Claude Enterpriseの監査ログ。情報システム部門が見られる記録と点検手順

Claude Enterpriseの監査ログとは、組織の中で「いつ・誰が・何をしたか」を1件ずつ記録した、Enterpriseプランだけで使える操作の記録です。組織のOwnerとPrimary Ownerが管理画面から過去180日分をまとめて取り出せますが、会話やプロジェクトの題名と本文は入らず、残るのは識別番号(UUID)だけになります。中身まで確かめたいときは、Primary Ownerのデータエクスポートや、Compliance APIを組み合わせることが出来ます。料金やTeamプランとの全体の違いは、Claude Enterpriseとは(料金とTeamとの違い)で確認いただけます。

Claude Enterpriseの監査ログとは|Teamでは使えないEnterprise限定の記録

監査ログは、Anthropicの公式ヘルプでEnterpriseの組織だけが使える機能として案内されています。料金ページの比較表でも、Audit logs(監査ログ)の行はTeamが「No」、Enterpriseのセルフサービス型と営業担当経由型がともに「Yes」です。社員のサインインや招待、SSOの設定変更、会話の作成や削除といった操作が、1件ずつ行として残る仕組みになります。

※2026年10月3日時点でAnthropicのヘルプセンター(監査ログへのアクセス)に掲載されている内容です。料金ページの比較表も同日時点の表示によります。

監査ログに残るのは「誰が・いつ・何をしたか」

1行には、記録された日時、操作した人、操作の種類、操作の対象、IPアドレスや端末の情報が並びます。会社の情シスの方から見ると、社員がClaudeで何を話したかではなく、アカウントと組織の設定に何が起きたかを追うための記録と考えると分かりやすいでしょう。会話の中身が入らない点を取り違えると、監査ログを見れば社員の入力が分かるという誤った期待のまま、導入を決めることになってしまいます。

利用状況の分析(アナリティクス)との違い

似た名前の機能に、利用状況の分析(Usage analytics)があります。料金ページの比較表ではTeamとEnterpriseの両方が「Yes」で、Enterprise向けのヘルプでは、Analytics APIが利用の度合いや定着の指標を集計して返すものと説明されています。集計の数字は「どれだけ使われているか」を見る道具で、監査ログは「誰が何をしたか」を1件ずつ確かめる道具と分けて考えてみてください。費用の面では、組織設定の「Usage」からメンバーごとの今月の支出を確認できると、請求のヘルプに書かれています。

Teamプランとの機能差と、Teamのまま使える手段

料金ページの比較表でTeamが「No」、Enterpriseが「Yes」となっている行は、監査ログのほかにSCIM(社員アカウントを自動で登録・削除する仕組み)、Compliance API、カスタムのデータ保持期間、ロールに応じた権限の管理などです。反対に、SSO(シングルサインオン)、ドメインの確認、利用状況の分析、組織と個人ごとの支出上限は、Teamでも「Yes」になっています。Teamのままで出来るのは、利用の量と費用を見ること、サインインの方法を会社のSSOにそろえること、Primary Ownerが組織のデータエクスポートで会話データを取り出すことまでで、誰がいつどの設定を変えたかを1件ずつ追う記録は、比較表を見る限りEnterpriseの側にしかありません。

監査ログのためにEnterpriseへ上げるかの目安

Enterpriseは、セルフサービス型で最低20シート、営業担当経由で最低50シートとヘルプ記事に書かれています。シート料金は1シートあたり月20米ドル(年払い・税抜)で、これとは別に、Claude・Claude Code・Coworkでの使用量がAPIの標準レートで課金されます。最低の20シートでも、シート料金だけで年4,800米ドル(税抜)の出費となり、日本の顧客には2026年4月1日から消費税10%が別にかかります。加えて、Teamの組織をそのままEnterpriseへアップグレードする手順は元に戻せないと、移行のヘルプに明記されています。上げる前に、確かめたい記録が管理の操作なのか会話の中身なのかを先に決めましょう。

管理の操作の記録で足りるなら監査ログで用が済み、会話の中身まで要るならデータエクスポートやCompliance APIの運用まで含めて考えることになります。人数別の年額やTeamとの全体比較はClaude Enterpriseの料金とTeamとの違いで確認いただけます。

