AIチャットボット比較。社外向けと社内向けで選び方が変わる

AIチャットボットとは、利用者が文章で入力した質問に、AIが自動で答えを返す仕組みのことです。比べ始める前に決めておきたいのは、顧客に答える社外向けなのか、社員に答える社内向けなのかという向きになります。社外向けは専用のチャットボット製品を料金の単位ごと比べて選び、社内の問い合わせや調べものは、社内文書を読み込ませて答えられる法人向け生成AIで足りる場合が多いでしょう。どちらを選んでも、学習に使わない設定とログの管理を会社として整えることが前提となります。

AIチャットボットとは|種類と生成AI型の違い

AIチャットボットは、答えを決める仕組みの違いで大きく5つの種類に分かれます。同じAIチャットボットという名前でも、決まった選択肢を順に選ばせる製品もあれば、生成AIが文章をその場で組み立てる製品もあります。何が違うのかを押さえておくと、製品資料の読み方がずいぶん楽になるでしょう。

チャットボットとAIチャットボットの定義

チャットボットは、チャット(文字での会話)とボット(自動で動くプログラム)を合わせた言葉で、人の代わりに自動で応答する仕組みを指します。そのうち、利用者の書いた文章の意味をAIが読み取って答えを選んだり、作ったりするものがAIチャットボットと呼ばれるのが一般的です。

厳密な線引きのある用語ではなく、製品によっては、選択肢を押して進むだけのシナリオ型もAIチャットボットとして販売されています。検討するときは名前ではなく、答えを何から作るのかを確かめてみてください。

チャットボットの種類(シナリオ型・一問一答型・AI型・生成AI型・ハイブリッド型)

種類ごとの違いは、答えの元になるデータと、作る側の手間に表れます。

種類答えの作り方向いている使い方作る側の手間
シナリオ型あらかじめ作った選択肢の分岐をたどって答える予約の変更や資料請求など、手順が決まっている案内分岐をすべて自分で設計する
一問一答型(辞書型)登録した質問と回答の組から、近いものを探して返すよくある質問が数十件程度に収まる窓口質問と回答の組を登録し続ける
AI型(機械学習型)言い回しの違いをAIが読み取り、登録済みの回答から選ぶ同じ意味の質問が多様な言い方で来る窓口回答の登録に加え、言い換えの学習と調整
生成AI型読み込ませた文書やWebページを参照し、文章を組み立てて答えるマニュアルや規程が長く、質問の幅が広い場面元の文書を整えることが中心
ハイブリッド型決まった手続きはシナリオで、自由な質問は生成AIで答える手続きと相談が混ざる顧客窓口両方の設計が必要

生成AI型は、登録していない言い回しにも答えられる反面、元の文書にない内容をもっともらしく作ってしまうことがあります。答えを外せない手続きはシナリオ型に任せ、説明や相談を生成AI型に任せるという組み合わせ方も選べます。

RAG:社内文書やWebページを読み込ませて答える仕組み

生成AI型の多くは、RAG(検索拡張生成)と呼ばれる方法で答えを作っています。RAGとは、質問に関係する文書を先に探し出し、その文書を根拠として生成AIに答えを書かせる方法のことになります。

読み込ませる文書が古ければ答えも古くなり、文書同士が食い違っていれば答えも揺れてしまいます。仕組みの詳しい説明はRAGとは?仕組みとLLMとの違いで、自社で組み立てる方法と費用はRAG構築の方法と費用で扱っているので、あわせてご覧ください。

ChatGPTなど汎用の生成AIとの違い

ChatGPTやClaude、Geminiといった汎用の生成AIは、特定の窓口に置くことを前提にした製品ではありません。一方で、法人向けのプランには、社内文書を読み込ませて答えさせる機能や、よく使う指示をまとめた専用のボットを社内で共有する機能が付いているものがあります。

ここで分けて考えたいのは、個人向けの無料版と、会社で契約する法人向けのプランの違いです。個人向けの無料版に社内の情報を入れる使い方は、会社から見て管理が効かないため勧められません。社内向けの用途なら、会社で契約した法人向け生成AIも選択肢に入ります。この違いを踏まえて、次の節で社外向けと社内向けを分けていきます。

比べる前に、社外向けと社内向けを分ける

AIチャットボットの選び方は、誰の質問に答えるのかで大きく変わります。上位に出てくる比較記事の多くは、顧客対応を主な用途として製品を並べており、社内向けは製品の分類の1つとして添えられる形が目立ちます。社内の問い合わせに使いたい会社が、顧客対応向けの製品表だけを見て選ぶと、要らない機能に費用を払うことになってしまいます。

社外向けと社内向けの判断表

次の表は、両者の違いを7つの軸で並べたものです。自社の用途がどちらの列に近いかを確かめてから、比較に進んでみましょう。

軸社外向け(顧客対応)社内向け(社員の問い合わせ・調べもの)
質問する人顧客、見込み客、住民など会社の外の人社員
答えの元になるデータ公開してよいよくある質問、商品情報、利用規約就業規則、社内規程、業務マニュアル、過去の回答
置き場所自社サイト、LINE、問い合わせフォームの横社内ポータル、Teams、Slack、法人向け生成AIの画面
料金が上がる単位質問回数、チャットボット数、設置サイト数、Q&A登録数など利用するユーザーの人数か、会社単位の定額の場合がある
誤回答の影響が及ぶ先顧客に直接届き、会社の案内として扱われうる社員が確かめてから使えるため、影響は社内にとどまりやすい
必要になる機能有人チャットへの切り替え、回答範囲の制限、分析画面部署ごとの閲覧範囲、学習に使わない設定、利用ログ
合う製品の種類専用のAIチャットボット製品社内文書を読み込める法人向け生成AI(規模や要件によっては専用製品)

