生成AIのおすすめ。目的別の選び方と、会社で安全に使うための確認点

生成AIのおすすめは、文章の作成や要約ならChatGPT・Claude・Gemini・Microsoft Copilot、出典つきの調べものならPerplexity、画像・動画・音声ならそれぞれの専用ツール、というように目的ごとに選び分けることです。そして会社で使うなら、どのAIかよりも、社員の個人アカウントで使うか会社として契約したプランで使うかの違いのほうが、情報の扱いと管理を大きく左右します。料金と学習設定は2026年9月16日に各社の公式ページで確かめた内容です。

生成AIで一番いいのはどれ?答えは社内の環境で決まる

1つに絞るなら、社内で毎日使っているメールと文書の環境に合わせて選ぶのが、後から困りにくい決め方です。

一文で答えると:Gmailやスプレッドシートが中心の会社はGemini、OutlookやWord・Excelが中心の会社はMicrosoft Copilot、どちらにも寄っていない会社はChatGPTかClaudeから始めるのが無理のない選び方です。

理由は、性能のわずかな差より、普段の業務画面から離れずに使えるかのほうが、社員が使い続けるかに影響しやすいと考えられるためです。GoogleもMicrosoftも、既存の業務用の契約の中でAI機能を使える形を用意しています。

ただし、どれを選んでも、社員が個人のアカウントで使う限り、学習設定や利用状況を会社が確かめられない点は同じです。この違いは後半で、公式ページの記載をもとに表にしています。

生成AIとは|従来のAIとの違いと仕組み

※定義・種類・リスクを詳しくは生成AIとは?意味・仕組み・種類と会社で安全に使い始める手順で解説しています。

生成AIとは、人の指示に応じて文章・画像・プログラムなどを新しく作り出すAIのことです。総務省と経済産業省がまとめた「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日)は、生成AIを、文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルにもとづくAIの総称と定義しています。

従来のAI(分類・予測)との違い

これまで業務で使われてきたAIの多くは、データを分類したり数値を予測したりするものでした。需要の予測、検品での不良の判定、問い合わせメールの振り分けなどがその典型です。同ガイドラインは、基盤モデルが台頭した結果、「予測」「提案」「決定」にとどまらず、画像や文章などを生成するAIも普及しつつある、と整理しています。

用意された選択肢から答えを選ぶAIから、答えそのものを文章や画像として作るAIへ移った、と捉えると違いがつかみやすくなります。そのぶん出力は指示の出し方に左右され、事実と異なる内容をもっともらしく書くこともあります。

仕組みの概要:文章はLLMによる次の語の予測、画像は拡散モデル

文章を作る生成AIの中心にあるのは、大規模言語モデル(LLM)です。Google for Developersの解説「Introduction to Large Language Models」は、言語モデルを、長いトークンの並びの中に、あるトークンやその並びが現れる確率を見積もるものと説明しています。文脈に続く語を確率で選び続けて、文章を組み立てています。

画像を作る生成AIでよく知られているのは、拡散モデルという方式です。2020年6月にHoらが発表した論文「Denoising Diffusion Probabilistic Models」が代表的な出発点で、ノイズを段階的に取り除きながら画像を形にしていく考え方をとります。どちらも学習したデータの傾向から新しい出力を作る点は共通しています。

生成AIの種類|文章・画像・動画・音声・コード

業務で使う生成AIは、何を作るかで5つに分けると比べやすくなります。

  • 文章:メールや報告書の下書き、要約、翻訳(ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft Copilot)
  • 画像:チラシやSNSの素材、イメージ図(Midjourney、Adobe Firefly、Stable Diffusion、Canva)
  • 動画:商品説明や研修の動画(Runway、HeyGen、Geminiアプリの有料プラン)
  • 音声・音楽:ナレーション、読み上げ、BGM(ElevenLabs、VOICEVOX、Suno)
  • コード:プログラムの作成や修正(GitHub Copilot、Cursor、Codex、Claude Code)

このほか、調べものに向くPerplexityや、手元の資料を読ませるGemini Notebookのような生成AIもあります。WordやNotionのように、業務ツールの中にAI機能が組み込まれている形もあります。

