
Web会議の文字起こしとは、Zoom・Microsoft Teams・Google Meetなどで交わされた発言を、文字のデータとして残すことです。方法は、会議ツールの標準機能を使う、専用の文字起こしツールを使う、録音・録画を後から生成AIに読み込ませる、の3つに分かれます。どれを選ぶかより先に決めておきたいのは、会社として「どのプランで録り、どこに保存し、誰が見られ、AIの学習に使われるか」という4点になります。ここが曖昧なままだと、便利な機能ほど社外秘の会議を思わぬ場所へ広げてしまいます。
Web会議を文字起こしする3つの方法
Web会議の文字起こしは、会議の最中に機能を動かすか、終わってから録音を渡すかによって、3つの方法から選ぶことになります。実際にはどれか1つに絞る必要はなく、定例会議は標準機能、取引先との商談は録音を後から処理する、といった併用も珍しくありません。
方法1:会議ツールの標準機能で文字起こしする
Zoom・Teams・Google Meetには、それぞれ会議中の発言を文字にする機能が備わっています。追加のツールを入れずに済み、保存先も会議ツールの管理下に収まる点が利点です。ただし、使えるプランや保存の仕組みは3社で大きく異なるため、次の節で横に並べて確認していきます。
方法2:専用ツールはBot参加型と単体アプリ型に分かれる
専用の文字起こしツールは、会議への関わり方によって2つの型に分かれます。Bot参加型は、ツールのBot(自動で動く参加者)が会議に招待され、参加者の1人として音声を聞き取る方式です。単体アプリ型は、社員のパソコンやスマートフォンで動くアプリが、端末に流れる音声を録音して文字にする方式となります。
どちらも手軽に始められる反面、会社が契約していないツールを社員が個人で使うと、会議の中身が会社の管理外に出てしまいます。各ツールの機能と料金の違いは、AI議事録ツールの比較にまとめています。
方法3:録音・録画を後から生成AIに読み込ませる
会議を録音・録画しておき、終わった後にファイルを生成AIへ渡して文字起こしや要約をさせる方法もあります。会議ツール側の機能が使えないプランでも取り組める一方で、生成AIごとに音声を受け付けるかどうかが違う点には注意が必要です。
たとえばChatGPTの録音モード(ChatGPT Record)は、Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduで使えるものの、提供はmacOSのデスクトップアプリだけとなっています。ChatGPTのファイルアップロードのヘルプでは、対応する形式として文書・表計算・プレゼンテーションなどが挙げられており、音声ファイルは一覧に書かれていません。Geminiアプリは音声ファイルを受け付けますが、音声は合計10分まで(Google AI Pro・Ultraでは合計3時間まで)とされています。Claudeのファイルアップロードの対応形式の一覧にも、音声・動画の形式は載っていません。
1時間の会議の録音を渡すと、Geminiアプリの無料の範囲(音声は合計10分)を超えるなど、上限や手順はサービスごとに違ってきます。ChatGPTでの具体的な手順と注意点は、ChatGPTで文字起こしする方法で確認してみてください。
Zoom・Teams・Google Meetの標準機能を横断で比べる
3社とも文字起こしの機能を持っていますが、必要なプラン・保存先・保存期間・参加者への通知の仕組みはそれぞれ異なります。導入前に次の表で違いをつかみ、社内ルールを決める際の土台として使ってみてください。
| 項目 | Zoom | Microsoft Teams | Google Meet |
|---|---|---|---|
| 主な機能 | 会議中の自動字幕、文字起こし(Meeting transcript)、クラウド録画の音声文字起こし、AIのミーティング要約 | ライブ文字起こし、インテリジェント要約(AIによる要約)、会議のメモ | 文字起こし、Geminiによる自動メモ(Geminiでメモを取る)、録画 |
| 必要なプラン | 文字起こし・クラウド録画の文字起こしはPro・Business・Enterpriseなどの有料アカウント。料金ページではベーシックにも要約の枠(月3回)を表示 | 文字起こしは会議ポリシーで管理(新しいポリシーでは既定でオン)。インテリジェント要約はTeams PremiumかMicrosoft Copilotのライセンスが必要 | 文字起こしはBusiness Standard・Business Plus・Enterprise系など。自動メモはBusiness Standard以上(Business Starterは非対応) |
