見出し10案(各15字以内)、サブコピー5案(各25字以内)、本文3案(各120字以内)。守ること:載せる事実以外の数字・日付・割引・実績を足さない。「No.1」「最安」「必ず」「今だけ」は使わない。事実が足りない所は足さずに【要確認】と書く。
最後の一文が大切です。AIは空いた所をもっともらしい数字で埋めることがあるため、空欄のまま返させると人が確認すべき箇所がはっきりします。
画像AIへのプロンプト例(文字を入れない素材)
- A4縦の料理教室のチラシの上半分に使う背景画像を作ってください。木のまな板の上に、かぼちゃ・きのこ・さつまいもが並んでいる。自然光で撮った写真のような質感で、左側の窓から柔らかな光が入る。色味は【色コード】に合う落ち着いた色。上部3分の1は文字を載せるため空けておく。画像の中に文字、ロゴ、人物は入れない。
OpenAI Academyも、曖昧な表現より「左側の窓から入る柔らかな自然光」のような具体的な指定のほうが信頼性が高いと説明しています。
修正を頼むときのプロンプト例
- 文章:「見出し案の3番と7番をもとに、より具体的な案を5個ずつ出してください。事実は足さないでください。」
- 画像:「かぼちゃの位置だけを右に寄せ、それ以外はすべて同じに保ってください。」
よく使うプロンプトは共有フォルダにひな形として置き、担当者が変わっても使い回せるようにします。
担当者ごとに別のAIでひな形を使うと、学習させない設定まで人任せになります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
作例:料理教室のチラシを1枚作る流れ
架空の料理教室の受講者募集チラシで流れを追うと、時間を取っておくべきなのは生成より照合と手直しだと分かります。
- 決める:教室長が対象・訴求点・行動を決め、日時・料金・定員・申込URLを正本にまとめる。
- 書く:販促担当が見出し10案・本文3案を出し、「包丁の持ち方から、秋の3品」を選ぶ。本文案に正本にない「初回半額」が入っていたので削る。
- 描く:上部が空いた背景素材を選び、教室の様子は実際の写真の明るさだけをAIで整える。
- 組む・揃える:A4縦のテンプレートに素材を置き、日時・料金は正本から文字で入れ、色をロゴに合わせる。テンプレートに残っていた見本の電話番号を消す。
- 確かめる・出す:教室長がチェックリストで確認、部長が承認。写っている受講者の掲載同意を確かめ、塗り足しを付けて入稿し、プロンプトと承認記録を保存する。
所要時間は慣れや修正回数で大きく変わるため、分単位の目安は示しません。計画では、架空の割引の削除、見本の消し残し、同意の確認といった工程に時間を多めに見込んでおくと、納期直前の差し戻しを避けやすくなります。
画像の中の文字は崩れることがある|文字は後からデザインツールで入れる
画像AIに文字ごと描かせると、どのAIでも誤字や字形の崩れが起きることがあるため、日時・価格・連絡先などはデザインツールで後から入れる分担が確実です。GoogleはNano Banana Proの発表(2025年11月20日)で複数の言語でより正確で読みやすい文字を描けると説明し、OpenAIも画像内の文字は短くフォントや配置を指定するコツを示していますが、いずれも同社の発表で、日本語の精度を個別に示したものではありません。
困るのは、見た目は自然なのに「10月」が「1O月」になっている、電話番号の数字が入れ替わっている、といった間違いです。画像に焼き込まれていると見落としやすく、直すのも手間です。背景・イラスト・雰囲気づくりは画像AI、見出し・本文・日時・価格・住所・電話番号・URLはデザインツール、と分けておけば、日程や価格が変わっても画像を作り直さずに済みます。画像内に文字を入れる場合は短い単語にとどめ、人が1文字ずつ読んで確かめます。
印刷入稿で詰まる所|解像度・RGBとCMYK・塗り足し
AIの画像は画面では十分きれいでも、印刷に必要な大きさや色の形式を満たさないことがあるため、入稿前に印刷会社の入稿ガイドと照合します。
印刷に必要な解像度(原寸で350〜400dpi)