目的別おすすめ生成AIの比較一覧表

目的ごとの代表的なサービスを1つの表にまとめます。行ごとに、公式ページで確かめた日を付けています。

目的代表的なサービス向いている仕事公式ページで確かめたこと確認日(2026年)
文章の作成・要約ChatGPT下書き、要約から画像生成まで無料版あり。有料プランはユーザー1人あたりの月額9/16
長文の読み込み・推敲Claude長い文書の読解、推敲無料プランあり。コンテキストウィンドウは全プランで200k9/16
Google中心の業務GeminiGmail・ドキュメントと合わせた作業AIプランなしでも利用可。WorkspaceのStarterにもGemini機能9/16
Microsoft中心の業務Microsoft CopilotWord・Excel・PowerPoint・Teamsでの作業対象のMicrosoft 365契約でCopilot Chatは追加料金なし9/16
出典つきの調べものPerplexity市場の下調べ、最新情報の当たり付け回答ごとに情報源へのリンクを付ける9/16
手元資料の読み込みGemini Notebook規程やマニュアルの要約無料はノートブックあたりソース最大50件9/16
画像Midjourney/Adobe Firefly/Stable Diffusion/Canva販促物の素材、イメージ図Canvaの画像生成AIは無料で利用可と記載9/16
動画Runway/HeyGen動画の生成・編集、アバターが話す動画HeyGenはテキスト・画像・音声から動画を作成9/16
音声・音楽ElevenLabs/VOICEVOX/Sunoナレーション、読み上げ、作曲VOICEVOXは商用・非商用問わず無料(キャラクター規約あり)9/16
コードGitHub Copilot/Cursorコードの提案、修正、説明GitHub Copilotは個人向け無料プランあり9/16

※表の内容は、2026年9月16日に各社の公式ページで確認したものです。料金や名称は変わることがあるため、契約前に最新の表示を確認してください。法人向けサービス38件の料金を並べた一覧は法人向け生成AIの料金比較にあります。

文章生成AIのおすすめ4選:ChatGPT・Claude・Gemini・Microsoft Copilot

4つとも日本語で使えます。差が出るのは、得意な作業、つながる業務ツール、会社向けプランの管理機能です。

ChatGPT:1つで幅広い作業をこなしたい会社に

ChatGPTはOpenAIの生成AIで、2022年11月30日に公開されました。料金ページのPlusの欄には、画像生成、deep research(ウェブを調べてまとめる機能)、プログラミング支援のCodexが並びます。日本から表示した料金ページでは、無料版が0円、Goが月1,400円、Plusが月3,000円、Proが月16,800円からです。

会社向けにはBusinessがあり、標準シートは1人あたり月3,050円(年額課金の場合)、月額課金では3,850円と表示されています。従業員数2〜200名のチーム向けで、既定でビジネスデータを学習に使わないこと、請求と管理の一元化、利用状況の分析が含まれます。プランごとの違いはChatGPTの法人プランと料金で詳しく扱っています。

Claude:長い文書の読み込みや文章の推敲に

ClaudeはAnthropicの生成AIです。料金ページの比較表では、一度に読み込める量の目安であるコンテキストウィンドウが、無料を含む全プランで200kトークンと記載されています。

日本からブラウザで表示すると消費税10%込みの米ドル表示になり、Proは月払いなら月22ドル、年払いなら月18ドル相当です(税抜はProの月払いで20ドル)。会社向けのTeamは2〜150名のチーム向けで、スタンダードシートが年払いで1シート月22ドル(月払いは27.50ドル)と表示されています。Teamの欄には、既定でコンテンツをモデルのトレーニングに使わないことと、シングルサインオン(SSO)が明記されています。

Gemini:Gmailやドキュメントと合わせて使うなら

GeminiはGoogleの生成AIで、個人のGoogleアカウントならAIプランなしでも使え、Google AI Proは月2,900円です。ヘルプでは、コンテキストウィンドウがプランなしで32,000トークン、AI ProとAI Ultraで100万トークンとされています。

ただしGoogle AI Proなどは個人のGoogleアカウントでしか申し込めないと公式FAQにあり、会社ではGoogle Workspaceの契約の中で使うのが基本になります。Workspaceの料金ページ(年間プラン・税別)では、Starterが1ユーザー月800円で、GmailのGemini AIアシスタントとGeminiアプリでのAIチャットが含まれています。

Microsoft Copilot:Word・Excel・Teamsで仕事をしているなら

Microsoft Copilotは、Microsoft 365と組み合わせて使う生成AIで、公式ドキュメントではMicrosoft 365 Copilotから名称が変わったと案内されています。

