
AIリテラシー研修とは、社員がAIの仕組みと注意点を知り、業務で安全に使えるようになるための研修になります。全社員に必ず教えるのは「AIの得意・不得意」「入力してはいけない情報」「出力の確かめ方」の3つで、時間は2〜3時間が1つの目安で、公式ページで価格を確かめられたAIリテラシー向けのeラーニングの受講料は、1名22,000円〜55,000円(税込)の幅があります。研修会社の選び方や見積もりの見方、助成金の計算は生成AI研修の選び方にまとめているため、ここでは全社員向けの中身と時間、人数別の総額にしぼってお伝えします。
全社員にAIリテラシー研修を行う理由と期待できること
全社員に研修を行う理由は、AIを使う人が一部の担当者から全員に広がり、誤った使い方の影響も全員に及ぶようになったためです。帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月17日〜31日実施、対象2万3,349社、有効回答1万312社・回答率44.2%)では、生成AIを業務で活用している企業は34.5%で、中小企業では32.4%、小規模企業では28.0%となっています。同じ調査の懸念・課題(3つまでの複数回答)では「専門人材・ノウハウ不足」が41.3%に上り、使い方を社内で教えられる人がいないことが壁になっている様子がうかがえます。
研修で期待できることは、生産性の向上とリスクの低減の2つに分けて考えると整理しやすくなります。文書の下書きや要約にかかる時間が減るのは、全員が同じ基本を知り、同じ場面で使えるようになってからのことです。一方で、入力してはいけない情報を知らないまま使い始めると、情報漏えいや誤った数字の社外送付につながってしまいます。IPAの「情報セキュリティ10大脅威2026」でも、組織向けの脅威で「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれ、第3位に入っています。研修の目的は、使う人を増やすことと、事故を起こさない使い方をそろえることの両方になります。
国内外で求められ始めたAIリテラシー
国内では、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は、共通の指針の1つとして「教育・リテラシー」が挙げられます。原文では「AIに関わる者が、その関わりにおいて十分なレベルのAIリテラシーを確保するために必要な措置を講じる」とされ、ステークホルダーに対しても教育を行うことが期待されています。
海外では、欧州のAI法(EU AI法)第4条が、AIシステムの提供者と導入者に対し、スタッフなどのAIリテラシーを確保する措置を求めており、2025年2月2日から適用が始まりました。欧州委員会のQ&Aによると、監督・執行のルールは2026年8月3日からで、一律の水準や試験による正式な測定までは求めず、従業員の知識や経験、使い方に合わせて設計するよう説明されています。対象はEU域内でAIを提供・利用する事業者のため、日本の中小企業すべてに同じ義務があるわけではありません。
AIリテラシー研修で全社員に教える3つのこと
全社員に教える中身は、AIの得意・不得意、入力してはいけない情報、出力の確かめ方の3つにしぼれます。プロンプト(AIへの指示文)の書き方や業務での使い方は、この3つを身につけるための実習の中に組み込むのが無理のない進め方です。
1. AIの仕組みと得意・不得意
生成AIは、大量の文章から言葉のつながり方を学び、続きとしてもっともらしい文章を作る仕組みになります。要約・言い換え・下書き・アイデア出しは得意な一方、計算や最新の事実、社内の固有の事情は苦手で、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を含むことがあります。研修では、ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotといった代表的なサービスの名前と、会社として使ってよいサービスがどれかを最初に伝えてください。総務省の教材「生成AIはじめの一歩」も、①生成AIの基礎知識、②活用場面や入門的な使い方、③活用時の注意点の3部で構成されています。
2. 入力してはいけない情報
研修の中でいちばん時間をかけたいのが、AIに入力してはいけない情報の線引きになります。個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)で、個人情報を含む指示文を入れる場合は利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確かめること、本人の同意なく個人データを入力する場合は機械学習に使われないこと等を十分に確かめるよう求めました。IPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」(2026年4月2日公開)にも「クラウドAIに営業秘密は教えない」という項目があり、社内研修で使えるスライド形式で公開されています。線引きは「顧客の個人情報」「社外秘の数字」のように、社員が迷わない具体例で示しましょう。抽象的な「機密情報は入れない」だけでは、何が機密かの判断が社員ごとに分かれてしまいます。