| 保存先 | ウェブポータルの録画と文字起こし(Recordings and Transcripts)のページ | 開催者のOneDrive for Business(チャネル会議の録画はSharePoint) | 主催者のGoogleドライブの「Google Meet」フォルダ |
| 保存期間・自動削除 | クラウド録画はアカウントが有効な間保持。日数を指定して自動削除でき、復元を許可するとゴミ箱に30日。字幕は2026年5月18日から保存・ダウンロード不可 | 録画と文字起こしの有効期限は既定で120日(A1ユーザーは既定の最大30日)。期限後はごみ箱へ移り、職場アカウントでは93日後に自動削除 | 確認した公式ヘルプには既定の削除日数の記載なし |
| 参加者への通知 | 録画の開始時に通知し、同意(OK)か退出かを選べる。AI機能の動作中はアイコンの色で表示 | 文字起こしが始まると参加者全員に通知 | 自動メモの作成中は参加者全員に通知し、鉛筆アイコンを表示。管理者は明示的な同意を必須にできる(既定はオフ) |
| 言語 | 自動字幕は50以上の言語(同社発表)。クラウド録画の文字起こしは日本語を含む19言語 | 開始時に会議の話し言葉を確認。翻訳付きのライブ文字起こしはTeams Premiumの機能 | 文字起こしは日本語を含む8言語。自動メモは一度に1つの言語のみ |
※2026年9月17日〜25日に各社の公式ヘルプ・料金ページで確認した内容です。仕様や対象プランは変わることがあるため、導入の際は各社の最新の案内をご確認ください。
Zoom:2026年5月から字幕は保存できなくなった
Zoomで会議後に文字を残すには、字幕ではなく文字起こし(Meeting transcript)の設定を使う必要があります。Zoomのサポート記事では、2026年5月18日から字幕(closed captions)を保存・ダウンロードできなくなったと案内されています。2026年5月24〜26日にかけて、字幕の保存に関わる設定も段階的に削除され、字幕に頼っていた組織は文字起こしを有効にする必要があるとされました。
Meeting transcriptは、Pro・Business・Enterpriseのアカウントでオーナーか管理者が設定する機能で、既定はオフになっています。端末への保存を誰に許すかは、ホストだけ、ホストと共同ホスト、社外のゲスト以外の参加者、全参加者などから選べます。以前の手順のまま字幕を保存するつもりでいると、会議後に字幕の記録が残っていないことになってしまいます。
クラウド録画はアカウントが有効な間は保持され、指定した日数で自動削除する設定も用意されています。詳しい設定の手順は、Zoomで議事録を作る方法にまとめました。
Teams:保存先は開催者のOneDrive、既定の有効期限は120日
Teamsの文字起こしは、開催者のOneDrive for Businessに保存される仕組みです。録画と文字起こしには既定で120日の有効期限があり、期限を過ぎるとごみ箱に移ったうえで、職場アカウントでは93日後に自動で削除されます。文字起こしをダウンロードできるのは既定では開催者と共同開催者で、形式は.docxか.vttから選べます。
同じ組織の参加者は会議後にも内容を表示できますが、別の組織(テナント)の参加者は会議後には表示できません。文字起こしの可否はTeams管理センターの会議ポリシーで決まり、新しいポリシーでは既定でオンになっています。AIによる要約(インテリジェント要約)を使うには、Teams PremiumかMicrosoft Copilotのライセンスが必要です。画面や手順の詳細は、Teamsで議事録を作る方法で確認できます。
Google Meet:文字起こしはBusiness Standard以上、保存先は主催者のドライブ
Google Meetの文字起こしは、Business Standard・Business Plus・Enterprise系のエディションなどで使える機能です。保存先は主催者のGoogleドライブにある「Google Meet」フォルダで、会議ごとにサブフォルダが作られます。Geminiによる自動メモも主催者のドライブに保存され、主催者は共有先を全員・組織内のみ・主催者と共同主催者のみから選べます。