対象のMicrosoft 365を契約していれば、Copilot Chatは追加料金なしで使えます。ただしCopilot Chat(Basic)ではWord・Excel・PowerPointの中のCopilotは使えず、社内のメールやファイルを自動で参照させるにはPremiumの区分が必要です。一般法人向けのMicrosoft 365 Copilot Businessは、年払いで1ユーザー月3,148円相当(税抜)で、既存のMicrosoft 365顧客が2026年12月31日までに年間契約で申し込む場合は、初年度だけ月2,698円の割引価格が適用されると表示されています。

※料金は2026年9月16日に各社の公式料金ページで確認した表示です。ChatGPTとGoogle AI Proは税の記載がないため税を足していません。4つのAIの得意分野の違いは主要4AIの違いと使い分けでも解説しています。

調べもの・資料の読み込みに向く生成AI:Perplexity・Gemini Notebook

調べものに使う生成AIは、答えの根拠を人がたどれるかどうかで選びます。

Perplexity:出典つきでウェブを調べる

Perplexityは、公式ヘルプでAIを搭載した検索エンジンと説明されています。質問するとウェブを検索し、回答ごとに情報源へのリンクを付けて返します。GPTやClaudeなどのモデルを選べることも案内されています(選べる範囲はプランで異なる場合があるため、申し込み前に確認してください)。

元の資料を開いて確かめる手順を決めやすく、業界動向や補助金情報の下調べに向きます。

Gemini Notebook(旧NotebookLM):手元の資料を根拠に答えさせる

Gemini NotebookはGoogleのサービスで、公式サイトによると2026年7月にNotebookLMから名称が変わりました。PDFやWord、ウェブページのURLなどを読み込ませ、その内容について質問や要約ができます。無料で使う場合、1つのノートブックに入れられるソースは最大50件です。

個人ユーザーはフィードバックを送らない限りデータがトレーニングに使われないと案内されています。

画像・動画・音声を作る生成AIのおすすめ

作ったものが社外に出る使い方が中心になるため、利用規約と権利の扱いを先に確認する前提で選びます。ここでは何に向くかだけを紹介します。

画像生成AI:Midjourney・Adobe Firefly・Stable Diffusion・Canva

  • Midjourney:画像と動画のモデルを開発する研究組織のサービスで、イメージ画像の作成に向きます。
  • Adobe Firefly:画像や動画、音楽を生成して編集できる生成AIで、無料から試せます。
  • Stable Diffusion:Stability AIの画像生成モデルで、APIのほか自社環境で動かすライセンスもあります。
  • Canva:画像生成AIを無料で使え、生成した画像をそのままチラシなどのデザインに組み込めます。

動画生成AI:Runway・HeyGen・Geminiの動画生成

  • Runway:動画・画像・音声の生成と編集を1か所で行えるクラウドの制作環境です。
  • HeyGen:テキストや画像、音声から字幕付きの動画を作れ、アバターが話す研修動画などに向きます。
  • Geminiアプリ:動画生成はGoogle AI Plus以上のプランで提供されています。

人物が話す動画は実在する人の顔や声を扱うため、社員を使うなら本人の同意を取る、と先に決めておきます。

音声・音楽の生成AI:ElevenLabs・VOICEVOX・Suno

  • ElevenLabs:読み上げ、文字起こし、吹き替えなどを扱う音声AIで、70以上の言語に対応するとしています。
  • VOICEVOX:無料の読み上げ・歌声合成ソフトです。商用・非商用を問わず無料ですが、キャラクターごとの利用規約の確認が求められています。
  • Suno:ブラウザやスマートフォンのアプリで曲を作れるサービスです。

コード生成AIと業務ツール内蔵型のAI

コード生成AI:GitHub Copilot・Cursor・Codex・Claude Code

GitHub CopilotはVisual Studio Codeなどの主要なエディタと統合され、コードの提案やチャットでの支援を行います。Cursorは、ソフトウェアを作るためのコーディングエージェントと説明されています。

ChatGPTのPlusにはCodex、ClaudeのProにはClaude Codeが含まれると料金ページにあります。

業務ツール内蔵型:Microsoft 365・Google Workspace・Notion AI・Canva AI

Microsoft Copilot(旧Microsoft 365 Copilot)には、Wordでの下書き、Excelでのデータ分析、Teams会議の要約などの機能があり、Google WorkspaceではGmailなどの中でGeminiを使えます。