監査ログを取り出せる人と手順|メールで届き、リンクは24時間

監査ログを取り出せるのは組織のOwnerとPrimary Ownerで、画面からの操作は数回のクリックで終わります。ただし結果はその場で表示されず、後からメールでダウンロードリンクが届く形です。

エクスポートできるのはOwnerとPrimary Ownerだけ

公式ヘルプが取り出せる人として挙げているのは、組織のOwnerとPrimary Ownerの2つの役割に限られています。それ以外の役割の方が取り出せるとは書かれていないため、取得の担当はこの2つの役割を持つ方から選ぶことになります。

規模の小さな会社では、Primary Ownerが社長や契約担当の1名だけという形になりがちです。その方が不在のときにも点検が止まらないよう、情シスの担当者をOwnerにしておくとよいでしょう。これは公式の決まりではなく、運用上の提案になります。

手順:組織設定の「データとプライバシー」から「ログをエクスポート」

画面の場所は、公式ヘルプで組織設定 > データとプライバシー(Organization settings > Data and Privacy)と案内されています。流れは次のとおりです。

  1. OwnerかPrimary Ownerのアカウントで、Claudeの組織設定(Organization settings)を開く
  2. 「データとプライバシー(Data and Privacy)」を選ぶ
  3. 「ログをエクスポート(Export logs)」ボタンを押す
  4. 依頼した本人宛てに、ダウンロードリンク付きのメールが届くのを待つ
  5. メールのリンクから、24時間以内にファイルを保存する

期間を選ぶ画面の有無や選択肢は、公式ヘルプには書かれていません。実際の画面で表示される内容を確かめてから、社内の手順書に写してみてください。

過去180日分がまとまって届き、ダウンロードリンクは24時間で切れる

エクスポートを始めると、組織の過去180日以内の監査ログがまとめられ、依頼したOwnerにダウンロードリンク付きのメールが届きます。リンクが使えるのは24時間で、ログをまとめる処理のあいだはメールが届くまでに時間がかかる場合があると、公式ヘルプは注意を促しています。ここでの180日は、1回のエクスポートでさかのぼれる範囲のことで、監査ログそのものの保存期間は公式ヘルプに書かれていない点に注意してください。画面からのエクスポートなら、自社で定期的に取り出して保管しておくのが確実です。Compliance APIで継続して取り込む方法もあります。

ファイルの形式について、公式ヘルプは9つの列を持つ表として説明しているだけで、CSVなどの形式名は挙げていない状態です。手元のファイルを表計算ソフトで開く前に、拡張子と文字コードを一度確かめておきましょう。

監査ログの9つの列と、記録される35種類のイベント

監査ログの1行は9つの列で出来ており、公式表に載っているイベントは2026年10月3日時点で35種類になります。列の意味を押さえておくと、初めてファイルを開いたときにも迷わずに済むでしょう。

9つの列が表すもの

列名公式ヘルプの説明情シスが見るときの使い道
created_atログが書き込まれた日時行を時刻順に並べ、出来事の経過を組み立てる起点
actor_info操作した人の情報(分かる場合)誰がやったかを特定する
eventイベントの種類何をしたかを読む
event_infoイベントの種類ごとの補足情報成功か失敗か、SSOを必須にしたか、名前の変更前と変更後など
entity_info操作の対象(分かる場合)どのアカウント・招待・会話・SSO接続に対する操作かを特定する
ip_addressイベントに対応するIPアドレス(分かる場合)社内のネットワークからか、見慣れない場所からか
device_idイベントに対応する端末ID(分かる場合)いつもの端末からの操作か
user_agent操作に使われたプログラムの情報(分かる場合)ブラウザか、アプリか、見慣れないプログラムか
client_platformiOSかAndroidか(分かる場合)スマートフォンからの操作かどうか

entity_infoの中身は、対象の種類(type)、UUID、名前(分かる場合)、付随情報(metadata)の4つで構成されています。対象の種類は、アカウント(メールアドレス付き)、招待(招待したロール付き)、プロジェクト(非公開かどうか付き)、プロジェクト内の文書、会話、ファイル、SSO接続(接続方式・状態・ドメイン付き)の7つです。招待の取り違えやSSOの設定変更は、この付随情報まで見て初めて判断が出来ます。

