
Copilot in Wordとは、Wordの画面の中で文書の下書き・書き換え・要約をAIに頼める、Microsoftの機能です。使えるかどうかはMicrosoft 365のホーム画面に出る3種類のラベルで決まり、有料のアドオンがなくても「M365 Copilot (Basic)」と表示されていれば、下書き・書き換え・要約を標準アクセスで使うことが出来ます。アドオンは年払いで1ユーザーあたり月額相当3,148円(税抜)となり、30人全員に配ると年113万円余りの上乗せになります。ボタンが見当たらないときの確認順と、社内文書を入れたときの扱いもあわせて見ていきましょう。
※この記事の機能・手順・料金は、2026年9月27日時点でMicrosoft・OpenAI・Anthropicの公式サポート記事、公式ドキュメント、料金ページに書かれている内容です。Microsoftの料金はすべて税抜です。人数別の金額は、公式の単価に人数と12か月を掛けた試算です。
WordのCopilotでできること|作成・絞り込み・理解の3つ
WordのCopilotの用途は、Microsoftのサポート記事では「作成」「絞り込み」「理解」の3つに分けて説明されています。文書をゼロから書かせるだけでなく、すでにある文章を直したり、長い文書を読み解いたりする場面でも使える機能となります。
プロンプトやメモ・参照ファイルから下書きを作る
下書きは、単純な依頼、詳しいプロンプト、アウトライン、メモ、参照ファイルのどれからでも始めることが出来ます。公式の手順は、白紙の文書を開くかカーソルを置き、右下のCopilotを開いて、トピック・対象読者・トーン・形式・長さを伝えてから[生成]を選ぶ流れです。テンプレートや既存の文書から始めれば、書式と構造を保ったまま新しい中身を下書きさせることも出来ます。
「/」で社内のファイルを指定して作る
Copilotのチャット欄に「/」を入力すると、使いたい文書・メール・会議の名前を指定できます。前回の議事録や提案書を指定し、それを元に報告書の下書きを作らせるといった使い方になります。指定できるのはアップロードしたファイルかクラウド上のファイルで、パソコン内のローカルパスはサポートされていません。
表やチェックリストを文書に加える
既存の文書に、新しい節・段落・チェックリスト・表などを足すよう頼むことも出来ます。箇条書きのメモを表の形に整えたい場面では、表にしたい範囲と列の項目を具体的に伝えてみてください。
選択した文章を書き換える・トーンを整える
選んだ文章を書き換えたり、トーンを調整したり、より簡潔にしたりするのが「絞り込み」の用途です。社外向けに丁寧な言い回しへ直す、報告書の冗長な段落を半分にする、といった手直しに向いています。
文書を要約し、内容について質問する
「理解」の用途では、文書を要約したり、内容について質問したり、アイデアを確かめたりすることが出来ます。長い契約書のどこに解約の条件が書かれているかを尋ねるような使い方も、この用途に入ります。なお、文書を開いたときに自動で出る要約は、職場向けのCopilotライセンスがあり、文書がOneDriveかSharePointに保存されている場合だけの表示です。自動の要約には、参照する内容が少なくとも200語必要とされています。
共有文書では変更のプレビューを確かめてから反映する
共有されている文書では、Copilotが変更を加える前に、推奨される変更のプレビューがチャットに表示されます。レビューして承認するまで文書には何も追加されない仕組みのため、共同作業者に意図しない内容が見えてしまう心配を減らせます。複数人で編集する文書ほど、プレビューを読んでから承認する習慣を付けましょう。
翻訳に使うときの注意
Microsoftのサポート記事では、WordのCopilotの用途は作成・絞り込み・理解の3つで説明されており、翻訳は独立した項目としては書かれていません。WordのCopilotのよくある質問では、多くの言語に対応しつつ、品質は英語で最も高いと予想されるとしています。英訳や和訳を頼んだ場合は、固有名詞と数字を中心に、原文と突き合わせて確かめてください。
WordのCopilotの使い方のコツ
WordのCopilotは、頼み方と文書の渡し方で結果が大きく変わります。公式の注意書きも、指示の具体性と、出てきた内容の確認の2点が中心です。
指示は具体的に、追加の指示で磨く
公式の下書きの手順では、トピック、対象読者、トーン、形式、長さといった重要な詳細を含めて説明するよう案内しています。「提案書を書いて」だけで頼むより、「取引先の総務部長向けに、A4で1枚、です・ます調で、導入の効果を3点」と書くほうが、手直しの量は少なくなるでしょう。一度で完成させようとせず、「2段落目をもっと短く」「結論を冒頭に」と追加の指示で磨いていくのが実用的な進め方になります。指示の型はCopilotのプロンプトの書き方でも紹介しています。