Notion AIはNotionの中で検索や生成を使える機能で、Canvaにも文章を作るマジック作文があります。いずれもそのツールの中の作業が中心なので、メインのAIを補う位置づけにすると整理しやすくなります。

Notion AIでできることと料金、会社で使う汎用AIとの分担はNotion AIとは?できることと汎用AIとの使い分けで詳しく解説しています。

生成AIの選び方|会社で失敗しない5つの基準

会社で生成AIを選ぶときは、目的、既存環境、定着、費用、日本語の順に確かめると、判断がぶれにくくなります。

選び方1:目的・用途から絞る

議事録やメールが目的なら文章生成AIで足り、画像や動画のツールまで同時に契約する必要はありません。目的を3つ程度に絞ると、候補は自然に少なくなります。

選び方2:Microsoft 365かGoogle Workspaceか、既存環境との相性で選ぶ

社内のメール、文書、ファイル共有がMicrosoft 365にあるならCopilot、Google WorkspaceにあるならGeminiを最初に検討します。アカウント管理を今の仕組みに乗せられるためです。ただし使えるAI機能は契約プランで変わるので、使いたい機能がどのプランに含まれるかを先に確認します。

選び方3:操作性と社内に定着するかを試用で確かめる

定着するかは資料では分からないため、使う部署の数人に2週間ほど試してもらうのが確実です。ChatGPT、Claude、Geminiには無料で使える範囲があり、Google Workspaceには14日間の試用があります。

選び方4:料金と無料プランの制限、10人・30人で使う費用

無料プランには制限があります。ChatGPTの無料版はアップロードを含むメッセージ数に上限があり、Claudeは5時間ごとにリセットされる使用量の制限、Geminiアプリはプランなしが標準の上限でAI Proはその4倍です。

会社で配る場合は、人数を掛けた金額で比べます。たとえばChatGPT Businessの標準シートを年額課金で使うと、10人で月30,500円(年366,000円)、30人で月91,500円(年1,098,000円)です。割り当てていないシートにも請求が発生するため、配る人数は見極めが必要です。個人向けのPlusを10人が契約しても月30,000円とほぼ同じですが、管理コンソールも利用状況の分析も使えません。費用の管理の考え方は生成AIのコスト管理でまとめています。

※試算は、2026年9月16日に日本から表示したChatGPT料金ページの円表示(標準シート年額課金の場合の月額3,050円)を人数と12か月で掛けたものです。料金ページに税の記載がないため、税は含めていません。

選び方5:日本語の精度は自社の文書で試す

日本語の自然さや業界用語の扱いは、よく書く文章を架空の内容に置き換え、候補のAIに同じ指示を出して比べるのが確実です。

比べて1つに絞れないなら、複数のAIを1つの契約で

文章・調べもの・資料の読み込みで向くAIが違うと、社員ごとに契約が増えていきます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

個人向けプランと会社向けプランの違い|学習の既定値と管理機能

同じAIでも、個人向けと会社向けのプランでは入力データの扱いと管理機能が違います。有料にすれば会社向けと同じになるわけではありません。

サービス個人向けプランの学習の扱い会社向けプランの学習の扱い個人向けプランに管理機能はあるか
ChatGPT4プランとも「無効化可能」。本人が設定でオフにするBusiness:既定でビジネスデータを学習に使用しない管理コンソール、SSOなどは「いいえ」
Claude「オプトアウト」。本人が選ぶTeam・Enterprise:既定でトレーニングに使わない監査ログ、SSOなどは「いいえ」
Geminiアクティビティの保存をオフにすると学習に使われないWorkspace:許可なくドメイン外の学習に使わず、人のレビューもない個人アカウント向けのため、会社の管理画面の対象外
Microsoft Copilot(この記事では扱っていません)Entraアカウント:プロンプトと応答を基礎LLMのトレーニングに使わない-

※各社の料金ページ・公式ヘルプを2026年9月16日に確認。かぎ括弧内は料金ページの表記で、フィードバックを送った場合の例外があります。

入力データが学習に使われるか・オプトアウト設定の手順

個人向けプランで学習を止めるには、本人が設定を変える必要があります。ChatGPTでは、設定のデータコントロールで「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。ただし回答に良い・良くないの評価を付けると、その会話全体が学習に使われることがあるとヘルプにあります。

