Gemini EnterpriseとNotebookLMの違い。社内資料を読ませるならどちらを契約するか

Gemini Enterpriseとは、社内のさまざまなデータを横断して検索し、AIエージェントも動かせるGoogleの企業向け製品で、StandardとPlusの契約には資料の読み込みに特化したGemini Notebook Enterprise(旧NotebookLM Enterprise)が含まれています。社内資料を指定して深く読ませたいだけなら、Notebook Enterpriseを単体で契約するか、Google Workspaceに付いているGemini Notebook(旧NotebookLM)で足りる場合が多くなります。社内システムをまたいだ検索やエージェントまで要る段階になって、初めてGemini Enterpriseが候補に上がるのが自然な順番でしょう。3つの境目を、料金・共有範囲・管理者の設定まで公式ドキュメントで確かめた内容で整理しました。

結論:資料を読ませるならNotebook、社内横断ならGemini Enterprise

社内資料をAIに読ませたい会社の多くは、Gemini Enterpriseを丸ごと契約しなくても目的を果たせます。Googleの公式ドキュメント「Gemini Notebook Enterprise か Gemini Enterprise、またはその両方か」には、Gemini Enterprise(StandardとPlus)のサブスクリプションにGemini Notebook Enterpriseが含まれ、スタンドアロンのプロダクトとしても利用できると書かれています。含まれる側を単体で買えるので、資料を読ませるだけの用途に親製品の料金を払う必要はありません。社内資料を読ませる手段は、次の3つに分かれます。

  • Workspace版のGemini Notebook:Google WorkspaceのBusiness Starter/Standard/Plus、Enterpriseなど主なエディションにコアサービスとして含まれ、追加の契約なしで使える
  • Gemini Notebook Enterpriseを単体で契約:Google Cloud経由で、1ライセンスあたり月9米ドル・最低15ライセンス
  • Gemini Enterprise(Standard・Plus)を契約:社内システムを横断する検索とエージェントに、Notebook Enterpriseが含まれる

同じ公式ページは、Notebook Enterpriseの用途を「特定の限られたドキュメント セット内の情報を詳細に分析して統合」する場面、Gemini Enterpriseの用途を「企業データの検索開始点が不明な場合に回答を見つけ」る場面として書き分けています。読ませる資料が決まっているならNotebook、探す場所から任せたいならGemini Enterpriseです。

料金の全体像はGemini Enterpriseの料金|Workspaceとの違いと人数別総額、ノートブックの基本の操作はNotebookLMの使い方で詳しく扱っています。ここでは社内資料を読ませる目的に絞り、3つのどれを契約するかの判断に要る違いだけを見ていきましょう。

NotebookLMからGemini Notebookへの名称変更と、Gemini Enterpriseとの関係

NotebookLMは2026年7月にGemini Notebookへ名前が変わり、企業向けのNotebookLM EnterpriseもGemini Notebook Enterpriseになりました。Gemini Notebookの公式サイトのよくある質問には、これまでのNotebookLMがそのままGemini Notebookとして使え、既存のノートブックにも引き続きアクセスできると書かれています。企業向けの改称が載ったのは、Gemini Enterpriseのリリースノートの2026年7月16日付の項目です。

ただし、名前が変わったのは画面や資料の表記が中心で、契約や権限の名前には旧称が残っています。ライセンスの公式ドキュメントには、サブスクリプション名はNotebookLM Enterpriseのままとの注記があり、権限(IAMロール)の名前も「Cloud NotebookLM ユーザー」などの旧称で表示されます。社内の稟議書や見積書で両方の名前が出てきても、同じ製品を指していると受け止めて問題ありません。

Gemini Enterpriseは親製品、Notebook Enterpriseはその一部で単体でも買える

公式の概要ページは、Gemini EnterpriseをGemini Notebook EnterpriseとGemini Enterprise(エディション)の両方を含む親プロダクトと位置づけています。どのエディションに含まれるかは、公式ページの間で書き方が少し異なります。製品の選び方ページはStandardとPlusを挙げ、エディション比較表ではBusinessにもノートブックの作成・公開の行に印が付き、Frontlineは公開されたノートブックとのチャットだけに印があります。従量課金制(Pay-as-you-go)については、製品ページに「Gemini Notebook は現在含まれていませんが、近日中に提供予定」と書かれています。Businessや従量課金制でノートブックを使う前提なら、購入前にGoogleか販売代理店に含まれる範囲を確かめてください。