公式表に載っている35種類のイベント

分類イベント名(公式の英語名)件数
サインイン・本人確認user_signed_in_sso、user_signed_in_google、user_signed_in_apple、user_signed_out、user_requested_magic_link、user_attempted_magic_link_verification、user_sent_phone_code、user_verified_phone_code、user_name_changed9
プロジェクトproject_created、project_deleted、project_renamed、project_visibility_changed、project_document_created、project_document_deleted6
招待・メンバーorg_user_invite_sent、org_user_invite_re_sent、org_user_invite_accepted、org_user_invite_rejected、org_user_invite_deleted、org_user_deleted6
SSO・ドメインorg_sso_toggled、org_sso_connection_activated、org_sso_connection_deactivated、org_sso_connection_deleted、org_sso_add_initiated、org_jit_toggled、org_domain_add_initiated、org_domain_verified8
組織データの書き出しorg_data_export_started、org_data_export_completed2
ファイル・会話file_uploaded、conversation_created、conversation_renamed、conversation_deleted4

※イベントの件数は、2026年10月3日時点でAnthropicのヘルプセンター「監査ログへのアクセス」の表に載っているものを数えた数です。

この一覧に、ロールの変更、会話の共有リンクの作成、コネクタの接続にあたるイベント名は載っていません。実際に取り出したファイルに一覧にない名前が出てきたら、推測で意味を決めず、公式ヘルプの最新の一覧と照らし合わせてから点検表に足しましょう。イベント名は英語のまま記録されるため、社内の点検表にも英語名を併記しておくと照合が早くなります。

監査ログを入れる前に、使うAIの入口を会社で1つに

記録を追う仕組みより先に、社員が使うAIを会社で1つの環境にまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

監査ログにないものと、代わりに使う手段

監査ログは管理と操作の記録で、会話の中身、Claude Code・Coworkの操作、長い期間の保管は別の手段で補う必要があります。知りたいことごとに、使う手段を表にまとめました。

知りたいこと監査ログでは代わりに使う手段
会話・プロジェクトの題名と本文入らない(識別番号だけ)Primary Ownerによるデータエクスポート、またはCompliance API
Claude Code・Coworkでの操作公式一覧に該当するイベント名がないCompliance API(Claude CodeはCLIとDesktop、Coworkが対象)。Claude Codeは、OpenTelemetryのイベントでも操作の記録をSIEMへ送れる
CMEK(顧客管理の暗号鍵)を使う組織での取得「ログをエクスポート」ボタンが使えないCompliance API
社内の監視の仕組みへの継続的な取り込み画面から都度取り出す形Compliance API
180日より前の記録1回の取り出しは過去180日以内毎月取り出して自社で保管
ロールの変更、共有リンクの作成、コネクタの接続公式一覧に該当するイベント名がない公式一覧にないものとして扱い、管理画面の現在の状態で確認
メンバーごとの支出列に含まれない組織設定の「Usage」
利用の度合いや定着の様子集計は出ない利用状況の分析(Usage analytics、Analytics API)

会話とプロジェクトの題名・本文は入らない

公式ヘルプは、会話とプロジェクトの題名と内容は監査ログに含まれず、書き出されるのは一意の識別番号だけだと明記しています。会話の入力と出力は、Primary Ownerがデータエクスポートで取り出せると、同じヘルプに案内があります。監査ログを見ても、社員がClaudeに何を入力したかは分かりません。社員の側から見ると、毎月の点検で自分の入力内容が情シスに読まれるわけではない、ということになります。一方で、Primary Ownerのデータエクスポートなら会話の入力と出力まで取り出せるため、誰がそれを行えるかは社内のルールで明らかにしておきましょう。