表のとおり、社外向けは顧客に直接答えるため、誤回答への備えと有人対応への引き継ぎが選定の中心になります。社内向けは、答えの元になる文書を安全に扱えるかどうかと、社員全員に配れる料金かどうかが中心です。

この分け方は、国の資料の並べ方とも重なります。総務省の令和8年版情報通信白書は、顧客との接点でのAI活用として、音声問合せに24時間365日対応する顧客対応の仕組みと、従業員向けにマニュアル等を学習させたイオンの店舗用AIアシスタントを、別々の事例として紹介しています。

導入のメリットは向きによって変わる

社外向けで期待されるメリットは、営業時間外の問い合わせへの24時間対応と、電話やメールの件数を減らすことでしょう。問い合わせの記録が文字で残るため、顧客が何に迷っているのかをログから拾い、サイトの説明を直すきっかけにもなります。

社内向けのメリットは、総務や情シスに同じ質問が繰り返し届く状態を減らし、特定の担当者しか答えられない属人化を和らげることでしょう。回答の根拠になる規程やマニュアルを整える作業そのものが、社内の情報を整理する機会にもなります。

どちらも工数の削減が期待される点は同じですが、削減される工数の持ち主が違います。社外向けは窓口担当の時間、社内向けは質問を受ける管理部門の時間と、質問した社員の待ち時間が減ることになります。

活用シーン(顧客対応・社内ヘルプデスク・マーケティング・採用・自治体)

活用の場面を向きごとに並べると、次のように整理出来ます。

  • 社外向け:商品やサービスの使い方の案内、予約や注文の変更、配送状況の確認、見込み客への資料案内、採用ページでの応募者からの質問への回答
  • 社内向け:就業規則や経費精算のルールの確認、パソコンや社内システムの操作の質問、過去の提案書や議事録の調べもの、新人の立ち上がり支援
  • 自治体:住民からのごみの分別や手続きの問い合わせ(社外向け)、職員からの庶務や財務の質問(社内向け)

社内向けの利用は、企業でも広がりつつあります。総務省の令和8年版情報通信白書(出典は総務省「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」の2025年度企業向け調査)では、業務類型ごとの生成AIの活用状況として、社内ヘルプデスクでの活用を回答した割合が約5割でした。同じ調査で、生成AIを積極的に活用する方針、または領域を限定して利用する方針と答えた割合の合計は、日本で68.9%(前年度調査は49.7%)となっています。企業規模別では大企業74.0%、中小企業58.1%でした。

※同調査はインターネットアンケートで、2026年1月〜2月に実施。従業員10名以上で、2025年までにデジタル化の取組を始めた企業に勤める管理職以上が対象です。日本の有効回答数は515(大企業353、中小企業162)。中小企業の区分は業種で異なり、製造業・建設業などは従業員300人未満、卸売業・小売業やサービス業などは100人未満としています(白書の付注で確認)。

社外向けAIチャットボットの選び方

社外向けの製品は、答えの正確さより先に、答えられないときの逃げ道と、運用を続けられる体制で選ぶほうが失敗を防げます。顧客は回答が正しいかどうかを自分で確かめられないため、外れたときの影響が社内向けより大きくなるからです。

選び方・比較ポイント(目的・運用負荷・サポート・費用対効果)

比較の軸は製品ごとに並べ方が違いますが、社員10〜200名の会社がまず見ておきたい点は次の6つになります。

  • 減らしたい問い合わせを数字で言えるか電話やメールの件数、上位の質問の割合、対応に使っている時間など。目的が曖昧なまま入れると、効果の判断が出来なくなります。
  • 答えの元データを誰がどう更新するかQ&Aを1件ずつ登録する方式か、PDFやWebページを読み込ませる方式か。担当者が1人で回せる量かを見ます。
  • 答えられないときに人へつなげるか有人チャット、問い合わせフォーム、電話番号の案内など、行き止まりにしない出口があるか。
  • 置きたい場所に置けるか自社サイトだけか、LINEや予約システムとも連携するか。
  • 導入と運用の支援がどこまで付くか初期設定の代行や定例での改善提案が料金に含まれるか、別料金か。
  • 料金が何の単位で上がるか質問回数、設置サイト数、チャットボット数など、増え方の単位を確かめます。

このうち、社外向けで後から取り返しにくいのは、答えられないときの出口と、料金の上がり方の2つです。どちらも導入後に困って初めて気づきやすいため、トライアルの段階で必ず試しておきましょう。

有人チャットへの切り替え

有人チャットへの切り替えとは、チャットボットが答えられない質問や、顧客が人との会話を望んだときに、同じ画面のまま担当者に引き継ぐ機能のことです。引き継ぐときに、それまでの会話が担当者に見える製品であれば、顧客に同じ説明を繰り返させずに済みます。

社員数が少ない会社では、担当者が常に画面の前にいるとは限りません。営業時間外は問い合わせフォームに誘導し、翌営業日に返信するといった運用でも、行き止まりをなくすという目的は果たせます。

設置場所と外部連携(Webサイト・LINE・Teams・Slack・CRM)

社外向けの置き場所は、自社サイトの右下に出す形が一般的ですが、LINE公式アカウントやFAQページの中に置ける製品もあります。問い合わせの記録を顧客管理システム(CRM)に送れるかどうかも、営業部門と情報を共有するなら確認したいところです。