この記事での呼び方

以下では、個人向けとWorkspace向けをGemini Notebook、Google Cloud経由の企業向けをNotebook Enterprise、親製品をGemini Enterpriseと呼び分けます。検索ではまだNotebookLMの名前で探す方が多いため、見出しでは旧称も併記しました。

Workspace版・Notebook Enterprise・Gemini Enterpriseの比較表

3つの違いは、契約する窓口、認証のしくみ、共有できる範囲の3点に集まります。

項目Workspace版 Gemini NotebookGemini Notebook EnterpriseGemini Enterprise(Standard・Plus)
契約先Google Workspace(Business Starter/Standard/Plus、Enterpriseなど主なエディションのコアサービス)Google Cloud(単体のサブスクリプション)Google Cloud
料金Workspaceの料金に含まれる1ライセンス月9米ドル・最低15ライセンスライセンスあたり月30米ドルより
回答の根拠ノートブックに入れたソースノートブックに入れたソース(回答はノートブックの情報に厳密に限定)Googleやサードパーティのデータを含む企業データ全体の検索(ノートブックも利用可)
認証WorkspaceのGoogleアカウントCloud Identity、またはMicrosoft Entra ID・Okta・Pingなどの外部IdPGoogle Identityを推奨(Microsoft 365のデータに接続する場合はEntra IDとWorkforce Identity連携)
共有管理者の設定で組織外との共有をオフ・許可リスト・オンから選べる同じGoogle Cloudプロジェクト内のユーザーのみ。一般公開は不可同じプロジェクト・ロケーションのノートブックはNotebook Enterpriseと共通
対応ファイルGoogleドキュメント・スライド、PDF、テキスト、音声、画像、URLなど(ヘルプではWord・PowerPointも対象)概要ページの比較表ではDOCX・PPTX・XLSXをEnterprise側に記載Excel・CSV・PDFに埋め込まれた画像など複雑な形式の分析を用途に挙げる
データの保存先組織のデータリージョンの設定は適用されない米国またはEUのマルチリージョン(ライセンスはglobal・us・euから選ぶ)globalを推奨。日本(asia-northeast1)は許可リスト付きで提供
コンプライアンス機能(比較表に記載なし)VPC-SC・CMEK・データ所在地エディション比較表でStandard・Plusにエンタープライズ クラスのセキュリティとコンプライアンスの印
学習への利用使われない(フィードバック送信時も)外部モデルのトレーニングに使われないGoogleのモデルや他のお客様のモデルのトレーニングに使われない
社内システムの横断検索・エージェントなしなしあり(Google Workspace、Microsoft 365、ServiceNow、Jira、Confluenceなどのコネクタ)
使う画面Gemini Notebookのウェブ・モバイルプロジェクトとリージョンごとに管理者が発行するURLGemini Enterpriseのウェブアプリ

※2026年9月16日〜10月3日に各公式ページで確認した内容です(料金は2026年10月3日時点)。Google Cloudの公式ドキュメント(Gemini Notebook Enterprise の概要、製品の選び方、ライセンスの取得。いずれも最終更新日 2026-10-02 UTC)と各製品ページは2026年10月3日に、Google Workspaceの管理者ヘルプ・プライバシーハブはそれ以前に確認しています。解説記事によって数字が分かれている項目(ソースの容量、クエリや音声概要の上限の単位、データの保存先)は、公式ドキュメントの値に揃えています。

表のとおり、学習に使われない点は3つとも共通で、差が出るのは管理のしかたのほうです。Workspace版は今あるGoogleアカウントのまま使える反面、データの保存先や暗号鍵を会社が選ぶことは出来ません。Notebook EnterpriseはGoogle Cloudのプロジェクトの中にデータを置き、共有相手もそのプロジェクトの利用者に限られる作りになります。社外と共有するならWorkspace版、共有をプロジェクト内に限るならNotebook Enterpriseです。

セキュリティの違い|学習に使われない点は共通、差はVPC-SC・CMEK・データ所在地

資料がAIの学習に使われるかどうかでは、3つの間に差はありません。Workspaceのお客様については、フィードバックを送った場合でもアップロードや質問、モデルの回答が生成AIのトレーニングに使われないと、Gemini Notebookの公式サイトに明記があります。Notebook Enterpriseも、製品の選び方ページで「外部モデルのトレーニングに使用されることはありません」とされ、Gemini Enterpriseの製品FAQもBusiness・Standard・Plusのプロンプトや出力を学習に使わないと説明しています。