Claude Code・Coworkの操作は一覧にない

公式表の35種類のイベントには、Claude CodeやCoworkでの操作を示すイベント名が入っていません。Compliance APIのヘルプでは、対象にCowork(Claudeのデスクトップやモバイルなどからの利用)とClaude Code(CLIとDesktop)が挙げられています。ただし、Claude Codeのクラウドでのセッション、Claude Platform経由のClaude Code、Amazon BedrockやGoogle Vertex AIで動かしたセッションは対象外とされているので注意が必要です。

Claude Codeについては、もう1つOpenTelemetry(操作の記録を外部の監視基盤へ送る仕組み)という手段があります。Claude Codeの公式ドキュメントは、OpenTelemetryのイベントをClaude Codeの操作の監査データの元と位置づけ、ツールの実行、MCPの利用、許可の判断を、操作した本人に結びつけて記録できるとしています。これらのイベントは、SIEM(社内のログをまとめて監視する仕組み)へ送ることが出来ます。開発の部署でClaude Codeを使わせる予定がある会社は、監査ログの点検とは別に、Compliance APIとOpenTelemetryのどちらで何を取るかを先に決めてみてください。

※2026年10月3日時点で、Anthropicのヘルプセンター(Compliance API、カスタムのデータ保持)とClaude Codeの公式ドキュメント(Monitoring usage)に掲載されている内容です。

Compliance APIとの関係(CMEK利用時はAPIだけ)

Compliance APIは、組織の活動の記録、会話のデータ、ファイルの内容をプログラムから取り出せる仕組みで、監査ログのイベントも含まれるようになっています。公共機関向けを除くEnterpriseの組織で使え、有効にできるのはPrimary Ownerだけで、場所は組織設定の「API」です。顧客管理の暗号鍵(CMEK:自社のクラウドで管理する暗号化の鍵)を使っている組織では「ログをエクスポート」のボタンが使えず、監査ログのイベントはCompliance APIから取ることになります。セキュリティやコンプライアンスの製品がこのAPIの上に連携を作っているとも公式に書かれており、SIEMに取り込む場合の入口と考えられます。

データ保持期間の設定(Enterprise限定・30日以上)

会話をいつまで残すかは、監査ログとは別の、カスタムのデータ保持期間で決めます。Enterpriseだけの機能で、Primary OwnerかOwnerが組織設定の「データとプライバシー」から設定し、最短は30日(1か月は30日として数える)です。設定しなければ既定では無期限に保持され、期間を過ぎたデータは完全に削除されて元に戻せません。保持に関する操作や変更は自動的に監査ログに記録されると、公式ヘルプにあります。ただし、そのイベント名は35種類の公式一覧には載っていないため、実際に取り出したファイルで出方を確かめてみてください。また、保持期間の設定はClaude Design、Claude Tag、Claude Managed Agentsなどには及ばないと書かれています。

Enterpriseまでは要らない会社が先に考えること

社員10〜200名の会社では、最低20シート・年払いのEnterpriseを、監査ログのためだけに入れるのは重い判断になります。社員がそれぞれ個人のアカウントでClaudeやChatGPTを使っている状態では、監査ログを入れる前の段階で、会社から見えない利用、いわゆる野良AI(シャドーAI)が残ってしまいます。先に必要なのは、学習に使われない設定、利用の記録、社員への配布を1つの環境でそろえ、会社として把握できる状態にすることです。

確かめたい疑いから引く、監査ログの使い道と判断表

監査ログは、何となく眺めるより、確かめたい疑いを先に決めてから該当のイベントを探すほうが早く終わります。退職・異動の確認、招待の取り違え、SSOの設定変更、データの持ち出し、不審なサインインの5つに、削除の跡を加えた6つの場面で整理しました。

