
ChatGPTのプロンプト保存とは、よく使う指示文(プロンプト)を、次から打ち直さずに呼び出せる形で残しておくことです。公式の手段では、カスタム指示・プロジェクト・GPTs・会話の共有リンク・データのエクスポートなどで残すことができ、法人向けのプランでは指示を再利用・共有できるスキルも案内されています。ただし会社で使う場合は、保存先が社員一人ひとりのアカウントや拡張機能に散らばり、退職や異動のたびに良いプロンプトが消えたり、見えないところで社外に出たりしてしまいます。会社として残すなら、個人のアカウントではなく、全員が見られて管理者が把握できる場所に置くことが決め手になります。
ChatGPTでプロンプトを保存する主な公式の方法
ChatGPTでプロンプトを残す主な公式の手段は、カスタム指示・プロジェクト・GPTs・会話の共有リンク・データのエクスポートになります。「保存済みプロンプト」という名前の機能は、OpenAIのヘルプでは確認できません。法人向けのBusiness・Enterprise・Eduなどでは、指示を再利用・共有できる「スキル」が案内されています(ワークスペースの設定と提供状況によります)。社内に手順を配るときは、公式のヘルプで確かめられる方法から選ぶほうが、あとで画面が変わったときにも迷いが少なくなります。
※2026年9月28日時点でOpenAIのヘルプに掲載されている内容です。この節の各機能の説明も、特に断りのない限り同じ時点のものです。
それぞれ、残せるものと向いている使い方が違います。毎回の前提を固定したいのか、手順ごと道具にしたいのか、やり取りをそのまま記録したいのかで選んでみてください。
カスタム指示に書いて毎回の前提を保存する
カスタム指示は、ChatGPTが回答するときに考えてほしいことを、あらかじめ書いておける設定です。Web・デスクトップ・iOS・Androidのすべてのプランで使うことができます。保存できる文字数はプランで異なり、FreeとGoは1,500文字、Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduは5,000文字までとなります。「回答は結論から」「社外向けの文面は丁寧語で」のような、どの会話にも効かせたい前提を置く場所としては便利でしょう。一方で、すべての会話に効くため、議事録用・メール用のように用途ごとに違うプロンプトを並べて保存する使い方には向いていません。書き方の例はChatGPTのカスタム指示の使い方にまとめています。
※カスタム指示を利用できるプランは2026年9月17日、保存できる文字数は2026年9月28日に、OpenAIのヘルプ(ChatGPTのカスタム指示)で確認した内容です。
プロジェクトに指示とファイルをまとめて残す
プロジェクトは、長く続く取り組みに関わるチャット・ファイル・指示を1か所にまとめておけるワークスペースです。月次報告や採用の文面づくりのように同じ種類の作業を繰り返すなら、プロジェクトの指示にプロンプトを書いておけば、その中で始めた会話すべてに効かせることができます。添付できるファイルの数は、Freeが5つ、GoとPlusが25、Pro・Business・Enterprise・Eduが40までです。プロジェクトは他の人と共有することもでき、共有したときの見え方は後の節で詳しく触れます。
学習への使われ方も確かめておきましょう。Business・Enterprise・Eduでは、プロジェクトからアクセスした情報をデフォルトではモデルのトレーニングに使わないとOpenAIは案内しています。Free・Plus・Proでは、「すべての人のためにモデルを改善する」の設定がオンになっていると、トレーニングに使われることがあります。
※ファイル数の上限は2026年9月17日と28日、トレーニングの扱いは2026年9月17日に、OpenAIのヘルプ(ChatGPTのプロジェクト)で確認した内容です。
GPTs(カスタムGPT)に指示を設定して呼び出す
GPTs(カスタムGPT)は、特定の目的向けに設定されたChatGPTのことで、決まった手順のプロンプトを道具として呼び出せる形にできます。ただし、Free・Go・Plus・Proといった個人向けのアカウントでは、新しいGPTを作ったり公開したりすることはできません。Business・Enterprise・Eduでは、ワークスペースの設定と権限によって、作成や共有ができるかどうかが決まります。共有の相手は、特定のユーザー・ワークスペース内・リンク、許可されている場合はGPTストアから選ぶ形です。作り方の流れはGPTsの作り方で追うことができますが、提供終了の予定があるため、次の節もあわせてご確認ください。