違いが出るのは、データの置き場所と暗号鍵を会社が管理できるかどうかです。Notebook Enterpriseの概要ページの比較表では、コンプライアンスの欄にVPC-SC(Google Cloudのサービスの周りに境界を設けてデータの持ち出しを防ぐ仕組み)、CMEK(暗号鍵を自社で管理する方式)、データ所在地の3つが並んでいます。比べる相手の個人向けGemini Notebookの欄は「該当なし」となっています。

Workspace版についても、Workspaceのプライバシーハブに、組織のファイル共有とデータリージョンの設定はGemini Notebookのデータに適用されないと書かれ、WorkspaceのDLP(情報漏えいを防ぐ仕組み)とも現時点では連携していないと案内があります。ドライブのファイルをGemini Notebookに入れさせたくない場合は、IRM(ダウンロード・コピー・印刷の無効化)でアップロードを防げると同じページにあるので、機密度の高いフォルダから設定を見直してみてください。

データの保存先と日本のリージョン

Notebook Enterpriseのデータは、概要ページでは米国またはEUのマルチリージョンにあるプロジェクトへ保存されると説明されています。一方でライセンスのドキュメントではglobal・us・euからサブスクリプションを選ぶ形になっており、コンプライアンス上の理由が特になければglobalが推奨です。日本(asia-northeast1)は、データ所在地のページで許可リスト付きの一般提供とされ、使うにはGoogleのアカウントチームへの問い合わせが必要となります。取引先から国内での保管を求められている会社は、契約前に日本のロケーションが使えるかを担当者に確認しましょう。

共有範囲と認証(ID連携)の違い

社外の人とノートブックを共有したいかどうかで、選ぶ製品はほぼ決まります。

Workspace版は管理者が社外共有の可否を選べる

Workspace版では、管理者がGoogle管理コンソールの共有設定で、組織外との共有を「オフ」「許可リスト登録済みドメイン」「オン」から選べます。オンにした場合は、さらに[一般公開の共有]をオンにすると、リンクを知っているすべてのユーザーにノートブックを公開できるようになります。ただ、音声解説の共有に関するヘルプには、ノートブックの公開共有はWorkspace Enterpriseアカウントでは現在無効と書かれており、エディションによって実際に使えるかは管理画面で確かめる必要があります。

Notebook Enterpriseは同じプロジェクトの利用者だけ

Notebook Enterpriseのノートブックは、同じGoogle Cloudプロジェクト内の他のユーザーとしか共有できず、一般公開も出来ない仕様です。個人向けのGemini NotebookやGemini Notebook Plusのアカウントとの間でも、ノートブックは共有できません。共有した相手は常にソースまで見られるため、共有先は元の資料を見せてよい人に絞りましょう。取引先や顧問先と一緒に同じノートブックを読む使い方は、Notebook Enterpriseでは出来ない作りです。

認証:Notebook Enterpriseは外部のIdPにつなげる

Workspace版は、WorkspaceのGoogleアカウントでそのままログインする形になります。Notebook EnterpriseはCloud Identityのほか、Microsoft Entra ID、Okta、Ping、PingFederate、OIDCやSAML 2.0に対応したIDプロバイダ(IdP、社員のログインを一元管理する仕組み)を使えます。Gemini EnterpriseではGoogle Identityを使うことが推奨され、Google Workspaceのデータソースに接続する場合はGoogle Identityが必須とされています。SharePoint、OneDrive、OutlookといったMicrosoft 365のデータに接続する場合は、Microsoft Entra IDとWorkforce Identity連携が必要です。

Microsoft 365中心の会社が社内資料を読ませる場合

社員がMicrosoft 365で仕事をしていてGoogle Workspaceを契約していない会社でも、Notebook Enterpriseは単体で購入でき、Entra IDでログインする形で使えます。製品ページにも「Upload Microsoft 365 and Google Workspace sources」とあり、Word・PowerPoint・Excelのファイルをそのままソースに出来ます。SharePointやOneDriveにある資料を探すところからAIに任せたい場合は、コネクタを持つGemini Enterpriseの領域に入ります。Microsoft 365 Copilotとの比べ方はGemini EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotの違いにまとめているので、あわせて確認してみてください。