確かめたい疑い見るイベント見る列と判断の目安
退職・異動した方が、まだ使っていないかorg_user_deleted、org_user_invite_deleted、user_signed_in_sso、user_signed_in_google、user_signed_in_apple削除の日付が退職日と合っているか。退職日より後に、actor_infoがその方になっているサインインの行が残っていないか
招待の取り違え(別の人・別のロールで招待した)org_user_invite_sent、org_user_invite_re_sent、org_user_invite_accepted、org_user_invite_rejected、org_user_invite_deletedevent_infoのinvited_role(招待したロール)とinvited_email_address(招待先のメールアドレス)が、人事の入社・異動の記録と一致するか
SSOの設定が、申請なく変わっていないかorg_sso_toggled、org_sso_connection_activated、org_sso_connection_deactivated、org_sso_connection_deleted、org_sso_add_initiated、org_jit_toggled、org_domain_add_initiated、org_domain_verifiedevent_infoのsso_enforced(SSOを必須にしたか)と、entity_infoのSSO接続の状態・ドメインを、変更申請の記録と突き合わせる
データの持ち出し・持ち込みorg_data_export_started、org_data_export_completed、file_uploaded、project_visibility_changed、project_document_created書き出しを始めたのは誰か(actor_info)、Anthropic側が始めたものか(initiated_by_anthropic)。非公開だったプロジェクトの公開範囲が変わっていないか(updated_privacy)
不審なサインインuser_requested_magic_link、user_attempted_magic_link_verification、user_sent_phone_code、user_verified_phone_code、サインイン系の各イベントマジックリンクの2つのイベント(user_requested_magic_link・user_attempted_magic_link_verification)で、is_successfulが失敗の行が続いていないか(is_successfulが付くのはこの2つだけ)。ip_address・device_id・user_agentがいつもと違わないか
会話やプロジェクトを消した跡conversation_deleted、project_deleted、project_document_deleted消した人と時期。何が書かれていたかは監査ログからは分からない。削除した会話は、削除の後に始めたデータエクスポートにも含まれない

org_jit_toggledのJIT(ジャストインタイム)は、IdP(社員のIDを管理する仕組み)に割り当てた社員が初めてサインインしたときに、アカウントを自動で作る仕組みです。有効にしたのか無効にしたのかは、event_infoのjit_provisioning_enabledで分かります。user_name_changedには変更前と変更後の名前(old_name・new_name)が残るので、表示名を他の社員に似せる、なりすましの下準備がないかも確かめることが出来ます。SSOとドメインのイベントは、変更の申請がない月に1件でも出ていたら、誰が行ったかを必ず確かめましょう。

退職・異動の確認で気をつけること

異動で管理者の権限を外した、という確認は、監査ログの公式一覧だけでは出来ません。ロールの変更にあたるイベント名が一覧に載っていないためで、権限の変更は管理画面の現在の状態を見て、確認した日付を点検の記録に残しておくとよいでしょう。退職者については、人事から届く退職日の一覧とorg_user_deletedの日付を並べ、削除が遅れていないかを見ていく形になります。

情シスが月1回やる監査ログの点検手順

180日のさかのぼり範囲と24時間のリンク期限から逆算すると、月1回、決まった日に取り出して保存する形が無理のない運用になります。メールが届いたその日のうちに保存する流れを、手順の中心に置いてください。前回の取り出しから180日が過ぎると古い記録には手が届かなくなるため、どれほど間が空いても180日以内に次の取り出しを行う必要があります。月1回であれば、毎回のファイルは前回分と5か月ほど重なり、取りこぼしの心配も小さくなります。

  • 毎月の取り出す日を決める例として毎月第1営業日。担当のOwnerがカレンダーに入れ、不在のときはもう1人のOwnerが代わります。
  • 組織設定 > データとプライバシーで「ログをエクスポート」を押すメールが届くまで時間がかかることがあるため、午前中に依頼しておくと当日中に受け取りやすくなります。
  • メールが届いたら、その日のうちにダウンロードするリンクは24時間で使えなくなります。切れてしまったときは依頼し直します。
  • 取得日をファイル名に入れ、閲覧者を絞った保管場所に保存する例:claude-auditlog_2026-10-01。保管する年数は社内規程で決めます。
  • created_atで、前回の点検日より後の行に絞る前回と重なる部分は見直さず、新しい期間だけを点検します。
  • 判断表の6つの疑いに沿ってイベントを拾う招待と削除は人事の入退社の記録と、SSOとドメインは変更申請の記録と突き合わせます。
  • 公式一覧にないイベント名が出ていないかを見る出ていたら公式ヘルプの最新の一覧で確かめ、点検表に追記します。
  • 点検日・担当・異常の有無を台帳に残す異常がない月も「なし」と記録し、点検を続けている証跡にします。