社内向けで使う場合は、TeamsやSlackから質問できるかが使われ方を左右します。社員が普段開いている画面から離れた場所に置くと、質問する手間が増えて使われなくなってしまいます。

導入・運用サポート(初期設定の代行と伴走)

専用製品の多くは、初期設定の代行や、導入後の改善提案を有償または無償で用意しています。担当者が兼務で、Q&Aの設計に慣れていない会社ほど、最初の1〜3か月の支援の有無で立ち上がりの速さが変わるでしょう。

支援の中身は、Q&Aの作成代行なのか、ログを見た改善提案なのか、画面の設置作業だけなのかで大きく違います。見積もりの段階で、支援の範囲と回数を書面で出してもらうと比べやすくなります。

FAQとナレッジの整備が回答の質を決める

どの種類のチャットボットでも、答えの質は元のFAQとナレッジ(社内に蓄えた知識や手順)の質を超えられません。生成AI型は文章を上手に組み立てるため、元の情報が古くても、もっともらしい答えを返してしまいます。

導入前に、よくある質問の上位20件ほどを書き出し、それぞれの正しい答えと根拠になるページを決めておいてください。答えが部署によって違う質問が見つかったら、チャットボットより先に社内のルールをそろえる必要があります。

FAQシステムとの連携と一元管理

FAQシステムとは、よくある質問と回答をWebページとして公開し、検索できるようにする仕組みです。チャットボットとFAQページで別々に回答を管理すると、片方だけ更新されて答えが食い違う事態が起こります。

同じ回答データをFAQページとチャットボットの両方で使える製品か、少なくともFAQページを読み込ませて答える製品であれば、更新は1か所で済ませることが出来ます。更新する場所を1つに決めることが、長く運用するうえでの土台となります。

料金の見方|公式価格と料金を左右する要素

AIチャットボットの料金は、製品ごとに上がる単位が違うため、月額の数字を横に並べるだけでは比べられません。この節では、社外向けの代表的な製品として、検索上位の比較記事にも掲載があり、公式サイトに料金表を公開している2製品の公式価格を確認日つきで示し、そのうえで料金の単位の違いを整理します。

製品の比較表(公式ページで確認した価格)

どちらも社外向けの顧客対応に使われる製品で、公式サイトに料金表が公開されている製品です。数字は税抜・契約形態の表記を含め、公式ページの記載のまま載せています。

製品・プラン月額(税抜)初期費用料金表に書かれている主な上限・特徴
Chat Plus ミニマム年契約1,500円/月契約1,980円0円設置1サイト。生成AIの機能は含まれない
Chat Plus ビジネスライト年契約9,800円/月契約10,800円0円設置2サイト
Chat Plus プレミアム年契約28,000円/月契約30,000円0円設置5サイト
Chat Plus AIライト年契約50,000円/月契約54,000円0円生成AIを使った設定補助、QA自動生成
Chat Plus オートAI年契約80,000円〜/月契約88,000円〜0円既学習モデル(ChatPlusAI・Sōseki)で回答
OPTiM AIRES フリープラン0円無料チャットボット2、月間質問100回、登録ドキュメント容量0GB、登録Q&A100件
OPTiM AIRES ライトプラン50,000円無料チャットボット2、月間質問5,000回、登録ドキュメント容量10GB、登録Q&A2,000件、登録Webサイト2件
OPTiM AIRES カスタムプラン65,000円〜無料ライトプランを基に容量やチャットボット数を相談して決める

※2026年9月26日時点で、Chat Plus(https://chatplus.jp/service/chatplus/ )とOPTiM AIRES(https://www.optim.co.jp/optim-aires/price/ )の公式料金ページに表示されている内容です。Chat Plusは「金額は全て税抜価格」、OPTiM AIRESは各プランに「円/月(税抜)」と表示しています。OPTiM AIRESは全プランでユーザー作成数が無制限と表示しています。プラン構成と価格は変わるため、検討時には公式ページで最新の内容をご確認ください。

Chat Plus(チャットプラス)の料金

料金表を見ると、Chat Plusは月額1,500円(年契約・税抜)の最小プランから、生成AIを使うプランまでを段階的にそろえた料金表です。生成AIの機能が料金表に出てくるのはAIライト以上で、それより下のプランは設置できるサイト数などで分かれています。

年契約と月契約の差は、AIライトで月4,000円となります。1年間使うなら、年契約は月契約より48,000円(税抜)安くなる計算です。生成AIの機能(設定補助・QA自動生成)が付くプランで比べるなら、比べる対象は1,500円のプランではなく、AIライトの年600,000円(税抜)になることを覚えておきましょう。

OPTiM AIRES(オプティム アイレス)の料金

OPTiM AIRESは、月額0円のフリープランと、月額50,000円(税抜)のライトプランの2段で始まる料金表です。上限はチャットボット1つあたりで決まっており、ライトプランでは月間の質問回数が5,000回、登録できるドキュメントの容量が10GBとなっています。

フリープランは登録ドキュメントファイル容量が0GBのため、PDFやマニュアルを読み込ませて答えさせる使い方は試せません。登録Q&A100件と月100回の質問の範囲で、画面の使い勝手と回答の出し方を確かめる用途に向いています。

料金の相場と価格帯を、この記事で書かない理由

比較記事には、AIチャットボットの料金相場として月数千円から数十万円といった幅が載っていますが、その多くは掲載した製品の料金を集めたものか、自社の調べによるものです。記事ごとに相場の桁が違うことも珍しくありません。