対応ファイルと使用量上限の違い

Excelの表を読ませたい会社にとっては、対応ファイルの違いが分かれ目になります。Notebook Enterpriseの概要ページの比較表では、DOCX(Word)、PPTX(PowerPoint)、XLSX(Excel)がEnterprise側の列にだけ記載されています。ただしGemini Notebookのヘルプ(ソースの追加)ではWordとPowerPointも対応形式に挙がっており、Excel(xlsx)は一覧に入っていません。公式ページ同士で記載が分かれているため、WordとPowerPointはWorkspace版でも試す価値があり、Excelをそのまま読ませたいなら、XLSXが公式に対応形式として載っているNotebook Enterpriseが向いていると整理するのが無難でしょう。

Notebook EnterpriseでExcelを扱う場合、1つのシートで処理できるのは約15万個のアクティブなセルが目安で、複数のシートは1枚ずつ別に処理されます。表の構造を保つための記号が語数に足されるため、見た目が50万語未満のファイルでも上限を超えることがある点も、概要ページに注意書きがあります。Excel、CSV、PDFに埋め込まれた画像など、より複雑な形式のデータの分析は、製品の選び方ページでGemini Enterpriseの用途として挙げられています。

Notebook Enterpriseの使用量上限(公式の表)

Notebook Enterpriseの上限は、概要ページの表のとおりです。

機能またはサイズ上限
ノートブックユーザーあたり500個
ソースノートブックあたり300個
ソースサイズソースあたり500MBまたは50万語
クエリユーザーあたり1日500件
音声概要・動画概要・マインドマップ・レポートそれぞれユーザーあたり1日20件
スライドデッキ・インフォグラフィックそれぞれユーザーあたり1日15件

解説記事の中には、ソースの容量を200MBとしたり、クエリの上限をノートブックあたりと書いたりしているものもありますが、公式の表ではソースあたり500MBまたは50万語、クエリはユーザーあたり1日500件となっています。Workspace版の上限は、Workspace向けのヘルプでエディションごとの段階として示され、Business Starterが標準、Business Standard以上がより広い段階になります。料金ページでも、Business StarterのGemini Notebookが「基本的なアクセス」、Business Standard以上が「より広いアクセス」と分けて表示されています。なお、個人向けのGemini Notebookでは、2026年9月2日から計算量に基づく使用量上限に変わりました。大量の資料を日常的に読ませる部署がある場合は、Starterのままで足りるかを先に試してみましょう。

個人アカウントの無料版に社内資料が入ってしまう問題

3つのどれを選ぶか決める前に、社員が個人のGoogleアカウントでGemini Notebookを使い始めていないかを確かめておきたいところです。Gemini Notebookはウェブとモバイルのスタンドアロンのツールとして誰でも使えるため、会社が契約を決める前から、個人アカウントに業務資料が入っている可能性があります。個人として使う場合でも、フィードバックを送らない限り学習には使われないと公式サイトは説明しています。問題は学習よりも、会社から見えないことのほうです。

個人のGmailアカウントでは最大50人と共有でき、リンクを知っている全員への一般公開も選べるため、誰がどの資料を誰に見せたかを会社は把握できません。退職した社員の個人アカウントに顧客の資料が残っていても、会社の側から削除を求める手段は限られてしまいます。Workspaceを使っている会社であれば、管理者がGemini Notebookを組織部門ごとにオン・オフでき、共有範囲も絞れます。ただ、Workspaceの管理で止められるのは会社のアカウントだけで、個人アカウントの利用までは止められないのが実際のところでしょう。

会社の資料を読ませる場所を1つ用意し、そこ以外に入れないというルールとセットで案内することが、遠回りに見えて効く対策になります。会社が把握していないAI利用の全体像は野良AI(シャドーAI)、Gemini Notebookに絞った漏えいの経路はNotebookLMの情報漏洩リスクで詳しく扱っています。

個人アカウントに資料が散らばる前に、AIを使う場所を会社で1つに

学習させない設定・利用ログ・社員への配布を、1つの環境でそろえる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