※個人向けアカウントでGPTを新しく作成・公開できない点は、2026年9月17日時点でOpenAIのヘルプ(ChatGPTのGPT)に掲載されている内容です。
スキルに指示や例をまとめて社内で共有する(法人向けプラン)
スキルは、ChatGPTが特定のタスクをより一貫してこなせるようにする、再利用と共有が可能なワークフローです。スキルには、指示だけでなく、例やコードも含めることができます。使えるのは、ワークスペースの設定と製品の提供状況に応じて、対象となるChatGPT Business・Enterprise・ヘルスケア向け・Eduのユーザーとなります。サイドバーの「プラグイン」を開き、プラグインのディレクトリにある「スキル」タブから作成や管理を行う形です。共有するときは、ワークスペース内のユーザーやグループを探して渡すか、共有リンクをコピーして使います。後の節で触れるとおり、カスタムGPTの指示も移行の手順ではプラグイン内のスキルになるため、法人で定番のプロンプトを残す先として押さえておきたい機能でしょう。
※2026年9月28日時点でOpenAIのヘルプ(ChatGPTのスキル)に掲載されている内容です。
会話の共有リンクでプロンプトと回答をまとめて残す
うまくいったやり取りを、プロンプトと回答のセットで残したいときは、会話の共有リンクが使えます。会話を開いて共有を選び、内容と共有の設定を確かめてから、リンクを作成またはコピーする流れです。作ったリンクは共有リンクの一覧から1件ずつ削除でき、すべてのリンクをまとめて消すこともできます。手軽な反面、作ったアカウントの種類によって誰が開けるかが変わるため、見える範囲は後の節で確かめましょう。
データのエクスポートで履歴ごと手元に残す
会話の履歴をまとめてファイルで手元に残したい場合は、データのエクスポートを使います。プロフィールのメニューから設定を開き、データ管理の「データのエクスポート」でエクスポートを選んで、確認の画面で確定する手順です。準備ができるとメールでリンクが届き、ファイルはZIP形式で受け取ることになります。準備には最大7日かかる場合があり、メールのリンクは24時間で使えなくなってしまいます。Business・Enterprise・ヘルスケア向けのワークスペースでは、このエクスポートは使えません。ChatGPT Businessでは、ワークスペースの管理者が社員の会話履歴を閲覧・エクスポート・削除できるとOpenAIは説明しています。会社で契約したワークスペースの履歴は、管理者側の機能で残す形を考えるとよいでしょう。履歴の残り方や消し方はChatGPTの履歴の解説でも扱っています。
※管理者が会話履歴を扱える点は、2026年9月17日時点でOpenAIのエンタープライズプライバシーのページに掲載されている内容です。
GPTsにプロンプトを溜めている会社が知っておきたい提供終了の予定
OpenAIのヘルプでは、カスタムGPTは2026年12月11日に提供終了予定と案内されています。延期が承認された対象のEnterpriseワークスペースでは、提供終了日は2027年2月11日となります。予定されている移行の手順では、GPTに書いた指示が、新しいプラグインの中のスキルに置き換わる形です。一方で、既存の会話履歴、外部のサービスとつなぐカスタムアクション、GPTに選んでいたモデルは、移行の手順では引き継がれません。移行したあとの元のGPTは、提供終了まで使えるものの、読み取り専用になってしまいます。対象のEnterpriseワークスペースでは、カスタムGPTの新規作成の終了も2026年10月26日(予定)と案内されています。移行後のプラグインの結果と比べられるよう、使い慣れたプロンプトをいくつか保存しておくことも、OpenAIが勧めている準備の一つです。
※2026年9月28日時点でOpenAIのヘルプ(カスタムGPTの提供終了と移行に関するFAQ)に掲載されている内容です。予定は変わることがあるため、実際に作業する前に最新の案内をご確認ください。
社内の定番プロンプトをGPTsにまとめてきた会社ほど、この影響は大きくなります。実際に困りやすいのは、どのGPTを誰が作り、どの部署が使っているのかを誰も一覧にしていない場合でしょう。GPTの指示文そのものを、GPTの外にも原本として残しておくことが、移行でも退職でも効いてきます。年内に一度、社内で使われているGPTの名前・作成者・指示文・使っている部署を書き出してみてください。