解像度は1インチあたりの点の数で、dpiで表します。ラクスルの入稿ガイドは、印刷に適した解像度を原寸(拡大縮小しない100%の大きさ)で350〜400dpiとしています。印刷会社によって指定は異なるため、入稿先の指定に合わせるのが確実です。A4(210×297mm)の紙いっぱいに写真を刷る場合、原寸で350dpiを満たすには長辺でおよそ4,100画素(297÷25.4×350≒4,093)、短辺でおよそ2,900画素(210÷25.4×350≒2,894)が要ります。Geminiアプリのヘルプは1K・2K解像度での書き出しと案内していますが、ダウンロードした画像が何画素あるかは、ファイルの情報で確かめます。小さい画像を引き伸ばすと、刷り上がりでぼやけることがあります。
RGBとCMYK・塗り足し(裁ち落とし)・トンボ
画面はRGB(光の三原色)、印刷はCMYK(4色のインク)で色を表すため、RGBで書き出されたAI画像の鮮やかな青や緑が、刷るとくすむことがあります。プリントパックの技術ガイドにもRGBとCMYKの違いの項目があり、どちらで入稿するかは印刷会社の指定に従います。紙の端まで色がある場合、ラクスルの入稿ガイドは仕上がり位置の外側に3mmの塗り足しを作るよう案内しています。断裁位置の目印になるトンボの付け方も入稿ガイドで確かめます。
入稿前の手順
- 入稿ガイドで解像度・色の形式・塗り足し・ファイル形式・フォントの扱いを控える
- 用紙サイズを塗り足し込みに設定し、背景は端まで伸ばし、文字は仕上がり線から内側に置く
- 配置した画像の画素数が足りているか確かめる
- 指定の形式で書き出し、開き直して文字化けや画像の欠けがないか見る
※ラクスル・プリントパックの入稿ガイドは2026年9月19日時点の公式ページの内容です。実際の入稿先のガイドを優先してください。
著作権・商用利用の可否と、肖像・商標の線引き
チラシに使えるかは、ツールの規約で商用利用が認められているかと、できたものが他人の権利を侵害していないかの2段階で判断します。
著作権:既存の作品に似ていないかを確かめる
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)は、生成物に既存の著作物との類似性と依拠性が認められ、権利制限規定の対象外であれば著作権侵害になると整理し、生成が適法でも利用まで直ちに適法とはならないとしています(この「考え方」自体に法的拘束力はないと明記されています)。採用する画像は画像検索などで似た作品がないか確かめ、作家名・作品名・キャラクター名をプロンプトに入れる指示は社内で禁止しておきます。
逆の立場の論点もあります。同じ「考え方」は、人がほとんど指示を与えずにAIが生成したものは著作物に当たらないと考えられる一方、人が創作的な表現を加えて加筆・修正した部分には通常、著作物性が認められるとしています。AIの画像をそのまま使ったチラシは、他社にまねされても権利を主張しにくい場合があるということです。独自性を守りたいチラシほど、人の手でレイアウトや表現を作り込む価値があります。
商用利用の条件はツールごとに違う
- ChatGPT(個人向け):アウトプットは利用者が所有するとしつつ、他のユーザーが同様のアウトプットを受け取る場合があるとしています。詳しくはChatGPTの商用利用で解説しています。
- Gemini:ヘルプで、Googleの利用規約が適用されるとし、第三者の著作権やプライバシーを侵害しないよう求めています。職場のアカウントには別の規約が適用される場合があります。
- Canva:出力は利用者が所有するとしつつ、Canvaの素材を加工した出力は除くとしています。
- Adobe Firefly:Fireflyのモデルとパートナーモデルで扱いが分かれます。
- Microsoft Copilot(個人向け):個人的な利用に限るとしています。
※各規約は2026年9月16日〜19日に公式ページで確認した内容です。改定されることがあるため、利用前に最新版を確かめてください。
実在の人物・他社のロゴ・キャラクター風は作らない
OpenAIのサービス利用規約は、明示的な同意と必要な権利なしに人の肖像を複製してはならないとし、OpenAI Academyも特定のブランドや作品を模倣せず独自性のあるデザインを頼むよう勧めています。社内ルールには次を明記しておくと判断がぶれません。
- 実在の人物に似せた画像は作らない。社員や顧客は、本人の同意を得た実際の写真を使う
- 他社のロゴ、他社商品のパッケージ、他社店舗の外観が写った画像は使わない
