
企業向けAI研修とは、会社が社員に生成AIの業務での使い方と注意点を身につけてもらうための研修です。答えは全員に同じ研修をすることではなく、一般社員は使い方とやってはいけないこと、管理職は部下への任せ方と業務の見極め、経営層は方針と使ってよい環境の決定、推進担当は社内で広める役割と、対象者ごとに中身を変えることになります。そのうえで、社内ルールと使ってよい環境を先に用意してから研修に入ると、教えた内容が現場で続きやすいでしょう。研修の形式・費用の総額・助成金を含む全体像は生成AI研修の選び方(費用・助成金の全体像)にまとめています。
企業向けAI研修とは:全員に同じ研修をしないほうがよい理由
企業向けAI研修は、受ける方の役割ごとに中身を分けたほうが、研修後の行動につながりやすくなります。全員を1つの回に集めて同じ内容を聞いてもらう形は、日程も費用も組みやすい方法です。ただ、一般社員が知りたいのは明日の仕事でどう使うかで、管理職は部下にどこまで任せてよいか、経営層は会社として何を許すかと、知りたいことがそれぞれ違ってきます。経営層が方針を決めないまま一般社員だけが研修を受けると、社員は使ってよい範囲が分からず、学んだ内容を試す場面がないまま終わってしまいます。
AI研修のメリットは、社員がAIを業務に使えるようになることに加えて、入れてはいけない情報を知らないまま使う危うさを減らせる点にあります。帝国データバンクの「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(有効回答1万312社・回答率44.2%)では、生成AIを業務で活用している企業は34.5%で、懸念・課題として専門人材・ノウハウ不足を挙げた企業が41.3%(3つまでの複数回答)ありました。使い方を知る人が社内に足りないという悩みは、研修で埋められる部分が大きいでしょう。
総務省と経済産業省のAI事業者ガイドラインも、共通の指針の1つに教育・リテラシーを挙げ、AIに関わる人が十分なリテラシーを持てるよう必要な措置を講じることを示しています。ただし、AIへの関わり方は役割で違うため、必要なリテラシーの中身も同じにはなりません。
対象者4層の比較表:学ぶこと・目安の長さ・研修後にできること・やりがちな失敗
社内のAI研修は、一般社員(新入社員を含む)・管理職・経営層・推進担当の4つに分けて考えると、中身の違いが見えやすくなります。技術者向けの開発研修も別にありますが、社員10〜200名の会社でまず必要になるのは、AIを業務で使う側の4層でしょう。公的な枠組みでも分け方は似ていて、経済産業省とIPAのデジタルスキル標準は、全てのビジネスパーソン向けのDXリテラシー標準と、DXを進める人材向けのDX推進スキル標準を分けた形です。Microsoftも、Copilotのスキル育成センターで研修を、リーダー・チャンピオン・ITプロフェッショナル/管理者・開発者・ビジネスユーザーの役割別に並べています。
技術者向けの研修は、プログラミングや機械学習の知識を前提にした別の領域で、社内に開発の担当がいる会社で検討する内容です。4層のうち一般社員と管理職は人数が多く、経営層と推進担当は数名になることが多いため、研修の形も人数に合わせて変わってきます。
| 対象者 | 学ぶこと | 目安の長さ(公開講座の例) | 研修後にできるようになること | やりがちな失敗 |
|---|---|---|---|---|
| 一般社員・新入社員 | 業務での使い方(メールの下書き・要約・資料の構成案)、入力してはいけない情報、出力の確かめ方 | 半日(4〜5時間)ほど。eラーニングなら標準学習時間3時間ほどの講座もある | 自分の業務の作業を1つ、AIに下書きさせて直すところまで回せる | 便利な使い方だけを教え、社内ルールと使ってよい環境を伝えない |
| 管理職 | 自部署のどの業務をAIに任せるかの見極め、部下への任せ方、出力を確認する責任 | 半日の講座がある | 部下に最初の課題を出し、結果を見て次に任せる業務を選べる | 一般社員と同じ使い方の講座だけを受けさせ、部下に何を頼むかが決まらない |