誰が作ったか分からないGPTを増やさず、使う環境を会社で1つにまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
共有リンクとプロジェクトは、プランによって見える範囲が変わります
プロンプトを人に渡す手段として共有リンクとプロジェクトの共有は便利ですが、個人のアカウントと会社のワークスペースでは見える範囲が大きく違います。違いを知らないまま使うと、社内だけに渡したつもりのプロンプトが、社外の人にも開ける状態になってしまいます。
個人アカウントの共有リンクは、知っていれば誰でも見られる
個人のアカウントで作った会話の共有リンクは、リンクを持っている人なら誰でも会話を見ることができます。中身はリンクを作った時点か更新した時点のもので、あとから会話に足したメッセージは自動では反映されません。内容を新しくしたいときは、共有からリンクを更新する操作が必要になります。
これに対して、ChatGPT Business・Enterprise・Eduやヘルスケア向けのワークスペースで作ったリンクは、同じワークスペースの対象メンバーしか開けません。ワークスペースのリンクには、共有したあとに追加したメッセージも含められます。EnterpriseとEduでは、ワークスペースの設定にある権限とロールの画面で、チャットの共有を許可するかどうかを管理者が決めることもできます。
個人アカウントのリンクは、転送されたりチャットに貼られたりすれば、社外の人でもそのまま開けてしまいます。社員が個人のアカウントで作ったリンクを社内チャットに貼ってプロンプトを共有している場合、そのリンクがどこまで広がったかを会社からは追えません。不要になったリンクは一覧から削除するよう、社内で案内しておきましょう。
※共有リンクの仕様は、2026年9月28日時点でOpenAIのヘルプ(共有リンクFAQの個人版とワークスペース版)に掲載されている内容です。
プロジェクト共有は、チャットアクセスと編集アクセスを選ぶ
プロジェクトの共有は、ChatGPTの無料版・Go・Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduで、Webとモバイルアプリから使うことができます。相手の名前かメールアドレス(Business・Enterprise・Eduではグループも可)を入れ、チャットアクセスか編集アクセスのどちらかを選ぶ形です。チャットアクセスの人はプロジェクト内のチャット・ファイル・指示を見て操作でき、編集アクセスの人は指示の書き換え、ファイルの追加や削除、ほかの人の招待まで行えます。リンクで共有する場合は、「招待された人のみ」と「リンクを知っている全員」のどちらかを選ぶことになります。「リンクを知っている全員」にすると、リンクを知っているログイン済みのChatGPTユーザーなら誰でも参加できるため、社内向けのプロンプトでは「招待された人のみ」を選びましょう。
一緒に使える共同作業者の数にも上限があり、無料版は5人、PlusとGoは10人、Proは100人までとされています。Business・Enterprise・Eduなどのワークスペースのプロジェクトは、招待方法を問わず100人までです。部署で定番のプロンプトを使うなら、指示を書き換えられる人は数人にしぼり、ほかの人にはチャットアクセスで渡すと、知らないうちに指示が変わる事故を防ぎやすくなります。
※共同作業者の上限とアクセスの種類は、2026年9月28日時点でOpenAIのヘルプ(ChatGPTのプロジェクト)に掲載されている内容です。
Chrome拡張機能や外部ツールで保存する方法と確かめること
ChatGPTの画面にプロンプトの一覧を足すChrome拡張機能や、Notionなどのドキュメントツールも、保存先としてよく使われています。公式の機能より手軽に呼び出せるものが多い反面、プロンプトと一緒に社内の情報がその提供元にも渡る点には気を付けたいところです。拡張機能は数が多く、機能や料金も提供元ごとに変わるため、ここでは個別の製品ではなく確かめ方を中心に扱います。
Chrome拡張機能を業務で使う前に確かめる3つのこと
拡張機能は、ChatGPTの入力欄の近くに保存したプロンプトを呼び出すボタンを付けたり、フォルダで分類したりできるものが中心になります。拡張機能がどの情報にアクセスし、どこへ送るのかは、提供元が示す権限の説明とプライバシーポリシーで確かめるしかありません。業務で使う前に、少なくとも次の3つを確かめてみてください。