長い文書は分けて渡す
Copilotには、プロンプトごとに処理できる単語の数に上限があります。Microsoftの説明では、長いファイルは先頭と末尾の内容が優先されやすく、中間部分に注意が向きにくい結果になる場合があるとされています。数十ページの規程や報告書を扱うときは、章ごとに要約させてから全体をまとめる順番にしてみてください。Wordの製品紹介ページには固定の単語数・文字数の制限はないとの記載もありますが、実務の目安としてはサポート記事の説明に合わせるほうが安全でしょう。
個人向けのWordでCopilotが扱えるファイル形式として案内されているのは、.docx・.doc・.pdf・.txt・.rtf・.html・.htmです。職場向けのCopilot Chatなどの一覧では、文書の作成に使える形式に.docmと.mdも挙がっています。
出てきた文章は人が確かめてから使う
公式の下書きページでは、事実、数字、引用、名前、ポリシーの記述といった詳細を確認して検証するよう求められます。Copilotがもっともらしい文章を書いても、取引先名や金額が正しいかどうかは、元の資料と照らし合わせるまで分かりません。社外に出す文書は、AIが書いた箇所を人が読み直してから送ることを社内の決まりにしましょう。
チャット版のCopilot Chatと使い分ける
Microsoft 365の対象プランには、追加費用なしで使えるWeb典拠型のAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot Chat」が含まれています。ただし、ラベルがCopilot Chat (Basic)の方は、WordのCopilotにはアクセスできません。その場合でも、文章を貼り付けたりファイルをアップロードしたりすれば、Copilot Chat側で要約や言い換えを頼むことは出来ます。Wordの中で直接書き換えたいのか、別の画面で相談できれば足りるのかで、配るライセンスを考えてみてください。Excel・PowerPoint・OutlookのCopilotは、ExcelのCopilot、PowerPointのCopilot、OutlookのCopilotでそれぞれ解説しています。
WordのCopilotを使えるかは3つのラベルで決まる
WordのCopilotを使えるかどうかは、各自のアカウントに付いているCopilotのラベルで決まります。Microsoftのサポート記事は、WordのCopilotにアクセスするには「M365 Copilot (Basic)」か「M365 Copilot (Premium)」のラベルが必要だと説明しています。
- Copilot Chat (Basic)は、Copilotのアドオンライセンスがなく、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteのCopilotにはアクセスできません。
- M365 Copilot (Basic)は、アドオンライセンスはありませんが、アプリの中のCopilotに標準アクセスできます。Wordでは文書の下書き・書き換え・要約が対象です。
- M365 Copilot (Premium)は、Copilotのアドオンライセンスを持ち、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteでCopilotのすべての機能に優先アクセスできます。
見落としやすいのは、真ん中のBasicの扱いです。アドオンを買っていなくても、ラベルがM365 Copilot (Basic)であれば、Wordで下書き・書き換え・要約を使うことが出来ます。一方で、この標準アクセスは完全なチャットの統合や優先アクセスを含まない場合があり、サービス容量の影響を受けて1日の中でも変わるとされています。混み合う時間帯でも優先して使いたい社員には、アドオンでPremiumを付けることになります。
自分のラベルを確かめる方法
ラベルは、職場のアカウントでMicrosoft 365にサインインし、ホームページを一番下までスクロールすると、名前の下に表示されます。総務や情シスに問い合わせる前に、まずは社員ご自身で確かめてもらうのが早いでしょう。社内の案内文にこの手順を1行入れるだけでも、Copilotが出ないという問い合わせの切り分けが楽になります。
公式ドキュメントでは、Microsoft 365 Copilotの名前がMicrosoft Copilotに変わったと案内されていますが、料金ページやラベルには移行期間中の旧名も残っています。