人事の入退社の記録と、SSOの変更申請の記録は、点検の前日までに手元にそろえておきましょう。照らし合わせる相手がないまま監査ログだけを眺めても、異常かどうかの判断はつかないからです。

社員10〜200名の会社での担当の決め方(提案)

以下は公式の決まりではなく、運用の一例になります。取得の担当はOwnerの役割を持つ情シスの方を2名にし、1名が取り出し、もう1名が点検の結果を確かめる形にすると、1人に任せきりになりません。Ownerを持つ人が増えるほど組織の設定を変えられる人も増えるため、点検の担当以外にはOwnerを広げないのが無難でしょう。Primary Ownerは会社の代表や契約の責任者が持ち、会話の本文のデータエクスポートはその方の承認があるときだけ行う、と決めておくと線引きがはっきりします。

インシデント時、最初の1時間で見る列の順番

不審な操作に気づいたら、まずエクスポートを依頼し、メールを待つあいだに確認の準備を進める順番が効率的です。エクスポートはその場で結果が出るものではなく、ログをまとめる処理のあいだはメールの到着に時間がかかる場合があると公式ヘルプに書かれています。

見る順番は、人、場所と端末、操作、対象、時刻の順にそろえると迷いません。

  1. 気づいた直後:OwnerかPrimary Ownerが「ログをエクスポート」を押す。並行して、気づいた社員から、いつ・何を見たかを聞き取る
  2. メールを待つあいだ:対象の社員のメールアドレス、普段使っている端末、社内のIPアドレスの範囲を集めておく
  3. ファイルが届いたら、まずactor_infoで対象者の行に絞る(誰が)
  4. ip_address・device_id・user_agent・client_platformで、普段と違う場所・端末・プログラムからの操作がないかを見る(どこから)
  5. eventでその人が何をしたかを読み、event_infoで成功か失敗か、SSOを必須にしたかなどを確かめる(何を)
  6. entity_infoの対象の種類とUUIDで、どの会話・プロジェクト・招待・SSO接続への操作かを特定する(何に)
  7. created_atで、拾った行を時刻順に並べ、経過を1枚にまとめる(いつ)

entity_infoで分かるのは会話やプロジェクトのUUIDまでで、何が書かれていたかは監査ログからは読み取れない点に注意が必要です。中身の確認が要るときは、Primary Ownerのデータエクスポートか、Compliance APIを使う段取りに移ってください。ただし、削除された会話やファイルは、削除の後に始めたデータエクスポートには含まれません。社外への説明が必要になりそうな場合は、取り出したファイルを書き換えずに保存し、誰がいつ取り出したかも記録しておくことをおすすめします。

社内のAI利用ルールに足す、監査ログの条文ひな形

監査ログを取り出していることは、社員に対しても、点検する側にとっても、ルールとして書いておくほうが運用が続きます。既存の生成AIの社内ガイドラインに、次のような条文を1つ足す形が始めやすいでしょう。

(Claude Enterpriseの監査ログの取得と点検)

  1. 取得者:Claude Enterpriseの監査ログは、情報システム担当の◯◯(Owner)が取得する。不在のときは◯◯(Owner)が代わって取得する。
  2. 頻度:毎月第1営業日に取得し、前回の点検日より後の記録を点検する。取得の間隔は180日を超えないものとする。
  3. 保管:取得したファイルは、閲覧者を限定した社内の保管場所に取得日を付けて保存し、◯年間保管する。
  4. 閲覧者:ファイルを閲覧できるのは、取得者、情報システム部門の責任者、および調査のために代表者が指名した者に限る。
  5. 範囲:監査ログには会話およびプロジェクトの題名と本文は含まれない。会話の内容の書き出しは、Primary Ownerが代表者の承認を得た場合に限って行う。
  6. 不審時の連絡:不審な操作を見つけた者、または自分のアカウントに身に覚えのない操作があった社員は、速やかに情報システム担当(連絡先:◯◯)へ連絡する。