- 提供元がどの会社か(または個人か)、連絡先と所在地が分かるか
- 保存したプロンプトや読み取った内容が、手元のブラウザだけに保存されるのか、提供元のサーバーに送られて保管されるのか
- 社内の情報セキュリティの規程で、その拡張機能を業務に使うことが認められているか
個人情報保護委員会は、生成AIサービスを使う人に向けて、利用規約やプライバシーポリシーなどを十分に確認し、入力する情報の内容をふまえて利用を判断するよう呼びかけています。拡張機能はChatGPTとは別の事業者のサービスなので、ChatGPTの設定だけを確かめても足りません。個人の判断で入れた拡張機能に社内の情報が溜まっている状態は、会社から見えない野良AIの一つになります。会社が把握していないAIの使われ方の全体像は野良AI(シャドーAI)の解説で整理しています。
Notionやスプレッドシートで一覧にして管理する
Notionやスプレッドシートのような外部のドキュメントに、プロンプトを一覧にして残す方法もあります。用途・部署・作成者・最終更新日といった列を用意すれば、社内で検索しやすい台帳として使えます。会社で契約しているツールであれば、閲覧権限の管理や退職者のアカウント停止も、ほかの業務データと同じ手順で扱えます。反対に、社員個人のアカウントで作ったページに置いたままだと、本人しか中身を見られない状態が続いてしまいます。コピーして貼る手間は残るので、特によく使うものはカスタム指示やプロジェクトの指示にも写しておくのがおすすめです。
個人の保存のままだと、会社では何が起きるのか
プロンプトの保存を社員一人ひとりに任せたままにすると、便利さの裏で3つの困りごとが少しずつ積み上がります。どれも、ある日突然表に出てくるのが厄介なところです。
あの人しか使えないプロンプトになってしまう
よくできたプロンプトほど、作った本人のカスタム指示や拡張機能、個人のメモの中に置かれがちになります。周りの人はその存在を知らず、同じような指示を自分で一から考えることになってしまいます。実際には、部署の中で同じ仕事に同じ時間をかけて、できの違うプロンプトを何本も作っている場合も珍しくありません。
退職・異動でプロンプトが消えてしまう
個人のアカウントに保存したプロンプトは、担当者が辞めたあとは、会社から取り出すのが難しくなります。個人のアカウントの設定や中身は本人の画面で扱うもので、会社からは見えにくいためです。異動でも同じで、前の部署で使っていた定番のプロンプトが、後任に引き継がれないまま眠ってしまうことがあります。引き継ぎの書類に業務の手順は書いても、AIに渡していた指示文までは書かれていないことも多いでしょう。
共有リンクや拡張機能から、社外に出ていってしまう
3つ目は、プロンプトと一緒に社内の情報が社外へ出ていく経路です。前の節のとおり、個人アカウントの共有リンクは、リンクを知っていれば誰でも会話を見ることができます。取引先名や数字を入れたままのプロンプトをリンクで回すと、その会話ごと社外に届くおそれがあります。拡張機能に預けたプロンプトも、提供元のサーバーに保管されていれば、会社の管理の外に置かれることになります。どこに何が保存されているかを会社が説明できない状態こそ、見直したい弱点です。
保存したプロンプトを使える状態に保つ整理のしかた
保存したプロンプトは、探せて、すぐ書き換えられて、古いものが混ざっていない状態になって、はじめて社内で役に立ちます。個人でも会社でも使える整理の方法を3つ紹介します。
タグとフォルダ分けで探せるようにする
プロンプトは、業務の種類ごとのフォルダに分けたうえで、用途や相手を表すタグを付けると探しやすくなります。フォルダは「営業」「経理」「人事」のように部署や業務で分け、タグには「メール」「要約」「社外向け」「下書き」のような用途を付ける形が扱いやすいでしょう。名前にも決まりを作り、「部署_用途_対象」のように並べておけば、一覧で見たときに中身の見当がつきます。1つのプロンプトに付けるタグは3つ前後までにしぼってみてください。
変数を入れたテンプレートにして書き換えを減らす
毎回変わる部分を【】で囲んだ変数にすれば、使い回すときに書き換える箇所がひと目で分かります。たとえば、取引先へのお礼メールなら次のような形になります。
あなたは【自社の業種】の営業担当です。 【取引先の会社名】の【担当者の役職】に、【面談の日付】の打ち合わせのお礼メールを書いてください。 ・打ち合わせで話した内容:【要点を箇条書き】 ・次の約束:【次回の予定】 ・文体:丁寧語で、300字前後 ・社名や人名は、下書きの段階では【】のまま残してください。