| 経営層 | 使ってよい業務と情報の範囲、会社として使う環境、予算と推進担当の決定 | 半日〜1日 | 社内ルールと利用環境を承認し、全社に方針を出せる | 話を聞いて終わり、何も決めないまま現場に任せる |
| 推進担当 | 質問を受ける窓口の作り方、事例の集め方、利用状況の見方、ルールの見直し | 2日間のワークショップ形式の講座がある | 社内の相談窓口になり、月ごとに使われ方を見て手を打てる | ITに詳しい人を指名するだけで、時間と権限を渡さない |
※目安の長さは、この記事で紹介する公開講座の掲載内容から拾った例です。講座の価格・内容は2026年10月6日時点で各社の公式サイトに掲載されている内容で、自社向けに組む研修では内容に合わせて長さが変わります。
表の中で見ていただきたいのは、研修後にできるようになることの列になります。研修会社に相談するときも、何を教えてほしいかより先に、研修の翌週に誰が何をできていてほしいかを伝えると、内容の提案がずれにくくなるでしょう。対象者を分けずに全員同じ研修にすると、管理職と経営層が決めるべきことが決まらないまま残ってしまいます。
進める順番は社内ルール→使ってよい環境→研修→定着
企業でAI研修を進めるときは、社内ルールを決め、使ってよい環境を用意してから研修に入り、最後に定着の段階へ進む順番がおすすめです。研修を先にすると、教えた内容を守れる場所が社内にない状態になってしまいます。
1.社内ルール:入れてはいけない情報を先に決める
研修で必ず教えることになるのが、AIに入力してはいけない情報の線引きです。顧客の個人情報、取引先から預かった資料、公表前の数字のように、会社として線を引いておかないと、講師は一般的な注意しか話せません。研修の前に決めておきたいのは、入力してよい情報といけない情報の区分、使ってよいAIサービスの名前、迷ったときの相談先の3つになります。この3つがあれば、講師は自社のルールに沿った例で演習を組むことが出来ます。個人情報保護委員会は令和5年(2023年)6月2日の注意喚起で、個人情報を含むプロンプトを入れる前に利用目的の範囲内かどうかを確かめ、本人の同意なく個人データを入れる場合は、入力した内容が機械学習に使われないこと等を十分に確認するよう呼びかけています。ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方、入れてはいけない情報の具体例は生成AIに入力してはいけない情報にまとめましたので、あわせてご覧ください。
2.使ってよい環境:会社として契約したAIを用意する
次に、研修で使い、研修後も使い続けるAIを会社として用意します。社員が個人の無料アカウントで受講すると、入力した内容が学習に使われない設定になっているかを、会社が一人ずつ確かめることは出来ません。研修で教える画面と明日から使う画面が違うと、社員は覚えた操作をもう一度覚え直すことになってしまいます。研修会社が演習用の環境を用意する場合も、研修後に社員が使う環境で同じ操作が出来るかを事前に確かめておくと安心です。研修で使うサービスと、研修後に配るサービスは同じものにそろえましょう。
3.研修:対象者ごとに分けて実施する
ルールと環境がそろってから、対象者ごとの研修に入ります。順番は経営層から始めると進めやすく、経営層がルールと環境を承認し、推進担当が準備を整え、管理職と一般社員の研修へ続く流れになります。管理職の研修を一般社員より少し前に置くと、一般社員の研修が終わったその週に、部下へ最初の課題を出すことが出来ます。日程を組むときは、管理職と一般社員の研修のあいだを空けすぎないようにしましょう。
4.定着:研修後の1か月で使い方を仕事に組み込む
研修が終わったあとの1か月は、管理職が部下に最初の課題を出し、推進担当が質問を受ける時期にあたります。30日間の進め方は生成AI研修の選び方の定着の手順で週ごとに整理しているので、そちらも使ってみてください。