Claudeも、評価のフィードバックを送ると関連する会話全体が最長5年保存され、学習に使われることがあると案内しています。どれも社員個人の操作に委ねられ、全員がオフにしたかを会社側で確かめる仕組みはありません。

社員が個人アカウントで使うと起きること(シャドーAI)

会社が用意していないAIを社員が個人アカウントで業務に使う状態を、シャドーAI(野良AI)と呼びます。

総務省の「令和8年版情報通信白書(概要)」(2026年7月)によると、自社の何らかの業務で生成AIを使っている日本の企業は86.4%にのぼる一方、生成AIによる業務変革に組織的な取り組みはないと答えた企業が27.0%あり、米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%より高くなっています。使われているのに枠組みがない状態は、シャドーAIが生まれやすい条件といえます。実態の把握と対策は野良AI(シャドーAI)の対策で解説しています。

※白書の企業調査は、従業員10名以上で、2025年までにデジタル化の取組を始めた企業の管理職以上へのインターネットアンケート(2026年1〜2月、日本の有効回答515件)です。86.4%は日本の回答477件、27.0%は日本の回答497件に対する割合です。

会社で使う前に押さえる注意点

どのAIでも、入力する情報、出力の確認、権利、社内ルールは会社で決めておきます。

入力してはいけない情報:個人情報・機密情報・認証情報

個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)で、事業者が本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法に違反する可能性があると指摘しています。AI事業者ガイドラインも、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう求めています。

社内ルールでは、少なくとも次の4種類を入力しない情報として具体的に書き出しておきます。

  • 個人情報顧客名簿、応募者の履歴書、従業員の住所や評価、マイナンバー。総務なら人事・給与のデータがここに入ります。
  • 社外秘・未公開の情報発表前の決算や新商品、取引条件、見積の原価など。
  • 預かっている他社の情報会計事務所なら顧問先の決算書や給与データ、制作会社なら発注元の未公開資料。契約上の守秘義務がかかることが多い情報です。
  • 認証情報パスワード、APIキー、アクセストークン、社内システムのURLとログイン手順。

点検項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにあります。

ハルシネーション(誤情報)と人による確認

IBMはハルシネーションを、もっともらしいが事実と異なる、あるいはでっち上げられた出力と説明しています。数字、日付、法令や制度の内容、固有名詞は、出典を開いて人が確かめてから使う、というルールを決めておきます。

著作権・商用利用の条件

文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)は、生成物に既存の著作物との類似性と依拠性が認められれば、著作権侵害になり得ると整理しています。既存の作品や題名を入力して作らせる場合は、依拠性が認められる例とされています(考え方自体に法的拘束力はありません)。

商用利用の可否はサービスごとの規約で決まります。販促物に使う前に、規約で商用利用の条件を確認する手順にしておきます。

社内の運用ルールと社員教育

2025年9月1日に全面施行された、いわゆるAI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)は、AIを事業で活用しようとする事業者に、積極的な活用に努めることと、国や地方公共団体の施策に協力することを求めています。罰則を定めた条文は見当たりません。

ルールは、使ってよいサービス、入力しない情報、出力の確認、相談先の4点を1枚にまとめると守られやすくなります。作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で雛形とあわせて紹介しています。

社員教育は、アカウントを配るときに、入力しない情報の具体例と、出力を確かめる手順を短い説明会で伝えるところから始められます。質問の窓口を1つに決めておくと、迷ったときに個人の判断で進めることを減らせます。

業務での活用例と複数ツールの使い分け

生成AIの効果が出やすいのは、毎日発生する文章の作業です。

業務での活用例:議事録・メール・資料作成・マーケティング

前出の情報通信白書(概要)によると、日本の企業の回答では議事録・メール作成補助の割合が約7割と最も高く、導入効果を実感すると答えた割合も同じ傾向でした。社員10〜200名の会社で始めやすい使い方は、次のようなものです。

  • 会議の録音の文字起こしから、決定事項と宿題を分けた議事録を作る
  • 取引先への依頼やお詫びのメールを、状況の箇条書きから下書きする
  • 商品ページやSNS投稿の文案を複数出させ、画像生成AIで素材を作る
  • 就業規則や社内マニュアルから、該当する箇所を探して要約させる