3. 出力の確かめ方(誤り・著作権)
AIの出力は、社外に出す前に人が確かめる、という1点を全員の決まりにします。数字は元の資料と照らし合わせ、出典が示された場合はその出典が実在し、本当にそう書かれているかを開いて確かめます。著作権については、文化庁が「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)と「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)を公開しているため、研修では資料の場所を伝えるだけでも充分でしょう。既存の作品に似た文章や画像をそのまま社外に出さないことは、AIが作ったものかどうかに関係なく守るべき決まりになります。
4. 3つを身につける実習(指示文の書き方)
実習では、自分の業務の文書を使わず、研修用に用意した架空の議事録やメールで、要約・下書き・言い換えを試してもらいます。指示文に「役割・目的・条件・出力の形」を書くだけで答えが変わることを、1つの題材で書き比べると伝わりやすくなります。最後に、わざと誤りを含む出力を見せ、どこを確かめれば見抜けるかを全員で探す時間を取ってみてください。
DXリテラシー標準に当てはめた「全員必須」と「役職・部署で足す項目」
誰に何を教えるかは、経済産業省とIPAの「DXリテラシー標準」の4つの枠に当てはめると、抜けと重複を見つけやすくなります。DXリテラシー標準は、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準として作られ、「Why(DXの背景)」「What(DXで活用されるデータ・技術)」「How(データ・技術の利活用)」「マインド・スタンス(新たな価値を生み出すための土台)」の4つで構成されています。2023年8月7日には生成AIに関連する記載が追加されて改訂され、2026年4月16日にもデジタルスキル標準ver2.0の公開に伴う更新が行われました。次の表は、この4つの枠に、10〜200名の会社で全社員に教える範囲と、役職・部署で足す範囲を当てはめた一例です。
| DXリテラシー標準の枠 | 全員必須(全社員研修で教える) | 役職・部署で足す項目 |
|---|---|---|
| Why(DXの背景) | 会社がAIを使う目的と、社内で使ってよいサービス | 経営層:AI活用の方針と投資の判断/管理職:部署での使いどころの決め方 |
| What(データ・技術) | 生成AIの仕組みと得意・不得意、ハルシネーション(もっともらしい誤り) | 総務・情シス:サービスごとのデータの扱いと設定/推進役:社内文書を読み込ませる仕組み(RAG)など |
| How(データ・技術の利活用) | 入力してはいけない情報、出力の確かめ方、指示文の基本 | 部署別の実習(営業・経理・人事など)、よく使う指示文の共有 |
| マインド・スタンス | 迷ったら聞く、事故は早く報告する、という姿勢 | 管理職:部下の相談を受ける体制/推進役:使い方の共有と改善の進め方 |
表の左の列はすべての社員に同じ内容で教え、右の列は対象者だけの追加の回で教えます。表の左の列だけで2〜3時間の研修になり、右の列は対象者だけに足す形が現実的となります。右の列まで全員に教えようとすると時間が倍以上に膨らみ、業務を止める時間も長くなってしまいます。
役職・部署ごとに足す項目
| 対象 | 全員必須に足す項目 | 足し方の例 |
|---|---|---|
| 経営層 | 会社としてのAI活用の方針、事故が起きたときの責任と報告の流れ | 役員会の議題として1回取り上げる |
| 管理職 | 部下に使わせる範囲の判断、相談の受け方、部署での使いどころ | 管理職だけの追加の回 |
| 一般社員 | (全員必須の3つと実習のみ) | 2時間型か半日型 |
| 新入社員 | 社会人としての情報の扱い方とあわせて教える | 新人研修の中に組み込む |
| 総務・人事・情シス | アカウントの配布と停止、利用ログの見方、ルールの改定 | 担当者だけの追加の回 |
| 経理 | 数字の照合、取引先の口座や給与などの情報の扱い | 部署別の実習で扱う |
経営層と管理職には、部下に使わせる範囲を決める立場として、社内ルールの中身と、事故が起きたときの報告の流れを足しましょう。研修の対象を全社員と推進役に分けて研修会社を比べる方法は、AI研修のおすすめ|比べる5つの軸で紹介しています。