アドオン(Premium)で増える機能
アドオンを付けると、Wordの中でも使える範囲が広がります。公式の記載から拾うと、次の機能は主にアドオンの側にあります。
- 文書を開いたときに自動で出る要約(職場向けのCopilotライセンスがあり、OneDriveかSharePointに保存した文書のみ)
- 使うAIモデルを自分で選ぶカスタムのモデル選択(対象となるプレミアムのサブスクリプション)
- Copilotが文書を直接編集する「Copilot で編集」(Premium Copilotライセンスを持つユーザー向けに展開)
- Microsoft GraphとWork IQによる、メール・ファイル・会議などの作業データの自動参照
AIモデルの選択(OpenAI・Claude)
WordのCopilotには、使うモデルを切り替えるモデルセレクターが用意されています。推論のレベルを選ぶか、[自動]でCopilotに任せるか、OpenAIやClaudeなどのモデル提供元を選ぶ形です。下書きのページでは、サブスクリプションと空き状況に応じてClaude SonnetやClaude Opusなどから選べると説明されています。カスタムのモデル選択は対象のプレミアムサブスクリプションに限られ、使えない方は[自動]・[インスタント]・[さらに深く考える]から選ぶことになります。
Anthropicのモデルは、該当するライセンスでのみ使え、既定ではすべてのユーザーが使えるわけではないと、公式ドキュメントに注記があります。どのモデルが出るかは、会社の設定と契約によって変わると考えておきましょう。
「Copilot で編集」(旧エージェントモード)の条件と制限
「Copilot で編集」は、以前のリリースでエージェントモードと呼ばれていた機能で、Copilotが開いている文書に直接変更を加えます。公式ページでは、展開の対象はPremium Copilotライセンスを持つユーザーと記載されており、組織向けのMicrosoft Copilotと個人向けのMicrosoft 365 Premiumが挙がり、Personal・Family・Premiumは近日公開予定とされています。
便利な一方で、公式に書かれた制限がいくつかあります。
- 作れるのは今開いている文書の中身だけで、新しいファイルは作成できない
- 画像を生成したり、文書に挿入したりはできない
- コメントの追加や変更はできず、コメントが削除される可能性がある
- 変更履歴のオン・オフの切り替えや、承認・拒否はできない
公式ページは、機密ファイルや共有ファイルを「Copilot で編集」で扱うときは注意するよう呼びかけています。契約書のひな形など、コメントでやり取りしている文書に使う場合は、先に複製を作ってから試してみてください。
文書にAIを使う場面が増えるなら、使うAIの環境を会社で1つに決める方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
WordのCopilotボタンはどこにあるか|右下のボタンとショートカット
WordのCopilotは、文書の右下隅に固定されたCopilotの動的アクションボタンから開きます。Microsoftは開く入口をこのボタン1つに統合しており、機能は変わらず開き方だけが変わったと説明しています。展開は2026年4月に始まり、2026年6月までに全世界で終える予定とされていました。
製品紹介ページの一部には上部にアイコンがあるとする記載も残っていますが、サポート記事は最初に右下隅を見るよう案内しています。以前の画面の説明を頼りにリボンを探しても見つからない場合は、まず右下を見てみてください。
ショートカットキー(Alt+C・Cmd+Control+I・F6)
キーボードから開く場合のショートカットは、次のとおりです。
- Windows(デスクトップ版とWeb版)はAlt+C
- Mac(デスクトップ版とWeb版)はCmd+Control+I
- すべての環境でF6
Alt+CとCmd+Control+Iはアプリや言語ごとに順次展開されており、使えるようになるまではF6がどこでも機能するとされています。以前にAlt+H、F、Xの順でCopilotの画面を開いていた方は、代わりにF6を押せるようになりました。ボタンを右クリックして[リボンに移動]を選べば、リボンの側に置くことも出来ます。なお、このボタンは、個人向けのPersonal・Family・Premium、またはMicrosoft Copilotライセンスを通じてCopilotにアクセスできるユーザーにだけ表示されると説明されています。ラベルがBasicの方でボタンが見当たらない場合は、F6も試してみてください。