順番を入れ替えて研修だけを先に済ませると、よく起きるのが、研修で教えた入力ルールが現場で守られなくなる流れです。研修では「顧客名は入れない」「学習に使われない設定で使う」と教わっても、会社が使える環境を用意していなければ、社員は試しに個人のアカウントで使い始めるでしょう。個人のアカウントは設定も履歴も会社から見えないため、ルールが守られているかを誰も確かめられない状態となってしまいます。会社が把握していないAIの利用は野良AI(シャドーAI)と呼ばれ、研修で教えた内容が届かない場所で使われることになります。社員への伝え方はシャドーAI(野良AI)を防ぐ社員教育も参考にしてみてください。
教えた入力ルールを全員が同じ環境で守れるよう、研修で使うAIを会社で1つにまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
一般社員・新入社員向け:使い方とやってはいけないことを1回で教える
一般社員向けの研修では、明日の仕事で使える使い方と、やってはいけないことを同じ回で教えるのが基本になります。使い方だけを教えると入力の線引きがあいまいなまま広がり、注意点だけを教えると怖くて誰も使わなくなってしまいます。
公開講座の例では、インソースの新入社員・新社会人向けの半日研修が、到達目標として、生成AIが得意な業務と活用場面のイメージ、場面ごとに起こりうるリスクの予測、ビジネスで使うときの留意点の3つを挙げています。AVILENの生成AIリテラシー研修も、対象を全従業員とし、ツールを知る・リスクを知る・業務で使うイメージを持つという3つが到達目標です。どちらも、使い方とリスクを1つの研修の中で扱っている点が共通します。
一般社員向けの研修で扱いたい中身
- 自分の業務での使い方。メールの下書き、議事録の要約、資料の構成案のように、毎週の作業に当てはめた演習
- 指示の出し方の基本。目的・前提・出力の形を伝えると、答えのぶれが小さくなること
- 入力してはいけない情報と、迷ったときに誰へ聞けばよいか
- 出力をそのまま使わず、数字・固有名詞・日付を確かめる手順
- 会社が用意した環境へのログインと、使ってよいサービスの範囲
社員の基礎知識をそろえる研修の選び方はAIリテラシー研修、指示の出し方はプロンプトエンジニアリングの基本でくわしく扱っています。新入社員は業務そのものをまだ知らないため、題材は電話メモの清書や日報の下書きのように、配属先で最初に任される作業を選ぶと身につきやすいでしょう。一般社員の研修では、会社のAI環境へのログインまでを研修の時間内に済ませておきましょう。
管理職向け:部下への任せ方と、研修後1週間以内に出す最初の課題
管理職向けの研修で身につけたいのは、自分で使えることに加えて、自部署のどの業務をAIに任せられるかを見極め、部下に頼めるようになることです。インソースの管理職向けDX研修は、よくある悩みとして上司側のAI活用スキルが課題でデジタル化が止まっている部署が多いことを挙げています。到達目標の1つは、自部署の業務を見直してAIで効率化できるかを見極められることです。同じくインソースの経営幹部・管理職向けの半日研修も、自身が使いこなせておらず部下に活用を促せないという悩みを取り上げています。
管理職が部下に何も頼まないままだと、研修を受けた一般社員も、どこまで仕事に使ってよいのか分からず手を止めてしまいます。研修の効果が現場に出るかどうかは、研修後最初の1週間に管理職が部下へ何を頼むかで変わります。
研修後1週間以内に出す最初の課題
最初の課題は、部下それぞれが毎週くり返している作業を1つ選び、会社のAIで下書きを作ってもらい、かかった時間と直した箇所を報告してもらう形がおすすめになります。題材を部下に選んでもらうのは、本人の業務をよく知っているのが本人だからです。報告は長い文章にせず、作業名・AIなしの時間・AIありの時間・直した箇所の4つで十分でしょう。管理職は報告を見て、次に部署として任せる業務を1つ決め、うまくいかなかった例は推進担当に回してください。
部下へ送る依頼文のひな形(チャットにそのまま貼って使えます)
〇〇さん
先日のAI研修の続きとして、1つお願いがあります。