国の資料も確かめてみましたが、総務省の自治体向けAIガイドブック(令和7年12月・第4版)にも、チャットボットの料金の目安は載っていませんでした。そこでこの記事では相場という言い方はせず、公式に公開されている価格の範囲を確認日つきで示す形にしています。表の2製品では、2026年9月26日時点で月額0円から、文書の読み込みや生成AIの機能が付くプランで月額50,000円(税抜)からとなっていました。

同じ製品でも、記事によって税込で書かれていたり、年契約と月契約が混ざっていたりします。価格を比べるときは、税抜か税込か、年契約か月契約か、生成AIが使えるプランか、いつ確認した数字かの4点をそろえてから並べてみてください。

料金を左右する要素(質問回数・設置サイト数・Q&A登録数・有人チャット・外部連携)

社外向け製品の料金は、主に次の要素で上がっていきます。

  • 月間の質問回数(対話数)の上限と、超えたときの扱い
  • チャットボットの数、設置できるサイトの数
  • 登録できるQ&Aの件数、読み込ませる文書の容量、読み込ませるWebページの数
  • 有人チャットに対応するオペレーターのアカウント数
  • LINEやCRMとの連携などのオプション
  • 初期設定の代行、運用支援のパッケージ

上限を超えたときに、追加料金で続くのか、上のプランへの変更が必要なのか、回答が止まるのかは製品ごとに違います。顧客向けの窓口で回答が止まると、問い合わせが電話に戻ってしまうため、超えたときの扱いは契約前に書面で確かめておくと安心です。

料金の単位が違うと、月額だけでは比べられない

社外向けの専用製品と、社内向けに使う法人向け生成AIでは、料金の上がり方がそもそも違います。

比べる点社外向けの専用製品社内向けに使う法人向け生成AI
料金が上がるきっかけ質問回数、設置サイト数、チャットボット数、容量が増えたとき使う社員が増えたとき(1ユーザーごとの課金の場合)、または利用量が増えたとき
人数との関係質問する顧客の数とは直接結びつかない1ユーザーごとの課金なら人数に比例する
1つの契約で出来ること決まった窓口での自動応答文書の作成、要約、調べもの、社内文書を読ませた回答など
見積もりで聞くこと上限を超えたときの扱い、生成AIが使えるプラン全社員に配ったときの総額、学習に使わない設定の範囲

社内の問い合わせのためだけに専用製品を入れると、月50,000円(税抜)のプランで年600,000円となり、その契約で出来るのは問い合わせへの回答に限られます。法人向け生成AIは、同じ契約で文書作成や要約にも使えるため、社内向けでは用途の広さも費用の比較に含めて考えることが出来ます。法人向け生成AIの料金の比較は法人向け生成AI38サービスの料金比較にまとめています。

無料プランと無料トライアルで確かめること

無料プランや無料トライアルは、機能を一通り触る場ではなく、自社のよくある質問で答えが合うかを試す場として使うのが効果的です。OPTiM AIRESはフリープランに加えて、契約から2週間はライトプランと同等の機能が使えると料金ページで案内しており、Chat Plusも10日間の無料トライアルを案内しています。

無料の範囲では、読み込ませられる文書の量や質問回数が本番より少ない場合もあるでしょう。無料で試した結果が良くても、本番と同じ量のデータで答えが保てるかは、有料プランの初月で改めて確かめる必要があります。

費用対効果とROIの考え方

費用対効果は、減った対応時間を人件費に直し、月額の料金と比べると見えてきます。計算の型は、月の問い合わせ件数×1件あたりに減る時間×担当者の時間単価です。

たとえば、1件あたりの対応が3分短くなり、月に300件の問い合わせがある場合、減る時間は月900分、つまり15時間となります。時間単価を自社の数字で当てはめ、月額料金と初期の設定にかかる社内の時間を差し引いたものが、実際の効果になるでしょう。

※上の300件・3分は計算の型を示すための仮の数字です。3分は、後で紹介する自治体の庁内FAQの実例(1件あたり平均5分から平均2分)の差を当てはめたもので、企業での効果を保証するものではありません。

見落としやすいのは、元のFAQを整え、ログを見て直していく社内の時間です。導入直後はこの時間が大きく、効果が出るまでに数か月かかることもあります。

デジタル化・AI導入補助金2026で使える枠

チャットボットの導入費用は、条件がそろえばデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の対象になりえます。通常枠の補助率は1/2以内(最低賃金に関する条件を満たす場合は2/3以内)で、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。

補助の対象にはソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が含まれますが、事務局に登録されたITツールを、登録されたIT導入支援事業者と組んで申請することが前提になります。ITツールの登録要領では、チャットボットシステムは汎用・自動化・分析ツールの機能例に挙げられています。汎用プロセスだけのツールは単独では申請できないため注意が必要です。

締切は募集回ごとに設定され、2026年9月26日時点で公表されている通常枠の締切は、5次(2026年9月29日17時)までとなっています。次回以降の締切は公式のスケジュールページで確かめることが出来ます。交付決定より前に契約や発注をすると補助の対象にならないため、補助金を使う予定があるなら、申し込みの順番を先に確かめてください。

※補助率・補助額・対象経費は、デジタル化・AI導入補助金の通常枠ページ(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/ )、締切はスケジュールページ(https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/ )、チャットボットシステムの分類はITツール登録要領(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_touroku_it_tool.pdf )で2026年9月26日に確認しました。候補の製品が登録されているかは、公式のITツール検索か支援事業者にご確認ください。