WordにCopilotが表示されないときの確認順
Copilotのボタンが出ないときは、画面の場所、Wordのバージョン、ライセンス、設定の順に確かめていくのが近道です。Microsoftのサポート記事が示す手順と、管理者向けの要件ページの条件を、社員が自分で見られる順に並べると次のようになります。
- 右下隅を見るCopilotを開く入口は、文書の右下のボタンにまとめられました。リボンにないのは故障ではありません。
- 最新のビルドにする公式の手順1です。Officeの更新を適用してから、Wordを開き直します。
- ライセンスを更新する公式の手順2です。管理者がライセンスを割り当てたあとも出ない場合に試します。
- 更新チャネルを確かめる(ビジネスユーザー)Semi-Annualエンタープライズチャネルでは、Copilotの機能を使えないことがあります。最新または月次エンタープライズチャネルへの切り替えが必要です。
- プライバシー設定を確かめる[コンテンツを分析するエクスペリエンス]と[すべての接続エクスペリエンス]がオンになっているかを見ます。家庭向けの説明では、これらをオフにするとWordなどでCopilotを使えなくなるとされています。
- Web版はサードパーティのCookieを許可するブラウザーでサードパーティのCookieがブロックされていると、Copilotがライセンスを検証できない場合があります。
- デバイスベースのライセンスでないかMicrosoft 365 Apps for enterpriseのデバイスベースのライセンスでは、Copilotは使えません。
- ラベルがCopilot Chat (Basic)でないかこのラベルのままでは、WordのCopilotにはアクセスできません。アドオンの割り当てを管理者に相談します。
8つを確かめても出ない場合は、会社の設定で無効になっている可能性があります。Wordのようこそページでも、Copilotや特定の機能が表示されないのは、サブスクリプションに含まれていないか、組織の設定で有効になっていない可能性があると説明されています。管理者側の有効化の手順はMicrosoft 365 Copilotの有効化手順、止めたい場合の設定はCopilotの無効化・制限で確かめることが出来ます。
ライセンスはあるのに動かないときはネットワークを確かめる
ライセンスも設定も正しいのに動かない場合は、社内のネットワーク機器が原因になっていることがあります。Microsoftの要件ページによれば、*.cloud.microsoftドメインの一部のURLだけを許可する設定は、サポートの対象外です。WebSocket(WSS)の通信を遮断するネットワーク境界、TLSで通信の中身を検査する機器、接続のタイムアウトを短く強制するプロキシも、障害の原因として挙げられています。UTMやプロキシを入れている会社では、情シスや保守業者にこの3点を伝えて確認してもらいましょう。
WordでCopilotを使う料金と人数別の年額
WordのCopilotを優先アクセスで使うには、Microsoft 365の対象プランに加えて、1人ずつCopilotのアドオンを付ける必要があります。一般法人向けの「Microsoft 365 Copilot Business」の料金は、いずれも税抜で次のように表示されています。
- Copilot Businessのアドオンは、年払いで1ユーザーあたり月額相当3,148円、月払いは3,778円
- Business StandardとCopilot Businessのセットは、年払いで月額相当3,523円、月払いは4,228円
- Business PremiumとCopilot Businessのセットは、年払いで月額相当4,797円、月払いは5,756円
料金ページには2,698円という割引価格も並んでいますが、これは2026年7月1日から12月31日までのキャンペーンです。対象は、対象のビジネスプランを使っている既存のMicrosoft 365の顧客で、年間契約が必要となり、割引価格が適用されるのは初年度だけになります。2年目以降は通常の3,148円に戻る前提で、予算を組んでおきましょう。購入には対象となるMicrosoft 365プランのライセンスが別途必要で、最大300ユーザーまでとされています。
人数別の年額(試算)
アドオンの通常価格3,148円で、全員に配った場合の年額を計算すると次のようになります。計算式は、1ユーザー3,148円×人数×12か月(税抜・年払い)です。
- 10人で年377,760円(月あたり31,480円)