毎週くり返している作業の中から1つ選んで、会社のAI(〇〇)で下書きを作ってみてください。
締め切りは〇月〇日(〇)です。終わったら、次の4つをこのチャットで返信してください。
1.選んだ作業
2.AIを使わない場合にかかっていた時間(だいたいで大丈夫です)
3.AIを使ってかかった時間(直す時間も含めて)
4.AIの下書きで直したところ、気になったところ
顧客名や個人名、社外秘の数字は入れずに、社内ルールの範囲で試してください。迷ったら私か、推進担当の〇〇さんに聞いてください。
うまくいかなくても問題ありません。うまくいかなかった例も、部署で使い方を決める材料になります。
依頼文には、ルールの範囲で試すことと、うまくいかなくても責めないことを必ず入れましょう。部下が試した結果を部署の会議で5分だけ共有すると、ほかの部下にとっての使い方の見本にもなります。
経営層向け:研修を聞く場ではなく決める場にする
経営層向けの研修は、知識を聞いて終わる場ではなく、会社としてAIをどう使うかを決める場として組むと実りが大きくなります。経営層が決めるのは、使ってよい範囲・使う環境・予算・推進担当の4つです。
インソースの経営幹部・管理職向けの半日研修は、よくある悩みに、情報漏えいや法的リスクが不安で使用を禁止しているものの、その判断が正しいのか迷っていることを挙げています。到達目標の1つは、組織での生成AI活用について何からやるべきか言語化できることです。トレノケートのGenerative AI for Executives(1日・9:30〜17:00・講義形式)も、技術ではなくビジネスでの活用を事例から学ぶコースとして、経営層やマネージャ層の受講を想定しています。なお、このコースはAWSの生成AIを前提にしている点に注意しましょう。MicrosoftのCopilotスキル育成センターも、組織と従業員をAIに対応させる準備方法を学ぶリーダー向けの研修を、ビジネスユーザー向けとは分けて案内しています。
経営層向けの研修で決めること
- AIを使ってよい業務の範囲と、入力してよい情報・いけない情報の区分(社内ルールの承認)
- 会社として使うAIの環境。どのサービスを、誰に、どの設定で配るか
- 研修と環境にかける1年分の予算の考え方
- 推進担当を誰にし、業務時間のどれだけを充てるか
- 研修後に何を見て、続けるか見直すかを判断するか
研修の最後に決める時間をとり、その場で決めきれないことは担当と期限を決めて持ち帰る形にすると、研修が会議の代わりになります。経営層が何も決めないまま研修を終えると、現場は禁止なのか許可なのか分からず、個人のアカウントでの利用だけが増えていってしまいます。
推進担当向け:社内の質問を受け、使われ方を見て手を打つ役を育てる
推進担当向けの研修では、AIを上手に使う力より、社内の質問に答え、事例を集め、使われ方を見てルールや研修を直していく力を身につけてもらいます。IPAのDX推進スキル標準は、ビジネスアーキテクトを、変革で実現したい目的を定め、業務プロセスを設計し、関係者をまとめながら全体を引っ張って成果を出す役割と説明しています。社内でAIを広める推進担当は、規模は小さくてもこの役割に近い仕事を受け持つことになります。
富士通ラーニングメディアの企画推進者向けワークショップ(2日間・集合・東京)は、対象を生成AIの社内利用を進める役目を担う方などとし、到達目標に生成AIの基本的な知識を説明できることと、生成AIを使ったプロジェクトを企画できることを挙げています。前提知識は不要とされているため、IT部門の方でなくても受講できます。Microsoftのスキル育成センターでも、リーダーやビジネスユーザーとは別に、チャンピオンという役割の区分が置かれています。
推進担当の研修で扱うこと
- 社内からの質問に答える窓口の作り方。よく来る質問をためて、社内向けのQ&Aにまとめる方法
- 部署ごとの事例の集め方。管理職が出した最初の課題の報告を集めて、使える例を選ぶ方法
- 月ごとの利用状況の見方。どの部署が、どのAIを、どのくらい使っているか