保存するのは変数のままのひな形にして、実際の社名や金額は使うときにだけ入れるようにしましょう。ひな形に取引先の名前や数字が残っていなければ、共有リンクで回したり他の部署に渡したりしても、情報が一緒に広がる心配は小さくなります。良いプロンプトの書き方そのものはChatGPTのプロンプトの書き方で詳しく扱っています。
版の管理と棚卸しで古いプロンプトを片付ける
プロンプトは、使っているうちに少しずつ直され、似たものがいくつも残りがちです。直したときは版の番号と日付、何を変えたかを一言残し、古い版は消さずに別の場所へ移せば、元に戻したいときにも困りません。棚卸しは半年に一度など時期を決め、使われていないものや同じ役目のものを整理してみましょう。ChatGPTのモデルや機能が変わると、以前はうまくいったプロンプトの結果が変わることもあるため、定番のものは棚卸しのたびに一度試してみるのが安心です。
社内で共有するときのセキュリティとルールづくり
社内でプロンプトを共有するなら、保存の場所と入れてよい情報、承認の流れを先に決めることが大切になります。個人任せのまま共有だけを広げると、前の節で触れた困りごとが部署をまたいで大きくなってしまいます。
公的な指針で求められていること
個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。あわせて、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが回答の生成以外の目的で扱われる場合には個人情報保護法の規定に違反するおそれがあるとして、機械学習に使われないことなどを十分に確認するよう示しました。総務省・経済産業省のAI事業者ガイドライン(第1.2版、2026年3月31日公表)も、AIを使う側に対して、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意を払うことを挙げています。保存して共有するプロンプトは多くの人が繰り返し入力するものなので、ひな形の段階で個人情報や機密情報が入っていないことを確かめる意味は大きいでしょう。社内ルールの文書の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で詳しく紹介しています。
※個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)と、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」の記載を、2026年9月17日に確認した内容です。
プロンプトの共有ルールで決めておく5つのこと
社内の標準にするプロンプトは、次の5つを決めてから共有を始めてみてください。
- 保存する場所を1つに決める個人のアカウントや拡張機能ではなく、会社で契約し、管理者が権限と退職者のアカウントを扱える場所を正本にします。
- ひな形に入れてよい情報を決める個人情報・取引先名・金額は変数にして残さない、というように、保存と共有の段階で入れない情報を文書にしておきます。
- 承認する人と流れを決める部署の標準にするプロンプトは、作った人とは別の担当者(部門長や情シス)が中身を確かめてから公開します。
- 作成者と更新日を必ず残す誰がいつ何を変えたのかが分かれば、担当者が異動しても問い合わせ先に迷いません。
- 棚卸しの時期を決める半年に一度など時期を決め、使われていないもの・古い版・GPTsのように提供終了が予定されている保存先を見直します。
承認と棚卸しは、担当を決めないと続かないものです。最初から完璧な仕組みを目指すより、よく使う10本ほどを正本にして運用を回し始めるほうが、社内にも定着しやすくなります。点検の項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにもまとめています。
会社でプロンプトを安全に保存・共有する環境の選び方
会社として良いプロンプトを残すなら、ルールだけでなく、社員が迷わずそこを使える環境を用意することが欠かせません。見るべき点は、入力した内容の学習への使われ方、利用の記録、社員への配り方、使えるAIの種類の4つになります。
学習に使わない設定が会社側でそろっているか