誤回答の責任と、国のガイドラインでの立場

社外向けのチャットボットが誤った案内をしたとき、その責任は置いた会社が問われうると考えておくべきです。社内向けなら社員が確かめてから使えますが、顧客はチャットボットの答えを会社の案内として受け取ります。

誤回答(ハルシネーション)のリスク

ハルシネーションとは、生成AIが事実と違う内容を、もっともらしい文章で答えてしまう現象のことです。RAGで社内文書を読み込ませれば減らせるとされていますが、なくなるわけではありません。

社外向けで特に危ないのは、料金、返金、キャンセル、保証、法令に関わる質問です。答えを外すと顧客の損につながり、苦情や返金の対応が増えてしまいます。

チャットボットの誤案内で会社の責任が認められた海外の例

カナダのブリティッシュコロンビア州の民事紛争解決審判所(Civil Resolution Tribunal)が2024年2月14日に出した判断(Moffatt v. Air Canada, 2024 BCCRT 149)は、この論点でよく引かれる例です。判断の本文によると、祖母を亡くした利用者が航空会社のサイトのチャットボットに忌引運賃について尋ねたところ、チャットボットは、すでに旅行を済ませた場合でも航空券の発行から90日以内に申請すれば割引運賃を受けられると案内しました。

一方で、同じサイトの忌引運賃のページには、旅行を終えた後の申請には適用されないと書かれていました。航空会社は、チャットボットの提供した情報に責任は負えないと主張しましたが、審判所は、チャットボットもサイトの一部にすぎず、サイト上のすべての情報に会社が責任を持つことは明らかだという趣旨を述べました。情報が固定のページから来たのか、チャットボットから来たのかで違いはないとも書かれています。

審判所は、会社がチャットボットの正確さに合理的な注意を払っていなかったとして、損害650.88ドル、判決前の利息36.14ドル、手数料125ドルの合計812.02ドルの支払いを命じました。顧客から見れば、チャットボットの答えも会社の案内と同じになります。

※判断の本文は、同審判所の決定データベース(https://decisions.civilresolutionbc.ca/crt/crtd/en/item/525448/index.do )で2026年9月26日に確認しました。カナダの一州の少額請求に関する判断で、日本の裁判所の判断ではありません。日本で同じ結論になるとは限らない点にご留意ください。

AI事業者ガイドラインでの立場:社外向けはAI提供者に当たりうる

総務省と経済産業省のAI事業者ガイドライン(第1.2版、令和8年3月31日)は、AIに関わる事業者を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3つに分けて整理したものです。AI提供者は、AIシステムを製品やサービスに組み込み、AI利用者や、場合によっては業務外の利用者に提供する事業者と定義されています。

顧客向けにAIチャットボットを置く会社は、製品を買って使う立場であると同時に、AIを組み込んだ窓口を顧客に提供する立場にもなります。ガイドラインは、同じ事業者が複数の立場を兼ねる場合もあると書いており、社外向けに置く会社はAI提供者の役割も担いうると考えておくのが無難でしょう。

AI提供者の事項には、AIを利用しているという事実や、適切な使い方と不適切な使い方を、分かりやすく伝えることが挙げられています。個人情報を不適切に入力しないよう注意を促すこと、サービス規約やプライバシーポリシーを示すことも含まれます。社内向けに使うだけであれば、立場は主にAI利用者となり、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意することが求められます。

※ガイドラインの本文(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/pdf/20260331_1.pdf )を2026年9月26日に取得し、第1部の定義(本文5ページ)と第4部(本文37〜39ページ)・第5部(本文40ページ)で確認しました。ガイドラインは法的な拘束力を持たない指針で、どの立場に当たるかは使い方によって変わります。

誤回答を減らす設計(回答範囲・出典・人への引き継ぎ)

社外向けで誤回答の影響を小さくするには、答えてよい範囲を先に決めることが出発点になります。料金や返金のように外せない質問は、生成AIに文章を作らせず、決まった回答か担当者への引き継ぎにしてしまう方法もあります。

  • チャットボットの最初の表示で、AIが自動で答えていることと、正式な条件は規約のページが優先することを伝える
  • 答えの下に、根拠にしたページへのリンクを出す
  • 答えられない質問や、同じ質問が繰り返されたときは、担当者か問い合わせフォームへ案内する
  • チャットボットの答えとWebページの記載が食い違っていないか、月に1回はログを見て確かめる

Air Canadaの例でも、チャットボットの答えと別のページの記載が食い違っていたことが問題になりました。元のページを更新したら、チャットボットの答えも同じ日に確かめるという運用を決めておきましょう。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例とチャットボット

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例は、令和7年4月1日に施行されました。東京都の2025年3月28日の報道発表では、マニュアルを整えて防止対策に取り組んだ企業向けの奨励金(定額40万円、都内の中小企業等が対象)の要件として、録音・録画環境の整備、外部人材の活用と並んで、AIを活用したシステム等の導入が挙げられていました。

チャットボットで定型の問い合わせを受ければ、窓口の担当者が一人で長い対応を抱える場面は減らせるかもしれません。ただし、2026年9月8日の都の発表では、令和8年度第2回募集(2026年10月23日〜11月6日、事前エントリー制)で募集を終える予定とされています。使う場合は東京都の最新の案内で確かめてください。