複数ツールの使い分けと、契約・管理が増える問題

長い文書ならClaude、出典つきの調べものならPerplexityのように、用途に合ったAIを選ぶと、得意な作業に合わせやすくなります。

一方で、会社で使い分けると、契約、アカウント管理、学習設定の確認がサービスの数だけ増えます。人数課金のプランを複数並べれば費用も掛け算で増え、一部の社員にしか配れなくなりがちです。複数のAIを1つの契約と1つの管理画面でまとめて使う方法はマルチAIとはで比較しています。

社員10〜200名の会社が生成AIを選ぶ5つの手順

情報システムの専任者がいなくても、次の順に進められます。

  • 手順1:今どのAIが使われているかを把握する業務でどのAIを何に使っているかを無記名のアンケートで聞きます。
  • 手順2:減らしたい作業を3つに絞る時間のかかっている作業を部署ごとに挙げ、効果の大きい3つを選びます。
  • 手順3:既存環境に合わせて候補を2〜3つ選ぶMicrosoft 365ならCopilot、Google WorkspaceならGeminiを軸にします。
  • 手順4:会社向けプランの条件を公式ページで確かめる学習の既定値、管理者が利用状況を見られるか、最低人数、年払いの縛りを確認し、確認日を記録します。
  • 手順5:ルールを1枚にまとめ、数人で2週間試してから全社に配る試用で出た疑問をFAQにしてから配布します。

目的ごとに強いAIを、1つの画面で使い分ける

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で使える法人向けのサービスです。1契約で4つのAIを使え、会話の途中でもモデルを切り替えられます。利用ログの確認、権限、使えるモデルのON/OFFを管理者ダッシュボードでまとめて扱えます。基盤はAWSの日本リージョンです。料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

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よくある質問

生成AIで一番いいのはどれですか?
目的と社内の環境で変わります。1つに絞るなら、Gmailやスプレッドシートが中心の会社はGemini、OutlookやWord・Excelが中心の会社はMicrosoft Copilot、どちらにも寄っていなければChatGPTかClaudeから始めるのが無理のない選び方です。会社では、個人アカウントか会社の契約かの違いのほうが影響は大きくなります。
無料で使うならどの生成AIがいいですか?
文章ならChatGPT、Claude、Geminiはいずれも無料で使える範囲があり、画像ならCanvaの画像生成AIが無料で利用できると公式に案内されています。ただし使用量に上限があり管理機能もないため、業務情報の入力には向きません。
AIに入力してはいけない情報とは何ですか?
個人情報、社外秘や未公開の情報、取引先から預かっている情報、パスワードなどの認証情報の4種類が基本です。個人情報保護委員会は、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、応答の出力以外の目的で扱われる場合は個人情報保護法に違反する可能性があると注意喚起しています。
ChatGPTの有料版にすれば、入力した内容は学習に使われませんか?
個人向けの有料プランにしただけでは変わりません。ChatGPTの料金ページでは、無料版・Go・Plus・Proのいずれも学習への利用は無効化可能とされており、本人が設定でオフにする必要があります。会社向けのBusinessは、既定でビジネスデータを学習に使用しないと記載されています。
複数の生成AIを契約するのは無駄になりませんか?
使う目的が1つなら1つで足ります。長い文書の読み込み、出典つきの調べもの、画像づくりのように目的が複数ある場合は、向いているAIが違うため、用途に合ったAIを選ぶと得意な作業に合わせやすくなります。その場合は、個別契約と、複数のAIをまとめて使える法人向けサービスを、管理の手間も含めて比べます。
画像生成AIで作った画像を、会社のチラシやWebサイトに使えますか?
使ったサービスの利用規約で商用利用の条件を確認してから使います。既存の作品との類似性と依拠性があれば著作権侵害になり得るため、作品名やキャラクター名を指示に入れないことも決めておきます。
社員が個人のアカウントで生成AIを使うのは禁止すべきですか?
禁止だけでは見えないところで使われ続けることがあります。会社として使ってよい環境とルールを用意し、そちらへ移ってもらうほうが現実的です。

まとめ

文章ならChatGPT・Claude・Gemini・Microsoft Copilot、出典つきの調べものならPerplexity、手元の資料を読ませるならGemini Notebook、画像・動画・音声・コードはそれぞれの専用ツールが候補です。

会社で使うときは、個人向けか会社向けかのプランの差が大きく、個人向けは有料でも学習設定を本人に委ねます。ルールを1枚にまとめ、数人で試してから全社に配ってください。

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