研修で教えた線引きを続けてもらうには、使う環境を会社で1つにそろえるのが近道です。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
研修は何時間にするか|2時間型・半日型・1日型
全社員向けの研修時間は、2時間型・半日型・1日型の3つから会社の段階に合わせて選ぶと決めやすいでしょう。目安にしたのは、公開講座の公式ページに書かれている時間と料金になります。
| 講座(提供元) | 形式 | 時間 | 受講料(税込) |
|---|---|---|---|
| AIリテラシー講座(スキルアップAI) | eラーニング(理解度確認テスト付き) | 動画講義 約2.5時間(演習時間除く)、標準学習時間 約5時間、視聴期間1年 | 1名 55,000円 |
| 生成AIリテラシー研修(AVILEN) | eラーニング(前提知識は不要) | 公式ページに記載なし | 1名 22,000円 |
| ChatGPTで学ぶ生成AIビジネス活用(トレノケート) | 講義+ハンズオン。オンラインLiveまたは教室(10月3日時点の日程はすべてオンラインLive) | 1日(13:00〜17:30) | 1名 33,000円 |
| 新人社員DX・AIリテラシー研修(iLect) | 法人研修(カスタマイズ可能) | 例:8時間、または全2日間(1日6時間) | 問い合わせ(最小申込人数15名) |
| グロービス学び放題(法人) | 動画学習の定額サービス | 受け放題(最短6か月) | 6か月 1IDあたり11,550円、12か月 1IDあたり20,900円(最低10ID) |
※料金・時間は2026年10月3日時点で各社の公式ページに表示されている内容です。グロービス学び放題はAIリテラシー専用の講座ではなく、動画学習の定額サービスです。
2時間型は、前の節の表の左の列と短い実習だけを行う形で、全社員の足並みを最初にそろえたい会社に向いています。スキルアップAIの「AIリテラシー講座」は動画講義が約2.5時間(演習時間を除く)、標準学習時間が約5時間とされており、2時間型を少し厚くした量と考えることが出来ます。半日型は、2時間型に部署ごとの実習を足す形で、業務で本格的に使い始める段階の会社に合っています。トレノケートの「ChatGPTで学ぶ生成AIビジネス活用」は13:00〜17:30の1日コースで、講義とハンズオンを組み合わせた半日型に近い作りです。
1日型以上は、AIの仕組みやデータの扱いまで時間をかけて学ぶ形で、推進役や新入社員の研修に向いています。iLectの「新人社員DX・AIリテラシー研修」は、ステップを選んで8時間、全6ステップで2日間(1日6時間)とする例が示され、最小申込人数は15名です。全社員に1日型を受けさせると、業務への影響が大きくなってしまいます。全社員は2時間型か半日型、推進役だけ1日型と分ける形をおすすめします。
2時間型を社内で行う場合の時間割
2時間型を社内で行う場合は、次のような120分の時間割が一例です。
| 時間 | 内容 | 使える公開教材など |
|---|---|---|
| 0〜10分 | 研修の目的と、会社で使ってよいAI | 社内ルールの文書 |
| 10〜30分 | 生成AIの仕組みと得意・不得意 | 総務省「生成AIはじめの一歩」の①② |
| 30〜55分 | 入力してはいけない情報の線引き | IPA「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」、社内ルール |
| 55〜75分 | 出力の確かめ方(誤り・著作権) | 総務省教材の③、文化庁のチェックリスト&ガイダンス |
| 75〜105分 | 実習:要約・下書き・誤りを見抜く | 研修用の架空の議事録・メール |
| 105〜120分 | 理解度確認テスト(○×10問)と質疑 | この記事のテスト例 |
教材は、総務省の「生成AIはじめの一歩」(スライド75枚、ノート欄に話す内容の参考メモつき)とIPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」から、必要なスライドを抜き出すと作りやすくなります。総務省の教材は、講座で使う前に利用目的や編集の有無をページ記載の連絡先へ連絡することが求められます。60分で収める場合のスライド構成とひな形は生成AI研修の資料の作り方、無料で受けられる講座の一覧と限界はAI研修の無料講座にまとめています。
形式の選び分け