社内向けは法人向け生成AIで足りる場合が多い

社員からの問い合わせや社内の調べものが目的なら、専用のチャットボット製品を新たに入れる前に、社内文書を読み込ませて答えられる法人向け生成AIで足りるかを確かめる価値があります。社員数が10〜200名ほどの会社では、問い合わせの件数だけで専用製品の月額を回収するのは簡単ではありません。

社内の問い合わせと調べものに向く理由

社内向けの質問は、就業規則の読み方、経費の精算方法、社内システムの操作など、答えが社内文書に書かれているものが中心です。規程やマニュアルを読み込ませて答えさせる機能があれば、Q&Aを1件ずつ登録しなくても、ある程度の質問に答えられます。

社員は答えを受け取ったあと、根拠の文書を開いて確かめることが出来ます。社外向けほど回答範囲を絞り込まなくても運用しやすい点が、社内向けで法人向け生成AIが使いやすい理由の一つになっています。

さらに、同じ契約で議事録の要約や文書の下書き、調べものにも使えるため、問い合わせ対応のためだけの費用になりません。社内向けの専用ボットを作る具体的な手順はGPTsの作り方で、社内ヘルプデスクの立ち上げ方と読ませない情報の線引きはヘルプデスクAIの始め方で扱っています。

自治体の庁内FAQで1件5分から2分に

社内向けの効果を示す公的な実測値は、企業より自治体のほうが見つけやすいのが実情です。総務省の自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(令和7年12月・第4版)では、福岡県北九州市と山口県下関市が、チャットボットを使った庁内FAQシステムを開発した例が紹介されました。

職員の質問にAIがFAQ等のデータから自動で答える仕組みで、1件の問い合わせに対する職員の対応時間が平均5分から平均2分に短くなったとされています。同じガイドブックでは、自治体でのチャットボットによる応答の導入件数が、令和4年度340件、令和5年度369件、令和6年度374件と増えてきたことも示されています(出所は総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」令和7年6月30日版)。

ガイドブックには、庁内FAQシステムを調達するときの機能要件の記載例も載っています。事務マニュアルから質問と回答を切り出してFAQを自動で作る機能や、利用時間・1件あたりの回答時間・AIの精度を効果検証のために出力できる機能が挙げられており、企業が社内向けの要件を考えるときの手本にもなるでしょう。

※総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」令和7年12月(第4版)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000820109.pdf )のPDF14ページ(本文13ページ)、15ページ(本文14ページ)、57ページ(本文56ページ)で2026年9月26日に確認しました。数字は自治体の庁内業務の例で、企業での効果を示すものではありません。

専用の社内チャットボット製品が向く場合

社内向けでも、専用製品のほうが向く場合はあります。たとえば、数千人規模の社員から同じ種類の質問が大量に届く場合や、回答の文言を一字一句そろえたい場合、人事や総務の担当者に自動で引き継ぐ流れが必要な場合です。

部署ごとに見せてよい文書が細かく分かれている場合も、閲覧範囲の設定が細かい製品が合うでしょう。反対に、質問の種類が幅広く、件数が月に数百件ほどまでなら、まずは法人向け生成AIに規程とマニュアルを読ませて試し、足りない点が見えてから専用製品を検討する順番のほうが無駄が少なくなります。

どちらを選ぶ場合でも、社員が会社の用意した環境を使わず、個人のアカウントの生成AIに社内の文書を入れてしまう状態は避けたいところです。社内向けの仕組みを用意する目的は、問い合わせを減らすことと同時に、社内の情報を会社の管理の外に出さないことにもあります。

社内の問い合わせは、会社で契約したAIに集めましょう

社員が個人のAIに社内文書を入れる前に、読み込ませて答えられる環境を会社で1つ用意しておけます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

会社で安全に使うための4つの備え

社外向けと社内向けのどちらでも、会社として整えておきたい備えは、学習に使わない設定、ログの管理、社員への配り方、複数のAIの使い分けの4つです。製品の機能表だけでは分かりにくい部分なので、契約前の確認項目として並べておきます。

セキュリティ(入力データの学習利用・認証・権限)

最初に確かめたいのは、チャットボットに入力された内容や読み込ませた文書が、提供事業者のAIの学習に使われるかどうかです。法人向けの製品やプランでは学習に使わないとしているものもありますが、設定が既定でオンなのか、管理者が切り替える必要があるのかは製品ごとに違います。

社内向けでは、誰がどの文書を読めるかという権限の設定も欠かせません。人事評価や給与の資料のように、一部の社員しか見てはいけない文書を読み込ませる場合は、答えにその内容が出てこない設計になっているかを試してから使い始めてください。

情報を扱う点で見ておきたい項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。

顧客の個人情報を受け取る前提で設計する

社外向けのチャットボットには、顧客が氏名や電話番号、注文番号などを書き込むことがあります。書かないでくださいと案内しても、書かれることはあると考えて設計したほうが安全です。

個人情報保護委員会は、2023年6月2日の生成AIサービスの利用に関する注意喚起で、事業者が本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反する可能性があると示しました。そのため、提供事業者がその個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。

顧客が入力した情報がチャットボットの提供事業者の側でどう扱われるかは、契約前に確かめておきたい点です。入力を促さない画面の文言、利用目的の表示、会話ログの保存期間と削除の方法を、製品の資料と規約で確かめておきましょう。

※個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」令和5年6月2日(https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ )と別添の本文PDFで2026年9月26日に確認しました。この注意喚起は事業者が生成AIサービスに個人情報を入力する場面を扱ったもので、顧客が直接入力する場面への当てはめは、考え方の参考として示しています。