- 入力ルールの見直しと、入れてよいか迷った情報の相談の受け付け
- 新しく入った社員への研修と、ルールを改めたときの周知
月ごとの利用状況を見るには、会社として利用ログを確認できる環境が前提になります。個人のアカウントでばらばらに使われていると、推進担当が見られるのは社員の自己申告だけになってしまいます。推進の体制づくりは生成AIの推進体制の作り方、育成の全体像はAI人材の育成も参考にしてみてください。
受講前アンケートで聞くこと:研修の中身を対象者に合わせる
研修の内容を対象者に合わせるには、受講前に社員の使い方と不安を聞いておくのが近道です。アンケートの結果は研修会社にも渡し、演習の題材や時間配分の相談に使いましょう。
- 業務で生成AIを使ったことがあるか(頻度)使っていない・月に数回・週に数回・ほぼ毎日の4択にすると、回ごとの水準を決めやすくなります。
- 使っているAIサービスの名前と、そのアカウントが会社のものか個人のものか責めるための質問ではないと書き添えると、正直な回答が集まりやすくなります。会社が把握していない利用を見つける手がかりにもなります。
- AIを使っている業務、使ってみたい業務演習の題材を、実際の業務からそのまま選べます。
- 毎週くり返している作業で、時間がかかっているもの管理職が研修後に出す最初の課題の候補になります。
- 社内ルール(入力してはいけない情報)を読んだことがあるか読んでいない方が多ければ、研修の中でルールの説明に時間を多めに割きます。
- 入力してよいか迷った情報の例研修で扱う線引きの例を、自社の実例に近づけられます。
- AIについて不安なこと(間違い・情報漏えい・評価への影響など)回答の多い不安は、研修の冒頭で先に答えておきます。
- 研修でいちばん知りたいこと(自由記述)管理職と経営層には、部署で任せてみたい業務もあわせて聞いておきます。
質問は8問ほどにとどめ、5分で答えられる長さにすると回収しやすくなります。対象者ごとに回答を分けて見ると、一般社員と管理職のあいだで使い方の差がどこにあるかも見えてくるでしょう。
対象者別に見た公開講座の例(公式サイト掲載値)
研修会社を比べるときは、会社名で並べるより、どの対象者に向けた講座かで並べると選びやすくなります。ここでは、公式サイトで内容と価格を確認できた公開講座を、対象者別に並べました。順位をつけたものではなく、価格は各社の公式サイトの掲載値になります。
一般社員・新入社員向けの講座
- インソース「(半日研修)(新入社員・新社会人向け)生成AI活用研修~社会人に求められるAIリテラシーを身につける」:オンライン、会員価格14,300〜26,300円
- トレノケート「ChatGPTで学ぶ生成AIビジネス活用」:1日(13:00〜17:30)、講義+ハンズオン演習、33,000円(税込)
- AVILEN「生成AIリテラシー研修」:eラーニング、対象は全従業員、22,000円/人(税込)
- スキルアップAI「ビジネスパーソンのための対話型生成AI講座」:eラーニング(動画講義約1.7時間・標準学習時間約3時間)、27,500円/1名(税込)
- 富士通ラーニングメディア「【eラーニング】ビジネスパーソンのための生成AIリテラシー」(利用者向け):標準学習時間3時間、学習期間8週間
管理職向けの講座
- インソース「管理職向けDX研修~生成AIで自部署の生産性を飛躍させる」:オンライン、会員価格37,700円。対象は管理職、自部署のDX推進を任されている方など
- インソース「(半日研修)経営幹部・管理職向け生成AI活用研修~リスクを理解し運用方針を決める」:オンライン、会員価格41,000円
経営層向けの講座
- インソース「(半日研修)経営幹部・管理職向け生成AI活用研修」:対象にリーダー層・管理職・部長・経営層・DX推進担当者を含む
- トレノケート「Generative AI for Executives」:1日(9:30〜17:00)、講義、77,000円(税込)。AWSの生成AIを前提にしたコース
推進担当向けの講座