料金と人数別の月額|Notebook Enterprise単体は最低15ライセンス

Notebook Enterprise単体の料金は、製品ページで1ライセンスあたり月9米ドル、最低15ライセンスと案内されています。ライセンスのドキュメントでも、1つのサブスクリプションには少なくとも15個、最大5,000個のライセンスを含められると書かれており、月単位か年単位で購入する形です。5人の会社でも15ライセンス分、毎月135米ドルがかかる点は見落とさないようにしましょう。解説記事によっては1ライセンス7.5米ドル(年契約)と書かれたものもありますが、2026年10月3日時点の製品ページの表示は9米ドルとなっています。

利用人数Notebook Enterprise単体(月9米ドル・最低15ライセンス)Gemini Enterprise Business(月21米ドルより・製品ページでは最大300人)Gemini Enterprise Standard・Plus(月30米ドルより)Workspace版
5人月135米ドル(15ライセンス分)/年1,620米ドル月105米ドル/年1,260米ドル月150米ドル/年1,800米ドルWorkspaceの料金に含まれる
15人月135米ドル/年1,620米ドル月315米ドル/年3,780米ドル月450米ドル/年5,400米ドル同上
30人月270米ドル/年3,240米ドル月630米ドル/年7,560米ドル月900米ドル/年10,800米ドル同上
50人月450米ドル/年5,400米ドル月1,050米ドル/年12,600米ドル月1,500米ドル/年18,000米ドル同上

※2026年10月3日時点で、Gemini Notebook EnterpriseとGemini Enterpriseの製品ページに表示されている単価から計算した金額です。Gemini Enterpriseは「より」の表示のため下限の目安になります。Businessエディションでのノートブックの扱いは、公式ページの間で書き方が分かれています(本文の名称変更の節を参照)。Gemini EnterpriseのStandard・PlusをGoogle Cloudコンソールから自分で購入できるのは1アカウント25席までで、それ以上は請求書払いのアカウントなどが必要です(ライセンスの公式ドキュメントによる)。いずれも米ドル表示・税抜です。

表の金額はすべて米ドル表示・税抜で、日本でGoogle Cloudを使う場合は消費税10%が別途かかります。1ドル=150円で計算した場合、Notebook Enterprise単体は15人以下なら月20,250円、年間では243,000円が目安となります。50人で使う場合は月67,500円、年間810,000円となり、Gemini EnterpriseのStandard(月30米ドルより)を50人分そろえる場合の月1,500米ドル(Google Cloudの価格表の円表示では月220,000円〜255,000円)と比べると、資料を読ませるだけなら差は小さくありません。

Notebook Enterpriseの試用期間は30日と14日で記載が分かれる

Notebook Enterpriseを無料で試せる期間は、製品ページでは30日間、ライセンスのドキュメントでは5,000ライセンスの14日間と、公式の中で記載が分かれています。試用を始める前に、申し込みの画面に表示される期間を確認してください。

Gemini Enterpriseの価格で確認できること・できないこと

Gemini Enterpriseの製品ページで確認できるのは、Businessが月21米ドルより(最大300人。エディション比較の表では1〜500人)、StandardとPlusがまとめて月30米ドルより、という表示までです。Plus単独とFrontlineの金額は、Google Cloudの価格表(SKUの一覧)で確かめる形になります。Notebook Enterpriseの買い方はNotebookLM Enterpriseの料金と導入で順を追って説明しています。

Workspace版は今の料金のまま使える

Workspace版のGemini NotebookはWorkspaceのコアサービスとして提供されており、追加の契約なしで使えます。料金ページの年間プランの表示(1ユーザーあたりの月額・税別)はBusiness Starter 800円、Business Standard 1,600円、Business Plus 2,500円で、どのプランにもGemini Notebookが含まれています。すでにWorkspaceを契約している会社なら、まずWorkspace版で試し、足りない点が出てからNotebook Enterpriseを足す順番が、費用の面でも無理のない進め方です。

会社の状況から逆引きする判断表

迷ったときは、製品の機能からではなく、自社の状況から当てはまる行を探すほうが早く決まります。

会社の状況選ぶもの決め手
Workspaceを契約済みで、社内の人だけで資料を読みたいWorkspace版追加の契約が要らない
Workspaceは未契約で、Microsoft 365を使っているNotebook Enterprise単体Entra IDでログインでき、Word・PowerPoint・Excelをソースにできる
顧問先や取引先とノートブックを共有したいWorkspace版(管理者が組織外との共有を許可)Notebook Enterpriseは同じプロジェクト内でしか共有できない
取引先からデータの保存先や暗号鍵の管理を求められているNotebook Enterpriseデータ所在地・CMEK・VPC-SCに対応
Excelの表をそのまま読ませたいNotebook EnterpriseXLSXが概要ページでEnterprise側にだけ記載
ノートブックの作成や音声概要の作成をシステムから自動で回したいNotebook Enterpriseノートブックの作成・ソースの追加・音声概要の作成のAPIのドキュメントがある
資料の在りかが分からず、ドライブ・SharePoint・Jiraなどを横断して探したいGemini Enterpriseコネクタによる企業全体の検索
定型の業務をエージェントで自動化したいGemini EnterpriseノーコードのWorkflow Builderでエージェントを作れる