- 30人で年1,133,280円(月あたり94,440円)
- 50人で年1,888,800円(月あたり157,400円)
- 100人で年3,777,600円(月あたり314,800円)
2026年7月1日〜12月31日のキャンペーン期間に年間契約すると、初年度のみ2,698円で計算でき、30人なら年971,280円となります。月払いを選ぶと1ユーザー3,778円となり、同じ30人で年1,360,080円に上がります。30人全員に配ると、2年目以降は毎年113万円余りの上乗せとなってしまいます。この金額は、Microsoft 365本体のライセンス料金とは別にかかる点にも注意が必要です。
アドオンを付けない場合でも、ラベルがM365 Copilot (Basic)であれば、標準アクセスで下書き・書き換え・要約を使うことが出来ます。料金の全体像や大企業向けのプランはMicrosoft 365 Copilotの料金、無料で使える範囲はMicrosoft 365 Copilotの無料版と有料版の違いで詳しく扱っています。全員に配るのか、Wordで文書を多く書く部署だけに絞るのか、社員の使い方から決めてみてください。
社内文書をWordのCopilotに入れても大丈夫か
職場のアカウントで使うWordのCopilotは、Microsoftの公式ドキュメント上、入力した内容が基盤モデルの学習に使われない扱いです。そのうえで、誰が何を見られるか、ラベルがどう引き継がれるか、どこで処理されるかまで確かめると、社内で説明しやすくなります。
学習に使われるか
Microsoftのプライバシーの説明によれば、Microsoft Graph経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは、基礎LLMのトレーニングには使用されません。職場のアカウント(Microsoft Entraアカウント)でサインインした場合、プロンプトと応答はエンタープライズデータ保護の対象となり、ExchangeのメールやSharePointのファイルと同じ契約条件とコミットメントで守られると説明されています。
見られるのは本人に権限がある文書だけ
Copilotが表示する組織のデータは、利用者本人が少なくとも表示の権限を持っているものに限られます。裏を返すと、共有設定が広すぎるフォルダーがあれば、本来見せたくない文書もCopilot経由で見つけやすくなってしまいます。Microsoftも過剰共有への対策として、SharePointの高度な管理やMicrosoft Purviewを挙げています。導入前に、全社公開になっているフォルダーを一度見直してみてください。
秘密度ラベルは下書きに引き継がれる
秘密度ラベルを使っている会社では、WordのCopilotで下書きを作るときに[ファイルを参照]で選んだ元ファイルのラベルが、保護設定と一緒に新しい文書へ自動で引き継がれます。複数のファイルを使った場合は、優先度が最も高いラベルが使われる仕組みです。利用者はこのラベルを上書きして置き換えることも出来ます。
暗号化するラベルの場合、Copilotが内容を返すには、利用者にVIEWとEXTRACTの使用権限が必要です。パスワードで保護した文書は、同じアプリで本人が開いている場合を除いてCopilotからは読めず、パスワードも新しい文書には引き継がれません。パスワード付きの文書から作った下書きには、パスワードが付かない点に気を付けましょう。
どの国で処理されるか
CopilotがAIモデルを呼び出す処理は、リージョン内で最も近いデータセンターに送られますが、使用率が高い期間には容量のある他のリージョンで処理されることもあります。EU以外の顧客については、「EU 外のお客様は、米国、EU、またはその他のリージョンでクエリが処理されます」と明記されています。顧客の決算書や個人情報を扱い、処理する地域に社内の決まりがある会社では、この一文を導入の判断材料に入れてください。
なお、Microsoftは2025年11月4日の公式ブログで、日本を含む4か国の顧客向けに、Microsoft 365 Copilotのやり取りを通常の運用時に国内で処理する選択肢を2025年末までに提供すると発表しています。適用の条件は契約先に確認してみてください。
履歴と保持の管理
利用者は、マイアカウントのポータルからCopilotのやり取りの履歴を削除できます。管理者側は、コンテンツ検索やMicrosoft Purviewで保存されたデータを確認・管理し、アイテム保持ポリシーを設定することが出来ます。また、ようこそページによれば、WordのCopilotはWordとMicrosoft 365のコンテンツの中で動作し、外部ツールには接続しません。