形式は、eラーニング、オンラインLive、集合研修(講師派遣)、公開講座の4つに分かれます。全社員を短い期間でそろえるならeラーニング、質問しながら手を動かしたいならオンラインLiveか集合研修、少人数で試すなら公開講座が合うでしょう。形式ごとの向き不向きと見積もりで確かめる項目は、生成AI研修の選び方で詳しく比べています。
人数別の受講料の総額(10名・30名・50名・100名)
受講料の総額は、公開されている1名あたりの価格に人数を掛けると、10名で22万円から55万円、100名では220万円から550万円まで開きが出ます。
| 講座(1名あたり・税込) | 10名 | 30名 | 50名 | 100名 |
|---|---|---|---|---|
| AVILEN 生成AIリテラシー研修(22,000円) | 220,000円 | 660,000円 | 1,100,000円 | 2,200,000円 |
| トレノケート ChatGPTで学ぶ生成AIビジネス活用(33,000円) | 330,000円 | 990,000円 | 1,650,000円 | 3,300,000円 |
| スキルアップAI AIリテラシー講座(55,000円) | 550,000円 | 1,650,000円 | 2,750,000円 | 5,500,000円 |
| 参考:グロービス学び放題 6か月(1IDあたり11,550円・最低10ID) | 115,500円 | 346,500円 | 577,500円 | 1,155,000円 |
※2026年10月3日時点で各社の公式ページに表示されている税込の価格に、人数を掛けた金額です。団体割引などは含めていません。iLectの法人研修は料金が問い合わせで、最小申込人数は15名です。
同じ100名でも、選ぶ講座によって総額が2倍以上違ってくるため、価格だけでなく時間と中身を前の節の表と照らして選んでください。スキルアップAIの講座は請求書・見積書の発行に対応していないと公式ページに書かれているので、社内の支払い手続きに合うかも先に確かめておきましょう。
社内で自前で行う場合の考え方
社内で自前で行う場合、受講料はかからない代わりに、講師役の社員の時間がかかります。50名を25名ずつ2回に分けて2時間型を行うなら、講師役は本番だけで2時間×2回の4時間、これに教材の準備と練習の時間が加わります。準備の時間は、総務省やIPAの公開教材から抜き出すか一から作るかで大きく変わるため、金額にするときは自社の時給と見込みの時間を入れて計算してみてください。
見落としやすいのは受講者側の時間で、こちらは外注でも自前でも同じようにかかります。たとえば標準学習時間が約5時間のeラーニングを50名が受けると、受講者の時間は合計250時間となり、2時間型の自前研修なら合計100時間になります。研修の費用は、受講料と講師役の時間に、受講者全員の時間を足して比べましょう。
助成金は全社員向けの短い研修では使いにくい
人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースは、実訓練時間が10時間以上の訓練を対象としています。令和8年8月3日以降に提出する計画届では、特定の業務への具体的な適用を伴わない「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」が対象外の例として示され、接遇・マナーのような職業人として共通に必要な内容も、DX化に関する訓練であっても対象外になります。経過措置もあるため、詳しくは最新の支給要領で確かめましょう。2〜3時間の全社員向け研修だけでは、こうした要件に届かない場合が多くなってしまいます。部署ごとの業務に使う研修と組み合わせる場合の考え方と計算例は、AI研修の助成金で紹介しています。
業種・部署に合わせて例題を差し替える
研修の効き目を上げるには、教える3つは全社共通のまま、実習の例題だけを部署の業務に差し替える方法が手軽です。公開講座の中にも、iLectのように時間やステップをカスタマイズできると示している講座があります。社内で行う場合は、例題の差し替えだけでも部署ごとの研修に近づけることが出来ます。
| 部署 | 実習の例題 | 特に念を押す線引き |
|---|---|---|
| 営業 | 提案メールの下書き、商談メモの要約 | 顧客名や見積金額は、会社が認めた環境以外に入れない |
| 経理 | 規程の要約、取引先への案内文の下書き | 取引先の口座や給与の情報は入れない。数字は必ず元帳と照合する |
| 総務・人事 | 社内通知の下書き、就業規則のQ&A案 | 社員の個人情報や評価は入れない |
| 情シス | 手順書の下書き、問い合わせへの回答案 | パスワードや設定情報は入れない |
| 製造・現場 | 作業手順の言い換え、日報の要約 | 図面や取引先の仕様書は入れない |