自動メモの実行中は参加者全員に通知が表示され、管理者は開始前に参加者の明示的な同意を求める設定(既定はオフ)を有効にすることが出来ます。一方で、自動削除までの既定の日数は、確認した公式ヘルプには書かれていませんでした。ドライブに残り続ける前提で、社内の保存ルールを決めておきましょう。設定の画面は、Google Meetで議事録を作る方法で紹介しています。
無料でどこまで出来るか、料金を会社の出費に直すと
無料プランで会議後まで文字起こしを残せるかは、公式の案内で確認できない部分が多く、有料プランを前提に考えるほうが安全です。Zoomの料金ページでは、無料のベーシック(1回40分まで)でも自動字幕と、月3回までのミーティング要約の枠が表示されています。ただしサポート記事では要約の対象をPro以上としており、ベーシックで文字起こしを保存できるかは公式に明記されていません。Google Meetの文字起こし・自動メモ・録画の対応一覧には、無料のGmailアカウントが含まれておらず、文字起こしの対象にはWorkspaceのBusiness Starterも入っていない点に注意が必要です。
有料プランの料金を会社の出費に直すと、次のようになります。
- Zoomプロ:1ユーザーあたり月1,999円(年払い)。会議を主催する社員10人分なら、年239,880円
- Google Workspace:Business Starter(月800円)から、文字起こしに対応するBusiness Standard(月1,600円)に上げると1人あたり月800円の差。30人なら年288,000円の上乗せ
- Teams Premium(Teamsのライセンスに追加するアドオン):1ユーザーあたり月1,499円相当(年払い)。10人なら年179,880円
- Microsoft 365 Copilot Business(アドオン):年払いで月3,148円。10人なら年377,760円。対象のビジネスプランを使っている既存の顧客向けで、2026年7月1日〜12月31日の申込は初年度のみ月2,698円の割引価格
※金額は2026年9月16日〜25日に各社の公式料金ページで確認した表示で、いずれも税別です。Google Workspaceは年間プランの金額(フレキシブルプランはStarter月950円・Standard月1,900円)です。年額は、月額×人数×12か月で計算しています。
ChatGPTの録音モードは、リリース時点では追加料金なしで対象プランに含まれると案内されており、1回の録音は4時間(240分)までとなっています。録音モードを使えるのはPlus以上のプランで、macOSのデスクトップアプリに限られます。金額だけで決めず、保存先と閲覧範囲をどこまで会社で握れるかと合わせて比べてみてください。
録音の置き場所が増えるほど管理は難しくなるため、使う環境を会社で1つにまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
文字起こしの精度は録音環境と話し方に大きく左右される
文字起こしの精度は、サービスの違いに加えて、声がどれだけきれいに届くかという録音の条件にも大きく左右されます。実際に、ChatGPTの録音モードのヘルプでも、品質が低いときはヘッドセットを使い、背景の雑音を減らすよう案内されています。会議室の1台のパソコンを囲んで複数人が話す形は、声が遠く重なりやすいため、どのツールでも聞き取りの誤りが増えやすくなります。まずは次のような運用を決めるだけでも、結果は変わってきます。
- 発言は1人ずつにし、話し始めに名前を名乗る
- 在宅の参加者は各自の端末から参加し、話さないときはマイクをミュートにする
- 社名・製品名・人名などの固有名詞は、会議後の確認で直す前提にしておく
- 会議の途中で話す言語を切り替えない
Google Meetの自動メモは、話された単語が50語未満の会議では機能しないとされており、短すぎる会議も向いていません。
話者分離(誰が話したか)が崩れやすい場面
話者分離とは、文字起こしの中で発言ごとに話した人を分けて記録する機能のことです。ChatGPTの録音モードは複数の話者を区別でき、話者1のような仮の名前を後から実名に直せると案内されています。一方で、会議室の1台の端末から複数人が参加すると、ツールからは1人の参加者に見えるため、発言者の区別が付きにくくなることがあります。誰の発言かが重要な会議ほど、1人1台で参加する運用をおすすめします。
多言語の会議で気をつけること