個人向けのMicrosoft 365で会社の文書を開くと何が違うか
社員が自宅用に契約したMicrosoft 365 PersonalやFamilyでも、Copilotは使えます。ただし、使える人と守られ方が職場向けとは異なります。
個人向けでCopilotにアクセスできるのは、条件を満たすサブスクリプションを持つ個人アカウントの利用者で、デスクトップアプリでCopilotを使えるのはサブスクリプションの所有者だけです。AIの特典も所有者だけのもので、家族などと共有することは出来ません。WordやExcelでCopilotを使うと、AIクレジットが自動で差し引かれます。
データの扱いについては、家庭向けの説明でも、Microsoft 365アプリのCopilotで使ったプロンプト、応答、ファイルの内容は基礎モデルの学習に使われないとされています。一方で、適用される契約は個人のMicrosoft サービス契約であり、職場のアカウントに付くエンタープライズデータ保護とは別の枠組みとなります。学習に使われなくても、会社の文書が会社の管理の外で処理されることに変わりはありません。
社員が個人のMicrosoft 365で会社の見積書や契約書を開き、Copilotで要約する状態は、会社から見えないAI利用、いわゆるシャドーAIに当たると考えられます。会社の保持ポリシーや管理者の確認の範囲に入らないためです。便利だから使われている場合が多いので、禁止だけで終わらせず、会社として使える環境を用意したうえで、個人契約での業務利用をどう扱うかを決めましょう。考え方は野良AI(シャドーAI)の対策で紹介しています。
Wordの中で動く他社のAI(ChatGPT for Word・Claude for Word)
Wordの中で動くAIは、MicrosoftのCopilotだけではありません。OpenAIの「ChatGPT for Word」と、Anthropicの「Claude for Word」もWordのアドインとして提供されており、社員が個別に入れて使い始める可能性があります。
ChatGPT for Word
OpenAIのヘルプによれば、ChatGPT for WordはFreeを含むすべてのChatGPTプランで利用できます。ワークスペースの管理者はChatGPTの管理コンソールで有効・無効を切り替えられ、2026年10月1日からはこの設定がデフォルトで有効になると案内されています。ただし、社員のWordに表示させるには、Microsoft 365の管理者もChatGPTのアドインを許可する必要があります。Wordでの利用は、使うモデルのAPI料金に基づくトークン単位で計算され、ご利用プランのトークン上限(CodexなどのAI機能と共通の使用枠)から差し引かれます。
Business、Enterprise、Eduのワークスペースでは、入出力のデータは既定でOpenAIのモデルの学習に使われません。操作できるのは開いている文書で、パソコン上の他のファイルは参照できない仕様です。無料プランでも使えるため、Microsoft 365側でアドインをどう許可するかを先に決めることが大切になります。
※ChatGPT for Wordの日本語版ヘルプには、機械翻訳である旨の表示があります。
Claude for Word
Anthropicのドキュメントでは、Claude for WordはPro、Max、Team、Enterpriseの各プランで一般提供されています。変更履歴モードを使えば、Claudeの編集をWordの校閲ウィンドウで承認・却下できる形で残すことが出来ます。入力と出力はバックエンドで受信または生成から30日以内に削除され、組織独自のデータ保持設定は引き継がれず、Enterpriseの監査ログにも含まれません。なお、Compliance APIを有効にしたEnterpriseでは、Claude for WordのセッションがCompliance APIの対象に含まれ、この扱いは公開ベータとされています。永続ライセンスやボリュームライセンスのWord 2016・2019、iPad版・Android版のWordでは動かず、旧形式の.docファイルは先に.docxで保存し直す必要があります。
同じドキュメントには、信頼できる文書でだけ使うようにという注意書きも載っています。文書の中に紛れ込んだ指示でAIの動きを乗っ取る手口は、プロンプトインジェクション対策で詳しく取り上げました。
3つを並べて比べる
| WordのCopilot | ChatGPT for Word | Claude for Word | |
|---|---|---|---|