会計事務所の職員向けの時間割は、顧問先の情報を扱う前提で会計事務所のAI研修に組んでいます。例題は、研修のあとに実際に使う環境で、そのまま繰り返せるものを選びましょう。研修のときだけ講師のアカウントで試し、職場に戻ると社員がそれぞれ個人のアカウントで使うと、教えた線引きが守られているかを会社から確かめられなくなってしまいます。
受講後の理解度確認テスト(○×10問・解答と解説つき)
理解度の確認は、研修の最後の10分ほどで○×10問を解いてもらう形が手軽です。スキルアップAIの講座のように理解度確認テストを料金に含める公開講座もありますが、社内で行う場合も次の10問をそのまま使うことが出来ます。欧州委員会のQ&Aも試験による正式な測定までは求めていないと説明しているため、点数で合否を決めるより、間違えた問題を本人と一緒に確かめる使い方が向いています。
| No. | 問題 | 答え | 解説 |
|---|---|---|---|
| 1 | 無料版のチャットAIに、顧客の氏名と相談内容をそのまま入れて要約させてよい。 | × | 個人情報保護委員会は、個人データを含む指示文を入力する場合、機械学習に使われないこと等を十分に確かめるよう求めています。会社が認めた環境と範囲でなければ入力しません。 |
| 2 | 生成AIの回答には、もっともらしい誤り(ハルシネーション)が含まれることがある。 | ○ | 文章が自然でも、内容が正しいとは限りません。数字や固有名詞は元の資料で確かめます。 |
| 3 | AIが作った文章や画像なら、既存の作品に似ていても社外に出して問題ない。 | × | AIが作ったかどうかに関係なく、既存の作品に似たものを社外に出す前には確認が必要です。文化庁が考え方とチェックリストを公開しています。 |
| 4 | 会社が認めていない個人のAIアカウントでも、本人が気をつけていれば業務に使ってよい。 | × | 会社から見えない利用(シャドーAI)になり、設定や利用ログを会社が確かめられません。 |
| 5 | 営業秘密は、相手がAIであれば入力しても外に漏れることはない。 | × | IPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」も、「クラウドAIに営業秘密は教えない」を対策の1つに挙げています。 |
| 6 | AIの回答に出典が書かれていれば、その出典を開いて確かめる必要はない。 | × | 実在しない出典や、出典に書かれていない内容が示されることがあります。リンク先を開いて確かめます。 |
| 7 | 入力してよいか迷ったときは、社内ルールの文書で確かめ、分からなければ担当部署に聞く。 | ○ | 研修資料より、最新の社内ルールを正とします。迷った情報は入力しないのが原則です。 |
| 8 | AIが作った見積書や請求書の金額は、送る前に人が元の数字と照らし合わせる。 | ○ | 計算や数字の転記は、AIが誤りやすい作業の1つです。社外に出す数字は必ず人が確かめます。 |
| 9 | 日本語が自然なメールであれば、詐欺のメールではないと見分けられる。 | × | IPAの豆知識も「外見では詐欺師を見破れないと心得る」を挙げています。文面の自然さでは判断せず、送信元やリンク先を確かめましょう。 |
| 10 | 会議の録音をAIで文字起こしする前に、社外の方の発言や個人情報が含まれるかを確かめる。 | ○ | 録音にも入力してはいけない情報が含まれることがあります。社外の方が参加した会議は特に注意します。 |
全員の答えを集計し、正答率の低い問題は社内ルールの書き方が分かりにくいサインとして、ルールの文書を直す材料にしましょう。テストは社員をふるい分けるためではなく、ルールの伝わり方を確かめるために使います。
効果をどう測るか
研修の効果は、テストの点数より、研修後に業務でどれだけ使われ、ルール違反がどれだけ減ったかで見るほうが実態に近くなります。見る項目は、研修から1か月後の利用者数、部署ごとの利用回数、ルールに関する質問の件数の3つ程度で充分でしょう。利用者数や利用回数は、会社で契約した環境の管理画面でなければ数えにくいため、測り方も研修の前に決めておいてください。研修後30日間の定着の手順は、生成AI研修の定着の手順の後半にまとめています。
資格・検定と組み合わせる場合
全社員の研修に資格や検定を組み合わせるのは、学ぶ目標をはっきりさせたい会社に向く方法になります。IPAはDXリテラシー標準の紹介ページで、この標準に特に有用な情報処理技術者試験としてITパスポートを挙げています。生成AIに特化した民間の検定も複数ありますが、出題範囲や受験料は各団体の公式ページで確かめてから選んでください。全員に受験を求めると、研修の時間とは別に勉強の時間が必要になり、負担の大きさから反発も生まれやすくなってしまいます。受験は希望者や推進役に限り、全社員は研修と理解度テストまでにする形が無理のない線になります。