ログの管理と社員への配り方

会話のログは、改善の材料であると同時に、問題が起きたときに何が起きたのかを確かめる記録でもあります。誰が、いつ、何を尋ね、どう答えたのかを管理者が見られるか、書き出せるかを確認しておくと、後から調べる必要が出たときに困りません。

社内向けで見落としやすいのが配り方です。1ユーザーごとの課金のサービスで一部の社員にだけ配ると、配られなかった社員が個人のアカウントで生成AIを使い始めることがあります。会社から見えない利用、いわゆる野良AI(シャドーAI)が生まれる典型的な経路になってしまいます。

退職や異動のときの扱いも、配り方と一緒に決めておきたい点です。管理者がアカウントをすぐに止められるか、止めたあとも会話の記録が会社側に残るかによって、引き継ぎのしやすさが変わってきます。

全員に配れる料金の形かどうかを、費用の比較に入れておくことをおすすめします。社内で使ってよいサービスと入力してよい情報の決め方は生成AIの社内ガイドラインの作り方をご覧ください。

複数のAIを使い分ける

社内向けで法人向け生成AIを使う場合、1つのAIに絞らず、用途に応じて使い分けられる環境を用意する方法もあります。調べものはWeb検索に強いもの、長い規程の読み込みは長文の処理に強いもの、というように得意分野が分かれているためです。

使い分けといっても、社員一人ひとりに毎回どれを使うか選ばせる必要はありません。規程の確認はこのAI、市場の調べものはこのAI、というように用途ごとの既定を管理者が決めて伝えておけば、迷う場面はかなり減らせます。

同じ質問を2つのAIに投げて答えが食い違えば、そこが人の確かめるべき箇所だと分かります。複数のAIを1つの環境で使う方法はマルチAIとは、用途ごとの割り当て方は主要4AIの違いと使い分けで詳しく紹介しています。

導入後の効果測定と改善

チャットボットは、置いた日よりも置いた後の手入れで成果が分かれます。導入前に測る指標を決め、同じ指標を毎月見ることで、続けるか、直すか、やめるかを判断出来るようになります。

効果測定の指標(対応件数・自己解決率・満足度など)

見ておきたい指標は、社外向けと社内向けでほぼ共通しています。

  • 対応件数:チャットボットが受けた質問の数
  • 自己解決率:チャットボットの答えだけで解決し、人への問い合わせにつながらなかった割合
  • 有人への引き継ぎ率:担当者やフォームに回った割合
  • 電話・メールの件数の変化:導入前の同じ月と比べた増減
  • 満足度:答えの後に表示する役に立った・立たなかったのボタンの結果
  • 答えられなかった質問の数:回答の元データが足りていない箇所の目安

数字を比べるときは、導入前の1〜3か月分の電話やメールの件数を先に記録しておくことが欠かせません。導入後の数字だけでは、減ったのか、もともと少なかったのかが分からなくなってしまいます。

対話ログの分析と改善

毎月のログから、答えられなかった質問と、満足度の低かった答えを拾い出し、元のFAQや文書を直していきます。同じ質問が言い回しを変えて何度も来ている場合は、回答の文章より、サイトや社内ポータルの説明のほうを直したほうが早いこともあります。

社内向けでは、答えが外れた質問の多くが、元の規程やマニュアルの書き方に原因を持っています。例外の扱いが本文ではなく別紙や過去のメールにしか書かれていない場合、AIはその例外を知らないまま答えてしまいます。ログで外れた質問を見つけたら、AIの設定より先に、根拠の文書に例外を書き足すことから始めるのが近道になるでしょう。

改善の担当者と、毎月ログを見る日を先に決めておきましょう。担当が決まっていないと、ログは溜まるだけで見られなくなり、古い答えを返し続ける状態に戻ってしまいます。

公的資料にある導入事例(数値つき)

数値つきの事例は、製品を提供する会社の発表が中心で、その多くは同社の集計による自己申告の数字です。第三者が測った数字として確かめられたものは限られており、この記事では国の資料にある自治体の例を使っています。

先に紹介した北九州市と下関市の庁内FAQの例では、1件あたりの対応時間が平均5分から平均2分に短くなりました。同じ事業では、文書閲覧システムでは文書1件あたり平均10分から平均3分に、音声・ビデオのテキスト変換ツールでは平均70分から平均30分に短くなったことも示されています。

製品の事例を読むときは、誰が測った数字か、導入前と比べた期間はいつか、対象の業務はどこまでかを確かめてみてください。自社と規模や業種が近い事例かどうかも、数字を当てはめる前に見ておきたい点です。

社員10〜200名の会社が小さく試す手順

いきなり全社や全窓口に広げず、社外向けと社内向けをそれぞれ1か所だけで試すのが、失敗の少ない始め方です。試す期間と、続けるかどうかを決める基準を、始める前に決めておきましょう。

社外向けは、よくある質問の上位だけで1か月試す

  1. 過去3か月の電話・メールの問い合わせから、件数の多い質問を上位20件ほど書き出す
  2. それぞれの正しい答えと、根拠になるページを決め、食い違いがあれば先に社内でそろえる
  3. 無料プランかトライアルで、その20件だけを答えさせる形で自社サイトの1ページに置く
  4. 答えられない質問は問い合わせフォームに案内し、AIが答えていることを最初の表示で伝える
  5. 1か月後に、対応件数、自己解決率、電話・メールの件数の変化を導入前と比べる