海外の取引先を交えた会議では、ツールが対応する言語と、1つの会議で扱える言語の数を確かめておく必要があります。Google Meetの文字起こしは日本語・英語を含む8言語に対応していますが、自動メモは一度に1つの言語のみで、複数の言語が混ざる会議には対応していません。Zoomは自動字幕で50以上の言語を扱えると発表しており、クラウド録画の文字起こしも日本語を含む19言語が対象です。Teamsは文字起こしの開始時に会議の話し言葉を確認する手順があり、翻訳付きのライブ文字起こしはTeams Premiumの機能として提供されています。ChatGPTの録音モードについては、英語で最もよく機能し、他の言語の精度にはばらつきがあるというのが提供元の説明です。
標準機能だけで議事録として使えるか
標準機能の文字起こしは発言の記録であり、そのままでは決定事項や宿題が整理された議事録にはなりません。議事録ツールを紹介する記事では、ここを理由に専用のAI議事録ツールへの乗り換えを勧める論調が目立ちます。ただ、Zoomのミーティング要約(Pro以上)、Google MeetのGeminiによる自動メモ(Business Standard以上)、Teamsのインテリジェント要約(Teams PremiumかMicrosoft Copilotのライセンスが必要)のように、要約の機能を持つプランもあります。
乗り換えを考える前に、今の契約で使える要約機能と、社内で求める議事録の形(決定事項・担当者・期限)との差を確かめてみましょう。差が埋まらない部分だけを専用ツールや生成AIで補う考え方でも、議事録づくりは十分に回ります。ツールを増やすほど、会議の中身が置かれる場所も増えることになります。
選ぶ前に会社で決める4つ(プラン・保存先・閲覧範囲・学習利用)
文字起こしの方法を選ぶ前に決めておきたいのは、どのプランで録るか、どこに保存するか、誰が見られるか、AIの学習に使われるかの4点です。実際にこの4点はツールごとに初期設定が違い、放っておくと社員それぞれの判断に任されてしまいます。
プランは、文字起こしを使う会議を誰が主催するかで決まります。保存先は、Zoomならウェブポータル、Teamsなら開催者のOneDrive、Google Meetなら主催者のドライブというように、主催者個人にひもづく場所が基本となります。主催者が退職したときに記録をどう引き継ぐかまで、先に決めておく必要があります。閲覧範囲は、Teamsでは同じ組織の参加者が会議後も表示でき、Google Meetの自動メモは共有先を主催者が選ぶ形です。
学習利用について、Zoomはプライバシー声明で、会議の音声・映像・チャットなどを自社や第三者のAIモデルの学習に使わないと明記しています。Google Workspaceの説明も同様で、顧客の事前の許可や指示がない限り、顧客データはモデルのトレーニングに使われません。注意したいのは録音を後から生成AIに渡す場合で、個人向けのプランでは設定しだいで学習に使われることがあります。ChatGPTの録音モードも、Free・Plus・Proで「すべての人のためにモデルを改善する」が有効なら、文字起こしとキャンバス(生成されたメモ)が学習に使われる場合があるとされています。
社外に出さないことが前提の会議については、そもそも録音しない、クラウドに上げない、という線引きも選択肢に入れておきましょう。点検の項目を広く確かめたい場合は、生成AIのセキュリティ対策チェックリストも役に立ちます。
情シス向け:無許可の文字起こしツールを点検する
会社が文字起こしの環境を用意していないと、社員が個人で見つけた無料のツールを会議に持ち込むことがあります。Bot参加型なら参加者一覧に見慣れない名前が現れ、単体アプリ型なら端末の中で録音が進むため、気づき方も変わってきます。次の点を、年に一度でも確かめてみてください。
- 社外との会議の参加者一覧に、ツール名の付いたBotが入っていないか
- 社員がカレンダーを外部の文字起こしサービスと連携させていないか(連携アプリの一覧で確認)
- 社員の端末に、会社が認めていない録音・文字起こしアプリが入っていないか
- 会議ツールの管理画面で、録画・文字起こしの設定を誰が変えられるか
- 取引先から録音の有無を問われたときに、答えられる状態になっているか
見つかった場合も、いきなり禁止するより、なぜそのツールが必要だったのかを聞き取るほうが実態に近づけます。会社が把握していないAIツールの利用は、文字起こしに限らず野良AI(シャドーAI)と呼ばれ、情報漏洩の経路になりやすいとされています。使ってよい環境を会社が示さない限り、個人の無料ツールに会議の音声が流れる状態はなくなりにくいでしょう。
録音・文字起こしを知らせる告知文のひな形