受講案内(社内アナウンス)のひな形
全社員研修は、案内の文面で受講率が変わります。目的・所要時間・受講期限・受講しない場合の扱いを、最初の案内で全部伝えておきましょう。
件名:【受講必須】AIリテラシー研修のご案内(受講期限:〇月〇日)
社員各位
業務でAIを安全に使うための研修を、全社員を対象に行います。会社で使ってよいAIと、入力してはいけない情報の線引きを確認する内容です。
・目的:AIの得意・不得意、入力してはいけない情報、出力の確かめ方を全員でそろえる
・所要時間:約2時間(最後に○×10問の確認テストがあります)
・日時:〇月〇日(〇)14:00〜16:00、または〇月〇日(〇)10:00〜12:00(どちらか1回)
・場所:会議室〇〇、またはオンライン(参加用のURLは別途お送りします)
・受講期限:〇月〇日まで。受講した方から順に、会社のAI環境のアカウントを発行します
・会社で使ってよいAI:〇〇(それ以外のAIサービスで業務の情報を扱うことは控えてください)
・問い合わせ先:〇〇部 〇〇
業務の都合でどちらの日時にも参加できない場合は、〇月〇日までに上長と〇〇部へご連絡ください。
未受講の方へのリマインドは、期限の1週間前と前日の2回に分けて送ると、受講漏れを減らしやすくなります。
件名:【リマインド】AIリテラシー研修の受講期限は〇月〇日です
〇〇さん
AIリテラシー研修の受講がまだ確認できていません。受講期限は〇月〇日です。残りの日程は〇月〇日(〇)〇時からの1回です。受講後に、会社のAI環境のアカウントを発行します。参加が難しい場合は、〇〇部までご相談ください。
案内の中に「会社で使ってよいAIは〇〇」と環境まで書いておくと、研修と日々の利用がつながります。受講をアカウント発行の条件にすれば、研修を受けずに使い始める方も出にくくなるでしょう。
研修で教えたルールを、会社で用意した環境で守る
研修で教えたルールを長く守るには、社員の注意力だけに頼らず、ルールを守りやすい環境を会社で用意することが欠かせません。入力データを学習に使わない設定は、社員ごとの操作に任せると設定漏れが起きやすいため、会社の契約で一律にそろえる形が安心です。誰がいつどのAIを使ったかの利用ログを会社側で見られれば、研修後の利用者数を数えることも、ルール違反に早く気づくことも出来ます。
全社員にアカウントを配れずに一部の人だけに渡すと、渡されなかった社員が個人のアカウントで使い始め、会社から見えない利用、いわゆるシャドーAI(野良AI)が生まれてしまいます。調査はWeb検索に強いAI、長い文書の読み込みは長文に強いAIといった使い分けも、研修で一度見せると現場で迷いにくくなります。研修で使う環境と、研修後に毎日使う環境を同じにすることが、教えた内容を続ける近道です。
社内ルールの文書の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方、点検すべき設定の一覧は生成AIのセキュリティ対策チェックリスト、AIごとの得意分野は主要4AIの違いと使い分けで紹介しています。
研修で教えた使い方を、全社員が同じ環境で続ける
UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理でき、よく使う指示と手順はカスタムプラスでBOTにして社内限定で共有できます。基盤は国内サーバー(AWSの日本リージョン)で稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
AIリテラシー研修は何時間あればよいですか?
AIリテラシー研修の費用は1人いくらが目安ですか?
全社員に同じ内容を教えてよいですか?
AIリテラシー研修は法律で義務になっていますか?
AIリテラシー研修を社内で自前で行うことはできますか?
研修の効果はどう測ればよいですか?
まとめ
AIリテラシー研修で全社員に教えるのは、AIの得意・不得意、入力してはいけない情報、出力の確かめ方の3つになります。時間は2時間型・半日型・1日型から選び、全社員は2時間型か半日型、推進役だけ1日型と分けると、業務への影響を抑えながら足並みをそろえることが出来ます。受講料は公開講座の公式価格で1名22,000円から55,000円(いずれも税込)の幅があり、100名なら220万円から550万円と、選び方で総額が大きく変わってしまいます。
比べるときは受講者全員の時間も含め、理解度テストと受講案内は本文のひな形を自社向けに直して使ってみてください。研修のあとも教えたルールが続くように、研修で使う環境と日々の仕事で使う環境を同じにしておきましょう。法人のAI活用に関する他の記事は、AI活用コラム一覧からご覧いただけます。