- 富士通ラーニングメディア「【集合】生成AIを活用した価値創出ワークショップ~生成AIによる業務改革を考える~」:2日間、東京、121,000円(税込)
※講座の価格・内容は2026年10月6日時点で各社の公式サイトに掲載されている内容です。インソースの価格は一覧に表示されている会員価格で、一般価格や会員の条件は公式サイトでご確認ください。日程と開催形式は変わることがあります。
Microsoft 365 Copilotを使う会社であれば、Copilotの使い方に絞った講座もあり、選び方はCopilot研修をご覧ください。そのほかの研修会社も含めた一覧はAI研修のおすすめ、無料で使える教材は無料のAI研修にまとめています。
対象者が決まったあとの選び方:内容・形式・講師・研修後のフォロー
対象者ごとの中身が決まったら、研修会社や講座は、内容の実践性・受講形式・講師・研修後のフォロー・費用の5つで見比べると判断しやすくなります。
内容のレベルと実践性:自社の業務で演習できるか
一般社員と管理職の研修は、演習の題材を自社の業務に置きかえられるかを最初に確かめましょう。受講前アンケートで集めた業務をそのまま演習に使えるかどうかを聞くと、研修会社ごとの違いがはっきりしてきます。
受講形式:オンライン・集合・eラーニングと演習の有無
受講形式は、対象者ごとに向き不向きがあります。一般社員は手を動かす演習がある形が向いていて、トレノケートの1日講座のように講義とハンズオン演習を組み合わせた講座も選べます。人数が多い会社や勤務時間がばらばらな会社では、eラーニングで基礎をそろえてから、短い集合研修で自社の業務の演習をする組み合わせも考えられるでしょう。経営層は講義で全体像をつかみ、そのあと決める会議を続けて開く形が合っています。推進担当は、富士通ラーニングメディアの2日間のワークショップのように、ほかの受講者と企画を練る集合形式が役に立つ場面が多くなります。
講師:自社の業種や業務を知っているか
講師が受講者の業種の仕事を知っているかどうかで、演習の例の出し方が変わってきます。打ち合わせの段階で、受講者と近い規模・業種の会社での研修の経験を聞いてみてください。
研修後のフォロー:質問窓口や振り返りの回があるか
研修後のフォローの有無は、見積もりの段階で必ず確かめたい項目です。研修後に質問を受け付ける期間や、数週間後の振り返りの回があるかどうかで、管理職が出した最初の課題の結果を持ち寄る場があるかが決まります。フォローがない講座を選ぶ場合は、推進担当が社内でその役を引き受けると決めておきましょう。
企業の事例:全社向け研修の資料を公開しているTIS
自社で研修を組むときの手がかりになるのが、全社向けのAI研修の資料を公開している企業の例です。TISは、2024年6月からオンラインで開いている全社向け研修の内容をもとに、生成AIリテラシー向上研修の資料を再構成し、Fintanで公開しています。資料はパワーポイント版(補足あり)、PDF版(補足あり)、PDF版(補足なし)の3種類で、主な対象は生成AIに触れたことがない方や日常的に使っていない方です。サイトのドキュメントはクリエイティブ・コモンズ表示4.0(CC BY 4.0)で公開されているため、出典の表示、ライセンスへのリンク、変更した場合はその旨の表示という条件を守れば、自社の一般社員向け研修の土台として使うことが出来ます。投稿日は2024年9月9日、更新日は2026年7月2日と表示されているので、使う前に最新の版かを確かめておきましょう。
公的な教材では、総務省の生成AIはじめの一歩(スライド75枚)や、IPAのAI利用者のためのセキュリティ豆知識(2026年4月2日公開)も、講座や社内研修での利用を想定した形で公開されています。総務省の教材は、使う前にページ記載の連絡先へ事前に連絡するよう求めているので、手順も一緒に確認してください。こうした資料は一般社員向けの土台には使えますが、管理職・経営層・推進担当の中身は自社で足す必要があります。
費用と助成金は対象者ごとの中身で考える