OpenAIは、ChatGPT Enterprise・Business・Eduなどのデータについて、入力と出力を含めデフォルトではモデルの学習や改善に使わないと案内しています。一方、Free・Plus・Go・Proといった個人向けのプランでは、オプトアウトしているかどうかによって、データがトレーニングに使われる場合があります。個人アカウントの設定は本人の画面で行うもので、会社からは状況が見えにくくなります。社員の個人アカウントに社内の定番プロンプトを置かせる運用は、学習の設定まで本人任せにしてしまいます。なお、メモリ(ChatGPTがユーザーについての情報を覚えておく機能)とモデルの学習は別の設定なので、混同しないよう社内で説明しておきましょう。メモリの仕組みはChatGPTのメモリの解説で扱っています。
※2026年9月17日時点でOpenAIの公式ページ(エンタープライズプライバシー、GPTsのデータプライバシーFAQ、メモリFAQ)に掲載されている内容です。
誰がどのプロンプトを使ったかを会社で確かめられるか
共有したプロンプトが社内でどう使われているかを確かめるには、会社側で利用の記録を見られることが前提になります。ChatGPT Businessでは、ワークスペースの管理者が社員の会話履歴を閲覧・エクスポート・削除でき、データの保持期間も設定できるとOpenAIは説明しています。Enterpriseなどでは、ワークスペース管理者がCompliance APIという仕組みを通じて、会話やGPTに関する監査ログにアクセスすることができます。個人アカウントの寄せ集めでは、こうした記録を会社がまとめて見るのは難しいでしょう。
※2026年9月17日時点でOpenAIのエンタープライズプライバシーのページに掲載されている内容です。
社員全員に配れるか、複数のAIを使い分けられるか
良いプロンプトを共有しても、使える人が一部の社員に限られていては、社内の標準にはなりません。1人ごとに課金されるサービスでは、人数が増えるほど費用が膨らみ、結果として一部の人にしか配れないことも出てきます。ChatGPTの法人プランの料金の仕組みはChatGPT法人プランの料金にまとめました。配られなかった社員が個人のアカウントで使い始めると、プロンプトの保存先はまた散らばってしまいます。また、長い文書の読み込みや調べ物など、用途によってはChatGPT以外のAIが向く場面もあります。同じプロンプトを複数のAIで使い回せる環境なら、AIを替えるたびに指示を作り直す手間も減らせるでしょう。複数のAIを1つの環境で使う考え方はマルチAIとはで詳しく扱っています。
良いプロンプトを、社内限定で共有できる環境に
UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです。カスタムプラスは、GPTs・Gem・Claudeプロジェクトの社内版として、よく使う指示と手順をBOTにし、社内限定で共有できます。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理でき、データの保管とログの管理は国内サーバー(AWSの日本リージョン)で行います。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
ChatGPTに、プロンプトを保存する専用の機能はありますか?
無料版のChatGPTでもプロンプトは保存できますか?
GPTsに保存したプロンプトは、この先も使えますか?
会話の共有リンクを社内で回しても大丈夫ですか?
Chrome拡張機能でプロンプトを保存するときの注意点は何ですか?
退職した社員が保存していたプロンプトは取り戻せますか?
まとめ
ChatGPTのプロンプトは、カスタム指示・プロジェクト・GPTs・会話の共有リンク・データのエクスポートといった公式の手段で残すことができます。「保存済みプロンプト」という名前の機能はOpenAIのヘルプでは確認できず、法人向けのプランで案内されているスキルも含めて、用途で使い分ける形になります。GPTsは2026年12月11日に提供終了予定と案内されており、指示文をGPTの外にも残しておくことが欠かせません。
会社で使う場合は、個人のアカウントや拡張機能に保存が散らばると、属人化・退職や異動での消失・共有リンクや拡張機能からの流出という3つの困りごとにつながってしまいます。保存する場所を1つに決め、入れてよい情報・承認・棚卸しのルールをそろえたうえで、学習の設定と利用の記録を会社側で管理できる環境を選んでみてください。ほかのAI活用の記事はAI活用コラム一覧からご覧いただけます。