多くの会社は、上の2行のどちらかで始められるでしょう。

個人や小規模ならWorkspace版で足り、要件が出たらEnterpriseへ

Notebook Enterpriseも個人や小規模なチームを想定利用者に挙げており、規模よりも要件で選ぶ製品になっています。データの保存先や暗号鍵、外部のIDプロバイダ、Excelのファイル、APIでの自動化の4つのどれかが必要になった時点が、Workspace版からNotebook Enterpriseへ上げる目安です。資料を探すところからAIに任せたい、業務をエージェントで自動化したい、という声が出てきたら、Gemini Enterpriseを検討する段階に入ります。社外との共有が欠かせない場合は、Enterpriseに上げるとかえって出来なくなる点に注意しましょう。

Workspace版で足りるかのチェックリスト

Workspaceを契約している会社は、次の項目を上から確かめてみてください。

  • 契約中のエディションを確認した料金ページではBusiness StarterのGemini Notebookが「基本的なアクセス」、Business Standard以上が「より広いアクセス」です。資料を多く読ませる部署があるなら、どちらで使っているかを先に把握します。
  • 管理コンソールでGemini Notebookがオンになっている範囲を確認した組織部門やアクセス グループごとに、一部のユーザーだけを有効にすることも出来ます。
  • 組織外との共有の設定を決めたオフ・許可リスト登録済みドメイン・オンの3つから選びます。オンにする場合は、一般公開の共有を許すかも決めます。
  • 読ませたい資料にExcel(xlsx)が多くないExcelのファイルをそのまま読ませたいなら、XLSXが公式に対応形式として載っているNotebook Enterpriseが向いています。
  • 取引先からデータの保存先や暗号鍵の管理を求められていない求められているなら、データ所在地やCMEKに対応したNotebook Enterpriseの出番です。
  • ノートブックを自動で作る仕組み(API)が要らないAPIのドキュメントが用意されているのはNotebook Enterpriseです。
  • 個人アカウントのGemini Notebookに業務資料を入れないルールを周知したWorkspaceの管理で止められるのは会社のアカウントだけです。

4つ目から6つ目の項目に引っかかるものがなければ、Workspace版のまま始めて差し支えありません。引っかかる項目がある場合も、まずWorkspace版で試し、足りない点だけをNotebook Enterpriseで補う順番で進めると、ライセンスを無駄にせずに済みます。

管理者の設定手順(公式の画面名どおり)

Workspace版なら管理コンソールの数か所、Notebook EnterpriseならGoogle Cloudコンソールでのライセンスの準備とURLの配布が、管理者の主な作業です。

Workspace版:Gemini Notebookのオン・オフと共有の設定

  1. Google管理コンソールで、メニューの[生成 AI]から[Gemini Notebook]に移動します(Geminiの「設定」管理者権限が必要)。
  2. [サービスのステータス]をクリックし、[オン(すべてのユーザー)]または[オフ(すべてのユーザー)]を選んで[保存]をクリックします。組織部門やアクセス グループを選べば、一部のユーザーだけに適用できます。
  3. 共有の設定で、[[組織名] の外部との共有]を「オフ」「許可リスト登録済みドメイン」「オン」から選びます。オンにした場合は、[一般公開の共有]を許すかどうかも決めます。
  4. 変更の反映には最長で24時間ほどかかることがあります。