保管の年数は、社内のほかの記録(入退室や業務システムのログなど)の保管期間にそろえると説明がしやすくなります。本文が含まれないと明記するだけで、社員が点検を必要以上に怖がることは減るでしょう。社員向けには、5の範囲と6の連絡先を、AI利用の研修や配布資料の中で伝えておきましょう。点検項目の全体像は生成AIのセキュリティ対策チェックリストも参考にしてみてください。

Claudeを含む4つのAIを、会社の管理下で1つの環境に

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で、1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。データの保管とログ管理は国内(AWSの日本リージョン)で行います。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

Claudeのチームプラン(Team)でも監査ログは使えますか?
使えません。Anthropicの公式ヘルプは監査ログをEnterpriseの組織だけの機能と案内しており、料金ページの比較表でもAudit logsの行はTeamが「No」となっています(2026年10月3日時点)。Teamでも利用状況の分析や支出上限、SSOは使えますが、誰がいつ何をしたかを1件ずつ追う記録が必要な場合はEnterpriseを検討することになります。
Claude Codeの操作ログはどうやって確認しますか?
Enterpriseの監査ログの公式一覧には、Claude Codeの操作を示すイベント名が入っていません。Compliance APIのヘルプではClaude Code(CLIとDesktop)とCoworkが対象に挙げられているため、記録を残すならCompliance APIを使う形になります。Claude Codeのクラウドでのセッションや、Amazon Bedrock・Google Vertex AIで動かしたセッションは対象外とされている点にご注意ください。また、Claude Codeは、OpenTelemetryのイベントでも、ツールの実行やMCPの利用などの操作の記録をSIEMへ送ることが出来ます。
監査ログはどこに保存されますか?
公式ヘルプには、監査ログそのものの保存場所や保存期間の記載がありません。画面からのエクスポートでは過去180日以内のログがまとめられ、依頼したOwnerに24時間有効なダウンロードリンクがメールで届きます。180日より前の記録を残したい場合は、毎月取り出して、閲覧者を絞った社内の保管場所に保存する運用が現実的です。
社員のチャット履歴は誰が管理しますか?
会話の入力と出力をデータエクスポートで取り出せるのはPrimary Ownerです。会話をいつまで残すかはEnterpriseのカスタムのデータ保持期間で決められ、Primary OwnerかOwnerが30日以上の期間を設定できます。設定しない場合は既定で無期限に保持されます。誰が書き出しを行えるかは、社内のAI利用ルールで決めておくことをおすすめします。
監査ログを見れば、社員がClaudeに入力した内容も分かりますか?
分かりません。公式ヘルプは、会話とプロジェクトの題名と内容は監査ログに含まれず、一意の識別番号(UUID)だけが書き出されると明記しています。監査ログで分かるのは、サインイン、招待、SSOの設定変更、会話の作成や削除といった操作の記録です。
監査ログはリアルタイムで確認できますか?
画面からのエクスポートは、ログをまとめる処理のあとにメールでリンクが届く形で、届くまでに時間がかかる場合があると公式ヘルプに書かれています。社内の監視の仕組みに継続して取り込みたい場合は、監査ログのイベントも含まれるCompliance APIを使う形になります。

まとめ

Claude Enterpriseの監査ログは、サインイン、招待、SSO、プロジェクト、会話、ファイル、組織データの書き出しにかかわる35種類の操作を、9つの列で1件ずつ残す記録になります。取り出せるのはOwnerとPrimary Ownerで、組織設定 > データとプライバシーの「ログをエクスポート」から過去180日分がまとめられ、24時間有効なリンクがメールで届きます。会話の本文、Claude Code・Coworkの操作、180日より前の記録は入らないため、データエクスポート、Compliance API、Claude CodeのOpenTelemetry、自社での保管で補うことが出来ます。

会社でClaudeを使う場合の契約の選び方は、Claudeの法人契約にまとめています。Claudeを複数人で使うときの費用は、Claude Teamの料金で人数別に整理しています。

運用としては、月1回の取り出しと保存、6つの疑いに沿った点検、インシデント時の列の見る順番、社内ルールへの条文の追加を、1つの流れとして決めておきましょう。Claudeそのものの機能はClaudeとはで、複数のAIを1つの環境で使う考え方はマルチAIとはで紹介しています。