| 使えるプラン | ラベルがM365 Copilot (Basic)かM365 Copilot (Premium)の利用者 | Freeを含むすべてのChatGPTプラン | Pro・Max・Team・Enterprise |
| データの扱い | 職場のアカウントでは基礎LLMの学習に使わない | Business・Enterprise・Eduは既定で学習に使わない | 入出力は30日以内に削除。組織独自の保持設定は引き継がない |
| 管理のポイント | 組織の設定で有効になっている必要がある | ChatGPTの管理コンソールに加え、Microsoft 365管理者のアドイン許可が必要 | Enterpriseの監査ログの対象外(Compliance APIを有効にしたEnterpriseでは公開ベータとして対象) |
| 注意点 | 使用率が高いと他のリージョンで処理されることがある | 管理コンソールの設定は2026年10月1日から既定で有効。Wordでの利用はプランの使用枠をトークン単位で消費 | iPad版・Android版、Word 2016・2019の永続・ボリュームライセンスでは動かない。旧形式の.docは.docxで保存し直す |
Wordの中のAIを選ぶときは、機能の細かな差よりも、会社として誰にどれを許可するかを先に決めることが大切です。ChatGPTやClaudeを会社で契約する場合の料金は、ChatGPTの法人向け料金とClaudeの料金で確かめられます。
WordのCopilotを会社で安全に使うには
WordのCopilotを会社で使うときは、機能より先に、誰にどのラベルを配り、社内文書をどこまで入れてよいかを決めることが大切です。社内で決めたいのは、次の4つになります。
- 学習に使わないことが会社の契約で担保されたAIだけを、業務の文書に使う
- 保持ポリシーや利用の記録など、会社が後から確かめられる状態を作る
- アドオンを全員に配るか、文書作成の多い部署に絞るかを決め、Basicの社員には使える範囲を案内する
- Wordの中での書き換えはCopilot、調べ物や長い資料の読み込みは別のAI、というように用途ごとの分担を決める
最後の使い分けは、費用にも関わります。Wordの中で書き換えまで任せたい社員だけにアドオンを付け、それ以外の社員には、学習に使わない設定と利用ログの管理ができる別のAI環境を会社として用意する組み合わせも考えられます。複数のAIを用途で使い分ける考え方はマルチAIとはと主要4AIの違いと使い分けで紹介しているので、あわせて読んでみてください。ルールの文書化には、生成AIの社内ガイドラインの作り方が役立つでしょう。
4つのAIを、会社の管理のもとで1つに
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。Officeプレビューでパワポ・Word・Excelを画面で確認でき、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルON/OFFを管理できます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
WordのCopilotは無料で使えますか?
CopilotがWordで使えないのはなぜですか?
WordのCopilotボタンはどこにありますか?
Copilotが使えるOfficeアプリはどれですか?
WordのCopilotに入れた社内文書はAIの学習に使われますか?
まとめ
WordのCopilotは、下書き・書き換え・要約を文書の中で頼める機能で、使えるかどうかはMicrosoft 365のホームに出る3つのラベルで決まります。M365 Copilot (Basic)ならアドオンなしでも標準アクセスで使え、優先アクセスや「Copilot で編集」、自動の要約、カスタムのモデル選択はアドオンの側の機能となります。
アドオンの通常価格は年払いで1ユーザー月額相当3,148円(税抜)で、30人なら年1,133,280円です。ボタンは文書の右下にまとめられ、順次展開中のAlt+Cが使えない環境でも、F6なら開けます。出ないときは、ビルド、ライセンス、更新チャネル、プライバシー設定、Cookie、ライセンスの種類、ラベルの順に確かめてみてください。
社内文書は職場のアカウントなら学習に使われず、秘密度ラベルも下書きに引き継がれます。処理される地域は、国内処理の選択肢を使うかどうかなど契約の条件で変わるため、国内での処理が必要な場合は契約先に確かめてください。社員の個人契約やWordに入る他社AIの扱いもあわせて決め、会社として使うAIの環境を整えていきましょう。法人のAI活用に関する他の記事は、AI活用コラム一覧をご覧ください。