- キャラクター名をプロンプトに入れない。似た絵が出ても採用しない
- 実在の店舗や施設を背景に使うのは、撮影・掲載の許可があるものに限る
プロンプトと生成物の記録を残す
文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)は、業務で使う事業者に、内部ルールの策定、生成物が既存の著作物に似ていないかの事前確認とあわせて、生成に用いたプロンプトなど生成過程を確認できる状態の確保に努めるよう挙げています。類似の指摘や表現の問い合わせが来たときに経緯を説明するためです。チラシ1枚ごとに、使ったAIと日付・作成者、採用画像とそのプロンプト、確認結果と承認者、入稿データを1つのフォルダに残します。
景品表示法:実物より良く見せる写真と価格表示の注意
AIを使うと、写真を実物より良く見せたり、根拠のない強調や割引が自然な文章で紛れ込んだりしやすいため、景品表示法の不当表示の考え方を押さえて確認します。消費者庁は、不当表示の類型として優良誤認表示(5条1号)、有利誤認表示(5条2号)、内閣総理大臣が指定する表示(5条3号)を挙げています。
- 優良誤認表示:品質などを実際のものよりも著しく優良であると示す表示などです。根拠資料の提出を求められて提出できない場合は不当表示とみなされる仕組み(不実証広告規制)があります。
- 有利誤認表示:価格などの取引条件を実際より著しく有利であると誤認させる表示などで、故意でも過失でも該当すれば規制されると説明されています。
実物と違う見せ方は、AIを使ったかどうかに関係なく優良誤認の論点になりえます。AIチラシで気を付けたい場面は次のとおりです。
- 料理や商品の写真で、量を増やす・具材を足す・つやを実物以上にする加工。明るさや背景の調整にとどめます。
- AIで作った実在しない料理や部屋の画像を、実際の商品写真のように載せること。
- 文章AIが書いてくる「地域No.1」「満足度◯%」のような根拠を示せない表現。
- 「通常価格○円のところ今だけ○円」のような比較。比べる価格に実態があるか、期限が本当かを確かめます。
医療・健康食品・化粧品・不動産・金融などは業界固有の決まりもあるため、詳しい人の確認を通し、迷う場合は専門家に相談してください。
※2026年9月19日時点で消費者庁の公式ページに掲載されている説明をもとにした一般的な注意点で、個別の表示の適否を判断するものではありません。
会社で使う前に決めること|学習させない設定と入力の線引き
チラシは新商品の情報や価格、顧客の声など社外秘を扱うことが多いため、学習させない設定、入力してよい情報、使うアカウントの3つを先に決めます。
学習させない設定
- ChatGPT(個人向け):プロフィールアイコン→「設定」→「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。ただし「良い回答」などのフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われることがあるとヘルプに書かれています。
- Gemini(個人のGoogleアカウント):「アクティビティの保存」をオフにすると今後のチャットは学習に使われないと説明されていますが、チャットは72時間アカウントに保持されます。人間のレビュアーが一部を確認することがあるため、機密情報は入力しないようにとも呼びかけています。
- Canva:プライベートなコンテンツを学習に使うかどうかを自分で管理できると案内しています。
問題は、これが社員一人ひとりの設定で、オフにしたかを会社が確認できない点です。提案書などをAIで作る場面でも同じことが起きます(AIで資料作成も参考にしてください)。
※設定名と手順は2026年9月16日〜19日に各社の公式ヘルプで確認した内容です。
入れてよい情報・入れてはいけない情報
- 入れてよい:公開済みの商品名・サービス内容・価格、季節のイメージ、架空の例文
- 会社が管理する環境でだけ:発表前の新商品の名前や価格、キャンペーン条件、社内の売上や来店数
- どこにも入れない:顧客の氏名・住所・電話番号、アンケートの個別回答、取引先から預かった資料。スタッフや顧客の顔写真を外部のAIで加工するかは別途判断します