研修の費用は、対象者を分けると回数が増えるぶん高くなりやすい点に気を付けたいところです。研修費だけでなく、研修後にAIを使う環境の費用も含めた1年の総額で比べることをおすすめします。
助成金では、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コース(厚生労働省)の令和8年8月3日からの変更点で、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は対象外とされ、営業担当者が提案書の構成案や文章を作る訓練が対象の例として示されています。職種や役割ごとの業務に当てはめた研修のほうが、助成の考え方にも合いやすいでしょう。ただし実訓練時間10時間以上などの要件があり、半日の講座1本では満たしません。同コースのパンフレット(令和8年8月3日版)では、AIツールの導入費用は対象経費ではないとされているため、研修後の利用料は自社の負担になります。1年の総額の計算例はAI研修の費用、助成金の対象や申請の流れはAI研修の助成金、研修全体の費用の考え方は生成AI研修の選び方にまとめています。
研修で教えた使い方を、全社員が同じ環境で続けるための条件
研修の効果を続かせるには、研修で教えた使い方を、全社員が同じ安全な環境でくり返せる状態にしておく必要があります。環境を選ぶときは、次の4つを確かめてみてください。
- 入力した内容をAIの学習に使わせない設定が、社員ごとの操作ではなく、会社側で全員に一律にかかっているか
- 誰がいつどのAIを使ったかの利用ログを、会社側で確認できるか
- 一部の社員だけでなく、研修を受けた全社員に配れる料金の形か
- 研修で教えた複数のAIの使い分けを、同じ画面で続けられるか
1つ目と2つ目は、一般社員の研修で教えた入力ルールと、推進担当が月ごとに見る利用状況を支える部分になります。3つ目が欠けると、研修を受けたのに使う場所がない社員が出て、個人のアカウントに流れる入り口が残ってしまいます。4つ目は、調べものはWeb検索に強いAI、長い文書は長文の処理に強いAIのように、AIの使い分けを教えた場合に効いてきます。研修を受けた全員に、教えたときと同じ設定のAIを配れるかどうかで、研修が一度きりで終わるかが決まります。どの研修会社を選ぶ場合でも、研修の前にこの4つを満たす環境を決めておきましょう。
研修で教えた使い方を、全社員が同じ安全な環境で続けるために
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約・1つの画面で使える法人向けサービスです。研修で教えたAIの使い分けを、受講した全社員がそのまま同じ画面で続けられます。入力内容は全モデルで学習に使われない設定が標準となり、利用ログ・権限・モデルごとのON/OFFは管理者ダッシュボードでまとめて扱えます。会話履歴と利用ログは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。このほかに初期費用として100,000円(税抜)がかかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
全社員に同じAI研修を受けさせるだけでは足りませんか?
管理職と一般社員を同じ回で受講させてもよいですか?
経営層向けのAI研修はどのくらいの時間が必要ですか?
社内ルールがまだない状態で研修をしてもよいですか?
推進担当はIT部門の社員でないと務まりませんか?
まとめ
企業向けAI研修は、全員に同じ研修をするのではなく、一般社員・管理職・経営層・推進担当の4層で中身を変えると、研修後の行動につながりやすくなります。一般社員は使い方とやってはいけないこと、管理職は業務の見極めと部下への任せ方、経営層は使ってよい範囲と環境の決定、推進担当は質問窓口と利用状況の見方が中心です。進める順番は、社内ルール、使ってよい環境、研修、定着の順にしましょう。研修のあとは、管理職が1週間以内に部下へ最初の課題を出し、推進担当が結果を集めるところから始めてみてください。法人のAI活用のほかの記事はAI活用コラム一覧でご覧いただけます。