公式ヘルプの日本語版はAI翻訳を含むと明記されているため、実際の管理画面の表記と少し違う場合があります。

Notebook Enterprise:ライセンスの購入からURLの配布まで

  1. 公式ドキュメント「Gemini Notebook Enterprise を設定する」の手順に沿って機能を有効にし、IDプロバイダ(Cloud Identityまたは外部IdP)を設定します。
  2. 使わせるすべてのユーザーに、IAMの「Cloud NotebookLM ユーザー」ロールを付与します。
  3. Google Cloudコンソールで[Gemini Enterprise]ページに移動し、[ユーザーの管理]をクリックして、サブスクリプションの[マルチリージョン]を選びます。米国やEUに置く理由が特になければ、グローバルが推奨です。
  4. [サブスクリプションを追加]をクリックし、ライセンス数、期間、自動更新(省略可)、ティアを選んで[追加]をクリックします。
  5. [ユーザーを追加]でメールアドレスごとにライセンスを割り当てるか、[ライセンスを自動的に割り当てる]で初回ログイン時に配る設定にします。
  6. プロジェクトとリージョンごとに決まるURL(https://notebook.cloud.google.com/REGION/?project=PROJECT_NUMBER の形)を社員に配ります。

手順の中で間違えやすいのが、ノートブック単位の3つのロール(オーナー・編集者・閲覧者)の扱いです。概要ページには、これらのロールは管理インターフェースから割り当てず、社員がノートブックを作ったり共有したりしたときに画面から自動で付く、と書かれています。ノートブックのロールは管理画面から付与せず、社員の共有操作に任せましょう。また「Cloud NotebookLM 管理者」のロールを持つ人はすべてのノートブックに完全なアクセス権を持つため、付与する相手は情報システムの担当者などに絞るのが安全です。

Gemini Enterpriseの中でNotebookを使う場合

Gemini Enterpriseを契約した場合は、管理者が[構成]の[機能の管理]タブで[Gemini Notebook を有効にする]をオンにすると、ウェブアプリからノートブックを使えるようになります。ノートブックは、同じプロジェクトとロケーションを共有していれば、Notebook EnterpriseとGemini Enterpriseアプリの両方から開けると概要ページに記載があります。サブスクリプションの期限が切れると社員はログインできなくなるため、自動更新を付けるかどうかは購入時に決めておきましょう。

社内ルールの文例

どの製品を選んでも、何を入れてよいかを決めないままでは、ノートブックの数だけ判断がばらつきます。次の文例は、社内規程に貼り付けて調整できる形にした一例です。

  1. (使ってよい環境)業務の資料をAIに読ませるときは、会社が契約したGemini Notebook(Workspace版またはNotebook Enterprise)だけを使う。個人のGoogleアカウントのGemini Notebookに業務の資料を入れない。
  2. (入れてよい資料)社内向けのマニュアル、規程、公開済みの資料、自社で作成した議事録は、承認なしで入れてよい。
  3. (承認が要る資料)顧客や取引先から預かった資料、個人情報を含む資料、契約書は、部門長の承認を得てから入れる。顧客ごとにノートブックを分ける。
  4. (入れてはいけない資料)マイナンバー(特定個人情報)、健康診断の結果などの要配慮個人情報、パスワードなどの認証情報は入れない。
  5. (共有)ノートブックを共有するときは、相手がソースまで見られることを前提に相手を選ぶ。組織外との共有は、情報システム担当の許可を得てから行う。
  6. (フィードバック)回答の評価を送るときは、機密情報や個人情報を含めない。
  7. (出力の確認)回答を社外に出すときは、引用元の箇所を開いて内容を確かめる。
  8. (退職・異動)退職や異動のときは、本人が作成したノートブックの扱いを、最終出社日までに情報システム担当と確認する。

顧問先や取引先の資料を扱う会社は、3つ目の項目を厚めにし、相手ごとの承認者まで決めると運用しやすくなります。

会計事務所のように顧客の資料を預かる会社の場合

税理士法第38条では、税理士は正当な理由なく、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたり盗用したりしてはならないとされ、税理士でなくなった後も同様です。顧問先ごとにノートブックを分け、共有相手をその顧問先の担当者に限ると、どの資料を誰が見られるかを説明しやすくなります。Notebook Enterpriseなら共有相手は事務所のGoogle Cloudプロジェクト内の利用者に限られるため、顧問先に説明する材料にもなるでしょう。社内ガイドライン全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方を参考にしてみてください。