録音や文字起こしをするときは、参加者に前もって知らせ、同意を得てから始めるのが基本です。実際に、Teamsは文字起こしが始まると参加者全員に通知し、Zoomは録画の開始時に参加者へ通知して、同意するか退出するかを選ばせる仕組みになっています。ChatGPTの録音モードのヘルプも、他の人を録音する前に現地の法律を確認し、適切な同意を得るように利用者へ求める内容です。ツールの通知だけに頼らず、招待の段階と会議の冒頭の2回で伝えれば、取引先にも安心してもらえます。
招待メールに添える一文
会議の冒頭で読み上げる一文
削除までの日数には、社内で決めた保存ルールと同じ数字を入れてください。Zoomでは録画の開始時に表示する注意書きの文言を変えることも出来ますが、対象はBusiness・Education・Enterpriseなどで100ライセンス以上の契約に限られます。
Bot参加型は参加者から見えるか
Bot参加型のツールは参加者の1人として会議に入る仕組みのため、参加者一覧を見れば気づける作りが基本です。表示名や入室の承認の要否は、ツールと会議の設定によって変わります。周りに知られずに録音する方法を探すより、告知をしたうえで録るほうが、後から録音の扱いで揉める心配を減らせます。なお、ChatGPTの録音モードにも、Googleカレンダーと接続してGoogle Meetの会議に自動で参加する設定があり、ZoomやTeamsなどでは手動で録音を始める形です。
文字起こしを生成AIに渡す前の社内チェックリスト
文字起こしや録音を生成AIに渡すと議事録づくりは一気に楽になりますが、渡す前の確認を省くと、社外秘の中身が思わぬ場所に残ってしまいます。次の項目を、社内で使う手順書にそのまま載せてみてください。
- 使うAIは会社が契約した環境か個人アカウントの無料版ではなく、会社が契約し、管理者が設定を確かめられる環境かを確認します。
- 入力が学習に使われない設定になっているかChatGPTの個人向けプランは、設定のデータコントロールで「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。ChatGPT Businessは既定で学習に使われません。Geminiアプリの個人アカウントは[アクティビティの保存]をオフにすると学習に使われませんが、その場合もチャットは72時間保存されます。
- AIに渡さない会議の区分が決まっているか人事・採用、未公表の決算や取引など、録音自体をAIに渡さない会議を先に決めておきます。
- 個人名・顧客情報を伏せるかどうか取引先の担当者名や顧客の個人情報を、渡す前に伏せるかどうかを会議の区分ごとに決めます。
- 録音ファイルを個人の端末に残していないか処理が終わった録音を、個人のパソコンやスマートフォンに置いたままにしない決まりにします。
- AIの出力を誰が確認してから配るかAIが作った議事録は、会議に出た人が文字起こしと照らして確認してから共有します。
- 文字起こしと議事録をどこに何日置くか会議ツール側の保存期間と、社内の保存ルールの日数をそろえます。
個人向けのサービスでは、この確認を社員一人ひとりの設定に任せることになります。設定を一人でも忘れると、その社員が渡した会議の中身は学習の対象になり得る状態で残ってしまいます。社内ルールの文書にまとめる手順は、生成AIの社内ガイドラインの作り方が参考になります。
決定事項とToDoを抜き出すプロンプト例
文字起こしを議事録に直すときは、要約してと頼むより、抜き出す項目と形を指定したほうが、確認しやすい結果が返ってきます。次の文をそのまま貼り付け、最後に文字起こしの本文を続けて使ってみてください。
あなたは会議の議事録担当です。以下の文字起こしから、次の4つを抜き出してください。 1. 決定事項(決まったことを1行ずつ) 2. ToDo(担当者・期限・内容の3列の表にする。発言に担当者や期限がない場合は「未定」と書く) 3. 保留・要確認の事項(結論が出なかった点、数字や固有名詞に自信がない箇所) 4. 注意が必要な発言(社外に出すと問題になりそうな発言、約束や金額に関わる発言) 条件: ・文字起こしに書かれていないことは補わない ・発言者が分からない箇所は「話者不明」とする ・最後に、人が確認すべき箇所を箇条書きで示す 【文字起こし】 (ここに貼り付け)
抜き出した結果は、会議に出た人が原文と照らして直す前提で使いましょう。担当者と期限の欄に未定が並ぶなら、会議の進め方そのものを見直す合図にもなります。同じ文字起こしを2つのAIに渡し、決定事項の抜き出しが食い違った箇所だけを人が確かめる方法も有効です。
会議の頻度別に見る議事録づくりの作業時間(試算)