1か月で判断がつかない場合でも、答えられなかった質問の一覧は手元に残ります。その一覧は、チャットボットを続けない場合でも、FAQページを直す材料として使うことが出来ます。

社内向けは、1部署・1テーマで規程とマニュアルを読ませる

  1. 総務なら就業規則と経費精算、情シスならパソコンと社内システムの操作、のように1部署1テーマに絞る
  2. 読み込ませる文書を最新版にそろえ、人事評価や給与など読ませない情報を決める
  3. 会社で契約した法人向け生成AIに文書を読み込ませ、その部署の社員5〜10名に使ってもらう
  4. 2〜4週間後に、担当部署に届いた同じ種類の質問の件数と、使った社員の感想を集める
  5. 答えが外れた質問は、文書の書き方を直すか、読ませる文書を足して直す

続けるかどうかの基準も、始める前に数字で決めておいてください。たとえば、担当部署に届く同じ種類の質問が導入前より減ったか、使った社員の半数以上がまた使いたいと答えたか、といった形です。基準を後から決めると、使い続けたい人と止めたい人の意見が分かれたときに、判断の拠り所がなくなってしまいます。

社内向けの詳しい進め方と、効果の測り方はヘルプデスクAIの始め方で扱っています。顧客窓口が電話中心の会社は、コールセンターAIの活用法もあわせて読んでおくと、社外向けの運用の決め方が見えてくるはずです。

社内の問い合わせと調べものを、会社で管理できるAIに

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。自社資料を読み込ませて答える社内文書RAGと、よく使う指示と手順をボットにして社内限定で共有できるカスタムプラスを備え、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・使わせるAIを管理できます。全モデルで学習非利用を標準適用。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

AIチャットボットと、ChatGPTのような生成AIは何が違いますか?
AIチャットボットは、自社サイトや社内ポータルなど決まった場所に置き、決まった範囲の質問に答えることを前提にした仕組みです。ChatGPTのような生成AIは、文章の作成や要約など幅広い用途に使える汎用の道具で、法人向けのプランには社内文書を読み込ませて答えさせる機能が付いているものもあります。顧客に答える社外向けは専用のチャットボット製品、社員に答える社内向けは法人向け生成AIで足りる場合が多い、という分け方が目安になります。
社内の問い合わせ対応にも、専用のチャットボット製品は必要ですか?
社員数が10〜200名ほどで、質問の件数が月に数百件ほどまでなら、まずは会社で契約した法人向け生成AIに規程やマニュアルを読み込ませて試す方法があります。同じ契約で文書作成や要約にも使えるため、問い合わせ対応のためだけの費用になりません。質問が大量に届く場合や、回答の文言を厳密にそろえたい場合、部署ごとの閲覧範囲を細かく分けたい場合は、専用製品が向いています。
AIチャットボットの料金は、どう比べればよいですか?
月額の数字だけでなく、料金が何の単位で上がるかをそろえて比べてください。社外向けの製品は、質問回数、設置サイト数、チャットボット数、読み込ませる容量などで上がります。価格は、税抜か税込か、年契約か月契約か、生成AIが使えるプランか、いつ確認した数字かの4点をそろえて並べると、記事ごとの見せ方の違いに惑わされにくくなります。
チャットボットが顧客に間違った案内をしたら、誰の責任になりますか?
置いた会社の責任が問われうると考えておくのが安全です。カナダの民事紛争解決審判所は2024年2月、航空会社のサイトのチャットボットが忌引運賃について誤った案内をした件で、会社はサイト上のすべての情報に責任を持つという趣旨を述べ、会社に支払いを命じました。日本の判断ではありませんが、料金や返金など外せない質問は決まった回答か担当者への引き継ぎにし、答えの根拠のページを示す設計にしておくことをおすすめします。
AIチャットボットの導入に補助金は使えますか?
条件がそろえば、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の対象になりえます。通常枠の補助率は1/2以内(条件により2/3以内)で、クラウド利用料は最大2年分が対象経費に含まれます。事務局に登録されたITツールを登録済みの支援事業者と組んで申請する必要があり、交付決定より前に契約や発注をすると対象外になります。候補の製品が登録されているかは、公式のITツール検索か支援事業者にご確認ください。
無料プランだけで導入を判断してもよいですか?
無料プランは、画面の使い勝手と、自社のよくある質問に答えが合うかを確かめるのには役立ちます。ただし、読み込ませられる文書の容量や質問回数が本番より少ない場合があり、無料プランでは文書を読み込ませられない製品もあります。本番と同じ量のデータで答えの質が保てるかは、有料プランの初月で改めて確かめることをおすすめします。

まとめ

AIチャットボットを比べるときは、製品を並べる前に、顧客に答える社外向けか、社員に答える社内向けかを決めることが出発点になります。社外向けは専用のチャットボット製品を、答えられないときの出口、料金の上がる単位、導入と運用の支援で比べて選ぶ形です。

社外向けの料金は、質問回数や設置サイト数、読み込ませる容量で上がるため、税抜か税込か、年契約か月契約か、生成AIが使えるプランかをそろえて比べる必要があります。顧客に直接答える以上、誤回答の責任は会社に向かいうると考え、回答範囲の制限と人への引き継ぎを先に設計しておきましょう。

社内の問い合わせや調べものは、社内文書を読み込ませて答えられる法人向け生成AIで足りる場合が多く、同じ契約で文書作成や要約にも使えます。どちらを選ぶ場合も、学習に使わない設定、ログの管理、全員に配れる料金の形、複数のAIの使い分けを会社として整えることが、安全に長く使うための土台となります。

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