GeminiアプリとNotebookLMの違いは、答えの根拠にする範囲

Geminiアプリとの違いは、答えの根拠にする範囲にあります。Gemini Notebookはノートブックに入れたソースを根拠に答え、GeminiアプリはWebやモデルの知識も含めて幅広く答えます。Geminiアプリの中でもノートブックを作れるようになり、両者の境目は近づいていますが、社内資料の中身だけで答えさせたい場面は今もGemini Notebookが向いています。Gemini Enterpriseの製品FAQは、Workspaceを超える幅広い企業データを統合する必要があるチームや、NotebookLMでのHIPAAやデータ所在地の要件を満たす必要があるチームにGemini Enterpriseが適しているとの説明です。機能の細かな違いはNotebookLMとGeminiの違い、Gemini Enterpriseの機能の全体はGemini Enterpriseでできることにまとめています。

よくある質問

Gemini EnterpriseとNotebookLM(Gemini Notebook)は何が違いますか?
Gemini Enterpriseは、社内のさまざまなデータの横断検索、AIアシスタント、エージェントをまとめたGoogleの企業向け製品です。Gemini Notebook(旧NotebookLM)は、指定した資料だけを根拠に答えるツールで、企業向けのGemini Notebook Enterprise(旧NotebookLM Enterprise)はGemini Enterprise(StandardとPlus)のサブスクリプションに含まれ、単体でも購入できます。
Gemini Enterpriseを契約すれば、NotebookLM Enterpriseも使えますか?
公式の製品の選び方ページには、Gemini Enterprise(StandardとPlus)のサブスクリプションにGemini Notebook Enterpriseが含まれると書かれています。従量課金制については、製品ページで現在は含まれておらず近日中に提供予定と案内されています。使うには、管理者が機能の管理タブで[Gemini Notebook を有効にする]をオンにします。
Notebook Enterpriseは5人の会社でも契約できますか?
契約できますが、1つのサブスクリプションに少なくとも15個のライセンスが含まれるため、5人でも15ライセンス分の料金がかかります。2026年10月3日時点の製品ページの表示は1ライセンスあたり月9米ドルで、15ライセンスなら月135米ドルです。米ドル表示・税抜で、日本での利用には消費税10%が別途かかります。
Workspace版(Business StarterやStandardなど)のGemini Notebookでも、資料はAIの学習に使われませんか?
使われません。Gemini Notebookの公式サイトには、Workspaceのお客様の場合、フィードバックを提供したときでもアップロード、クエリ、モデルの回答が生成AIモデルのトレーニングに使用されることはないと書かれています。ただし、組織のデータリージョンの設定はGemini Notebookのデータに適用されないため、保存先の指定が必要ならNotebook Enterpriseを検討してください。
Notebook Enterpriseのノートブックを社外の人と共有できますか?
できません。Notebook Enterpriseのノートブックは同じGoogle Cloudプロジェクト内のユーザーとしか共有できず、一般公開もできません。社外との共有が必要な場合は、Workspace版で管理者が組織外との共有を許可する形が候補になります。
今あるノートブックをNotebook Enterpriseへ引き継げますか?
公式のよくある質問には、既存のGemini Notebook Plusのノートブックは、Gemini Notebook EnterpriseやGemini Enterpriseで使うことも、直接アクセスすることもできないと書かれています。Notebook Enterpriseと、個人向けやGemini Notebook Plusのアカウントの間ではノートブックを共有することもできません。個人向けの版からの移行方法は公式に記載がないため、元の資料をソースとして入れ直す前提で計画すると確実です。

まとめ

社内資料をAIに読ませたいだけなら、Gemini Enterpriseを丸ごと契約する必要はなく、Workspace版かNotebook Enterprise単体で始められます。Workspaceを契約している会社は今の料金のままWorkspace版を試し、データの保存先や暗号鍵、外部のIDプロバイダ、Excel、APIのどれかが必要になったらNotebook Enterpriseを足すのが無理のない順番です。Notebook Enterpriseは最低15ライセンスで、5人の会社でも毎月135米ドル(税抜)がかかる点を予算に入れておきましょう。社内のシステムを横断して探す、業務をエージェントに任せるといった要件が出てきた段階で、Gemini Enterpriseを比べれば間に合います。どれを選ぶ場合も、個人アカウントに業務資料を入れないルールと共有先の決め方を、契約と同時に社内へ伝えてみてください。

会社でGeminiを使う場合は、Geminiの個人向けと法人向けの違いを先に確かめておくと安心です。

法人向けのAIサービスの横並びは法人向け生成AIサービスの比較、ほかの記事はAI活用コラム一覧からご覧いただけます。

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