文字起こしとAIの下書きを使うと、議事録づくりにかかる時間は会議の回数に比例して差が開きます。ここでは、1回60分の会議の議事録を手作業でまとめるのに60分、文字起こしとAIの下書きを使って確認・修正するのに20分かかると仮に置き、1か月を4週として計算しました。いずれも仮置きの数字で、実測した値ではない点にご注意ください。
- 週1回(月4回):手作業240分(4時間)が80分(1時間20分)になり、月に2時間40分の差
- 週3回(月12回):手作業720分(12時間)が240分(4時間)になり、月に8時間の差
- 週5回(月20回):手作業1,200分(20時間)が400分(6時間40分)になり、月に13時間20分の差
議事録を担当する方が複数の会議を受け持っている会社ほど、この差は大きく効いてきます。自社の数字に置き換えるときは、実際に1回分の議事録にかかった時間を一度測ってから当てはめるのが確実です。時間が浮いても確認を省けば誤りがそのまま配られてしまうため、20分の確認は削らない前提で考えましょう。
会社で安全に使うための運用(学習・ログ・配布・使い分け)
文字起こしを会社の仕組みとして定着させるには、ツールを選んだ後の運用を決めておくことが欠かせません。押さえておきたいのは、学習に使わせない設定、利用の記録、社員への配り方、複数のAIの使い分けの4つになります。
学習に使わせない設定を全員にそろえる
個人向けのAIを社員に使わせる形だと、学習の設定が一人ひとりの操作に任されてしまいます。会社として契約し、管理者の側で学習に使わない状態を全員にそろえられる環境を選ぶほうが確実です。ChatGPTの法人向けプランであるBusinessは、ワークスペースのデータを既定で学習に使わないとされています。各プランの違いは、ChatGPT法人プランの料金で確認できます。
誰がいつ使ったかを記録に残す
会議の録音をAIに渡した記録が会社側に残らないと、取引先から問われたときに説明が出来ません。利用者・日時・使ったAIを管理画面で確かめられるかどうかを、契約前に確認しておきましょう。
全員に配れる形にする
一部の社員だけに有料のアカウントを配ると、配られなかった方が個人の無料ツールで会議を処理し始めることがあります。議事録を作る機会は部署を問わずあるため、使う可能性のある方全員が同じ環境を使えるようにしておくのが理想となります。
複数のAIを使い分ける
長い文字起こしの要約、決定事項の抜き出し、社外向けの文面への書き直しでは、得意なAIが分かれることがあります。1つの環境で複数のAIを切り替えられれば、同じ文字起こしを別のAIに渡して結果を比べることも出来ます。使い分けの目安は主要4AIの違いと使い分け、複数のAIを1つの環境でまとめて使う考え方はマルチAIの記事で紹介しています。
会議の録音を、学習非利用の環境でAIに渡す
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。会議の録音や動画も読み込めるため、議事録の下書きづくりにも使えます。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。管理画面では、利用状況を利用者・日時・利用モデル単位まで把握できます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Zoom会議の文字起こしは無料でできますか?
Bot参加型の文字起こしツールは、ほかの参加者に分かりますか?
ChatGPTで議事録を作るのは無料でできますか?
標準機能と専用ツール、どちらを選べばよいですか?
文字起こしのデータはどのくらい保存されますか?
同じ会議室から複数人で参加すると、文字起こしはどうなりますか?
録音を生成AIに渡すとき、最低限何を確認すればよいですか?
まとめ
Web会議の文字起こしは、会議ツールの標準機能、Bot参加型や単体アプリ型の専用ツール、録音・録画を後から生成AIに読み込ませる方法の3つから選ぶことになります。標準機能はZoom・Teams・Google Meetのいずれも有料プランが中心で、保存先は主催者にひもづく場所が基本、保存期間や通知の仕組みには3社で違いがあります。どの方法を選ぶ場合でも、どのプランで録り、どこに保存し、誰が見られ、AIの学習に使われるかを会社として先に決めておくことが要になります。録音の告知と、生成AIに渡す前の確認を手順書に載せておけば、社外秘の会議でも安心して文字起こしを使えるようになるでしょう。
法人のAI活用に関する他の記事は、AI活用コラム一覧をご覧ください。