顧客の声を載せたい場合は、掲載の同意を得たうえで、氏名や本人が特定できる情報を消してからAIに渡し、言い回しを整える目的でだけ使います。この3段階は、社内ガイドラインの入力ルールにそのまま書き写せる形にしておくと、販促以外の部署にも流用できます。
社員の個人アカウントで作らせない理由
会社がAIを用意しないと、社員が個人のアカウントでチラシを作り始めます。会社が把握しないAI利用はシャドーAI(野良AI)と呼ばれ、学習設定を確認できない、プロンプトの記録が個人の手元にしか残らず退職で失われる、業務利用を想定していない個人向け規約が適用される、といった問題が残ります。人数が増えるほど全員分の設定確認は難しくなり、会社が契約して管理できる環境のほうが手間は少なくなります。詳しくはシャドーAI(野良AI)とはと生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。
公開前に人が確認すること|承認の流れとチェックリスト
作成者とは別の人が決まった項目を確認し、承認者が承認してから外に出す流れを決めておけば、AIを使う量を増やしても品質は落ちにくくなります。
承認の流れ(作成→表示の確認→承認→入稿)
- 作成(販促担当):正本をもとに案を作り、プロンプトを記録フォルダに保存する
- 表示の確認(現場の責任者):正本との照合、写真と実物の差、表現の根拠を確かめる
- 承認(部長・役員):外に出してよいか判断し、気になる表現は専門家に回すか決める
- 入稿・掲載(販促担当):入稿ガイドと照合して入稿し、最終データと承認記録を保存する
担当が1人の会社でも、自分の書いた誤りは見落としやすいため、作成と確認は別の人が行います。
確認者が見るチェックリスト
- 日時・曜日正本と一致し、日付と曜日がカレンダーと合っているか。
- 価格・割引・期間税込・税抜の表記と条件が社内の決定どおりか。AIが足した割引や比較価格がないか。
- 住所・電話番号・URL・QRコード1文字ずつ照合し、QRコードを実際に読み取って正しいページが開くか。
- 表現の根拠「No.1」「満足度◯%」などに示せる根拠があるか。なければ削ったか。
- 写真と実物実物より著しく良く見えていないか。イメージ画像を商品写真のように使っていないか。
- 画像内の文字と透かし焼き込まれた文字に誤字や崩れがないか。目に見える透かしの扱いを確認したか。
- 写り込みと類似他社のロゴ・実在の人物・キャラクターに似たものがないか。似た作品を画像検索で確かめたか。人物写真の掲載同意はあるか。
- テンプレートの消し残し見本の文言・電話番号・写真が残っていないか。
- ブランドの決まりロゴの大きさと余白、色、フォントが社内の決まりどおりか。
- 記録使ったAI、プロンプト、採用画像、確認者と承認者が記録フォルダに残っているか。
まとめ
AIチラシ作成は、下書きをAIに任せ、事実と権利の確認を人が持つ分担で進めると、速さと安全を両立しやすくなります。
- デザインツール型とチャット型のAIを、工程ごとに組み合わせて使う
- 日時・価格・連絡先の文字は画像に焼き込まず、デザインツールで入れる
- 印刷するなら、入稿ガイドで解像度・色の形式・塗り足しを確かめる
- 他社作品・人物・ロゴとの類似と、実物と違う見せ方や根拠のない表現を避ける
- 会社で使うなら、学習させない設定、入力の線引き、承認の流れ、プロンプトの記録を先に決める
AIを使った業務の進め方はAI活用コラムの一覧でも紹介しています。
文面と画像のAIを、1つの契約で使い分ける
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けのAI基盤です。文面はChatGPT、画像まわりの相談はGeminiといった使い分けを1つの契約で行え、会話の途中でもモデルを切り替えられます。画像・PDF生成の機能も備えています。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理者ダッシュボードで利用ログや権限、モデルのON/OFFを管理できるため、社員ごとの設定確認に頼らずに済みます。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
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